ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[200] 未来への扉

えるる #1★2004.02/19(木)18:34
第一章 嫌い
ここはジョウトのキキョウシティにあるポケモンスクール。
午後の授業ははてしなく暇で、どこを見ても同じ風景の砂漠に放り出されたような気分だった。ここの先生、ジョバンニ先生も「楽しい授業」なんて言っていた割には、私の知っているようなタイプの相性や状態変化のことよりも高度なことはほとんど教えない。知らないだけなのかもしれないけど。
言い忘れてたけど私の名前はクルミ。ポケモンスクールに通う10才の女の子。友達?そんなのいるわけないじゃない。自分以外を信じられない私には、友達なんてくだらない関係でしかないのよ。
「クルミちゃん、この問題を解いてみるのでありマース。」
さらに先生は手を挙げなくても指名してくる。何?格闘タイプとエスパータイプ、強いのはどっちか、だって。そんなの簡単じゃない。しょうがない、指名されたからには答えなきゃ。めんどくさいけど。
「はい、2のエスパータイプです。」
「よくできたでありマース。クルミちゃんは天才デース。」
何が天才よ。あなたたちのレベルが低いだけじゃないの?それに答える時のこの雰囲気、私は大嫌いなのよ。間違えたらすぐにはやしたてようとする低レベルな男子。「学校でならテスト以外はまちがえていいのデース。」なんていう先生。何が間違えていいだ。先生には間違えた時のこの雰囲気がわからないの?教室の一番前にいながら。大人になると子どもの気持ちなんて何一つわからなくなってしまうのよ。私はそんな世界が嫌いだ。なんで嫌いになったのかわからない。きっと親友に裏切られでもしたんだろう。きっと忘れたくて忘れたんだろう。
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えるる #2☆2004.02/19(木)18:56
第二章 希望の歌
「これで今日の授業は終わりデース。」
やっと終わった。砂漠の中にオアシスを見つけたような気分だ。
「おいタカト、今日一緒に遊ぼうぜ!」
「そうだな。どこで遊ぶ?」
となりの席の男子が遊びの約束をしていた。友達と笑い。私にはどちらとも無い。この後まっすぐ家に帰るだけ。でも帰ったところで何も無いから、湖にでも寄り道しよう。
そう思いクルミは湖の方へ歩き出した。もっともクルミの家は湖のすぐ近くなのだが。

