みな | #bak1★2009.01/05(月)11:39 |
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〜プロローグ〜 「カリンー、カリーン!どこにいるのー!」あれは母の声。 私はすぐ近くの草むらに潜んでいた。絶対に見つからないように。発見されれば、私の隠していた能力がバレてしまう。 「あ、いた!あなた、カリン…よね。どういうこと?」 身動きしたのがマズかったらしい。仕方なく今までのことを全部話すことになった。 私はメスのロコン。人里に近い森のなかで同族と一緒に暮らしている。ただし、仲間と違う点が二つある。 (1)色違いである。 (2)そのせいで人間に変身できる。 生まれてから数年間は、自分にこんな力があるとは知らなかった。でもある日、がけの上から村を眺めていたとき、人間が羨ましくなった。そう思った次の瞬間、私は変身していた。 その日からしばしば、化けて村に遊びに行くようになった。 ただし未熟なのか、姿を変えて一定時間は元に戻れない。 母に発見されたとき、私は金髪のセミロングの女の子になっていた。 「なんか私、人間になりたくなっちゃった。 とても楽しそうだもん。近ヶ群れを抜けて、ポケモントレーナーになってみたいんだよね。」 |
みな | #bak2☆2008.12/23(火)20:35 |
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第1章 無謀な試み ーあれから3週間後。私はあるポケモン研究所に来た。 「おお、君がカリン君だね。待ってたよ。」 オーキドと言う名の博士は、モンスターボールでいっぱいの ダンボール箱を手渡した。 「この中から好きなのをひとつ選んでくれ。それが、 君の最初の友達だ!」 ずいぶんギャンブル要素が強いなと思いながら、手にした ボールを投げた。中から現れたのは…。 「ウーッ」 目が赤くて小型のポケモン。何だか 怒ってるみたいだけど…。 「おお、ポチエナか!なかなか可愛いのう。」 手を差し出す博士。ポチエナは噛み付いた。痛そう…。 「今日は機嫌がわるいようじゃの。これでなかなか 優しい子なんじゃ。大事にしてやってくれ。」 なんだか、扱いづらそう。この先やっていけるかな? |
みな | #bak3★2008.12/27(土)17:37 |
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〜 二話 〜 「こんにちわ、私はカリン。あなたの名前は?」 研究所を出て話しかける。 『ウゥ〜』“そんなものない。好きに呼んでくれ” 「じゃあ、ガブって呼ぶね☆それで良い?」 『ポチ?』“別に。ところで何で、俺の言う事わかってんの?” 言葉につまったとき、目の前を何かが通り過ぎた。 「あれは…ニャルマー! ガブ、あの子を仲間に しよう!」 『ク〜ン』“…ああ” ガブは足が速かった。みるみる内にニャルマーに 追いつく。 「よーし、そのまま噛み砕く!」攻撃が決まったかのように 思えたが…。 『ウニャッ』“ねこだまし!” パーンと耳をつんざくような音がした。 ガブはひるんで動けなかった。その隙にニャルマーは逃げた。 「大丈夫?」声を掛けても呆然としている。 「まあ、初めてのバトルだったしね。そんなにがっかりすることないよ。」慰めようと毛に触れた瞬間、 ガブが走り出した。 「え?ちょっと待って、どこ行くの?」 はるか先を行くガブの声が風に乗って流れてきた。 『キャイーンキャンキャン!』“ もう嫌だ〜、バトルなんかキライだ!” |
みな | #bak4★2008.12/27(土)17:38 |
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〜 三話 〜 「ったく・・。どこ行っちゃったんだろう?」 二本足より四本足のほうが速く走れる。私はロコンに 戻って追いかけた。さっきからずっと探しているんだけど・・。 (ん?アレは・・?)何だか森の近くが騒がしい。 とりあえず行ってみることにした。 きゃいーん! 苦痛の声が響き渡り、それが最後だった。不穏な静けさが辺りを包む。 まるでとどめの一撃が加えられるのを待っているかのような…。自然と足も速まる。 まず最初に、円座に囲んでいるグラエナ達が目に入った。 そして、彼らの中心でぐったりと横たわっているガブも。 驚くより先に、激しい怒りが込み上げてきた。 「何てことをするの!」慌ててガブの元に駆け寄りながら、絶叫する。 「よくも人のポケモンに手を出したわね!」 「人のポケモン・・?お前、何を言っているんだ?」 