ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[460] ミュウ伝説

ゆい☆ #1☆2004.08/23(月)21:18
〜第1話〜 始まりはアルプスタウン!

青い瞳にピンク色の髪の毛、ここカントー地方のずっと端にある小さな町・アルプスタウンで生まれた未夢は、他と少し見た目が違うだけでイジメにあっていた女の子。実はこの少女、この世で一番珍しいと言われ続けていたポケモン・ミュウの生まれ変わりだったりするのだ。
そんな世間とはもうお別れ。未夢はポケモンを集める旅に出ることになり、今はとてつもなく上々気分だった。ずっと夢見てたポケモントレーナーになれるんだなあって、やっとみじかでたくさんの種類のポケモンが見れるんだなあなんて、きっといろいろなことを思っているに違いない。未夢の心はワクワクとドキドキで押しつぶされそうになっていた。


今日がとうとう旅立ちの日。未夢はお気に入りのリュックをせおって、お気に入りの帽子もかぶって、旅の準備は完璧に済ませていた。
「そろそろ行くね。」
「はいはい、頑張ってね。あと、あなたを追っているロケット団には気をつけるのよ。いつどこで何が合っても冷静でいることを忘れずにね。」
そう、未夢は幻のポケモン・ミュウの生まれ変わり。ロケット団はそんな未夢を追っている悪の秘密組織のことだ。
「まっ、ロケット団なんぞ私のポケモンで1発だけどね。それじゃあ行ってきまーす!」
お母さんは未夢が見えなくなる最後までも見届けた。心の中で、ちょっぴり不安もありながら。

「あ――、開放感!こんなに空って青かったんだ。ね、メタちゃん。」
「モンモーンw」
いつのまにやら海の上。どうやらメタモンを家で飼っているジュゴンに変身させて海を渡っているらしい。アルプスタウンからマサラタウンまでの道のりは、とてつもなく遠かった。オマケにだんだん雲行までも怪しくなってきている。
「何か周りが暗くなってきたね。雨降りそう…。」
「モンー…」
すると突然誰もいないはずの海の上で声がした。
「見つけた!ミュウに関係する女だ!」
「ちょっ、何なの?」
ふと辺りを見回してみると、辺りは黒に赤で『R』と書かれた服を着ている人たちでいっぱいだった。
「分かった!あなたたち、ロケット団ね!お母さんの言っていた…」
「ほぉ、少しは詳しいようだな。それなら話は早い…。行け!ギャラドス!」
相手の投げたモンスターボールの中から凶暴ポケモン・ギャラドスが飛び出てきた。
「ギャラー」
「何だ?ギャラドスが怖くて声も出ないようだな。」
「ちがうちがう!私ポケモン一匹しか持ってないからバトルできないの!」
未夢はジュゴンに変身したメタモンの上に乗って海の上で浮かんでいる。近くに島…いや、岩でもない限りバトルができるような方法はなかった。
「ふん。おふざけもそこまでにしな!ギャラドス、はかいこうせん!!」
「ギャーラーっ!」
未夢たちのほうへ迫ってくるはかいこうせん。メタモンは、この攻撃にひるんで動けなかった。
(も、もうダメだ――…)
そのときだった。
突然眩い光とともにあるものが姿を現した。そしてギャラドスのはかいこうせんも簡単に跳ね返していたくらい、その力は強かった。
「ミュウだ…!」

               −−つづく−−
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ゆい☆ #2☆2004.08/23(月)22:41
〜第2話〜 それはミュウ、幻のポケモン

「ミュ?」
「君がミュウ…?私を助けに来てくれたの?」
ミュウはとても珍しい幻のポケモンだって聞いたことがある…。
そんなポケモンに巡り会えたなんて、私――…
「おいっ、本物なのか?そいつ…。」
「ミュウーッ」
「もしかしなくても本物は本物――。いくらあなたたちでも伝説のポケモンにはかなわないはずよ!」
「くっ!」
さすがのロケット団でもこれには言葉が返せなかった。
すると今度は突然の雨。その雨はだんだんと土砂降りになっていき、しまいには雷も鳴っている。

