ぴくの〜ほかんこ

物語

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[533] 極めてハタ迷惑な旅 何となく完結

一匹ウルフ #bak1★2005.02/09(水)23:47
120番道路に、迷惑な事に勝手に秘密基地を作ってすんでいるポケモントレーナーとそのポケモン達がいる。
トレーナーの名はウルフ。めんどくさがりやで気紛れ。
「今日も色々と面倒そうだ。まぁ良いか。さっさと寝よう」
彼である。
所謂昼寝と言う奴であるのだが、彼の場合何時でも昼寝をしている。
その睡眠時間は極めてまちまち。本当に気紛れである。
「寝るのは良いがちゃんとした場所で寝ろ。この前私が踏んづけてとんでもない事になったのを覚えていないわけではあるまい」
彼はラーフォス。海の神とも呼ばれているあのルギアの♂である。
冷静だが何処か抜けている。なので突拍子の無い発言をする事もしばしば。
ウルフとの付き合いが一番長い。ジョウト地方の出身であり、へその岩で捕まえてきたと言うわけではない。
しかしルギアに踏んづけられて生きているとは…生命力ゴキブリ並みとは正にこのこと。
「そのとき看病したのは俺とラーフォスなんだからな。全く…」
彼はリュート。アブソルの♂。
この120番道路出身で、頭も良く真面目で勇敢。一番頼りになると思われる。トレーナーより。
但し彼には唯一苦手な物があるらしいが…それはウルフとラーフォスしか知らないらしい。
二番目にウルフとの付き合いが長い。
「そのとき発見したのは私よ。少しは反省してる?」
彼女はショウロウ。スイクンの♀。
賢くて綺麗で、結構憧れている♂♂ポケモンも多いんじゃないかという感じの彼女。
だがしかし極めて気紛れで、思った事はズバッと言ってのける。しかも毒舌。
「オレサマが運んだんだゼェエエ!!ズルズルズールとナァアアア」
彼はフーディンのアーク。無論♂。
陽気すぎて困る。と言うか弾けている。壊れている。
色々な人や物に迷惑をかける。特に…
「アホ!あれは引き摺ったというんだよ!あの所為でウルフの怪我の直りが遅かったんだ!!お前も反省しやがれ!!」
彼、エアームド♂のエデンに。
意地っ張りなのだが、かなり不幸で可哀想。
虚しく抵抗も出来ずにアークに振り回されるパーティ一の薄幸エアームド。
「あ…あの…そこでなら…寝て良いと教えたのは…私…なんです…ごめん…な…さい…」
で、今泣き出してしまったのはサーナイトのサティア。
泣き虫で控えめ、何だか守ってやりたくなるような性格。
いつもリュートに庇われている。仕方が無いのだが。
但しそのサイコパワーは超強力で、性格とのギャップが激しい。
「あ…ごめんサティア…そんなつもりじゃ…大体寝ると言い出したウルフが悪いわけだし…」
即あやまるリュート。
「ごめんなさい。ウルフなら謝らないつもりだったけど貴女になら謝るわ」
嫌な事を言ってのけるショウロウ。
「すまんな。このバカトレーナーの所為で」
嫌な事を言ってくれるその二なラーフォス。
既に寝ているウルフと、ちゃんと反省の色を表すエデン、そして多分謝っているのかもしれないと思われるスプーン投げをサティアにプレゼントするアーク。

こんなパーティで物語は進んでいくわけだが…多分続く。
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一匹ウルフ #bak2★2004.10/31(日)13:27
「…い」
「は?どした?」
もう既に日も暮れた夜9時ごろ。
いきなり寝ながら何かを小声で呟くウルフに、怪訝な顔をしてリュートがたずねた。
「痛い…痛い胃鯛!頭が痛い!」
「頭痛かよ!それならそうと早く言え!それ以上に胃鯛って何!?」
素早くツッコミを入れるエデン。
「胃に鯛でも入ったのではないか?」
すっとぼけるラーフォス。この辺を何とかしてくれればまともなのだが。
「痛いの変換間違いね。流石国語の点数見て絶望したばかりの作者ね」
痛い所突いてくれるね。ショウロウ。
「んな事どうでも良いから頭痛薬とって来てやったぞ」
何時の間にか姿を消したリュートは、既に青と白の箱の表に「バ○ァリン」と書いてある物体を持ってきた。
そう、誰もが知るアレだ。半分は優しさで出来ていると思わせておいて実は出来ていないアレだ。
「オレサマはウォーターを持ってきたゼェエ!うおりゃあ!」
アークがいきなりそう叫ぶと上から水の入ったバケツが大量に落ちてきた。
そこまでせんでも良いだろうに。無論数個はひっくり返り、そして数個はうまい具合にエデンのの頭にぶち当たって彼に水の洗礼を浴びせ、数個は無事着地した。
無論回りは水浸し。エデンはもっと水浸し。
「アホ!やり過ぎだ!コップ一杯でいいっつーの!」
「コップいっぱいか。なら何個くらいが良いのだ?10個か?」
またすっとぼけるラーフォス。
だから如何にかしてくれ。
「ラーフォス、それはコップ一つに一杯の水を取ってきて欲しいっていう意味だと思うけど…」
ショウロウがラーフォスに意見する。これが正しい。
「そうか。でも水はもう沢山あるな」
「要らない位ね。私はちょっと嬉しいかな。水ポケモンだし」
何故かほのぼのと会話が始まってしまった。
「寒い…です…くしゅんっ…」
「おい…サティア。風邪ひくなよ。今毛布とってきてやるから」
サティアのためにわざわざ毛布を取りに行くリュート。その前にコップをとってきてやれ。
「あいよコップ。適当にバケツから汲んで使え」
エデンが体を乾かしてくるついでにとってきたコップをウルフに渡す。
「恩にきる…てかいつもご苦労…あー痛…」
いそいそと薬を飲むウルフ。
無論彼はエデンの苦労を知らないわけでもなく。でも止めようも無いので労いの言葉だけでもかけるようにしている。らしい。
「さて、これで一件落着だな」
リュートはほっとしてバケツの片付けに赴いた。
しかし数分後…。
「痛い!頭痛い!まだ痛い!」
「まだ直らないのかよ。バファ○ンのんだのに」
リュートはやや呆れ気味に頭を抱えたウルフを見た。
「これは多分もっと良いのが必要ね。何処かにあるかしら…」
「うちにはこれ以外無いな。どうする?」
皆考え込むために黙ってしまう。唯一アークだけは罰として床拭きをさせられているが。
「あ…あの…探しにいけば…」
珍しくサティアが意見を出した。
その瞬間、ウルフは何かをひらめいた。無論頭を抱えながら。
「それ名案。どうせなら歩きながら情報を探しながら行く。そのほうが良いだろ?」
「良いんじゃないか?でもどうせなら飛んで…」
「そらをとぶの技を持ったエアームドは従妹のロウナに貸してる。それにアレだ。秘伝マシンは実家に置きっぱなし。ラーフォスは目立つからメンドクサイ。以上が理由だ」
リュートの意見をきっぱり却下するウルフ。
「行くぞお前ら。メンドクサイけど頭痛を治すためだ。あー痛い」
「では行くか。しかし私が歩いていても目立つような…」
「別に良いんじゃないか?羽を広げなければ。どうせこの方が情報も集まるし」
「そうね。一寸疲れるけど運動にはなるわね」
「いやな予感がするんだよな…すっげぇ苦労しそうな…最近こういうの良く当たるんだよ…俺」
「オッケェエイ!オレサマが居るからにはもう安心だゼェエ!」
「あ…あの…えっと…頑張ります…くしゅんっ」

こうして恐らく極めて迷惑且つ駄目駄目な旅に出ることになったのである。

恐らく続く(アバウトだな)
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一匹ウルフ #bak3☆2004.10/27(水)01:04
さて、一応準備も終え、秘密基地から出ようとしたご一行。
しかし今は夜の10時。夜は活動しない野生のポケモンたちはとっくに寝静まっている。
「痛い…で、あたりは暗いな。アレ使うぞ」
ウルフは頭を抑えながらもバッグをゴソゴソと漁った。
で、取り出したのは…たいまつ。
「って何でたいまつなんだよ!俺達は原始人か何かか!」
「懐中電灯が無かったのよ。ウルフは夜もあの能力を使って動いてたって言ってるし」
ツッコミをすかさず入れるエデンに普通に返すショウロウ。
…「あの能力」についてはその内触れる事になる、が今は触れない。
因みに今は頭が痛すぎて使えないらしい。駄目じゃん。
「なぁウルフ、どうする?とりあえずヒワマキ目指すか?近いし」
「ヒワマキになら…あの…ジムリーダーのナギさんが…いらっしゃいますし…」
「いたた…そうだな。あそこで買出しを済ませるか。これでもうたいまつとはおさらばできるし」
「しかしながらウルフ、このような時間に店など開いているのか?私はそのような店は聞いた事もないが」
「さぁ。とりあえず…ナギにでも情報聞いて、それからだ。もしかしたら懐中電灯貸してくれるかも知れんしな。痛い…これ以上喋りたくない…」
喋りたくなくなるほど痛いらしい。
少々重症な奴も居るので、さっさとヒワマキシティを目指す事にした。
その頃アークは勝手に川の方をうろちょろしていた。無論エデンを引き連れて。
「川だゼぇ。川だゼェ。さぁ、特訓開始だゼェ!」
「嫌だ。どうせ俺を川に落とすつもりだr…」
「その通りだゼェ!グッバイマイフレンド!」
アークは思いっきり川に向かってエデンの体を押した。
無論重力にアークに押されたときの力が加わった物にエデンは耐え切れず、川に一直線。
川の表面まで後10センチ…あと5センチ…あと3センチ…。
(あぁ…風邪ひくな…)
と思ったそのとき!
エデンの体は着水する寸前で止まった。
何故だろう。別にエデンは羽ばたいている様子でもない。
「オゥ…グッドだゼェ!流石マイフレンドだゼェ!」
「違うわ!俺じゃねぇ!大体羽ばたいてねぇっての!」
「あの…その…ボクですけど…」
アークとエデンは自分達の物と違う声がした方を振り向いた。
無論エデンは宙に浮きながら。
そこに居たのは薄い紫の体に猫のような可愛い顔、先の方で二股に分かれた細く長い尻尾…。
エーフィと呼ばれるポケモンが果たしてそこにはたたずんでいた。
言葉遣いからして♂だろう…恐らく彼が念力で止めたのだと思われる。
「あの…エアームドさんが落っこちそうだったから…」
「ノゥ!止めるなヨぅ!これは修行なんだゼェエ!」
「バカ!余計な事言うn…」
「あ…ごめんなさい…修行の邪魔して…」
アークに喝を入れられるとびくりとしながらそう言って、エーフィは念力を使うのを止めた。
すると、エデンは川にボチャン。
哀れ、エデン。
…さて、数分後にはエデンがちゃんと引き上げられた。
そして、エデンを救おうとして止め、結局アークによってエデン引上げ作業をやらされたエーフィはアークに半ば強引にウルフのところに連れてこられた。
「ウルフゥウ!コイツがエデンをサルベージしてくれたゼェエ!」
「お前が落とすから悪いんだろうが。てかコイツエーフィじゃないか」
「あ…はじめて…見ます…この方がエーフィさん…私と同じ…エスパーポケモンなんです…よね?」
「そうだな。それにしてもホウエンにイーブイなんか居たか?増してやエーフィなんか居るわけ無いだろ?」
人見知りなサティアにしては珍しく、エーフィには親近感が沸くようだ。
ただ、リュートの言った疑問も最もである。
「あ…僕はいろんな所を旅してるんです…色々見たいものもありますし…」
「じゃあ、良い頭痛薬知らないか?」
リュートが核心に迫った。
「頭痛薬ですか…?さぁ…聞いたことが無いですけど…」
「いたた…ふーむ、すまんな」
一瞬ウルフは頭を抑えながら考え込むようなしぐさをすると、突然バッグの中を漁り始めた。
そしてバッグから出した彼の手に光る物は…モンスターボール。
「さてと。見たところ野生だな。と言う事は…私にも捕まえる権利があるわけだ」
「え…?」
「エーフィ、ゲットさせて頂く…」
じわじわとエーフィに迫るウルフ。これではまるで悪党だ。
しかし、無論こんな野望がかなうわけが無い。
「止めんか駄目トレーナー!」
リュートのきりさく!急所に当たった!ウルフは頭痛のダメージを受けている!ウルフは倒れた!
しかし、ウルフにはまだ遺言がある模様。
「じ…冗談…だったのに…」
「んな危ない冗談あるか!このどアホ!」
どうやら本当に冗談だったらしい。が、変な事をしてエーフィを怖がらせたのには間違いない。
そのお陰でポケモン達にぼろくそにののしられるウルフ。
ウルフは場を和ませようと言ったらしいが、寧ろ自分のみを危険にさらしただけだった。
「エーフィ…さん…あの…これでも一応…良い人の筈…なんです…」
「そうなんですか…?」
エーフィは気絶したウルフを見下ろしながらどうも胡散臭そうに言った。
アークはどうしても特訓がしたいようで、気絶したエデンを一生懸命起こそうと四苦八苦していた。
「エデェエン!ゲットアップ!起きるんだゼ!また特訓だゼ!」
「あの…僕…無理に起こすと大変な事になる気がするんですが…」
エデンをフォローするエーフィ。しかしアークは聞く耳持たず。
「オマエの命の恩人のエーフィにスプーン投げられたくなかったら起きやがれエデェエン!」
そう言われるとエデンは他人にまで迷惑をかけるつもりも無いのでしぶしぶ体を起こした。
どうもまだ寒いらしい。毛布を被ったままである。
「止めてあげれば?寒そうだし」
ショウロウが忠告する。
「…止めろ。俺は寒いんだ。これ以上変な事してたら風邪ひk…」
「駄目だゼ!意地でもやるゼ!エーフィもやるゼ!」
「えぇっ!ぼ…僕もですか?」
「勿論だゼ!行くぜエデン!エーフィ!俺達を巨人の星が待ってるゼェ!」
…次の日、ヒワマキのポケモンセンターでエーフィとエデンがお世話になったのは言うまでも無い。

続くような(ぇ)
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一匹ウルフ #bak4★2004.10/31(日)13:37
「またのご利用をお待ちしております!」
ジョーイさんの笑顔に見送られ、3日かかってやっと風邪が治ってポケモンセンターから出てこられたエデンとエーフィ。
ウルフの頭痛はまだ治らぬ模様。痛くて眠れなかったらしく、寝不足で目にクマが出来ている。
「いたた…すまんなエーフィ…うちのアークが迷惑かけて」
「あ…良いですよ…直りましたし…」
「アイツには俺から良く言い聞かせておく。本当にすまん」
エデンは申し訳なさそうに頭を下げた。
アークに反省の色は無し。楽しくサティアに向かってスプーンを投げている。
因みに、ラーフォスは町では流石にでかすぎると言う事でモンスターボールの中に入ってもらっている。
リュートは今は町の様子を見るために別行動中。
「アーク、一寸は反省したらどう?大体スプーンを投げるのを止めなさい。サティアが困るでしょ」
「コレも修行だゼェエ!サティアは忍耐力がネェからオレサマが忍耐力をつけてやるんだゼェエ!」
「痛っ…アークさん…止めて…痛っ…下さい…っ」
サティアはとうとう泣き出してしまった。
アークはそれでも気にせず執拗にスプーンを投げ続ける。
しかしそれもそこまで。流石に止めないと困ると判断したショウロウの「れいとうビーム」によってアークは上手い事氷付けになった。
「全く…サティア、大丈夫?」
「…は…い…ごめん…なさい…ありが…と…う…ござい…まし…た…」
読みにくい。実に読みにくい。しかしこうでもしなければ泣いている事が表現できない。
「あはははは…」
エーフィは流石にもう苦笑いするしかない。
そしてエーフィはウルフにポケモンセンターに連れて行ってくれたことへの礼を言い、逃げ去る様に去って行った。
まぁ多分仕方が無い。
このままだと体が持たない。そう判断したのだろう。
「いたた…逃げたな」
「…だな」
ウルフはボールの中のラーフォスと共にしみじみとエーフィの逃げ去る様子を見送っていた。
と、丁度入れ違いにリュートが様子見から帰ってきた。
「ウルフ、ナギは今外出中らしい…帰りは明日だそうだ。明日までこの町に留まる事になると思う」
「少々痛いな…まぁ、気長に待つか…いたた」
「所でウルフ、今日はどうするのだ?」
「今日は…まぁ買出しだろ。懐中電灯ないしたいまつは使ったし」
ラーフォスの最もな疑問をウルフは普通に返す。
で、結局もう一泊する為の手続きをとるべく、もう一回ポケモンセンターに引き返した。
実はポケモンセンターにはトレーナー用の宿泊施設が設備されている所もあり、手続きさえとればそこそこ安い値段で寝泊りできるのだ。
ご都合主義だといわれてもそうしない事には話が進まないのでそうする。
ポケモンセンターの中に入り、手続きをとるべくカウンターに歩を進める。
すると、どうも此処で一泊するつもりらしいトレーナーが先に手続きをしていた。
男性で、バシャーモとキュウコンと…はて?見たことの無い白いポケモンをつれている。
ボールホルダーには一匹ポケモンを入れていると思われるモンスターボールが一個と、空のボールが三個。
「あの白いの…何なの?」
ショウロウが小声でで問いかけた。
ウルフは頭を抑えながら此方も小声で応答する。
「いたた…考えさせるな…知らん…しかし何処かで…あんな感じのポケモンの噂を聞いたことが…?」
「名前はどうなのだ?」
更にラーフォスからも疑問が。
頭を抱えながらウルフも思い出そうとする、が、思い出せない。
「思い出せん…頭痛もあるが確か結構昔の事だったような…」
と、トレーナーは手続きが済んだ様子だ。
トレーナーは考え込むウルフに気づいた様子。
そして彼はウルフに声をかけた。
「君達もここで一泊?」
「いたた…そうだ」
「そうか…君の右後ろに居るポケモン、スイクンだよな…?」
「そうね。そうやって人間には呼ばれるかしら」
その問いかけにはショウロウ自身が答えた。
「やっぱり…と、言う事はバトルの腕もかなりの物だろうな」
「痛…そうでも無い」
適当にはぐらかすウルフ。
「つまり…そうやってはぐらかすと言う事は君は結構腕が立つわけだ」
彼は人差し指を立てながらそう返した。
そして彼は、ウルフの顔を正面から見てこう言い放った。
「ボクはリクト。君に4VS4のダブルバトルを申し込みたい」
「…問題は…無い。と思う。面倒くさいが」
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一匹ウルフ #bak5☆2004.10/31(日)22:14
珍しく雨の降っていない119番道路、その空に今回バトルに出ないので審判として選ばれたエデンの声が響き渡る。
「ルールは四対四のダブルバトル形式!二匹以上同時に眠り、氷状態にしたものはその場で負け!技制限なし!ポケモン制限なし!良いな!?」
「ボクは準備OKだ」
「頭痛が酷くならなけりゃ良いが…それ以外は問題無し」
トレーナー達はそれぞれの反応で応える。
両者とも出場ポケモンはボールに入れてある。
そして沈黙…向かい合ったトレーナーはそれぞれ相手を見据える。
「試合…開始!」
「行け!バシャーモ!キュウコン!」
「行くぞ、リュート、サティア」
「キュウコン!足手まといになるんじゃねーぞ!」
「うん…でもやっぱり怖いよ…」
「サティア、無理するな、危なくなったら俺がやる」
「はい…わかりました」
「先手必勝!バシャーモ!キュウコンにかえんほうしゃ!」
「ん…まさか…」
突拍子の無い見方を攻撃しろと言う指示を受けバシャーモは「かえんほうしゃ」をためらいも無くキュウコンにぶち当てた。
しかしその炎はキュウコンの身を包んだ後、キュウコンに吸収され、消えた。
「チッ…貰い火か…サティア、サイコキネシスで一気にバシャーモを落とす…いや、「まもる」だ。今のままだと危ない」
「キュウコン!かえんほうしゃ!」
キュウコンの放った炎はバシャーモの物より数段大きく、当たったらひとたまりも無い。
しかしサティアは今の一瞬で命令を聞き分けて機転を利かせ、「サイコキネシス」を発動しかけたのを即座に「まもる」に切り替え、防御した。
「隙だらけだな。リュート、キュウコンにおんがえし」
リュートは素早く地面を蹴り、キュウコンに強烈な一撃を浴びせた。
リュートの放ったその全力の一撃でキュウコンは一気に吹っ飛んだ。が、戦闘不能にまでは至らなかったようだ。
「もう一撃…サティア!キュウコンにサイコキネシス!」
「バシャーモ!キュウコンを…」
リクトが指示しかけたが、その前にサティアのサイコキネシスが放たれた。が、その瞬間バシャーモはキュウコンを庇い、自らサイコキネシスを受けた。
その上、バシャーモは戦闘不能には至らない。
「こらえる」が発動して、自らの限界ギリギリでサイコキネシスを耐えたのだ。
これをリクトのバシャーモは一瞬で判断し、キュウコンを庇ったのである。因みに、リクトの指示しようとしたのもこの事である。
「今度はこっちからだ…行くぜ!」
「こうなったらバシャーモは止まらない!バシャーモ!カムラのみを食べてアブソルにきしかいせい!」
バシャーモは持っていたカムラのみを食べ、リュートに向かって駆け出したかと思うと、一瞬にしてリュートの懐に入った。
素早さが格段に上がっている。これがカムラのみの効果である。
「チッ…カムラか…面倒くさい…。リュート、まもる」
一瞬速くリュートの「まもる」が発動し、何とかバシャーモの攻撃をしのいだ。が、サティアにもキュウコンが先程の一瞬で放った「かえんほうしゃ」が迫っている。
「サティア!」
「リュート、やる事は解ってるな?」
そのウルフの言葉を受けたリュートは一気にサティアに駆け寄り、サティアを伏せさせた。
何とかぎりぎりで間に合った。が、サティアもリュートも軽く炎に掠った。
大したダメージではないが、火傷を負ってしまったようだ。
「リュート、早めに決めるんだ。キュウコンにつばめがえし」
リュートは一瞬姿を消したかと思うと、次の瞬間にはキュウコンの目の前に姿を現し、キュウコンに鋭い攻撃を加えた。
キュウコンはたまらず吹き飛び、倒れた。
「キュウコン戦闘不能!」
エデンの声が飛び、キュウコンの戦闘不能が確認された。
「くっ…すまない!戻れキュウコン!行け!グラードン!」
「…へ?」
次にリクトが出したのは巨大な体と特徴的な紋様がある超古代ポケモン、伝説にも語られているあのグラードンだった。
その力により、周辺は一気に真夏のような日照りとなった。
「…グラードン…流石に出てくるとは思わんかった…」
「バシャーモはこらえる!グラードンはじしんだ!」
「まずいな…サティアはまもる、リュートはつばめがえし」
サティアは「じしん」から身を守ったが、リュートは思い切り吹き飛ばされた。
「やられたか…すまんリュート、戻れ。行って来い、ショウロウ」
出したのはショウロウだ。
そしてついでにウルフはサティアに何かを囁いた。
「バシャーモ、サーナイトにかえんほうしゃ!一気にケリをつけろ!」
火傷で体力が減っているサティアに猛火の発動したバシャーモの「かえんほうしゃ」が耐えられるはずは無い。
直撃し、倒れた。が、サティアが倒れると同時にバシャーモも倒れてしまった。
「みちづれ…だ。耐えられるはずが無いからな。前もって発動しておかないとカムラのみが発動したバシャーモが抜けるわけが無いし、読んでこいつに囁いたんだ。有難うサティア、戻れ」
「くっ…振り出しか…戻れバシャーモ、良くやった」
「バシャーモ、サーナイト、両者戦闘不能!」
「…さて、行くか。ラーフォス、出番だ」
「負けられない…ミュウツー!お前の力を見せてやれ!」
ウルフが出したのはご存知ラーフォス。
リクトは妙な白いポケモン…ミュウツーを繰り出した。
「…ミュウツー、か。そうか。思い出した…あのカントーの…まぁ、面倒だが面白い。最強のポケモンといわれたその力に抗ってみるのも面白いな」
「な…海の神…ルギア…?まさかこの目で見られるとは…だけど…負けない!神といわれるその力に打ち勝ってみせる!」