リーダーらしき一匹が口を開いた。 「そいつは俺たちの縄張りに入ってきたのさ。制裁を 受けただけだ。」 「恥ずかしいわね。同族なのに、半殺しの目に 合わせて。大体、大勢で襲い掛かるなんて卑怯よ。 一人じゃ何にもできないのね。」 こんなに怒ったことも、誰かをここまで貶めたのも 生まれて初めてかもしれない。 「・・言ったな、お嬢さん。覚悟してもらおうか。 普通女には手を出さないんだが、あんたの責任だ。 野郎ども、かかれ!」「止めろー!」 四方八方から敵が襲い掛かってきたのと、息も絶え絶えにガブが叫んだのが同時だった。 突進してくる敵を身をよじってかわす。そのまま空中に飛び上がり、大文字を次々と吐き出した。 全てのグラエナ達に命中させたのを見届けると、最大パワーの炎の渦で止めを刺した。勝てないと判断したのか、 リーダーを筆頭に次々と逃げていく。 ****************** 「・・お前、ポケモンだったんだな。しかも色違いだし。」 河で傷を洗い、人心地を取り戻したガブの第一声はそれだった。 「うん・・。こんなに早くバレちゃった・・。」 私はポケモントレーナーになった経緯を話した。 「ごめんね。私の気まぐれのせいでこんな目に合わせちゃって。やっぱり、元の住処に戻るよ。 それが身のほどにあってると思う。」今回のことで私はひどく落ち込んでいた。 同じポケモンの分際で、仲間に怖い思いをさせたからだ。 「いや、俺は良いと思うぜ?ポケモンがトレーナーなら いろいろと分かり合えると思うし・・。 ポケモンでも人間でもどっちでもいい。 両方のカリンについていくよ。助けてくれて、ありがとな。」 思ってもいない優しい言葉。この子、案外素直なんだ。 「こちらこそありがとう、ガブ。そういってくれて嬉しいよ。」 私たちの旅はまだまだ続いていく・・。 |
みな | #bak5★2008.12/28(日)15:31 |
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〜 四話 〜 数日後、私はフレンドリーショップを訪れた。 「すみません、モンスターボール三個下さい」 「あら、もしかして新人さん?それでしたら、 お安くしますよ。」 やけに愛想が良い。こういう人間には気をつけろって 言われたような…。 「いや、お気持ちだけで十分です」さっさと店を出かけた時、 後ろから呼び止められた。 「気を悪くしたらごめんなさい。何しろ、珍しいポケモンが 届いたから嬉しくって…。」 珍しいポケモン?どんなのだろう? ちょっと興味を引かれ、見せてもらうことになった。 ゴージャスボールから出てきたのは…。 「サニーゴです。色違いの」 全体が水色で可愛らしい顔立ちをしている。 「きれいですね〜。通常は何色ですか?」 「普通はピンク色だと思います。」 想像すると、とっても愛らしい感じがする。 なんだか欲しくなってきた。 「あの〜、モンスターボールやめてネットボールにします。」 「お会計は1500円になります。ありがとうございました。」 店を出てガブに報告する。 「これから海に入ってサニーゴを捕まえよう!」 『ウウ〜…。』“バトルはヤダって言ってるのに・・。” |
みな | #bak6★2008.12/30(火)18:50 |
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〜 五話 〜 「早く釣れないかなぁー・・。」 レンタルショップで道具一式を借り、 近くの海で粘り初めてはや二時間。 敵はいっこうに現れない。 『クゥ〜ン♪』“もういないんじゃないの? サニーゴって乱獲されてるんでしょ?” 岩場の上で寝転びながらガブが言う。 「そんなことないよ。だって、釣具屋のおじさんがまだいるって言ってたもん。 それはガブの希望でしょ・・って、来たかも!」 ビビビっと、確かな振動が伝わってきた。 さおの先端がしなっている。次の瞬間ー バッシャーン!派手な水しぶきと共にターゲットが現れた。 あまりの勢いに、糸が切れてしまう。勝気そうな顔をしている。 『サニサニ!サニーゴ!』“どこからでもかかってきなさい!” 「すごく元気だね。ガブ、噛み砕く!」 『ウッウッ・・』“えい!” 攻撃はクリーンヒットした。サニーゴは倒れた。 『チーチー?』“マ・・マジで?やった、俺勝ったよ!” そう叫ぶや否や、ガブの体が光りだした。 一瞬の後に、大きくたくましい体躯が現れ、グラエナへと 進化する。 「おめでとう、ガブ!少しは自信がついた?」 こちらへ駆け寄ってくるガブを力いっぱい抱きしめる。 『グラ!グラエナ!』“うん。もうバトルなんか怖くない!” 