ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[122] ピカ♪ピカ♪ピカ君♪

マディーン #1★2003.12/29(月)22:38
プロローグ
僕の名前はピカ。
皆にはピカ君って呼ばれてるの。
どーゆー成り行きで人間たちと同じ屋根の下で暮らす事になったのか覚
えていないんだ。
でも僕は今、優しいご主人様とその家族と、幸せに暮らしてるよ。

第1話 ピカ君パート1

「ピカ君!ご飯だぞ!」
ご主人様に呼ばれて、ピカ君は屋根の上から立ちあがった。
「ぴっぴかぴ!」
ピカ君は今行くよというように鳴き声を上げると、家の中へ飛び込んだ。
「今日はピカ君の大好きなさんまの蒲焼だぞ!」
「ピカ!」
ピカ君は喜んでさんまを食べた。
「もう、口の周りにつけて。」
あみちゃんがピカ君の口を拭う。
「ぴっ☆」
ピカ君はテレ笑いをした。

ピカ君は屋根の上をとことこと歩いていた。
お友達と遊ぶためだ。
親友のエネコのピンクがお隣の屋根にいた。
「ピカ君!あれ見てごらんよ。」
ピンクは前足で前を指した。
「なぁに?お引越し?」
「大金持ちがやってくるんだよ。ポケモンも一緒だよ。」
「へぇー。」
「お友達になれたらいいね。」
「うんっ!」
引越し作業が終ったのを見計らって2匹はお金持ちの家へいった。

そこには一匹のペルシアンがおすましして座っていた。
「やあ!僕ピカ君!君の名前は?」
「私ラピネシアと言いますの。ピカチュウちゃん、ピカ君と仰るのね。」
「あたしピンク。宜しくね☆」
ナンだかいい感じに打ち解けて、ピカ君とピンクはラピネシアが本当のお
友達になったと信じ込んでいた。
だけど…だけど…。

暫くして…。
「ラピネシア!あーそーぼ!」
2匹は何時もの様にラピネシアのおうちへ行った。
しかし、ラピネシアはそっぽを向いた。
隣には♂のペルシアンが。
「ぴっ?キミだれ?」
「何だいこのピカチュウとエネコは。」
「僕ピカ君って言う名前だよ。君は?」
「あたしピンク。」
「とんでもない。こんな汚いピカチュウとエネコに名前を聞かれるなんて。」
♂のペルシアンは体を震わせた。
「言っておきますけど、わたくしあなた達のような普通のポケモンとは
お友達になる気はありませんの。」
ラピネシアと♂のペルシアンは連れ立って歩いて行った。
「…ぴ・ぴぃーっ!」
「にゃおーっ!」

「普通のポケモンってどういうことかな?」
ピカ君は鏡を覗き込んだ。
「普通のポケモンとお金持ちのポケモンってどう違うのかな?」
「どうしたピカ君?」
ご主人様が入ってきた。
「なんかあったのか?」
「ぴっぴ。」
ピカ君は首を振った。
「オマエはとても素敵なぴかちゅうだぞ、分かってるな!」

ある日のこと…。
「あ、ピピ!」
どさっ。お友達の♂のピッピのピピがピカ君とピンクの目の前に落ちてきた。
「どうしたの?」
「大変だよ、ボスぽけ争いがおきて…。」
ピカ君とピンクは現場へと向かった。

「にゃおうっ!」
どさっ。あの♂ペルシアンが一回り体の大きいペルシアンに叩き飛ばされた。
「今日からおれがこの街のボスポケだ。」
♂ペルシアンを倒したペルシアンがどんっと胸を叩いて言った。
そして、ラピネシアに目をつけた。
「キミ、美人だね。おれ、強いよ。おれと付き合おうや、ラピさん。」
「あ…ああ…。」
ラピネシアは恐れていた。
「そんな事やっちゃだめだよ!皆仲良くしなきゃ!」
ピカ君とピンクが目の前に飛び出してきた。
「おれに逆らうっていうのか?」
「そうだ!皆を傷つけて!許さないよ!」
「そうよ!」
「面白い、おれは名のしれた有名なペルシアンだ。その名はぺル!」
「やろうじゃないか!」
ピカ君は拳を構えた。
猫と鼠の壮絶な闘いが始まろうとしている(爆

