ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

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ちろりん #1★2008.11/01(土)10:37
>この物語は、あいている行がありません。大変見にくい状態になっていることを、お許しださい。

−第1話−  夢の中

ぼく、ピカチュウのピカタ。どこにでもいるような、ごくふつうのピカチュウ。
ここは、みどりの森。葉と葉の間から、朝日がさしこんで、とてもきれいだ。
ピカタ「さて、今日はなにをしようかな。」
と、考えているうちに、ぼくは寝てしまった。
ピカタ「うーん…。あれ。ここは、おかしの国!?」
さばくがひろがっている真ん中に、おかしでかためられたお城がそびえたっている。
そういえばぼく、寝ちゃったんだっけ。じゃあここは、夢の中か。と、おもったところで目がさめた。


    −第2話−  ルナとの出会い

ピカタ「え?え?えーっ!?」
目がさめてぼくはびっくりした。そこはみどりの森ではなく、夢でみたおかしの国だった。
ピカタ「ぼく、まだ寝てるのかな。」
ためしにほっぺをつねってみた。
ピカタ「いてっ、やっぱりおきてる。」 ?「ねえ、これはあなたが見た夢?」
どこからか声がした。声のした方をふりむく。そこにはキラキラかがやいた、きれいな月のようなポケモンがいた。
ピカタ「き、きみは?」 ?「わたしは、クレセリアのルナです。あなたは?」
ピカタ「ぼくはピカタ。そう。これはぼくがみた夢。」
ルナ「あなたもダークライに…。」 ピカタ「ダークライ?なに?そのポケモンは。」
ルナ「今、あなたは自分が見ている夢の中にはいりこんでいるんです。もうすぐ、ダークライが現れて、
あなたのことを襲いにきます。やられたら、永遠のねむりについてしまうんです。」
ピカタ「永遠の…ねむり…。」
ルナ「自分を信じて。いっしょにたたかいましょ。…あっ!」
ルナがはっとする。
ピカタ「どうしたの?」 ルナ「もうすぐ悪夢がきます。気をつけて。」


    −第3話−  悪夢とのたたかい

ゴゴゴゴゴゴ――急に地面がゆれだした。
ルナ「きた!」
ドッシャーン――地面のすながふきあげて、黒いポケモンがあらわれた。
ルナ「ダ、ダークライ!」 ピカタ「これが、ダークライ!」
ダークライ「ふふふ。わたしはダークライのシャドー。おまえを永遠にねむらせてやる!」
ルナ「そんなこと、させない!」
ルナが前にでた。
ルナ「サイコキネシス!」
シャドーを、水色の光がつつむ。だが、シャドーはそれをふりきって、こうげきをしてきた。
シャドー「さいみんじゅつ!」
シュドン――さいみんじゅつはルナに命中してしまった。
ルナ「く…っ。」 ピカタ「ルナ、しっかりして!大丈夫!?」
ルナ「ごめんなさい…。ピカタ…。」
ルナはたおれて、ぐったりとねむっている。
シャドー「つぎはキサマだっっ!」
シャドーはさいみんじゅつを連発してきた。ぼくはそれをかわし続ける。でも、このままじゃきりがない。
ピカタ「10まんボルトー!」
シャドーに電撃がながれる。
シャドー「きかぬわ!」
シャドーは電撃をふりきると、さいみんじゅつをくりだしてた。
ピカタ「うわあ!」
ぼくはそのばにたおれた。そして、ものすごいねむけにおそわれ、気をうしなった。
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ちろりん #2★2008.11/01(土)17:17
−第4話−  ピカタのチカラ

うーん…。うーん…。く、くるしい…。体全体がしめつけられるような感じだ…。息もしづらい。
ピカタ「うー…、やあーっ!」
ピカッ―不思議な光がぼくの体からでた。なんだか苦しさもきえて、らくになった。なんでだろう…。
?「ピ…さん。ピカ…さんってば。…あっ。」 ピカタ「うーん…あっ!?」
がばっ――ぼくははねおきた。
ルナ「よかった…。気がついたんですね。」
そこにはルナがいた。ここはみどりの森。もどってきたみたい。
ピカタ「ルナは大丈夫だったの?」
ルナ「えぇ、まあ…。ただ、ひとつもんだいが…。」 ピカタ「もんだい?」
ルナ「わたしは、悪夢から目覚めなくなったポケモンを目覚めさせる力をもっているんです。
ただ、わたしがねむっている間に、ダークライがおそってきてその力がつかえなくなってしまったんです。」
よくみると、ルナの体はボロボロだった。
ピカタ「え、ちょ、ぜんぜん大丈夫じゃない気がするんだけど?」
ルナ「わたしは、シャドーの野望をとめるために、シャドーを追って、ここまできたんです。
ただ、今の状態じゃとてもシャドーなんかとはたたかえません…。」
ピカタ「たしかに…痛っ!」
体を動かそうとした時、自分もシャドーにやられていたことに気づいた。
ルナ「あれ?わたしはピカタさんを悪夢から目覚めさせる力を使おうとしたけど、
その力は使えなくなったはず…。なのになぜピカタさんは再び目覚めることができたのかしら?
あの時は確実に悪夢にやられていたはずなのに…。」
いわれてみればそうだ。なぜぼくは自力で目覚めることができたのだろうか。
ルナ「ひょっとして…。」 ピカタ「え?」
ルナ「ピカタさんは悪夢にやられても目覚めることができる力の持ち主なんですよ!
じつはわたし、あなたのような人を
さがしていたんです!」
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ちろりん #3★2008.11/01(土)12:42
−第5話−  悪夢の中の冒険(前編)

ピカタ「…どういうこと?」
ルナ「わたしは、シャドーをたおして、シャドーのたくらみをとめるためにやってきた…。
ということはいいましたよね?シャドーをたおすには、
ピカタさんのような能力をもっている人が5人ひつようなんです。」
ピカタ「…じゃあ、ぼくにシャドーをたおせと?」
ルナ「はい、おねがいします。わたしもその能力をもっています。
ピカタさんもあつまったことだし、ひつようなのはあと3人…」
ピカタ「ちょちょちょ、ちょっとまってよ!ぼく、まだいいなんてひとこともいってないのに…。」
ぼくは止めにはいった。
ルナ「でも、このままだと世界は悪夢につつまれてしまいます。おねがいで…」
?「おーい、たいへんだー!」
だれかの声がした。こっちに走ってきている。どうやらキモリのようだ。
キモリ「た、たいへんなんだよ!あっちでねむったままおきないポケモンがっ!」
ピカタ「それってもしかして…!」
ルナも同じことを感じている。ぼくとルナは同時にはしりだした。(ルナはうかんでいるけど)
そこにいたのは…。
ピカタ「ハ、ハーブ!」 ルナ「ハーブ?このチコリータ、ハーブっていうのね。」
ピカタ「ハーブはぼくの友達なんだ!おねがい!たすけてあげて…!」
ルナ「そう、なかないで。いっしょにたすけましょ。」
そういって、ルナはハーブの頭の葉をさすりはじめた。
ルナ「悪夢の中にはいるわよ!」 ピカタ「悪夢の中にはい…」
いいおわらないうちに、ぼくとルナはハーブの夢の中にすいこまれた。
ピカア――白い光がかがやいている。
ピカタ「まぶしいっ。」 ルナ「もうすぐつきます。」
しばらくたって、光がはれた。
ルナ「つきました。悪夢の中です。」 ピカタ「ひ、ひどい…。」
空は黒く染まり、かみなりがなっている。雨もいきおいよくふっている。
地面には草などの植物が一本もはえていない。湖のかれたあともあった。
ピカタ「ねえ、どうやったらハーブをたすけることができの?」
ルナ「シャドーをみつけて、たおすことです。もし、たおせなかったり、
すでにハーブがねむってしまってい場合はざんねんながら…。」
ピカタ「ねえ、ルナ。…ぼく、協力するよ!ルナに!」
ルナがぼくをみた。
ピカタ「ぼくみたいに、大切な人がねむり続けたりしたら、だれかが悲しい思いをすることになる…。
だから、いっしょにシャドーをとめよう!」
ルナはとても明るい顔をした。
ルナ「うれしいです!…わたし、一人じゃ心ぼそくて…。それに、わたし一人ではむりだったんです。
ピカタさん、いきましょう!」 ピカタ「うん!」
ぼくたちは歩き始めた。とちゅう、大きな谷にさしかかった。
ピカタ「す、すごい谷だ…。どうやってわたる?」
ルナ「わたしはとべます。わたしのねんりきでピカタさんをむこうがわへ…。」
ビシビシ――ん?いまなにか音がしたような…。そのとき、ぼくが立っていたところにひびがはいった。
ピカタ「うわあーっ!」 ルナ「ピカタさん!」
ぼくはまっさかさまにおちた。
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ちろりん #4★2008.11/02(日)20:46
悪夢の中の冒険(後編)

ピカタ「うーん…。あっ。」
目の前がかすんでいる。そうだ、ぼくは谷からおちたんだった。
そういえば、生きてる。死ぬかと思った…。そうだ、ルナは?…いない。はやく合流しないと…。
とりあえず、前にすすまなくちゃ。ぼくは歩きはじめた。
?「キャーッ!」
ピカタ「!…いまのはハーブのこえ!ハーブ!ハーブー!どこにいるのーっ!」
ぼくは夢中で走りはじめた。すると、暗いどうくつがみえた。
ピカタ「こんなところにどうくつが…。ここでとまっていてもしょうがない。いくぞ!」
ぼくはどうくつの中にはいっていった。
ピカタ「ハーブー!ハーブー!…これは…!」
なんと、道が二つにわかれている。いったいどっちにいけばいいんだろう?
…あっ…。地面にハーブの足跡が!
ぼくは右の道にすすんだ。…なんだか、やけにあかるいな。
青い色をした炎が、たいまつにつけられて、どうくつの壁にさしこまれている。
まるできもだめしでもしている気分だ…。おおきな広場のようなところにでた。
シュンッ――あれ、今目の前をなにかがよこぎったような…。――ボカッ!
ピカタ「うあっ!」
いて…っおなかをだれかになぐられた。あのかげ、なんだかルナに似ていたような…。
ルナ「ピカタさん、大丈夫ですか?」
ルナの声。ふと、ふりむくと、そこにはルナがいた。
ピカタ「ルナ。あえてよかった。」 ルナ「サイコキネシス!」 ピカタ「え?」
ぼくの体がういた。そして、なげとばされ、壁にげきとつした。
ピカタ「な、なにするの!?」
ルナ「…なにをしたっていいじゃない。あなたなんてつかいものにならないわ。
谷からおちるなんて。あなた、弱すぎよ。」 ピカタ「え…?」
ルナがまるで別人のようだ。目がつりあがって、ぼくのことをにらみつけている。
ルナ「あなたを消すわ。いま、ここで!」
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ちろりん #5★2008.11/01(土)12:43
ピカタ「ル、ルナ!どうしちゃったの!?なにかあった…」
ルナ「だまって!」 ピカタ「…!」
ぼくはルナの迫力に圧倒されて、口をとじた。でも…。ルナがぼくのことを倒すなんて…。
絶対、なにかあったにちがいないよ。
それに、数分前の「わたし一人じゃ心ぼそくて…」
「わたし一人では無理だったんです」っていうルナの言葉はうそだったっていうの?
ぼくが弱かったらぼくのことなんかどうでもいいの?…ちがう。ルナ、やっぱりなにかあったんだ。
ピカタ「ルナ!ぼくたちは一緒にシャドーをとめるんじゃなかたの!?
さっき、ぼく、協力するっていったじゃないか!」
ルナ「あなたになにができるのよ。谷からおちたことだけがあなたを弱いと判断したわけじゃないわ。
あたしがあなたを信用できると思ってるの?」 ピカタ「!?」
ルナはぼくのことを信じてなかったの?それじゃ、最初からルナはうらぎるつもりだったんじゃ…。
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ちろりん #6★2008.11/01(土)12:27
−第6話−  VSルナ

