mana | #1★2004.03/17(水)00:14 |
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※この話は「ミュウツーの逆襲のCD版」のサブストーリーとして書かせてもらいます。 第1話:時の少年(この話は1、2…と続きます。) 1 「ここはどこ…ぼくはだれ…?どうしてぼくはココにいるの…」 小さいぼくはロケット団の母と博士の間にぼくは生まれた。 ぼくは寝ている。冷たい部屋の棺おけの中…大人たちが「冷凍睡眠室」と呼んでいる場所だ。もう何年寝ているのだろう?少なくともぼくと同じに生まれた人たちはもう大人だろうぼくだけが子供なのだ… …真っ暗だ…怖い…助けて、誰か…タスケテ… なぜ?なぜぼくは眠っている…? …そうだ、ぼくは実験体として扱われてから大人たちがぼくをココに閉じ込めたんだ… そう…実験体として… …私は「みやもとちゃん」が幻のポケモン「ミュウ」を南米のジャングルから見つけてから数年、私を含む数人のロケット団員と一緒に南米の奥地にある遺跡を調査していた。そのほかにもメンバーにロケット団遺跡発掘・調査団も同行した… 遺跡には謎の文字や謎のポケモンが描かれている石版など多数発掘された。 その他、何らかのポケモンらしい化石も同時に発掘された…それらを研究室に持ち帰り博士に手渡した。 「おお!この化石は!」 博士がポケモンらしい化石に中から何かを見つけた 「すばらしい…クリスくんきみはすばらしい物を持ってきたよ」 私は博士が化石の箱から取り出した化石を見つめて 「何を見つけたのですか?博士」 「これを見たまえ…この化石はどのポケモンの細胞にも当てはまらないのだよもしかするとまだ未確認のポケモンだろう…」 博士は興奮しながら私に言い聞かせてくれた。 それは悪魔の微笑みのような笑顔をみせたのだった。 |
mana | #2★2004.03/22(月)21:44 |
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2 化石を見つけてから数ヶ月後のこと、博士は一人で研究室に閉じこもってしまった… 「あれから…何ヶ月たったのかしら…」 博士が研究室に閉じこもってから数ヶ月が過ぎた。私はまだ幼い息子を育てながらロケット団の幹部を勤めていた。 「ワーイ!遊びに来たよー」 秘密研究所の中にある広場で息子を遊ばせていたら近くから声がした。 「あら、遊びにきてくれたの?」 「うん!」 女の子はそういうと、息子の所に走って一緒に遊んでくれた。 「ね?この子の名前なあに?教えて!」 「ワームって言うのよ」 「ワーム君かぁ…ね、ワーム君何して遊ぶ?」 女の子は私の息子「ワーム」と一緒に広場にあるおもちゃ箱の方に遊びに行った。 女の子は何度かワームと遊んでくれた。何度目だろうか?女の子が母と一緒に広場に来たのは…ワームのほうも女の子に駆け寄り手をつないでいつもの遊び場へ走っていった。 「こんにちは」 声をかけてきたのは女の子の母親で背丈は私と変わらないし年齢の方も二十代前半といった若い人だなと感じられた。 「いつも一緒に遊んでくれるのよ。」 「そうなの?フフ…いつもいないと思ったらここで遊んでいたのね」 若い女の子の母親は笑いながら女の子を見た。 「助かってますよ。家の子もあんなにはしゃいでいますの。」 ワームは人見知りする臆病な子でした。私にしかなつかないあの子がああやって遊ぶ姿を見ていると安心がする…そう思えてくるのでした。 「あの子もね…遊ぶのが楽しいみたい。」 私は女の子を見て言った。 「そういえば…名前聞いていなかったわ」 「ふふ…あの子の名前はムサシといいます…人から預かったんですよ」 「人から?」 「はい…」 何かわけ有りの顔だったのでそれ以上聴くことが出来なった… |
mana | #3★2004.04/03(土)15:31 |