夢はいつか本当になる♪
だから♪
希望の翼失わないで♪

湖の近くでそう歌う声がした。
希望の翼か。私の翼はもう消滅してしまっているか、折れてしまっているだろう。

あなたならできる♪
喜びを生むことも♪
悲しみを消すことも♪
あなたにしかできないこと♪
きっとあるはずよ♪

私にしかできないこと、か。この年でこんなことを考えたら大人達に生意気と言われる。通常ならね。でも私の場合、この考えが深すぎて逆に気味悪がられるって状態。
歌い終えるとその女は氷のように青く冷たい翼を持つ鳥ポケモン───フリーザーに乗ってどこかへ飛んで行った。
「フリーザー」。伝説の鳥ポケモンの内の一匹。伝説ポケモンっていうのは各種世界に一匹しかいないって思ってる人がいるけど、それは間違い。伝説っていうのはただ数が少ないってだけで、一匹だけってわけじゃないのよ。───まぁ、中には本当に一匹しかいないのもいるけどさ。
クルミはそう思いながら家に入った。
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えるる #3★2004.02/21(土)19:44
第三章 新聞記事
クルミは家に入ると何気なくそこにあった新聞を読んだ。
[地図にも載っていない小さな島、シアン島で2人の少女がロケット団を倒す
先日、地図にも載っていない小さな島、シアン島でたった2人の少女、ルリハさんとイナホさん(右下の写真)がロケット団幹部を倒す所を我が新聞社のオニスズメが撮影に成功した。ルリハさんはなんと伝説のポケモン、サンダーを使ってロケット団幹部のこれまた伝説のポケモン、フリーザーと戦った。一見サンダーがすぐに勝ちそうだが、戦いは予想以上に困難で、最後にはルリハさん自身がせんせいのツメをもってフリーザーのボールをこわしてフリーザーを見方につけた。]
そこまで読むとクルミは右下の写真を見た。その人、つまりルリハはなんと今さっき湖のほとりで歌っていた女だった。
フリーザーを連れてここジョウトに何の用で来たのか。ここでもロケット団を倒そうとでも言うのか。いちいち他の地方に手を出すな。そんなのただのおせっかいだ。伝説ポケモンを持っていると言っても、トレーナー自身が強くなくてはいけない。ただ強いポケモンを持っていると言って自分の力を過信してはいけないのだ。
「ニューラ、そこのリモコン取って。」
クルミはニューラの取ってきたリモコンでテレビを点けた。ちょうどラジオ番組収録のことについてやっていたのでひまつぶしとして見ることにした。だがクルミはテレビとは別のことを考えていた。
私は今、何をすればいいんだろう。宿題?そんなの15秒でできるわ。掃除?そんなのヤミカラスのふきとばしで一瞬よ。そうよ、私のやるべきことは、戦うこと。戦うことで、いやなことを忘れることができる。もっとも、相手がいればの話だけどさ。
クルミはそんなことを考えているうちに寝てしまった。
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えるる #4★2004.02/23(月)16:26
第四章 味方
周りはみんな敵 私の味方は一人だけ。
その味方とは この私。
私以外はみんな敵…
みんなみんな私に消えて欲しいんだ。
きっと きっと きっと…