「シャアーッ!」
ぺるはピカ君に噛みつこうとした。
だけどピカ君はその敏捷な身のこなしを生かして交わした。
「誰かを傷つけるポケモンがボスだなんて嫌だ!」
ピカ君はジャンプしながら言った。
「ふん、世の中弱肉強食さ。オマエだっておれを傷つけようとしてる。」
「何かやったら必ず帰ってくる!皆が傷ついた分、僕がキミに返すんだ!」
ペルシアンがピカ君の一瞬の隙を見つけてピカ君を組み伏せた。
「ぴっ…。」
「こうさんしろ。」
「誰が…ぁっ!」
ピカ君はスパークを放った。
「あぎゃぁぁぁぁ〜!」
ペルは倒れた。
「おまえこそポケモンの中のポケモンだ…。」

「ピカ君、ピンク、ごめんよ…。」
「ごめんなさいね。」
ラピネシアと♂ペルシアンが謝ってきた。
「キミの言葉で分かったよ、ポケモンはポケモンだって…。」
「わたくしも。」
「いいよ、分かってくれれば。ね?ピンク。」
「うん!」
ピカ君とピンクはにこっと笑った。
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風のグラエナ #2☆2003.12/30(火)22:53
第2話 ピカ君パート2

「ぼくが生きていたじだいはぁ〜」
「ぴっぴぃ!!」
あみちゃんは今度の合唱コンクールの歌の練習をしていた。
その横で練習に付き合わされて(感想を聞くためらしい)いるのはピカ君。
耳ふさいでいる分には、かなり五月蝿いようだ…(爆
「なにがなんだかわからんくてぇ〜」
「ぴぃ〜!」
「しぬかぁとおもったぁ〜」
…どういう曲だ、これ。
「どお?ピカ君。あたし美声でしょ?」
「ぴっ……。」
ピカ君は迷った。
今ここで首を横に振ったら自信過剰なあみちゃんに叱り飛ばされるだろう。
しかし今ここで首を縦に振ったら調子に乗って歌いまわすだろう。
「ぴぃっ!」
お友達と遊ぶ約束があったフリをして、ピカ君は窓から脱走した。

「あ、ピカ君。」
「あ、ピンク。大変だったよう…。」
「知ってる。あみちゃんの歌の練習に付き合わされてたんでしょ?」
「うん。」
「物凄いドスの効いた声だけど…言えないわよねえ?」
「そうなんだよぉ。」
ピカ君ははぁーっと溜息を漏らした。
「そうなんだよぉ…。」
「ま、それはおいといて。スズメとりでもいこっか。」
「うん。」
ピカ君とピンクはスズメとりに出かけた。

「タイミングを見て…。」
ピカ君は低く伏せた。
目の前に標的のスズメがいる。
決してスバメを捕らえるわけではないのでご安心を(爆
「ぴーっ!」
ピカ君は一気にスズメに飛びかかった。
スズメは慌てて飛び立とうとしたけど遅かった。
「ピカ君、スズメとり上手くなったね。」
「うん。」
ピンクもスズメを捕まえていた。
2匹はスズメを放した。
スズメを捕らえるのが面白いのだ。
暫くして…。
「ん?」
ピカ君とピンクはお友達のスバメのいるリザモーネの家にトラックがと
まったのを見た。
「リザモーネ君、どうしたんだろうね?いってみようよ。」
「うん。」
2匹はリザモーネの家へ。

「はやく、リザモーネが遊びに行っているうちに荷物運び出さなきゃ。」
「ポケモンは禁止だものね。」
リザモーネのご主人様たちは、荷物をまとめてトラックに積み込んでいた。
「ぴぴぴ?」
「あら、ピカ君。リザモーネの事、頼んだわよ。」
ピカ君の存在に気づいたご主人様の一人がピカ君の頭を撫でながら言った。
ピカ君とピンクがぽかんとしている間に荷物の積め込み作業は終って、
トラックはぶーんと言いながら走って行った。
続いてリザモーネのご主人が黒い車に乗って走って行った。
「リザモーネ…。」

リザモーネはご主人達がいなくなった家へ夕方、帰ってきた。
「あれ?皆いない…どこいったのかなぁ?」
リザモーネはそこらへんを飛びまわっていたけど、また家の屋根に止まった。
「リザモーネ君…。」
ピカ君は思いきって切り出した。
「なぁに?」
「リザモーネ君のご主人様ね、リザモーネ君置いてお引越ししちゃった
んだよ…。」
「まっさかぁ…。」
「本当なのよ…。」
ピンクが俯く。
リザモーネ君は大声で鳴き出した。
「嘘だっ!ご主人様が僕をおいていく筈がないっ!今までずっと一緒だ
ったんだから!」
リザモーネは翼を広げると、そのまま矢のような勢いで飛んでいった。
「リザモーネ君…。」
リザモーネは何時までたっても帰ってこなかった…。

