☆華鈴☆ | #1★2004.06/06(日)20:17 |
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【第1話 町の目覚め】 チチチ・・ 朝。鳥の鳴き声が聞こえる。辺りは静まり返っている。太陽が昇るに連れて町は目覚めて来る。 カチャ☆ 家の窓から少年・・リョウが顔を出す。 「うわぁっ!快晴だ!・・そうだ!後で散歩に出かけよう!」 リョウは窓を開けたままカーテンを閉める。 シャッ☆ リョウが部屋の扉を開ける。 カチャ☆ リョウは着替えを済ませている。赤、黒、白の上着に赤と白の帽子を深くかぶっている。リョウはゆっくり階段を下りる。 トントン… ガチャ☆ リョウはリビングの扉を開け、母親に挨拶する。 「おはよう、母さん。」 カタン☆ リョウは席につき、テーブルの上に置いてあるカゴに入ったパンを手に取り口に運ぶ。 「おはよう。早いわね。・・あ。」 母親は思い出したように話す。 「リョウ、さっきね。オーキド博士が家にいらしたのよ。何でも、あなたに用があるんですって。」 リョウは口の中にあったパンを飲み込む。 「博士が?分かった。・・あ。でも散歩はどうしよう。」 「散歩?博士、いつでも良いって言ってたわよ。散歩が終わってからでも良いんじゃない?」 カチャカチャ☆ 母親は洗い物をしながら言う。 「そっか。(もぐもぐ・・)」 リョウは残りのパンを食べ、玄関で靴を履く。 「じゃぁ母さん。行って来るよ。」 リョウは振り向く。 「行ってらっしゃい!気をつけるのよ!」 ガッチャン☆ リョウは玄関の扉をゆっくり閉め、上を見上げる。 「うわっ!眩しい・・。」 リョウは太陽に手をかざす。そして町の入り口(出口?)まで行き、一歩踏み出した。その時。 「待てっ!リョウ!待つんじゃ!」 後ろから誰か追いかけてくる。リョウは振り向く。 「あ、オーキド博士!」 白衣を着た男性・・オーキド博士がこっちへ来る。 「(はぁはぁ・・)リョウ!ま、町の外へ出てはいかん!」 「え?」 リョウは首を傾げる。リョウがこの町に来て、まだ2週間ほどしか経っていないので、リョウは町の事はよく知らないのだ。 「町の外へ出るとポケモンが出てくる。だから、こっちもポケモンを持っていないと危ないのじゃ!」 「そうなんですか・・。」 「こっちもポケモンを持っていれば・・そうじゃ!ちょっと研究所へ来なさい。」 「あ、はい・・。」 リョウは返事をし、博士に付いていく。町にある研究所の扉を開ける。看板には『オーキドポケモン研究所』とある。そして、さらに奥の部屋に入る。そこには1人の少女とフシギダネがいる。少女は青と黒の上着に白と赤の帽子をかぶっている。 「おじいちゃん!遅いよー!」 「いや、スマン、スマン!ワカナ、こっちはリョウ。最近この町に引っ越して来たんじゃ。で、リョウ。こっちはワカナ。ワシの孫じゃ。」 「よろしくっ!リョウ君!私、ワカナよ。ワカナって呼んで。こっちは私のパートナー、リズム。フシギダネよ。」 「フシィ!」 「こちらこそよろしく!・・リズムってニックネーム?」 「そうよ!あなたもポケモンに付けてあげると良いわ。」 「そうじゃ、そうじゃ!リョウ、お前にポケモンをやろうと思ってたんじゃ!・・と言っても2匹しか残っとらんが。」 「本当ですか!?ありがとうございます!」 「良かったね!残ってるのはゼニガメとヒトカゲよv」 「うーん・・じゃぁゼニガメを貰えますか?」 「ゼニガメ?はいっv」 ワカナはリョウにボールを1つ、渡す。 「ありがとう!さぁ、出て来い!ゼニガメ!」 ボールから光に包まれゼニガメが飛び出す。 「よろしくな!えっと・・ニックネームはコウでどうだ?」 「ゼッニィ!」 「OKか?よし!よろしく!」 「良かったね!・・ところでリョウ君、私とバトルしない?」 ワカナが聞く。 「バトルって・・ポケモンバトル?」 「そうよ!」 「コレ、ワカナ!」 博士が止める。 「良いじゃない!ね、リョウ君は?」 「・・良いよ!受けて経つぜ!」 博士は呆れ顔だ。 「仕方ないの・・ワシが審判をしてやろう。」 どこからか、博士は旗を取り出す。 「手加減はなしだぜ!」 「望むところよ!」 ワカナは頷く。 「試合開始!」 博士の声が響く。 つづく |
☆華鈴☆ | #2☆2004.06/01(火)17:15 |
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【第2話 初めてのバトル!リョウVSワカナ!】 「先手必勝だぜっ!コウ、『みずでっぽう』だっ!」 「ゼニッ!ゼェーニィー!」 コウの『みずでっぽう』がリズムを狙う。身構えるリズム。 「ダネッ・・!」 「焦らないで!リズム。『たいあたり』よ!」 「えっ!?」 驚くリョウ。リズムは『みずでっぽう』に突っ込む。 「フッシィ!」 バシャンッ 大きな水音。しかし、相性のせいかダメージは少ない。 「OK!『はっぱカッター』!」 「フッシィ!」 リズムの『はっぱカッター』。コウには効果抜群だ。 「ゼニィッ・・!」 コウは倒れる。 「コウッ!」 「うふふvもう終わりかしら?」 笑みを見せるワカナ。 「そんな事・・!そんな事ないっ!」 リョウは叫ぶ。コウは立ち上がる。 「ゼ・・ニ・・ゼニッ!」 「!!」 「いいぞ!要は作戦だぜ!コウ、突っ込め!」 「ゼニッ!」 「返り討ちよ!『たいあたり』!」 「フシィ!」 2匹がぶつかる。ダメージは互角だ。 「今だ!最高パワーで『みずでっぽう』!」 「ゼニッ!ゼェーニィーッ!」 『みずでっぽう』はリズムを押す。 「ダネッ・・!?」 ドンッ リズムは壁に叩きつけられる。 「ダネッ・・」 「リズム!」 「フシギダネ戦闘不能!よってこの勝負、リョウの勝ち!」 オーキド博士が叫ぶ。 「やったぜーっ!戻れ、コウ!」 リョウはコウをボールに戻す。 「・・リズムも戻って。」 ワカナも戻す。 「いやいや、良い勝負じゃった!」 「ありがとう!・・リョウ君、すごかったわよ!」 「そんな事ないさ・・。」 そう言いながらも照れるリョウ。 「うむ、初めてにしては見事じゃった!お前、才能があるの!そうじゃ!リョウ、ワカナ。お前達、トキワシティに行ってみると良いぞ!」 「「トキワシティ??」」 2人は同時に言う。 「この先にあるこの町より少し大きな町じゃ。まぁ探検として考えてくれると良い。」 「わぁv楽しそうv行きたいv」 はしゃぐワカナ。 「うん、俺も行きたい!」 リョウも賛成のようだ。 「そうか、そうか!ではさっそく行ってみると良い!」 「「はい!!」」 バタンッ 2人は研究所を飛び出す。この体験が彼らの新しい冒険の幕開けになるだろう・・ つづく |