まだ続きます。珍しくギャグ無いね(滅)
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一匹ウルフ #bak6☆2004.11/02(火)20:00
バトルフィールドに暑い日差しが照りつける。
双方ポケモンは伝説、そして後が無い。
相性は…「じしん」が効かないラーフォスが居る分ウルフのほうが有利だろう。しかし…ウルフには悩みがあった。
(やべ、ラーフォスとショウロウ、二匹とも技がシングルバトル用のままだ。まもるなんか無いし相手はグラードンがげんしのちから使えるだろうし晴れててスイクンのなみのりは弱体化…しかもダブルだし威力更に半減…どうする?)
「ミュウツー!スイクンに10まんボルト!グラードンはルギアにげんしのちから!」
「ちっ…ラーフォスはげんしのちからを受けたら即じこさいせい!ショウロウはグラードンにれいとうビーム!」
グラードンの強烈な「げんしのちから」がラーフォスにぶち当たる、が、その後一瞬にしてその傷は癒えた。「じこさいせい」である。
ショウロウは何とか「10まんボルト」を切り抜け、「げんしのちから」の発動直後の隙につけこみ、「れいとうビーム」を確実に当てた。が、凍らない。天気は日本晴れ、当然の結果である。
「ショウロウ、ねむるで体力回復しろ。ラーフォスは…そうだな、切り札は最後まで取っておくのが普通だが…まぁ良い、相手が攻撃して来次第アレ発動だ」
ショウロウはふと目を閉じ、そのまま眠りにつく…すると、一瞬で先程の傷が回復した。
が、次の瞬間、苦そうな顔をして目を覚ました。
「カゴのみ持ちだ。まぁ、早めのケアは大切だし」
「ミュウツー!10まんボルトでケリをつけろ!グラードンはげんしのちから!」
相手が攻撃の態勢に入る…と、一気にラーフォスが「風」を一転に集中させ始めた。
「さて、当たるも八卦、当たらぬも八卦…持たせた道具が功をなすか、否か…ラーフォス!エアロブラスト!」
一点集中された「風」は相手の放った「10まんボルト」を弾き飛ばし、「げんしのちから」を纏い突進してきたグラードンに直撃し、その巨体を吹っ飛ばした。
グラードンは防御の高いポケモン。
だが、グラードンは中々起き上がらない。が、瀕死には至っていないようだ。
しかし…物理攻撃である「エアロブラスト」だが、此処までの威力は無いはず。
「な…今のは…物理攻撃のはず…なのに何故…?」
「ふぅ…賭けが吉と出たか。持たせた道具はピントレンズ。この技は急所に当たりやすい…さて、どういうことだと考える?」
「つまり…意図的に急所を狙ったというわけだ」
「正解だな。さて、ショウロウ、グラードンに…!」
突然様子の変わるウルフ。
さて質問だが、そういえば今まで彼は頭痛をどうして来たのだろう。
…そう、彼は無論我慢してバトルしていたのである。そしてずっと頭を使っていた彼に、とうとう限界が来たようだ。
「頭が痛い!痛すぎる!リクト!すまんバトル中止!誰か気休めで良いから頭痛薬〜!○ファリンでも何でも良い!」
きょとんとするリクトとグラードンとミュウツー、ため息をつくショウロウ、状況説明するラーフォス、何時の間にか水の入ったバケツを大量にサイコキネシスで浮かせて持ってきたアーク。
無論、バケツは落下、数個は助かったが後は殆どエデンに直撃、三度彼は水浸し。
「…は?」
「ちきしょう!俺は結局こういう役か!アーク!馬鹿!何度言ったら覚えやがる!」
「修行の一つだゼェエ!」
「黙れタワケ!」
「たわし?たわしが欲しいのか。そうかそうかついでに体を洗うのか。ならば私がとってきてやろう」
一気に漫才を始めるウルフパーティ。そして実はとばっちりを喰らっていたリクトパーティ。
「おい!無視か!」
普通にツッコミをかますリクト。が、アークには無効、それどころかかえって酷くなる。
「ん!?オマエラも修行がしてぇのカァア!良し!オレサマがみっちりと鍛えてやるゼェエ!」
「…肉体的な修行はエスパーである私には必要が無いと思うが…」
「俺は水は勘弁だな。日照りになってりゃ良いがどの道水は嫌いだ」
「ボクは人間だし、ポケモンの修行にはついていけそうに無いよ…」
「問題ナッシィイング!オレサマ流の特訓をウケヤガr」
「良い加減黙りやがれアホフーディン!」
エデンの「ドリルくちばし」!急所に当たった!アークは倒れた!
「ふぅ…痛い…すまん、迷惑かけた」
やっと少し頭痛がマシになったウルフが謝る。
「え?あ…あぁ…別に構わない。でも良く解らないからもう一寸詳しい状況説明をお願いできないか?」

む、スペース無い。仕方ないので続く(駄)
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一匹ウルフ #bak7☆2004.11/05(金)01:01
「…という訳で、良い頭痛薬を探している。何か心当たりは?」
「…無い…よなぁ、ミュウツー」
「ある訳無い。我々は武者修行をしているのであってそのような物は一切無視しているからな」
此処はポケモンセンターの一室。
現在バトルで倒れたリュートとサティア、リクトのバシャーモとキュウコンは療養中で、その間状況説明をしていた訳である。
で、早速頭痛薬の事について聞いてみた、が、無論リクト達はそんな物の事は知る由も無し。
「…フエンに行けば何かあるんじゃねえか?」
リクトの腰のボールからグラードンの助言が飛ぶ。
「いたた…フエンの漢方屋か…。確かに何かあるかも知れん」
「無い可能性も十分ありえるけどね。でも行ってみるのが一番かもね」
ショウロウもうんうんと頷く。これは当面の目的地はフエンタウンに決定しそうだ。
「…そういえば…エデンは?」
「また風邪が酷くなったとか言ってジョーイさんに見てもらってる」
「アークは?」
「ここだゼィ」
声がした方に振り返る一同。
だがそこには何も居ない。ベッドがひとつ置いてあるだけ…と思ったら、アークは何故かそのベッドの下に居た。
「…何してる」
「狭くて暗い所でも泣かない為の修行だゼィ」
アーク以外の一同は一気に呆れ返り、はぁ…と嘆息をもらした。
と、突然部屋の扉がノックされ、エデンが扉を開けて入ってきた。
「…どうだった?」
「…熱、上がってた」
「…どのくらいで直る?」
「…知るか頭痛持ち駄目トレーナー!」
「修行はできるかぃ?マイフレンド」
「できるわけねぇだろドアホ!誰の所為でこうなったと思ってやがる!」
「ソイツだゼェエ!」
ベッドの下から出てきたアークの指は思いっきりミュウツーを指差している。
「…オレか?」
「違う違う!アンタじゃない!お前だアーク!」
「オゥ…そいつぁとんだ濡れ衣だゼベイベェ!」
「いや…どう考えてもアークの所為だと思うけど」
いきなり漫才にミュウツーを巻き込むアークと、何とかミュウツーをそこから救い出そうとするリクト。
「あー頭痛…まだリュート達は何時直る?」
「明日までには、だとさ。やっぱりポケモンセンターは便利だな。バトルの怪我程度ならすぐ治っちまうし」
「じゃあそれまでオレサマの手力をお見せするゼェエ!」
「黙れ」
アークがいきなりベッドの下から飛び出して何かをしようとした所をエデンが一蹴した、が、全く話は通じず。
結局アークが手に、いや手に持っているスプーンにサイコパワーを集め始めると、何故か、何故かスプーンが巨大化した。
「巨大スプーンの術だゼェエ!そして…エッデェエン!パァアス!」
その巨大化したスプーンを何故かいきなりエデンに投げつけるアーク。
その大きさアークの約二倍、相当でかい。
無論体調の悪いエデンが受けきれるわけも無く、素直にスプーンの下敷きになった。
「オレサマの手力、イカしてたろぉ?」
「全然イカしてねぇよドアホ!とっととこのデカイスプーンどけろ!」
それだけ言うとエデンは一気にぐったりとなった。
恐らく既に体力の限界なのだろう。
「しょうがねぇナァア。もっと鍛えやがれエデェエン!」
等とアークは叫びながら、スプーンを元の大きさに戻し、エデンを引き摺って戻ってきた。
因みに今は夜。
当然、その騒音に様子を見に来たジョーイさんに何時の間にかボロボロになった周辺を見られて、こっぴどくリクトとウルフが叱られたのは言うまでも無い。

所変わって、ここはバトルなどで怪我をしたポケモンが入院するための部屋。
患者は皆寝静まっている…筈だったが、未だに起きて会話をしている二匹のポケモンが居る。
リクトのキュウコン、そしてサティアである。
「ねぇ…サティアさんは…好きな人とか居るの?」
この場合人ではなくポケモンだ、というツッコミは無視である。
「あ…あの…え…」
「私以外聞いて無いと思うから…大丈夫だよ」
「あ…でも…あの…」
案の定赤面してもじもじするサティアに、キュウコンは自分からきり出した。
「じゃあ…私が言えば良い?私ね…バシャーモさんが好きなんだ…。ちょっと怖いし…すごく意地っ張りだけど…良い人なんだ。かっこよくて…優しくて…私臆病だから…怖い時には…守ってくれて…」
「あ…そうなんですか…」
「最初会った時は凄く怖かったんだ…。言葉遣いも乱暴で荒っぽいし…はじめてダブルバトルして…足手まといになってバシャーモさんに怒られちゃって…でも…私が倒されそうになったときはちゃんと守ってくれたんだ…」
その話を聞き終わった後、サティアも唐突に話し始めた。
「…私は…リュートさんが…。初めて会った時はタイプとか…そういうのの関係で凄く…苦手…だったんです…。でも…あんまり喋らない私に…仲間のポケモンさん達の中で…初めて声をかけてくれて…気にかけてくれたのが…リュートさんだったんです…」
サティアはそこで一旦話を切り、もう一度ゆっくりと話し始めた。
「それからずっと…色々話しかけてくれて…気にかけてくれて…色々な時に助けてくれて…凄く嬉しかったです…私が皆とはぐれてしまった時も…探しに来てくれて…」
「優しいんだね…リュートさんって…」
「はい…」
と、突然部屋の扉が開き、何者かが顔を出した。
…その正体はバシャーモとリュート。どうやら彼女達が大丈夫か心配になって勝手に自分達の部屋を抜け出してきたらしい。
「…お前らまだ起きてたのかよ。そらそら、さっさと寝ろ。オレみたいな頑丈なのでも寝ないと回復しねぇのに。お前らみたいな細っこいのが起きてたら直るモンも直らねえだろうが」
バシャーモが呆れたようにそう言い、それをリュートが引き継いだ。
「何の話をしていたかは知らないが…声は俺達の居る隣の部屋まで聞こえてたぞ。早く寝て、早く回復しないと大変だぞ?早くしないとウルフの頭痛が酷くなるかもしれないしな」
「って言っても…バシャーモさん達も起きてるよね」
「貴方方も…早く寝たほうが良いと思いますよ…?」
普段は余りツッコまない二匹からツッコミを貰う男二匹。
「うっ…そりゃ…俺たちは良いんだよ。頑丈だからな」
「さっき寝ないと回復しない、って言ってくれたのは誰?」
キュウコンが意地悪そうに笑いながらそう言い返した。
これはキュウコンの勝ちだろう。バシャーモは墓穴を掘ったといえる。
「とにかくっ!お前ら、早く寝ろよ!良いな!」
「じゃあな、ちゃんと寝ろよ。おやすみ…」
それだけ言い残し、♂ポケモン達は自分の部屋へ戻って行った。
それを見送り、扉が閉まるとキュウコンは微笑みながら呟いた。
「でも…心配してくれてたんだよね…きっと」
「はい…そうですね…」
「私達も寝よっか?」
「…はい、お休みなさい…キュウコンさん」
「うん…お休みサティア…」

次の日、無事退院したサティア、キュウコン、リュート、バシャーモ、そしてやっとこさ風邪が治ったエデン、そしてその他諸々は、やっとヒワマキシティポケモンセンターを抜ける事に成功した。
「じゃあ、次にあう時こそちゃんとバトルしよう」
「いたた…そうだな。じゃ、一寸私はここのジムリーダーに用があるから、これで…じゃ、お達者で」
「あぁ、そちらこそ元気で…」
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一匹ウルフ #bak8☆2004.11/07(日)18:28
ヒワマキシティにはジムがある。
ジムリーダーはナギという。
もしかしたら何か知っているかもしれない、そんな思いを込めてジムに入ったウルフは、結局がっかりしてジムから出てきた。
「…ジムリーダーまだ居ないとはどういう事だ」
「さぁ、俺に聞かれても」
ウルフは昨日には帰って来ている、との情報を得てきたリュートに思いっきり疑いの目を向ける。が、リュートは全く悪びれた様子も無くそう返した。
ヒワマキジムのジムリーダー、ナギは何故だかまだ居なかった。
トレーナーに行き先聞いてみると、何だかホウエンリーグの方からお呼びがかかったらしい。
何故だかは不明。
結局、何かを知っていそうも無いので無視して出発する事にした。

結局、ウルフ達は今119番道路を歩いている。
やはり昨日に続き珍しく良い天気である。
昼寝にはもってこいだ。
「最近…珍しいポケモンをよく見るもんだ。前のリクトはミュウツーとグラードンつれてたし、その前は野生のエーフィ…あー頭痛」
今までこの旅で出会った珍しいポケモンを挙げていくウルフ。
でもまだ三匹しか出会っていない。駄目じゃん。
「確かに。しかも迷惑かけまくってたな。主にアーク」
そしてそれを受けてジロリとアークを睨むリュート。
「主にってかほぼ全部じゃねぇか?」
「そりゃ無いぜマイフレンド!」
更にエデンが攻め立てるが、アークは全く反省の色無し。
「オレサマは修行を薦めてただけだゼェエ!」
何故かポーズを決めながらそう叫ぶアーク。
全然反省して無いらしい。反省しろよ。
「さぁ、次はどんな珍ポケに会えるだろうな」
リュートは微妙に楽しそうだ。何となく楽しみらしい。
それを聞いたショウロウは、冗談めかして笑顔でこう言った。
「案外ジョウト御三家の最終進化系のうちどれかとか?」
「ありえん事も無いな。エーフィの事を考えると、な」
ラーフォスはそれを聞いてそう応えた。
そういえば先程からサティアがある一点を凝視している。
何かあるのだろうか。
「…サティア、どうかした?」
ショウロウが何だか一点に興味を集中させているサティアに尋ねた。
「あ…あの…アレは…?」
サティアが指差した先には何だかよくわからん物体が。
何だか紺色だか藍色だかよくわからん極めて黒に近い青い物体が転がっている。
「…ポケモンか?」
「さぁ、でも図鑑で調べればすぐ判るんじゃない?」
そう助言を受け、ウルフはバッグの中から図鑑を掘り出した。
そして、図鑑を開いてその丸い物体の方に向けた。
「…バクフーン、だとさ。ショウロウ大正解。いたたた…」
「寝てるのか?」
リュートが近寄って、バクフーンだと思われる物体の回りを一周する。
後ろを向いて丸まっていたらしく、此方から反対側に顔があった。
「オレサマの出番だゼ!起きろォオ!」
アークは突然そう叫び、スプーンを手力で巨大化させた。
そしてそのスプーンを超能力で巧みに操り、バクフーンをいきなりぶん殴った。が、起きない。
「…やるな!オレサマのライヴァルとして認めてやるゼェエ!」
更にアークはそう叫ぶと、近くに生えていた手ごろな木を超能力で引っこ抜いた。
「だが、キサマもこれで終わりだゼェエ!フィニィイッシュ!」
そして、引っこ抜いた木を思いっきりバクフーンに向かってたたきつけた。
これはたまらない。というか気絶物である。
…いや、まだいびきをかいている。ものすごい鈍感さだ。
「ノォオ!こうなったら…スペシャル手力で行くゼ!」
アークの言い出した謎の単語に全員頭に?マークを出した。
手力は何度も見た。だがスペシャル手力は初めてだ。
「スペシャル手力スタンバァアイ!」
アークはそういうと、先程の巨大化したスプーンをサイコキネシスで持ち上げた。
そして、更にスプーンに超能力を集中させる。すると、巨大化スプーンに山盛り一杯のカゴの実が現れたのである。
「超必殺!スペシャル手力其の壱!グレェエイト…スゥウパァア…ミラクゥウル…ワンダホォオ…ウェイクアァアップ!」
そう叫ぶと、アークは一気にそのカゴの実が山盛り入ったスプーンを一気にひっくり返し、カゴの実山盛り一杯をバクフーンに覆いかぶせた。
「オレの勝利だゼェエ!」
「馬鹿フーディン!助けろ!目が覚める前に気絶するだろボケ!」
さっさとカゴの実をどかしながらエデンが怒鳴る。が、心配は無用だった用だ。
カゴの実の山の中心がいきなり盛り上がり、バクフーンが起き上がった。
「…あら?わたくし…何時の間に眠ってしまいましたの?」
バクフーンはゆっくりと辺りを見回して、何かを探した。
「あら?ご主人様は…そうですわ、思い出しましたわ!昨日迷子になってしまったのでしたわ!」
どうやら迷子らしい。
…係わり合いになるとまた迷惑をかけそうなので、さっさと頭痛薬のことを聞いて去ろう、そうウルフが思った矢先に、バクフーンが声をかけてきた。
「あの…この辺でわたくしのご主人様を見かけませんでした?」
「あいたたた…さぁ…見ていないと思う…一応聞くが、名前は?」
「要(カナメ)と申しますの。よろしくお願いしますわ」
笑顔で名前を言うバクフーン…要。
彼女は…かなりおっとり気味のようだ。
更に笑顔で彼女はこう問いかけてきた。
「貴方方のお名前は?何故こんな所にいらっしゃいますの?」
…さっさと済ませようとしても、もしかしたらさっさとすまないかも知れん。
ウルフは、心の中でそう呟き、痛む頭に右手を当ててため息を付いた。