クルミは目をさました。もう朝だった。
「クルミー。ご飯よー。」
母の声がした。
「いらなーい。」
私は答えた。ご飯を食べる気になんてなれない。なんでか知らないけど。
するとクルミはテレビのニュース番組を見た。いつも通り変わらないスタジオが映し出される。
もう時間だ。またはてしなく暇な砂漠に行かなくてはいけない。湖の上を飛んで行けば一番早いだろう。しょうがない。今から行くか。
「ヤミカラス。学校までおねがい。」
クルミはヤミカラスにつかまって学校を目指した。
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えるる #5☆2004.02/29(日)17:50
第五章 バトル
「今日はみんなでポケモンバトルをしマース!今日は本気で、自分の一番得意なタイプを使いまショー。目指せジムリーダーデース!」
ところどころで「よっしゃぁ!」とか「やったー!」、「え〜。」などと言った声が聞こえる。
バトル…か。少しは暇じゃなくなるかな。でも、わざわざフルメンバーを使う必要もないな…。
「じゃあ、二人一組でバトルスタートデース!」
私はクラスで二番目、つまり私の次に強い…と思われているツバサと戦うことになった。強いと思われているというのは、私は学校で一度も本気を出したことがないからだ。
「俺の得意なタイプは「ひこう」!行け、ピジョン!」
ピジョンか。あのレベルでは私のノコッチでも倒せる。でもここはすぐ終わらせたいし「電気」で行くか。
「私の使うタイプは電気…。」
そこまで言うと次は強い声で
「行け、マイナン!」
と言った。相手が声にひるんだ一瞬の隙に、あらかじめマイナンに指示しておいたでんげきはがピジョンにとんだ。
「ピ…ジョン?」
一匹目は目にも止まらぬスピードで倒した。
「速い…。なら次はヨルノズク!さいみんじゅつ!」
「こうそくいどう。」
クルミは軽くそう言った。マイナンは軽くさいみんじゅつをよけていった。
「スパーク。」
またも一撃で倒した。
「なら…エアームド!スピードスター!」
電気がふつうにしか効かないエアームドと必ず当たるスピードスターか。
「マイナン、守る。そのまま10まんボルト。」
クルミが指示するとマイナンは指示した通りに動いて、エアームドを倒した。
「あれ…もうポケモンがいないや。」
周りを見るとみんなまだ戦っていた。
「バトルが終わったところから帰っていいデース!」
先生がそう言った。そのとき何か気配を感じて振り向いた。植木の向こうに一瞬何かの影が見えた。
家に帰っても暇だ。どうせならあれが何か確かめよう。
「アブソル、あの影を追うよ。」
そう言うとクルミはアブソルに乗って影を追った。
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えるる #6★2004.03/03(水)19:48
第六章 華麗なる悪ポケモン使い
影はかさかさと木の葉を揺らしながら走っていく。
わりと小型で、黒いポケモンとその主人…と言ったところだろうか。追いかけるほどにスピードを増している。
しばらく走って学校からだいぶ離れると、その影は急に止まり、こう言った。
「あたいに何か用かい?」
そう言ったのは黄色の髪の女トレーナー。そのとなりには耳と尻尾に黄色の輪の模様が入った黒いポケモン。
「テレビで見たことがある…。四天王の一人、カリンか?」
クルミは自分より年上と思われる人物に冷たい目で言った。
「ああそうさ。あたいが四天王の一人、華麗なる悪ポケモン使いのカリンさ。こいつは相棒のブラッキーさ。で、何の用であたいについてきた?」
黄色い髪のトレーナー、カリンは答えた。
こいつが四天王の一人か。なら、なぜセキエイからわざわざこんなところに来たのだろう。そしてなぜ私をここに来させたのだろう。
「用があるのはそちらではないのか?」
クルミが相変わらず冷たく言い放つ。
「アハハハハ!なかなかな根性してんじゃねぇか。普通のやつならあたいの名前を聞いたらすぐ帰ってくってのに。しかもそのままその質問とは。なかなか勘も鋭いじゃんか。まぁ、答えてやるさ。なぜあたいがおまえだけをここに連れてきたのかを。」
相手が何を考えているのかがなかなか読めない。さすが四天王だけのことはある。
「いいか、あたいはお前に虹色のポケモン、ホウオウを捕まえてほしい。」
何と言い出すかと思えば。ホウオウを捕まえろだと?そんなのこっちからお断りだ。
「断る。私は捕獲が得意じゃない。」
「アハハハ!そう言うと思ったよ。でもあんたの才能は本物だよ。あたいもその噂を聞いてここに来た。変なやさしさや甘さのない完璧なあんたとあんたのポケモン。だから強い。別に捕まえなくてもある場所の上空に連れてきてくれればいいのさ。さあどうする?」
才能、か。別に私もひまだし、やってもいいか。伝説のポケモンの捕獲。家には新しいポケモンを捕まえに行くとでも言っとけば。
「…やる。」
「じゃあ決まりだね。いったん家に事情を話す…というか言い訳でもしてからセキエイ高原に来な。待ってるよ。」
そう言うとカリンはオニドリルに乗って帰って行った。
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えるる #7★2004.03/14(日)16:32
第七章 今、旅立ちの時
ホウオウ…か。
さっきは勢いで引き受けると言ってしまったが、伝説相手に私ごときが勝てるわけない。それにもともと私には関係のないことだ。
このまま逃げてしまおうか──
だが、相手はポケモンリーグ四天王。私を発見し、追うことなど容易いだろう。ならば逃げたって同じだ。ここは引き受けてみるか。
…私のガラじゃないけど。
クルミはパパッとバックにモンスターボールやきのみをつめこむと、ヤミカラスを出した。
「お母さん、ちょっとポケモンを捕まえに行ってくるね。」
「あらそう。クルミにしては珍しいわね。捕まえに行くなんて。」
するとクルミは無言でヤミカラスに掴って、セキエイに飛んだ。
一方、セキエイ高原では──
「フェフェフェ。ねぇカリン、本当にあんな小娘に任せてよかったのかい?」
「あぁ。あいつは私の見込んだ天才だよ。」
「フェフェフェ。なら安心だ。あんたの目は鋭いからねぇ…。」
「あぁ。あいつ…クルミとか言ったっけ。あいつの目も私のように鋭いよ。アハハハハ…」
「フェフェフェ…」
セキエイ高原での会話。それはキクコとカリンのものだった。
そしてここには、今まさに歴代四天王とダイゴを除いたホウエン地方の四天王が集結しようとしていた。
そこにクルミも向かうのだった──
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えるる #8★2004.03/18(木)19:31
第八章 四天王の計画&VSボーマンダ
「そろそろ…来るかな。」
カリンが双眼鏡で外を見た。
「今トージョウの滝のあたりかな、ホウエンの四天王は。クルミはワカバの上空…あたりかな。」
カリンは双眼鏡を覗いたまま左右を見た。
「やっほー。ひっさしぶりぃ。」
カリンの後ろから声がした。振り向くとそこにはカゲボウズを連れたホウエン四天王の一人がいた。
「やっと一人来たか。久しぶり、フヨウ。」
カリンの後ろに来たのはそう、フヨウだった。
「他のみんなもすぐ来るよ。あっ、来た来た。」
部屋の入口にはカゲツ、プリム、ゲンジが来ていた。
「集まったね。じゃあ、今回の計画を説明するよ。」
カリンが席についた。
「いい、今回の活動のねらいは、ホウオウとルギアを捕獲して、我ら四天王の名をあげ、いつでもこの世界を征服することができるくらいの力を手にすること。それと、ホウオウとルギアだけでなく、ポケモンマスターと歌われたあいつでさえ手に入れられなかったポケモン3匹のうちあのポケモンを───」