ルナ「さて。おしゃべりはこのくらいにして、そろそろあなたを消そうかしら。」
ピカタ「無理だ!きみとはたたかえないよ!」
ルナ「べつに、あなたがたたかわなくても、あたしがあなたを消せるなら、それでいいわ。」
…冷たい。冷たいよ。ルナ。…ほんとに。本当にどうしちゃったんだよ…。
ぼくは泣きそうになった。すべてをみうしなった気がした。
ルナ「サイコキネシス!」
ふわり――ぼくの体がうく。そして、壁にたたきつけられる。
ピカタ「じゅ…10まんボルトっ!」 ルナ「…きかないわ。」
ルナは電撃をふりきった。
ルナ「ろくなこうげきもできないのね。」
心から信じていたルナに、こんなことをいわれるなんて…。ぼくにはとても大きなショックだった。
ピカタ「…無理だ…。やっぱりたたかえない…。」
ルナ「サイコキネシス!サイコキネシス!サイコキネシス!」
赤い光。…ぼくの体はぼろぼろだった。…体がうごかない。…ぼくは、このまま死んでしまうのかな…。
ルナ「…ふふふ。とどめよ。」 ピカタ「ううっ…。」
ルナ「さいみんじゅつ!」 ピカタ「さ、さいみんじゅつ!?」
みゅわわわ――まずいっ!ぼくはあわててさいみんじゅつをかわした。
ルナ「かげぶんしん!」
こ、こんどはかげぶんしんか…!ルナのぶんしんがいくつもあらわれる。
ルナ「さいみんじゅつー!」
いっせいにさいみんじゅつがはなたれた。
ピカタ「こうそくいどう!」
ぼくはこうそくいどうですべてかわした。…おちつけ。おちつけピカタ!ぼくは冷静になってかんがえた。
ルナ「サイコキネシス!」
赤色の光。…まてよ。赤?赤だって!?
たしか、ルナのサイコキネシスは水色だったはず…。壁にたたきつけられながらも必死に考える。
ルナ「さいみんじゅつ!」
そうだ!さいみんじゅつ!あのさいみんじゅつはシャドーにそっくりのパワーだ!
それに、ルナはさいみんじゅつなんてつかえなかったはずだと、いうことは…?
あれはルナではなく、悪夢の中でつくられた、ニセモノのルナだったりして…。
なにか、なにかあのルナをニセモノといいきれるかんぺきなしょうこはないのか!?
…わかったぞ!つきのひかりだ!ルナはハーブの悪夢に入る前、
つきのひかりでぼくを回復してくれた…。なんだか、自信がわいてきた。
ピカタ「ねえ!ルナ!ルナはつきのひかりがつかえるよね?」
ルナ「つ…つきのひかり…かっ!」
ピカタ「つかえないんだろ!?…じゃあおまえはだれだ!」
やっぱり。ルナの見た目だけをコピーしていたんだな。じゃあ、かげぶんしんなどのワザはシャドーのもの…?
ルナ「ふふふ。みやぶられてはしかたがない。でも、とどめだけはさしてあげよう。」
…しまった!ぼくの体はもう限界だ!ワザをかわすなんてとてもむりだ!
ニセルナ「くらえぇっ!さいみんじゅつ!」
…もうだめだっ!…キーン…。…なにか音がした。さいみんじゅつもあたっていない。
どうなっているんだ?ふと、まえをみると…。
ピカタ「ルナ!ルナなんだね!」
ルナがぼくをまもって目の前にたっていた。
ルナ「わたしのニセモノをつかってピカタさんをまどわすなんゆるせません!わたしがあなたw…。」
あれ…。言葉がへんなふうに聞こえる。目もぼうっとしてきた。
…!…体に激痛がはしった。これまでのダメージが一気にのしかかったみたいだ…。だめだ…目の前が…かすんでいく…。
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ちろりん #7★2008.11/01(土)12:39
−第7話−  ルナと協力

ハア…、ハア…。か、からだが熱いし、すごくだるい…。なんだか、体が重くなった気がする。
目の前はまっくらだ。なにも見えない。
キラキラキラ――急に目の前が白くなった。すると、体のだるさも回復していく…。
ぼくは、ゆっくり目をひらいた。
ピカタ「ル…ナ…。」 ルナ「ピカタさん!よかった…気づいてくれて…。」
どうやら、ルナはニセモノのルナをたおしたらしい。
ピカタ「そうだ!ハーブを助けにいかなきゃ!」
ぼくは立ち上がった。そして走ろうとする。すると、急にめまいがした。
ピカタ「うっ…。」
――ドテッ ルナ「だ、大丈夫ですか!?」
バリバリッ――そうか、体が重く感じた理由がわかったぞ。ぼく、電気をつかいすぎたんだ。
ルナがつきのひかりで回復してくれたけど、治ったのはきずだけなんだ…。
ダメージをうけすぎたから電気が余分にでちゃったのかな…。
ピカタ「く…くそっ…。」 ルナ「…す、すごい熱!ほんとに大丈夫ですか?」
ピカタ「ル、ルナ!ぼくを、ハーブのところまで…つれていって…。」
ルナ「…わかりました。でも、無理しないでくださいね。」
ルナは、弱いねんりきでぼくの体をうかせると、ゆっくりと進んでいった。
バリリッ――電気がはじける音がどうくつ中にひびく。
ルナは何回もぼくのことを心配してふりかえっていた。
しばらく進んでいると、シュドオォン――と、大きな音がした。
ピカタ「あ、あれは、さいみんじゅつを発射させた音…!」
ルナ「ハーブさんはすぐそこにいます!かなり近いですよ!」
ぼくとルナは先をいそいだ。とても大きな広場のような場所にでた。
ピカタ「シャ、シャドー!」 ハーブ「ピ…ピカタッ…!」 シャドー「スキありぃ!」
シュドオオォン――すごい音をはっして、さいみんじゅつがとんだ。
ハーブ「きゃあっ!」 ピカタ「ハーブ!」
さいみんじゅつは見事に命中してしまった。ハーブはばたりとたおれた。
その体は、きずだらけだった。ずいぶん長い事たたかっていたのだろう。
悲しみよりも、怒りの感情がこみあげてきた。ぼくは地面におりた。
ピカタ「よ、よくもぼくの大切な友達をっ…!」
ルナ「ピ、ピカタさん!その体では無理です!」
シャドー「ふふふ。おもしろい。おまえもたたきのめしてる!」
シャドーはシャドーボールをくりだしてきた。
ルナ「サイコキネシス!」
シャドーボールはくるりとむきをかえると、シャドーにむかってとんでいき、命中した。
シャドー「よくもやったな!」
こんどはルナにむかってシャドーボールをくりだす。
ルナ「オーロラビーム!」
シャドーボールが消えた。ルナとシャドーのパワーはちょうど同じくらいだ。
ぼくはハーブをみていた。もっとはやくきていれば、こんなことにはならなかったのに…。
ごめんね。ハーブ。ぼくにチカラがなくて…。でも、いま、チカラをみせるよ。
ぼくのパワーをすべてつかいきってでも!
怒りと悲しみ、そして後悔の気持ちが、ぼくを本気にさせた。
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ちろりん #8★2008.11/01(土)12:21
ピカタ「かみなりぃー!」
ズドギャーン!
シャドー「ぐはっ!な、なんだ!?このチカラはっ…!」
ルナ「オーロラビーム!」
シャドーはゆだんしたのか、オーロラビームをかわさなかった。
シャドー「くそう…。かげぶんしん!」
きた!かげぶんしんだ!…ん、目の前がまた、かすれはじめた。ぼくは目をこすって、たたかいに集中する。
ルナ「サイコキネシス!サイコキネシス!サイコキネシス!」
ズドン ヒュドン ドドーン―シャドーの分身がどんどんとばされている。
でも、本物のシャドーはまだどれか分からない。
ルナ「ハア…ハア…サイコキネシス!」
ルナもだいぶ息があがっている。このままじゃやられてしまう。
ピカタ「10まんボルトー!」
バリリリリリ!
シャドー「ぐはあっ!…それならピカタから片付けてやる!」
ピカタ「ハア…ハア…」
目がぼやけている。今にも意識を失いそうだ。――バリリッバリリリッ――また電気がはじけはじめた。
シャドー「シャドーボール!」
ルナ「ピカタさん!あぶないっ!」
ズガーン!
ルナ「きゃあっ!」
ピカタ「ルナ!」
ルナはぼくをかばってシャドーボールをうけた。こうかはばつぐんだ。
ルナはだいぶダメージをおった。
ピカタ「ルナ!しっかり!大丈夫!?」
ルナ「…ま、まだ大丈夫ですっ!」
でも、ルナはフラフラだ。ぼくも、めまいがとまらない。
シャドー「いまだ!くらえぇっ!シャドーボール!」
シャドーがルナにシャドーボールを連発してきた。さっきよりもパワーがましている。
ピカタ「このままじゃルナが…。最大パワーで…かみなりぃー!うおりゃあーっ!」
ズギューン! バリバリバリ!ババババババ…。
シャドー「ぐああ!」
シャドーの悲鳴がきこえる。ぼくはその場にくずれおちた。
ルナ「ピカタさん!しっかりして!」
ピカタ「ルナ…。ぼく…シャドーを…たおした…よ…。」
ルナ「…ざんねんですが、あれは本物のシャドーではなく、悪夢の中でつくられたシャドーのようです。」
ピカタ「…でも、ルナ。…ありがとう。あのとき、かばってくれt…。」
ルナ「ピカタさん!?ピカタさん、しっかりs…」
意識がとおのいていった…。
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ちろりん #9★2008.10/28(火)20:51
−第8話−  新たな仲間

シューン…ピカアーッ…。
ピカタ「う…ううん…。」
ルナ「あっピカタさん!気がつきました!」
ハーブ「もう!いつまで寝てんのよ!」
ぼくは目をあけた。電気のはじける音が消えている。どうやら、体の調子がもどったようだ。
ピカタ「ここは…どこ?」
ルナ「みどりの森です。もどってきました。」
ハーブ「ピカタ。助けてくれて、ありがとね。」
ピカタ「どういたしまして…ってハーブ!?」
ハーブ「さっきルナから聞いたの。あたしも悪夢にやられても目覚めることができるチカラをもってるんだって。」
ピカタ「そ、それじゃあ…。」
ハーブ「そう。あたしもルナに協力することにしたわ。」
ハーブもそんなチカラをもっていたのか…。
ルナから、悪夢の話など、これまでの事を話してもらったらい。
でも、本当によかった。ハーブが無事で。
ハーブ「と言うわけで、あたしも仲間になるから、よろしくね!」
ルナ「さっき、ピカタさんが苦しそうだったんで、ハーブさんがアロマセラピーで回復してくれたんです。」
ピカタ「そうだったのか。ありがと、ハーブ。」
ハーブ「そんなぁ…あたしは別に…ピカタが苦しそうだったから…。」
ハーブは顔を赤くしている。…てれてるのかな。
ぼくたちの新たな仲間、ハーブがくわわったのだった。
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ちろりん #10★2008.11/01(土)17:36
−第9話−  でんきだま

夜になった。ぼくの悪夢にはいったり、ハーブの悪夢にはいったり…。
一日がすごく長かった気がする。ハーブはもうぐっすりねている。
ルナは目をあけて星空をながめていた。
ピカタ「ルナはねむらないの?」
ルナ「…ええ。もうちょっとこのきれいな空をながめてたいんです。」
ピカタ「どうして?」
ルナ「ずっと悪夢の中にはいってて、ひびわれた地面とか、あれた湖だとか…。
こういう自然の美しさを見たのはひさしぶりだなって、そう思ったからです。」
たしかに。いつもみている星空だけど、悪夢の中にいたせいか、すごくしんせんに見える。
こういう当たり前な事がすごく幸せに感じる。だからこそ、この美しく幸せな自然を、時間を、
おそろしい悪夢から守らなければならないと思った。
ルナ「はっ!」 ピカタ「ど、どうしたの!?」
ルナの声でハーブもおきた。
ルナ「…悪夢が。シャドーが。まただれかをねむらせたようで」す。この近くにいます。」
ハーブ「すごい。ルナって悪夢を感じることができるのね。」 ピカタ「よし、行こう!」
ぼくたちは走り出した。
すると、ねむっているライチュウを発見した。
ルナ「行きますよ!」
ルナはライチュウの耳をさすりはじめた。
ヒュウウウウン――黄色の光。ぼくたちは夢の中にすいこまれた。――ゴンッ
ハーブ「いてて…。ピカタ?」 ピカタ「ここにいる…」
シュドン!
ピカタ「えぇ!?」
なんと目の前にはシャドーが!ライチュウもいる。ライチュウはまだねむらされていない。
いまのうちにシャドーをたおさなくちゃ!
ハーブ「よーっし!いくわよ!ピカタ!つるのムチ!」
シュルルッがしっ――ハーブのつるのムチはシャドーをとらえた。身動きがとれなくなっている。
ハーブ「さあ!今のうちにこうげきして!」
ピカタ「わかった!くらえ!かみなりぃーっ!」
ハーブは自分に電撃がながれないように、かみなりが当たる直前にムチをはなした。
シャドー「ぐはっ!」 ルナ「わたしも!サイコキネシス!」
シャドーがふわりとうく。
ダダーン――強くかべにうちつけられている。
ハーブ「とどめよ!ソーラービーム!」 ピカタ「かみなりぃー!」 ルナ「オーロラビーム!」
かみなりとオーロラビームがシャドーに命中。その次にハーブがためていたソーラービームが発射された。
シャドー「ぐはあ!」
シャドーは消えた。どうやら本物ではなかったようだ。
ハーブ「ねえ、あたしたちっていいコンビよね!」
たしかに。ルナといままで二人だったけど、ハーブがくわわって三人になったらすごいパワーだ。
あのシャドーがあっさりやられているのだから。
ライチュウ「あ、ありがとうございました!なんとおれいを申し上げたらいいか…。」
ルナ「いいですよ。おれいなんて。」 ハーブ「おけがはありませんか?」
ライチュウ「はい。大丈夫です。…おや?あなたはピカチュウではありませんか?」
ピカタ「あ、はい。ピカタっていいます。」
ライチュウ「そうですか。ピカタさん、ぜひ、これをうけとってください。」
そういってライチュウは電気のような色をした黄色のタマを、ぼくにもたせた。
ピカタ「い、いいですよ。おれいなんて…。」
ライチュウ「いいえ。そのタマはでんきだまといって、絶対にあなたのお力になります。どうぞ。」
ライチュウがそういったところで、ぼくたちは現実世界にもどされた。
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ちろりん #11★2008.11/01(土)10:22
第10話の前に、今でているキャラを紹介♪

ピカタの紹介♪
分類:ピカチュウ
名前:ピカタ
性別:♂
性格:やさしく、バトルが得意。ピンチになっても相手の弱点を分析する冷静さをもっている。     

ルナの紹介♪
分類:クレセリア
名前:ルナ
性別:♀
性格:冷静で親切。悪夢のけはいを感じることができる。

ハーブの紹介♪
分類:チコリータ
名前:ハーブ
性別:♀
性格:ちょっとワガママで気が強い。ピカタのことが好き(?)