続きますよ(ぇ)
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一匹ウルフ #bak9★2004.11/23(火)23:16
結局、立ち話も難なのでまたヒワマキシティに逆戻り。
まだそこまで歩いていないので、戻るのは全然面倒ではなかった。
のだが、流石にもうそろそろ出発しないと、という危機感はあったりするウルフ達。というかウルフ。
で、結局ポケモンセンターに厄介になるわけだ。
「…ほぉー…ジョウト在住の富豪の娘さんのポケモンって訳だ」
「えぇ…それが旅行中に少しお昼寝をしていたら何時の間にかご主人様達が居なくなられていて…貴方方が起こしてくださらなければきっとずっと眠っていましたわ…」
「オレサマ大活躍だゼェエ!」
「感謝していますわ。有難うございます」
アークは久々に言われたお礼に、あたりを転がりまわって喜んだ。
というか比喩表現とかそんなのではなく本当にゴロゴロと転がりまわっている。大いに迷惑だ。
「あいたた…まぁ馬鹿は無視して、お前、どうするつもりなんだ?主人がどこに居るのかも解らんだろう」
「確か…キンセツシティという所に泊まっているのですけど…」
「じゃあ、キンセツに行けば良いわけね。でも隣町といえど結構離れてるわよ」
ショウロウはその後、しかもあの辺りの道路はすぐ雨が降り出すのよね、と付け加えた。
「炎ポケモンのお前はそこで一匹だけでご主人を探すには辛いよな…」
リュートが同情したように呟く。
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません…」
「特に…主人を探してやる事で頭痛薬探しに支障が出る事はないのではないか?ウルフ」
ラーフォスがボールの中からそう語りかけ、それにあわせてウルフも頷いた。
エデンも異論は無い様で、俺はかまわねぇ、とそっけなく言った。
「じゃあ先ず情報収集だ」
「わたくし…その前にお腹が空きましたわ…」
要の腹がぐうぅ、と情けない音を立てる。
そういえば今は昼時。そろそろ昼食をとっておきたい。
「いたた…飯にするか」
「要の分もウルフのおごり決定だな」
リュートが容赦なく言って欲しくない言葉を言ってくれた。

結局、要はかなり小食で、少し食べただけで終わったので食費は余りかからなかった。
のだが、アークが相変わらず底なしの胃袋の威力を遺憾なく発揮してくれたため、結局は結構金がすっ飛んだ。
「これだから外食は嫌いなんだ。あぁ…頭痛が酷くなってきた…」
「ご馳走様ダゼェ!ウルフ!」
「ものを食べたら…少し眠くなってしまいましたわ…」
「…じゃあ何処かで昼寝でも…っておい!こんな所で寝るな!」
要がいきなり道のど真中で眠りだしたので、ウルフが慌てて起こそうとした。が、時既に遅し。
既に要は眠りに落ちていた。
「…どうする?ウルフ」
リュートがほぼうんざりしながらウルフに問いかけた。
ウルフは痛む頭を抑え、何故か地面を転げまわっていた。
「…どうした?」
「頭…痛…が…ピー…クに…(気絶)」
そしてその地面を転げまわりながら頭を抑えるという嫌な体制のまま、意識を失った。
「…どうする?」
リュートがもう既に「もういいよ」な顔をしながら仲間に問いかけた。
仲間も殆ど呆れている、が、アークは何故か行方不明…と思ったら、リュートの後ろから突然声がした。
「同時に起こすスピーディな方法を思いついたゼェエ!」
「止めろバカ」
エデンが間髪居れずにアークを止めようとする、が、アークは全く聞いていない。
ので、結局ショウロウが「れいとうビーム」でアークを氷付けにする羽目になったのだが…。
…まぁ、アークは要やウルフの近くに居たわけで、まさかショウロウも「れいとうビーム」で一人+二匹が固まって氷付けになる、とは思わなかったらしい。
まぁ良い感じの氷像が出来たわけだ。…ってそれでは物語が続かん。
「…ショウロウ、大丈夫、不可抗力だ」
「でも…あの…どうやって…助けましょう…?」
「…私は知らないわよ。エデンやってよ」
「無理だわボケ!」
因みに、なんでもなおし等が入った鞄は一括してウルフが管理している。ので、結局その鞄も氷付けな訳だ。
「…そういえば…ラーフォスも…」
「あーあ、お前の所為だぞショウロウ、自業自得」
「なっ…私は…不可抗力よ!こんなの!」
エデンがニヤニヤしながらショウロウをからかう。
普段逆らえないのでこういうときにからかうと面白いらしい。
リュートとサティアは頑張って助ける方法を思案している。
が、良い案は浮ばぬらしい。
…と、次の瞬間、何故か氷から煙が出始めたかと思うと、一気に氷が解けて行った。が、全て氷が解けた瞬間、一気にウルフとアーク、そして要が一緒に炎に包まれた。
要は良いが、ウルフとアークはたまったもんじゃない。
「寒いですわ…ふぅ…かえんぐるまで暖を取ってみたのですけど…皆さんお気に召しましたか?」
にこにこと笑いながら火だるま状態のウルフとアークの二人を見て、要はおっとりと言い放った。
彼女はまるで悪気が無いようだ。たちが悪い。
「あづ!頭痛!あづ!」
「ワォ!ヴェリヴェリホットダゼェエ!」
そういいながらアークは何故かエデンに向かって突撃した。
「相棒!オレサマと一緒に燃え上がろうゼェエ!」
「くっ…くっ…くっ来るなぁあ!」
「オレサマと追いかけっこがしたいのカァア!ならしてやるゼェエ!」
「炎イヤァア!炎来るなぁあ!炎怖いぃい!炎イヤァア!」
遂にはエデンは泣きながら逃走を始めた。それほど炎が嫌いらしい。
まぁ仕方ないといえば仕方がないのだが。
で、ウルフは更に転げ周り、道端の草にどんどん引火させている。
そしてリュートはサティアやショウロウと共にウルフが転げまわった事により引火した火が民家にまで及ばぬよう消火活動を始めた。
等の要は、皆が騒いでいるのを見てはしゃいでいるのだと勘違いして、とってもいい笑顔で笑いながらこうのたまいた。
「まぁ、そんなに喜んでもらえましたの?わたくし、感激ですわ♪」

…結局、ウルフはヒワマキシティの住民からこっぴどく叱られて賠償金を払った上、ヒワマキシティの病院でお世話になることになった。
因みに、ボールの中に居たラーフォスはそのことは余り知らなかったらしい。幸せ者め。
アークもポケモンセンターに入院、エデンは結局あの後アークに抱きつかれて火だるまになり、治療に一週間かかるそうな。

まだ続く。
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一匹ウルフ #bak10☆2004.12/12(日)22:26
「飯は不味いし木乃伊男状態だし頭痛いもう嫌だ…」
因みに木乃伊の読み方はミイラである。どうでも良いか。
いや、態々漢字変換する私が悪いのだが。
悲しげにうめくこの男ウルフ、前に何者かの所為で火だるまになってこの様である。
ここはヒワマキにある小さな病院。その数少ない入院患者のための個室に彼は居る。
と、言うか部屋が狭くて一人しか入院できないらしい。
で、病院の食事は噂に違わず不味かったわけだ。
彼の現在の見てくれはミイラ男状態。
が、髪の毛はとりあえず無事だったらしい。良かったな、禿にならずに済んで。
いや、寧ろあの火の中で全く髪の毛が焼けずに残ったのが凄い。やはり…人間ではないのだろうかこの男。

コン、コン
彼がぼーっとしていると、突然個室の扉がノックされた。
「誰だ」
「リュートだ。ショウロウもサティアも居る。ラーフォス入りのボールと、火事の火の元も一緒だ。看護士さんに頼んで案内してもらってきた。入って良いか?」
「別に構わん」
短いやり取りが終わったあと、ガチャ、と音を立ててドアが開き、リュートとショウロウ、そしてラーフォスの入ったマスターボールと、お約束の果物の入った籠を持ったサティア、更にこの火傷をした火の元である要が入ってくる。
余談だがショウロウと打つと鐘楼と変換されるのが困る。
因みに名前の由来もこれではない。
「見舞いに来てやったぞ」
リュートがウルフの顔を覗き込む。
ショウロウは部屋の様子をきょろきょろと見回し、サティアは果物のカゴとラーフォス入りボールをベッドのそばにある机の上に置いた。
「狭い部屋ね…ポケモンセンターの入院用の部屋の方がまだ良いと思うわよ、これ」
ショウロウはとりあえず部屋の様子を見るだけ見てため息混じりにそうぼやく。
そしてついでに、これじゃ人間の方が私達より扱い悪いわよ、と最後に付け加えて苦笑した。
「エデンさんと…アークさんは…全治一週間だそうです…でも…お二人が喧嘩しなければ良いのですけど…」
サティアは相変わらずの小さな声でボソボソとこの火傷の原因になった者と、そのもう一人の被害者に事について伝え、最後に心配そうに心境を口に出した。
ウルフはそれを聞き、盛大に嘆息をついた。
理由はお分かりの通り、まだヒワマキから出発できない、という落ち込みである。
「まぁ、まだお前が全治どの位か聞いていないから何時出発できるかは定まっていないがな」
と、突然、ベッドの脇の机の上においてあるボールの中から何者かの低い声…ラーフォスの最もな意見が飛ぶ。
「私があったまろうとしてこんな事になるなんて…ごめんなさいな…」
最後に、要がウルフに謝罪の言葉を述べた。
彼女はとりあえずしゅんとしており、ちゃんと反省しているようだ。
「…まぁ、要は火の元だと言うだけだ。原因はあのバカフーディンにあるのだからそう気負う事は無い。んで…私の火傷は全治三日だ、と医師から聞かされている。病院の院長も驚いていた。こんなに自己回復力の強い人間が居るなんて、とな」
…全治三日。火だるまになったのに。
もう人間ではない。化け物だコイツ。
ポケモンたちは心の中でそう思った。
ポケモンですら全治一週間なのに。
と言うか彼は一体何者なのだろう。
要以外はそう疑問に思った。
当の要は良かった…酷い火傷ではなかったのですわね…と安心していた。
この場にエデンが居れば全治三日って何処のバケモンだよテメェ!とツッコミを入れていたところだろう。
「だが飯は不味いし頭も痛い、三日も耐えられるか…」
「それ位は耐えろよ。火だるまになって全治三日の奴がそんな事で弱音を吐いてどうする?」
冗談交じりに弱音を吐くウルフを、リュートが苦笑しながら元気付ける。
「ふふっ、それに…どうせ今までとあんまり変わらないんじゃない?ご飯が不味いのは今日に限った事じゃないじゃない」
更にショウロウが、先程のリュートの言葉を受けて続ける。
勿論、苦笑交じりに。
そして、更にそれに笑顔でサティアが口を挟む。
「そうですよね…料理当番…姉さんでしたから…料理はあんまり好きじゃないのに…クジで料理当番に決められちゃったから…いつも食事の時になると不機嫌だなんですよね…」
料理当番は彼女の姉のサーナイトで、名をリムステラと言う。
由来は聞くな。わかる人だけ解って欲しい。
生意気で高飛車な彼女は、一度ヒステリーを起こしたら聞かない。
因みに、今は秘密基地で留守番組として留守番している。
更に、サティアが何かを思い出したように付け加えた。
「あ、そういえば…焼きナス事件…覚えてます…?」
「あー…あの夏のアレか!あれも悲惨だったなぁ…」
その言葉に反応したのはリュート。
ほのぼのとした表情で、彼は今年の夏を思い出す。
「あれはウルフも相当苦しんでいたな。今の頭痛以上じゃないか?」
更にボールの中からラーフォスも楽しそうに口を挟んだ。
ショウロウもそのことを覚えているらしく、くすくすと笑っている。
要は楽しそうに思い出話をするウルフのポケモンたちを見て、嬉しそうに微笑んでいた。
「皆さん…いつも楽しい毎日を送ってらっしゃるみたいで…とっても羨ましいですわ…」
「あはは…そうか?なら要さんも、できたら一度俺達の夕食に誘ってやっても良いかもな」
リュートが笑顔で要に向かってそう言って、ウルフの方を向き、さっきから喋らないウルフに声をかけようとした…が。
「なぁウル…!!」
見てみるとウルフの顔は青ざめ、そしてなにやらぶつぶつ呟いていた。
そのあまりの形相に、リュートは一気に表情を恐怖のものへと変えた。
「どうしました…!?」
サティアもウルフの顔を見た瞬間、顔に恐怖の色を浮べ、急にガタガタと震えだした。
これは一大事だと、ショウロウもウルフの顔を覗き込む。
ラーフォスも見たらしく、ボールの中からなっ…という声が聞こえた。
で、ショウロウもウルフの顔を見た瞬間、恐怖に顔を引きつらせた。
「あの…どうかされましたの?」
危機感が解らない要のみ、おっとりまったり一同に問いかける。
そして次の瞬間…ウルフは猛烈な勢いで意味不明なことを羅列しだした。
「そうさそうさ私は人間じゃないさ、そうそう私はもうミスタージェニファーが世界崩壊を目指すほど高貴で天才的なバカなんだ。そうさ。私は確かに餅さ。餅で何が悪いんだこのさーたーあんだぎーどもめ!素直にお前たちはちんすこうでも壁になすり付けて三回回って逆立ちしてマルマインとタンゴを踊りながらそして私に謝れ!と言うかもうなんていうかジグザグマが集まってマイムマイムを踊っていると言うかもう寧ろお前等エルバートの家にお芋さん両手に持って突入してこのシシカバブが三回転したらエンターテイメントがプラクティカル296ページを開いて踊ってるくらいだろ?そうだろ?そうなんだyぼぶっ!」
いきなり黒い塊が発狂して意味不明な言葉を連発しだした彼の顔にぶち当たり、彼はベッドから一気に吹っ飛ばされて壁に激突し、気絶した。
「黙れこの駄目トレーナーは…てか台詞長いっての…」
発狂したウルフを気絶させたのは紛れも無くリュートの「シャドーボール」だった。
そして、ウルフが気絶して安心した他のポケモンたちはほっ…と胸をなでおろす。
「それにしても…発狂するなんてよっぽど焼きナスがトラウマに残ってたんでしょうね…」
ショウロウが哀れみをこめた目で気絶してだらん、としたウルフを見やる。
サティアは未だ震える手でウルフの脈を取って呟いた。
「だいじょうぶ…です…生きて…ます…」
それを聞いてとりあえず落ち着いた一同。
最後は勿論、笑顔の眩しい要が占める。
「皆さん…本当に仲が宜しいんですのねぇ…」

続くと思う。
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一匹ウルフ #bak11☆2004.12/23(木)00:48
「またのご利用をお待ちしております!」
結局本当に三日で退院したウルフは、数日後、さっさと入院しているアークとエデンを引き取りにポケモンセンターに来て、引き取ってすぐに引き返してきた。
そして、やっと出発できるかも知れない…その思いからか、今までヒワマキで遭った様々な災難を思い出す。
アークの手力とそのグレードアップヴァージョンであるグレイトスーパーミラクルワンダフルウェイクアップ、エデンの風邪、リクトとの出会いとバトル、ナギ不在、要やエーフィとの出会い、そして火だるま事件と三日間の入院…。
そういえば一日半ほど前、食欲が無くて、飯を残したら看護士さんが何処からとも無く連れて来たカイリキー三匹によって押さえつけられて、無理矢理完食させられたな…などと謎の思い出に浸っている。
てか怪我人にそんな事をして良いのか?と言うツッコミは受けない。
「やっと…この街ともオサラバできるな…」
エデンも感極まって涙を流す。この場合当然嬉し涙である。
他のポケモン達も遠い目をしたり、アークを睨んでみたり、スプーンを投げてみたり、ほのぼのと辺りを眺めてみたりしている。
と…思い出に浸って無駄に時間を費やしている間に時間が経っても駄目だ、と、リュートが決心して遠い目をするのを止めた。
「なぁ、無駄な時間使ってないで早く行こう。じゃないとまたこの街で一夜を過ごすことに…」
その言葉には誰も異議が無いらしい。アークもOKダゼェ!と親指を立ててシャウトした。
「この街ともお別れですのね…少し寂しいですわ…」
要は後ろ髪を惹かれる思いで、ヒワマキの町並みを振り返った。
ここでウルフ達に出会い、知り合って、そして遂に要のご主人探しと頭痛薬探しが始まる。
自分はもう、この街には来られるかもわからない。
「…要、気持ちは解るが、お前の主人も心配しているだろうから…早く主人の元へ行ってやったほうが良い」
ラーフォスがボールの中から要を諭すように声をかけた。
要は頷きつつも、やはりまだヒワマキが恋しいと感じているようだった。
「もうちょっと…お待ちになって下さいませんか?この街の風景を…せめてこの心の中に刻み込めるまで…」
要の言葉に、ウルフはポケモン達に黙ったまま目で合図して、その場で待つことを伝えた。
ウルフのポケモンたちは頷き、じっとヒワマキの緑溢れる風景を心に焼き付けている要を見守っていた…。
と、突然、ウルフの後ろ辺りから大きな声が上がった。
「要!そこに居るのは要ですわね!」
声を出したのは明らかにお嬢様です、と言う雰囲気を放っている少女。
彼女はそう大声で要の名を呼ぶなり、要に思い切り抱きついた。
要は突然呼ばれた上、抱きつかれたので最初は混乱していたが、抱きついたのが誰だか理解した瞬間、嬉しそうな声をあげた。
「ご主人様…態々わたくしを探しに来てくださったのですか…?」
「良かった…どこかで捕まっていたりしていたらどうしようかと…」
突然の出来事に目を丸くするウルフ達。
「貴方方が要を探してくださったのですわね…お礼を言いたいので…どこかに座る場所があれば良いのですけど…」

結局、先程出てきたポケモンセンターに再度入ると言う失態をかましたウルフ。
ジョーイさんにくすくす笑われた気がした。
そして、今目の前には要の主人である少女と、要が座っている。
「要をお世話していただいて…本当に有難うございます。お礼を差し上げたいのですけど…何が宜しいでしょうか?」
「…強いて言うなら良い頭痛薬。頭痛い」
ウルフは礼をする、と言う申し出に対し、勿論頭痛薬を提案した。
が、やはり帰ってきた応えは残酷な物だった。
それはあまりにもウルフにとっては残酷な物だっただろう。
「頭痛薬は…我が家に頭痛持ちの方は居りませんし…あまり詳しい方が知り合いに居ないもので…ちょっと…あ、でもわたくしが一応、頭痛を起こしたときのための何時も持っているのならありますが?」
そう言ってから、彼女は高級そうなバッグの中から小さい箱を取り出した。
箱の表面には…「ナ○ンエース」と書いてある。
「そうか。その手があったか。私としたことが全く気づかなかった…」
悔しそうにそう言うのはラーフォス。
この良く解らない発言に対してツッコミを入れるのは無論エデン。
「その手って何だその手って!訳わかんねぇよ!的確に100文字以内で述べろ天然ルギア!」
結局ウルフはナロン○ースを少し拝借し、水も今回こそはちゃんとジョーイに頼んでコップ一杯貰って、注意書きをよく読み、用法、容量を守って正しく服用した。
が、このしぶとい原因不明の頭痛が○ロンエース如きで収まるはずもなく。
数秒後には、何故か酷くなってきた痛みによって頭を抱えて床に付していた。
「駄目…でしたか…すみません…お力になれずに…」
「い…や…かまわ…ん…痛…い…何故酷く…なるん…だ…」
ギリギリ意識を保ちながら、謝ってきた要の主人に答えを返すウルフ。
そして、結局彼は意識を手放し、それから夕方になるまでずっとサティアの看病を受けていたと言う。