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3 私の名前はスラウ・カガル…カガル博士。私はニューアイランドにあるロケット団秘密研究所でフジ博士の助手としてコピーポケモンの研究をしていた。 「これは…どのポケモンの化石のものだ…?」 クリス…私の妻が持ち帰った化石を見て発見されているポケモンの遺伝子と比較していった。だが…化石の遺伝子は発見されたどのポケモンの遺伝子と一致しなかった… 「カガル君。」 フジ博士が後ろから声をかけてきた。 「フジ博士…」 「聞いたよ、化石の遺伝子を調べているのかね?」 フジ博士は興味ありげに話をしてきた。 「はい、今どのポケモンの化石なのか遺伝子を比較して調べています。」 「順調なのかね、化石の調査は?」 「いいえ…調査は行き詰まっています…遺伝子を比べているのですが、今現在発見されているポケモンとは違う遺伝子です。」 私は今現在発見されているポケモン全部と比較してみてもどれも合わず、まだ未確認のポケモンの化石…それもその化石は若干光っているのだった。 「…未確認のポケモンか。ふむ、カガル君私の研究に参加してみる気はないか?」 「え…?」 確かに…フジ博士の研究室で研究できれば苦労はしない。 なぜならコピーを作る研究ならこの化石からオリジナルをコピーできる… 私のねらいはこのポケモンの復活と人にポケモンの能力を移植することなのだから。 私は一つ返事に「お願いできますか?」と答えた。 「よし、明日から私の研究室に来なさい。」 フジ博士は私に告げると部屋を出て行った。 …それから数日が経った。私は例の化石復元に日夜、悪戦苦闘の連続だった。 だが、一つだけ化石について解ったことがある。それは化石になったポケモンの名が判明したのだ。名前は「ミュウ」という幻上のポケモン。それもフジ博士のコンピュータによれば永遠の命があるというではないか… 私は病弱だった息子「ワーム」に永遠の命を…いや、長く生きて欲しいと思ってまた、ポケモンの能力を移植しようとしてあんな恐ろしい実験をしてしまったのだった… …息子よ…不甲斐無い父親を許して遅れ…これしかないのだ… |
mana | #4☆2004.04/09(金)22:34 |
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4 ココはどこ…ぼくは誰…ドウシテボクハココニイルノ? 「カガル君!何をしているのだ!」 私は自分の息子「ワーム」にミュウの化石の成分(DNA)を移植したのだった。 息子は小さい頃から病弱でもう数年の命だと申告された。どうにかして息子の命を伸ばしたい、悪魔になっても…私は永遠の命を持っているというポケモンの化石を手に入れた。コピーの息子を作るのは簡単だ。だがフジ博士が言うには人間のコピーは4年しか生きられないと告げられた…ならば、息子に永遠の命を持つ化石の成分を移植した。 …無謀かもしれない。 「君は!…君は自分の息子を実験体にしたのかね!」 「私は!息子が生きるのなら!何でも、鬼にでも悪魔にでもなります!生きられる希望が1%ある限り…うぅ…」 「カガル君…」 ボクハイキテイル…でも、寂しい…悲しい…暗い…ココはどこなの? ココは…どこなの?ココ…は… …ミュウ…ミュウ〜♪… 君は…だれ?どうしてココにいるの? ミュウ?ミュミュミュウ〜! え?ぼくの中にいるの?僕の体の中にいるの…?どうして? ミュウ…ミュウ! 僕の…僕の体を直している…わかる、わかるよ… 「博士!見てください!」 「どうしたのかね?…これは!」 信じられない…そのとき私はそう思った…なぜなら息子にポケモンの耳、しっぽが生えた。完全に融合しているのだ。人間とポケモンが一つになった、奇跡としか言いようが無い。 成功した…生きられる…息子が生きる。 「今は寝ています。ですが息子さんは確実に生きられるでしょう…ですが、姿、形が人間とは異なるのですが…」 「姿かたちが違うのが何だ!生きられるだけで…十分だ…」 |