☆華鈴☆ | #3★2004.06/01(火)18:36 |
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【第3話 新たな町、トキワシティ】 リョウとワカナは1番道路を歩いていた。 「はぁ、疲れちゃったぜ・・。」 リョウは弱音を吐く。 「文句言わない!自分が行きたいって言ったんでしょ?」 ワカナが呆れたように言う。 「そうだけど・・あ!」 「?どうしたの?」 ワカナが見てみるとそこには小さな小鳥のようなポケモンがいる。 「あぁ、あれ、ポッポよ。可愛いよねv」 ワカナは夢中になっている。 「うん。・・あ、あれじゃないか?」 リョウが前方にある町を指差す。しかし、ワカナはまだ、ポッポの虜になっている。 「もう!ワカナ!!」 その声でワカナは我に返る。 「あ、ゴメン。うん、きっとあの町よ、トキワシティ。」 2人はその町・・まさしくトシワシティに入って行く。 「本当!大きい町!」 「俺達にして見れば大都会だぜ!」 町は、たくさんの人でにぎわっている。 「ね、せっかくだし。ちょっと見物して行こうよ?」 「賛成!」 2人は1通り町を見て回る事にした。 「ここが、ポケモンセンター。ポケモンを回復してくれるの。」 「へぇ。入ってみようぜ。」 ウイィーン・・ 中もなかなかの人だかりだ。 「ポケモン預けて行こうぜ。」 「うん。」 2人はポケモンを預ける事にした。 「はい、かしこまりました。少し待って下さいね。」 2人はポケモンセンターを出た。 「あの人がジョーイさん。ポケモンセンターには必ずいるわ。」 「そうなんだ。」 そして、2人は大きな建物の前に立った。 「ここは・・ポケモンジム。ジムにはリーダーがいて、リーダーに勝つとバッジが貰えるの。バッジを8つ集めた兵はポケモンリーグっていう大会に出場できるの。トレーナーの大きな目的はこれよ。」 ワカナが説明する。 「そうなんだ。よぉし!俺もいつかポケモンリーグに出場するぜ!」 「私も出ようと思ってるの。その時はまた、戦いましょう。」 最後に2人は青い屋根の建物に入った。 「ここはフレンドリィショップ。ボールや薬なんかが売られてる、ポケモンセンターに並ぶトレーナーの必需品よ!」 その時、1人の店員が2人に声をかけて来た。 「君達、もしかしてマサラタウンから来たの?」 「そうですけど・・。」 リョウが返事をする。 「丁度良かった!コレをオーキド博士に届けてくれないかい?」 店員は白い包み紙を渡す。 「良いですよ。な?」 「ええ。一度戻るつもりだし・・。」 「助かるよ!じゃ、頼んだよ!」 2人はショップを出て、マサラタウンに戻る事にした。2人はポケモンセンターに預けているポケモンを引き取り、また元来た道を通って返って行く・・ つづく |
☆華鈴☆ | #4★2004.06/06(日)19:51 |
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【第4話 決意】 2人はマサラタウンに到着していた。 「に、しても・・コレ、何だろうな。」 リョウは預かった包み紙に触れる。 「ダメッ!人の物、勝手に触っちゃいけないわ!」 ワカナは注意する。 「わ、分かってるよ。早く研究所に行こうぜ。」 2人は研究所へ入る。 ガチャッ☆ すると… 「わぁっ!危ない!」 「「え??」」 前から、赤いポケモンが突進して来る。 「カッゲェ!」 「おっと・・!」 リョウはそのポケモンを捕まえる。 「カゲカゲ!」 ポケモンは暴れる。 「あ、ありがとう・・。」 1人の少年がお礼を言う。 「良いんだよ。君は?」 「あ、僕アスカ。ちょっと遠い所からポケモンを貰いに来たんだ。」 アスカは、赤い髪に橙色の服を着ている。 「俺、リョウ。新米トレーナー。似たもの同士って事だな。」 「私はワカナ。よろしくね。」 「よろしく。」 「おや?リョウ、ワカナ。お前達どうしたんじゃ?」 奥からオーキド博士が出てくる。 「あ、実はトキワシティのショップでお使い頼まれて・・。」 ワカナは白い包み紙を渡す。 「これをワシに?はて、何じゃろう?」 博士は包み紙を受け取り、開ける。 中からは赤いコンピューターの様な物が2つ出てきた。 「おお、これはワシが注文したポケモン図鑑!すっかり忘れとった!どうも、ありがとな。」 「ポケモン図鑑って何ですか?」 リョウが聞く。 「これはポケモンのデータを記録する図鑑じゃよ。・・そうじゃ!リョウ、ワカナ。これをお前達にやろう!」 「「え!?」」 「アスカ君にはなくて、悪いが・・。」 「いえ。とんでもないです!」 2人は図鑑を受け取る。 「カッゲェ!」 再びポケモンが暴れる。 「あ、博士。このポケモンは?」 「そういう時こそ図鑑じゃ!ここを押してみなさい。」 「はい。」 リョウは赤いボタンを押す。 <ピピッ♪> ≪ヒトカゲ とかげポケモン。うまれたときから、しっぽにほのおがともっている。ほのおがきえたとき、そのいのちはおわってしまう。≫ 図鑑が説明をする。 「うわ、すごい・・。」 アスカが目を見開く。 「ヒトカゲっていうんだ。」 リョウはアスカにヒトカゲを手渡す。 「ありがとう。この子、僕になついてくれなくて・・。」 アスカは暴れるヒトカゲをボールに戻す。 アスカは肩を落とす。 「じゃ、なおさら頑張らなきゃ!なついてもらえるように、ね。」 ワカナは励ます。 「ありがとう!そうだね!」 「取り込み中かな?」 博士が聞く。 「あ、いえ。