「あーあ。マサラタウンまで、どーしよー…。」
「モンモン…」
「ミュッ?!」
「よし、こうなりゃ作戦変更だ!この際ミュウ娘なんぞどうでもいい。ミュウ捕獲作戦に切り替えろ!」
「何よそれ!ミュウ、こんな奴らコテンパンにやっつけちゃってよ!」
「ミュ…?」
「ね、お願い!」
ミュウは何も反応してくれなかった。
「ミュウが人間の言うことなんて聞くわけないだろ。おまえら、早くミュウを捕獲しろ!」
「…こんなの、絶対許さない。ちゃんとモンスターボールを使いなさいよ!」
「ふん。こっちはこっちのやり方でやるんだよ!」
ロケット団は必死に卑怯な手を使ってミュウを捕まえようとしている。
ミュウは逃げ回るばかり。誰の言うことも聞いてくれない。
「ねぇミュウ、お願い。ロケット団を倒して!」
「ミュウッ?」
……………………
一瞬、辺りが光ったような気がした。
そして周りは、初めにこの海に来たときと同じような風景に変わっていた。雨は降っていなくて、カラッとしたいい天気に戻っている。
さっきのロケット団…さっきもでずっとココにいたはずなのにもういない。
唯一変わっていなかったことは、時間と場所…それと、今ここにミュウがいるということ。そしてミュウは『クスクスッ』と笑いながら空の果てへと飛んでいった。
「また、会えるといいね。」
「モンモーン」
「あ、いっけなーい!早くマサラタウンに向かわなきゃ!メタモン、スピードアップ!」
未夢の冒険は、まだまだ始まったばかり。

               −−つづく−−
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ゆい☆ #3☆2004.08/24(火)14:52
〜第3話〜 オーキド博士と1人の少年

「さてと、ここがマサラタウンね。メタちゃん、モンスターボールに戻って!」
「モンモンー」
未夢はミュウのおかげで、無事にマサラタウンに着くことができた。
そして、着くと同時にオーキドポケモン研究所まで走っていった。
『ガチャッ』
「おぉ、君じゃな?今日旅立つトレーナーは…。」
「はい。初めまして、オーキド博士っ!未夢です!」
「元気がいい子じゃな。ほれ月廼、さっさとあいさつせんか!」
「…俺月廼っていうんだ。宜しく。」
「実はの、コイツも今日から旅立つトレーナーなんじゃ。未夢ちゃん、月廼のこと宜しく頼むぞ。」
もう1人は月廼という少年だった。
全然やる気もなさそうな男の子。見たところ、オーキド博士の孫って感じかな?
「早速じゃが、君たちにポケモンをプレゼントするぞ。そこの3匹から好きなポケモンを選ぶんじゃ。」
すると、モンスターボールの中からポケモンが飛び出してきた。
「カゲッ!」
「ゼニッ!」
「フッシー!」
「どれにしよう…。みんな可愛いし―。」
「えーっと、じゃあ俺はコイツにするよ。」
月廼が指を指したポケモンは、カメみたいな水色のポケモンだった。
「それは水タイプのゼニガメじゃ。このポケモンでいいんじゃな?」
「うん。」
月廼はあっさりと返事を交わす。
「それじゃあ私はこの子!」
未夢は緑色をしたポケモンを指差した。
「それは草タイプのフシギダネじゃ。このポケモンがいいんじゃな?」
「あ、でもこっちのポケモンもいいかも…。博士、この赤っぽい色をしたポケモンは?」
今度は赤っぽいトカゲみたいなポケモンを指差した。
「それは炎タイプのヒトカゲじゃ。このポケモンにするのか?」
「はい!気に入りました。」