四天王の計画が進む一方、クルミは───
「…野生のボーマンダ、か。」
クルミは、凶暴な野生のボーマンダに出くわしていた。
…おかしい。ホウエン地方にしかいないはずのボーマンダがこのジョウト、しかもワカバタウンの上空にいるなんて。
「おーい!君、危ないぞー!早く離れてー!」
そう考えた時、下から声がした。そこにいたのはポケモン研究者のウツギ博士。
なるほど。このボーマンダはあいつがホウエンから取り寄せた研究資料か。
「はーやーくはーなーれーてー!」
離れてもボーマンダは私を追って来るだろう。そうなると厄介だ。しょうがない。ここは倒すしかないか。
「下、どいて!ボールを用意!」
「へ?」
「早く!」
「は、はい!」
まったく、こっちは急いでるっていうのにトロい研究者だな。
「いけ、マリル!」
クルミがマリルをボールから出すと、マリルはボーマンダの背中に乗った。
「れいとうビーム!」
ボーマンダは凍って下へ落ちていった。
「早くボールに!」
「はっはい!あ、あれ?ボ、ボールがない!」
ったく世話のやける研究者だ。
「ポッポ、ヤミカラス!ボーマンダを掴め!」
クルミのボールから出た5匹のポッポとヤミカラスは、ボーマンダを掴むとゆっくり地上に降ろした。
「あ…ありがとうございます!」
ウツギ博士は深く頭を下げた。
「…行くよ、ヤミカラス。」
クルミはそう言うと目的地へ向かった。
「本当に、ありがとうございます!」
遠く後ろからウツギ博士の声が聞こえた。
「はぁ…すごい女の子だなぁ…。」
「博士!博士!これを見てください!」
あわてた助手が博士に渡した紙には、クルミの写真が載っていた。
「も、もしかしてあの子は…。」
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えるる #9★2004.03/22(月)17:57
第九章 ポケモン図鑑
さっきので少し時間をくってしまった。
それと…そろそろ四天王と対面するのだからメンバーも整えておくか。
クルミはバックからポケモン図鑑をとりだした。そして、ボックスメンバーの画面を出して、携帯転送システムを使ってポケモンの整理をはじめた。
四天王が相手だからと言って、いきなりフルメンバーで戦うのも能が無い。ここはいつものメンバーのタイプを整えたものにしておくか。
「ヤミカラス、急げ。」
クルミは指示を出しながら、ボールの確認をした。
「行くよ、セキエイへ。」