シャドーの紹介♪
分類:ダークライ
名前:シャドー
性別:♂(ほんとは性別不明だけど)
性格:世界を悪夢につつもうとしている。頭がよく、ずるがしこい。悪役。

…といった感じです。では、ひきつづきお楽しみください♪
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ちろりん #12★2008.10/28(火)20:52
−第10話−  でんきだまのちから

ライチュウ「じゃあ。わたしはこれで。」
ライチュウは去っていった。
ハーブ「ねえ、ピカタ。そのでんきだまってなんなの?」
ルナ「わたしも気になります。どういう効果があるのでしう?」
…これは、ぼくの中でも究極のワザ、ボルテッカーがつかえるようになるたま…。
でも、うまくつかいこなせないと、ボルテッカーは覚えられない。
ハーブ「ねえ、ピカタ。きいてる?」
ピカタ「…あ、ごめんごめん。」
ぼくはボルテッカーのことを話した。
ハーブ「へー…。ボルテッカーかあ…。でもさ、そのでんきだま、どうやってつかうの?」
ピカタ「このたまをもっていると、でんきのパワーがあがるだ。
ボルテッカーは10まんボルトをしながらでんこうせっかっていう感じなんだけど…。
そうとうなパワーがいるんだよ。」
ルナ「そのパワーを、でんきだまがかしてくれるんですね?」
ピカタ「うん。でも、うまくできるかなあ…。」
ハーブ「大丈夫!ピカタなら絶対にできるわよ!」
ピカタ「ほ、ほんとにそう思う?」
ぼくはハーブのほうをみた。
ハーブ「え…で、できるわよ!ピカタなら!だって…あたしのこと…たすけてくれたし…その…」
ルナ「ハーブさんのいうとおりですよ!ピカタさんならできます!」
ピカタ「ありがとう!ぼく、自信がついたよ!」
そのあと、ぼくらはぐっすりねむった。
あやしいかげが、ルナの中にはいっていったとも知らずに…。
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ちろりん #13★2008.11/01(土)17:38
−第11話−  ボルテッカー

ピカタ「うーん…まぶしいな…。」
どうやら朝になったようだ。ハーブもルナも、まだねむっている。
ピカタ「ねえ、ハーブ。おきてよー…。」 ハーブ「ふわああ…。」
ハーブはあくびをしている。
ハーブ「えー…。もうあさぁー?」 ピカタ「さて、ルナもおこすか…。」
ぼくはたちあがった。
ピカタ「ルナ。ルナってば。おきて。あさだよ。」
ルナ「…く、くるしい…。」 ピカタ「え?」
ルナ「…た、たすけてっ…くるしいっ…。」
ルナも様子がおかしい。顔があおざめている。
ピカタ「ハーブ!大変だ!ルナの様子がおかしいんだ!」
ハーブ「え!?ル、ルナ!しっかりして!」 ルナ「ハア…ハア…。」
ルナはすごくつらそうだ。
ハーブ「ねえ、ルナ、おきないよ。」 ピカタ「ひょっとして、悪夢にやられたんじゃ…。」
ハーブ「それしか考えられないわね…。」 ピカタ「よし!行くぞ!」
ぼくはルナがやっていたように、手をさすってみた。…手でいいのかな?
ピカーッ――ピンクの光がぼくたちをつつんだ。
ヒュウンン――ぼくたちは悪夢の中にすいこまれた。――ゴンッ
ハーブ「いた…っピカタ?」 ピカタ「ここにいる…」
シュドォン!
ピカタ「んげっ!またシャドーが…。」 ハーブ「んもう!ライチュウの時と同じじゃない!」
ちかくにルナがたおれていた。
ピカタ「ルナ!しっかりして!」
ルナはどうやらねむってしまったようだ。
ハーブ「よくもやったわね!つるのムチ!」 シャドー「かげぶんしん!」
シャドーの分身がいくつもあらわれた。
シャドー「シャドーボール!」
いっせいにシャドーボールがとんできた。
ハーブ「キャアーッ!」 ピカタ「ハーブ!」
ハーブはたおれたが、たちあがった。
ハーブ「ハア…ハア…よ、よくも…。」
…気だけは強い。
ピカタ「10まんボルト!」 シャドー「かげぶんしん!」
ピカタ「ど、どれがほんものだ!?」 シャドー「さいみんじゅつ!」
ぼくはかわそうとかまえたが、シャドーがねらっていたのはハーブだった。
ハーブ「うっ!」 ピカタ「しまった!」
ハーブはねむってしまった。のこったのはぼく一人…。
シャドー「あとはおまえだけだな…。さいみんじゅつ!」
シャドーの分身はまだのこっている。無数のさいみんじゅつが発射された。
ピカタ「かみなりぃー!」
ピカア――すると、ぼくのもっていたでんきだまがかがやきはじめた。
ピカタ「…もしかして。」 シャドー「ぐっ!」
さっきはなったかみなりがシャドーにあたった。
シャドー「それなら、ゆめくい!」 ピカタ「ゆ、ゆめくい!?」
シャドーはゆめくいをつかえるようになったのか!?シャドーも一応パワーアップしているんだ…。
シャドーはルナの夢をたべて回復している。…今なら!
ピカタ「…いくぞ…。ボルテッカーッ!」
ぼくはシャドーにむかって走りはじめた。シャドーはまだ夢をたべている。
ものすごい電気をだしながら、ぼくはシャドーに全力でぶつかった。
バシューン!ズガガガ――大きな音がして、ぼくたちは現実世界にもどった。
ハーブ「ピカタ!さっきのボルテッカー、すごかったよ!」
ピカタ「え、みてたの!?ハーブって寝てなかったっけ?」
ハーブ「とちゅうで目が覚めたの。それよりルナは?」
ルナはまだねむっている。でも、顔色もよくなっているし、こんどは気持ちよさそうにねむっていた。
こうしてぼくは、ボルテッカーがつかえるようになった。
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ちろりん #14★2008.10/31(金)18:13
−第12話−  パワーアップした悪夢

ルナ「う…うーん…。」
ピカタ「あ、ルナ。おきたんだね!」
ルナが目を覚ました。
ルナ「ピ…ピカタさん…助けてくれたんですね…。」
まだすこし、調子がわるそうだ。
ハーブ「アロマセラピー!」
ピカタ「いいにおい…いやされるね。」
ハーブ「どう?ルナ。調子は?」
ルナ「すこし楽になりました。ありがとうございます。…くっ!」
ルナがまた苦しそうにする。
ピカタ「ど、どうしたの?」
ルナ「あ、悪夢がっ…まただれかをねむらせた…ようです…。」
ハーブ「よし、いこう!ピカタ!」
ルナ「わたしも…いきます…!」
ピカタ「無理だよ!その体じゃ…。」
この言葉をいったとき、ぼくがハーブをたすける時の事をおもいだした。ぼくも熱があって、
体はボロボロだったけど、ハーブのために一生けんめいで、無理してでも行こうとしたんだっけ…。
今のルナも、そんな一生けんめいな気持ちなのかもしれない。
ピカタ「…わかった。」
ハーブ「えぇ!?」
ピカタ「…でも、気をつけてね。」
ルナ「はい。ありがとうございます。」
ハーブは納得していないようだが、ぼくたちは悪夢でねむってしまったポケモンのところにいそいだ。
ルナ「このポケモンのようです。」
ハーブ「…誰これ?」
ピカタ「この森ではあまりみかけないね。」
ルナ「では、いきますよ…!」
ルナは、このポケモンの頭をなではじめた。
ピカア――いつものように、ぼくたちは悪夢の中にすいこまれていった。――ゴンッ
ハーブ「いった…っ。ピカタ?」
ピカタ「ここにいる…って、このパターンは…。」
ぼくはシャドーがいないかあたりを見わたした。…どうやらシャドーはいないようだ。
ハーブ「…よかった。シャドーはいないようね。」
ルナ「ハア…ッ。」
ピカタ「ルナ。大丈夫?」
ルナ「…な、なんとか…。」
いったいルナはシャドーとのたたかいでどれほどのダメージをくらったんだろうか。一対一でたたかったんだ。
だいたいの想像はつく。ぼくたちは歩きはじめた。
ピカタ「…ここは、ハーブの悪夢の中に似ているね。」
ハーブ「…ほんと、思い出したくないわ。」
ピカタ「あっ…!あれは…!」
ぼくが落ちた谷…。ニセモノのルナにもいわれたあの谷。なんだか心が重くなってきた。
ニセルナの顔がうかんでくる。
ルナ「…ピカタさん。大丈夫ですか?」
ハーブ「なにボケっとしてんのよ。」
ピカタ「あ、ごめん。さきにすすもう。」
ゴロゴロ…ピカッ――かみなりのはげしい音。
ハーブ「くしょん!この雨つめたくない?」
ハーブもこごえている。――ヒュルルル――なにかが落ちてくる音…。
ハーブ「…なんの音?」
ピカタ「あ!」
なんと、大きな岩がルナ目がけておちてきたのだ。ルナがつぶされてしまう!
ピカタ「ルナ!あぶなーい!」
ぼくは岩が落ちる直前に、ルナをつきとばした。――ズドーン
ハーブ「ピカターッ!」
ピカタ「こ、ここにいるよ…。」
ぼくは下半身が岩のしたじきになったが、なんとか全身はつぶされなかった。
ルナ「サイコキネシス!」
ルナはサイコキネシスで岩をどけた。
ピカタ「い、いてて…。」
ルナ「つきのひかり!」
キラキラ――白い光がぼくをつつんだ。
ピカタ「ありがとう。ルナ。…ルナ?」
ルナ「…。」
ハーブ「ちょっと、ルナ。ほんとに大丈夫?」
ルナ「…あっ、大丈夫です。ちょっとめまいがしただけで…。」
ぼくたちはさらに先へと進んだ。歩いていると、ハーブがとまった。
ピカタ「どうしたの?」
ハーブ「…あのかみなり雲、ちょっとこわいなーって…。
なんか、今にもかみなりがおちてきそうな…。」
ハーブがそういった瞬間、
バリバリバリ!ドッシャーン!
ハーブ「キャアーッ!」
…かみなりがハーブにおちた。ぼくにあたるのはわかるけど(でんきねずみだから)なぜハーブに?
ピカタ「ハーブ!大丈夫?」
ハーブ「あ、あたしは大丈夫だけど…。
マヒしちゃったみたい…アロマセラピー!」
ピカタ「…なおった?」
ハーブ「うん!もう大丈夫!」
ぼくらはまた歩きはじめた。
ルナ「なんだか、悪夢がパワーアップしていると思いません?」
ピカタ「たしかに。さっきからぼくらめがけて攻撃しているみたいだし…。」
ハーブ「ねえ、あれ…なに?」
ハーブが指差すほうをみた。
ピカタ「あ、あれは…洪水!?」
たくさんの、すごい勢いの水がこっちにむかってきている。
ルナ「もう間にあいません!」
ゴゴゴ…。
ピカタ「うわあーっ!」
ぼくたちは洪水にのみこまれてしまった。
ピカタ「うぷぷ…っ、ハーブー!ルナー!大丈夫ーっ!?」
ルナ「わたしは大丈夫ですー!」
ルナの声。…ハーブは?ハーブの声が聞こえない。
ピカタ「ハーブー!…ぷはっ!ハーブー!」
ぼくは、おぼれながらも、必死にさけんだ。
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ちろりん #15★2008.11/01(土)10:25
−第13話−  レイバート