「あと、このポケモン図鑑も君たちにやろう。ポケモンを見つけたりゲットしたりすると自動的にページが書き込まれていく…という優れものじゃ。」
「わぁ、ありがとうございますー。じゃ、そろそろ私は――…」
「待てよ!」
未夢がそう言いかけたときだった。
ろくに喋りかけてもくれなかった月廼が未夢を呼び止める。
「せっかくポケモンも貰ったんだし、俺とバトルしてくれよ。」
「え、でも私一度もバトルやったことなくて…。」
「そんなの俺だって同じだよ!」
「それもそうね。月廼、その挑戦受けてあげる!」
「そうこないとな。」
こうしてバトルすることになった二人だった。
司会は、オーキド研究所にいる博士の助手がやることになった。

「これから未夢対月廼、2人の練習試合を始める!バトルは1対1。では、よーい…始め!」
「へへっ、負けないぜ。」
「こっちこそ!」

               −−つづく−−
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ゆい☆ #4★2004.08/25(水)09:41
〜第4話〜 VS月廼!初めてのポケモンバトル!

「先手必勝!行けー、ゼニガメ!」
「ゼニーッ」
「こっちは…ヒトカゲ、出番よ!」
「カゲーッ」

「ゼニガメ、まずはみずでっぽうだ!」
「ゼーニーッ!」
みずでっぽうはヒトカゲのもとへ勢いよく発射された。
しかも、こうかはばつぐん。
そんな攻撃を受けたヒトカゲだったが、何とか持ちこたえた。
「カゲーッ」
「何だとっ、こうかばつぐんのはずじゃあ…。」
「私たちのパワーは無限大なの!…ヒトカゲ、相手にひっかく攻撃!」
「カーゲーッ!」
「あぶないっ、よけろ!」
「ゼニッ?」
ゼニガメは月廼の言葉に気をとられて、避けきれなかった。
「へへっ、なかなかやるな。」
「私だって、そう簡単には…負けない!」
「それはどうかな。ゼニガメ、たいあたりで相手にぶつかって行くんだ!」
「ゼニゼニーッ!」
「あ…っ!」
未夢がヒトカゲへの指示を出す前に、ゼニガメは勢いよくヒトカゲにぶつかって行った。
「カゲー…」
「大丈夫?ヒトカゲっ!」
「もうひんしに近い状態なんだ。諦めろよ。」
そんな月廼の一言で降参するような未夢たちではなかった。
「ね、ヒトカゲ?大丈夫だよね。」
「…カ、カゲーッ」
未夢の言葉に反応したヒトカゲは、何とか立ち上がった。
でも、かなり疲れきっていそうだ。
(もう、なんていう根性してんだよ…。)
「さ、ヒトカゲ!今度はひのこよ!」
「カゲー…!」
「うわ…。あぶない!避けろ、ゼニガメ!」
「ゼーニーッ」
ゼニガメは、何とか透きをついて避けた。
「か、カゲ――…。」
ヒトカゲはさっきのひのこで力を使い果たしのたか、倒れこんでしまった。
「ヒトカゲっ、ねぇ…ヒトカゲーッ!」

「ヒトカゲ先頭不能!よって勝者、月廼!」
その言葉を聞いたとたん、月廼はニヤッと笑った。
まだまだ余裕そうな月廼とゼニガメだった。
「そんなぁー…。」
「でも、どっちかは必ず負けるんだよ。引き分けじゃない限りは…。」
月廼は少し照れたように言った。
「へ・・?」
「ま、まぁとにかく俺の勝ちだ。…またバトルしような。」
「うん。そのときは絶対に負けないんだから!」

               −−つづく−−
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ゆい☆ #5★2004.09/07(火)13:24
〜第5話〜 トキワシティを目指して!