「博士、やっぱりあの子は…。」
「や、やっぱり、そ、そうなのかな…。」
クルミが倒したボーマンダの前で、ウツギ博士とその助手が、そんなことを言っていた。
「そ…そういえば一瞬あの子がオーキド博士の認めた10人とオダマキ博士が認めた2人、それとオーキド博士から盗まれた1つの図鑑の所有者、合わせて13人しか持っていないはずポケモン図鑑を持っていた…。」
「となるとやはりあの子のお父さんは…。」
「しかもあの子はセキエイに向かった。…いくらあの人の子どもでもあの年であそこにいっちゃ危ない!」
「早くオーキド博士に連絡しなくては!」
そう言ってウツギ博士はポケモンギアを取った。
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えるる #10☆2004.03/19(金)19:33
第十章 テレポート
「ここがセキエイ高原か…。」
扉の前に立つと、クルミはそう言った。それと同時に、植木の陰に隠しカメラがしかけてあることに気づいた。
…建物の中から誰が来たのか見張っているのか。
そんなことを考えながら、クルミは建物の中に入った。
「あなたがクルミちゃんかい?」
建物に入った途端に一人のケーシィを連れたおじいさんに引き止められた。
「そうだけど。」
クルミは冷たくそう言い放つ。
私がクルミであると分かっているくせに。この私が植木の所の隠しカメラとお前の杖に隠してある小型モニターに気づかないとでも思ったのか。
「ならさっそく、四天王のとこにテレポ〜〜ト!」
見張っていたのはそのためか。
そう考えている間にもクルミは四天王の部屋へ飛ばされていく。
「遅かったね、クルミ。」
カリンの声だ。もうついたのか。まぁ、テレポートだから早いのは当たり前だけど。
「この子なの〜?カリンがえらんだって子は〜?」
この声…テレビで聞いたことがある。…ホウエン四天王の一人、フヨウだ。それによく見るとかなりの人数がいる。おそらく全員ポケモンリーグ四天王だろう。
その時クルミは気づいた。これだけの人数の四天王が集まっているということは、これは壮大な四天王の計画であり、私はその重要な役目を背負っているということに。…もっとも、クルミにはそんな計画、いや、悪事に加担する義務もないのだが。
「そうさ。こいつ、クルミに我ら四天王の征服計画の任務を任せるのさ。なにか不満か?」
「いや、とってもいいと思うよ。ね、カゲツ?」
「そうだな。」
クルミの横で話が進んでいく。
「ちょっと、その前にこれはどんな計画なのか説明とかはないの?」
クルミが聞いた。
「あぁ、これからするさ。でもいろいろ資料の準備があるからちょっとそこでお茶でも飲んで待ってろ。」
そう言ってカリンはテーブルを指差した。
この計画…征服計画に私は参加する。なぜ私なのか?おそらくこの計画を四天王と私以外が聞いたらたちまちさっきのテレポートでどこか無人島にでも飛ばされてしまうだろう。私がこの計画に参加していい理由は…私があの父の才能を充分に継いでいるからだろう。
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えるる #11☆2004.03/25(木)20:27
第十一章 狙い
「はい、これが資料。」
そう言ってカリンはクルミにファイルをわたした。そこにはホウオウやルギア、セレビィに関することが色々書かれていた。
「んじゃ、説明するけど、あたいらのねらいはホウオウとルギアだけじゃない。まぁ、この2匹は捕まえないと後々邪魔になるからね。」
カリンがそう言った。
…違う。邪魔になるから捕まえるというだけではないだろう。欲しいのは「羽」だろう。そしてその目的は…
「そう、本当の目的は…時渡りポケモン、セレビィを手にすること!」
やはり本当の目的はセレビィか。そう、もはや私の中の記憶から消え失せようとしている私の父ですら届かなかった遥かなる存在。
「あたいらはこのセレビィを手にし、過去へと戻って…」
そこまでカリンが言うと、
「歴史を変える。」
とゲンジが呟いた。
…何だって!?歴史を変えるだと!?過去の人物と少しでも関わったら、今この世界にいる自分が消えるかもしれないのに!
「あぁ、安心しな。歴史を変えたあと、あたいらは時を旅して、またこの時間へ戻ってくる。それで文句はないだろ。」
そんな無茶な。いったんこの時間を抜けて、またこの時間に戻ってくるなんて。…と本来なら思うが、セレビィは自分の思う場所、時間に「時渡り」をすることができるからそこまで重大でもない。
───もし、本当に時を、時間を超えられるなら、会いたい。今は行方不明の父に。ポケモンマスターと謳われ、世界から褒め称えられた父に会いたい。私にほぼ完成したポケモン図鑑とメインメンバー以外のポケモンを全て残して行方がわからなくなった父に会いたい。
そう思うと泣きたくなってきた。いやだ、泣きたくなんかない。私は強いんだ。誰かに守ってもらうほど、弱くなんかないんだ。
私は、強いんだ───
クルミは必死に自分の感情と戦っていた。
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えるる #12☆2004.04/01(木)20:16
第十二章 始まり
「で、ホウオウがスズの塔に帰ってくる時間を分析することにあたいたちは成功した。その時間は──」
カリンたちはそのまま話を続ける。
「3日後の正午ぴったり。」
「3日後ぉ?!やけに時間が足りなくないか?」
思わずさけんでしまった。
「でもあんたなら平気だろ?今日出て、ヒワダの方を周っていけば警察の手も薄い。怒りの湖にはこないだロケット団がバカやったせいで警察が集まってる。でもその影響で逆に前に事件があったヤドンの井戸の方の警備が薄くなったというわけさ。分かっただろ?」
「まぁ…。」
「んじゃ、出発だな。クルミはホウオウ、あたいとフヨウとワタルはルギア、イツキはウバメの森で待機、残りは適当にスイクン、ライコウ、エンテイをたのんだよ!」
その言葉にクルミは違和感を覚えた。
「ちょ…なんで私だけ一人なんだ?」
「あぁ、ホウオウは大人数で行くと姿を現さない。それに相手が子どもだと油断するだろ?」
…そうか。
「じゃ、行くよ!」

