ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

連載中[603] 徒然鯰物語

謎のKIRBY #1★2005.08/11(木)21:36
ガタンゴトン… ガタンゴトン…

淡い木漏れ日の降り注ぐとある森の中
一台のトラックが荷台を左右に揺さぶりながら、獣道を進んでいく…


―――アバウトなプロローグ
カントー地方出身、かけだしトレーナー「シン」。
一応この物語の主人公である。
そしてその彼は今、父方の仕事の関係で、ホウエン地方のミシロタウンに引っ越すこととなり、このトラックの中にいる。


―――本編
「…おえぇ…お母さん、俺を荷台に詰めるから…酔っちまったよ…うっぷ」
出だし最悪である。
数分後、突然大きな金属音を立ててトラックに急ブレーキがかかった。
それと同時に荷台に積んであった荷物がシン目掛けて雨のごとく降り注いだ。

ガチャッ…

「ちょっとシン、何やってるの!」
そう母の声が聞こえてきた。
どうやら引越し先に到着したらしい。

「どうしたもこうしたも、こんな狭いところに俺を入れるからこんなことになったんだろう。」
「何ィ!?何か文句あんのかァ?」
母は怒るとかなり怖い。
ここはシンも素直に謝った。

「さて。荷物運びするわよ。手伝ってね。」
「…はぁ〜い…」
2,30分が経っただろうか、シンらは、トラックから荷物を降ろし終えた。
とりあえず、次はこれを家の中に入れる作業だ。

シンらは玄関のドアを徐に開けた。すると、家の中は何故か ”ケッキング ”だらけであった。
あっちにもケッキング、こっちにもケッキング。

「…なんじゃこりゃ?」
そうぼやいていると、奥から引越しやさんの一人がやってきて、こう言った。
「ああ。ゴメンね。コイツら、実は3日前までは ”ヤルキモノ” っていうポケモンだったんだよ。
 ただ、なんか進化しちゃって、この有様。つれてきたのはいいんだけれど、全然働いてくれないんだ。」

分かってるなら連れてくんなよ。

「ッてなワケで、手伝ってくれるよな。ぼうや♪」
「   イ   ヤ   。」
「ケッキング、メガトンパンチ♪」
「分かりました。手伝います。手伝うからやめてください。」

そんなこんなで、しぶしぶ荷物運びの作業を手伝うことになった。

3時間後、ようやく荷物運びが終わった。
ケッキングたちは大鼾(いびき)をかいて寝ている。

「いやぁ、ご苦労様。おかげで助かったよ。ありがとね。」
そう言うと、そそくさと、逃げるように引越し屋さんはシンの家を後にした。

「なんか今日は疲れたなぁ…昼寝でもすっか。」
そうつぶやくと同時に、部屋をノックする音が聞こえてきた。
どうやら母らしい

「ねぇ、シン、ちょっとおつかい行ってもらいたいんだけど…」
「ヤダよ。今から俺は寝るんだ。あっち行ってくれ。」
「…何か言った?」

ドアの向こうからただならぬ邪気(じゃき)を感じた。
そうだ。お母さんは怒ると怖いんだ。
ここはシンもしぶしぶ引き受けた。


―――101番道路。
お使いの内容は、トウカシティにいる父にお弁当を届けると言う、至って普通のお使いであった。

「…なんか今日の俺って振り回されてばっかりじゃん。
 引越しだってぇのに、いいことねぇよ。」
また、そうぼやいていると、林の中から何かの悲鳴が耳に入った。

「た…たすけてくれー!」
シンは持っていたお弁当をその場において、一目散に林の中へと駆け入って行った。

続くらしい。
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謎のKIRBY #2★2005.05/22(日)02:20
しばらく林の中へ入っていくと、そこには一人の中年男性が立っていた。