mana | #5★2004.05/03(月)15:58 |
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5 …すがた、形がなんだ…生きられるのだ。それだけで十分ではないか… 息子「ワーム」が試験管の中に入ってから数ヶ月が経った…今も試験管の中で眠っている。 ワームの姿はどこか遺跡に描いてあった、「ミュウ」に似ている…どうしてだろうか…優しさが伝わる…親ばかかもな… キミハダレ…?ドウシテボクニハナシカケルノ? ミュウ… あなたは、誰? 「エ…?」 私は…アイ。あなたは…人間?それともポケモン? 「僕は…ワーム。人間だよ?」 うそ…だって耳がある。尻尾だって生えてる。そんな人間はいないもん。 ボクハニンゲンダヨ…ニンゲン…でも、ポケモンの声は聞こえる…じゃあ僕はポケモン? うふふ、そんな姿じゃポケモンだよ。でも、あなたは人間。私は… 「人間でもポケモンでもいいじゃない!生きてるのだから…」 そうだね。お話しようか?ワーム君。 「うん!」 「何だ?いったい何が起きているのだ。」 「アイトワームガコウシンチュウ…デス」 「何じゃと。」 ワームとアイが培養液の中、試験管の中で言葉を交わしている。もうすぐアイのクローンは消えるというのに…私は、ワームにエスパーポケモンの力が目覚めたことに私とフジ博士は気付かなかった。 |
mana | #6☆2004.05/21(金)23:34 |
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6 あなたは…誰? ぼくは…? ぼくはずっと眠っていた。試験管の中で…様々な声を聞いていた…アイの声、父の声、助手の声…ミュウの声。 「おお!目覚めたか、ワーム…」 …ワーム?…僕のこと?僕は…誰?ボクハ… 「?…ワーム?お前…自分がわからないのか?」 僕は一つうなずき、少し年老いた父が落胆した顔をした横で母が涙するのが見えた。 何でも僕は、数年もの間寝ていたようだ。僕の頭、お尻には耳、尻尾が生えており、近づく人は皆気味悪がった。僕は小さい頃のまま…8歳のままだ。 …カン、カン、カン… 僕は目覚めてから母の下でロケット団の団員をしていた。 母の仕事は「なんでもポケモンロケット団」の一つ、「化石ポケモンの発掘」だった… 僕はそこで南米の奥地にある発掘現場で化石発掘みたいなことをしながら仕事が終わるのを待っていた。 そんなことをしていた数日後のある日、いつも遊んでいた川の近くに変わった結晶を発見した。氷みたいな結晶…少し青みを帯びた綺麗な結晶だった… 「綺麗…うわー」 突然の地震、結晶の周りの土が剥がれてそこに僕が夢で見た人…いや、ポケモンが表れた。 「ミ…ミュウ?」 そう…僕の中にいるミュウが結晶の中にいた。眠っていたと表現した方がいいかも、僕の次の行動が自分でも忘れられない… …まってて、今助けるから…起こしてあげるから…待ってて。 カン…カン…カン、カン… どこまで結晶を砕いたか…小さな手で道具を持ち、大きなハンマーを振り上げては結晶を砕く…この作業が数日も続いた。他のロケッド団員にはこのことを報告せずに借りた杭 とハンマーでまだ小さな僕が持てる精一杯の力でミュウにまとわりつく結晶を砕いていった… 「今度は僕がキミを助ける番だよ…」 |
mana | #7☆2004.06/05(土)00:02 |
