ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[21] 伝説の秘宝を求めて

糸杉美理佳 #1☆2003.07/15(火)13:18
えと、これは私が以前書いていた小説の、かなり前の時間設定ということで。
何故サトシ達が「神聖なる秘宝」の継承者になったか、という話です。
ぶっちゃけた話、パラレルパロディです(汗

第1話 にじいろのはねの伝説

「…やったぁー!これで俺は世界一のポケモンマスターになったわけだ!」
ここはポケモンリーグの開催されているスタジアム。
我らが主人公・サトシは、決勝戦で見事勝利し、栄光を手にした。
勝利の興奮冷めやらぬ中、眠りに就いた彼は、不思議な夢を見た。
何かが、虹色の霧の中から自分に語りかけてくるのだ。
「私を助けて…私を守ってほしい…」
遠くから聞こえてくるような微かな声で、霧の向こうの何かが言った。
助けを求めているようだ。
「だっ、誰なんだ、そこにいるのは!?」
「それはまだ言えない…兎に角、私を助けて…」
それだけ言うと声はやみ、霧は一瞬金色に輝くと消えた。
辺りを見回しても、誰もいない。
「今のはいったい…?」
そこでサトシは目を覚ました。

「あの声は何だったんだろう…」
夕べ見た夢がまだ頭に引っかかっていて、サトシの顔は晴れなかった。
どんっ!
「きゃっ!?」
「うわ!?」
で、前方不注意で誰かに激突してしまった。
「い、いたたた…あ、お前は…」
「ん?…あっ!サトシじゃないの!」
サトシがぶつかった相手、それは幼馴染兼恋人のマリナだった。
「そんなに浮かない顔しちゃって…どうしたの?」
「なぁ、聞いてくれよ。実は俺、夕べ不思議な夢を見たんだ…」
そこでサトシはマリナに夢の内容を語り聞かせた。すると…
「私も似たような夢を見たわ!」
「何っ!?それはほんとかっ!?」
「えぇ…でも私の場合、霧は虹色じゃなくて銀色だったわ」
「銀色?…こりゃ何かありそうだな」
すると突然、二人を不思議な霧が包んだ。
サトシのいる側は虹色に、マリナのいる側は銀色に輝いている。
「ちょっと、これ…!」
「夢の中と同じだ…!」
ふと見ると、霧の中に何かの影が躍っている。
目を凝らすと、それはたくさんの羽根だった。
「羽根…?」
「羽根、そして虹色と、銀色…あっ!」
急に、何かを思い出したようにサトシが声をあげた。
「どうしたの?何かわかったの?」
「あぁ、これはきっとあの伝説だ!」
その声に反応するように、無数の羽根が渦巻く謎の霧は消えた。
そこで二人はエンジュシティの図書館に行き、古文書を漁り始めた。
「…おっ、あったぞ!『にじいろのはねの伝説』だ!」
「どれどれ?」
「えーと、『昔ホウオウが人の欲深い心を嘆いて姿を消した時、1枚の虹色の羽毛を残していった。それは世界を救うに相応しい者を求め、それに語りかける』…とさ」
「それじゃ、サトシが見た夢の声の主は…」
「あぁ、間違い無い。このにじいろのはねが俺を呼んでいたんだ!」
「じゃぁ、私のは…あっ、これかしら!?」
マリナが指差したページには、「ぎんいろのはねの伝説」とあった。
これとにじいろのはねの伝説とに、何か関わりがあるのだろうか…?

続く…
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糸杉美理佳 #2☆2003.07/17(木)11:30
第2話 いきなりの試練

