ポヨイン | #1★2005.03/30(水)19:20 |
---|
「はじめに」 この話はアニメのアドジェネにある、ミラージュ王国のお話を ミラージュサイドから、しかもポヨの偏見で 書いたお話です。 また、ハンゾウがただの悪役ではないことになっております。 「死」の表現も少なからず有ります。苦手な方は引き返して下さい。 難しい言葉も使うので、分からない言葉がある場合は 感想の方へ書いてください。本文で説明いたします。 第1話「摂政(せっしょう)」 =========================== 「摂政殿、朝議が始まります。『これ』の始末は私が」 「ああ、証拠は残さぬようにな」 頷いた十六、七歳頃の文官―名をメノウと言う―は、『これ』、すなわち『摂政』ハンゾウ・クロスの 政敵の毒殺死体―を処理し始めた。 (毒瓶は割れた食器と一緒に片付けて、コイツの死体は…ん?) 見ると、死体の胸元に、メモが挟んであった。 『現摂政、ハンゾウ・クロスは王位への野心があり、もはや許して置けぬ。 私、***(死人の名前)はミラージュ宮殿の近衛兵を指揮する立場 の故、密勅を得てハンゾウを誅殺せんとす!同志よ!集いて このミラージュ王国の国難の危機を救おうではないか!』 ************************* メノウは諸々の証拠の始末を全て終えると、ハンゾウの元へ向かい、 メモを渡した。 「水際阻止か…。良くやった」 「お褒め頂いて有難う御座います」 しかし、メノウの中には疑問が頭をもたげ始めていた。 (…***殿はこれまでミラージュの危機を何度も救ってきた 功臣ではないか。…摂政殿は何故王位を狙うのだ?) メノウ。 彼はミラージュ王国の都に生まれ育った人間だ。 蜃気楼の向うにあるといわれるトゲピーの楽園の話は 子守唄のように聞かされている。 何十年も前、この国が隣国の硝子(ガラス)国に攻められた 時、トゲピー達が不思議な力で国を守ったと言われる。 上司のハンゾウ・クロスは元は仕立屋の息子で、父は硝子国との戦いで殺され、母も、それ以前に病死している。それ以後、残されたツチニンたちと浮浪児のような生活をしていたらしい。 そこをちょうどさる貴族が見つけて不憫に思い、『衣食住は保証する』と言って召使(身の回りの雑用)にした。 先輩たちにしごかれ、時にはイジメまがいのことまでされたらしい。 だが、あるとき『主人』の政策に横から口を出して、 結果ハンゾウの政策が成功を収めた。 これを切っ掛けに、文官に抜擢され才能と ―時に謀略を駆使して― 摂政にのぼりつめた。 (まさか…摂政殿は…トゲピーを…) 第2話「よそおい」へ |
ポヨイン | #bak2☆2003.11/05(水)19:26 |
---|
第2話「よそおい」 (………) 宮廷内に入り込んだ一人の衛兵。 (…今日こそ…ハンゾウの首を…!) 「誰だ!」 (見つかった!こうなったら…) 「行けっ!トサキント、カクレオン!」 「ダブルバトルか…ヨマワル、ハンテール!」 ************************* 「ハンテール、みずのはどう!」 「え……!」 みずのはどうは衛兵の胸元に当たった。 しかも、 衛兵の胸元は。 ―明らかに女の物だった。 「くそっ!おのれハンz…!」 「私はハンゾウではない。文官のメノウだ」 衛兵―実は女―は驚いてメノウの顔を見た。 仇の顔ではない。 「私の名はエメラルドと言う!さらば!」 **************************** 「エメラルド…?どこかで…」 「メノウ…あったような…」 第3話「回想」へ |
ポヨイン | #3☆2003.11/07(金)21:07 |
---|
第3話「思想」 ======================== (エメラルド…?どこかで…) (メノウ?…あったような…) ********** エメラルドは誰にも見つからずに門の外まで戻った。 「ハァハァ…。」 (あっ!そうだ、アイツは…幼馴染の!) ************** ―確か十四の時だったっけ…あの日叔父上の上司が変死して… いや、叔父上の言うには『殺されて』― 『###(名前は忘れた)殿は殺されんだ…!ハンゾウの奴に…!』 ―そして、七日後叔父上は自殺した。叔母上と三つの従弟を遺して。 ハンゾウが叔父上の上司の後釜、つまり摂政についたと王国側から発 表されたのも― 『エメラルド、女だとばれたらあなたは殺される!』 ―十六の時、(この小説ではミラージュ王国は十六歳が成人です) あたしは男装して宮廷内の衛兵に志願し、ハンゾウを殺すという 計画を立てた。両親も、叔母上も、従弟もみーんな反対してたけど それを振り切って叔父上の形見の短剣とポケモンを隠し持って 宮廷に入った。メノウがハンゾウの側近として宮廷にいると いうことを、風の噂で聞いたがまさか本当だったなんて― ============================= 第4話「廃王子」へ |
ポヨイン | #4★2004.09/24(金)21:14 |
---|