「では…お世話になりました」
「いや…私も突然気絶して…すまなかった」
ここは再度、ヒワマキの出入り口。
要とご主人は、ホウエン旅行を終え、ミナモから船に乗ってジョウトに帰る為、ウルフとは逆方向に進む事になる。
無論、要ともここで別れる事となる。
「じゃあ…要、元気でね」
「はい…ショウロウさんも、リュートさんも、ウルフさんも、アークさんも、エデンさんも、サティアさんも、元気でいらっしゃってくださいな」
要はそう言って、ウルフ達に笑顔を向けた。
どこか寂しそうで、悲しげなその笑顔。
「わたくしも…元気に生きて行きますわ」
悲しげな笑顔のまま、彼女は更に言葉を続ける。
「短い間でしたけれど…わたくし、とても楽しかったですわ。今までに無かったくらいに…皆さん、とってもいい方達で…毎日が楽しくて…新鮮で…でも…もう…お会いできないのかも…しれません…わね…」
彼女の悲げな笑顔は、次第に消えて。
彼女は何時の間にか涙を流していた。
自分はジョウトの富豪のポケモン。
自由に外に出してもらえることは殆どないし、外のポケモンたちと会うことなど、全く無い。
即ち、もう、彼らとは会えない。
もう、この景色の中で、彼らと笑う事は出来ない。
そう考えると、涙が止まらない。
「ごめ…んなさい…あの…わたくし…皆さんと…もう…会え…ないと思って…そう…思ったら…わたくし…」
「…なぁ、要さん」
その様子を静かに傍観していたリュートが、泣きじゃくる要に声をかけた。
突然名前を呼ばれ、涙で濡れた顔を上げて、リュートの顔を見た。
「俺、言ったよな、要さんもできたら一度、食事に誘いたいって」
「え…はい…覚えて…ますわ…」
そして、リュートは笑顔になってこう続けた。
「じゃあ…約束するよ。ウルフの頭痛が治ったら…要さんや…ご主人さんを俺達の家に誘うって。それなら…俺達が約束を破りでもしない限り、また会えるだろ。な、ウルフ」
ウルフはそれに対し、かすかに首を縦に動かした。
そして、それをサティアが引き継いだ。
彼女もまた、笑顔だった。
「ウルフさん…こう見えても…約束は破らない…方なんです…だから…また会えますよ…絶対に…もしかしてとか…多分とか…そんなのとは違います…だから…悲しむ必要は…もう無いんですよ…」
要の涙は、何時の間にか止まっていた。
彼等は自分と約束をしてくれた。
また会ってくれる、と。
しかし、まだどこかで無理なんじゃないか、と思ってしまう。
「でも…でも…」
「良いことを思いつきましたわ!要!」
辛そうな要を見ていられない、といった表情だった要の主人は、突然何かを思いつき、手をパン、と勢い良く叩きながら大きな声で要を元気付けるように言った。
「わたくしのお父様に頼んで、わたくし達がホウエンにいつでも来れるようにしていただければ良いのですわ!」
ウルフ達も、要も、きょとん、としながら要の主人の熱弁を聞いている。
「お父様なら、船のパスくらいいくらでも持っているはずですわ!それさえあれば、何時でもホウエン地方に来られますわ!ねぇ要?」
その言葉を聞いて、要の表情は一気に晴れた。
顔は、何時ものあの笑顔に戻っていた。
「…はい!」

こうして、ウルフ一行と要たちとは別れた。
最後にまた会おう、と約束を交わして。
そして、要は帰りの船の中、夢を見た。
ウルフ達と共に、自分と主人が笑っている夢を。
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一匹ウルフ #bak12☆2004.12/31(金)01:13
さて、もう今年一年も暮れである。
旅をしているウルフ達には更々関係無い…訳でもないが今は関係ない、彼らの住居である秘密基地。
当然、年末の大掃除をしなければならない。
さて、トレーナーウルフと、掃除、洗濯などを一手に引き受け、料理は絶望的な姉を手伝うお馴染み控えめサーナイトのサティア、指揮官的存在であるリュートが居ないと恐らく色々大変である。
少しウルフ達の旅からは外れてしまうが、ここらで一つ、居残り組であるウルフのポケモンたちの様子を見てみることにしよう…。

「全く雑用が居ないからめんどくさいったりゃありゃしないわよ!」
このヒステリー気味の甲高い声の持ち主…リムステラは何時かに述べたように、あのサティアの姉である。
生意気、高飛車、そして五月蝿い…と三拍子揃っていて、サティアと全く似ていないのが特徴。後はサティアより特殊防御が高いくらいか。
因みに雑用とは言わずともがなエデンである。
彼女も右手にはたきを持ち、ホコリの溜まっている「物置」と呼ばれる場所を掃除していた。
呼び名に違わず色々な物がごたごた置かれており、見事に使われずにホコリを被っている物も幾つかある。
ただ、普通の物置と違うのは、実はここはあるポケモンに割り当てられた部屋であり、そのポケモンが掃除しないから「物置」と呼ばれているのである。
その部屋の主は仲間内でも多少…というか極めて恐れられており、実際この部屋には誰も近づかないし掃除もしない、というのが現状。
サティアなどここに近づいただけで気圧されてしまう位である。
で、部屋の主は…実際気配も無いので殆どどこにいるか解らない。
多分そこら辺に転がって寝ているか、外出して何かしでかしているか、それとも…。
とん、と突然リムステラの方に何かが置かれる。
それは何だか途轍もなく冷たい。ぞっとする程の。
驚き、顔に恐怖の表情を浮かべたリムステラは飛びのき、真っ青な顔のまま後ろに振り返った。
視線の先に浮いているのは、一個の抜け殻。但しデカイ。
しかも天使のわっかのようなものがついていて、クックック…と怪しい含み笑いをしている。
「面白い物をみせてもらったよ…リム姉さん…」
…とりあえず、「これ」が部屋の主である。
種族はヌケニン、性別は♂、名はヌケサク。
彼曰くヌケニンの中では一応陽気な性格らしい。
ただ、他人を恐怖のどん底に叩き落して、その表情を見るのが何よりも楽しく、生きがいである…という困った趣味の持ち主である。
「…ヌケサク、アンタちょっとは部屋を掃除なさいよ!私が掃除する事になってんじゃないのよ!てか居るなら居るって言いなさいよ!」
先程とは打って変わって、一気に捲くし立てるリムステラ。
その甲高い大きい声に、他の「居残り組」のポケモン達もやってきていた。
まず、なんだいなんだい!?とドスドスと音を立てて走ってきたのは現在居残り組をまとめている勇敢な肝っ玉♀リングマ、ベルセルク。
皆の肝っ玉母さん的存在、といった方が話が早い。
そのパワーはウルフのポケモン随一で、あらゆる物を一撃で粉砕する程である。
次に現れたのは今現在のこの場で最も頭が良い、リュートの親友二匹の内の片割れ、アブソル♂のライウェル。
非常に穏やかで敬語口調、いつも笑顔の彼は、近くで掃除していたらしく、歩いてやってきて、状況確認してまたヌケサクさんですね、と苦笑していた。
因みにもう一匹の親友であるやはりアブソル♂のアルザは、リュートの妹ルミナと共に普段エデンが追いやられている地下室を掃除している。
実は元々地下室がヌケサクの部屋だったのだが、何時の間にか略奪されてこの様である。
まずこの場を動かしたのは、やはり一番頭の切れるライウェルだった。
「ヌケサクさん、悪戯も良いですけど、ちゃんと掃除してくださいね」
と、全く手伝おうともしないヌケサクに、穏やかに掃除を促し、用件は済んだ、とばかりに自分の持ち場に戻ろうとした…が、突然何かを思い出し、元の部屋に戻ってきた。
「そういえばベルセルクさん、ウルフさんにお客さんが来ているんですけど…どうしましょう?」
「ウルフにかい?居ないって伝えたのかい?」
「そりゃ勿論伝えましたよ、でもどうしても会いたいらしくて…」
ちょっと俯いて、どうしましょうね…と呟くライウェル。
その会話に、突然リムステラが割って入った。
「無理矢理追い返せば良いじゃないの。アンタそんなことも出来ないからヘタレなのよ。このリムステラ様に任せときなs「やめておいたほうが良いと思うけどね…クックック…」
そして、無理矢理追い返そうと意気込むリムステラに水を差し、挑発するように嘲笑うヌケサク。
横槍を入れられてイライラするリムステラをライウェルがまぁまぁ…と宥め、それから取り敢えず呼んで来ます、と続けた。
暫くして、ライウェルがその客人達を「物置」につれて来た。
来たのはトレーナーの少女と、ジュカイン、チルタリスの二匹。
「ええと…あの、トレーナーのウルフさんは…居ないんですよね?どこに出かけてるか…とか、わかります?」
トレーナーらしき少女がおずおずと口を開く。
だが、ここに居る連中はとりあえずヒワマキ側に向かった、としか知らない。
「…確かヒワマキの方に行くって言ってたよね…ボクの記憶が正しければ、だけどね…クックック…」
ヌケサクがその事を口にして、やはり含み笑いをする。
彼曰くこれは癖らしい。嫌な癖だ。
「とりあえず、アンタの名前を教えてもらいたいねぇ…あたしとしては」
そして、ベルセルクがトレーナーの少女の事を目を細めて睨む。
多少雰囲気が険悪になってきちゃいましたねぇ…とライウェルがぼやいている間に、彼女は口を開いた。
「えと…トレーナーのリコです。この子達は見ての通りジュカインとチルタリスなんだけど…ちょっとウルフさんのことで聞きたいことがあって…」
「俺達は強い、と言われているトレーナーの事…性格とか使っているポケモンとか、出身地とか…を調べて、それをとある雑誌に掲載する仕事をしていてな、それでやっぱり本人に会ってみるのが一番良いか…と思って、此処に着たんだが…」
「居ないのなら居場所を聞くくらいしか出来ませんし…ごめんなさい、迷惑をかけて」
トレーナー…リコとそのポケモンたちが自分達の仕事などについて説明する。
ウルフのポケモンたちはその話をとりあえず聞き終えて、納得しているようなしていないような顔をしていた。
で、とりあえずライウェルが最初に思ったことを口に出した。
「それって…要はインタビュアーのマリさんとダイさんと同じですよね?」
「それに近い感じ…なのかな?ライバル…っていうか商売敵みたいな感じかな。その雑誌、編集してるのが私のお父さんでね、私達はそのお手伝いをしてるの」
ライウェルの疑問に、リコが笑顔で答えた。
 
それから数時間ほど雑談やら、状況説明やらに時間を費やした。
その雑誌はかなり有名な雑誌らしく、このトレーナーの事を特集するコーナーも、結構な人気なのだそうだ。
これもリコ達の活躍のお陰、らしい。
「そういう事なら…ウルフの奴はさっきも言ったけどヒワマキの方に行ったね。多分次の目的地はキンセツだと思うけどねぇ…」
ベルセルクがとりあえず推測だけどね、と付け加えて、彼女達に教える。
「有難う!じゃあ…私達急ぐから…またね!チルタリス、お願いね!」
「はい!」
…とりあえず、そういうとすぐに外に飛び出して、彼女達は飛び去ってしまった。
ぽかん、と秘密基地の外の、彼女達が飛び去った方の空をみて、ライウェルはこう呟いた。
「…あぁ…彼女達と喋ってた所為で…もう夕方じゃないですか…」
彼が見るのは真っ赤な空。
彼は夕日に照らされて、全然掃除できてませんよ…と更に呟いて、自分の掃除場所に戻って行った。

で、その日の夜はアルザとルミナが地下室で発見した、エデンの、既に日記帳一冊を使い切っている最後の日付が10月の「苦労日記」と題された本を皆で読んで、彼の事が話題に上がった。
そのとき、エデンが118番道路でアークに川に落とされて、くしゃみをしたとか、しなかったとか。

次からはまたウルフ達です。続く。
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一匹ウルフ #bak13☆2005.01/03(月)21:32
さて、年も空け、清々しい朝…とは行かない119番道路。
ウルフ達は、何時も通り降り続いている雨の所為で見事なまでに、気持ちの良いまでに足止めを喰らっていた。
雨宿りしながら歩いているので、中々進まない。
しかも途中でエデンがアークに川に落とされた通りすがりのトロピウスに踏ん付けられたり川に落とされたついでにキバニアに喰いつかれたりして中々進めなかった。
で、今一行は周りに沢山生えている木の陰で休んでいる。
そんな事ゲーム中では出来ない、とツッコミを入れてはいけない。
「やってられねえよ!何で俺はトロピウスに踏ん付けられなけりゃならねぇんだ!チクショウ…なんで俺だけ…」
「無駄だエデン、貴様はそういう星の元生まれてきたのだ。諦めろ」
落ち込み、どんよりと周辺に影を落とすエデンに、ラーフォスが全く悪気の無い追い討ちをかける。
多分ラーフォスにしてみればこれは励ましなため、性質が悪すぎる。
それを聞いたエデンは更に周りに影を落とし、はぁ…と虚しいため息をついた。
影どころか周りに暗いオーラが見える。
「天然ルギアに言われたくねぇと思うゼィ♪」
「トロピウスはまだしもキバニアに喰いつかれた事と川に落ちた事の原因の彼方には言われたく無いでしょうね」
清々しく親指をグッ、と立てながらラーフォスに反論するアークに、冷たくツッコミを入れるショウロウ。
因みにウルフは、先程から頭痛に苦しんでぶっ倒れていて、今はリュートとサティアに面倒を見てもらっている。
で、今彼らは暇なのだが、何もする事が無いらしく、ラーフォスは例の能力で体を縮めて読書、ショウロウも前足を器用に使って読書、アークはスプーン投げ、エデンは先程述べたとおり通り落ち込んでいる。
「…てか…」
エデンが先程のオーラを一瞬で全て無くし、はたと呟いた。
「ウルフって…何者だ?」
呟いたこの一言で、皆を一瞬で顔をエデンの方へ向けた。
ラーフォスとショウロウは本に落としていた目線をエデンに合わせ、アークはスプーン投げを止めてぐるりとこちらを向いた。
「…確かに、あいつが実家と呼んでいる場所も実家ではないな…」
そしてその後むぅ、と考え込んだラーフォスがそう応えた。
彼が実家、と呼んでいるのは現カントーリーグのチャンピオンの家であり、そこで自分はチャンプの母の兄弟の息子で、両親が行方不明になってしまったので引き取っている、という事にしてもらっているのである。
と、言うわけで彼の従妹、というのはカントーリーグチャンピオンである訳だ。
「奴はあそこに行く前に大怪我をして、私がそこまで運んで行って、情けでそのままそこに住まわせてもらっている訳なのだが…奴が大怪我をした理由がわからん。しかもその怪我もたった一日で完治したのだが…」
更にラーフォスは続けた。
「私がボールから出されて羽を休めている時に、奴が何処からか怪我を負って帰ってきたのだ。理由を聞いても誤魔化された…な」
そこで話は終わった。
全員黙って考えをめぐらせる。が、計一匹はスプーン投げに戻っている。
鬱陶しいのでショウロウが「れいとうビーム」で固めよう…とすると、それを素早くアークは避けた。
「当たらネェエゼェエ!どうした昆布犬さんヨォオ!さぁオレサマを止めてみナ♪」
そういってアークは猛スピードで駆けずり回り、スプーンをそこら中に投げ始めた。
その量といったら膨大で、一瞬にしてそこらじゅうがスプーンだらけになった。
別にスペシャル手力という訳では無いらしい。
だが一体何処からスプーンを取り出しているのかは謎だ。
しかもアークは彼女が最も気にしている「昆布犬」という言葉を放った。
それは彼女の鬣のことを言っているらしい。彼はこれを昆布だというのだ。
だが他の皆は別に普通の鬣だろう、という事でこの言葉は彼以外誰も使わず、禁句なので誰も使わなかった。
が、その禁句をアークは言った。当然ショウロウは怒って暴走、「れいとうビーム」を乱射している。
「このスプーン何処から出してんだよ!てかテメェは少し黙りやがれこのアホフーディン!今の今までシリアスだったのにもうギャグじゃねぇかコレじゃ!てかショウロウ待て!話せば解r…」
時既に遅し。
ショウロウの「れいとうビーム」乱れ撃ちの流れ弾は見事にエデンに当たり、彼は一瞬にして氷付けになった。
てか10%で発動の状態異常をこれだけ頻繁に発動させる彼女は多分天才か何かだろう。
が、そこでアークの悪行(?)も終わり。
必中であるリュートの「つばめがえし」がアークを捕らえ、防御が全く無いアークは吹っ飛ばされた。が、すぐにむくりと起き上がった。
だが一応暴走は止まった様で、イェイ、とポーズを決めてまたその場でスプーン投げを再開した。
「…ハァ…ウルフはもう良いそうだが…これ、以外に変わりは?」
リュートがこつこつとエデンが氷付けになった物を角で叩いた。
音から硬そうだ。多分当たったら痛いだろう。
落ち着いたショウロウがそれに無いわよ、と答え、後始末を開始するためにバッグを漁ってなんでもなおしを取り出した。
ラーフォスは再び本に目を落とし、エデンはやっと氷から出て羽と顔をぶるる、と振るっている。
で、林の奥の方からウルフとサティアが出てきて、やっと出発の準備が整った。
「さて、出発…誰だお前等」
出発しようとするウルフの目の前には、少女とジュカイン、チルタリス。
そう、前回出てきたリコである。
「あの…インタビュアーのリコです。ウルフさん…ですよね?」
「…そうだ」
「あ…それなら、インタビューお願いできます?」
…そう言われるなり、彼は一つ盛大なため息をついて、構わん、と応えた。
…どうせ断ってもついてくる、と思った故の返事である。
笑顔でありがとうございます!と言うリコ達。逆にため息をつくウルフ。
そして、エデンがこう呟いた。
「…絶対唯じゃすまねぇな」
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一匹ウルフ #bak14☆2005.01/06(木)22:35
とりあえず、手ごろな大きな草の塊を見つけて、それにリコのチルタリスの「ひみつのちから」で穴を開ける。
そして、インタビューはその中で始まった。
「ではウルフさん…とりあえず貴方はどこで生まれ育ったんですか?経緯や思い出など簡単に聞かせてください!」
「頭痛…黙秘する…」
「では年は?」
「…パス」
「連れているポケモンは?」
「ルギア、アブソル、サーナイト、フーディン、エアームド、スイクン」
こんな会話が淡々と続けられる。
その間、ポケモン達は適当に暇を潰していた。
アークは相変わらずスプーンを投げ、サティアはリュートと談笑し、リコのジュカインとチルタリスは何だか近寄り難い二人の世界を作っているし、ラーフォスとショウロウはやはり読書、エデンは昼寝。
久しぶりに極めて穏やかな表情で誰にも邪魔されずに気持ちよく睡眠をとっているエデンは、それはそれは大変幸せそうだ。
が、そんな幸せそうな彼等を尻目に、インタビューは着々と進み、30分後にはもう殆ど終わっていた…が。
「…えぇと、現住所はマサラタウンになってるけど出生地不明、元々住んでいた場所も不明、年齢不詳、おまけにホウエンに来た理由も曖昧だし、着ている服は黒い東洋の民族衣装みたいな物で何処から手に入れたかも教えてくれませんし、髪の毛長すぎですし…失礼ですが何者ですか?」
「いたた…さぁ?自分で調べてみろ…」
「そう言われちゃうと困るので…ちょっとジムリーダーとか、その辺の人に聞いてみたりしたんですけど…不明な点が多すぎるんですよ…これじゃインタビューしてもまともに載せられることが殆ど無いじゃないですか…」
リコはそういい終わると深いため息をつき、うなだれた。
一方ウルフは痛む頭に手を当てて、なんとか頭痛に耐えている。
「いたた…それは当然だな…誰にもその辺りの事は話していないし」
「せめて年齢と出身地くらい教えてくださいよぉ…記事にならないじゃないですかぁ…」
頭を抑えながら当然だ、と言ってのけるウルフに、さらに頭を抱えるリコ。
これではインタビューが終わりそうに無い。
プロフィールが不明ばかりでは、流石に悲しすぎる。
そんな気苦労はいざ知らず、ウルフは相変わらず頭を抑えて座っている。
格好から不審人物だし。
「せめて年齢だけでもお願いしますよぅ…」
リコが半泣き顔でウルフに哀願する。
これに流石のウルフも不憫だと思ったのか、手で頭を抑えながら、静かに口を開き、多少躊躇しながら言った。
「…お前達よりもはるかに年上、とだけ言っておくか…」
「…え?私「達」…ですか?」
リコが周りに誰か居たかなぁ、ときょろきょろ辺りを見回すが、誰もいない。
だが、ウルフは先程のリコの発言に対し、こくり、と頷いて肯定の意を表している。
更に、珍しくにやりと笑ってこう言った。
「…お前が先程の言葉の正しい意味を理解出来れば何とかなる…」
「正しい意味…ですか?」
「…後は自分で考えろ」
それだけ言うと、ウルフは頭を抑えていたた…と呟き、さっさと草の塊の穴から出て行った。
リコはその行動をぽかん、と見つめていたが、脳内で状況を整理し終わるとさっさとメモ用紙やら何やらを全て鞄に詰め込み、小走りで外に出た。
出た後にはウルフ達は居らず、残っているのは良い雰囲気になっているジュカインとチルタリスだけ。
「ジュカイン、チルタリス、これから一寸大変な取材…するけど、大丈夫?」
「あぁ…どうしたんだ?そんなに目を輝かせて」
「何か面白い事でも聞けたのでしょうか?」
「逆よ逆♪殆ど何も聞けなかったの!でも…誰も知らないことを記事に出来たらそれこそもう大手柄じゃない?だって誰に聞いても解らなかったんだよ、ウルフさんの事。これを私達だけで解き明かしたら…それすっごい事になるわよきっと!私もあの人の素性が気になるし!」
「まぁ、お前の好奇心に火がついたら止まらない事は重々承知しているし、どうせ逆らっても無駄だから俺もついて行くよ」
「ちょっと大変そうですけど…頑張れますよね」
目をらんらんと輝かせて熱弁するリコに多少呆れ気味なジュカインと、穏やかに微笑むチルタリス。
さて、彼女達がウルフの正体を突き止められるかは、まだまだ解らない。