「…『昔、凄まじい嵐が起きた時にルギアが荒れ狂う海を鎮めた。しかし、その力を悪用しようとする者が現れたので、身の危険を感じたルギアは1枚の羽毛状の鱗を洞窟の奥に残して何処かへ消えた。その鱗は今も、激しい潮流に守られながら自分を守る者を待っているという』ですって…」
「う〜む、この2つの話には何か共通点があるな。きっとホウオウとルギアの間に、何かあったんだろう。続きを読んでくれ」
「えーと、『その後ホウオウとルギアは人目につかないような何処かにその姿を隠し、ひっそりと生き続けているという。しかし、この2匹が出会ったという話は聞かない』…だって」
「もし2匹が出会ったら、どうなるんだろう…」
「とにかく、私達がそれを守る使命を受けたのよ。何としてでもそれを探しに行かなくちゃ!」
「あぁ、そうだな!しかし、何処にあるんだろう…?」
二人の試練は、この時既に始まっていたのだった…。
ふと、何時の間にか開いていた窓から、風が吹き込んできた。
それと同時に、白い羽が二人の目の前にふわり、と舞い降りた。
「ん?何だこりゃ…こっ、これはっ!?」
「どうしたの?」
「おい、見ろよ!羽に文字が…!」
「どれどれ…あっ、ほんとだ!で、何て書いてあるの!?」
「『2つの塔が並びし町に、巨大な光舞い降りき。世界を救う力、その塔に眠れり』…これって…!」
「2つの塔…焼けた塔とスズの塔のことかしら」
「だとすると『2つの塔が並びし町』というのは、ここじゃないか!」
「裏側にも何か書いてあるわ!『激しき潮流渦巻く海の、見捨てられし4つの島に、もう一つの力、静かに時を過ごせり』…」
「『2つの力出会いし時、世界を救う光現れん。その光の中より、新しき世界生まれ出でん』か…」
「この力を悪用されたら、間違いなくこの世の終わりね!…『力の在り処を見つける鍵、焼け落ちた塔の中にあり』?」
「そうか、第1のヒントは焼けた塔の中だ!」
二人は立ち上がり、焼けた塔へ駆け込んだ。

焼けた塔は、文字通り戦火に焼かれて瓦礫と化した塔である。
崩れた天井から降り注ぐ太陽の光だけが、暗い内部を照らす。
「こんなところにホウオウのレリーフが…」
「その下に何かいるわ!1、2、3匹も…何か関係があるのかしら?」
と、その刹那。
みしみし…ばきぃっ!
「えっ!?…うわぁっ!」
「きゃーっ!」
朽ち果てた床板が二人の重みに耐えかねて崩れ、二人は階下へ墜落していった!そして…
どさぁっ!
硬く冷たい石の床に、強かに叩きつけられた。
「う…い、いたたた…」
激痛に耐えながら、やっとの思いで起き上がる二人。
「それにしても、あんなに高いところから落ちたなんて…」
「出口も見つからないし…どうしよう…んっ!?」
「何?そこに何かいるの…こっ、これは…!」
ふと、何かの気配を感じて振り返ると、そこには何か大きな生物が3匹もいた。
果たして、二人の運命は!?

続く…
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糸杉美理佳 #3☆2003.07/21(月)14:18
第3話 ライコウ、エンテイ、スイクンとホウオウ

目を凝らすと、そこにいたのは上の階のレリーフにあったのと同じポケモン…ライコウ、エンテイ、スイクンだった。
「お前達は何者だ?」
ライコウが言った。すかさずサトシが返答する。
「俺はサトシ、世界一のポケモンマスターだ。隣は連れのマリナだ。実を言うと俺達は伝説の『にじいろのはね』と『ぎんいろのはね』に導かれて…」
「ほぉっ、ホウオウに選ばれたのか?」
興味を引かれたような口調でエンテイが言った。
「どうやらそのようだ。ところで、上の階のレリーフが本当なら、お前達とホウオウとの間に、何かあったのか?」
「あぁ、そしてルギアとの関係も多少あるがな」
「えっ、ほんとに!?」
スイクンの言葉に、マリナは驚いた。
「あぁ。ホウオウとルギアには密接な係わり合いがあったんだ」
3匹はこの塔と自分達、そしてホウオウに纏わる話をした。
「ホウオウは元々、この塔に舞い降りていたんだ。しかし、貪欲な人間がその力を利用しようとしたため、長い戦でこの塔は焼かれ、我々はそれに巻き込まれ、燃え盛るこの塔に閉じ込められてしまった…」
「ホウオウは嘆いて姿を消す前に、我々を助け、この塔でひっそりと生きるようにしてくれた。そして新たに建立された塔に、自分の羽…そう、『にじいろのはね』を残し、何処かへと去っていったんだ…」
「それで、その『にじいろのはね』が、自分の分身のような役割を果たしている、というわけなんだな?」
「まぁ、そんなところだ。ホウオウが持つ力は『陽』の力、そしてルギアはそれを補う『陰』の力を持っていたんだ」
「『陰』と『陽』か…」
「『世界を救う力』とは、この2つのことだったのね」
3匹の話で、謎を解く第2の鍵を得た二人。
果たして、次に何が待ち構えているのだろうか…?