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7 …今度は僕が助ける番だ…待ってて、ミュウ。 カン…カン…カン…。どこまで結晶を砕いたのだろう…砕いても砕いても減ることの無い結晶…まるで水が噴出してるような感じに思えた。 結晶を砕いてから数日が過ぎた。 結晶の中に妙な色をした結晶をミュウが眠っている下から見つけた。 それは、紫色をしており不思議な光をまとっていた。 「取れないかな…?」 僕は目と鼻の先にある紫の結晶(クリスタル)に向けて杭を入れて、ハンマーを振り下ろした。 …ガコ。……コロコロ… 紫色の結晶(クリスタル)が僕の足元に転がってきた。すると、周りの結晶が瞬く間に水に変わって滝のように降ってきた。…ミュウも一緒に… 「何で水になったの…?結晶が。」 一人ボーっとしていた。結晶が水になったのはわからない。ミュウが倒れている(性格には出てきたのだが)のに僕は気付き我に返った。 「ミュウ!」 僕は小さな手で小さなミュウの体を抱き、近くの草むらまで移動した。紫の結晶を持って。 「ミュウ…起きて。目を覚まして!」 大人から見れば、死んでいると判断するだろう。このとき、小さな僕は眠っていると確信していた。信じていた… 「ミュウ!」 僕は…泣いていた。涙がミュウの顔に小さなしずくが出来ていた。 「ミュ…」 ミュウがゆっくりと目を覚ました。上半身を起こし、首をキョロキョロさせ、あたりを見回してから、僕の顔をじっと見つめた。 「…ミュウ?」 キミハダレ? 心から直接会話が届いた。ミュウのテレパシーではない。僕が持っている能力。幻のポケモン「ミュウ」の遺伝子を移植されてからこのようにポケモンの声が直接心に「声」として届く。 「僕名前はワーム。だよ」 「ミューウ?」 ワーム? 「そう。ワーム、人間だよ。」 ニンゲン? 「うん、人間。キミはポケモンさ」 ポケモン? 「ポケモンは耳とお尻に尻尾がついてるんだよ。」 ミミ…シッポ…キミハニンゲンナノニミミ、シッポガツイテイル…ナンデ? 僕は黙った。人間の癖にポケモンのような耳と尻尾がついている…ミュウには何も説明できなかった… キミノナカニ、ナツカシイモノヲカンジル… 「僕の中には…」 僕の中にミュウの遺伝子が入っていることを正直に説明した。 |
mana | #8☆2004.08/08(日)20:48 |
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8 ミュウが目覚めてからというもの僕は毎日ミュウの所へ行っては、遊んだりして楽しく過ごした。 そんなある日、ミュウが突然こんなことを言い出した。 …君の中にも力があるのを感じる… 「ミュウ…?」 ボクの力と同じ力…使ってごらん… 「…力?ミュウと同じ…?」 僕は信じられなかった。ポケモンが持つ力、ミュウのエスパー(超能力)を持っているというのだ。 でも…僕はミュウの遺伝子を持っている。充分ありえる話だ… ?…わーむは力を持っている…でも…使い方を知らないだけ… 「ねぇ…ミュウ。僕も使えるようになる…かな?」 使えるよ。僕が教えてあげる… 「ほんと?ミュウ!ありがとう!」 その日から僕の特訓?みたいなものが始まった。最初はポケモンの技「念力」。食べ終わったクズ紙や空き缶を使って特訓した。金縛り・テレポート・サイコキネシス…最初はすぐ使えなくて苦労した。 …能力がだいぶ使えるようになってから、いろいろな所に行けるようになった。 ミュ?…これなあに? 「これ?モンスターボールだよ。この中にポケモンを入れて持ち歩くんだって。」 ミュウをニンゲンが捕まえるの? 「う〜んとね、よくわからないけどこの中に入るのは友達だけ…って聞いたよ母さんに。」 友達? 「うん。人間とポケモンが友達になったときにポケモンに聞いて入ってもらうんだって。」 ふーん…じゃあ、わーむとミュウは友達? 「?…どうしたの?」 ミュウはわーむと一緒!ミュウは友達。わーむはミュウの友達? 「僕はミュウと友達だよ。ずっと…一緒だよ、ミュウ。」 ミュウはモンスターボールに興味津々でボール遊びをはじめた。ちょうどそのころ、母さんの仕事ロケット団の発掘が終了に近づいていた。それは僕が帰ることを意味していた… 僕は帰りたくない…ミュウと一緒にいたいよ… |