「…なぁウルフ、結局お前は何者なんだよ」
インタビューを済ませた後、晴れていたのですぐに出発したウルフ達は、雨が降らないうちに118番道路に来ていた。
で、質問したのはやはりエデン。
「…さぁ、とりあえずポケモンではない」
「んなもん見りゃ解るわ!大体お前は人間かもわからねぇじゃねえか!全身大火傷で全治三日って何者だよテメェ!普通人間なら死ぬわ!」
「だろうな」
「そこはしれっと返して良いところなの?」
いきなり質問に対してすっとぼけるウルフにツッコミを入れるエデン、そして更にとんでもない答えを返すウルフに戸惑うショウロウ。
で、最後に彼女の一言。
「えっと…あの…ウルフさんの気持ちや考え…他の人間さん達より…凄く感じ取り辛いです…その…ごめんなさい…」
サティアのその一言で結局会話はストップした。
サーナイトでも感じ取り辛い彼の考え、一体何を考えているのか、それは彼のみぞ知る…のか?
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一匹ウルフ #bak15★2005.01/09(日)00:12
「お守り小判お持ちでしたら譲ってください…」
涙ながらにいきなりウルフに頼み込むトレーナーが一人。
此処はキンセツのポケモンセンター。入ったとたんいきなりこんな事を頼まれた。
「…いたた…と、言えどお守り小判はかなり貴重だ…やる訳にはいかんな」
「お願いですからそこを何とか…お金が足りないんです…」
「バトルして稼げ」
「…それも…そうなんですけど…でもこの辺りのトレーナーさん達、戦ってもあんまり賞金くれないんですよぉ…」
頼み込み続けるこのトレーナー。因みに彼はまだウルフに名乗っていないしウルフも彼に名乗っていない。
このトレーナーの後ろでは彼のサーナイトとミロカロスが呆れ、彼の隣では彼のヘラクロスが土下座して「頼みやす」と言い、マッスグマがそこらをきょろきょろと見回している。
そうこうしている内にトレーナーがあることを思いつき、それを提案した。
「…それなら…あの…申し訳ないのですが…俺とバトルして俺が勝ったら賞金と小判を下さい…で、俺が負けたら貴方の欲しいものを俺が持っているものの中から差し上げますから…あの…バトルしていただけ無いでしょうか…?」
…沈黙。
頭に手を当てて悩むウルフ。
これと言うのも前科があるから。
リクト編を読んだ方は解ると思うが、彼は頭痛が酷くなってバトルを中断したことがあるのだ。
「あっしからもお願ぇしやす!バトルして下せぇ!」
「まぁいいか…特に問題は無い。だが…本当に私の欲しい物をもらえるのなら、な」
「は…はい!勿論私の持っているポケモン以外なら何でも一つ差し上げます!」
「…問題ない…な」
この返事を聞き、トレーナーはガッツポーズをし、ヘラクロスは感動の余り涙を流していた。
だが、この一言で彼らのハイテンションは一気に急降下する事になる。
「ショウ、自己紹介くらいしてからにしなさい」
…嫌な沈黙。
思いっきり気まずい。
…結局沈黙を破ったのは勇気を振り絞ったトレーナー…ショウだった。
「あはは…俺はショウです…あの…宜しくお願いします」
「いたた…ウルフだ…」

バトルフィールドに選ばれたのは、空気が綺麗なシダケタウンと、そこそこの規模の街であるキンセツシティに隣接している117番道路。
今回の審判に選ばれたのは、バトルに出ないことになったリュート。
天気もよく、絶好のバトル日和である。
「これより、三対三のシングルバトルを開始する!制限時間無し!技制限、持ち物制限共に無し!二匹以上同時に相手を氷付け、眠り状態にした場合敗北とみなす!…はじめっ!」
「エデン、行って来い」
「チェリー!頼む!」
出てきたのはお馴染みエデンと…慈しみポケモンのミロカロス。
その相手を見た瞬間、ウルフはちっ、と舌打ちした。
「出だしは良い感じだ…チェリー、なみのり!」
「…分が悪い…受けるか。戻れエデン。行け…ショウロウ」
同時に命令が飛ぶ。
だが、「なみのり」発動より一瞬早くウルフの交換が完了し、出たのはショウロウ。
「なみのり」は命中するが…ショウロウは殆どダメージを受けた様子も無く、ぴんぴんしている。
「く…分が悪い…戻れチェリー!行け!ビート!」
「おっしゃ!此処はあっしに任せてくだせぇ!」
「ショウロウ、めいそう」
再び指示が飛び…チェリーは戻って先程のヘラクロスが繰り出され、ショウロウはその隙に心を落ち着けた。
が、「めいそう」が終わった次の瞬間、ヘラクロスの「かわらわり」が繰り出された…が。
「…生憎俺の主人は持久戦好きでね。交換の腕の方も並みじゃねぇんだ」
そこに居たのはエデン。今の一瞬でウルフは交換を決めた。
エデンはしっかりと「かわらわり」に耐えている。
「まずい…戻れビート!行け!イシュタル!」
「エデン、その隙にまきびしを撒いてやれ」
サーナイト…イシュタルが出たと同時に、まきびしがばら撒かれる。
イシュタルは踏む事は無かった…が、次に出てくるポケモンは確実に踏んでしまう。
「…小賢しい事をするのね。やはり弱者はそうして逃げる事しか出来ない訳ね…」
「言ってろ!てかテメェ第一印象がリム姐と同じなんだよ!」
そう言いつつも戻されるエデン。そしてその瞬間にイシュタルの腕から「10まんボルト」が放たれる。
そしてそれに当たったのは…
「オウイェ、痺れるZE☆」
紛れも無く、あのアークである。
だが彼は麻痺する様子も無く、電撃に耐えていた。
「何?今度出てきたのは唯のバカなの?」
「バカじゃネェゼ♪フーディンのアークだゼ☆」
あきれ返るイシュタルに対し、ウインクで応えるアーク。
戦闘中に何と言う余裕だろう。いや、アークには緊張感そのものが無いのか。
「…仮にも戦いの女神の名を名乗っているんですもの。貴方のような雑魚に負ける気はしないわ」
「…何言ってんだYO。訳ワカメだYO」
多分本当に解って居ないあたり駄目だ。
本当に頭が良いのかが疑われる。
「…アーク、めいそう」
「イシュタル!こっちもめいそう!」
二匹とも集中し、気を高める。
アークはあらぬところにスプーンを投げている。
これが彼なりの「めいそう」なのだろう。
…多分。
「よし!イシュタル!10まんボルト!」
「アーク、かみなりパンチ」
「めいそう」で最高まで気を高めた二匹の技がぶつかり合う。
アークは「10まんボルト」をまともに受けながらも、「10まんボルト」を突破し、そのままイシュタルを電気を纏った手で殴りつけた。
殴られて吹っ飛んだイシュタルだが、ダメージはそう重くなさそうで、すぐにすくっと立ち上がりアークを睨み、更にもう一発「10まんボルト」をお見舞いした。
が、アークは既に「じこさいせい」で回復した後だった。
結局、当たったがまた回復される。
「今度はこっちの番だZE☆」
そして持ち前の素早さで一気にイシュタルの目の前まで移動し、電気を纏った拳を繰り出す…が、何かの光によってアークの目はくらみ、拳はあらぬ方向へと繰り出された。
更にその瞬間、イシュタルは「10まんボルト」を放ち、見事アークに当てる…が、アークもすぐに「じこさいせい」する。
「キリが無い…もう一撃だイシュタル!」
「ひかりのこな…か。…アーク、かみなりパンチ」
もう一度、アークが「10まんボルト」に突っ込み、突破し、拳を繰り出す。
「ヒャッホウ!オレサマ最高!」
「くっ…忌々しい…!」
アークの「かみなりパンチ」が命中する…と思ったその瞬間、イシュタルは超近距離で10まんボルトを放った。
当然自分にもとばっちりは来る…が、その攻撃は確実にアークを捕らえ、アークはそれによって地に伏した。
「はぁ…はぁ…まぁ、こんなものね」
「フーディン戦闘不能!」
さて、バトルに詳しい人なら解るだろうが、ウルフは非常に不利である。
残っているのはショウロウとエデン。
相手は虫の息のサーナイト、ぴんぴんしている後二匹。
「…ちっ」
ウルフは、その状況に憎憎しげに舌打ちした。

続く
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一匹ウルフ #bak16☆2005.01/13(木)01:24
「…希望は…これだけだな。行け、ショウロウ」
結局ウルフが繰り出したのはショウロウ。
相手のサーナイトは「めいそう」を積み、特殊攻撃は強くなっている。
このままでは普通負ける。
…が、ウルフは普段負けると解ればすぐに降参している。
と、言う事はまだ彼には勝算がある、と言う事である。
「…まだやりますか…それなら…イシュタル!10まんボルト!」
「ショウロウ!なみのり!」

「サーナイト、戦闘不能!」
…一瞬後、倒れたのは…何故かイシュタルの方。
「10まんボルト」を繰り出す間も無く、「なみのり」に当たって戦闘不能に陥っていた。
「…な…一体何故…」
「…せんせいのツメ…持たせるものが無いから持たせておいたのが役に立つなどとは思いもしなかったな…いたた…」
「…くっ!行け!ビート!」
繰り出されたのは先程のヘラクロス…だが。
「いてっ!まきびしが…」
此処に来てエデンが巻いておいた「まきびし」が役に立った。
見事に「まきびし」を踏んづけ、微量だが、確実にダメージを負う。
そして…これを利用しながら戦うのが、ウルフが最も得意とする戦い方である。
「くっ…ビート!メガホーン!」
「おっしゃ、任せてくだせぇ!」
そう威勢良く答え、ショウロウに向かって角を突き出し、突進する。
そして素早くその強力な角での一撃を、ショウロウに確実にヒットさせ、ショウロウは吹っ飛ぶ。
が、すぐにショウロウは起き上がり、ビートに向かって威嚇とばかりに吠え立てる。
その身の毛もよだつ程の凄まじい気迫と吠え声に、流石のビートもたじたじとなり、トレーナーの元に戻ってくる。
「ほえる…ということは…」
「親分…一寸無理でっさ」
結局、吠えられて戻ってきたビートをしぶしぶ戻し、出てきたのはミロカロス。
が、やはりまきびしを踏んでしまう。
「いったー…なんでこんなトコにこんなんがあるん…」
「チェリー!なみのり!」
「ショウロウ、めいそう」
チェリーの「なみのり」はタイプのこともありそれ程効果は発揮されず、逆にショウロウは自分の心を落ち着ける。
「くっ…仕方ない…れいとうビーム!」
「…ねむる」
れいとうビームは間違いなくショウロウに直撃する…が、ショウロウは一気に眠って体力を回復する。
勿論、先程のメガホーンのダメージも一緒に。
「このままだと…もう一回行ってくれ!ビート!」
「戻れショウロウ。エデン…行け」
同時に命令を飛ばす両トレーナー。
出てきたのはヘラクロスとエアームド。勿論ヘラクロスは再度まきびしを踏む。
「…エデン、どくどく」
「くっ…ビート!かわらわり!」
ビートの「かわらわり」はエデンを捉える…が、近づきすぎたためにエデンの放った毒をもろに浴びてしまう。
そして…エデンは持っていた何故か回復効果のある「たべのこし」を少しかじり、体力を少しだけ回復した。
「たべのこし…仕方ない…ビート!アレの準備だ!」
「エデン、ドリルくちばし」
エデンの「ドリルくちばし」はビートに当たり、ビートは吹き飛ぶ…が、更にビートはその一撃を何とか持ちこたえた。
そう…彼の頭に巻かれているハチマキが、彼を戦闘不能から救ったのだった。
「行けっ!カウンター!」
そして…準備していた技…カウンター。
先程の「ドリルくちばし」の勢いはエデンに返った。
その勢いは激しく、エデンはなすすべも無く吹き飛ばされた。
「エアームド、戦闘不能!」
そして、またも形勢逆転…と思われた矢先に、毒が回ってビートは倒れこんだ。
「ヘラクロス、戦闘不能!」
「…結局…スイクンとミロカロスか…」
「…まだ続けるつもりか?」

…彼らはバトルに夢中で気づいていなかった。
彼らのことを物陰でじっと凝視している影に…。

続く…かもしれない
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一匹ウルフ #bak17☆2005.01/19(水)00:25
「めいそう」スイクンにミロカロスで立ち向かう。
そんな辛い状況の中、勝機はただ一つ。
「れいとうビーム」で氷付けにすれば、勝ちも見える。
ショウの唯一の希望。それを託し、指示を出した。
「チェリー!れいとうビーム!」
「氷付け狙いか…ショウロウ、めいそう」
一発目…氷付けにならず、ショウロウは心を落ち着け、瞑想する。
瞑想が長く続くにつれ、ショウロウの特殊攻撃と特殊防御は上がっていく。
更に二発目、三発目…だが、凍らない。
「くっ…まだだ!」
そして、四発、五発…六発目。全て当たるが、ダメージも殆ど無く、更に氷付けにもならない。
そして…
「…ショウロウ、ねむる」
眠って体力を完全回復するショウロウ。
眠っている間は、氷付け状態にもならない。
「…っ…チェリー、じこさいせい」
そして…チェリーはまきびしで奪われた体力を回復する。
更になみのりを一撃叩き込んだが…びくともしない。
そして、遂にショウロウは目を覚ました。
「ショウロウ…なみのり」
そのなみのりは強力だった。
気を高められたショウロウのなみのりは伝説ポケモンと言う名にふさわしい威力を誇っている。
だが、チェリーも水ポケモン、それも特殊攻撃に強い種族であるミロカロス。
何とか耐え切り、自己再生する。
だが…辛すぎる。
相手に殆どダメージを与えられず、氷付けにしてもいつかは溶け、そして「なみのり」で倒されてしまう。
「…ショウロウ、もう一撃」
そして…ショウロウはもう一撃…なみのりを撃つ。
チェリーはまたも耐え切り、じこさいせいする。
「もう一度だ」
更になみのり…そしてそれは、チェリーを吹き飛ばし、近くの木に打ち付けた。
当たり所が悪く、ダメージが大きい。俗に言う急所当たりだ。
「急所か…すまんな。だが…これで終わりだ。最後の一撃だ…ショウロウ、なみのり」
「ちょぉっとまったぁあ!」
なみのりが発射される寸前、突然聞こえる大きな声。
それと同時に、ショウロウとチェリーの間に何かが割り込んできた。
「止まんないよ…!?むぎぇべげごば!!」
そして、謎の悲鳴を上げ、その生き物はなみのりに巻き込まれた。
突然の声に動揺したショウロウのなみのりは標的からはずれ、「それ」だけを巻き込んで流した。チェリーは無事だ。
「!今だチェリー!れいとうビーム!」
油断したショウロウは、真正面からノーガードでれいとうビームを叩き込まれた。
それは急所に当たり、更に…ショウロウは、何とまぁ綺麗な氷像と化した。
「…凍った…あはは…チェリー!なみのり!」
「…ちっ…いてて…」
更になみのりも立て続けに貰うショウロウ。氷像は吹き飛び、木にぶち当たった。急所に入っている。
「おいおいおい…これは…」
「とどめだ!なみのり!」
そしてとどめのなみのりも当たる…ショウロウは、凍りながら意識をどこか遠くに飛ばした。
「スイクン戦闘不能…勝者…ショウ!」
「よっしゃぁあ!」
「あの変なののお陰やな…感謝せな…てか結局何やねんアレ」
チェリーは、その「変なの」に感謝すべく、それが流されていった方向に行ってみる。
そして…居たのはボロ雑巾のようになったマッスグマ。
これは…
「えぇと…こりゃだまっとった方がええね…まぁ、偶然やね、偶然…」
「…お前らの仲間のマッスグマ、か…」
突然後ろから声がする。
そこに居たのは…ルギア。
「…なんでルギアがこんなトコおんねん!」
「今はそれどころでは無い。まぁ、事故だとは思うが…イカサマとは思えんし」
「確かに。まぁ、負けは負けだ。ほら、小判と賞金だ…いたた…」
更に何時の間にか来ていたウルフがマッスグマを確認し、ショウに声をかけ、何かの袋を投げる。
受け取ってみて、中をあけてみる。入っているのは…
「二万円と…やった!お守り小判!有難うございます!」
「まぁ、実際まだパソコンに後一枚預けてあるしな…いたた…」
「しかし…何でポールはいきなり飛び出してきたんやろな…あ」
ポールは、何か口にくわえていた。
それは…あの貴重な「じしん」の技マシン。
これを急いで主人に届けるため、走ってきたら止まらなくなった。そんなところだろう。
「…ポール…良くやった…有難うございます。では、これで俺は…」
「…どうせポケモンセンターに世話になるのだろう。ならば分かれて行っても意味が無い」