「…ねぇ月廼、何であんたまでついて来るの?」
「しょうがないだろ!俺だって早く次の町に行きたいんだから。」
なんだかんだ言いながらも、二人は1番道路を歩いていた。
「なぁ、お前って全体に派手すぎないか?」
確かに未夢の髪の毛はピンクだし、服は明るい色で統一されている。
『派手』と思われても可笑しくはなさそうだ。
「だって私、ミュウの生まれ変わりだから。髪の毛とかピンクでしょ?」
「え?ミュウってあの151番目のポケモンか…?」
「うん。そのおかげで私、ロケット団に追われたりしてるけど。」
一瞬黙りこんだ月廼だったが、すぐに開き直り、辺りを見回していた。
空を見上げればオニスズメの大群、草むらには虫ポケモンたちが沢山いる。
「これは、ちょっと腕試ししてみるか。」
「え、何?」
「行けー!ゼニガメ!」
月廼は未夢の言葉をまったく聞いていない。
ポケモンとバトルすることで頭がいっぱいだった。
「ゼニガメ!あのオニスズメにみずでっぽうだ!」
「ゼーニーッ!」
ゼニガメのみずでっぽうは勢いよく発射された。
しかし、相手も手ごわかった。
そのみずでっぽうを簡単に避け、空中から急降下してきたのだ。
「ゼニィ?!」
「何やってんだ、ゼニガメ!避けろ!」
月廼の言葉も届かず、ゼニガメはその場で不安そうな顔をしながら立ち止まってしまっていた。
……………
そのとき、ビリビリと電気がはしったような気がした。
そして2人は後ろを振り返った。
「ピカ、でんきショック!」
「ピーカーチュー!」
それはピカチュウと1人の少女。
みるみるうちに、オニスズメの大群は崩れ去っていった。
「もう、駄目よ。オニスズメって凶暴なんだから。」
「ピカぁ!」
「あのー…あなたは?」
「あ、私は奈央。未来のチャンピオンよ!」
(み、未来のチャンピオンって…。)
「私は未夢っていうの。…で、こっちは月廼。」
「ふぅん。よろしくね!」
「うん!」

タタタタッ!
何だか急いでいるような足音が聞こえてきた。
「おーい、待つんじゃあ!」
やってきたのはオーキド博士。
「え、何なの?!」

               −−つづく−−
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ゆい☆ #6☆2004.10/10(日)20:40
〜第6話〜 ポケモン泥棒出現!

「…オーキド博士?」
博士は、息をきらして走ってきた。
苦しそうにしている。必死に未夢と月廼を追いかけてきたのだろう。
「大変じゃ!研究所のポケモンがいなくなってしまってのぉ…。」
「え、あの初めに貰える残りのポケモンが…か?」
「いや、用意しておいた予備のポケモンがいなくなっていたんじゃよ。」
そう、初めに貰えるポケモンは全部で3匹のはずだが、もう1匹予備がいたのだ。
でもそのポケモンは扱いにくくて、とても凶暴な性格なんだとか…。
「あ、それってピカチュウですか?」
「それなら、さっきの奈央って奴が持ってたんじゃなかったっけ。」
「…でも、もういなくなってるよ。」
奈央は、オーキド博士が来たとたん、誰にも気づかれないようにこっそりと逃げ去っていたのかもしれない。
「で、その子の特徴とか何かなかったかの?」
「んー特徴っていうのかよく分からないけど、すっごい元気な女の子でしたよ。『未来のチャンピオンよ!』とか言ってたし。」
「そうか、未来のチャンピオンか。懐かしいのぉ…。」
(博士の過去っていったいどんなふうだったんだ?)
「よし!その子に会ったら、このポケモン図鑑を渡しておいてくれ。」
「え、そのポケモン泥棒にですか?」
「ワシには分かる、その子は本当にポケモンが好きなんだって、何となくだけど分かるような気がするんじゃよ。」
「はい!分かりました!」