第4話「廃王子」 =================== チチウエ…? ハハウエ…? 皆真っ黒焦げ…。 はっ!! またあの夢か… 我が祖国が滅びた時の悪夢…。 やはり…私はこの国を滅ぼさなくてはならない。 硝子国の王太子として。 「のう、ヌケニン、テッカニンよ」 *********** ミラージュ国立図書館。 「すみませんが、二階へ上がれさせてもらえませんか?」 「申し訳御座いません、二階へは一般の方の入場は禁止させて 頂いております」 「なら、いくらでも。どうしても調べたいことがあるので」 メノウは財布の中からいくらか金貨を取り出した。 「…こ、これは!!よいでしょう」 *********** 「ミラージュ王国極秘正史」 〔持ち出し禁止〕〔国家機密事項〕の 二つのラベルがはってある本を、メノウは棚から取り出した。 「極秘…国家機密…きっと子供達の歴史の教科書には 絶対に書けないことが書いてあるんじゃ…」 やがて、メノウは衝撃的な記述を見つけた。 〔(年代は今より40年前のことと思ってください) 王国軍、硝子国に侵攻、これを破る。 硝子国、滅亡〕 (………!確か歴史の教科書には 硝子国側が攻め込んで…それを王国が守り抜き、 以後硝子国は衰退の一途を辿り、遂に同年 他国に攻め滅ぼされると有ったはず!王国側は 美談を捏造し、子供に嘘を教えていたんだ…!) ―とんでもないことを知ってしまった― ===================== 第5話「真実」へ |
ポヨイン | #5☆2005.03/28(月)21:38 |
---|
第5話「真実」 それは、今から40年ほど前のこと―。 ゴオォ…。 硝子国の王都が炎を上げている。 「父上も、母上も、早くお逃げください!」 「駄目だ!この国はもう終わりだ!ハ…ゾ…!お前はどこか別の土地で静かに暮らしてくれ!! 頼むぞ!」 「…ン…ウ…。これが父と母の形見のツチニンです」 硝子国王妃―今は汚いボロを身に纏っているその女が、 十にも満たないであろう少年にモンスターボールを三つ渡した。 「いたぞーっ!硝子国王とその妃っ!」 「!」 ボォッと言う音がして、王と王妃は瞬く間に炎に包まれた。 「…。あなたは、生きて生きて生き延びて…ゾウ。…ンゾウ。ハン…ゾウ!」 少年―ハンゾウは走り出した。 「待て―ッ!逃がすかーッ!貴様、硝子国王太子だろう!」 ミラージュ王国軍の兵の怒号が耳に入ってきた。 ハンゾウはサッと瓦礫の中に身をうずめた。 * 「…僕と同じくらいの子?」 焼け跡の民家の前に、 ハンゾウと同い年ぐらいの少年の亡骸が転がっていた。 顔もそっくりだ。 どうやらミラージュ王国軍に焼き殺されたようだ。 少年を一旦無視して、民家の中へ入る。 「…!」 女の亡骸。 多分、さっきの少年の母親。 自分の母親と同じ事を考えたのだろう。 ―あなたは、生きて生きて生き延びて…ゾウ。 …ンゾウ。ハン…ゾウ!― 考えるより先に手が出た。 ハンゾウはこの頃から手を出す前に考えるタイプであった。 だが、今日は違った。 だって、自分の生命がかかっているんだもの。 少年の亡骸の焼け焦げてボロボロの服を脱がせ、 自分の綺麗な服を着せる。 そして、自分―王太子の服を着た少年の亡骸を、向こうの炎へ投げ込んだ。 これで、『硝子国王太子・ハンゾウ・クオーツ』は『焼死』した ことになる。 その後は、七日がかりで―ミラージュ王国軍とは別の道を通り― ミラージュ王国へ向かった。 ―血統を絶やす!― ―我等の国を滅ぼしたミラージュの王族を!― ―父上、母上、私はミラージュを踏み台に硝子国をこの大地によみがえらせて見せます!― * ミラージュ王国の都。 「ぐすん…ひっく…」 彼は、足元で三つのモンスターボールを転がした。 「どうした?」 男が声をかけてきた。 ミラージュ王国の貴族だ。 「僕は…仕立屋の子供です…この前の戦争で…お父さんは硝子国の兵隊 にやられて死にました。…お母さんも、そのずっと前に病気で…今の僕には…このツチニンたちしか…」 「そうか。それは不憫な。丁度うちの召使が一人花嫁修行してたのが結婚でやめてな。身の回りの雑用をするだけでいい。衣食住は保証する」 「はい」 「お前の名前は?」 ―思いつかなったので、下の名前は本名で。 「ハンゾウ…クロス」 「ハンゾウ!?硝子国の王太子?」 ギクッ。 「…なーんてなぁ。ほら、本物はあそこだ」 顔を見上げると。そこには。 自分の両親と。あの少年。それぞれ 『硝子国王:リオン・クオーツ』 『王妃:ミア・キアリ』 『王太子:ハンゾウ・クオーツ』 とあった。 石が、たくさん投げ込まれていた。 * 先輩たちにしごかれ、酷い時にはイジメまがいのことまでされた。 だが、あるとき、『主人』の政策に横から口を出して、その政策が 成功を収めた。 これを切っ掛けに、文官に抜擢され才能と―時に謀略を駆使して― 摂政にのぼりつめた。 全ては、ミラージュの滅亡と硝子の復興のために。 = 第6話『王妃』へ |
このページは http://www1.interq.or.jp/kokke/pokemon/commu/story/60.htm のアーカイブです。