すいません。」 「それで、お前達に旅に出てもらいたいのじゃ!」 「え、俺達3人に、ですか?」 「そうじゃよ。その図鑑に、より多くのデータを集めてもらいたいのじゃ。頼めるかな?」 3人は即答に答える。 「もちろんです!」 「むしろ、行きたいって思ってたのよ!」 「僕も憧れてました!」 「そうか!では、さっそく出発じゃ!」 「せっかくだし、一緒に旅しようぜ!」 リョウが案を出す。 「!そうだね!」 結果、3人で旅に出る事になった。 「俺は母さんに話してから行くよ。」 「分かったわ。」 「じゃ、外で待っとくよ。」 3人は研究所を出る。 「じゃあね!おじいちゃん!」 「ああ、しっかりやるんじゃぞ!」 バタンッ☆ 博士はつぶやく。 「・・あいつらならやってくれる。」 リョウは旅に出る事を母親に話した。 「・・良いだろう?母さん。」 「いいわ。あなたがやりたいのなら。1回きりの人生だしね。」 母親は賛成のようだ。 「ありがとう、母さん!・・行ってきます!」 「行ってらっしゃい、気をつけるのよ!」 バタンッ☆ リョウが出るとワカナとアスカが外で待っていた。 そして、3人はマサラタウンに背を向け、歩んで行く。 つづく |
☆華鈴☆ | #5☆2004.06/04(金)17:47 |
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【第5話 故郷】 「なぁ、アスカってどこから来たんだ?」 リョウが話題を繰り出す。 「うーん・・知ってるかなぁ?ナナシマっていうんだけど・・。」 「ナナシマ!?俺、そこから引っ越してきたんだ!」 3人・・特にアスカは驚く。 「へーえ!偶然ってあるものなのね。」 ワカナは笑う。 「で、アスカはナナシマのどこから来たんだ?」 「僕はね、4の島から来たんだよ。」 「結構近いな。俺は3の島。」 「私、そっちの方あまり行った事、ないのよね。もっと教えてよ!」 ガササッ 近くの茂みが動く。 「「「な、何!?」」」 「ポッ!」 ポッポだ。どうやらさっきのポッポの様だ。 「きゃvさっきのポッポじゃないv」 「また始まった・・。」 「それならGETすれば良いんじゃない?」 アスカが言う。 「そうね!」 「でも、どうやって?」 「ずっと前、おじいちゃんに貰ったのボール。GO!リズム!」 「ダネェ!」 ワカナはリズム・・フシギダネを繰り出す。 「?どうしてリズムを出すんだ?」 「バトルして、弱らせてGETするのが基本よ!リズム、『たいあたり』!」 「フッシィ!」 ドカッ! 『たいあたり』はポッポにヒットする。 「ポ・・ッ!」 「ごめんね、ポッポ。行くわよ、『やどりぎのタネ』!」 「ダネダネ!」 『やどりぎ』が相手の体力を奪って行く。 「ポポッ・・!?」 「今だわ!行って、モンスターボール!」 ヒュッ ワカナはボールを勢い良く投げる。 「モンスターボール?」 リョウは首を傾げる。 「ボールを投げるとポケモンをゲットする事ができるんだよ。」 ワカナの代わりにアスカが答える。 コトコトコトコト・・ モンスターボールが左右する音が、やけに大きい。 コトコト・・カチッ☆ 「・・!やった!ポッポ、GETよ!」 「良かったなぁワカナ。」 「うん!出てきて、ポッポ!」 ワカナはボールからポッポを出す。 「あなたは今日から私達の仲間よ!ニックネームは・・バートゥ!バートゥにしましょう!」 「ポポーッ!」 バートゥは名前を貰い、とても嬉しそうだ。 ワカナはバートゥをボールに戻した。 「さぁ、トキワシティはそこだぜ!行こう!」 リョウは歩み始める。 「「オーッ」」 拳を振り上げるワカナとアスカ。 新しい仲間、バートゥを加え、3人はトキワシティへ向かう。 つづく |
☆華鈴☆ | #6★2004.06/06(日)19:57 |
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【第6話 トキワシティ、再び!】 「着いた〜!トキワシティ!」 リョウが大きな伸びをする。 快晴の空は、微笑む様にさわさわと風を呼ぶ。 「そうね!何かついさっき来たのに、久しぶりって感じがするわ!」 「ここがトキワシティかぁ!」 アスカは初めての町を見上げる。 「まずはポケモンセンターへ行ってみましょうよ!」 3人はポケモンセンターの受付に居るジョーイさんにポケモンを預けた。 「もうしばらくお待ち下さい。」 3人はポケモンセンターを出る。 「本当に良い天気・・。」 アスカはほぅっと溜息をつく。 「ん?あれは・・。」 リョウが何かに気がつく。 3人の前には1匹、紫色のポケモンがいる。 「ニドニド!」 「あのポケモンは?」 リョウは図鑑を開く。 <ピピッ♪> ≪ニドリーノ どくばりポケモン。おこりやすいせいかく。はったつしたツノをふりまわしてダイヤモンドも、くしざしにする。≫ 「かっこいい!俺もああいうポケモン、欲しいなぁ。」 リョウがそう言った時。 「ニドリーノー!」 誰かがニドリーノを呼ぶ声がする。 「ニドッ!」 ニドリーノはその場を離れる。 「あっ!待って!」 ニドリーノは渋々止まった。 「ねぇ、どうしたの?」 ワカナが尋ねる。 すると少女が答えた。 「私の名前はシオン。あのニドリーノのトレーナーなんだけど・・。」 シオンは金色の長い髪で、白いワンピースを着ている。 「もしかして、言う事聞いてくれないの?」 アスカが聞く。 「!そうなのよ!どうして分かったの?」 シオンが首を傾げる。 「僕のヒトカゲも同じなんだよ。」 アスカが悲しそうに言う。 「そうなの・・。」 「あなた達。ポケモンの回復が終わったわよ!」 中からジョーイさんが出てくる。 「ありがとうございます!」 「あなた達のポケモン、見せてよ!」 シオンが眼を輝かせながら言う。 「良いわよ!」 ワカナが答えた。 「出て来い!コウ!」 「出てきて!リズム、バートゥ!」 「行くんだ、ヒトカゲ!」 それぞれのポケモンの名を呼ぶ。 「ゼニィ!」 コウは勢い良く飛び出した。 「フッシ!」 リズムはゆっくりと着地。 「ポポッ!」 