ここはトキワシティ。
1番道路を抜けた未夢と月廼は、この町で一休みしていたのだった。
「ふーん、次はニビシティね。」
「そこには岩タイプを使うジムリーダーがいるんだってさ。」
「それなら私は大丈夫だよね。」
未夢はクスリと笑う。
「何だよ?他のポケモンゲットすれば、そのくらい楽勝だろ?」
「さあてね♪そうだ、私はこのメタちゃんを博士のところに転送してこようっと。」
席を立った未夢を確認してから、月廼はモンスターボールからヒトカゲを出した。
「お前なら、大丈夫だからな。ちゃんと自身持てよ!」
「カゲー!」
頭を撫でてもらったヒトカゲは、とても嬉しそうな表情をしていた。

「月廼ー、メタモン転送し終わったよ。早く次の町に行こうよ!」
「おう!」
ヒトカゲをモンスターボールに戻した月廼は、急いで未夢の方へ走り出していった。

次の町はニビシティ。
その前には、トキワの森という大きな迷路が待っていたのだった。

            −−つづく−−
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ゆい☆ #7☆2004.11/14(日)21:14
〜第7話〜 トキワの森、月廼の災難

「さぁて、ニビシティにレッツゴー!」
やる気満々の未夢は勢いよく駆け出して行った。
一方、月廼はヘナヘナ状態でフラフラと道の真ん中をさまよっている。
「ちょ…待ってくれよ…。」
「何、もうクタクタなの?だらしない男ね。」
「疲れるもんは疲れるんだって。ほら、あの岩ら辺でちょっと休憩しないか?」
「だーめ!まだトキワの森にも入ってないでしょ!」
ニビまでの道はまだまだ遠かった。
トキワの森はすぐ目の前。月廼は一向に歩く気配すらない。
ひたすら未夢が説得しても、無駄に終わってしまう。
「もう、しょうがないなぁ。5分だけ待ってあげるから、終わったらすぐに出発だからね。」
「あぁ…分かった。」
そう言って、自分の水筒に入っていた水を飲み始めた月廼。
よほど喉が渇いていたのか、水筒の中の水をすべて飲み干していた。
「…そろそろ行こうか。」
「うん。次はもう『休みたい』なんて一言も言わせないからね。」


ここはトキワの森。
なかなか抜けられない大きな迷路のような場所。
「うわぁ、虫ポケモン取り放題っ♪」
「や、何ここ?」
月廼は未夢に尋ねる。
「トキワの森に決まってるじゃない。周り見てわからないの?」
「ふ…ふぅ…ん。そうなんだ。」
「もしかして、こういうトコ苦手なの?月廼って…。」
「いや、別に―…。」
顔が引きつっている月廼に対して、未夢はニヤニヤと顔が笑っていた。
『ガサッ』
…と、何か音が聞こえた。
「そこのお兄ちゃん、俺とバトルしてくれ!」
「へ?」
草むらから出てきたのは虫かごと網を持った一人の少年。
「え、俺のこと?」
「そうだ、茶髪のお前のことだ。いざ!バトル!」
「まぁいいけど。やるからには負けないぜ!」
「そうこないとな!」

             −−つづく−−
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ゆい☆ #8☆2004.12/14(火)20:16
〜第8話〜 いきなりバトル?虫取り少年VS月廼!

虫が苦手な月廼。
男のくせに虫が苦手。オマケに虫タイプのポケモン全般が大嫌い。
そんな性格でずっと馬鹿にされていた―。

「へへ、負けないぜ。行け!ゼニガメ!」
「じゃあオレは…っと。モルフォンだ!」
『ゼニー!』
『フォーン』
両者、それぞれポケモンを繰り出した。
「そのポケモンは?」
「こいつはオレの勇者・モルフォンのルンだ!可愛いだろv」
「え、虫?」
「虫じゃなくて、虫ポケの勇者だって!」
「虫ポ・・ケモ…ン――…。」
「…えぇ?!」



「月廼ー、月廼ー!」
未夢は大声で叫び続ける。
周りも張り詰めた空気が漂っている。
しかし、動こうともしない月廼を目の前に、虫取り少年は言う。
「虫ポケで気絶しちゃったよ、コイツ。」
「何言ってるの?あんたのせいでこうなったのよ!」
「…。」
「あの馬鹿…。」

