ぴくの〜ほかんこ

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[60] 蜃気楼(しんきろう)の鏡

ポヨイン #1★2005.03/30(水)19:20
「はじめに」
この話はアニメのアドジェネにある、ミラージュ王国のお話を
ミラージュサイドから、しかもポヨの偏見で
書いたお話です。
また、ハンゾウがただの悪役ではないことになっております。
「死」の表現も少なからず有ります。苦手な方は引き返して下さい。

難しい言葉も使うので、分からない言葉がある場合は
感想の方へ書いてください。本文で説明いたします。

第1話「摂政(せっしょう)」

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「摂政殿、朝議が始まります。『これ』の始末は私が」
「ああ、証拠は残さぬようにな」

頷いた十六、七歳頃の文官―名をメノウと言う―は、『これ』、すなわち『摂政』ハンゾウ・クロスの
政敵の毒殺死体―を処理し始めた。

(毒瓶は割れた食器と一緒に片付けて、コイツの死体は…ん?)
見ると、死体の胸元に、メモが挟んであった。

『現摂政、ハンゾウ・クロスは王位への野心があり、もはや許して置けぬ。
 私、***(死人の名前)はミラージュ宮殿の近衛兵を指揮する立場 の故、密勅を得てハンゾウを誅殺せんとす!同志よ!集いて
 このミラージュ王国の国難の危機を救おうではないか!』

*************************

メノウは諸々の証拠の始末を全て終えると、ハンゾウの元へ向かい、
メモを渡した。

「水際阻止か…。良くやった」
「お褒め頂いて有難う御座います」

しかし、メノウの中には疑問が頭をもたげ始めていた。
(…***殿はこれまでミラージュの危機を何度も救ってきた
 功臣ではないか。…摂政殿は何故王位を狙うのだ?)

メノウ。
彼はミラージュ王国の都に生まれ育った人間だ。
蜃気楼の向うにあるといわれるトゲピーの楽園の話は
子守唄のように聞かされている。

何十年も前、この国が隣国の硝子(ガラス)国に攻められた
時、トゲピー達が不思議な力で国を守ったと言われる。

上司のハンゾウ・クロスは元は仕立屋の息子で、父は硝子国との戦いで殺され、母も、それ以前に病死している。それ以後、残されたツチニンたちと浮浪児のような生活をしていたらしい。

そこをちょうどさる貴族が見つけて不憫に思い、『衣食住は保証する』と言って召使(身の回りの雑用)にした。

先輩たちにしごかれ、時にはイジメまがいのことまでされたらしい。
だが、あるとき『主人』の政策に横から口を出して、
結果ハンゾウの政策が成功を収めた。
これを切っ掛けに、文官に抜擢され才能と
―時に謀略を駆使して―
摂政にのぼりつめた。

(まさか…摂政殿は…トゲピーを…)

第2話「よそおい」へ
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ポヨイン #bak2☆2003.11/05(水)19:26
第2話「よそおい」
(………)
宮廷内に入り込んだ一人の衛兵。
(…今日こそ…ハンゾウの首を…!)

「誰だ!」

(見つかった!こうなったら…)
「行けっ!トサキント、カクレオン!」
「ダブルバトルか…ヨマワル、ハンテール!」

*************************
「ハンテール、みずのはどう!」
「え……!」
みずのはどうは衛兵の胸元に当たった。
しかも、
衛兵の胸元は。
―明らかに女の物だった。
「くそっ!おのれハンz…!」
「私はハンゾウではない。文官のメノウだ」

衛兵―実は女―は驚いてメノウの顔を見た。
仇の顔ではない。

「私の名はエメラルドと言う!さらば!」

****************************
「エメラルド…?どこかで…」
「メノウ…あったような…」

第3話「回想」へ
ログ飛びでデータがおかしくなっています…。
#bak2 のデータを整形しました。(ほかんこ)
ポヨイン #3☆2003.11/07(金)21:07
第3話「思想」
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(エメラルド…?どこかで…)
(メノウ?…あったような…)
**********
エメラルドは誰にも見つからずに門の外まで戻った。
「ハァハァ…。」

(あっ!そうだ、アイツは…幼馴染の!)
**************

―確か十四の時だったっけ…あの日叔父上の上司が変死して… いや、叔父上の言うには『殺されて』―

『###(名前は忘れた)殿は殺されんだ…!ハンゾウの奴に…!』

―そして、七日後叔父上は自殺した。叔母上と三つの従弟を遺して。
 ハンゾウが叔父上の上司の後釜、つまり摂政についたと王国側から発 表されたのも―

『エメラルド、女だとばれたらあなたは殺される!』

―十六の時、(この小説ではミラージュ王国は十六歳が成人です)
 あたしは男装して宮廷内の衛兵に志願し、ハンゾウを殺すという
 計画を立てた。両親も、叔母上も、従弟もみーんな反対してたけど
 それを振り切って叔父上の形見の短剣とポケモンを隠し持って
 宮廷に入った。メノウがハンゾウの側近として宮廷にいると
 いうことを、風の噂で聞いたがまさか本当だったなんて―
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第4話「廃王子」へ
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ポヨイン #4★2004.09/24(金)21:14
第4話「廃王子」
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チチウエ…?
ハハウエ…?