バートゥは宙で羽ばたいている。 「カゲェ!」 ヒトカゲは出てきたとたん、そっぽを向く。 3人の手持ちが全員出た。 「これが、俺達のポケモンさ。ゼニガメのコウ。フシギダネのリズム。ポッポのバートゥ。そしてヒトカゲさ。」 リョウが説明する。 ヒトカゲは、自分だけ種族名で呼ばれたのが気に入らなかったのか、リョウを見つめた。 「可愛いね!私のポケモンはこの子1匹よ。」 「ニドォ!」 ニドリーノは、何かを訴えている様だった。 その様子を見て、ワカナが提案する。 「・・ねぇ。2人とも。この子達にニックネームつけたら?」 「ニドー!」 「カゲェ!」 2匹は頷く。 「じゃぁ君は・・グルー。グルーだね!・・変ですか?」 「全然!良いよ!」 「あなたは・・カイね!うん、良いかも!」 「ニドッ!」 「カゲ!」 2匹は2人に擦り寄る。 「あれ?」 「もしかして、ニックネームが欲しかっただけ?」 「良かった!これで仲良くなれるわね!」 「うん!よろしく、グルー!」 「カゲッ!」 「よろしく、カイ!」 「ニード!」 ヒトカゲにグルー、ニドリーノにカイという名前を名づけたアスカとシオン。 こうして2匹の信頼を得た、アスカとカイだった。 つづく |
☆華鈴☆ | #7☆2004.06/06(日)13:37 |
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【第7話 雨の中の出会い】 「なぁ、俺とワカナはジム戦をするけど・・。アスカはどうする?」 リョウがアスカに聞く。 「僕はいいよ。ポケモンを育てるブリーダーを目指してるから。」 アスカは断る。 「トキワのジムが最後のジムなのよ。一番近いんだけどね。」 ポツポツ・・ザーッ 雨だ。 「きゃっ!雨だわ!」 ワカナが頭を抱える。 「でも、すぐ止みそうだよ?」 「止むまでに、ずぶ濡れになるぜ!・・あの木の下で雨宿りしよう!」 3人は大きな木の下へ走りこんだ。 「ここで止むまで待っておこう。」 雨は本降りになってきた。 雷まで鳴っている。 ゴロゴロ・・ガッシャァン! 「きゃぁぁっ!」 ワカナが悲鳴を上げる。 「大丈夫だよ、ワカナちゃん。」 アスカが声をかける。 「だってだってぇ・・。」 ワカナは泣き面だ。 バサバサ・・ 「くくッ!」 1匹のポケモンが飛んできた。 「このポケモンは?」 リョウが図鑑を開く。 <ピピッ♪> ≪オニスズメ ことりポケモン。いそがしくあちこちをとびまわる。たいりょくはすくないが、オウムがえしをつかうとてごわい。≫ 「びしょびしょだ。拭いてやるよ。」 リョウがバッグからタオルを取り出す。 「くくッ?」 リョウはオニスズメの体を拭く。 オニスズメは人間慣れしてるのか、おとなしかった。 雨が止む。 「くくぅ!」 オニスズメは辺りを飛び回る。 「・・なぁオニスズメ。俺と一緒に行かないか?」 リョウはオニスズメに尋ねる。 どうしても仲間にしたいのだった。 「くくぅ?くくッ!」 オニスズメは喜んでいる様だ。 「決まりだ!仲良くしような。」 「くく!」 「ニックネームは・・トクルだ!どうだ?」 「くくぅ!」 リョウはトクルをボールに入れた。 「新しい仲間がまた、増えたね!」 「あぁ!・・あ、前にゲートが見える!」 「本当だ!行ってみましょうよ!」 3人はゲートに入った。 「あら、あなた達。ここは初めて?」 1人の女性が聞く。 「はい。そうです。ここは何ですか?」 アスカが尋ねる。 「ここはトキワの森の入り口よ。森を抜けるとニビシティがあるわ。」 「「ニビシティ?」」 ワカナが答える。 「大きな町よ。そこには1つ目のジム、ニビジムがあるわ。」 「ジム!?じゃぁ行こうぜ!」 「「うん!!」」 「森を抜けるなら道に迷わない様にね。森は迷路の様に曲がりくねっているから。」 「はい!ありがとうございます。」 3人は女性の忠告を受け、トキワの森へ入って行った。 つづく |
☆華鈴☆ | #8★2004.06/06(日)20:21 |
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【第8話 木の実の輪】 「・・やっちゃったね。」 アスカが溜息をつく。 3人は、さっそく道に迷った様だ。 「忠告してもらったけど・・意味なかったわね。」 ワカナが苦笑いする。 「「「はぁ〜・・。」」」 3人は同時に溜息をつく。 しばらく歩いてはみたが、どうやら無駄足の様だった。 その時、リョウは木に貼ってある1枚のチラシを見つけた。 「『道に迷ったら木の実の輪にお任せ』?何だそりゃ。」 リョウが首を傾げ、再び木にチラシを貼った時。 「あれ、君達もしかして・・道に迷った?」 3人が驚いて振り向くと男の人が1人、立っている。 「そうです。・・あ、もしかして木の実の輪の方ですか?」 リョウがもしやと思い尋ねる。 男の人は驚いた様子だった。 「知ってるのかい?木の実の輪を!・・あぁ、このチラシを見たのか。僕の名はチイラ。」 男の人は頭を下げた。 少しガッカリした風にも見えた。 3人も慌てて頭を下げる。 「(チイラ?木の実の名前だわ・・。)あの、木の実の輪って何なんですか?」 ワカナが尋ねる。 「木の実の輪は、いわゆるサークルさ。1人1人に木の実の名前がついてるんだ。人数は分からないけど。そして・・。」 チイラは、3人にチイラの実を渡した。 「出会った人に、自分の名前の木の実を渡すのさ。森に住んでる奴は、僕の様に案内をしてる奴も多いよ。」 3人はチイラの実を受け取った。 「そうなんですか・・。」 「さ、案内するよ。こっちに来て。」 チイラは手招きした。 「あ、ありがとうございます。」 3人は、チイラに途中まで案内してもらった。 「僕の案内はここまで。後は分かれ道はないから。道のりはかなりあるけど・・。」 「いえ、ありがとうございました!」 「この先、僕のサークル仲間に合うかもしれない。その時はたぶん分かるだろう。」 チイラに礼を言うと3人は再び歩き出した。 後ろで、チイラが手を振っていたので、3人も手を振り返した。 「は〜!助かったな!」 「本当!どうなるかと思ったわ!」 「・・でも、変わった人達だよね。」 アスカの一言で3人は笑ってしまった。 皆同感だったのだ。 チイラに道案内をしてもらい、迷う事はなくなった。 道のりはあるが、ニビシティへ近づいたリョウ達だった。 そして、リョウとワカナはジム戦への闘志を燃やし始めるのだった。 つづく |