くっ…。もうだめだ…っ。ぼくがあきらめかけていると、
――バッシャーン――とつぜん水が消えた。
あれた土地には花がさきみだれ、木々の緑がよみがえる…。空も晴れわたり、空気も清んできた。
ピカタ「いったいどうなってんだ…?」
ルナ「だれかが…だれかがシャドーをたおしたようです。またもやニセモノのようでしたが…。」
ハーブ「うーん…いてて…。」
ピカタ「あ、ハーブ!よかった…無事でいてくれて…。」
ハーブ「あっ…あたしがやられちゃうワケないでしょ!?
ピカタのためなら…どこだって…ついてくんだから…。」
…急に女の子らしくなったな。ルナはシャドーがたおされたことで楽になったみたいだ。
ハーブ「あのさ、シャドーをたおした誰かって…だれ?」
ピカタ「…。」 ルナ「…。」 ハーブ「…。」
――しーん――…しずまった。
ルナ「わたしたち以外に悪夢の中にこれる人物は…。悪夢にやられたこのポケモンだわ…。
このポケモンがシャドーをたおしたんですよ。」
ピカタ「…そうとう強いね。そのポケモン。」
ハーブ「でも、あれは一体だれなんだろう…。」
?「おーい!おまえたちー!」
がらがら声がきこえてきた。
ピカタ「ひょっとして、ねむらされたポケモンかな?」
?「なあ、ききたいんだけどさ、あの黒いポケモンはたおせたのか?それと、ここはどこだ?」
紫色をした、目の赤いポケモンが話しかけてきた。
ルナ「黒いポケモンって、シャドーのことですね。」
?「あいつ、シャドーっていうのか…。」
ルナ「あのシャドーはニセモノです。」
?「な、なんだと!おまえ、おれのことからかってるのか!?」
ピカタ「からかってなんかないよ。」
ハーブ「らんぼうなポケモンね…。名前は?」
?「おれ、ゲンガーのレイバート。」
ハーブ「長ったらしい名前。」
レイバート「だったらすきなふうによべばいいだろ!」
レイバートがさらに目を赤くしてさけんだ。
ハーブ「じゃあね…。レイってよばせてもらうわ。」
ルナ「ここはあなたの夢の中です。」
ルナがそういった瞬間、ぼくたちは現実世界にもどされた。
現実世界にもどったぼくたちは、レイに、これまでの事を話した。
レイ「へー…。じゃあ、おまえたちといれば、シャドーにまた会えるんだな?」
ハーブ「そのシャドーが本物かどうかは知らないけどね。」
レイ「おまえってなんかイラッとくるなー…。」
ピカタ「それじゃあ、レイもシャドーをたおすのに協力してくれるの?」
レイ「いや。おまえたちにはたよらないぜ。…おれはアイツをゆるせねえ…。絶対この手で復しゅうしてやる!」
そういうと、レイは走り去ってしまった。
ハーブ「…変なヤツね。」
ピカタ「ねえ、ルナ。これからどうする?なにか感じる?」
ルナ「…いいえ。なにも感じません。」
ハーブ「なにも感じないんじゃ、やることがないわね…。」
ぼくはレイのことが気になっていた。
「この手で絶対複しゅうしてやる…」って、明らかになにかあったにちがいない。
…シャドーに大切な人をねむらされたのか?レイは悲しい思いをしたのかな?
…なんだかレイにはひみつがある気がする。ぼくは、ひそかにそう感じていた。
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ちろりん #16★2008.11/01(土)10:27
−第14話−  ピカタとレイバート

夜になった。…昨日の夜はねむれなかったのか、ルナとハーブはぐっすりとねむっている。
ぼくもねたいけれど、なんだかレイのことが気になってしかたがない。
?「ぐおおーっ!」
…すごい声がきこえた。…なんだかレイの声に似ていたな。
…だめだ。もうがまんできない。
ぼくはレイに会いたくて葉っぱのふとんをとびだし、声のする方へ走った。
ピカタ「おかしいな。たしかにこの辺で声がしたのに…。」
?「ちくしょーっ!」
またあの声。やっぱりあれはレイの声だ。ぼくはスピードをあげた。
ピカタ「あっ、レイ!」
ぼくはレイを発見した。
レイ「…なんだよ。」
ピカタ「…いや、なんとなく…会いたくてさ。」
レイ「…おれはねるぜ。」
そういって、レイはねてしまった。
レイ「く、くそーっ!」
が、レイは一分もしないうちに声をあげてとびおきた。
ピカタ「ど、どうしたの!?」
レイ「ハア…ハア…。」
…いったいどうしたんだろう…。
ピカタ「ねえ、ほんとにどうしたの?ぼくでよければ話をきくよ?」
レイ「…おまえにはなしたって、…意味ねーよ。」
レイはなかなか心をひらいてくれない。…しかたない、今日のところはもどろうかな。
ピカタ「さて、あしたもシャドーをたおしにいくかもしれないし、そろそろい…」
レイ「ま、まった!今、シャドーっていったよな?」
ピカタ「いったけど?どうかしたの?」
レイ「おまえらも、シャドーをたおすために?」
ピカタ「そう。そのために、悪夢にやられないポケモンを五人さがしているんだ。
今、三人そらってるから、あと二人。」
レイ「…おれの仲間、全員シャドーにやられたんだ。」
レイがぼそっといった。…なにか話が聞けそうなふんいき。ぼくはレイのよこにすわった。
レイ「…だから、だからおれは、シャドーに復しゅうするためにシャドーを追っているんだ。」
レイの目に、かすかに涙がうかんでいる。
ピカタ「…わかるよ。その気持ち。」
レイ「…え?」
ピカタ「ぼくも、大切な友達を失いかけたことがあるよ…。」
ぼくは、ハーブが悪夢にやられたときの事を話した。そのときは絶望的だったこと、
全力でシャドーにたちむかったこと…。そのときのすべての気持ちを、レイにはなした。
ピカタ「…レイも、悲しい思いをしているんだね…。」
レイ「なあ、…おれ、おまえたちに協力するよ。」
ピカタ「レイ!ありがとう!」
ぼくが笑顔をみせると、レイもすこし笑った。ちょっとうれしそうだ。
?「キャアーッ!」
その時、事件はおきた。
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ちろりん #17★2008.11/01(土)10:15
ピカタ「い、いまのはハーブの声!」
レイ「なにかあったのか!?」
ピカタ「いってみよう!」
ぼくとレイはハーブのところへいそいだ。
レイ「な、なんだこれは!」
ピカタ「ひ、ひどい…。」
ポケモンたちがきずだらけでぐったりとしている。
ピカタ「ねえ、みんな!おきて!なにがあったの!?」
レイ「おい!おきろってば!」
…みんなおきない。あ、まえ会ったライチュウだ。
ピカタ「ねえ、ライチュウ!おきて!なにがあったの!?」
…まさか、みんなシャドーにやられたんじゃ…。でも、ここは夢の中ではない。
現実世界だ。…と、いうことは?…本物のシャドー!?本物のシャドーがきたのか!?
ぼくはレイに思ったことを話し、ハーブのもとへいそいだ。
ピカタ「あっ!ハーブ!しっかりして!」
ハーブはきずだらけでねていた。
ハーブ「ピ…カ…タ…っ…。」
ピカタ「ハーブ!しっかりしろ!ハーブ!」
レイ「そうだ!ピカタ!これをたべさせろ!」
レイがそういってわたしたのは青い実だった。
ピカタ「これは…オレンの実だ!ハーブ!くちをあけて…。」
ハーブ「ピ…ピカタ…!シャドーが…!本物のシャドーがきたのよ…!す、すごいパワーだったわ…。」
ピカタ「そうだ!ルナは!?」
ぼくはルナの方をみた。…ねむっている。
ハーブ「悪夢に…やられたのよ…。」
ピカタ「くそっ、なぜルナばかりねらうんだ…。よし、いくぞ…。」
レイ「まった!おれもつれていってくれ!」
レイがそういった瞬間、ぼくたちは夢の中にすいこまれた。――ゴンッ
ピカタ「いてて…。」
レイ「うわ!ピ、ピカタ、前!」
シャドー「ワハハ…。」
なんと、目の前にはたくさんのシャドーが!
ピカタ「たたかうしかない…いくぞ!」
レイ「シャドークロー!」
シュン シュン シュン――ものすごいスピードでレイがシャドーを切りさいていく。
ピカタ「やったか…?」
ところが、シャドーがまたたくさんあらわれた。
ピカタ「10まんボルトー!」
レイ「はかいこうせん!」
ズドドーン――何回やってもおなじだ。シャドーは何度も復活してくる。
レイ「くっ…どうすりゃいいんだ!」
シャドー「シャドーボール!」
無数のシャドーボールがとんできた。
ピカタ「かみなりぃーっ!」
ぼくはかみなりでシャドーボールをすべてはかいした。でも、もう息がきれてきた…。
ワザをたくさんだして、つかれてきたのだ。
ピカタ「こうなったら…ひっさつのボルテッカーで…うっ!」
レイ「ピ、ピカタ!大丈夫か!?」
ピカタ「ぼくのことはかまわないで…レイは…シャドーを…。」
すると、レイがこうふんしはじめた。赤い目がさらに赤くなり、いかりをあらわしている。
レイ「シャドー…おまえだけは…絶対に…ゆるせねえ!」
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ちろりん #18★2008.10/28(火)20:57
レイ「シャ、シャドー…。おまえはおれの大切な友達を…みんなボコボコにしやがって…。
おまえを!命をかけてでも!このおれがたおしてやる!」
い、いのちをかけて…だって!?
ピカタ「おちつけ!レイ!こいつらはニセモノだ!」
レイ「う お お お お ー ー ー ! ! ! !」
レイは、はかいこうせんをためはじめた。…な、なんだ!?
はかいこうせんのため方がふつうじゃない!レイの体より大きなはかいこうせんのため方をしている!
…や、やばい!こんなのをはっしゃさせたら、ぼくもまきこまれてしまうし、
レイだって無事じゃすまない!本当に命をかける気なのか!?
ピカタ「レ、レイ!おちつくんだ!このシャドーはニセ…。」
レイ「シャドーなんか…これでおわりだーっ!」
ピカタ「や、やめろー!」
ぼくは、レイがはかいこうせんをはっしゃさせる直前にレイにでんこうせっかをした。
レイはでんこうせっかにより、ためていたはかいこうせんがだいぶ弱まった。
でも、はかいこうせんは、とまったわけではなかった。
ズギューン――はかいこうせんがはっしゃされた。…ぼくは、…ぼくは運悪く、レイの目の前にいた。
ピカタ「う あ あ あ ー ー ー! ! ! !」
レイ「ピ、ピカタ!」
バタッ――体がうごかない。…目の前も、ひどくぼやけている。
いしきだって、
今いも失いそうだ…。レイの目の光がきえた。レイがかけよってきた。
レイ「ピカタ!…おれのことを気にして…。ばかやろう!なんでとめたんだよ!
おれのことなんか…おれのことなんか…。」
レイの目から涙がながれた。レイはぼくのことを強くだきしめている。
ピカタ「レ…ィ…。死な…なぃ…で…。」
レイ「ピカタ!死ぬなーっ!死なないでくれーっ!」
シャドー「これで、おわりだあー!」
…無数のシャドーボール。レイはぼくのことをだいて…か…わ…し…た…っ。
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ちろりん #19★2008.10/28(火)20:58
−第15話−  友情パワー

レイ「おぃ…ピ…タ…しっか…しろ!」
レイの言葉がとぎれとぎれに聞こえてくる。ぼくは、もう言葉さえしゃべれない状態になっていた。
シャドー「さいみんじゅつ!」
シュドン シュドン シュドン――さいみんじゅつがはっしゃされた音がきこえた。
レイ「くそ…シャドークロー!サイコキネシス!」
レイは、シャドークローでさいみんじゅつをけすと、サイコキネシスでシャドーたちをビュンビュンとばした。
レイ「あれ…シャドーたちが復活しなくなったぞ…?」
ビカアーッ――まっくろな光があらわれた。
シャドー「わたしこそが…本物のシャドーだーっ!」
バヒューン――光が消えた。
レイ「おまえが…本物の…シャドー…。」
や、やばい―またレイの目がひかりだしそうだ!
こんどこそ、命をかけるにきまってる!…あれ?レイの目はひかっていなかった。
レイ「おれが命をかけたら…ピカタはどうなるんだ…。おれがいなくなったら…。
ピカタは悲しい思いをすることになるんだ…。」
レイ…。ぼくのこと、思ってくれてるんだね…。
ピカタ「レ…ィ…。ありが…とぅ…。」
レイ「ピカタ…!?ピカター ー ー ! ! ! !」
そのとき、ぼくたちの体が急にかがやきだした。ふしぎなことに、ぼくの体のきずはきえ、
だんだん目もみえるようになってきた。
ピカタ「ど、どうなってるんだ…?」
レイ「ピ…ピカタ…。」
レイのなみだ声がきこえた。ぼくはレイの方をふりむいた。
レイ「ピカター ー ー ー ー ー ! ! ! !」
がしっ――
ピカタ「…!?」
レイはぼくに力いっぱいだきついた。
ピカタ「…レイ!?…どうしちゃったの!?」
レイ「よかった…よかった… … …おまえが… … … … … いきててくれて…。」
ピカタ「… … …。」
レイ「… … …。」
レイは、ぼくのこと、すごく思ってくれた。レイにとって、ぼくが一番の友達だったから。
心の中にしまいこんでいた、レイのにくしみやいかりが、今、やさしさという名の感情にかわったのだろう…。
ぼくたちは、だきあった。ぼくたちは、泣いた。おたがいのことを、
信じて、仲良くなって、一緒にたたかって…。
ぼくたちは、いつのまにか、一番の親友になっていたんだ。友情って、こんなにすばらしいものなんだね…。
シャドー「なにをしている!おあそびはもうおしまいだ!」
シャドーがどなった。ぼくたちは涙をぬぐい、たたかうたいせいになった。
シャドー「ふっ、さっきルナをたおした。おまえたちも悪夢につつまれるがいい!さいみんじゅつ!」
ズギューン!
さすがは本物のシャドー、パワーがちがう。
レイ「心配すんな。ピカタ。」
ピカタ「わかってる。ぼくたちならできる!」
ぼくたちはさいみんじゅつをかわすと、おたがいのひっさつワザをくりだした。
レイ「はかいこうせん!」
ピカタ「ボルテッカー!」
シャドー「むだだ!シャドーボール!」
シャドーはシャドーボールをくりだしたが、ぼくたちのパワーにはかなわなかった。
シャドー「く、くそっ!おれは…絶対にふっかつす…ぐわあ!」
シャドーはきえた。
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ちろりん #20★2008.11/01(土)19:35
−第16話−  ルナのひみつ