皆真っ黒焦げ…。


はっ!!
またあの夢か…
我が祖国が滅びた時の悪夢…。

やはり…私はこの国を滅ぼさなくてはならない。
硝子国の王太子として。
「のう、ヌケニン、テッカニンよ」


***********
ミラージュ国立図書館。
「すみませんが、二階へ上がれさせてもらえませんか?」
「申し訳御座いません、二階へは一般の方の入場は禁止させて
 頂いております」
「なら、いくらでも。どうしても調べたいことがあるので」
メノウは財布の中からいくらか金貨を取り出した。
「…こ、これは!!よいでしょう」

***********
「ミラージュ王国極秘正史」
〔持ち出し禁止〕〔国家機密事項〕の
二つのラベルがはってある本を、メノウは棚から取り出した。

「極秘…国家機密…きっと子供達の歴史の教科書には
 絶対に書けないことが書いてあるんじゃ…」

やがて、メノウは衝撃的な記述を見つけた。

〔(年代は今より40年前のことと思ってください)
 王国軍、硝子国に侵攻、これを破る。
 硝子国、滅亡〕

(………!確か歴史の教科書には
 硝子国側が攻め込んで…それを王国が守り抜き、
 以後硝子国は衰退の一途を辿り、遂に同年
 他国に攻め滅ぼされると有ったはず!王国側は
 美談を捏造し、子供に嘘を教えていたんだ…!)

―とんでもないことを知ってしまった―

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第5話「真実」へ
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ポヨイン #5☆2005.03/28(月)21:38
第5話「真実」

それは、今から40年ほど前のこと―。

ゴオォ…。
硝子国の王都が炎を上げている。

「父上も、母上も、早くお逃げください!」

「駄目だ!この国はもう終わりだ!ハ…ゾ…!お前はどこか別の土地で静かに暮らしてくれ!!
 頼むぞ!」

「…ン…ウ…。これが父と母の形見のツチニンです」

硝子国王妃―今は汚いボロを身に纏っているその女が、
十にも満たないであろう少年にモンスターボールを三つ渡した。

「いたぞーっ!硝子国王とその妃っ!」

「!」

ボォッと言う音がして、王と王妃は瞬く間に炎に包まれた。

「…。あなたは、生きて生きて生き延びて…ゾウ。…ンゾウ。ハン…ゾウ!」

少年―ハンゾウは走り出した。

「待て―ッ!逃がすかーッ!貴様、硝子国王太子だろう!」

ミラージュ王国軍の兵の怒号が耳に入ってきた。
ハンゾウはサッと瓦礫の中に身をうずめた。



「…僕と同じくらいの子?」

焼け跡の民家の前に、
ハンゾウと同い年ぐらいの少年の亡骸が転がっていた。
顔もそっくりだ。
どうやらミラージュ王国軍に焼き殺されたようだ。

少年を一旦無視して、民家の中へ入る。

「…!」
女の亡骸。
多分、さっきの少年の母親。
自分の母親と同じ事を考えたのだろう。

―あなたは、生きて生きて生き延びて…ゾウ。
  …ンゾウ。ハン…ゾウ!―

考えるより先に手が出た。
ハンゾウはこの頃から手を出す前に考えるタイプであった。
だが、今日は違った。

だって、自分の生命がかかっているんだもの。

少年の亡骸の焼け焦げてボロボロの服を脱がせ、
自分の綺麗な服を着せる。

そして、自分―王太子の服を着た少年の亡骸を、向こうの炎へ投げ込んだ。

これで、『硝子国王太子・ハンゾウ・クオーツ』は『焼死』した
ことになる。

その後は、七日がかりで―ミラージュ王国軍とは別の道を通り―
ミラージュ王国へ向かった。

―血統を絶やす!―
―我等の国を滅ぼしたミラージュの王族を!―

―父上、母上、私はミラージュを踏み台に硝子国をこの大地によみがえらせて見せます!―



ミラージュ王国の都。
「ぐすん…ひっく…」
彼は、足元で三つのモンスターボールを転がした。

「どうした?」
男が声をかけてきた。
ミラージュ王国の貴族だ。

「僕は…仕立屋の子供です…この前の戦争で…お父さんは硝子国の兵隊
にやられて死にました。…お母さんも、そのずっと前に病気で…今の僕には…このツチニンたちしか…」

「そうか。それは不憫な。丁度うちの召使が一人花嫁修行してたのが結婚でやめてな。身の回りの雑用をするだけでいい。衣食住は保証する」

「はい」
「お前の名前は?」
―思いつかなったので、下の名前は本名で。
「ハンゾウ…クロス」
「ハンゾウ!?硝子国の王太子?」
ギクッ。

「…なーんてなぁ。ほら、本物はあそこだ」
顔を見上げると。そこには。
自分の両親と。あの少年。それぞれ
『硝子国王:リオン・クオーツ』
『王妃:ミア・キアリ』
『王太子:ハンゾウ・クオーツ』
とあった。

石が、たくさん投げ込まれていた。


先輩たちにしごかれ、酷い時にはイジメまがいのことまでされた。

だが、あるとき、『主人』の政策に横から口を出して、その政策が
成功を収めた。
これを切っ掛けに、文官に抜擢され才能と―時に謀略を駆使して―
摂政にのぼりつめた。

全ては、ミラージュの滅亡と硝子の復興のために。


第6話『王妃』へ
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[60]

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