続く…
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糸杉美理佳 #4★2003.07/24(木)14:02
第4話 誰がために鈴は鳴る

ライコウ、エンテイ、スイクンから第2の鍵は隣のスズの塔にあると教えられ、二人はそこへ行くことを決意した。
「出口は1階にしかなさそうだ。ここから出るには一旦上の階に上がらないとな…」
「でも、どうすんの?3匹はここから出るわけにはいかないみたいだし…」
「俺に任しとけって。ピジョット、出て来い!」
サトシがモンスターボールを放り投げる。すると、眩い光が溢れ返り、中からピジョットが姿を現した。
その背中にサトシが乗り、言った。
「マリナを掴んで飛び上がってくれ」
ピジョットはばたばたと羽ばたいてマリナの頭上に飛び上がり、彼女の両肩をしっかりと掴んだ。
次の瞬間には、マリナの両足は、地面から離れていた。
「二人共、気をつけるんだぞ!」
3匹が言った。二人も手を振り返す。

焼けた塔から出た二人は、スズの塔の目の前にいた。
「第2の鍵はきっとこの中だ…!」
「そして、『にじいろのはね』もここに眠っているのね…!」
二人はゆっくりと、辺りを警戒しながら中へと進んでいった。
天井の四隅には、金の鈴がぶら下がっていた(だから『スズの塔』と呼ばれているらしい)。
それが、じゃらららららん…と喧しく鳴り響いているのだ。
普段ならこの鈴は鳴っておらず、ホウオウが降臨した時にだけ鳴るのだという言い伝えが、このエンジュシティ一帯に広まっている。
「ということは、ホウオウの力がこの塔にあるのね…」
「まぁ、『にじいろのはね』を残してったんだから当然だろう」
最上階まで上がると、そこにはまた違う鈴がぶら下がっていた。
水晶で出来ているような、透き通った綺麗な鈴だ。
それは、この世のものとは思えないほどの、澄み切った音色を響かせていた。
「『とうめいなすず』だ!しかも、鳴っている…!」
「スイクンの言った通りだわ!これが第2の鍵ね!」
そう、あの後スイクンはこう語ったのだ。
「ホウオウが舞い降りる時、スズの塔の中の鈴が一斉に鳴り出すんだ。中でも最上層にある『とうめいなすず』はちょっと特別で、その力が強くなった時初めて鳴り出すんだよ」
二人はこの何処かに『にじいろのはね』があると見極め、部屋中をくまなく探し回った。しかし、何処にも見当たらない。
「おかしいなぁ…確かにここのはずなんだがなぁ…」
「?…あっ!ちょっと、これ見て!」
マリナの声にサトシが振り向くと、彼女が鈴の一つを指差していた。
よく目を凝らして見ると、光の文字が浮かび上がっている。
「…こっ、これは…!」
それは、こう読み取れた。
「『陽の力』を呼び覚ますには、『陰の力』が必要なり。『陰の力』、渦潮逆巻く絶海の孤島に眠れり」
「そうか、『にじいろのはね』を見つけるには、先に『ぎんいろのはね』を手に入れないといけないのか…」
「渦潮逆巻く絶海の孤島…渦巻き島のことかしら」
「あぁ、『ぎんいろのはね』はきっとそこにあるんだろう」
二人は暫く、「とうめいなすず」の奏でる音色を聞きながら、天井を見上げていた。
「(きっとあそこに、俺を呼ぶものがあるんだ…!)」
「(私を呼ぶものとそれが出会ったら、何が起こるのかしら…)」

続く…
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糸杉美理佳 #5☆2003.07/25(金)16:04
第5話 荒波の中の光

謎を解く第3の鍵と、『陰の力』こと『ぎんいろのはね』を捜し求めに、二人は渦巻き島へと向かった。
「この辺り一帯の潮の流れはとても速いし、海もかなり深いわね」
「あぁ、それならルギアにとって、自分の鱗を隠すのに好都合だろうな…」
「でも、島は4つあるわ!どの島に隠されているのかしら…?」
「よく考えてごらんよ、あの島々はそれぞれ『青岩島』、『黄岩島』、『赤岩島』、『銀岩島』と呼ばれているんだ」
「青、黄、赤、銀…そうか、『ぎんいろのはね』が隠されているのは、銀岩島に間違い無いわ!」
「よしっ、そうと決まれば話は早い!カメックス、頼むっ!」
サトシはカメックスを繰り出し、二人はそれに掴まって、激しい潮流を掻き分け掻き分け、銀岩島へと向かった。
「気をつけろ!あそこに渦潮があるぞ!」
そこでカメックスは反対方向に流れる渦潮を生み出し、二つを相殺した。
「これで少しは安全に進めるだろう…んっ、あれは…!」
見ると、水平線の向こうから何かが猛スピードでこっちに向かってきていた。
水面から突き出た、黒い背びれ…サメハダーだ!
しかも、何匹も群れを成している。
「大変だ!向こうからサメハダーの大群が迫ってくる!」
「ここは私に任せて!ムウマ、ナイトヘッドよ!」
マリナが繰り出したムウマの放ったエネルギーの波動が、サメハダーの大群を追い散らした。
「ふぅ、危機一髪だったわね…」
「ありがとう、マリナ…危ないところだったな…」
そんなこんなで、二人は無事に銀岩島に辿り着いた。