ぼくたちは現実世界にもどった。
ハーブ「ピカタ!」 ルナ「ピカタさん!」
ハーブたちがむかえてくれた。
ピカタ「わわっ!どうしたの?二人とも…。」
ハーブ「ピカタたち、本物のシャドーをたおしたんでしょ?さっき、ルナが感じとったの。」
レイ「…ど、どうなってるんだ!?」
レイがおどろいた声でいった。
ピカタ「どうしたの?」
レイ「ポケモンたちが…ポケモンたちがねむったままだ!」
ルナ「えぇっ!?」 ピカタ「そんなぁ!どうして!?」 ハーブ「どうなってるのよ!」
みんなパニック状態だ。ぼくは冷静になって考える。
ピカタ「そういえば、シャドーがきえるとき、『おれはかならず復活する…』っていいかけてたよ!」
ルナ「シャドーはそうかんたんには消えないでしょう…。きっとまだ生きています。」
ピカタ「そ、そんな…。」
ハーブ「はやくシャドーをみつけてぶっとばさなくちゃ!」 ルナ「…ふぅっ…。」
?――今、ルナが悲しそうな顔をした…。…気のせいかな?
ルナ「…あっ!本物のシャドーがこのちかくにいます!」
レイ「よし!みんなで手分けしてさがすぞ!」 ハーブ「オーッ!」
レイとハーブは行ってしまった。ぼくも行こうとした。でも、ルナが動かなかったので、声をかけた。
ピカタ「ルナ。どうかしたの?」 ルナ「…。」 ピカタ「ねえ、ルナ?」
ルナ「…あっ、いえ、なんでもないんです。さあ、シャドーをさがしましょう。」
ルナは行ってしまった。…あやしい。なにかかくしているな。
そうにらんだぼくは、ルナのあとを追うことにした。ルナがやってきたのは、
森の一番おくにある湖だった。ルナは水面にうつる自分の顔をすこしの間ながめてから、水をのみはじめた。
のどがかわいていたのだろうか。
ルナ「…ぐすっ…。」 ピカタ「!?」
…ルナが…!…泣いてる…!なにかあったのかな…。
ルナ「…わたしって…ひどい女だわ…。」
ひどい女?どういう意味だろう…。ルナはいつでもやさしかったし…。べつにひどいところなんて全くない。
ルナ「わたしなんて…消えるべきよ…。」
ル、ルナが…消えるべき…だってぇ!?
ルナ「わたしも…」
そのとき、ぼくは…とんでもない言葉をきいてしまった。
ルナ「わたしも…シャドーと手をくんでいたのだから。」 ピカタ「!?」
ルナ「わたしは、シャドーから、悪夢がかけられる力をもらった。きっと、その力が今も生きているんだわ。
だから、シャドーが消えても、わたしがいるから、ポケモンたちがねむったままなのよ!
あのとき、なぜシャドーなんかと手をくんだの…。自分が…信じられない…。」
ぼくだって、信じられなかった。ルナが、シャドーと手をくんでいたなんて…。うそだ!うそだよ!そんなの…。
ぼくは、がまんができなくなって、ついにルナに声をかけようとした。
ハーブ「アロマセラピー!」 ピカタ「えっ?」
レイ「…あっ!おきたぞ!よかったー…。」 ピカタ「…な、なんのこと…?」
ルナ「ピカタさんがずっとねたままで、悪夢にうなされていたんです…。でも、おきてくれて、本当によかった…。」
あ、あくむ…!?じゃあ、ルナがシャドーと手をくんでいたっていうのは…夢?
レイ「本物のシャドーはたおしたんだけど、シャドーは生命力がつよいらしいぜ。
またすぐに復活するだろうって。ルナが言ってたぜ。」
ルナ「はい。でも、ピカタさんたちが深いきずをつくったみたいで、シャドーも、すぐには活動できないでしょう。」
ピカタ「よ、よかった…。」
ハーブ「でも、ねたままのポケモンたちはずっとそのまま。…はやくシャドーをたおさなくちゃね!」
レイ「おう!」 ルナ「はい!」
…シャドーが、ぼくに悪夢をみせた。今までより、ずっとこわかった…。
この悪夢のことは、ルナにも、ハーブにも、大親友のレイにさえも言えなかった。
おそろしすぎて、言葉にすることもできない。ぼくは、自分の身に、
これからふりそそぐ悪夢にまったく気づいていなかった。
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ちろりん #21★2008.11/01(土)17:34
−第17話−  信じるのがこわい

レイ「なあ、おもったんだけどさ。
シャドーがダウンしている間に、きのみとか、準備をしておかねーか?
おれ、体力を回復するオレンの実の場所とか知ってるぜ?」
ハーブ「へえー…。レイにしてはさえてるじゃない?」
レイ「なんだとー!?」
ルナ「決まりですね!…ピカタさん?どうかしました?」
ピカタ「なんでもない…よ…。」
もし、これがまた悪夢だったら…。もし、ルナが本当にシャドーと手をくんでいたとしたら…。
そんな不安が、ぼくの頭をよぎっていく。
レイ「つーいた!ここだぜ!」 ハーブ「うわあ!ほんとだ!いっぱい実ってるね!」
ルナ「さっそく収かくしましょう!」 ハーブ「そのまえに一口。うーん♪おいしいー♪」
レイ「あっ!ずるいぞ!おれにもくわせろ!」
いつもの会話。いつもの笑顔。でも、なにかがちがう。そんな気がする。ぼくは、不安で不安でたまらなかった。
ハーブ「はい。ピカタも。」 ピカタ「いらないよ!こんなもの!」
ばしっ――ぼくはオレンの実をはたきおとした。
ハーブ「…ピカタ!?」 レイ「…どうしたんだよ!おまえ…。」
ルナ「なにかあったんですか?」 ピカタ「うるさい!ぼくにかまうな!」
ハーブが信じられないという表情を見せている。
ハーブ「ピカタ…ほんとにどうしちゃった…」
ピカタ「ぼくにかまうな!みんななんて…。みんななんて、もう知らない!」
ぼくは走ってその場からはなれた。…みんな、追いかけてはこなかった。ぼくは、森の一番おくの湖にいった。
ピカタ「ハア…ハア…ハア…。」
ぼく、…みんなを、仲間を…信じられなくなっちゃったんだ。あのおそろしい悪夢のせいで…。
これは、悪夢でも、夢でもない。…現実なんだ。それはわかっていたのに…。
…信じるのがこわい…。すごく信頼していたのに、うらぎられたとしたら…。
仲間だとおもってたのに、敵だったとしたら…。そのときのショックは、言葉ではいいあらわせない。
心に、深いきずがつくだろう。
レイ「やっぱり!ここにいたんだな!」 ルナ「ピカタさん…。」 ハーブ「…。」
ハーブはただ、泣いていた。
ピカタ「…。」
ぼくたちは、しばらく見つめあっていた。
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ちろりん #22★2008.11/01(土)19:25
−第18話−  ピカタ暴走  信じる心

ばく ばく ばく ばく…心臓が、音をたてはじめる。ハーブたちなんか信じるな!
…まるで、そういっているように。
ハーブ「ピカタ!…どうしちゃったのよ!」
ハーブがさけぶ。ハーブたちは仲間…敵なんかじゃない…。ハーブたちを…信じるんだ…!
そう念じ続ける。すると、シャドーの声が聞こえた。
シャドー「ピカタ…そいつらは敵だ!ルナはおまえをうらぎるつもりだ。
ルナたちは、おまえにとって、…最大の敵だ!」
ピカタ「ルナたちが…最大の…敵…!?」 レイ「ピカタ!目をさませ!しっかりしろ!」
ルナ「いったいどうしちゃったんですか!?いつものピカタさんじゃないです!」
ピカタ「ル…ルナを…た お す…。」
急に胸がいたくなってきた。今にもたおれそうだ…。くるしい…。ぼくは、いしきがぶっとんだ気がした。
ハーブ「ピカタ!おねがい!しっかりして!」
ピカタ「おまえなんか。」 ハーブ「えっ?」
ピカタ「おまえなんかしらない。今すぐたおす!」 ルナ「!?」
ピカタ「10まんボルトーッ!」 ハーブ「いやあ!」 シャドー「ふふふ…。」
ルナ「!?…今、シャドーの声がしたような…。」
…く、くるしい…。な、なんか…。…体がかってに動いているような…。そんな感じがする…。
ピカタ「かみなりぃーっ!」
ズドーン!
ルナ「きゃあ!」 レイ「ぐはっ!」 ハーブ「いやーっ!」
三人のひめいがきこえた。なにがあったのか全くわからない。
シャドー「ふふふ…どうだ?ピカタ。気分の方は…?」
こ、この声は…シャドー!?ど、どこにいるんだ…!?あたりは一面真っ暗だ…。
シャドーの姿は見えない。
シャドー「おれは…おまえをのっとった!」
ピカタ「ぼくを…のっとったぁ!?…どうやって?」
シャドー「おまえはおれがみせた悪夢により、信頼を失った。うたがいの心がうまれたのだ。」
ピカタ「うたがいの…心…。」
シャドー「おれはそれを利用して、おまえをのっとった。」
ピカタ「ちがう!ぼくはみんなを信じてるよ!」
シャドー「ほう…。じゃあ、もしルナが本当に敵だったら…?」
ピカタ「…そ、…それは…。ぜ、ぜったいにちがう!そんなのうそだよ!」
シャドーはにやりとわらった。
シャドー「今、とまどっただろう?」 ピカタ「くっ…。」
ぼくは、レイと協力してときのことをおもいだしていた。レイは、泣いてまでぼくのことを思っていてくれた。
そんな仲間が、ぼくは信じられないというのか!?…ぼくは…ぼくは…。
ピカタ「仲間をしんじるんだー ー ー! ! !」
ピカアーッ――光がふりそそいだ。
シャドー「ぐはあっ!」
…あ。…まわりはみどりの森にもどっていた。ルナたちがたおれている。
ぼくの体にはきずひとつついていない。シャドーは、ぼくの体でルナたちをたおしていたのか…。
ピカタ「ルナ!ハーブ!レイ!しっかりして!ぼく…ぼく…。」
ルナ「やっぱり。」 ピカタ「え?」
ルナ「やっぱりあれはシャドーだったんですね…。」 ピカタ「ええ?」
ルナ「だって、ピカタさんがわたしたちに、あんなこというはずないんですもの…。」
ハーブ「そう…。あたしも、ピカタのこと、…信じていたわ。」
レイ「ピカタ…。これからも…いっしょだぜ…。」
なんでだろ。…目の前が…くもってる…。ぼく…。泣いてるのかな…。
なんだか…。自然に涙がこぼれてくるよ…。ルナたち、ぼくにギタギタにされても、
最後まで、こんなぼくを…信じてくれているなんて…。
ピカタ「ルナ。ハーブ。レイ。…ありがとう。ぼく、ばかだよ。
こんなにやさしい仲間を…うたがっていたなんて…。みんな…これからも、いっしょだよ…。」
みんな、だまってうなずいていた。みんなの瞳は、キラキラ輝いているように見えた。
…みんな。本当に、本当にありがとう。こんなぼくを、信じてくれて。
だから、ぼくも、みんなを信じるよ。…ずっと。ずっと。
こうしてぼくは、「信じる」ということをおぼえた。みんなと信頼をふかめ、ぼくは、さらに次へと進む。
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ちろりん #23★2008.11/02(日)14:21
−第19話−  追っ手

ピカタ「はい。三人とも。オレンの実だよ。」
ぼくは三個のオレンの実を、三人にわたした。三人は、ちょっとずつ、実をかじっている。
ハーブ「でも、よかった。ピカタがふつうにもどってくれて。」 ピカタ「え?」
レイ「ほんとだぜ。ピカタがいないと、おれ、いきていけないもんな。」
ルナ「わたしも。いつものやさしいピカタさんが一番です。」
ぼくの心があったかくなっていく。また、涙がこぼれそうになった。
ピカタ「みんな、ぼくのこと、そんなに大切に思ってくれているんだね…。」
ハーブ「んもう、泣かないで。あたりまえじゃない。ピカタはあたしたちの…仲間なんだから。」
ピカタ「… … …仲間。」
レイ「ったく、男らしくないぞ!泣くな!ピカタ!」
ルナ「またはじまりましたね。いつもの会話が…。」
ルナもわらって楽しそうにその様子をみている。ぼくは、涙をぬぐった。でも、ルナは、急に悲しい顔をした。
ルナ「…でも、こうして楽しく笑っていられなくなりましたね…。」
ハーブ「…そうね。ポケモンたちがねむったまま。この森で起きているのは、あたしたちだけかも…。」
ハーブが悲しそうな顔をした。
ピカタ「だからぼくたち、がんばってるんじゃないか!
みんなをまた起こすために、この美しい時間を悪夢から守るために、ぼくたちはたたかっているんだよ。」
レイ「ピカタのいうとおりだぜ!おれたちどうかしてたな。」
ルナ「これからもがんばりましょう!」 ハーブ「うん!」
みんな、元気をとりもどした。
?「まてぃ!あきらめるんだ!」 ?「ほんとにたおしちゃうわよ!」
?「そろそろ限界だろ?」
ダ ダ ダ ダ ダ――はげしい足音とともに、いろんなポケモンのさけび声がきこえる。
ピカタ「な、なんだろう…?」 ハーブ「なにか、おいかけてるみたい…。」
ダ ダ ダ ダ ダ――しーん… …。足音が消えた。どうやら遠ざかっていったようだ。
レイ「な、なんだったんだ…?」 ハーブ「ねぇ、行ってみましょうよ!」
一番好奇心をもっているハーブが言った。
レイ「…そうだな。ひまだし。いっか。いこうぜ!」
やることがないため、ルナも賛成した。ぼくたちは、足音のする方へ走っていった。
ルナ「あ、あれは…!」
そこには、ピンク色をした、しっぽの長いポケモンが、きずだらけでよこたわっていた。
ピカタ「き、きみ!どうしたの?しっかりして!」
?「し…しぶといやつら…っ!こうしてやる!」
そのポケモンはふわりとうかぶと、こうげきをしようとした。が、ダメージが大きいらしく、すぐにたおれてしまった。
?「なんだ…追っ手のポケモンじゃなかったのね…。」
ルナ「しっかりしてください!つきのひかり!」 ピカタ「ぼくはオレンの実を…。」
そのポケモンは、オレンの実をかじりはじめた。
ピカタ「ところできみ、なんていう名前?」 ?「あたし、ミュウのベリーよ。」
ハーブ「ベリーかぁ…かわいい名前ね。」
ぼくたちは、いままでのことをすべて話した。
ベリー「それなら、あたしももってるよ。その能力。」 一同「えぇっ!?」
ベリー「それであたし、シャドーの手下に追われているの。」
レイ「それでさっきたおれていたのか…。」
ベリー「うん。あたし、あなたたちに協力するわ。」 ルナ「ありがとうございます!」
?「あっ、いたぞ!」 ?「仲間がふえたわね…。」
ベリーの表情が変わる。
ベリー「追っ手がきたみたいね…。」
ぼくたちは一歩、前にでた。
ピカタ「ベリー、ぼくたちも協力するよ!」 ベリー「ありがとう!」
ぼくたちではとてもかなわない、すごいバトルが、今、はじまろうとしていた…。
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ちろりん #24★2008.11/01(土)14:59
−第20話−  最強ベリー