…結局、まだウルフとショウの腐れ縁は続くようだ。
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一匹ウルフ #bak18☆2005.01/26(水)01:24
「いやぁ、でもまさか本当に逆転しちゃうとは思いませんでしたよ」
日も暮れ、ここはポケモンセンターの部屋の中。
治療を終えたポケモン達と、そのトレーナーであるウルフとショウが交流している。
アークは既に元気に「オウイェ。オレサマのスプーンは無敵だゼィ」とか言っているし、ショウロウも氷付けから解けて本を読んでいる。
部屋が広いので、彼だけに備わった能力を使って限界である2メートルほどまで縮んだラーフォスも外に出て、読書している。
サティアは同じサーナイトだから気が合うのか、イシュタルと話しているし、ヘラクロスのビートもエデンやリュートと喋っている。
ショウは色々と先程のバトルの感想をウルフと語り合っていた。というかウルフは聞き手に回り、ショウの話をじっと聞いていた。
「しかし…交換のタイミングとか、凄いじゃないですか。ポケモンもよく育てられていますし…」
「まぁ、持久戦の方が得意だからな。お前のポケモン達もよく育っているな。あのマッスグマも…しんそくを覚えているし。見つけるのだけでも至難の技だと聞くが」
「見抜いてたんですか?いやぁ…そうなんですよ。ジグザグママニアの知り合いから三分交渉して貰ったんですよ」
他の子達は苦労したんですけどね、と笑いながら言うショウ。
「そうか…っておいアーク、こんな場所でそれは無茶…」
「スペシャル手力その二ダゼェエ!行くZE☆スプーンモタモルフォーゼ♪タイプマックスボンバァア…チェンジ☆」
突然スプーンを掲げてアークが叫び終わると同時に、スプーンがありふれた形の黒くて丸い爆弾になる。
「待て待て待て待てアホフーディン!そいつを捨てやがれ!てかなんでスプーンが爆弾になるんだよ!」
「こないな所で爆発したらテロやん!早まるのはやめとき!」
「第21回バクダァアン…バリボォオー…ゲェエム!先手は頂だきだZE☆ウルトラミラクルサァアブ!」
爆弾は、そう叫んだアークの手によってバレーボールのごとくサーブされ…向かった先は…イシュタルとサティアの所。
因みに第二十一回とは適当らしい。
「だぁあ!関係ないところに飛ばすなアホ!」
「イシュタル!避けな危ない!」
が…爆弾は空中で静止した。
イシュタルがサイコキネシスで止めたのだ。
そして爆弾は…
「雑魚は…散りなさい!」
アークに向かって投げ返された。
アークはモロに爆弾を鳩尾に受け、爆弾と一緒に窓の所に吹っ飛ぶ。
アークと共にもう一匹吹っ飛んだ気もするが気にしない。
「えぇと…一名様お通り!…なんちて」
そして、冗談を言いながら素早く窓を開けるマッスグマのポール。
アークと爆弾は窓を猛スピードで通過し、見事に外に出て、数秒後、それは花火のように爆発した…が。
「オウイェ。たまやだZE。花火だゼェエ!」
何時の間にか戻ってきたアーク。
結局またスプーンを投げて暴れだした所をイシュタルに頼まれたビートのメガホーンが捕らえ、今度こそアークは気絶した。
…そして、彼らは騒ぎすぎて気づいていなかった。
部屋の中にいるポケモンと人の合計人数が、一人と一匹減っている事に。
一匹はエデン。どうやらアークが吹っ飛んだ時、運悪く巻き添えになって爆弾と一緒に空で爆発した様だ。だが、そのうちドシャ、という音がそう遠く無い音が聞こえてきたので、多分生きている。
そして、一人は…

夜の117番道路。
静まり返り、昼とは全く違う姿を見せるそこに、一人の青年が唯一人、空を見上げて立っている。
それはウルフだった…が、普段は見せぬ、真剣な目つきをしていた。
彼は視線を上から戻し、腰に挿した片刃の剣を抜く。
剣の名は…ワールウィンド。「旋風」の意。
この頭痛が出るまで、この剣も自分と同じで特殊な能力を持っていた。その筈だ。
だが、頭痛が出ると同時に、その能力は掻き消えたように無くなった。
風が吹く。同時に、彼が呟いた。
「…何故…っ!」
突然、激しい痛みに襲われる。
鋭い痛みに頭を抑えながら、彼はポケモンセンターへ戻るべく、歩き出す。
「…終り…か」
そう、呟いて。
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一匹ウルフ #bak19☆2005.01/26(水)01:56
ショウとは、前の話の次の日に別れた。
そして、その別れから既に三ヶ月が過ぎようとしている。
彼らは今、113番道路に居る。エデンの故郷だ。
実はカイナシティから一度アルトマーレ、カントー、ジョウトと回ってきたのだ。
だが、ウルフは相変わらず頭を抱えている。
痛そうだ。物凄く。酷くなっている気もする。
まぁ、結論から行くと頭痛薬は無かった。
アルトマーレにエデンに乗って直行しようとした所無理で、見ず知らずのトレーナー達に助けてもらったりした。
結局、アルトマーレにもカントーにもジョウトにも無かったのだ。
「…ホウエンをもう一度隅から隅まで探すしかないのか…」
「あぁ…此処に来ると色々思い出す…」
「オレサマもだゼ…マイマザーやマイファザーは元気にやってやがるかナァア…」
「…アークも此処出身なの?」
ショウロウがふとアークに問う。
全員の視線がアークに向く。
そう…アークも生まれ故郷不明の怪しい奴なのである。
皆初耳、という事で興味津々である。普段意味不明なアークなので尚更だ。
アークは更に目を細めて、しみじみとした雰囲気を作り出した。
「そうだゼィ…オレサマは…」
「オゥ…そこに居るのは…マサカ…我が愛しのマイサム!?」
突然かかる、アークの声を低くしたような声。
声のするほうを振り返ると、果たしてそこには、アークと親子ほど年の離れた♂のフーディンが。
「マサカ…マイファザー!そうだゼ!オレサマだゼ!アークだゼェエ!」
「オゥ…立派に成長して…私様も感謝感激雨アラレなのダァ…」
とりあえず一人称「私様」を如何にかして欲しいと心の中でツッコミを入れるエデン。
アークとアークの父親と思しきフーディンは、そろいも揃って抱き合って滝のように涙を流している。
数分後、一通り親子の語らいが終わると、突然アークの父親が此方に向き直った。
「マイサムの面倒を見てヴェリヴェリサンクスなのダ。お礼に我が『ムチョカパ王国』へと招待するのDA☆」
アークそっくりのウインクをして、更にアークと同じように親指をぐっと上げる。
本当にそっくりな親子である。
「何処だよその訳わかんねぇ王国は!聞いたことねぇよ!」
「そうなのダ、マイサムアーク!ムチョカパ王国に遂に、遂に『ミチョメン神様』がお帰りになられたんだNA☆」
「オゥ!そりゃヴェリヴェリグッジョッブでバリバリフェイヴァリットだナァア!オレサマもご挨拶しねぇとイケネェエナァア!」
アークの父親とアークは訳の解らない事で大いにはしゃぎ始めた。
聞きなれない単語な上に何故か似非外人口調なので非常に訳がわからない。
そして、アークは高らかに宣言した。
「さぁ、マイフレンド!オレサマの故郷のムチョカパ王国に招待するゼェエ!」
「だからそこ何処だよ!言っている意味がわかんねぇよ!ミチョメン神って誰だよ!コラ!無視か!」
エデンのツッコミは無視された。
そして、エデンは誰かに軽くとん、と手…正しくは前足を乗せられた。
人間で言えば方をぽん、と軽く乗せる行為に当たる。
そしてその前足の主…リュートはエデンに同情の眼差しを向けながらこう言った。
「まぁ、そんな時もあるさ」

続くかもしれない。
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一匹ウルフ #bak20☆2005.01/30(日)01:22
やってきたのは、113番道路から外れた山の中。
そしてその、人間は絶対寄り付かないと思われるくぼ地に、アークの故郷「ムチョカパ王国」はあった。
案内はアークとアークの父親。
途中、すれ違うのはポケモンばかり。ポケモンの楽園…と言った所か。
ただ、一つ…気になる事がある。
アークやアークの父親が通る度に、他のポケモンたちが頭を深々と下げたりするのだ。
アークは「ただいまだZE☆」とか言っていたりする。
で、たどり着いたのは…なんだかよく解らない西洋風の立派な城。
ただ、おかしいのはその色合い。
なんだかマーブル色である。目立ちすぎである。
いや、寧ろここに来るまで見た建物は皆、マーブル色やら何やら個性的な色ばかりだった。
しかも、挨拶は「ヘロゥ」やら「おす」やら「こんにちは赤ちゃん」などよく解らない物ばかり。
先程すれ違った住民には「おはよう、我が子よ」と言われた。
当然エデンはそれ全てにツッコミを入れたが、当然のように無視された。
「此処がオレサマのマイホームだゼ。ゆっくりしてきNA☆」
「その前に、アークの仲間さん達もミチョメン神様に挨拶するのダ」
アークの父親はそういって、つかつかと門の前まで歩いていった。
我々もそれについていく。
門の前には番兵だと思われるカイリキーとチャーレムが居た。
「!国王様!お帰りなさいました!」
「皆に宴の準備をしろと伝えるのDA☆そんでもって私様たちはミチョメン神様にお目にかかりに行くのDA☆」
「了解しました!伝えておきました!」
そう言うと、門番のカイリキーは、急いで城の中に入って行った。
「待て待て待て待て訳わかんねぇよ。何でアイツ必ず全部過去形で喋ってたんだよ。しかも…国王様って何だ国王様って!」
すかさずエデンがツッコミを入れる。
確かに門番のカイリキーは全て過去形で喋っていた。
そして、国王様。
…まさか…とアーク以外の皆がアークの父親に顔を向ける。
「言ってなかったのだ?マイサム。私様はこのムチョカパ王国の国王、ヘチョーナなのだ。そして、アークはこの国の王子なのだ」
「そうだZE☆」
…明るく言い放つ親子とは対照的に、場の空気は凍りつく。
更に、アークの父親は続ける。
「アークの略さない名前はアームンドメルクエルペカスムエクレルクンドイマミルセンタカキルコエウレースミークなのDA。最初のアーとい最後のクを取ってアークなのDA」
「長っ!」
アークの本名にツッコミを入れるエデン。
だが、それも無視され、来たのは…大広間。
「あのお方達こそが、我々の崇める神、ミチョメン神様とそのお付き人様たちなのダァア!」
アークの父親が示した手の先、沢山のポケモンたちがひざまずいて捧げ物を差し出している中心に居たのは…
「…アルトマーレの?」
「…えーと、確かウルフさん?だっけ?」
そこに居たのは、アルトマーレ行きの船で知り合った少女、アイリ。
そして、周りで困惑しているのはそのポケモン達。そして、突然その内のマイナンから声が上がり、同時にエデンも声をあげた。
「あーっ!ツッコミエアームド!」
「テメェは…ナメコ!テメェなんでこんな場所に居やがる!」
「知らないよ!歩いてたらその変なフーディンが連れてたポケモンに皆揃って誘拐されたんだよ!」
「怪力女はどーしたんだよ!そんなもんで怯む奴じゃねぇだろ!」
「そこの変態フーディンにサイコキネシスで取り押さえられたんだよ!格闘はエスパーに弱いって言うじゃん!」
「そりゃそうだがんなもん人間に適応されるかこのバカマイナン!」
「んまぁ!お下品マイナンもお下品エアームドも仮にもレディであるアイリさんになんて事いいますの!」
突然割り込んでくるアイリのエネコロロ、クレセント。
此処から血みどろのツッコミ合戦が始まるのは、つい二ヶ月前は当然だった。
「仮にも鋼タイプの俺をぶっ飛ばすアイツの何処がレディだ!大体全然レディじゃねぇテメェが言うんじゃねぇよ!」
「人間に吹っ飛ばされる駄目エアームドはほっといてあたしはちゃんと上品だよ!アンタなんかより全然マシだし!」
「んまぁ!このクレセント様をバカにするんですの!?下品にも程がありますわ!」
「何でテメェをバカにする事=下品なんだよ!そこら辺を詳しく話しやがれ!」
「その言葉遣いが下品なんだよ!でもホントに何で下品になるんだよ!てか大体なんで割り込んできてんの!?」
「レディがバカにされれば当然ですわ!特にあなた達みたいにお下品な人たちにバカにされるのは屈辱ですわ!」
「テッメェ割り込んできた分際で五月蝿いっての!大体レディの定義ってなんだボケ!」
「あたしが知るかそんなん!アンタ知ってんでしょクレセント!」
「あなた達みたいな低俗な方々に教える義理はありませんわっ!」
「黙れテメ…」
その瞬間、三匹はアイリの手によって吹っ飛ばされていた。
「…黙りな、さっきから聞いてりゃ人の事滅茶苦茶言って…」
…結局、ウルフは頭痛に頭を抱えることになる。

続く。
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一匹ウルフ #bak21★2005.02/02(水)02:20
「拉致ってそれだけ聞くと何かを思い出すわね」
その何かが何かはあえて言わない、だが唐突にそんなことを言い出すショウロウ。
というか、言ったら私が…。
私はまだこの世から消えたくないので却下。
「それは大げさなのではないか?作者よ」
ラーフォスから天の声へツッコミが入る。
「と、言う事はミチョメン神様は本物では無かったのだNA…ショーック!ショックでショックでショックウェーブパルサーなのDA☆」
「他の世界の技名をギャグに使うんじゃねぇ!」
「…私は国王にツッコミを入れる根性に感心する…いたい…」
そしてそのツッコミにウルフのツッコミ。
だが別にナメコエデンクレセントのツッコミコントでは無いので此処で止まる。
と、言うかウルフが頭を抑えてうずくまっている。痛そうだ。
「ったく…勘違いもいい加減にして欲しいよ」
大きくため息を吐き、とりあえず開放された事に安堵するアイリとそのポケモン達。
「…でも、あのまま…貢物をさせておいても…よかったかもしれません…」
「なぁそこのロコン、今何つった?今すげぇ事言ったよな?なぁオイ!」
囁くようなアイリのロコン、ショコラの黒い独り言にも敏感に反応し、ツッコミを入れるエデンの聴力は、恐らく最早神レベルである。
と言うかその前にもう復活したらしい。流石鋼タイプ。
「ミチョメン神様がニセモノだったとはナァア…だがオレサマは諦めねぇZE♪何時か本物を見つけ出してやるゼェエ!そうじゃなけりゃ一人前のキングオブムチョカパにはなれねぇからナァア!」
「そうなの!?」
「そうなのDA☆」
アークにツッコミを入れるリズムへの返答はアークからではなく、その父親から爽やか気味に帰ってきた。
「ならテメェも見つけ出したのかよ!じゃあ何で今此処にいねぇんだよ!」
エデンの最もな矛盾を突いた質問に、アークの父親はアークの如く親指をグッと立てて、ウインクをしながらぬけぬけとほざく。
「一週間餌付けしていなかったら逃げたのDA☆」
「「駄目じゃん!」」
エデンとリズム、二匹の声が重なる。
「随分見ない間に人間っぽくなったからびっくりしていたのDA」
「って人間の姿してんじゃねぇのかよ!?」
「じゃあ何であたしやアイリの事捕まえたんだよ!」
「何となくそんな感じがしたのDA☆野生の勘なのダァア!」
「「そりゃ外れるわ!」」
「そろそ黙った方が良いZE☆イェ♪」
またも見事に重なる二匹の声。
流石にツッコミ同士は気が合うらしい。
だが、此処で諭したのはアイリでもウルフでも、ショウロウでもプラスルのテンポでもサーナイトのジャスミンでもエネコロロのクレセントでもサティアでもリュートでもなく、間違いなくアーク。
「待て待て待て待て食卓の目の前で堂々とスプーンを投げまくってるテメェが言っても全然説得力ねえよ!」
「オゥ、ソイツァ言わないオヤクソク、だZE☆マイヴェストフレンドエデェエン!」
アーク咆哮。だがいつもの事なのでウルフパーティは動じない。驚いて飛び上がりそうになったサティア以外は。
驚いたのはアイリパーティの方。
ジャスミンとショコラは驚いて飛び上がり、リズテンは眼を丸くし、クレセントは「まぁ、何てお下品なんですの!?」と言い、アイリはアークの方を見て「はぁ?」と呆れている。
「今日はアイラヴ殿たちへのオワヴィも兼ねて宴会なのDA☆このムチョカパ王国一の凄惨率を誇る食物『アレ』を出すのダァア!」
アーク父咆哮。やはりウルフパーティは慣れっこ。サティア以外。
と言うか活字でしか解らんギャグなので、ツッコミを入れられないのが現状。
なので何となく私がツッコミを入れてみよう。なんでやねん!
…つまりませんね、ごめんなさい。
そして、その料理は皿に盛られて運ばれてきた。
そして…その皿に乗っかっていた物をみて、まず最初に発せられた言葉はリュートの「マズい…」だった。
続いてショウロウ、エデン、サティアと青ざめる。
「貴様ら…なぜそのような反応をする?」
しかし、ラーフォスは至極普通の顔をしてその『料理』の入った皿と他のウルフパーティのメンバーを見比べていた。
アイリパーティも全員同様の反応を示している。
…が、次の瞬間、ウルフパーティの長を見て、全員(アークと父親を除き)顔に恐怖の色を浮かべた。
何時の間にか席から立ち上がっていた。
俯き、表情は見えない。が、明らかにわかるのはその殺気。
そして、彼の右手に握られている、どちらかと言うと刀に近い形状の、彼の剣…これだけで、危険、と判断できる。
そして更に、何かをぶつぶつ呟いている。
そして…怯えながら声を出したのはリュート。
「何で…こんなもんが此処の名物なんだよ…!」
更に盛られていたのはとある野菜。
問題はその種類と、調理方法。
レタスとかキャベツとかなら問題は無い。
だが盛られているのは「ナス」。
そして調理方法はいたって簡単、「焼くだけ」である。

これが何を意味しているかは、また次に記そうと思う。
続く。もしかしたら後編に(何)
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一匹ウルフ #bak22★2005.02/09(水)23:48
「…これ、どういう事?」
訳が解っていないアイリ達の代表として、プラスルのテンポが近くにいたサティアにたずねる。
だが、答えは返ってこない。
サティアは完全に恐怖で怯えて、声も出せない…といった所か。
かわりに、やはり近くに居たショウロウが応えた。だが、彼女もまた震えていた。
「あ…ウルフはちょっと焼きナスにトラウマが…それで、見たりそれの話を聞いたりすると発狂する事は知ってたけど…こんな事は初めてよ!」
「俺だって知るかよ!とりあえずこのまま此処に居たらどうなるか解ったもんじゃねぇ!」
「何だよそ…」
リズムが何かを言いかけた瞬間、リズムの横を恐ろしい速さの「何か」が駆け抜けた。
そして次の瞬間、吹き飛ばされたのは丁度テンポの隣に居たエデン。
猛烈な勢いで吹き飛び、テーブルに衝突、エデンは崩れ落ちてきたテーブルの下敷きになってしまう。
そして…エデンの居た場所に立って居たのは、紛れもなく、一瞬前には一番離れた席に居て、剣を抜き、突っ立っていたウルフ。
目の前でそんなことをされたテンポは完全に恐怖に竦みながら、恐る恐るアイリに尋ねた。
「ね…ねぇアイリ…み…み…見えた?い…今の…」
「…み…見えてない…そんな…」
「僕知らないよ、僕は何にもしりましぇーん」
「うそ…」
答えを聞き、完全に恐怖に支配されるリズム。そして謎発言のテンポ。
アイリの動体視力は既に化け物並みであり、今まで見えなかったものは無い。
テンポはそれを知っていたので、よけいに驚いていた。
すると…突然、大きな影に覆われた。
影の主はラーフォス。彼は、アイリ達とウルフとの間に立ちふさがった。そして、彼の隣には、リュートが居た。
そして、その合間を縫って、アークが腰を抜かしたムチョカパ王を右腕に、怖さの余りで気絶したサティアを左腕に抱え、そしてサイコパワーで気絶中のエデンをズルズルと引き摺りながら走って来た。
「私とリュートがウルフの奴をくい止める!その内にお前達は城の外に逃げろ!」
「マイフレンドとマイファザーとサティアはオレサマが持ってくZE!」
それを聞き、ムチョカパ城の兵士やらなにやらは一斉に退却し始めた。
どうやら腰抜けの多い国らしい。
残ったのはウルフパーティとアイリパーティ、そしてアークに抱えられたムチョカパ王。
そして、一瞬後、アークは一目散、すたこらさっさと逃げ出した。
引き摺られているエデンは、途中柱などに猛スピードで衝突していた。哀れ。
哀れなエデンは置いておき、今何とかするべきはウルフ。
アイリ達も城の外に出て、これで戦いに集中できる…そう思ったそのとき、ラーフォスは隣に、リュートではない気配を感じる。
「…貴様は…偽ミチョメン神?」
「アイリだよ。あんた達だけじゃ無理だろ?だからあたしも手伝うよ。あたし、これでも強いし」
あっさりとラーフォスの問いは返された。
まぁ、エデンを吹っ飛ばすと言うのだから相当の物だろう。
「…恩にきる」
「…有難う、アイリさん」
「別に、このままだととんでもない事になるし」
アイリの言う事も最もだ。
ウルフは完全に正気を失っている。
本来の冷静な強さは無いにしろ、我を忘れているので性質が悪い。
「防御力の高い私が囮になろう。その間に…貴様らは、これを奴にぶつけるのだ」
そう言ってラーフォスが取り出したのは…何処からどう見ても焼きナス。
だが、それは妙な匂いを発していた。まぁ、簡単に言うと腐っている。
「…ウルフは今、頭痛持ちだ。これをぶつけてトラウマを蘇らせれば、頭痛が酷くなり…もしかしたら止められる…かもしれん」
「ふーん…どんなトラウマか知らないけどね」
「…アレは悲惨だったよなぁ…」
リュートはとりあえずしみじみしている。
その間にも、ウルフは剣を振り回し、あたりを破壊している。
「…よし、作戦決定。行動に移す」
「「了解!」」