海底洞窟に入ってみると、中は真っ暗だった。
しかも、激しい潮流が流れ込んでいるので、波も荒かった。
「うわぁっ、これじゃなかなか前に進めないよ…!」
カメックスもあれだけの長い距離を、荒波に揉まれながら進んでいたので、かなり疲れているようだった。
不穏な気配を察知して振り返ると、途方も無く大きな波が、二人に迫っていた…!
「わぁぁ、こんなに大きい波じゃ、避けられないぞ!」
「カメックスももう限界みたい…!」
波が牙をむいて、二人に襲い掛かった!
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
ざぶーん!
そしてとうとう、波がカメックス諸共、二人を飲み込んだ。
「(もっ、戻れ、カメックス!)」
サトシは必死の思いでカメックスをボールに収め、流されて離れ離れにならぬよう、マリナの手をしっかり掴んだ。
「(冷たい…それに、息が出来ない…!)」
「(このままじゃ私達、海の藻屑になっちゃう…!)」
二人はしっかり抱き合い、浮上しようとしたが、流れが速すぎて出来ない。
しかも海はかなり冷たく、二人の体力を急速に奪ってゆく。
意識が薄れてゆく。もう駄目だと思った、その刹那!
ぱぁぁっ…
「!?」
不思議な光が二人を包んだ。
「これは…?」
しかし、二人の体力は限界に達していたため、正体を知る暇も無く、その場で意識を失った。

「おいっ、大丈夫か!?しっかりしろ!」
誰かにぱしぱしと頬を叩かれるのを感じて、二人が目を覚ますと、目の前にくちばしの長い、黄色い鳥の顔があった。隣には、赤い鳥と青い鳥もいた。
「さっ…サンダー!?それにフリーザーにファイヤーも…何故ここにいるんだ…!?」
「それよりも、ここはいったい何処なの!?」
辺りを見回すと、そこは洞窟の最深部の、大きな平たい岩の上だった。二人は何処から持ってきたのか、藁の山の中で寝ていた。
隣にはファイヤーが熾したと思しき焚き火が赤々と燃え、二人のずぶ濡れになった服を乾かしていた。
「どうやら二人共、あの力に導かれてここまで来たようだな」
「あの力、って…もしかして、ここに眠る『ぎんいろのはね』と何か関係が!?」
「あぁ、我々はルギアと共にこの島で生きてきたからな。それにしても、無事でよかった…」
「お前達がそこにぐったりと倒れているのを発見してからずっと、我々がこうして温めていたのだよ」
二人はだいぶ落ち着いたようだった。そこで、さっきのことを3羽に話した。
「俺達が溺れていた時、得体の知れない光が俺達を包み込んだんだ…」
「あの光は、あなた達だったの?」
「いや、そうではない。『陰の力』が助けたのだろう」
「『陰の力』…それじゃ、『ぎんいろのはね』が!?」
「あぁ。ところでお前、マリナとか言ったな」
「えっ?何故私の名前を…?」
「『ぎんいろのはね』はお前を自分の継承者に相応しい者と判断した。それで、我々がお前達を知ることとなったのだ」
「…………」
ファイヤーが岩の真ん中に立っている石柱を翼で指し示して言った。
「『ぎんいろのはね』はここに眠っている。マリナよ、あの石柱の上に手を置くのだ。そうすれば第3の鍵と共に姿を現すだろう」
言われるままに、マリナは石柱の上面─完璧な円形で、ルギアと思しき竜の姿が彫られていた─に、そっと手を翳した。
すると、石柱が銀色の光に包まれた。
完全に手を置くと、その光が強くなり、辺り一面を覆った。
光の中で、石柱が溶けるように姿を消し、代わりにそこに、1枚の鱗─ルギアがこの場所に残していった、『ぎんいろのはね』が浮かんでいた。
『ぎんいろのはね』はゆっくりと浮かび上がり、マリナの手の中に収まった。その瞬間、石柱が再び姿を現し、光は消えた。
マリナは恐る恐る手を握った。そして、確かな感触を覚えた。
手を開けると、その中に『ぎんいろのはね』があった。
「これが…『陰の力』、『ぎんいろのはね』…!」
「それから、何か文字が…『「陽の力」、「陰の力」を持ちし者が近づきし時に目覚めん』…これで『にじいろのはね』も現れるわけか!」
終に『ぎんいろのはね』を手に入れた二人。『にじいろのはね』と出会うのも、もうすぐだ!