ぼくたちは、今、追っ手のポケモンたちとにらみあいをしている。
しばらくして、追っ手のポケモンたちは、自分の名前を名のりはじめた。
?「おれはヘルガーのフィル。シャドーさまの命令で、ベリーをたおしにきた。」
?「…おれもヘルガー。…名前はクール。」 ハーブ「あんまりクールじゃないじゃん。」
クール「… … …。」 ?「…あたいはニャルマーのウィン。」
ハーブ「…へんな名前。」 ウィン「うるさいわね!」
ウィンはいかりの顔をみせたが、ハーブはあまりこわがっていないようだ。
フィル「さてと、そろそろべリーをかたずけるか。」
ウィン「あんたみたいなおくびょうものが、なぜたおせなかったのかふしぎなくらいよ。」
ベリー「今のあたしはおくびょうものなんかじゃない!」
ベリーが精一杯さけんだ。
クール「…なんか、強気になったな…。さっきまでは、泣きながらとんでいたのに…な…。」
ベリーはにやりと笑った。ハーブがふしぎそうな顔をしている。
ベリー「今のあたしは無敵よ!だって…仲間がいるんだもの!」
ウィン「あんたの仲間なんて、一発でたおせるわ!フィル!クール!」
フィルとクールが一歩、前にでた。
フィル「かえんほうしゃ!」 クール「…かえんほうしゃ。」
二匹の真っ赤なかえんほうしゃがこっちにとんでくる。
ピカタ「かみなりぃー!」 レイ「はかいこうせん!」 ハーブ「はっぱカッター!」
…でも、ぼくらのこうげきは、かえんほうしゃにかきけされてしまった。
ピカタ「つ、つよい…!」
そう思ったときには、もうおそかった。
ピカタ「うわあ!」
ぼくたちはかえんほうしゃをまともにくらった。
ハーブ「も、もうだめ…。」 レイ「ハーブにはこうかがばつぐんだからな…。」
ルナ「つきのひかり!」
ルナがだした白い光で、ハーブのきずがきえていった。
ハーブ「…ありがと、ルナ。」 ベリー「ねえ、ピカタたち、ここはあたしにまかせて。」
ピカタ「で、でも…。」 ベリー「まあ、みててよ!」
ベリーはふわりとうくと、ウィンたちにちかずいていった。
ウィン「…ふふふ。ばかね。自分からやられにくるなんて。」
ベリー「やられるのはそっちのほうよ!」
すると、フィルとクールもベリーに向かっていく。
フィル「かえんほうしゃ!」 クール「…あくのはどう。」
ウィン「シャドークロー!」 ピカタ「あんなのをまともにくらったら…!」
ベリー「サイコキネシス!」
ベリーの体が水色に光った。
ウィン「ぎゃあ!」 フィル「ぐはっ!」 クール「…。」
三匹は地面に強くたたきつけられた。…そして、動かなくなった。
ルナ「…体力がなくなったのでしょう。」 ピカタ「…い、いまの、すごかった…。」
レイ「なあ、なんであんなに強いのに、ギタギタにやられちまったんだ?」
ベリー「…わたしがああいう力をだせるのは、仲間がいるときなの。
にげてるときは、仲間がいなかったから、すごく心ぼそくて…。」
レイ「…仲間。か。」
レイがすこし悲しそうな顔をした。…ちょっとかわいそう。
ハーブ「…仲間って…あたしたちのこと?」
ベリーは笑った。
ベリー「うん!」
そして、みんな笑顔になった。新たな仲間をくわえて、ぼくたちはさらに先へと進む。
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ちろりん #25★2008.11/01(土)19:33
−第21話−  レイの過去

…夜になった。ぼくたちは、はっぱのふとんにうずくまっていた。
ヒュ ル ル ル ル――冷たい風がふく。
ハーブ「…ううっ、寒いね…。」 ベリー「ほんと。風邪をひきそう。」
ルナ「…ほんとに寒いですね。今夜はいちだんと冷えています。」
…そういえば、さっきからレイがぜんぜんしゃべっていない。
ピカタ「ねえ、レイは寒くないの?」
レイ「…こんなに寒い夜…もうすっかり慣れているさ。」
レイがどこかさびしそうに言う。
ベリー「そういえば、レイ。元気ないわね。どうかしたの?」 ルナ「わたしもそう思います。どうしましたか?」
レイ「…いつかは話そうと思っていたんだ…この事を…。」 ベリー「この事…?ハーブ、知ってる?」
ハーブ「ううん、あたしも知らない。はじめて聞くよ。」
…ぼくは、聞いたことがある。レイのことが気になって、ふとんをとびだした夜。
レイは、シャドーに仲間をたおされてしまった。
だから、レイはシャドーに復習するために、シャドーを追っているんだ…と。
レイ「おれの仲間は、…みんなシャドーにやられちまった…。」
…みんな下を向いた。
レイ「だからおれは、シャドーに復習するためにシャドーを追ってるんだ。
…こういう寒い夜、毎晩仲間といっしょにすごしたっけ…。…だから、寒い夜は、悲しくなる。」
ベリー「あたしは…仲間ってもったことがないから…。その気持ち、わかんないかもしれないけど…。
でも、仲間がいないと…悲しいわよね。」
うまく言えてないけれど、ベリーはレイをはげまそうとしている。
レイ「…だから、おれ、仲間がいなくなる気持ち、よくわかるんだ。
…だから、ピカタたちがいなくなったら…。また、同じ気持ちをあじわうことになる。…だから。」
ハーブ「大丈夫よ!あたしたちはいなくならないから!これからも、ずっといっしょよ!」
ベリー「そうよ!あたしたちは仲間、でしょ?」 ルナ「みなさんの意見に賛成です!」
ピカタ「レイ!その気持ちをシャドーにぶつけてやれ!」
レイは涙をながしながらも、笑顔になって、みんなと手をつないだ。
レイ「みんな…!サンキュー!」
ぼくたちと、レイがまえまでつきあっていた仲間とは、ぜんぜんちがうかもしれないけど、
でも、レイは、すこしだけ気が楽になったようだ。
最近、信じるとか、友情とか、ぼくたちは日に日に成長している気がする。
シャドーは強いけれど、みんながおたがいに支えあっているおかげで、
ぼくたちは今、ここにいるのだろう。
ピカタ「よーし!あしたもがんばるぞー!」 一同「オーッ!」
ぼくたちは、明日、とんでもない悪夢の中にはいるともしらずに、ぐっすりねむったのであった。
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ちろりん #26★2008.11/02(日)14:24
−第22話−  一人

ピカタ「うーん…。」
…体があったかい。…太陽の光だろうか。…と、いうことは…もう朝かぁ…。
ピカタ「ふわあぁ…。」
大きなあくび、ひとつ。みんなはまだ寝ているようだ。
ルナ「ぐはっ!」 ピカタ「うわぁ!」
いきなりルナがさけぶから、びっくりしちゃった…。…あれ、でも、どうしたんだ?
ピカタ「ルナ?ルナってば。どうしたの?」
なにやらルナはハアハア言っている。ぼくはおでこをさわってみた。
ピカタ「…ひどい熱だ!みんな、おきて!」
ぼくはみんなを起こした。そして、ルナのことを話した。
ハーブ「ふわあぁ…おっと、いけない…。それならあたしにまかせて!アロマセラピー!」
ハーブが得意のアロマセラピーをくりだした。
ベリー「いいにおい…。」 レイ「ねむけがふっとぶぜ!」
みんな、目が覚めたようだ。
ピカタ「あれ、まだ熱いよ!」 ハーブ「おかしいわね…。まさか、悪夢にやられてるか…!?」
え!?…またルナに!?
なぜシャドーはルナばかりおそうんだ?…気になるなぁ。
ハーブ「ねえ、ピカタ。はやくはいりましょ。」 レイ「そうだな。」
ベリー「え!?はいるって…悪夢の中に!?」
ピカタ「ベリーは悪夢の中にはいるのは、初めてだもんね。」
レイ「なーに。大丈夫さ。みんなで力をあわせれば。」
ピカタ「レイの言うとおりだよ。さあ、いこう!」
ぼくたちは悪夢の中にすいこまれていった。
光がはれた――ゴンッ――
ピカタ「いてて…。」
ぼくはあたりをみわたした。…どうやらどうくつの中のようだ。
でも、そんなに暗くない。むしろ明るい。…なぜ明るいのかは知らないけれど。
ピカタ「レイたち、どうする?」
…。…あれ?返事がない。…レイたちが…いない…。
どうやら、ぼくたちは別々の場所にとばされたようだ。
ここでとまっていてもしかたがない。みんなと会うために、ぼくは歩きだした。
ド ド ド ド――なにやらはげしく、大きな音がしている。
ピカタ「…川だ。」
なんと、どうくつの中に川があった。しかも、滝がすぐそこにある。
ピカタ「ど、どうやってわたろう…。…こんなとき、ルナのサイコキネシスがあればな…。」
仲間がいないと不便なときもある。
ピカタ「しかたない!やってみるか!」
ぼくは、勢いをつけると、こうそくいどうでいっきにはしった。
この勢いで、川をとびこえようと思った。
ピカタ「よし!いける!…あっ!」
あとすこしのところで足をすべらせてしまった。
ぼくは、冷たく、激しい川に、流されてしまった。
ピカタ「… … … …あ。」
がばっ――ぼくはとびおきた。
ピカタ「よかった…生きてた…。」
ド ド ド ド ド――滝は、すぐそこにあった。音がうるさい。ぼくは、先にすすんだ。
明かりが見えてきた。
ピカタ「…出口だ!」
ぼくは、走った。すると、おおきなトビラがあった。
ピカタ「なんだろう…?」
ぼくは、トビラをおした。…だが、なかなかひらいてくれない。…それなら!
ぼくは、さっきのように勢いをつけると、トビラにおもいっきりたいあたりした。――ゴガーン!
ピカタ「いったーっ!」
すごく痛かったけど、トビラはひらいた。…よし、先に進もう。
すると、大きなドームの中にきた。真ん中に、大きなふんすいがある。
ピカタ「ここは…?なにもないけどなぁ…。」
声がひびく。
?「一人でもたたかえるのか?」
ぶきみな声が聞こえた。
ピカタ「その声は!シャドーだな!」 シャドー「正解だ。」
ばしゃっ――シャドーはふんすいの中から勢いよくとびだしてきた。
シャドー「おまえが一人でもたたかえるか、みてやろう!」 ピカタ「ぼく、一人で…か。」
一人でたたかったことはあまりなかった。…正直自信がない。
でも、たたかうしかない。ぼくは、シャドーをにらみつけながら、
たたかうたいせいになった。
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ちろりん #27★2008.11/02(日)14:12
−第23話−  たとえどんなにはなれていても