ラーフォスはウルフに向かって真正面から突っ込み、アイリとリュートが後ろに回る。
二匹と一人は散開した。と同時に、敵意を感じ取ったのか、単純にも我を忘れたウルフはラーフォスに向かって突っ込んできた。
「…飛べ」
ウルフは、その言葉と共に、ラーフォスを蹴り飛ばす。
ラーフォスは吹き飛び、壁に叩きつけられ、更に壁が崩れて埋もれる。
が、流石にルギア。その程度で気絶する訳が無い。すぐに瓦礫を払いのけ、迎撃体制に入る。
「…これまでだ」
ウルフはラーフォスに一気に近づき、更にラーフォスに剣で追撃する。
太刀筋は我を忘れているので単純、だが、ウルフのスピードは目に見えず、まともに斬撃を受けてしまい、更にその後蹴りを入れられる。
「…まずは一匹…」
とりあえず、ラーフォスだと気づいていないというか何と言うか。焼きナスを見た所為で判断力が欠如しているらしい。
ウルフがラーフォスを倒し、他の二匹を倒そうと後ろを振り向いた…その時!
「「くらえぇえ!焼きナス投下!」」
「もが」
リュートとアイリの投げた腐った焼きナスは思い切りウルフの口に入ってしまう。
…そして、見る見るうちに顔が真っ青になり、頭を抱えて苦しみだし、最終的に、やはり気絶した。
「…はは…やった…」
「て言うかいいの?これ。青くなってるけど」
「…多分大丈夫だろ。ラーフォスも勝手に回復してるだろうし」
そのリュートの言葉と同時に、ラーフォスは「じこさいせい」で回復し、立ち上がった。
「…さて、私達も出ようか」
結局、ウルフはリュートにくわえられて、引き摺られて城の外に出る事になる。
…まぁ、この後彼らは出発する。
頭痛薬を求めて。

どうしようか迷いましたが、アイリさん編完結まで後一話。それまでこのテーマで持ちこたえます。
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書き直す前の物語(#bak1#bak22)を Internet Archive から復元しました。(ほかんこ)
一匹ウルフ #1★2005.05/16(月)00:53
「ぐ…あ…頭が…」
「自業自得だね」
ウルフは頭を抱えて呻き、それに追い討ちをかけるのはアイリ。
とりあえず、ムチョカパ王国に別れを告げたウルフ一行とアイリ一向。
ウルフはつい先程目が覚め、早速頭痛に悩まされている。
しかし、腐ったものを丸々2つも食わされて、胃腸は大丈夫なのだろうか。
「…胃薬で腹が治ったと思ったら…今度は頭か…ぐぅ…」
「それも自業自得だって…」
リズムがツッコミを入れる。
因みにウルフに記憶はまったく無かったらしい。
あれだけ大暴れしておいて、覚えていないとは都合の良い脳だ。
「あの…ウルフさん…ほんとに覚えて…ません…」
「…サティアの言う通り…多分ウルフは覚えてないわ。私の気分と勘だけど」
「確かに…ウルフは今まで焼きナス騒動を起こしても覚えてないと記憶にある」
「ショウロウはともかくラーフォスがまともな事を言うとは槍でも降るんじゃねぇか?」
…ラーフォスは一応冷静であるという設定になっているが、天然の所為で完全に崩れている。
「何を言うエデン。私は何時でもまともだ」
「まともだったら天然発言はしねぇよ」
「ツッコミしかできないアンタに言われたくは無いと思うけどね」
リズムがエデンに突っかかる。
この後の展開は…まぁ、察しので通りであろう。
「テメェ…テメェこそツッコミしかできねぇだろがナメコ!」
「ナメコは味噌汁の具にしても美味いよ!」
「ふんっ!ナメコなんてフォアグラに比べたらチリですわ!」
「待てコラテメェ味噌汁にフォアグラ入れる気か!」
「そんな事やるのはアンタと馬鹿エアームドだけで十分だ!」
「私とその馬鹿を一緒にしないで下さる!?」
「聞いてりゃ馬鹿馬鹿言いやがって!テメェらの方がよっぽど馬鹿だ!」
…まぁ、大体予想通りである。
まったくキリが無い。
「…止めないの?」
テンポがおずおずとアイリに話しかける。
しかし、よく見てみるとアイリはとりあえず鞄の中から何かを取り出していた。
そして、それを、エデン、リズム、クレセントに向かい…振りかぶって…投げたー!
そして更に投げる、投げる。
それはエデン達にヒット。そして…彼らの反応は…。
「痛ぇ!よく解んねぇけど痛ぇ!」
「痛くないけど沢山あたると痛いですわ!痛い!止めなさい!」
「痛い!またモヤっとボール!?痛くないけど痛い!」
そして…しばらくしてモヤっとボールを投げるアイリの手が止まった。
「ちょっと煩い」
一言。しかし十分威圧感がある。
「…ボク、出番ないね」
「オウイェ、まだ一言もしゃべってねぇゼ!」
…中々発言枠の無いアーク、テンポのボケ二人。
「あれって本当に痛いのでしょうか…」
素朴な疑問を抱くのは、アイリのサーナイトのジャスミン。
確かに見た目は痛くなさそうである。
「…燃やしたかった…です…」
…残念そうにそういうショコラ。
というかアイリ以上に怖い、というか黒い。
「ショコラ…怖いよ…」
「…ヌケサクに近い怖さがあるな、このロコン」
リュートとテンポがショコラの発言に引いている。
それを聞いてエデンが震えだした。何かあるのだろうか。
「ヌケサクって?」
「…俺に聞くな…頼むから…思い出したくないから…」
その様子はまさに、恐怖の大王にでも会ったかのような表情。
それだけでその「ヌケサク」の恐ろしさが身にしみたテンポは、それ以上聞くのを止めた。怖いから。
「ウルフ、アンタこれからどうする気?」
「…頭痛薬を…探していく…しらみつぶしに…」
「…あたし達はこれからジョウトに行かなきゃいけないから…これでさよならだね」
「なら、ミチョメンの加護があるように祈ってやるゼェエ!祈りスタアァアト!」
アークはそうシャウトした直後、突然体を反らせて…まぁ、要はブリッジをした。
「ならボクも!祈り!」
そしてテンポもブリッジした。
「このまま30時間過ごすゼェエ!」
「了解!」
「って無理だよそれ!」
平然ととんでもない事を口にするアークとテンポに、リズムがツッコミを入れる。
そして、ジャスミンが不思議そうにアークに質問した。
「睡眠は…どうするんですか?」
「このまま寝るんだゼェエ!」
「オッス!師匠!」
「テンポォオ!巨人の星がオレサマ達を待ってるゼェエ!!」
「はい!甲子園を目指します!」
それを見ていたアイリは、ため息をついた後、自分のポケモンたちにこう言った。
「…じゃ、ウルフ。皆、行くよ…あぁ、後ショコラ、やっちゃって」
「はい!」
それを聞いたショコラは顔を輝かせ…炎を溜めて…。

…アークとテンポの悲鳴は、遠くオーレ地方まで届いたとか、届かなかったとか。

続く
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一匹ウルフ #2★2005.04/10(日)22:03
アイリ一行との別から数日後、引き続き頭痛薬探しに戻っていた一行。
特に行く当ても無い。アルトマーレにも無かったし、ファウンスになんてさらさら行く気にもならないし。
「さて、ウルフは気絶してるし、皆はどうしたい?」
気絶したウルフをつつきながらリュートが皆に問う。
「まぁ、一度故郷に戻ってみたいと言うのはあるな」
「同じくね。捕まえられてオーレに連れて行かれてから焼けた塔には戻ってないし」
「私は…あの…えっと…」
「オレサマはアボガドを喰いに行きたいゼェエ!」
「秘密基地に帰らせろ!いい加減疲れたわ!」
「俺は…一旦食料を補給するのが良いと思うけど。少なくなってきたし」
まぁ、結局意見はばらばら。
どれが誰の意見か当ててみよう。当てても何も無いが。
「じゃあ…皆、消去法でいいよな」
意見を言っていないのと、ほぼ問題外なのはとりあえず別の場所においておく。
と言う訳でアボガドは一人以外全員賛成で却下された。
そういえば濁点多いな…この食べ物。
で、残りは焼けた塔と渦巻き島、そして適当な街。
ここはミナモの近くである。
で、結局、ミナモで食料の補充をすることになった。
「俺の意見無視かよテメェら!」
…その叫びも無視された。というか叫んだ時には皆遠くに行ってしまっていた。哀れ。

で、結局ミナモに着いた訳だが、そこで問題が発生した。
「…って、ウルフが居ないとポケモンセンターの部屋取れないよな」
ウルフは相変わらず気絶中。ショウロウの背中にだらーんと乗せてある。
動く気配もない。
エデンがドリルくちばしでのショック療法を試みたが、起きなかった。
と言うかドリルくちばしを思い切り食らって血も出ないこいつは何者だろう。
ここは既にポケモンセンターの中だが、トレーナーが起きなければジョーイに取り合ってもらえない。
「ジョーイさんに頼んでコイツだけ預かってもらわない?」
…ショウロウの提案には、ウルフのポケモン全員が賛成した。

で、ウルフはジョーイに預けておいてとりあえず復活するまで街をうろつく事にした。
ジョーイはかなり驚いていたが、そんなもの気にせず無理矢理預かってもらった。
で、全員で街の中をうろついている。
スイクンやらルギアやらでかなり目立つ。
リュートを見た瞬間逃げる人も居る。
捕獲しようとモンスターボールを構えてくる奴も居るが、身分証明書…つまりウルフのトレーナーカードを見せれば問題なしである。
…しかし、ウルフ自体全く正体がわからない。もしかしたらこれも偽造とかかもしれない。という不安はポケモン達の中にもあったりはする。
ふと、サティアが何かを発見し、指を差しながら発言した。
「…あの…人が…」
全員サティアの指の向いている方向を見る。
…なるほど、そこには物凄い人だかりが見えた。
別にあそこには店があるわけでもない。
ならば何故、あのような状態なのだろうか。
と、突然あがる一つの声。
「アヒャヒャヒャヒャ!伝説のポケモンがたくさん居るYO!」
…目の前には、いつの間にか一匹のヌケニンが浮いていた。
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一匹ウルフ #3★2005.04/22(金)23:51
「ひぃ!テメェなんで此処に!?」
突然ヌケニンを見て飛びのくエデン。
一体どうしたのかは大体お分かりだろうが、原因は恐らくヌケサクであろう。
彼自身ヌケサクには幾度も痛い目に遭わされている(脅されて自分の部屋を取られるetc)ため、ヌケニン恐怖症になっているところであろう。
そんな所にヌケニンが出てくれば飛びのくのも当たり前と言うものだろう。
閑話休題。
「…エデン、思いっきり失礼だと思うから飛びのくのはやめろ」
とりあえずリュートがエデンを諌めるが、その前に逆にこのヌケニン、エデンの方へ近づいていった。
エデンはそれにあわせてじりじりと
「何DA?そこの小鳥チャンはオイラの事が怖いのKA?」
「来んな!絶対来んな!俺の半径1メートル以内に来んな!」
「アァン?テメーこの抜薔薇様(ロサ・ヌケニーン)のヌケ様にお近づきになりたくないとは、もしやあのハエと同類だNA?」
じりじりエデンを追い詰める。
と言うかエデンは飛んで逃げればいいのでは?とか思うが、ヌケニンも飛べると言うか浮いている事を思い出して欲しい。
「お・お俺は怖くねぇ…俺はエデンだ。エアームドだ。奴は何だ?ヌケニン、そうだ虫タイプだ。まきびしもどくどくももってる。奴なんか怖くねぇ…怖くねーんだぁああぁああ!」
エデンは思いっきりまきびしを撒き散らし、猛毒をヌケニンにぶっ掛けた。
案の定、ヌケニンは猛毒を浴び、ついでに落ちてまきびしまで踏んづけた。
普通のヌケニンならこれで終わるだろうが…まぁ、知る人ぞ知るこのヌケニン、これで終わるような奴ではない。
「気持ちよかったZE☆アヒャヒャン♪」
何事も無かったかのように、復活。
と言うか寧ろうれしがっているような気がするのは気のせいか。
そして、突然シャドーボールを作り出したかと思うと、作り出した暗黒の球体を加工し、剣の形に作り変えてしまった。
何と言うか、無茶苦茶である。
そして、ヌケニンは何となくニヤリ、と笑った…ような気がした。
「小鳥にはお空がお似合いだZE☆」

カッキーン☆

「マイフレェエェエエェエエンド!カァアムバァアアァアアァック!」
快音と共に、エデンは空高く飛んでいった。
アークの耳障り過ぎる絶叫が響く。
他のウルフのポケモン達はというと、サティアはおろおろするばかりだし、ラーフォスは「流石鳥ポケモン。良く飛ぶな」とか言っているし、ショウロウは無関心だし、ついでにリュートはあっけに取られて口をぽかん、と開けている。
「アヒャヒャヒャヒャヒャ!オイラにかかればお前ら全員1ヶ月で倒せちまうZE☆」
「それって全然凄くないわよね」
「アヒャヒャ♪もっと褒めてくれYO!」
ショウロウに的確にツッコミを入れられるが、全く動じないヌケニン。
そんなヌケニンにあっけにとられ、ほぼ呆れ返っているウルフパーティ…いや、呆れていないのが一匹居た。
「オレサマのハイパーウルトラビッグミラクルサンクチュアリトレーニングを受けたマイフレンドエデンを倒すとは…やるじゃねぇかYO。次はアイツの師匠のこのオレサマ、アーク先生が相手ドゥァアアァア!」
「アヒャヒャヒャヒャ!優しくしろYO…!?」
アークとヌケニンが戦闘体制に入ろうとした直後、ヌケニンが突如、大きく吹っ飛ばされた。
そして、ヌケニンを吹っ飛ばしたものは…大きな、四つの鉄の足を持つポケモン、メタグロス。
その後ろにはゲンガーが控えており、上にはテッカニンが居た。
そして、彼らのトレーナーと思しき人物が、後から重い腰を上げるかのようにやってきた。
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一匹ウルフ #4★2005.05/15(日)20:38
「…ってな訳で、お前らのトレーナーにあいたい訳なんだけど…」
「お生憎様。彼なら気絶中よ。最も、誰がそんなネタにしかならない技マシンを欲しがるのかしら?」
ショウロウが如何考えても軽蔑の眼差しとしか思えないような眼差しで先程の男…ブレイカーと、彼の手にある技マシンを見た。
因みに此処はポケモンセンターの中で、ウルフはまだおきて来ていない。
で、先程その技マシンに入っている技を見せてもらったのだが…。
「誰が大道芸用の技なんか使うか!」
エデンが、現在その技を試行中のブレイカーのゲンガー…ゲッケイを指差す。
ゲッケイは回していた。
何を?枡を。
どうやって?傘の上で。
…まぁ、良くあるあの曲芸である。
「因みにボールでもポケモン図鑑でもお手の物だ!」
とか言って、更にポケモン図鑑とモンスターボールを追加する。
「オレサマにピッタシカンカンな技じゃネェエエェェエカァアァアアァアア!」
「馬鹿は黙りなさい」
アークが技マシンに飛びつこうとするが、ショウロウに冷凍ビームで阻止される。
やはり氷付けとなった。どうやって以下略。
多分ショウロウパワーなのだ。自己完結。
「…で、幾らなのd「黙りなさいと言っているの」
…まぁ、とても珍しいルギアの氷像が出来た事は想像するに難くない。
流石はショウロウパワー。てんのめぐみ等敵ではない。
…んな訳ないか。
「…で、あなた達はそれを売りに来ただけ?だったら帰りなさい」
「いや、まだあr「帰りなさい」
ショウロウに凄まれて、とりあえずたじたじになっているブレイカー。
すがるような目でメタグロス…ノバを見る。
するとノバは、如何見ても溜息としか思えない深い息を吐いて、とりあえず次の商品を出そうとした…が。
「…おいブレイカー、この中には大道芸用の技マシンしか無いぞ」
「…マジ?ちゃんと普通の技マシン持ってきたはずなのに?」
「テヘ♪間違えちった♪ヌケちん失敗♪」
ヌケが言葉を終え、周りを見回すと…ブレイカーたちの視線が、自分に集中していた。
「…そんなに見るなYO。恥ずかしいYO」
「…消えろ」
…ヌケは、テッカニンのテッカとノバから、それぞれつばめがえし1000発ずつ貰って倒れた。が、すぐに復活した。
「生きかえっちった♪」
「…馬鹿はほっといて、何とか買ってくれないか?今…金がピンチなんだ。頼む」
「愚問だな。頭痛薬を一刻も早く手に入れたい私に、そんな余裕があると思うか。否、無い。何故なら、我々はこれから買出しに行かなければならないからな」
「頼むから…ヤバイんだよ…俺た…って今の、お前?」
ふと何かに気づき、ショウロウに問う。
当のショウロウは、はぁ…と溜息をついて、自分の隣にいつの間にか立っていた青年…ウルフを見上げた。
「…私がこいつ等のトレーナーだ。貴様等に情けをかけてやっている暇は無いし、逆に私が情けをかけて欲しいくらいだ」
「…ウルフ、何故そんなにそんなにピンピンしてるか、私と今意識があるエデンとサティアとリュートに要点をもらさず教えてくれる?」
「…知らん。寝たらマシになった」
「…ウルフ…頭痛薬を取りに行く必要、無いんじゃないか?」
「…ある。と思う」
「思うじゃねぇ!どれだけ俺らが苦労してると思ってやがんだ!」
「この程度が苦労?嘘をつくな。エデン、お前が今までどれだけ苦労してきたか思い出してみろ。それに比べればこんな事、今までの苦労の0,000000001%にも満たんだろうが」
会話を聞く限り結構元気だろ、とか言うツッコミは受け付けない。
ウルフのポケモン達はウルフに反論する気力を失い、特にエデンは今までに無いくらい暗くなった。
オーラが出ていた。今までとは比べ物にならないほどの。
多分、エデンの周りに草木があったら枯れる。間違いなく枯れる。
「…で…技マシンn「オイラをシカトするなんて、ゆるさねーZE!うぉおぉおぉぉおぉぉおぉ!」
勝手にブレイカーの台詞をさえぎり、ヌケが唐突に気合を入れる。
すると…何とヌケの姿が…かわ…っていない。
単にテッカニンが一匹消えただけである。
唐突に、ヌケが話し出した。
その声には、ヌケのものだけでなくテッカのものが重なり、声が二重に聞こえた。
「…ふぅ。テッカとヌケが合わさってテッカヌケってとこかな…更に!」
そして、テッカヌケが気合を入れると、テッカヌケの周りに黄色い金色のオーラが現れた。
「…コイツがスーパーテッカヌケ…って所だ。テメーラはオイラ様チャンを怒らせた!キレーなお星様になっちまいNA☆」
そして…テッカヌケはシャドーソード…先程の数倍の大きさの物を作り出し、一閃。

バシャコーン!!