続く…
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糸杉美理佳 #6☆2003.07/31(木)20:23
第6話 二つの力が出会う時…

終に『ぎんいろのはね』を手に入れた二人は、愈々最大の鍵を握る『にじいろのはね』を手に入れようとしていた。
再びスズの塔の最上階まで上がると、『とうめいなすず』はさらに喧しく鳴り響いていた。
「『陽の力』こと『にじいろのはね』よ、お前を継承するに相応しい者がここにいるぞ!」
不意に、天井に向かってサトシが叫んだ。
「ここに『陰の力』がある。謎を解く鍵も、全て手に入れた!」
すると、辺りが俄かに、夢で見た虹色の霧に包まれた。
鈴の高鳴りが益々強くなり、天井の中央に金色の光の穴が開いた。
「わぉ、文字が浮かび上がったぞ!これが最後の鍵なんだな…!」
「えーとどれどれ、『「陽の力」を呼び覚ます鍵はこの塔の頂にあり』だって!」
「そうか、屋根の上に上る必要があるんだな」
二人は再びピジョットに掴まり、窓から外に飛び出して屋根の上に降り立った。
塔の先端の金の柱が、虹色の光に包まれている。
「これが最後の鍵なんだな…!」
サトシが柱に手を触れると、途端にそれが眩く輝き始めた。
「私の時と同じだわ…!」
光が強くなり、二人共一瞬視力が奪われる。
漸く周囲の状況を把握出来る状態になった時、そこには『にじいろのはね』が虚空に浮かんでいた。
『にじいろのはね』がふわりと漂い、サトシの手に収まる。そしてそこで、光は消えた。
「…やったー!『にじいろのはね』、ゲットだぜ!」
「これで二つの力が、手元に揃ったわけね!」
「あぁ、そうだな…」
二人が二つの『はね』を近づけた、その時!
ぱぁぁっ…
「うわぁっ!?」
「きゃぁっ!」
金と銀、そして虹色に輝く光が、二人を包み込んだ!
そして、その光が収まった時、二人は見たこともない場所にいた。
「ここは何処だろう…?」
「もしかして、凄いことになりそうなんじゃ…」
ここは何処なのか、二人はどうなるのか!?
そして、二つの力が出会った今、何が起きようとしているのか…!?

続く…
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糸杉美理佳 #7☆2003.08/05(火)15:50
最終話 新たなる世界へ…

「陰」と「陽」、二つの力が出会った時、二人は見たことも無い空間にテレポートしていた。
「ここは何処だ?古い神殿のようだが…」
「私達、どれくらいの距離を吹っ飛んできたのかしら…」
すると、何処からともなく、夢で聞いたのと同じ声がした。
「終にお前は、私を継承したのだね…」
「この声は…もしかして、お前が喋ってんのかっ!?」
サトシは信じられないと言わんばかりの面持ちで『にじいろのはね』を見た。
「あぁ、そうだ…お前は本当に、私を継承し、守るに相応しい…『陰の力』共々、我々はこの世界を救う力を持った『神聖なる秘宝』なのだ」
「『神聖なる秘宝』…!」
「今から伝説と、今まで我々が与えてきた鍵の真相を全て見せよう」
「え!?それじゃ俺達が今までゲットしてきた、お前達の謎を解く鍵って…!」
「そうだ、我々が与えていたのだ」
二人は開いた口が塞がらなかった。
「では見せてくれ、その『新しい世界』とやらを」
「御意、仰せのままに…」
2枚の『はね』はふわりと舞い上がり、空中でくるくると回転し、それからぱぁっ、とそれぞれ金と銀に輝いた。
その光は強くなり、2本の光の柱になった。
二つの柱は一つになり、虹色に輝いて天を貫いたと思うと、その先端が幾つにも分かれ、光の雨となって辺りに降り注いだ。
「わぁ…綺麗…!」
「『世界を救う光』って、これだったのか…」
二人が見ていると、光を浴びた枯れ木が蘇り、青々とした葉を吹き、花を咲かせた。
「新しい世界…争いごとの無い、平和な世界か…!」
「選ばれた私達は、平和を司る神官になった、ってことなのね…!」
こうして、伝説は本当になった。
そして、二人は『神聖なる秘宝』の最初の継承者となったのであった…。
これは現在に至る、少し前の物語。

The curtain drops!
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[21]

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