mana | #9☆2004.08/10(火)10:29 |
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9 「ワーム。帰り支度はできた?」 「…うん…」 友達…僕の大切な、最初の友達に別れを告げぬままにニューアイランドにある秘密研究所に帰った。そこには少し大きくなった女の子が待っていた。 「ワーム君!久しぶりだね。あの頃のままだぁ。」 彼女は僕の姿に恐れる感じは無く、むしろ僕の手を取って「一緒に遊ぼう!」と声をかけて公園のほうに連れてってくれた。 「…?なあに?ワーム君」 僕が彼女の顔をじっと見つめていたら声をかけてきた。 「…君は…誰?」 「え…?」 彼女は驚いた様子で僕の顔を見つめて笑ってくれた。 「覚えてないのはしょうがないね。一緒に遊んだのは私が小さいころだもの。」 …僕の記憶の中、夢の中にうっすらと一緒に遊んだ記憶の断片が浮かびあがった。僕は彼女に僕の姿が怖くないのか聞いた。すると彼女は「ワーム君はワーム君でしょ?」とやさしい顔で答えた。 「はい、ワーム君これ。」 彼女は僕の頭にバンダナを被せてくれた。「これなら隠せるでしょ?」と笑ってくれた。つられて僕も笑っていた… 「お帰り。クルス」 「カガル博士…ただいま。」 私は今度の発掘の成果をボスに報告したあと息子と一緒に公園に来ていた。 「どうだい。発掘の成果は…」 「ぜんぜん駄目。これといって成果なし」 今回発掘の場所は以前『ミュウ』の化石を発掘した場所から少し近い場所で作業をおこなった。そこは元、川があった場所で魚や水ポケモンの化石は見つかったのだが、肝心の『ミュウ』の化石は見からなかったのだった。 「ワームの様子はどうだい?」 「ええ。作業中も一人で遊んでいたわ。でも…」 私は息子の中にいるポケモン「ミュウ」の力が覚醒したことを夫に伝えた。 「そうか…そのワームなんだが…もしかしたら元の姿に戻れるかもしれないんだ。」 「え?」 「いや…」 「元の姿というよりも、“アイ”の遺伝子(DNA)を移植するのだよ。」 博士が言うにはワーム中にはミュウの遺伝子の方が強いのではと他の博士やフジ博士らはポケモンと人間の融合の試験体の息子を人間に戻すことを考えていた…。これが成功すれば試験管の中の「アイ」にも同じことが可能と考えたからだ。 「…そこで、融合に成功したワームに人間の遺伝子を組み込めば人間に戻れると皆が出した結論だ。っ成功する可能性はきわめて低い。私はそんなことはやりたくない…けれど、ワームには元の体に戻ってほしいんだよ。」 「私も…元に戻ってほしいと思ってる…けど、今のままがいいのかもしれない。」 「何を言っている!クリス!団員からポケモン扱いされている息子を黙って見ていろというのか?私にはできん…無理にでも連れて行く。いいな?」 「?…痛いよ。何するの?カガル博士、離してよ。」 夫…博士はワームを強引にラボの部屋へ連れて行った… そこで、ワームはアイの遺伝子を移植され実験は成功。そしてまた、試験管の中で眠りについた… |
mana | #10☆2004.09/10(金)13:39 |