「良かった。それじゃあ、いくよ_。」 ネットボールを思いっきり投げる。サニーゴが吸収される緊張の一瞬_。 ピコ・ピコ・・ピコ・・パン!ボールの点滅が止まった。 「やったぁ!サニーゴGET !」 『ガルゥ〜』“大成功!” _その日の夜。 「私、実はポケモンなんだ。」 新しい仲間、サニーゴのサラに正体を明かした。 さっきから黙って聞いている。もしかしたら 怒っているのかもしれない。 「もし、一緒に旅をするのが嫌なら・・」 元の住処に帰っていいよ。 そう言い掛けた私をさえぎり、サラはニヤリと 笑っていった。 『サニー?』“ロコン、ですよね?” 「え?そうだけど…。」 『サニー!サニーゴ!』“なら、いつかお手合わせ願えますか? 私、炎タイプ、むっちゃ強いですよ!” 「うん。私エナジーボール持ってるから絶対勝てるよ!」 これが、サラ流のあいさつなのだろう。 別れる気はなさそうだ。 『サーニー?』“それはどうですかね?” そう言い捨てて、今度はガブのところに行った。 __何だか賑やかな旅になりそう…。 |
みな | #bak7★2009.01/01(木)16:50 |
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〜 6話 〜 「いっけー!」私が最大パワーで放ったエナジーボールを、サラは避け損なった。 「うぅ・・。勝負はこれからです!」 大ダメージを受けながらも、不適な笑みを浮かべサラは叫んだ。 瞬間、彼女の周りの地面が盛り上がり、津波のように私を襲う。 「いたたた…。」やっとの思いで立ち上がる。 「どうですか?私の『だいちのちから』の威力は?」 ボロボロになりながらも誇らしげに笑う彼女に叫び返す。 「なかなかやるじゃん!」 ちなみに何をしているかというと、ジム戦前のトレーニングだ。 隣町に、新設のゴーストタイプ専門のジムが出来たらしい。 ガブにとって相性が有利なので、そこにいくことになった。 「あれ、ガブがいない…。」 一勝負終えたところで、やっと異変に気付いた。 「さっき、散歩してくるって言ってましたよ。」 『自己再生』で回復しながらサラが答える。 「――それって、30分以上前のことだよね? さては、練習がイヤでさぼってるな・・。」 その時、息を切らしながらガブが帰ってきた。何だか様子がおかしい。 そう思っていると、いきなり私たちの上に倒れこんだ。 「ちょっとやめて・・苦しい!」文句を言って暴れていると、体を離した。 「ねえ、どうしたの?」 ガブの毛は逆立ち、目は血走っている。 「…R団の下っ端が近くにいるんだ。」 「それ、誰?」「悪いヤツなんですか?」 私と同じで、サラも知らないらしい。 「とにかくこっちに来い。」 近くの洞穴の中に引きずり込まれた。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 「…ヤツらは、珍しいポケモンを狙っているんだ。今までも さんざん悪事をしてきたが、今回の計画は特にひどい。 だからお前さんたちを隠したんだ。」 「今回の計画って何?」思わずキツい口調になる。 ガブはちらりと横目で見ると、洞穴の入り口をアゴでしゃくった。 「あれは…。このあいだのフレンドリーショップの店員さん?」 見たくない光景が目に飛び込んできた。 『R団』に泣きついている。店員に向かって嘲笑している敵は、 何かを抱えて立ち去った。 「おばさんの色違いサニーゴ…。」私が呆然としてつぶやくと、ガブがうなずいた。 「そのようだな。俺の聞いた話だと、各地で色違いポケモンを盗んでいるらしい。 それを実験台にして、人工的に色ポケを作って売りさばくそうだ。 ・・今のところ犠牲となった仲間は多いらしい。」 |
みな | #bak8★2009.01/05(月)13:22 |
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〜 七話 〜 「ひどい・・ひどすぎるよ!」堪えきれずに叫ぶ 「あの子、可哀想です・・」サラもしゅんとしている。 「助けに行かなきゃ!」 外に飛び出そうとした瞬間、何かに尻尾をつかまれた。 ガブが、強く噛んでいる。 「やめて・・離してよ!」暴れていると、唸るように言われた。 「今の俺たちでは勝てない。みすみす捕まりに行くだけだ。 お前さんが、仲間と同じ運命になってしまう。」 「ガブにはわからないよ!」 身を振りほどいて、ガブをにらみつけた。 「色違いは、自分の群れの中でさえ居場所がないんだよ。 みんなと違うから、爪弾きにされて…。だから人間として生き ていこうと思ったのに・・ 私たちを悪用する人がいるなんて知らなかった!」 言い終えると同時に、『電光石火』の構えを取る。 「私は助けに行く・・ガブを倒してでも!」 ガブは、ため息をついた。 「・・悪いな、カリン。 これもお前さんのためだ。」 同時に、ガブの口からシャボン玉のような物が飛び出した。 ふわふわと漂いながら、こちらに向かってくる。 (あれはもしかして・・『あくび』? マズい、眠っちゃう!) 気付いたときにはもう遅かった。 地面に崩れ落ち、意識が途絶える。 |