シャドー「では、いくぞっ!シャドーボール!」 ピカタ「かみなりぃーっ!」
ぼくはシャドーボールにかみなりをあてたが、シャドーボールの勢いはとまらなかった。――ドッカーン!
ピカタ「うわあっ!」
ぼくはシャドーボールをくらってしまった。
やっぱり、ぼく一人の力では、シャドーに立ち向かうことはできないのだろうか。
シャドー「さいみんじゅつ!」
シュドンッ――さいみんじゅつがとんできた。
ピカタ「こうそくいどう!」
ぼくはこうそくいどうでかわすと、そのままボルテッカーをくりだした。
ピカタ「いくぞーっ!」
ドカーン――ぼくはシャドーにおもいっきりぶつかった。
シャドー「…その程度なのか?」 ピカタ「え…?」
シャドーは、きずひとつつけずに、ぼくの目の前に立っていた。
シャドー「シャドーボール!」
さっきより協力なシャドーボール。
ピカタ「ぐわっ!」
直撃。…でも、ぼくのひっさつわざのボルテッカーがきかないなんて…。
一体どうやってたおせばいいんだ!?ぼくはだんだん心ぼそくなってきた。
シャドー「ふふふ。仲間がいないと不安だろう?」 ピカタ「くっ…。」
シャドー「これをみるがいい。」
シャドーはぼくにえいぞうのようなものをみせた。
ピカタ「レイ!ハーブ!ベリー!」
三人がきずだらけでたおれていたのだ。みんなシャドーにやられたのか!?
シャドー「みんな、一人一人では小さな力だ。…あとは、おまえだけだ…。」 ピカタ「く、くそっ…どうしたらいいんだ!?」
ぼくのひっさつわざのボルテッカーがきかなければ、もうたたかうことに希望はなかった。
ぼくは、負けるしかないのか…?
みんなの…みんなのかたきをとらなきゃ!心の中の、もう一人のぼくが、
そう語りかける。レイの悲しみ…。美しい時間…。ここでまけるわけにはいかない!
たとえ一人であっても、どんなにはなれていても、ぼくたちは…仲間なんだ!
ぼくは、自然に勇気がわいてきた。
ピカタ「ボルテッカー!」 シャドー「むだだ!」
ぼくはシャドーにむかって走りはじめた。
レイの気持ちを、守ろうとする心を、心の中にひめながら、精一杯走った。
ピカタ「いっけえー!」
ズ ガ ー ー ー ーン ! !
シャドー「ぐはあ!なんだ!?この力は…!」
その声を聞いたしゅんかん、ぼくは目の前がまっくらになった。
ハーブ「ピ…タ…おきて…。」
ハーブの声がした。そっと、目をあける。そこには、レイたちがぼくをのぞきこんでいた。
ピカタ「ここは…みどりの森?」 ルナ「よかった…目をあけてくれて。」
ピカタ「ルナ!目がさめたんだね!」 ルナ「ええ、おかげさまで。ありがとうございます。」
ベリー「あたし…一人だったから…不安で不安で…ろくなこうげきもだせなかった…。」
ベリーが涙目で言う。
レイ「おれも…一人だったから、あせっちまって…。」
ハーブ「あたしも…すごく、心ぼそかった…。なのに、
どうしてピカタはシャドーをたおせたの?」
ピカタ「どんなにはなれていても、仲間はいつもそばにいる。」 ハーブ「え?」
ピカタ「レイの気持ちや、美しい時間をまもらなきゃ…って。
そういう気持ちが強くなって、勇気がでてきたんだ。
それに、みんなはいつも、ぼくのことを応援してくれてる。
みんなのやられた姿をみて、すごく熱くなっちゃって…。」 ハーブ「そっか…。」
ハーブがやさしく言った。
ベリー「どんなにはなれていても、仲間はいつもそばにいる…かぁ。すてきな言葉ね。」
レイ「確かに。どんなにはなれていても、仲間のぬくもりは、のこっているのかもな…。」
ルナ「そうですね。」
これで、みんな、一人になっても、もう不安じゃないだろう。みんな、安心しきっていた。
ベリー「あたし、もう大丈夫。一人のときでも、もうこわくない!不安じゃないよ!」
レイ「おれも。」 ハーブ「あたしも。」 ルナ「わたしもです。」
ピカタ「よーし、あしたにむかってがんばるぞー!」 一同「オーッ!」
ぼくたちは心を一つにし、またひとつ、成長したのであった。
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ちろりん #28★2008.11/01(土)19:29
−第24話−  再会

夜になった。
ハーブ「ねえ、どうしよう!?たき火をするためのまきが見つからないの!」
レイ「明かりくらいなくても平気だろ?」 ベリー「えーっ、やだ!こわいよー…。」
ピカタ「それならぼくが。えい!」
ぼくは弱いでんげきで、あたりをてらした。
ハーブ「わぁーっ!あかるーい!」
ルナ「でも、それじゃあピカタさんがつかれてしまうんじゃ…。」
ピカタ「大丈夫だよ。」
でも、長い時間でんきをだしつづけるのは、体力がいる。
レイ「…あっ!」
レイがハッとした。
ピカタ「どうしたの?レイ。」 レイ「…気のせいか。」
ハーブ「どうしたのよ?」 レイ「…いや。なんでもねえ。」
…やばい。ちょっとつかれてきた。
ルナ「ピカタさん、大丈夫ですか?」
ピカタ「う、うん。一応…。」 ベリー「おなかすいたー…。なにかたべものさがしてく…。」
ベリーがいいかけたそのとき。――ポツン。
ハーブ「あっ、雨。」
ザーッ――いっきに本降りになった。ぼくたちは大きめの木の下にすわった。
バリ…バリバリ…。
ベリー「あ…。でんきがきえちゃった…。」 ピカタ「ハア…。」
ハーブ「ピカタ。大丈夫?」
空には黒い雲がたちこめ、かみなりとともに雨がふっていた。
ピカタ「そうだ…。かみなり。ぼく、かみなりからエネルギーをもらうよ。」
レイ「そんなこと、できるのか?」 ピカタ「うん。」
ぼくは、高い木の上にのぼった。
レイ「おーい。落ちないように気をつけろよーっ!」
バリバリバリ――ドッシャーン!――かみなりはぼくに直撃した。ぼくは、木から落ちてしまった。
ピカタ「うわあーっ!」 ベリー「たいへん!ピカタが!」
レイ「さがしにいこうぜ!」
ドッシャーン!
ルナ「いまいくのはきけんです!かみなりがあちこちに落ちています!
今いったら、わたしたちまで…。」
レイ「くそぅ…。」
うーん…。いてて…。エネルギーはたまったけど、木から落ちちゃった…。
ピカタ「みんなはどこだろう…。」
『レ…レィ…レ…。』――ん?…今、なにかが聞こえたような…。気のせいかな?
バリバリ――ドッシャーン!
ピカタ「うわあーっ!」
かみなりが、またぼくに落ちた。ぼくはいつも体にでんきがたまっているから、かみなりが落ちやすい。
ピカタ「やばい…。今度はエネルギーのたまりすぎになっちゃう…。」
ぼくは走りだした。『レイ…レィ…。』
ピカタ「…!…またこの声!」
今度ははっきりと聞こえる。すきとおるような、やさしい声。『レイ』っていってるみたいだ。
…ん?レイ?…この声は、ルナでも、ハーブでも、ベリーでもない。
いったい、だれがレイをよんでるんだろう…。ぼくは、声のする方に走りはじめた。
サーッ――しばらくして、雨があがった。星空が、とてもきれいだ。
ピカタ「ん?あれは…?」
一匹の見知らぬポケモンがたおれていた。
ピカタ「きみ!大丈夫?」 ?「レ…ィ…。」
こ、この声は!さっきの声と同じだ!そのポケモンは目をあけた。
ピカタ「あっ…気がついた。大丈夫?」 ?「あ、あなたは…?」
すきとおるような声。聞いててうっとりする。
ピカタ「ぼくはピカタ。」
?「あ、あたしはムウマのピュア。レイバートというゲンガーをさがしていたら、体がつかれてきて…。」
ピカタ「レ、レイなら!すぐそばにいるよ!」 ピュア「!…そこに…つれていって…!」
…ひょっとして、このピュアというポケモンは、レイのまえの仲間だったんじゃ…。
だったら、はやくあわせてあげないと!ぼくはピュアをおぶりながら、走り始めた。
レイ「おーい!ピカター!」
レイの声だ!ピュアも同じことを感じている。ぼくは、ピュアを木のかげにおくと、レイをさがしにいった。
ピカタ「おーい!レイー!」 ハーブ「あっ!ピカタ!大丈夫だったのね!」
レイ「…この感覚は…!さっきも感じた…。」 ピカタ「ひょっとして、ピュアのこと!?」
レイ「な、なぜおれの友達の名を…!?」
ぼくは、みんなにピュアのことを話した。レイは、すごいスピードで、ピュアの方に走っていった。
ピュアは、月の光にてらされていた。レイは、ピュアのところにしゃがんだ。
レイ「おまえ…ピュア…なのか…?」 ピュア「…レイ…。…やっと会えた…。」
二人を月の光がやさしくつつむ。
レイ「ピュア…!会いたかった…!」
レイとピュアのほおを、涙がつたった。
ピュア「あたし、もうはなれない…ずっと、レイのそばにいるわ…。」
レイ「ピュア…。」 ピュア「レイ…。」
二人は、ずっと、だきしめあっていた。再会を、言葉ではなく、体で伝え合っている。
そんな感じだ。レイ、うれしいだろう。ずっとはなれていた、
ずっとねむっていたと思いこんでいた友達と会えた。うれしいにきまっている。
それからぼくは、ピュアにこれまでのことをすべて話した。
ピュア「…あたしも、もってる。その能力。」
ピカタ「…!…だからピュアはシャドーにねむらされても平気で、レイをさがしにきたのか…。」
ルナ「えっ!?…ということは…。わたし、ピカタさん、ハーブさん、ベリーさん、ピュアさんで五人…。」
ピカタ「…五人そろった…。」
ルナ「ついに、この日がきたのですね…あとは、三日月がでるのをまつだけです。」
なにがおこるんだろう…。ぼくは、気になってしかたがなかった。
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ちろりん #29★2008.10/31(金)20:43
−第25話−  五人の意味

ピカタ「ねえ。ルナ。聞きたいことがるんだ。」
ルナ「なんですか?」
ぼくは、なぜルナばかりシャドーにねらわれているか、とても気になっていた。
ルナなら、きっと知っているだろう。
ピカタ「どうしてルナばかりシャドーにねらわれているのかな…って。
まえから気になっていたんだ。」
ハーブ「そういえばそうね。ルナばかりねらわれている…。」
ルナ「わたしに、悪夢をとめる力があるからでしょう。」
レイ「悪夢をとめる…力。」
ルナ「わたしは、以前、今よりとても強力な力をもっていたんです。悪夢から目覚めさせる力を…。」
そういえば、ずっとまえ、ルナがそんなことをいっていたような…。(第4話『ピカタのチカラ』にて)
ルナ「でも、その力は、シャドーの悪夢の力によって、ふうじれられてしまったんです。
シャドーは、またわたしがその力をつかえるときがくるかもしれない…と思って、
あせっていたんでしょう。」
ベリー「だからルナをはやくたおそうと思ってルナばかりねむらせていたのね。」
ピュア「じゃあ、ルナのその力があれば、シャドーをたおすことができるの?」
ルナはこくんとうなずいた。
レイ「じゃあ、どうしたらまたその力をつかえるようになるんだ?
その力がないと、シャドーをたおせないんだろ?」
ルナ「…そのために、あなたたちが必要だったんです。」
ハーブ「ど、どういうこと!?」
ルナ「あなたたちの、悪夢から目覚めることのできる能力…。
その能力のパワーを、わたしにあつめると、あの力がよみがえります。」
レイ「…そして、シャドーとたたかうのか…。」
レイが言うと、みんな、不安そうにうつむいた。
ピカタ「大丈夫だよ!みんな自信をもって!ぼくたちにはいるじゃん!すばらしく、たのもしい…仲間がね。」
ベリー「そうよ!不安なことなんてなにもない!だって、仲間がいるんだもの!」
ピュア「そのとおりね。仲間って、すばらしい力になるわ。」
ピュアはレイを見つめて笑う。レイはすこし赤くなった。
ハーブ「あっ…。太陽の光。」
夜があけてしまった。
ルナ「三日月は…あしたですね。」
ルナがしずかに言った。
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ちろりん #30★2008.11/01(土)19:27
−第26話−  みかずきのはね

ぼくたちは、シャドーがおそいかかってくることも考えて、オレンの実などのきのみをあつめていた。
ぼくは、三日月の夜に、なにがおこるのか、とても気になっていた。
ピカタ「ねえ、ルナ。三日月の夜に、なにをするの?」 ルナ「『みかずきのはね』をつくるんです。」
ハーブ「みかずきのはね?」
ルナ「みかずきのはねは、悪夢をおさめる力をもっているんです。
そして、みかずきのはねをつくることができるのは、このわたし、ただひとり…。
みかずきのはねは、三日月がでている夜にしかつくることができません。」
レイ「…シャドーのやつめ。はやくたおしてやる!」
ぼくたちは、葉でふくろをつくり、その中にきのみをいれた。
ハーブがまきをとってきた。レイがサイコキネシスで小枝をあやつり、火をおこす。
ピュアが、食料をとってきた。ルナが、葉にうまく水をくみ、もってきた。
…いつもとおなじ、夜のしたく。なのに、今日はふんいきがちがう。みんな、しんけんな顔だ。
ベリー「…雲がかかってるわね。」
みんな、空を見上げる。
レイ「月がみえたら、つくるのか?みかずきのはねを…。」
ルナが小さくうなずく。
ピュア「あっ!月が!月がみえたわ!」
みんな、ルナのほうを見た。ルナは、うなずいてふわりとういた。
ルナ「みなさん、わたしに手をかざしてください。」
ぼくたちは、おたがいの顔をみると、手を、ルナにむかってかざした。レイもみまもっている。
…すると、ぼくたちの手から、黄色や白のひかりがあらわれ、ルナのほうへと進んでいった。
ルナ「ちからが…ちからがみなぎってきます…。」
ルナは、両手を月へひろげ、さらに高く飛び上がった。ぼくたちの手の光が、もっと明るくなっていく。
すると、光に色の変化があらわれはじめた。ぼくは水色。
ピュアはオレンジ。ベリーは黄色。ハーブはピンク。カラフルな光が、ルナに向かってとんでいく。
…ルナの体がかがやきはじめた。きれいな、きれいな、虹色に。
ピカアーッ――ルナのかがやきと、ぼくらのかがやきがきえた。ルナがゆっくりとおりてきた。
ルナ「…できました。みかずきのはねです。」
ルナの手には、うすい、黄緑色のはねが、やさしくのっていた。はねのまがりぐあいが、三日月に似ている。
ハーブ「…これが…みかずきのはね…。うすい黄緑でやさしい色ね。」
レイ「あとはこれをつかうだけだな。」
みんな、手をあわせた。
ピカタ「みんな、ぼくたちは、やっと、ここまでこれたんだ。あとは、力をはっきするだけ。悪夢を、この世界から消そう!
そして、美しい時間を、場所を、笑顔を…守ろう!」
ハーブ「うん!シャドーなんて、あとは楽勝よ!」 ベリー「みんながいるから、こわくないよ!」
レイ「シャドーなんか、ぶっとばしてやる!」
ピュア「仲間に悲しい思いをさせるなんて、ゆるせない!」
ルナ「みなさんの力を、信じます!」 ピカタ「ぼくも。みんなのこと、心から信じてるよ!」
みんな、がっちりを手をにぎり、心から気持ちを伝え合った。
…最終決戦の時は、ちかいかもしれない。こわいけど、不安だけど、ぼくには仲間がいる。
信頼できる、仲間がいるんだ!そのことを、ぼくはずっと、心の中にとっておいた。
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ちろりん #31★2008.11/02(日)09:59
−第27話−  幕開け