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10 あれからいったい何年経ったんだろう… 幼い僕は冷たい水の中で眠っていた…何もかもが過ぎて消えていく…夢の中で僕はあの子に会った。南米の奥地に行く前、同じ水の中にいた少女『アイ』だった。 「私、アイ。でも…2番目だから、アイツー。よろしくね!」 …?僕が会ったアイは… 「この子はミュウツー」 ミュウ…ツー? 「パパがミュウの化石から作ったポケモン。私もパパから作られたの…」 アイは悲しそうに語った。その横でミュウツーは不思議そうに僕の顔をのぞくように呟いた。 「君、アイとそっくり。でもなんだか懐かしい…何で?」 僕の中にはミュウの遺伝子、アイの遺伝子が入っている。そのことを話した。 「ワーム君はポケモンみたいね。何だかさびしいそう…」 「そうみたい。僕が生まれた意味が分からなくなったよ。ポケモンの話ができる。ポケモンの力が使える。」 僕は泣いた…夢の中で。ひとすじの涙が頬を濡らす。僕は思った… 僕たちは何のために産まれてきたのだろう… 僕は人間として産まれてきた。生きるものは大きくなろうと育つ。僕はあの頃…八歳のまま今を生きている。 「あなたは少なくとも生きている実感がある」 アイが言った。 「私は生きている実感が湧かない…ずっとこの中、水の中だから。」 アイの顔が少し曇ったと思った。 「あなたは水の中からでておいしいケーキやミルク、生きていると証明してくれる空気が存在してる。私は記憶はあるけど見ているだけ。」 今度は僕の方を見て笑った顔を見せてくれたような気がした。思い込みかもしれない。 「あなたは生きて。幸せになるの。」 僕は何もいえないまま、泣いた。 ミュウツーは泣いている僕の顔をまたのぞいて目から落ちるしずくを舐めた。 「しょっぱい。ぼくにも流れるの?これ」 「うん。生き物は悲しいとき、痛いとき目からしょっぱい水が出るんだよ。」 「ふーん…」 「フジ博士!来てください。」 助手の一人がワームの変化に気づいた 「なんだね?」 「ワーム君の脳波が高い数値を出しています。」 「…ポケモンの力か。それともミュウの遺伝子が目覚めたのか?」 …呼んでる。 誰かがぼくのことを呼んでいる…とても懐かしい声。 君は誰?どうして呼ぶの? 「君は…誰? あっ…待って!どこへ行くの!」 ミュウツーにはぼくと同じ声の主が見えたようだった… ミュウ〜…”ワーム…わーむはどこ?” |
mana | #11☆2004.10/19(火)12:52 |
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11 …呼んでる。 暗い底にいる誰かがぼくを呼んでる… 「安定剤を投与しろ!眠らせるんだ!」 フジ博士は息子…ワームを眠らせる事にした。 「なんとしても成功させるんだ。貴重なサンプルなのだから…」 博士はワームが成功したら次はアイツーを同じ方法で人間にしようとしていた。 「博士!ダメです!安定剤効きません!」 「なんだと?」 「ワーム君の数値が…」 ビーッビーッビーッ! キケンデス。キケンデス。マッショウスベキデス… 「念力だと?この子はミュウの…ポケモンの能力が使えるのかね?」 「そのようです。普通のポケモンの倍はありますよ。」 ワームヲマッショウシマス… 「待て、やめろ!」 …させないよ。 ピーッ…… 「機械の停止が確認しました。ワーム君が…止めたようです。」 「サイコキネシス…!なっ!!」 そのとき、ワームの試験管が破裂。ワームは今まで長い眠りから覚めたように年齢はそのまま押さない姿で目覚めた… …ミュウを、ぼくの存在意義を見つけるまで生きて見せる。 |
mana | #12☆2004.12/14(火)22:23 |
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12 暗く長い時を試験管の中で過ごした…アイツ―やミュウツーと一緒に話をしたり… それから、自分の中の何かがぼくを呼んでる…懐かしい声が聞こえる…ぼくはこの子の事を知っている…ぼくの中にある何かが膨れてはじけた… …ミュウが呼んでる! 「見てくださいカガル博士。」 助手の一人が私を呼んだ。 「どうしたのだ?」 助手は目の前で私の息子…[ワーム]の試験管が破裂した方を見て報告した。 「ワーム君が目覚めました!」 