みな | #bak9★2009.01/08(木)19:46 |
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〜 第八話 〜 「う、う〜ん…。」 目を覚ますと、辺りは闇に包まれていた。 入り口に、サラが陣取っている。 「そこで何してるの?」近づくと、驚いたように振り返った。 顔に、涙の跡が付いている。 「あ、起きましたか…。ガブが、偵察に行ってるんです。 そろそろ帰ってくるはずなんですけど。」 今は、アイツの事なんか聞きたくない。考えたくもなかった。 「お願いがあるんです・・。 ガブのこと、責めないであげて下さい。」 「何で? サラだって、悔しいんじゃないの? 目の前であんなことが起こったんだよ?」 思わず強い口調になる。サラは、うなだれて言った。 「それはそうなんですけど・・。ガブだって、本当は助けたいと思っているようです。 でも、敵は強すぎるんです。ガブの子供時代、何があったかご存知ですか?」 「聞いてない・・。アイツ、自分のことはしゃべらないから。」 サラは、淡々とした口調で続ける。 「さっき、話してくれました。 ガブは幼少のとき、とても強い群れの中にいたそうです。 それに目を付けたのが、R団でした。 ある時、ガブが一人で遊んでいると、もの凄い悲鳴が起こったそうです。」 ここで、一息置いた。今までにないほどキツい瞳で見つめられる。 「仲間が全員捕まっていました・・彼は何も出来なかったそうです。 『同じ歴史は繰り返したくない』と言っていました。彼のこと、もっとわかってあげて下さい」 その時、くだんのガブが戻ってきた。息は荒く、目は血走っている。 「もう夜中だが、隣町に移動した方がいい。R団が迫っている。カリン、人間になれ。 後、出来るだけロコンに戻るな。その方が危険がない。」 ガブの表情は、闇の中ではわからなかった…。 |
みな | #bak10★2009.01/12(月)16:06 |
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〜 第9話 〜 それからの数日。私たちはろくに話もしないで黙々と進んだ。 先頭を行くガブが、何だか辛そうに見える。 (ゴメンね。私、ガブのこと理解してなかった・・。) 口には出さずに、心の中であやまり続けた。 (私、ガブ達に嫉妬してた。普通の生活が出来ていいなって。 でも、色ポケだけがいやな目に合ってる訳じゃないんだね。 ずっと勘違いしてたよ…。) 3日目の夕方、目的地に着いた。 ポケモンセンターで休憩していると、サラが小突いてくる。 『サニー?』“確か、ジム戦するって言ってましたよね?” 「うん・・。そのつもりだったんだけど・・。」 ――今はそんな気分じゃない。そんなことを言うなんて無神経すぎる・・。 『ニニ!サニー!』“自分たちの強さを試すチャンスだと思います。” 私の内面が見透かされた気がした。 “確かに、つらいのはよくわかります。 でも、こんな所でウジウジしてたって何も変わらないじゃないで すか! 行動あるのみです。” ――そうか。もう時間がない。強くなれば、それだけ早く仲間を 救えるんだ! 「・・待って、サラ。」 『ニーゴ?』“はい?” 「いきなりジム戦は無理だよ。まずは、あの人と練習してみる。」 そう言って、近くにいた金髪のトレーナーを指差した。 |
みな | #1★2009.02/04(水)17:11 |
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(ログ飛びしてしまいました。「かきかえる」で自分のパソコンにあるバックアップを上書きすることで、復旧できます。-こっけ) |
みな | #2★2009.02/04(水)17:11 |