「あ…そこのキミ…たすけてくれないか?」
中年男性が声を震わせながら、そう言った。

「たすけて…って言われても…何からっすか?」

「見えないのか、ホラ、私の足元に…」

その中年男性は地面を指差してそういった。
すると、そこには40cmくらいのケムシのようなものがいた。

「でかっ!」
「ねぇ、頼むから…ほら。あそこの私のカバンの中にモンスターボールがあるだろ?その中にポケモンがいるから…
 こいつらを追っ払ってくれ。」

指差す方向には黄色いカバンがあり、その中には3つのモンスターボールが入っていた。

「ええっと…どれを投げればいいんだ?」

シンは意外と優柔不断(ゆうじゅうふだん)だった。

「どれでもいいから、早く投げてくれ!」
「いいや。面倒だ、全部投げちゃえ♪」

そう言うと、一気に3つのボールを投げた。
すると、中から「ナマズ」と「タコ」と「胃袋」のようなポケモンが飛び出してきた。

「なんだよ、お前らも呼び出されたのかよ。」
「なんだとは何だよ。このナマズぅ!」
「ごーくりーんー」

…?

「何、コイツら。」

「ああ。呼び出したのはお前か。ったく、優柔不断なヤツだぜ
 オレは、なまどぅんのナマズン!なまどぅんって呼んでくれ。」
「オレはオクタンのタコチュー。タコチューとは言わないでくれ。」
「ごーくりーんー」
「「「三人合わせて、『ナマタコリン!』」」」

「スミマセン、コイツら言ってること意味不明なんですけど…」
シンは、ケムシに襲われている哀れ(あわれ)な中年男性にそう言った。

「いいから、たすけてくれぇぃ!」

「…だいじょうぶかなぁ…それじゃ、いってくれ。やれるよな?」
シンはポケモンたちにそういった。

「「「 イ ヤ 」」」

…ナニ!?

「ダッテ、カッタルイシ」
「ダッテ、メンドクサイシ」
「ごーくりーんー」

「こいつら、やる気まるで無いんですけど…」

巨大ケムシは あきれて その場を 去っていった▼

「ありがとう、いやいや…一時はどうなることかと…」
「私何もやってないんですけど…」
「この先に、私の研究所があるから、ちょっと寄っていきなさい」
「あのぉ…オレ、母さんにお使い頼まれてて…」
「さぁさぁ、こっちだ」
「…オレの話聞いてる?」


なんだか続くらしい。
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謎のKIRBY #3★2005.05/21(土)18:48
―――オダマキ研究所

「へぇ…あんたがあのオダマキ博士だったんだ…」

シンは手元に出されたホウエン名物『どぅん茶』をすすり乍(ながら)そう言った。

「いやぁ、おどろかせてしまって悪かったね。」
「イヤ、別に驚いては無いけど…」
「そうだ、君、見たところポケモントレーナーだろ?
 …さぁ、助けてくれたお礼に、これをあげよう。」

そう言うと、オダマキは真新しい赤い機械を、シンに差し出した。

「これは…ポケモン図鑑?」
「そうだ。しかもこれには、最近見つかったばかりのポケモンも登録されてあるんだよ。」
「へぇ…」

シンはそう言うと、自分の湯のみに『どぅん茶』を継ぎ足した。
よほど気に入ったらしい。

「そういえば、君はポケモンを持っているのかい?」
「いぇ…後で父さんから貰おうかと思ったのですが…」
「そうか、なら丁度いい。なら、さっき君が使ったポケモンのうち、どれか好きなやつを一匹やろう。」

(ああ、さっきから後ろで俺のことを白い目で見てる、あの対処し難いなポケモンか…)

「 全 部 い り ま せ ん 。」

シンははっきりそういった。

「何?全部欲しいって?分かった。全部あげようじゃないか。」
「アンタ、人の話聞いてないでしょう。」

すると、後ろから何かの気配を感じた。
…ヤツらだ。

「マァマァ、そんなに熱くなんなよォ、兄貴ィ」
「フハハハ…マァ、これから一緒に頑張ろうじゃねェか」
「ごーくりーんー」

ヤケにコイツらは人なつっこい。

「そうだ、俺、母さんにお使い頼まれてるんだった。
 これで失礼しますね。」

思い出したようにそういうと、飲みかけの『どぅん茶』を一気に飲み干し、急いで研究所を後にした。

               ・
               ・
               ・

「…なんでお前らついて来るんだよ!」
「マァマァ、そんなに熱くなんなよォ、兄貴ィ」
「フハハハ…マァ、これから一緒に頑張ろうじゃねェか」
「ごーくりーんー」

「さっきと言ってる事同じじゃねぇか!」
「マァマァ、そんなに熱くなんなよォ、兄貴ィ」
「フハハハ…マァ、これから一緒に頑張ろうじゃねェか」
「ごーくりーんー」

以後、コトキタウンに着くまで、永遠にそれを繰り返していたとさ(何)