ハっと目を開いた月廼。
「ポケモン…センター?」
「ちょ、寝てなさいよ!あんたさっきまで気絶してたんだから。」
「…気絶?」
「でもって、ココはトキワシティのポケモンセンター。逆戻りして来ちゃった。」
「何だ。情けないよな、俺。」
『ゼニゼニー?』
月廼は自分の言葉にグっと落ち込んでしまう。
ゼニガメが声をかけても、気づこうとはしなかった。
窓の外はもう真っ暗になっている。ポケモンセンターの病室の天井を見つめるだけの月廼だった。
「悪かったよ。ゴメンな。」
虫取り少年は必死に謝った。
そして、とうとうベッドの上で起き上がり始めた。
月のは虫取り少年に向けて笑顔で話し掛けた。
「大丈夫だから、気にするなよ。」
「あ…うん。」
「さぁて、この虫嫌いを何とかしないとな。」

「これならもう大丈夫ですね。でも様子を見るので、今日一日1日ここで休んで行ってください。」
「ありがとうございます!」
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ゆい☆ #9☆2005.02/17(木)19:52
〜第9話〜 ロケット団の反撃?未夢の危機!

「あ、あの女。この前突然姿を消した奴だ。」
「今度はこっちが反撃するからな、見てろよ…。」
何やら怪しげな人陰。それは、未夢を攻撃しようとしていたロケット団だ。
一方の未夢たちは、月廼も元気になり、やっとニビシティへ到着したのだった。

「ふぅ、ここがニビシティね。これが石の色の町って訳か。屋根の色も灰色だしね。」
そう、ニビシティのジムリーダー・タケシは岩タイプの使い手。
二人にとっては初めてのジムリーダーだ。
“強くて硬い石男・タケシ。水タイプでも敗れないその防御力は天下無敵。誰の挑戦でも立ち向かってみせる”
「掲示板にすごい貼紙貼ってあるし、目立ちたがりや?」
「まぁ、こんなこと書いてあっても緒戦岩タイプ。水タイプの技には敵わないだろ。」
月廼は余裕な表情で未夢を見た。
「俺のゼニガメなら楽勝だよな。な?」
「何よそれ!人の気も知らないでさぁ。」

「それはどうかな…。」
突然ある男が姿を現した。
「誰だ?」
月廼は怪しそうな目でその男を見つめる。
「俺はニビジムのジムリーダー・タケシだ。勝負ならいつでも引き受けうけるが?」
「じ、ジムリーダーだったの?!」
「ふん。こんな細目が相手か。」
「俺はタケシ。石の男とも呼ばれている…。」
見るからに頑丈な体付きをしている。
すごく強そうなことが外見でも分かるくらいだ。
「まぁ、誰の挑戦でも受けてやるが。どうだ?バトルしてみるか?」
「はい!是非v是非v」
「あぁ。」
未夢も月廼も相変わらず、正反対な二人。
「それじゃあ俺についてきてくれ。」



「ここがニビジムね。やっぱり使うタイプが岩ってこともあって、屋根も予想通りね。」
「さぁ、どっちからバトルするか?」
「じゃあ俺から。タケシ、正々堂々バトルだ!」
「この俺が手を抜く訳ないだろう…。」

「では、今からジムリーダー・タケシVS挑戦者・月廼のバッジをかけた試合を始めます!ポケモンは一匹ずつ。戦闘不能になった時点でバトルは終了です!」
「よし、行け!ゼニガメ!」
「俺は…イワーク。岩タイプの王者、イワークで行くぞ!」
「では、バトル開始!」
審判が開始の合図を出した直後だった。
「…ちょっと待てよ。未夢がいない。」
「!」
月廼は上を見上げた。
それはテレビで見たことあるようなないような衣装を着た、ロケット団だった。
そう、ロケット団の事件はニュースでも何度かやったことがある。
月廼はそのロケット団を初めて見たのだ。
「これが、噂の悪者とかいう奴らか。」
「このミュウに関係する女はボスに連れて行くからな!」
「兄貴、やりましたね!」
「あぁ、これでボスに褒めてもらえるしな。」
「ちょっと!これから私ジム戦なのよ!?」