一方、ワカバタウン研究所──
「オ、オーキドはかせぇ〜〜。うぎゅっ。ぐすっ。ひっく。」
「どうしたんだ、ウツギ君!」
ウツギ博士がポケモンギアでオーキド博士と連絡を取っていた。
「くるっ、くるっ、」
「なにがくるんじゃ!?」
ウツギ博士は首を横に振った。もっとも電話だからそんなのはオーキド博士には伝わらないのだが。
「ちがっ、ちがっ、…あぁ、もう。えっと、ウツギ博士は心配とオーキド博士と話すことによる緊張でまともに話せないようなので助手の私が代わりに説明します。」
助手がウツギ博士の電話を取った。
「で、何じゃ?」
「あの、クルミちゃんがセキエイに向かうのを見たんです。ポケモン図鑑を持って。」
「何ぃ!?ポケモン図鑑だと?!しかもセキエイへ?!でもわしはクルミなんて名前の子に図鑑をわたした覚えはないぞ?」
電話の向こうでオーキド博士が混乱しているのが分かった。そのあとぶつぶつと「じゃあ図鑑を盗んだのは女の子だったのか?」とかいう声が聞こえた。
「ちがいますよ!クルミという名前で思い出しませんか?」
「クルミ…図鑑…はっ!じゃあもしかして…」
「えぇそうです。」
「それしか考えられん。でもセキエイに何の用が…。」
「で、博士が想像しているあの子が図鑑を持っているわけは?」
「父からあずかった…そう、ポケモンマスター、レッドから!」
「やはりそうですか。私とウツギ博士もそう思ってました。」
「こうしてはおれん!はやくわしもセキエイへ!」
「え?博士?」
プツン。ツーツーツー…
「電話、切れちゃった…。」
そのとき、上空をピジョットに乗ったオーキド博士が飛び去って行くのが見えた。
「無理しないといいけど…。」
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えるる #bak13☆2004.04/02(金)19:29
第十三章 出発の時
「じゃあ、各ポケモンを捕まえたらウバメの森に集合だよ!時間は3日後の正午、いいね?じゃ、出発!」
カリンがそう言うとそこにいた四天王は散り散りになった。
私も───行く!
クルミはヤミカラスにつかまってチャンピオンロード、ワカバ、ヨシノと町の上空を飛んでいく。