みんな、今日はねむらなかった。夜空を見上げ、だまっている。
がんばって…がんばっておきてなくちゃ…。そう思っているのに、昼間のつかれがでて、だんだんねむくなっていく。
ハーブ「つるのムチ!」 ピカタ「いたっ!」
ハーブ「もう、ピカタったら。しっかりしてよ。半分、ねてたわよ。」
みんな、くすくすと笑う。…でも、すぐにしんけんな顔になる。…すると。
ベリー「ハーブ!ハーブ!」 ピカタ「ど、どうしたの!?」
ベリー「ハーブがねむったまま、おきてくれないの!」 レイ「おい、ピュアもおきないぞ!」
シャドーのしわざだな。
レイ「お…おれも…なんだか…。」 ピカタ「レイ!」
ピカタ「ベリーも!…ルナ?」 ルナ「わたしはおきています。」
ピカタ「…そう、よかった…。」
…ん、急にねむくなってきた。目が…あけていられない…。も…もうだめだ…。――ばたっ
…なんだかさむい。ぼくは、そっと目をあけた。みんなが、ぼくのまわりでたおれている。
…というか、ねむっているようだ。
ピカタ「みんな、おきて!しっかりして!」
ぼくは、みんなを起こした。
レイ「なんだ…ここは?」
地面の色、空の色、すべてが黒っぽい。
ルナ「…どうやら、悪夢の中のようですね。」 ピュア「あのとき、みんなねむっちゃったのね。」
ハーブ「それにしても…きみわるいところね…。」
どうやら、ふかい森のようだ。ザワザワと黒い葉がゆれる。
シャドー「フ ハ ハ ハ ハ ハ… … … …。」 ピカタ「シャドーの声!」
ぼくがそういったしゅんかん、シャドーが何匹もあらわれ、ぼくたちのまわりをくるくるとまわりはじめた。
みんな、かまえる。
ピュア「エナジーボール!」
ピュアがエナジーボールをはなった。…が、きいていないようだ。シャドーはまわり続けている。
ルナ「ハッ!」
ルナがシャドーたちにみかずきのはねを見せた。みかずきのはねが、白く光った。
シャドー「ぐわぁ!」
シュウッ――シャドーたちはきえた。
ピュア「すごいパワーね。」 ルナ「シャドーは、みかずきのはねが苦手なんです。」
ぼくたちは歩きはじめた。すると、あっさりと森をぬけることができた。
ハーブ「…たいしたことなかったわね…。」
ベリー「本物のシャドーはどこにいるのかしら?」 シャドー「ここだっ!」
――バシュッ――シャドーが目のまえにあらわれた。
ルナ「本物のシャドーです!」 シャドー「…ルナ。みかずきのはねをつくったようだな。」
ルナはけわしい顔でシャドーを見つめている。
シャドー「しかし、わたしにはそんなものは通用しないぞ!すべては悪夢につつまれるのだ!」
ピカタ「そんなこと、させないっ!」 レイ「はかいこうせん!」
ドヒュウゥウゥン――すさまじい勢いではかいこうせんがとんでいった。――ドッカーン!
レイ「…やったか?」 シャドー「そんなもの…きかないッ!」
今、ぼくたちとシャドーとの最終決戦が幕をあけた。
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ちろりん #32★2008.11/01(土)10:35
−第28話−  悪夢パワー最大

シャドー「ダークホール!」 ハーブ「な、なにそれ!?」
ぼくたちは、シャドーがはじめてだすワザにとまどっていた。
ルナ「みなさん!それにあたってはいけません!ねむってしまいます!」
シャドーは、大きな黒いかたまりをなげた。ぼくたちはすかさずかわす。
ピュア「シャドーボール!」
ものすごいパワーのシャドーボール。ピュアの最大パワー。見事にシャドーに命中した。
レイ「やったぜ!」
レイがはしゃいだのもつかのまだった。
シャドー「ダークホール!」 ピュア「そんなぁ!」
ビュイーン――ダークホールはハーブとレイにあたってしまった。
ピュア「レイ!…シャドーがきずひとつつけていないなんて…。」
ぼくたちは不安だった。すると、ルナがみかずきのはねをとりだし、ハーブとレイにかざした。
ハーブ「う…うん…。」
…レイたちは目覚めた。
シャドー「ルナ。おまえはいつになってもおれの敵だな。」
ルナ「あなたの野望をとめられるのなら、命だってかけるわ!」
ピカタ「い…いのちをかける…。」
シャドー「くらえぇ!ダークホール!ダークホール!」
ズガがーン――今度はぼくとルナ以外にあたった。
ルナ「ピカタさん、大丈夫。シャドーは、絶対たおします。」
その言葉をきいて、ぼくは思い出した。ぼくには仲間がいると。もう、不安なんかじゃないと。
ピカタ「かみなりぃー!」
ズ ガ ー ー ー ー ー ーン ! ! ! !
シャドー「ぐあっ!…なぜおまえだけはいつも…。」
ピカタ「ぼくには仲間がいるんだ!」
その言葉でみんな目覚めた。
ハーブ「そう。だから不安なんかじゃない!」
シャドー「だまれ!シャドークロー!」
シュシュン――ザザッ
一瞬、何がおきたのか理解できなかった。ふと、うでをみると、深いきずが…。
ルナも、ハーブも、みんな…たおれている。そして…ぼくも…。
シャドー「あとはとどめだな。」
こんな簡単におわらせない…!ぼくは…シャドーをとめるんだ!シャドーがいっぽいっぽ、近づいてきた。
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ちろりん #33★2008.11/01(土)12:23
−第29話−  勇気と仲間と信頼と

シャドー「ダークホール!」 ピカタ「そうはさせないッ!かみなりィーッ!」
ズガーン――ダークホールとかみなりがぶつかった。
ピカタ「うわぁあ!」 シャドー「…おまえたちに、勝ち目などないッ!」
ルナ「…そうかしら?」
ルナの低い声。みんな、ルナを見つめた。すると、ルナの体が虹色に輝きはじめた。
シャドー「それは…『みかずきのまい』…。」 ハーブ「みかずきの…まい…?」
シャドー「自分をぎせいにするかわりに、あとからでてくるものを回復させるワザ…。」
ベリー「だめよ、ルナ!自分をぎせいになんかしないで!」
レイ「なにバカなことやってんだよ!」 ピカタ「ルナ!やめて!」
ルナ「…わたしは…あなたたちを、信じてます…。わたしは、あなたたちから、
いろんなことを学びました。とくに、『仲間』という言葉…。今でも忘れません…。
あなたたちを信じているからこそ、わたしは…すべてをあなたたちにささげます!…ハアァッ!」
ルナは、みかずきのはねをとりだし、高くかかげた。すると、ルナの体からでた光が、
ぼくたちへとうつっていく…。とたんに、ぼくたちのきずがルナにうつった。
ハーブ「体が…あったかくなってく…。」
シャドー「くそッ!ダークホール!」 ピカタ「!」 ルナ「ピカタさん、あぶないッ!」
ドッカーン――ものすごい音がして、ルナがたおれた。
ルナ「信じて…ますから…ッ。」 ピュア「ルナ!…ルナァッ!」
…ひらひらと、黒くなったみかずきのはねがおちてきた。…まるで、ルナのように。
ピカタ「…ルナは、自分の身をぎせいにしてもいいくらい、ぼくたちを信じてくれたんだ。
…だから、ぼくたちのやくめは…シャドー!おまえをたおすことだ!かみなりィーッ!」
レイ「はかいこうせん!」 ハーブ「はっぱカッター!」 ベリー「オーバーヒート!」
ピュア「シャドーボール!」
みんな、本気だった。『仲間』というぼくたちのために、ルナ自ら自分の体をぎせいにしたから。
…死んだっていいくらい、信じてくれていた。みんな、その攻撃にすべてをかけた。
シャドー「ぐわあぁあぁぁあぁあぁあぁぁあぁ!」
シャドーのものすごいひめいをあとに、ぼくたちは現実世界にもどった。
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ちろりん #34★2008.11/02(日)21:30
−第30話−  さよならはいわないで

ピュア「…なんで…どうしてこんなことになっちゃったの…。」
ポケモンたちが起き上がり、まえより美しくなったみどりの森の花畑の真ん中で、
ぼくたちは、一匹のポケモンをとりかこんでいた。ピュアが泣く声だけが聞こえている。
ベリー「…ルナ。なんで…。なんでなのよ…。」
レイ「…。」 ハーブ「…。」 ピカタ「…。」
ピュア「ルナ!なんで!?死んじゃいやあぁあぁーッ!」
レイ「しかたなかったんだよ!…こうなる運命だったんだよ…。」
レイも涙ぐんでいる。ハーブとベリーは、もうすでに泣き出していた。
ピカタ「…ルナ。…ぼくたちのために…。この世界のために…。しあわせを…ありがとぅ…。」
――ホロリ――自然に涙がこぼれる。もう、…みんな泣いていた。
レイ「ちくしょう!…こんなの…こんなのしあわせなんかじゃねえ!
仲間を失って…どこがしあわせなんだよ!」
…仲間を失って…しあわせなのか?…そうだ。レイの言うとおりだ。
仲間を失って世界を悪夢から救っても、ちっともしあわせなんかじゃない…。
シャドー「…ルナ…。」
ピュア「…シャドーの声よ!」 ピカタ「シャドーはたおしたはずなのに!」
ぼくたちの目の前に、シャドーは立っていた。…きずだらけの体で。
今にも消えてしまいそうだった。…みんなかまえた。
シャドー「かまえる必要はない。わたしももうおしまいだ。」 ピカタ「えっ…?」
シャドーの予想外の行動に、みんなとまどっていた。
シャドー「…本当の悪夢というのは、この事なのかもな。」
ピュア「この事…って、仲間を失うってこと?」
ピュアはすこし警戒して言う。シャドーはうなずいた。そして、ルナのところにしゃがんだ。
シャドー「わたしはバカだ。…おまえたちに勝てるわけがないのだから。
…わたしはいつも一人だった。なにも学べなかった…。」
ハーブ「でも、手下がいたじゃない。ウィンとか…。」
シャドー「…そんなの、仲間とは呼べないだろう?上下の関係があるのだから。
おまえたちは、勇気や信頼…仲間と共に、いろんなことを学んできた。力をあわせて、
わたしに立ち向かった…。いつか言ったな。『一人一人では小さな力だ』と…。
でも、それは『一人一人では小さな力だが、束になって集まれば、大きな力になる』…ということだ。」
ぼくたちは、シャドーの心の純粋さにおどろいていた。シャドーは、ルナに手をかざした。
シャドー「…ルナは、おまえたちにはもったいないほどの仲間だな。ルナは、おまえたちのために、
自ら命をぎせいにした。どんなにおまえたちのことを信じていたのか…。」
ぼくたちは、ただ泣くばかりだった。ルナがのこしてくれたもの。
それは、これから先の『未来』。シャドーをあのままにしておいたら、
ぼくたちに、この世界に未来なんてなかった。
シャドー「ルナの努力。無駄にはせん。…またどこかで、会えるといいな…。」
シュバーン――シャドーは、うすくなっていき、消えてしまった。…次の瞬間!
ルナ「…こ…ここは…?」 ピュア「ルナ!」 レイ「ルナ!」
ベリー「あたし、信じてたよ!ルナのこと!」
ピカタ「ルナ…!もう、…もう嫌だからね!仲間を失うなんて悪夢は…!」
シャドーがのこしてくれたのは、ただの悪夢ではなく、
…しあわせの悪夢だったのかもしれない。
ぼくらは月明かりにてらされ、シャドーとルナののこしてくれたしあわせを、ずっと見つめていた。

「ドリームストーリー」は、第2章に続きます…。
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ぴくの〜ほかんこ