☆華鈴☆ | #9☆2004.06/09(水)16:34 |
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【第9話 森の出口】 3人は、まだトキワの森の中を歩んでいた。 「この遠さは、半端じゃないわね・・。」 ワカナが足を止める。 「頑張って、ワカナちゃん!・・あ!あそこに休憩所があるよ?」 「「えぇ!?」」 リョウとワカナは、アスカが指差す方を見ると、確かにベンチやテーブルの置いてある休憩所がある。 「き、休憩所がある森って・・。」 「相当すごいわね。」 リョウとワカナは苦笑いする。 「ま、まぁ・・。とりあえず休憩して行こうよ。」 アスカが笑いながら言った。 「そうね・・。」 「そうだな。」 リョウとワカナもアスカに続く。 3人はベンチに座った。 「皆も出してあげようよ。」 アスカはボールを取り出す。 「そうだな!」 「皆も疲れてるだろうしね。」 リョウとワカナもボールをベルトから外す。 「行け、コウ。トクル!」 「出ておいで、リズム!バートゥ!」 「グルー、休憩だよ!」 ボールから、それぞれ飛び出す。 トクルは驚いている。 皆はトクルの方を見る。 「く、くくッ?」 戸惑うトクル。 「皆、新しい仲間のトクルだ。仲良くしてやってくれ。」 リョウが紹介する。ポケモン達はトクルを受け入れた様子で、トクルも安心した様だ。 「さぁ、皆。ポケモンフーズよ。たくさん食べて!お腹、空いてるでしょう?」 皆はワカナがお皿に入れたポケモンフーズにがっつく。 「うふふ。急がなくても、ちゃぁんと皆の分あるわよ。」 ワカナが笑った時。 ガササッ! 近くの茂みが揺れた。 「何かしら?」 ワカナが近づくと・・。 「ピッカ?」 茂みの中から、黄色と黒の模様のポケモンが出てくる。 「これ、ピカチュウだね!」 アスカが微笑む。 「ピカチュウ?」 ワカナが図鑑を開く。 <ピピッ♪> ≪ピカチュウ ねずみポケモン。ほっぺたのりょうがわに、ちいさいでんきぶくろをもつ。ピンチのときにほうでんする。≫ ピカチュウの首には、ボロボロになったリボンが結んである。 相当古い様だ。 「君・・。もしかして捨てられたの?」 アスカが聞く。 「ピカチュ・・。」 悲しそうに頷くピカチュウ。 「なんて酷い事を!かわいそうに。・・そうだわ!ピカチュウ、私達と一緒に旅をしない?」 「ピカ・・?」 ピカチュウは首を傾げる。 「ねぇ、どう・・?」 ワカナは手を差し伸べる。 「・・ピッカ!」 ピカチュウがワカナの胸に飛びつく。 「・・!行ってくれるのね!」 「ピカ!」 ピカチュウが嬉しそうに笑う。 「でも、私で良いの?」 ワカナが聞くと、 「ピカ!」 ピカチュウは頷いた。 「ありがとう!ピカチュウ、ご飯食べよう!」 「ピカ〜!」 ワカナ達は元居た場所に戻った。 そしてピカチュウは、リョウ達と共に食事をし、ワカナのモンスターボールに入った。 「また、にぎやかな仲間が増えたな!」 リョウが笑う。 「うんっ!・・あ!出口よ!」 ワカナが指差す。 そこには、入り口と同じ様にゲートがある。 「やっと着いたかぁ・・。」 アスカは溜息をつく。 「本当だ!よし!ニビシティはすぐそこだ、行くぞ!」 リョウが駆け出す。 「あ、待ってよ〜!」 「走らなくても町は逃げないよ〜?」 ワカナとアスカは慌てる。 リョウは、眼の前にあるゲートに向けて駆けて行く・・! リョウが、ジム戦に胸を膨らましているのを、ワカナとアスカは知っていた。 つづく |
☆華鈴☆ | #10☆2004.06/09(水)18:41 |
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【第10話 ニビシティ!特訓開始!】 「やっと着いたぜ!ニビシティに!」 リョウは、ニビシティ全体が見渡せる土手の上に立った。 「ま、待ってよ〜!」 「僕達を置いて行かないで〜!」 後ろからワカナとアスカが追いかけてくる。 「あ、悪い悪い!つい興奮しちゃって・・。」 リョウは謝る。 「もう!やる気満々ね!これは私も負けてられないわ!」 ワカナも強気だ。 「リョウ君、ワカナちゃん、頑張ってね!・・とりあえずポケモンセンターに行こうよ!」 「そうだな!」 3人はポケモンセンターに向かった。 ウイィーン☆ 「ジョーイさん、私達のポケモンをお願いします!」 3人は、全てのモンスターボールを差し出した。 「はい、かしこまりました!しばらくお待ち下さい。」 「あれ?ジョーイさん、トキワシティのジョーイさんですか?」 リョウが尋ねた。 「いいえ、違いますよ。・・この写真を見て下さい。」 3人は、ジョーイさんの写真を見せてもらった。 「あ!皆同じ顔!?」 リョウが驚く。 「えぇ、私達は皆親戚なの。だから皆の見分けは、帽子の色で見分けてね。」 そう言ってジョーイさんは帽子に付いている十字架を指差す。 「本当だ!色、違う!」 ワカナが気付く。 「そうでしょう?・・さぁ、ポケモンの回復をするからお話はここまで。」 「あ、はい。ありがとうございました。」 リョウがお礼を言った。 3人はポケモンセンターの椅子に座った。 「それはそうとニビシティのジムリーダーってどんな人だ?」 リョウが聞く。 「僕の持ってるガイドブックに載ってるよ。えーと・・。名前はタケシさんって言う男の人で、岩タイプ使いだよ。」 アスカがガイドブックを見ながら言った。 「岩タイプ、には何タイプが良いんだ?」 今度はワカナが答える。 「岩タイプには水タイプや草タイプ・・つまり、コウやリズムなんかが良いのよ!逆に、トクルやバートゥなんかの飛行タイプは控えた方が良いわ。」 「そうなんだ・・。タイプの相性って難しいな。」 