「人間に飼われたポケモンってさあ…人間のこと信じて自分の事を
人間に委ねるんだよねえ?」
帰り道、ピカ君はピンクに言った。
「うん…あたしのご主人様は、リザモーネ君のご主人様みたいな事
しないよ。絶対にしないよ。」
「僕のご主人様も…僕達って、幸せ者だね。ポケモンを飼うんなら
…もっとポケモンの事、理解してからにしてほしいよ。」
「そうだね。あたしおうちこっちだから。じゃーねー、ピカ君!」
「バイバーイ、ピンク!また明日!」
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風のグラエナ #3★2003.12/31(水)18:28
第3話 ラスト・ピカ君パート3

「ぴーかーくーん!」
あみちゃんは丘に立ってピカ君を呼んだ。
「ピカっ!」
ピカ君は走ってきた。
何時もの様に尻尾を振りながら。
「もっと早く帰ってらっしゃいよ、スズメとりが面白いのは分かるけど。」
「ピカ。」
ピカ君はてへっと笑った。

「うーん…。」
あみちゃんは何時もの様に凄く苦手な数学の問題に悩まされていた。
「ぴか?」
「ピカ君。あんたこの問題解けるの?」
ピカチュウの手でも借りたい気持ちであみちゃんは言った。
「ぴぃ?」
「結局解けないんじゃん。向こういっといて、集中できないから。」
「ぴぃっ!」
しかし、ピカ君は食い下がらなかった。
何時もならすんなり出て行くはずだが。
「ピカ君!あっちいきなさい!」
あみちゃんに追い出されて、ピカ君はすごすごと出ていった。

次の日の朝…。
「ぴぃ、ぴぃ……。」
「どうしたの、ピカ君朝ご飯食べないの?」
何時もなら食欲旺盛で元気なピカ君がご飯を食べないという自体が発生
した。
「ぴかぁ。」
「どうしたのかなぁ。」
あみちゃんはピカ君の頭をなでた。
「病院につれていくか。」
お父さんはご飯を食べ終わるとピカ君を抱いて病院へ。

そこで、悲しい宣告をされてしまった…。
「ピカ君…。」
お父さんは涙を拭って歩いて行った。
ピカ君はお父さんの手にはいなかった。
「ぴぃーっ!」
ピカ君の鳴き声が響いた。
ピカ君は予防接種とかでここによくお世話になったけれど…。
「ぴぃーっ!」
何時もと鳴き声が違っていた…。
「ぴぃ〜かぁ〜!」

「あれお父さん、ピカ君は?」
「入院だと。大した事ないってさ。」
お父さんは笑った。
だけど、顔がかすかに引きつっていた。

その日の夜…。
「あみ。」
「なーに?」
「ピカ君、もう死んじゃうんだって…。」
「…。」
あみちゃんの頬を、熱い涙が伝った。
「連れて帰ってやろう。」
お父さんとあみちゃんは病院へ行った。
ピカ君を、連れて帰る為に…。

「今日、ピカ君とお星様眺める約束したからいかなくちゃ。」
ピンクは家を出て屋根に登った。
ピカ君を待っていると、必死に走っていくあみちゃんとお父さんの姿が
見えた。
「…?」

「ピカ君!」
ピカ君はぐったりしていた。
「ぴぃー…。」
「おうちに帰るよ!」

ピカ君は、精一杯頑張っていた。
あみちゃんはずっとピカ君を抱いていた。
「頑張って、ピカ君。」
「ぴぃっ…。」
ピカ君は時々目を開けた。
鳴き声をあげた。

あみちゃんが、眠くなって少しこっくりしたほんの一寸の間に…。
「ピカ君?」
ピカ君は、静かになった。
お星様になった…。

「!!」
待ちくたびれていたピンクは不意に空を見上げた。
金色の星が空へ上って行った。
「ピカくぅん…お星様になっちゃったぁ…。」
ピカ君の家から、あみちゃんの声が聞こえた。
ピンクは俯いた。
ピンクは、その日一晩中、星を眺めて涙を流していたという…。

ピカ君はお星様になった。
ピカ君はもうあみちゃんの家にいないけれど、ピカ君はいなくなったわ
けじゃない。
何時も空からあみちゃんやお父さん、ピンクを眺めているよ。
       ≪ピカ♪ピカ♪ピカ君END≫
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