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負けるわけにはいかないの。」 『サニサニ〜☆』 “ガブのためにも絶対勝ちます!” はねるように飛び出してきた。試合の状況はわかっているらしい。「ゴースト、出番だ!」 『ゴ〜ス〜』“ 任せとけ!” かなり強そうだった。相手を睨み付け、威嚇している。 「こちらから行かせてもらいます。サラ、とげキャノン!」 ドシュシュシュン・・! 攻撃は、なぜかゴーストには当たらない。 「甘いな!」マルクスさんが笑う。 「ノーマル技は利かないんだよ。そんなことも知らないのか?ゴースト、今のうちにサイコキネシス!」 『ゴースッ』“了解!” 避ける暇も無い。あっという間にサラは空中に持ち上げられた。 そのまま、力いっぱいフィールドにたたきつけられる。 『サ、サニー・・』 “ちょっとマズイかも・・。” 「大丈夫だよ・・! そのまま 原始のちから!」 「ゴースト、連続でシャドーボール。」 私とマルクスさんが叫んだのは同時だった。 『サニィ〜』“技が出ない・・” さっきのダメージが大きいらしく、サラの攻撃は不発だった。 ドンッドンッドン・・間髪を入れず、シャドーボールが次々と 命中していく。 『サニーゴー!』 “苦しい〜・・” (もう負けるしかないのか・・)傷ついていく彼女を見ながら考える。 (相手が素早すぎる。普通に戦って勝つことはできない・・。 奇襲がかけられないかなぁ?) その時、名案がひらめいた。 「サラ、地面に向かってバブル光線!」 『サニ〜?』“は、はい・・” 戸惑っているようだが、指示を聞いてくれる。 地面に、泡のトランポリンが出来た。 「よし!じゃあ、それに飛び乗って!」 「一体何をする気なんだ?」 マルクスさんも、驚きを隠しきれないようだ。 ヒュウ〜ン! サラの体が、高く高く上がっていく。 『サニー、サニーゴッ!』 “ひいぃ〜・・。こ、怖いです・・!” 目をぎゅっと閉じている。 「今だよ、サラ! 目を開けてゴーストに狙いを定めて! 原始の力!」『サニッ』 “えい!” ガラガラガラ・・上空から、加速力の付いた岩石が降り注ぐ。 マルクスさんが指示を出そうとしたとき、ゴーストはすでに瓦礫 の中で埋もれていた。 ***************************** 「ゴースト、戦闘不能! 勝者はチャレンジャー・カリンです」 試合終了の笛が鳴り響く。 (やっと勝てた・・。ありがとう、ガブ、サラ。) へなへなとその場に座り込んでしまう。 「おめでとう。おもしろかったよ。 それにしても、あんな戦法もあるんだね。 今後の参考にするよ。」 マルクスさんがバッジを渡してくれる。 「ありがとうございます。私も、とても楽しかったです。」 一礼して、ジムを後にする。道なりに歩いていると、背中に刺す ような視線を感じて振り返った。 マルクスさんがまだこっちを見ている。 そこには、敵意が含まれていた。 |
みな | #3★2009.02/05(木)16:58 |
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〜 第十六話 〜 「どこ、どこにいるの・・?」外に出て、闇雲に走り出す。 ― すぐ側です。前方に袋小路があるでしょう。そこにいま・・っ! ― 突如、声が打ち切られる。 「何があったの・・あっ!」 鏡に映る自分を見てハッとする。もう半人間ではない。立派な人間に戻っていた。 「いつの間に・・? もうあの声も聞こえない・・」 『グラ、グラァ!』“俺達にも一声かけろよ” 『サニ〜ゴッ』“何も言わないで行っちゃうなんてあんまりで す!” ガブとサラが追いかけてきた。 「あ〜、だめだよ二人とも。休まないと傷口が開いちゃう。」 その時――。風上からよく知っている匂いが漂ってきた。 『ギュウァァ〜』“お前なんかこうしてやる!” 凶暴そうなキュウコンがぐったりしているポケモンに噛み付いている。 『コォーン!』“ヤツを見つけたぞ。早く来てくれ!” 手下のロコンが、仲間を呼んでいる。どどどどど…。 間もなく、袋小路は同族で埋め尽くされた。 「どうやら、私の出番みたい・・。」 物陰から様子を見ながらため息をつく。「ロコンに戻るよ。 あの子を助けてくる。知らないポケモンだけどね。」 『グラ・・』“よせ・・。”ガブが牙を剥きだした。 『グラ、グラエナ?』“お前に同族を攻撃させたくない。ここは俺たちに任せとけ。サラ、行けるか?” 『ニー、サニー』“もちろん!” ほぼ同時に、二人は闇の中に飛び出して行った。 (そんな・・敵は大勢いるんだよ・・あれ?) シュンシュン・・。ガブが敵の頭を飛び越えながらボスのキュウコンに近づいていく。 『グラエナッ』“こいつはもらった!” 素早く失神しているポケモンを奪い取り、こちらに戻ってくる。 『ギャァァ〜』“ヤツを逃がすな。追え!” |
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