…ウルフ達は、ポケモンセンターの天井を突き破り、どこか遠くまで吹っ飛んでいった。
…当然、テッカヌケ…のトレーナーであるブレイカーは、この天井の修理代を払う事になるわけであるが。

続くんじゃないの?
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一匹ウルフ #5★2005.05/15(日)21:33
「…流星の滝か」
ウルフはいち早く起き上がり、周りの風景を見て、ここが何処だかを予測した。
…次に起き上がったのはタフなエデン…だが、此処についた瞬間、大きな溜息を吐いた。
「…どうした?」
「…此処にも思い出があるんだよ。痛くて苦しい思い出が」
「…何の事DA?マイフレンド?」
「…テメーの所為で、あの時こっ酷く叱られたんだよ。覚えてねーのか…ハァ…」
いつの間にか起き上がっていたアークの態度を見て、エデンは再び嘆息をつく。
どうやら相当いやな目を見たらしいが、話してくれないのでどういうことだかは解らない。
「…おしゃべりはそこまでね。誰か来るわよ」
ショウロウの忠告を受け、氷付けになりたくないエデンと、何となく黙ってみたかったアークが黙る。
やってきたのは少年だった。
「…ポケモントレーナー、ですよね」
「…そうだが」
「ぼくはポケピン。バトルして欲しいんだ。ダブルバトルで、2対2で」
「…良いだろう」

「2対2、ダブルバトル!ポケモン交換、道具使用、共に禁止!二匹同時に眠り、氷状態にした者は失格とする…ってまた俺が審判代わりかよ!いい加減板についてきたわ!」
と、エデンの声が洞窟に響き渡る。声もそこそこでかいので審判には丁度良い。
「だーもう!ヤケだクソ!始めェ!」
「行け、ショウロウ、ラーフォス」
「エメラルド!レインボー!GO!」
ウルフ側は筆者が何かを切実に訴えようとしているコンビが前に出、ポケピン側は…。
「レックウザ!?ホウエン地方で空を支配すると言われてるポケモンじゃない!」
「…何だ…お前かホウオウ。確か…100年ぶり、だったか?」
相手のポケモンは、ホウエンの空の神…レックウザ、そして、ジョウトの虹の神…ホウオウ。
「あら、久しぶりねー!元気?まさか人間のポケモンになってるなんて思わなかったわよ!連絡くらいよこしなさいよ」
「…小うるさいのも相変わらずだな…そこのレックウザは彼氏か?」
「あれぇ?天然君もそんなこと気にするんだぁ♪やーねぇ、おねぇさんびっくりしちゃった♪」
「テメェら!ノロケてないでとっとと始めやがれ!」
「「…指示が無い(もん)」」
ホウオウ…レインボーとラーフォスのやり取りにエデンが限界に達し、叫ぶがきっちり反論される。
返す言葉の無いエデンははぁ…とうなだれた。
「先手必勝だ!レインボー!エメラルド!一旦空に!」
その指示を聞き、レインボーとエメラルドは天井の高いこのフロアの天井すれすれにまで飛んだ。
「…空を飛ぶ、か。交代手段が無い今…守るは…無い…仕方ない。ショウロウはめいそう。ラーフォスは…まぁ、待機しておけ」
ショウロウは精神を集中させ気を高め、ラーフォスはその場で避けられるように身構えた。
そして…一瞬後、レインボーとエメラルドは思い切り急降下して突っ込んできた。
標的はどちらもショウロウ。
ショウロウは身構え、そして横っ飛びに避けた…が、ポケピンの指示によりその攻撃はかわせぬものとなった。
「いまだ!レインボー!エメラルド!いつもの技だ!」
二匹のポケモンは急降下しながら照準をショウロウに合わせ…そして、レインボーはかえんほうしゃ、エメラルドははかいこうせんを撃つ。
当然、避けた気で居たショウロウは避けられず、ノーガードで両方の技を叩き込まれる事となった。
「く…まだまだ…」
火炎放射は効果が今一つだった為、戦闘不能には陥らなかったが…大きなダメージを受けた事には変わりなかった。
「あらあら、ルギちゃん…相棒さんバテバテね。そんな事じゃ…ぐっ!」
ラーフォスを挑発しかけたレインボーを冷凍ビームが襲った。
「…気安く…その馬鹿に話しかけないで…」
「コラショウロウ!てめー指示されてねぇのにんなもん撃つな!」
エデンの警告が飛び、ウルフにペナルティが与えられる。
次ペナルティを受ければ即刻、失格である。
そしてショウロウに向かって、レインボーが言葉を吐き捨てた。
「ふん…アンタの先祖はね、この私のご先祖様が生き返してやったの。その恩をアダで返すなんて…駄目な女よねぇ。全く、こんな奴なら生きかえさなきゃ良かったのに…」
「レインボー、それはおれ達が勝ってから言えよな。エメラルド!はかいこうせん!」
破壊光線の照準は、ショウロウに向けられていた。
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一匹ウルフ #6★2005.05/15(日)22:08
「…ちっ」
ウルフが舌打ちする音が響いた。
ショウロウに向かい、今まさに破壊光線が発射されようとしてた。
これを受ければ二対一…ウルフに勝ち目は無い。
そして…破壊光線は発射された。
うなりを上げ、満身創痍のショウロウに向かう。
「…また負けね…足手まといにしかならなかったみたいだけど…」
ショウロウは目を閉じ、自らが倒れる時を、待った。

――轟音が、とどろいた。
砂煙が巻き起こり、それはショウロウに直撃した…かに見えた。
そして…砂煙が晴れ、そこに居たのは…驚いているショウロウ、そして…ショウロウをかばったラーフォスだった。
「…多少…キツイが…何とかなったか…」
「…え…?」
「…呆けるな、ショウロウ。冷凍ビームをレックウザに。ラーフォスは…言うまでも無い。奴に鬱憤をぶちまけてやれ」
そしてラーフォスは身構えて、眼前に居るホウオウに向けて、吐き捨てた。
「…ショウロウは…口煩いし、気紛れだが…お前の様な奴よりは余程良い女だと思う。というか、彼女を傷つける奴は私が許さん…終わりだ」
そして、エアロブラストがレインボーに直撃、先程の冷凍ビームのダメージもあり、レインボーはダウンした。
そして、ショウロウがエメラルドに向かって、挑発気味に言った。
「…ちょっと影薄かったわね、あなた。でも、これで終わりね…氷技は、ドラゴン、飛行、草ポケモンに効果抜群。どういう事だか…お分かりね」
それを聞き、エメラルドはふぅ…と一つ溜息をつくと、重々しく口を開いた。
「…我々の、負けか…レインボーが余計な事を言った事は、私が詫びよう。降参だ」
「…ってちょっと待てよエメラルドぉ、おれ勝つって言っちゃったじゃないか…カッコ悪いって…」
「…勝負が決まっていないのに勝ちと言った者が悪いのだ。反省しておく事だな。ショウロウ、ラーフォス、ご苦労だった。眠って体力を回復しておけ」
ウルフが言い終ると、ショウロウとラーフォスはその場で眠り始めた。
何となく寄り添っているように見えなくも無い…というか、ショウロウがラーフォスの羽を勝手に布団代わりにしている。こういう所から筆者の趣味が伺えると言うものだ。

そして、ショウロウとラーフォスが眠ったまま、ウルフ達は夜を迎えた。
「…うーん…そういえば…水ポケモンが相手に居ると崩れるよなぁ…どうにかなんないかなぁ…」
「…と言うか、そのホウオウの性格を何とかしろ。挑発が過ぎる」
ウルフは、先程からレックウザにべったり引っ付いているレインボーを指差した。
彼女はそれを聞いて機嫌をそこね、反論してきた。
「何よ!人間如きに何がわかるってのよ!アンタみたいな奴、レインボー様が怒れば一発なんだから!覚えてらっしゃいよ!アンタもルギアもスイクンも!キーっ!」
「…カルシウム、不足してんじゃねぇの?この駄目ホウオウ」
「誰が駄目ホウオウよ!」
「テメェに決まってんだろが。ラーフォスに駄目とか言われるくらいだからそりゃ駄目駄目だな。お?じゃあ駄目駄目ホウオウか!駄目駄目ならどくどく喰らっても文句言えねぇなぁ…最近ストレス溜まって胃が痛えんだ」
「オウイェ、ダッメダメダメダメダッメ♪此処におわすは駄目駄目チャン♪だZE☆スーパー手力で矯正してやるかNA!」
「俺もあれは言いすぎだと思った。少しは反省しても良いんじゃないか?俺も少し機嫌が悪いんだ。切り裂くの的になってくれても良いけど…」
「…私…謝らなければ…許しませんよ」
「…さて、その駄目駄目ホウオウの処分をどうするかだが…本来なら中傷されたショウロウが決定すべきだが、生憎今はラーフォスと就寝中だ。私が決定させてもらう…さて、今から流星の滝に突き落として欲しいか?それとも、ここに居る私を含めた私達から総攻撃を受けたいか?それとも…地獄を見るか?」
ウルフパーティからそれぞれの批判が飛ぶ。
と言うかウルフの最後の言葉は何なのだろうか。
それを見てたじろいだレインボーは、小さな声でこういった。
「わ…悪かったわよ…」
「…今回はレインボーの負け、だな」
「…まぁ、良いだろう」

ウルフが、頷きながらそう言った。
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一匹ウルフ #7★2005.05/15(日)22:34
「…さて、帰るか」
「…帰るって、まさか…」
リュートがウルフの言葉に驚いたように言う。
此処はシダケタウン。ウルフ曰く、頭痛がもっと良くなりそうだから来たかったのだそうだ。
「あぁ、直った様だ。だから、120番道路へ帰る」
「…マジか!?ヤッホウ!やっとゆっくり寝られるぜ!」
エデンが飛び跳ねるが、その直後基地に居る「奴」を思い出し、突然黒いオーラをまとって沈み込んでしまった。
「痛みも全く無いのね?」
「あぁ…無い。もう大丈夫だ」
「…念のため…病院に…」
サティアが、すぐ近くにある病院を指差した。
シダケタウンには腕が良いと評判の有名な医者が居て、彼の病院がそこなのだ。
「…まぁ、それも一理あるな。お前達はポケモンセンターで取った部屋で待っていろ」
それだけ言い残し、彼は病院へと近づいていった。

ふと、ウルフは気づいた。
病院の近くで白いワンピースを着た空色の長い髪の毛の少女が、辺りをきょろきょろと見回している。
中々居ない青髪である…と言う事もあったが、それ以上に、彼女が裸足である事に目が行った。
…いくら辺りには草が生えているとは言え、素足で歩くのは珍しすぎる。
年は…16歳ぐらいだろうか。
ふとした興味が沸いて、ウルフは彼女に話しかけてみようとした…が、逆に彼女が此方に気づいて、走りよってきて話しかけてきた。
「あ、すみません…あのー、トクサネシティって…どっちですか?」
「…東のほうだが…まさか、行くつもりではあるまいな。そのままで」
「え、あ、そうですけど…」
…驚く以前に、ウルフは呆れた。
無知なのか、無鉄砲なのか。
まぁ、トクサネの位置を知らない時点で…前者だろう。
「馬鹿か?靴も履いていない奴が?しかも…貴様のその足で?何日かかるか解らんぞ」
「え?そんなに遠いんですか?」
――本格的に無知だ
ウルフは完全に呆れ帰った。
…とりあえず、事情を聞かなければ。
「…聞くが、トクサネに家でもあるのか?」
「いえ…ただ…トクサネにあの有名なトレーナーさんのダイゴさんの家があるって聞いて…ロケットもあるし…ちょっと見てみたいなー…って…」
…とりあえず、家の場所から聞く事に決めた。
「…家は何処だ」
「ルネです」
…足は殆ど汚れていないので、此処まで歩いてきた訳ではないだろう。
となると何処かに泊まっていたか…と、思案をめぐらせる。
…まぁ、此処で立ち話するのが得策でない事は明白である。
「…妙な事はしないから、ちょっとポケモンセンターまで来い…」
「え?って事は、トレーナーなんですか!?うわー…ラッキー!ポケモン、見せてくれますか?お願いします!」
「…見せてやるから、ついて来い…」
ウルフは完全にあきれ返り、少女を連れてポケモンセンターに向かった。
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一匹ウルフ #8★2005.05/15(日)23:28
「…で、病院にもいかずに彼女を連れてきたって訳ね」
先程からショウロウの事をまじまじと観察している少女を横目で見ながら、ショウロウは言った。
ウルフが女性を連れて帰ってきた、と言う事で驚いたばかりだ。
しかもその少女が多少…不思議だという事で更にウルフパーティの興味を引いていた。
「…貴様、名前は?」
「…ミナ、ですけど…えと…あの…この言葉遣い、止めちゃだめ…ですか?ちょっと話しにくくて…」
「構わん」
「ふぅ…よかったぁ…看護婦さんたちは許してくれたけど、きみが許してくれなかったらどうしようかなぁ…ってちょっと不安だったの!」
唐突に少女…ミナの口調が変わったので、エデン辺りは多少驚いた…が、ウルフはこんなものだろう、という顔をしている。
「…さて、貴様…今まで居た所は…貴様の匂いからすると…」
「…病院、ね。しかもずっと病院に居たから、体に匂いが染み付いてるわよ」
「…ばれちゃった?前買ってきた服に着替えてきたんだけどなぁ…でも…そんなに染み付いてるかなぁ…」
ミナは少しワンピースをつまみ上げ、自分で匂いをかいでみた。
「…やっぱり私には解んないな…でも解っちゃうなんて、すごいね!」
少女は笑顔を見せて、そう言った。
「…別に凄くないわよ。コイツは凄いかもしれないけど、全身大火傷で全治3日だから、そうでもないわね」
「…え−!?三日?全身火傷して?すっごーい!」
そして…彼女は少し顔をうつむけて、寂しそうな表情で続けた。
「…私は…もう8年も病院にいるのに…羨ましいな…」
「…8年…ですって…?」
ショウロウだけではなく、ウルフ以外の全員が驚きを隠せない様だった。
ただ一人、ウルフだけは表情を変えずに話を聞いていた。
「…私…生まれつき体、弱くて…それで…8年前…前に私が通ってた病院のお医者さんに…このまま外に出ていれば危険だ…って言われて…それから…たまに外に出してもらえる位で…この服も…外に出してもらった時に買ったんだ…」
そして、更に彼女は続けた。
「でも、もう一寸で外に出ても良いよ、って此処のお医者さんが言って…待ちきれなくて…出てきちゃった」
「…今頃病院に戻っても駄目でしょうね…一緒に家まで連れて行ってあげたら?」
ショウロウが、多少ちらりとウルフを見る。
全員の視線がウルフに集中した。
…それに耐え切れなくなった…と見えるウルフは、仕方なさそうに答えた。
「…まぁいい。連れて行ってやる」
「やったぁ!あ、そうだ…この子、紹介しなくちゃ…チリーン!」
「ってポケモン持ってるのかよ!」
そして彼女の手から放たれたボールから出てきたのは…よく居るチリーンだった。
「うーん…ひっさしぶりに外に出られたわよね。すっきり爽やか…だと思ったら何このエアームド。すっごい邪魔!」
「誰が邪魔だコラぁ!テメェこの風鈴が!テメェこそリンリンリンリン鳴きやがって!邪魔過ぎだわ!」
「あぁん!?あたしとやるっての?いいわよ、かかってきなさいよ!」
「テメェ、風鈴如きに先制とる必要もねぇよ!そら、リンリンリンリンなってみやがれってんだ!」
「くっそムカツク…だぁああぁぁああぁああぁああぁぁっ!!」
…チリーンの叫びは超音波となり、この部屋に居たミナ以外全員の耳を直撃した。
「…随分ワイルドな性格のチリーンだな…」
「…なぁ、ウルフ…コイツも一緒に来るんだよな…あはは…」
伸びたエデンの下じきになったウルフとリュートが、つぶやいた。

「あっはは!エデン、アンタ意外と苦労してるわねぇ!邪魔だとか言って悪かったわね、ホント、アンタとは気が合いそうだよ!」
「いやー、俺の苦労を解ってくれるとは、中々良い奴じゃねぇか!なぁ、お前!」
その夜、いともあっさりエデンとチリーンは打ち解けていた。
何故か馬鹿騒ぎしているウルフパーティ。
そんな中に居る、新入りのミナとチリーン。
しかし…ミナはある事に気がついていた。
…ウルフが、居ない事に。

ミナは、一人でこっそりと、ポケモンセンターの外に出た。
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一匹ウルフ #9★2005.05/16(月)00:43
夜に、外に出た事は無かった。
危険だとか、色々な事は聞いていた。
でも、何となく、探さなければいけないような気がしたのだ。
水色の髪と瞳を持った少女…ミナは、夜のシダケタウンに出た。

辺りは暗く、家々には明かりがついていなかった。
明かりがついているのはポケモンセンターだけ。
それは、もう夜遅いことを示していた。
確か、ポケモンセンターの時計は11時を示していた筈。
「…こんな時間に…何だろ…」
シダケタウンはそう広くない上、殆どが草原なため、見つけることは容易いだろう。

少し探したが、町の表には居ない…という事は屋内か、シダケタウンの外の117番道路か。
少し悩んだ結果、117番道路に出てみる事にした。

「ウルフー?いないのー?」
暗い道路に、ミナの声が響く。
声は闇に吸い込まれるように消えていく。
暫く待ってみたが、返事は無い。
「居ないのかな…」
そういえば、ウルフの服は黒くて見えにくい事に気がついた。
多分、ウルフはここにいるだろう。
ポケモンセンターには居なかったし。
もう一寸、進んでみる事にした。

暫くすると、誰かが、独りで立っていた。
長い髪、特徴的な民族服。
…ウルフしか居ない。
…だが、様子が少し変だった。
横の木に、手をついている。
「ウルフ!ここにいたんだ…どうしたの?」
走りよって、彼の手をつかんで連れて行こうとした…が、その手は、彼の手によって払われた。
「…私に…触るな…」
「え?何で…」
彼女が言いかけて、もう一回彼腕をつかもうとしか瞬間…彼は、唐突に崩れるようにしゃがみこんだ。
「…ちっ…ゲホッ…」
「って、大丈夫!?ねえ…」
彼の横に回り、彼の顔を見た。
彼は、手で口を覆っていた。
そして、その指の隙間から、何か…この暗闇では黒く見える液体が流れ落ちていた。
「え?…これって…血!?大丈夫なの…?ねぇ!」
しかし、彼はミナが差し伸べる手を払いのけ、よろよろと立ち上がりながら、途切れ途切れにこう言った。
「私は…人の…にん…げん…の…手は…借りん…」
「そんな…このままじゃ、ウルフが…死んじゃうよ…」
ウルフは、数歩ヨロヨロと歩き、そのままそこに倒れた。
ミナは、頬を伝う涙を拭おうともせず、ウルフの横に駆け寄った。
「…駄目だよ…お医者さんに見てもらおうよ…ねぇ…」
しかし…ウルフは、朦朧とした意識の中、何かを決心して、こう言った。
「無駄…だ…。私は…貴様等…人間とは…違う…何故なら…私は…人間…では…な…い…から…」
そう言って、彼は意識を失った。
…そして、それと同時に、前髪に隠れていた彼の額が露になった。
…彼の左眉の上には、暗緑色の光を放つ、竜をかたどった痣があった。

…ここは、120番道路。
ミナによってウルフの病状が、ポケモン達に伝えられた。
彼らは全員絶句し、中には絶望の表情を見せる者も居た。
「…ミナ…すまない…お前だけは私達が、家に送って…」
「…いい。決めたから」
ミナが、ラーフォスの言葉を遮った。
そのミナの顔を、ウルフのポケモン全員が見た。
…その目は、強い意思を持つ、一人の少女の目だった。
「私が、ウルフを助ける。絶対に」

…一つのハタ迷惑な旅は終わり、一つの旅が、また…。

第一部 極めてハタ迷惑な旅 完結
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一匹ウルフ #10★2005.05/16(月)00:44
新地。
終わっちゃいましたね。どうしましょう。ここ(ぁ)
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一匹ウルフ #11★2005.05/16(月)00:44
2部はシリアス(ぁ)

という訳で、ここもまた新地です。
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一匹ウルフ #12★2005.05/16(月)00:46
新地。
ここに書いてあった留守番ポケ達ですが、おそらくそのうちまた出てきます。
…って出番が無かったので2部に。
他に出番が二部に回る方は…どうでしょうね(ぁ)
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一匹ウルフ #13★2005.05/16(月)00:47
リサイクル。
22個もあればまだまだ結構これで行けました。

区切りがついたので変えます。
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一匹ウルフ #14★2005.05/16(月)00:48
リサイクル。
今までのリクキャラも再登場しませんでした(駄)

まぁ、二部ではどうか知りませんが。
再リクエストするならどうぞ(ぁ)
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一匹ウルフ #15★2005.03/10(木)02:04
とりあえずリサイクル。
このサイトも容量ピンチなので。
まぁ、頑張ります(何)
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一匹ウルフ #16★2005.03/10(木)02:02
小説掲載予定地。
またはリサイクル用新地。
もしくは再利用用新地。
好きな様にお呼び下さい(ぇ)
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一匹ウルフ #17★2005.03/10(木)02:01
リサイクル用。
ここまで来るかは謎です。
それにしても長続きしますね(何)
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一匹ウルフ #18★2005.03/10(木)02:00
勿体無いので再利用。
容量少ないので再利用。
新地とかいて「さらち」と読みます。
という訳でリサイクル用新地です。
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一匹ウルフ #19★2005.03/10(木)01:59
リサイクル用新地。
ここに物語が書き込まれます。
ひと段落着いたら新テーマ立てる可能性も否定できません。
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一匹ウルフ #20★2005.03/10(木)01:58
リサイクル用新地。
ここに物語が再び書き込まれます。
…おそらく
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一匹ウルフ #21★2005.03/10(木)01:56
再利用。
リサイクルでも可だと思われます。
とりあえず使うかはわかりません(ぇ)
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一匹ウルフ #22★2005.03/10(木)01:55
もったいないので再利用。
地球に優しいのです(何)
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