リョウが言った。 「あなた達、ポケモンが皆元気になったわよ!」 ジョーイさんがボールを渡す。 「ありがとうございます!・・次はフレンドリィショップに行こうぜ!」 「ええ!色々買う物もあったしね。」 3人はポケモンを受け取り、ポケモンセンターを後にし、ショップへ向かった。 ウイィーン☆ 「いらっしゃいませ!何をお探しですか?」 店員さんが言った。 「あの・・。モンスターボール、ありますか?」 リョウが尋ねた。 「もちろんありますよ!・・こちらになります!」 店員が奥からボールを出して言った。 「じゃぁ、それを5つください!」 「私も。3つお願いします!」 リョウとワカナは注文した。 「アスカ君は?」 ワカナが聞く。 「僕はいいよ。」 アスカは断る。 「かしこまりました。他には?」 「えっと・・。じゃぁ・・。」 その後、しばらく3人は買い物を楽しみ、ショップを出た。 「俺は・・。モンスターボールが5つ、傷薬を2つ、まひなおし、どくけしを1つずつ・・。」 「私はね。モンスターボール3つに、傷薬を4つ、まひなおしが1つにどくけしが2つよ。」 2人は、買った中身を確かめあった。 「ずいぶんたくさん買ったね。」 アスカは驚いている。 「まぁね。旅の準備は念入りに、だからね。」 ワカナがウインクする。 「次はどこ行く?・・そうだ!ワカナ、バトルしないか?」 リョウは思いついた様に言った。 「えっ、ポケモンバトル?どうして?」 「だってジム戦までのトレーニングに丁度良いだろう?」 リョウは説明する。 「あ、そっか!うん、そういうことなら受けて経つわ!私のトレーニングにもなるし。」 ワカナは承知した。 「アスカ、審判やってくれないか?」 「僕で良ければ喜んで!」 アスカも、2人のバトルを見たそうにしている。 「よし、じゃぁこの先の広場でやろうぜ。近くにあったから。」 「OK!行きましょう!」 こうして3人は広場へ向かった。 リョウとワカナのジム戦に向けての特訓が始まった! バトルの結末は!? つづく |
☆華鈴☆ | #11★2004.06/10(木)20:16 |
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【第11話 ジム戦に向けて!リョウVSワカナ!】 3人は広場に到着し、それぞれの位置についている。 「ワカナ、俺は手加減しないぜ!」 リョウが拳を握る。 「もちろんよ!良いバトルをしましょう!」 ワカナも強気な気持ちをぶつける。 「じゃぁ2人とも!頑張ってね!・・では。ただ今より、リョウ対ワカナの練習試合を始めます!両者、準備は良い?」 アスカがリョウとワカナの顔を見る。 「「はい!!」」 2人はベルトに手をやった。 カチッ☆ 「では、試合開始!」 アスカが片腕を上げた。 試合開始の合図だ。 「行けっ、コウ!」 「出番よリズム!」 2人がボールを投げる。 「ゼニィッ!」 「ダーネ!」 コウとリズムが勢い良くボールから出てくる。 「ジム戦に出すポケモン同士・・って事かな?」 アスカが言う。 「この間の続きって事か!よし!コウ、やってやろうぜ!」 「ゼェニ!」 コウは前へ足を踏み出す。 「こっちも負けてられないわよ!リズム!」 「フッシィ!」 リズムも頷く。 「「『『たいあたり』』!!」」 2人の指示が揃った。 コウとリズムは同時に走り出す。 2匹はぶつかり合う。 「ゼニッ・・!」 「ダネェ・・!」 「負けるな、コウ!『みずでっぽう』!」 「こっちだって!リズム、『つるのムチ』で跳ね返して!」 2人は2匹に指示を出す。 「ゼェーニィー!」 「フシッ!ダァネ!」 2匹も、トレーナーの指示に従う。 『みずでっぽう』と『つるのムチ』がぶつかり合う。 辺りに水が飛び散る。 「うわっ!・・びしょ濡れだ。」 アスカは困った顔をする。 「アスカ君、ゴメン!・・リズム、『やどりぎのタネ』!」 「フシッ!」 リズムは、背中のタネから小さなタネを出す。 そのタネがコウに絡みつく。 「ゼニッ!?・・ゼニィッ!」 バチバチッ! タネが、コウの体力を少しずつ奪って行く様だ。 「コウッ!」 「『やどりぎ』がコウの力を吸い取っているのよ。その分、リズムは元気になるわ。」 リョウが見ると、リズムの体力は、ゆっくりと回復して行く様だった。 「くっ・・!コウ、耐えれるか?俺は・・お前を信じてる!」 「ゼニィ・・!ゼニッ!」 コウは『まだ、やれる!』と言う様に青いオーラを出す。 「・・!?コウ!?」 3人は驚く。 アスカが気付く。 「これは・・。ゼニガメの特性、「げきりゅう」!水タイプの技の威力が倍増するんだ!」 アスカが説明した。 「そうか・・コウを信じるリョウの思いが通じたのね。でも、私達も負けない!リズム、『はっぱカッター』!」 「フッシィ!」 「コウ、お前の力を見せてやれ!『みずでっぽう』だ!」 「ゼニッ!」 2匹の攻撃が反れ、それぞれの相手に当たった! 「耐えろ!コウ!」 「耐えて!頑張れリズム!」 「ゼニ・・!ゼ・・。」 「フシッ・・ダネェ・・。」 2人の声援の中、2匹は同時に倒れた。 「ゼニガメ、フシギダネ、共に戦闘不能!よってこの勝負、引き分け!」 アスカが宣言する。 いくら、リズムが相性や回復した体力で勝っていたとしても、コウの倍増した『みずでっぽう』には勝てなかったのだ。 コウも同じ。 『やどりぎのタネ』で吸い取られたコウの体力にも限りがあったのだ。 「コウ・・よくやった。後はゆっくり休んでくれ。」 「ゼニ・・。」 「リズム、よく頑張ったわね。ボールの中でゆっくり休みなさい。」 「ダネ・・。」 コウはリョウに、リズムはワカナに、申し訳なさそう頭を下げながらボールへ入った。 「2人とも、良いバトルだったよ。この調子なら、ジム戦も行けるんじゃない?」 アスカが言った。 「そうだな。じゃぁワカナ。ジム戦に挑戦してみるか、明日。」 「そうね。やって見ましょう。」 2人は明日、ジム戦に挑戦する決意をした。 明日、2人のジムバッジを賭けたジム戦が始まる! つづく |
☆華鈴☆ | #12★2004.06/11(金)20:30 |