その少し後のセキエイ───
「あ〜〜らおじいさん、四天王に挑戦?あいにく今はお留守なの。」
「違う!クルミちゃんと言う子が来たじゃろ!あの子はどこにいるんじゃ?!」
例のテレポートおじさんとオーキド博士が言い合っていた。
「あ〜らクルミちゃんの知り合いなの。じゃ、あなたの研究所までテレポ〜〜〜ト!」
「いかん!ピジョット、どろぼうじゃ!」
「あ、その書類はだめ〜〜〜!ドロボー!おまわりさ〜ん!」
テレポートおじさんが叫んでいる間にもオーキド博士はジョウトのポケモン第二研究所へと飛ばされていく。
「あ〜〜返して〜〜〜。」
建物の中にテレポートおじさんの悲しい声が響く。
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えるる #bak14☆2004.04/06(火)17:41
第十四章 上空
「ふはぁ…やはり飛ばされてしまったか。」
ヨシノシティ郊外にあるオーキド博士第二研究所に博士は飛ばされていた。
「あぁ、ピジョット。さすがグリーンのポケモンだけあるな。ものすごいすばやさじゃ。」
博士が言うとピジョットは博士にさっき「どろぼう」した書類をわたした。
「ありがとうよ。どれどれ…。」
博士は書類に目を通した。
[セレビィ捕獲計画]
我々は遥かなる伝説の存在であるホウオウ、ルギア、セレビィを手にし、時を支配し、そして世界を変える。───
「なんということじゃ!このままでは本当にクルミちゃんが…早く警察に連絡せねば!」

ちょうどその上空───
…なぜわざわざウバメの森の上空を通って行くようなんだ?べつにそのままエンジュで待っていてもいいような気もするのだが───
博士が慌てているまさにその時、クルミは丁度その上空にいた。
そしてその時、クルミの視界に光が入った。もう夜なのに。
なるほど。そういうことか。 
そこにはかなりの人だかりができていた。
そう、今日は2年に一度、一週間行われる祭りの日だったのだ。
そしてそれは、ホウオウが帰ってくる日に重なる。
そんなたくさんの人の上空を飛んでいては絶対に見つかってしまう。そういうことだろう。
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ログ飛びで消えちゃったみたいです…。
#bak13#bak14Internet Archive から復元しました。(ほかんこ)
えるる #14☆2004.05/09(日)15:09
第十八章 スズの塔
ミズホと別れたあと、クルミは空を飛んだり地中をすすんだりしながらスズの塔に来た。
そして、一気に最上階までとんだ。
…そこに、ホウオウはいた。まだ二日目なのに。
クルミがおどろいていいると、ホウオウは「待っていた」というようにクルミに近づいてきた。
そして、かってにボールの中に入った。
「…え?」
クルミが呆然としていると、こんどはヤミカラスが勝手にクルミをつかんでウバメをめざして飛んだ。
「ちょ…何?ヤミカラス!」
それでもヤミカラスは飛ぶ。
なにかにひきよせられるように。
そしてクルミは森のほこら付近で戦っている人影をみた。四天王全員を相手に互角に戦う者…。
「…!!」
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えるる #15☆2004.05/09(日)15:24
第十九章 みつけた光
「…お父さん!」
まちがいない。
あのリザードンの傷、赤い帽子。
「お父さん!私だよ!クルミだってば!」
必死で戦うレッドにその声は届かない。
ほこらは閉まりかけている。
まもなく、四天王は倒された。
たった一人の手によって。
「お父さん!」
クルミは駆け出す。
「…クルミ?なぜここに?」
「ちょっといろいろ。お父さんは?」
「セレビィを捕まえようと思ったら時のはざまからぬけだせなくなってしまってな。こいつらがほこらをあけてくれたから出てこれたってわけだ。」
そう言ってレッドは四天王を指差す。
「じゃ、帰ろうか。」
クルミはまた日常にむかう。でもこんどはあの砂漠ではなく、幸せの泉へ。



それから10年後。

《夢はいつかほんとになるって♪
誰かが歌っていたけど♪
つぼみがいつか花開くように♪
夢は叶うもの♪
あぁ、あこがれの♪
ポケモンマスターに♪
なりたいな♪
ならなくちゃ♪
ぜったいなって、やるー♪

ポケモンミュージッククルミちゃん特集、どうだったかなー?
じゃ、また次回!》

私は歌手になった。
あの事件いらい、私のようなさみしい子を減らすため。
心の闇を、消してあげるため。
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[200]

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ぴくの〜ほかんこ