「なんだと?それは本当かね。」 「ええ…姿かたちは人間の…フジ博士の娘の[アイ]ちゃんに似ていますが…」 そう。ワームの頭に生えていた耳、そして尻にあった尾が無くなっていた…顔はどこかアイに似ている…アイのDNAを使用したのだから当たり前だが… 私は目の前のワームを見て恐怖を覚えた。 助手が報告する。 「ワーム君の姿は人ですし…中身は人間ですが、ポケモンの力が以前残ったままです…」 助手はそう報告するとフジ博士にもこの事を報告しに部屋を出た。 「…ワーム。分かるか?私達の事を。」 …? あなたは誰? 「テレパシーか?おまえは人間なのだぞ!しゃべれるのだぞ?」 人間?ぼくはニンゲン…ボクハ…人間だよ。 「そうだ。私はおまえの父親だ。」 お父さん?…違う…貴方は…敵だ! 私は突然ワームが放った「念力」によって数メートル吹き飛ばされた。 「ぐはっ!」 「…あなたはぼくを閉じ込めた。アイツーも…ミュウツーも…」 ワームがテレパシーではなく自分の口でしゃべった。8歳の言葉か?…いや姿は幼くとも中身は大人だ。 「神様のつもりなのか?おまえ達は。生き物を何だと思っている!」 僕は泣いた。自分の見てきた世界は残酷なものばかりで神のように振舞う目の前の人間たちが憎くて涙があふれてきた。 「人間たちは何か勘違いをしている…人は自然の摂理に触れてはいけないんだ。どんなに優れた技術を手に入れようとも禁断の果実だろうとも触れてはいけない。」 …実験のために産まれて来た…そんなきがする。 ミュウツーも元はといえば化石…死んだものを呼び起こすのは自然の摂理に反している! 僕は研究室をあとにしてミュウがいる南米の奥地に向かった… |
mana | #13☆2005.05/12(木)11:21 |
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13 …実験体?バカな!私はお前を…自分の息子を実験体にするはずが無い。 ワームは突如私達の前から姿を消した。 どこに行ったのかも…誰も知らない。 ミュウツーは以前眠ったまま…残ったのはワームがいた試験管の残骸… あれから私とクルスはロケット団をやめ、マサラタウンの奥にある小さな家に身を置いた。 私は研究室に閉じこもり、ポケモンの持つ生命力について研究していた…研究していればどこからかワームの情報が入ってくると思って… 僕は以前、ミュウと友達になった場所へ来ていた。 あったのは空のモンスターボール数個と紫の結晶だけ…周辺にはミュウが見つけてきたのだろう機械があちらこちらに散乱していた。 …「ミュウ…。」 僕は遺跡の周りから遊んでいたであろう場所をくまなく探した。 周辺から僕が持ってきたビデオカメラを見付けた。カメラはかつてミュウを見付けた川のほとりで三脚の上についていた。 僕はカメラを持って近くのポケモンセンターへテレポートで向かつて、テレビを貸して貰った。 カシャッ…キュルル… カメラの映像にはミュウが映っていた… …わーむはどこ? ミュウはカメラの前を行ったり来たり…泣きながら僕のことを探していた。 …わーむ… …それからミュウは一個のモンスターボールの中に自らは入った。 テープはそこで終わっていた… |
mana | #14☆2005.05/12(木)11:22 |