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【第12話 初めてのジム戦!1つ目のバッジを賭けて!(前編)】 ギィィ・・ リョウがジムの扉を開ける。 「は、入るぞ・・!」 リョウはカチコチになっている。 「うふふ!リョウ、何硬くなってるの?」 ワカナは、緊張しないタイプの様だ。 その時・・。 「おや?君達は挑戦者かい?」 奥から男の人が1人出てきた。 「あ、はい・・。もしかしてタケシさんですか?ニビジムリーダーの!」 ワカナが胸を高鳴らせながら尋ねる。 「あぁ、俺はタケシ。君達は?」 タケシが聞き返してくる。 「俺、リョウって言います。」 「私ワカナです。」 「僕はアスカです。よろしくお願いします。」 3人は自己紹介した。 「こちらこそよろしく。・・君達は挑戦者(チャレンジャー)かい?」 タケシが再度聞く。 「はい。でも、バトルするのは俺とワカナです。アスカは応援です。」 「僕は、ポケモンを育てる方が好きですから。」 アスカが微笑みながら言う。 「そうか。では、どっちからバトルするのかな?」 タケシが聞く。 「どうする?ワカナ。」 リョウがワカナに聞く。 「私、コイン持ってるから表が出たらリョウ。裏が出たら私って事にしない?」 ワカナはコインを1枚、取り出しながら言った。 「じゃぁそうしようぜ!・・貸して。」 リョウはワカナからコインを受け取り、 ピンッ☆ 空中に放り投げた。 コインが、回転しながら落下して来る。 パシッ! リョウは、手の甲でコインの回転を止め、中を覗いた。 「裏…。」 リョウが呟く。 「って事は・・私!?」 ワカナが自分を指差す。 「ワカナちゃん、頑張ってね!僕達、応援してるよ!」 アスカが最後に「いつもの調子でね!」と付け足した。 「え、えぇ!頑張るわ!」 ワカナはコインをしまいながら自分の位置に着く。 「ワカナちゃん、と言ったね?お互い悔いの残らない様にしよう!」 タケシが言った。 「ただ今より、ジムリーダータケシと、マサラタウンのワカナによるジム戦を行う!使用ポケモンは1体。相手のポケモンを、先に戦闘不能にした方の勝ちとします!両者、準備は良いか?」 タケシの弟子が言う。 「いつでも。」 「はい!」 2人が返事をする。 「試合開始!」 審判が旗を上げる。 「行くのよ、リズム!」 「ダァネ!」 ワカナはリズムを繰り出す。 「フシギダネか。ならば・・!行け!イシツブテ!」 「イッシィ!」 タケシは大きな石の塊の様なポケモンを場に出す。 「あのポケモンは・・?」 <ピピッ♪> ≪イシツブテ がんせきポケモン。まるくてもちやすいので、つかんであいてになげてぶつけるイシツブテがっせんができる。≫ 「強そう・・!でも負けないわ!リズム、『はっぱカッター』!」 ワカナは、ひるみながらもリズムに指示を出す。 「フシッ!ダネェ!」 「イシツブテ、『かたくなる』んだ!」 「イシッ!イシィ・・!」 カキンカキンッ! 『はっぱカッター』は、あっけなくはじき返される。 「イシツブテ、『どろあそび』!」 「イシッ!イシイシ!」 イシツブテは、その辺りを転げ周り、辺りに泥を撒き散らす。 泥は、観客席まで飛んでくる。 「うわっ口に入った!(ペッペッ)あの技、かなり効くぜ・・。」 リョウは口の中に入った泥を吐きながら言う。 「ダネッ・・!」 リズムの眼にも、泥は入る。 「あ、リズム!」 「今だ、『いわおとし』!」 「イシッ!イッシーィ!」 タケシの指示で、イシツブテは辺りの岩を砕き、飛ばす。 「リズム、危ない!」 しかし、リズムは眼に入った泥のせいで、かわす事が出来ない! 「くっ・・!仕方ない、リズム!どこでも良いから、とにかく『はっぱカッター』よ!」 「ダネッ!フッシィ!」 リズムは、がむしゃらに『はっぱカッター』を連発する。 すると、『はっぱカッター』が岩を真っ二つに裂いた。 「なっ!なんて威力だ!」 タケシはあっけにとられる。 「リズム、眼は?」 「ダネッ?フッシ!」 リズムの眼の泥は、もうすっかり流れている。 「よぉし!決めるわ!リズム、『つるのムチ』!」 「ダネッ!ダネーェ!」 リズムは思い切りイシツブテを弾き飛ばす! ドンッ! イシツブテは、壁に叩きつけられる。 「あぁっ!イシツブテ!?」 「イ・・イシ・・。」 イシツブテは眼を回している。 「イシツブテ、戦闘不能!フシギダネの勝ち!よってこの勝負、ワカナの勝ち!」 審判の旗がワカナを指す。 「やった・・。やったわよ、リズム!」 「ダネダネ!」 「おめでとう、ワカナちゃん!」 リョウとワカナが駆け寄って来る。 「ありがとう!リズム、疲れたでしょう?ボールでゆっくり休んでね。」 ワカナはリズムをボールに戻す。 タケシもイシツブテをボールに戻す。 「良くやったよ、イシツブテ。おめでとう、ワカナちゃん!これをあげよう。グレーバッジ。このジムを勝ち抜いた証だ!」 タケシは、グレーのバッジを差し出す。 ワカナはそれを受け取る。 「ありがとうございます!・・さぁリョウ。あなたもバッチリ決めてよね!」 ワカナがウインクする。 「あぁ!タケシさん、お願いします!」 「もちろんだ。さぁこっちへ・・。」 リョウとタケシが位置に着く。 グレーバッジをGETしたワカナ。 今度はリョウのジム戦だ! つづく |
☆華鈴☆ | #13☆2004.06/12(土)11:07 |