「待て!何で未夢を連れていくんだよ!」
「何だ?この女のこと知らないのか?」
「そういえば前、ミュウの生まれ変わりとか言ってたな。」
月廼はこくんとうなずく。
「そうだよ!ミュウの生まれ変わりということにボスがとても興味を持ったようでな。俺達でその女を捕まえて、ボスに褒めてもらおうってわけw」
もはやジム戦どころではなくなってしまった。
ロケット団の突然の登場に、ジムリーダーのタケシも戸惑う。
「何てことだ。ジムの中がめちゃくちゃだ…。」

つづく。
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ゆい☆ #10☆2005.07/02(土)22:18
〜第10話〜 未夢の心

「…何で私がミュウなんかの生まれ変わりなの?」
辺りは静まり返る。

そんなの、私が決めたことじゃない。
寧ろ、そんなこと望んでもいない。
見た目がこんな風でも、普通に過ごして居たいの。
普通の女の子として、立派なトレーナーになることが私の夢なのに…!

「未夢っ、お前…!」
月廼は心配そうな表情を浮かべた。よほど未夢のことが心配らしい。
「そんなの、俺達が知るもんか!神様という者を恨むんだな。」
ロケット団の中の一人が言った。
「神様なんか知らない。アンタたちがいなければ、私は普通に過ごしていたのよ?」
未夢は、涙をぐっと堪えた。
…知らない。神様もミュウも、ロケット団だって、皆消え去ればいいのに。そしたら、私は―。
「あ!」
ふと、前を見た。
涙を堪えていても、もう限界。
目が霞んで見えてくる。
…けれど、その姿ははっきり見えた。
「ミュウ、それに…。」
「ミュウツーもいるぞ!未夢、今のうちに、ロケット団から離れろっ!あっちはポケモンに見とれている!」
「う、うん!」
一瞬の隙を作ったロケット団。
未夢は簡単に逃げることができた。
「あ、逃げたぞ!ミュウに関係する女が、逃げた!」
何てだらしのないロケット団なのだろうか。
「ふ。2人の勝ちだな。」
タケシが小声で言った。
『ミュミュミュッ♪』
ミュウはクスクス笑いながら、ロケット団を見ている。
ミュウツーは何も言わない。
唯一したこと、それは鼻でふっと笑ったこと。
その後は何も言わずに、2匹は去って行ってしまった。
さっきからずっと、ロケット団はポカンと口を開けて黙っている。
「た、退散だ!逃げるぞ!」
ロケット団は怖くなって逃げていった。
金縛りでも受けたのだろうか、よほど怖かったらしいのだ。

「やったー!月廼、ありがと!」
「そんな。俺のおかげじゃないだろ?」
月廼はニッと笑った。
「あ、ミュウ達はどこに…。」
「ミュウとミュウツーのおかげだよな。もう『ミュウなんか』とか言うなよ。」
「うん!了解!」

未夢と月廼に向かって、タケシがやってきた。
「そうだ。これ、2人にあげるよ。」
タケシが差し出したのは、2人の欲しがっていた物・ジムバッジだった。
「え…、でも。」
「いいんだ。ロケット団からこのジムを守ってくれたのは君達だ。それに…ミュウとミュウツーにも感謝しないとな。」
「貰っとこうぜ。未夢!」
「そうだね月廼。タケシさん、ありがとうございました!」
「いやいや、お礼なんていらないよ。」
タケシは、照れくさそうに言った。

―…次の町はハナダシティだ。

つづく。
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[460]

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