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14 僕はミュウを探す旅に出た。 世界中のどこかにいるミュウを探して、まずオレンジ諸島へ足を運んだ。 まだ9歳の僕は他のトレーナーの格好の餌食で行く先にやられてはポケモンセンターにご厄介していた… 僕の仲間…ポケモン達は「ケーシィ」「イーブイ×2」「ポッポ」「ゼニガメ」「バタフリー」「ミニリュウ」…どれも傷ついていたりするポケモン達だ。 トレーナーになった私はウチキド博士に出会った。 そこでポケモンウォッチャーという仕事を聞き、どういうことをするのか、内容を事細かに聞いた。 そこで、ポケモンウォッチャーの仕事をしながミュウの…伝説のポケモンの噂や伝承を頼りにあちこちと旅を続けた… 旅をオレンジ諸島、ジョウト地方からカントー地方にして僕が着いたのは11歳になった頃、そのころに奇妙な話を聞いた。 “金色に光る奇妙なモンスターボール。開けてみようとすると、開かず、持ち主は必ずエスパー(超能力者)であること” この情報を詳しく聞き、今持ち主はだれかを聞いた。 今の持ち主はヤマブキシティのジムリーダー「ナツメ」という人と聞いた僕はヤマブキシティへと向かった… |
mana | #15☆2006.10/07(土)23:26 |
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15 僕は”金色に光る奇妙はモンスターボール”を探して、今の持ち主であるヤマブキシティのジムリーダー”ナツメ”という人に会いに来た。 町は活気があり、どの人も笑顔だ。話に聞くとロケット団が一時期町を占拠していた事があったそうだ。 ロケット団を撤退に追いやったのは一人の少年だという… 僕はジムがある場所を人に聞き、近くにあるジムに向かった。 「ねえ!」 ジムの入り口付近で誰かに声をかけられた。 「そこの君!こっちを向きなさい!!」 …? 僕は振り返る… 「そ!君ここのジムに何の用なの?」 僕に声をかけたのは”いかにも”というカッコのエリートトレーナーの少女だった。 「ここのジムリーダーナツメに会いに来たんだよ。」 僕は少女に言った。少女は言った言葉が気に入らないらしく、怒った顔で… 「ナツメですって?ナツメさんでしょ!ナ・ツ・メ・さ・ん!」 「…ナツメさん?」 「そ!ナツメさんよ!…ところで君はナツメさんに何の用なの?」 僕の目の前にいる少女は僕の前に立つと下から覗くように質問した。 「用件は言えないよ。…その前に僕の名前はワームだよ。君じゃない…」 「え?あ…ワーム君ね!私の名前はアイサ!」 この少女…じゃないアイサは今更ながら自己紹介をした僕に笑っている… 「…笑うのは失礼だと思うよ?」 アイサは笑いながら「ごめん」と言った。 「だって、おかしくて…アハハ。」 目に涙を浮かべながら笑っている…ため息が出た。 「それに君は僕より年下だよ。失礼じゃないかな?」 「アハハ…え!そっそうなの?顔が幼く見えるから、それに…」 アイサは僕の服装をマジマジみて、呟いた。 「…女の子だよね?」 僕の服装はハーフパンツのジーンズに帽子が付いたトレーナーだ。 頭には帽子の代わりにバンダナを巻いている。 顔も女の子っぽいのか、いかにも少女が男の子の格好なのでよく間違えられる。 「いや?男だよ?」 アイサは驚いた顔でまた僕を見た。 「…まぁ、気にしてないから。とにかく!ナツメ…さんに会わせてくれるかな?」 「ナツメさんは今いないわよ?」 「え?いないの?」 「うん。」 アイサの話だとナツメさんは今、遠く離れたホウエン地方にいるエスパーポケモンのジムリーダーのところに滞在しているのだという。公式試合は休止中だが、ジムは運営しているとか… 「ホウエンか…行ってないし、それに…どんなポケモンがいるのだろう?」 …うん、よし行ってみよう!! 「ねぇ、ホウエンに行くの?」 僕の心が決まるのと同時にアイサが聞いてきた。 「ん?そうだけど?」 「ね!私も連れてって!」 「えっ!」 どうしようか?普段一人だからな…そんなことを考えてたらアイサが… 「邪魔はしないから!…だめ?」 「まぁ…人数増えた方が楽しいかな?」 僕はナツメさんに会いに行くために、ホウエン地方の船が出ているクチバ港へアイサと共に向かった。 |
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