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【第13話 初めてのジム戦!1つ目のバッジを賭けて!(後編)】 「ただ今より、ジムリーダータケシと、マサラタウンのリョウによるジム戦を行う!ルールは先ほどと同じ!では、試合開始!」 審判が旗を上げる。 「コウ、行けっ!」 「ゼニゼニッ!」 「出番だ、イワーク!」 「イワーッ!」 タケシは、長い岩の様なポケモンを場に出す。 <ピピッ♪> ≪イワーク いわへびポケモン。ふだんはつちのなかにすんでいる。ちちゅうを、じそく80キロでほりながらエサをさがす。≫ 「イワークか。行くぜ!コウ、『みずでっぽう』だ!」 「ゼニッ!ゼェーニィー!」 コウの『みずでっぽう』がイワークに命中する。 「やったっ!」 リョウは喜んだ。 「・・イワーッ!」 しかし、イワークへのダメージは、わずかだった様だ。 「なっ!効果は抜群なはずなのに・・?」 「俺のイワークは、その程度では倒れないぞ!イワーク、『しめつける』!」 「イワッ!」 イワークは、長い体でコウを『しめつける』。 「ゼッゼニィ・・!」 コウは息をするのも苦しそうだ。 「コウ、振り払え!『みずでっぽう』!」 「イワーク、投げつけろ!」 コウが攻撃する前に、イワークはコウを地面に叩きつける。 「ゼニッ!」 「コウ!まだ行けるか?」 「ゼ・・ゼニッ!」 コウはなんとか立ち上がる。 「(このままじゃ負ける!なんとかしないと・・。)コウ!『たいあたり』!」 コウは思い切りイワークに向かって行く。 「フッ、そんな攻撃が通じるわけないだろう。イワーク、受け止めろ!」 コウは、たまたまイワークの岩と岩の境目にぶつかる。 「イワッ!?イワーッ!」 イワークが暴れる。 「!?イワーク、どうしたんだ!?」 タケシが驚く。 「(どうしてイワークはあんなに・・。岩の境目・・?そうか!)コウ、イワークを引き付けろ!」 「ゼニッ!ゼニゼニゼ〜ッ!」 コウは、イワークにべーっと舌を出し、挑発する。 「イワッ!?イワイワァ!」 イワークは、怒ってコウに向かって来る。 だんだん、イワークの頭が下がる。 「今だコウ!イワークに飛び乗れ!」 「ゼニッ!」 コウは、イワークの頭に飛び乗る。 「コウ、イワークの岩と岩の境目に『あわ』だ!」 「ゼニッ!ゼニ〜ッ!」 コウの『あわ』が、イワークの岩と岩の間奥深くに入って行く。 そのとたんイワークは再び暴れだす。 「イワッ!イワァーッ!」 「イワーク!落ち着け!」 しかし、イワークにはタケシの声は聞こえない。 イワークはそのまま倒れる。 「イワーク、戦闘不能!ゼニガメの勝ち!よってこの勝負、リョウの勝ち!」 「やったぜ!コウ!」 「ゼーニッ!」 コウはリョウに飛びつく。 「おめでとう、リョウ!良いバトルだったわ!・・でも、どうしてイワークの岩と岩の境目に『あわ』をしたの?」 ワカナが聞く。 「境目にしたのはイワークが、コウが境目に『たいあたり』した時気付いたんだ。イワークの弱点は境目だって。『あわ』を使ったのは、『あわ』の繊維が『みずでっぽう』よりも細かくて、岩の間に入りやすかったからだよ。」 リョウが説明した。 「すごい・・。そんな事まで考えてたなんて・・。」 アスカが感心している。 「見事だった、リョウ君。このグレーバッジを持つのにふさわしいトレーナーだったよ、君は。」 タケシは、リョウにグレーバッジを渡す。 「ありがとうございます!コウ、戻ってくれ。疲れただろ?」 リョウはコウをボールに戻す。 「さぁ、次の目的地へ行こうぜ!タケシさん、また!」 リョウはタケシに別れを告げる。 「あぁ、次のジム戦も頑張るんだぞ!」 「ありがとうございます!・・ホラ、行こう!」 ワカナが2人の手を引っ張る。 「わわっ!そんなに引っ張らないでよ。」 笑いながらアスカが言う。 リョウも無事にジムバッジをGETした。 さぁ、次の目的地に向けて出発だ! つづく |
☆華鈴☆ | #14★2005.05/30(月)19:43 |
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【第14話 科学の進歩!ポケモンインカム!】 ウイィーン☆ リョウ達は、ポケモンセンターを出る。 リョウとワカナは、自分のGETしたバッジを見つめている。 「へへっ!グレーバッジ!俺の初めてのバッジだ!」 「綺麗よねぇvふふっ!」 2人とも満面の笑みを浮かべている。 「良かったね!・・それにしても2人ともニヤニヤしちゃって!」 アスカが笑う。 「あっ!君達!」 その時、白衣を着た男の人が、リョウ達を呼び止めた。 「?何ですか?」 3人は近寄る。 「僕は、オーキド博士の助手のトーン。君達がリョウ君、ワカナちゃん、アスカ君だろう?博士から贈り物だよ。」 そう言って、トーンは小包をリョウに渡す。 「コレを・・博士が?」 リョウは受け取る。 「では、私はこれで・・。」 トーンは帰って行った。 「あ、はい!ありがとうございました!」 「何?開けて開けて!」 ワカナがせかす。 「分かったよ。(ガサガサ・・。)?何だ、コレ?」 中から出てきたのは、頭に付けるヘッドホンの様な物が3つだった。 手紙が付いている。 <リョウ、ワカナ、アスカ。元気にやってるかの?頑張っているお前達にプレゼントじゃ!中に入っている物は「ポケモンインカム」、略して「インカム」と言う機械じゃ。それを付けると、なんとポケモンの言葉が分かる様になるんじゃ!スイッチは青いボタンじゃ。うまく使ってくれ!オーキド> 「えぇっ!?ポケモンの言葉が分かる!?」 リョウは驚く。 「ねぇ、試してみない?」 ワカナは、うずうずしている。 「おう、そうだな。出て来い、コウ!」 「ゼニゼニ〜!」 コウは、跳んだり跳ねたりしている。 「おっ、元気になったな!お前、ちょっと喋ってみろ。」 リョウは、早速インカムを装着した。 ワカナとアスカもリョウに倣う。 『…?そんなこと言っても、皆さんに言葉が伝わるワケないです?』 3人は、呆然とコウを見つめた。 『あ、あのぅ…?』 「すっっげぇ――!さっすが博士!」 「コウ、あなたの言ってること、私たちに伝わってるのよ!」 それを聞き、コウの目が輝く。 『!…本当ですか!?』 「うん!」 アスカも同意する。 『うわぁ…嬉しいなあ。皆さんにボクの意思を伝えられるなんて!』 「そうだな!…よし!!次の町に直行だ!」 「「「『おお――っっ」」」です』 こうして、ポケモンインカムを手に入れたリョウたち。 次の町では、どのような出来事が待っているのだろうか? リョウと仲間達の冒険〜出会い<完> |
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