続け
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謎のKIRBY #4★2005.05/22(日)02:19
―――コトキタウン

「ぜぇぜぇ…お前らホントしつこいな…」
あれから10分くらい走ったろうか、シンらはコトキタウンに到着した。
彼は息を切らし乍そう言った。

「まぁ…これから一緒に族するんだ。そんな事言うなよ。」
「族…?」
「いや。間違えた。旅だ。
 いいか。この地方に住む10歳以上の人間は旅をするという事が義務付けられているんだ。」
なまどぅんが鰭(ひれ)を組み乍そう言った。
本当かどうかは定かではない。

「そして、この地方には『ポケモンリーグ』っていうのもあるんだぜ!」
そう言ったのはオクタンのタコチュー。

「何!?この地方にもポケモンリーグがあるのか?」
「ごーくりーん」
「あぁ、あるとも。みんな最強のポケモンを連れてそこに挑んでいるよ。…だってさ。」
なまどぅんが通訳した。

「実は俺、こっちに引っ越してくる前、リーグチャンピオンになることが夢だったんだ…」
シンがはじめて心境を語った。

「どうだ?俺たちに任せてみねぇか?」
「俺らがお前をチャンピオンにしてやっからよぉ。」
「ごーくりーん」

「お前ら…ありがとう。…これからよろしくな!」
「よし、決まりだ。これからケチョンケチョンにされていくか!」
「うっしゃ。これからボッコボコされ放題だ!」
「ごーくりーん」
          ・
          ・
          ・
「お前らやる気あんのか?」

とりあえず、リーグチャンピオンを目指して「ナマタコリン」らと一緒に旅をすることになったシン。
その日は一日中、気持ちの良い青空が一面に清々しく頭上一面に広がっていた。

続け
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謎のKIRBY #5★2005.05/23(月)17:40
「よし、今からトウカシティまで走るぞ!」
シンと愉快な中間達は、彼の父の元へと急いだ。
特に道は舗装されていないが走りやすい。
辺りには所々にオオイヌノフグリの可愛らしい青い花が顔を出している。

―――103番道路
「この道を道成りに進めばトウカシティだ」
そういったのはオクタンのタコチュー。
8本の足を巧みに動かして走っている。なんだかおぞましいものがある。

「おい、そこのお前!」
急に誰かに呼び止められた。

「なんだよ…今オレ急いでるんだ。ヤボ用なら後…」
「何言ってんだ?おい、お前ポケモン持ってるんだろ?今からオレとバトルしようぜ!」
「バトル…俺やったことないんだけd…」
その時、後ろからなまどぅんが肩をたたいた。
よく肩まで届いたものだ。

「まぁ…こんなヤツ俺が一瞬のうちにケチらしてやっからよォ。」
なんだか気持ち悪いくらい頼もしい。
「そうか…じゃぁやってみるか。」
「よっしゃ。決まりだ。行けっ、ケムッソ!」
そう言い乍、少年はモンスターボールを投げた。
すると、中からあの「哀れな中年男性」を襲っていた時と同じケムシが出てきた。

「コイツはあの時のケムシか。楽勝だな。」
なまどぅんはやけに張り切っている。初バトルに出られることがよほど嬉しいのだろう。
それとも、何かがコイツをかき立てているのだろうか?

「バトルは1対1だ。用意はいいな。それじゃ、バトルスタートだ!」
「よし…俺らの初陣だ。いけっ!なまどぅん!」

「どぅん!」

辺りの木々の葉が擦れる音がする。
風が出てきたらしい。

続くのか。
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謎のKIRBY #6★2005.05/22(日)02:23
「ケムッソ、たいあたり!」
そう少年が叫ぶとケムッソはなまどぅん目掛けてすごい勢いで向かってきた。

「えっと…お前って何覚えてるんだ?」
「説明してる暇はねぇ、早く指示を出してくれ!」
「えぇ…?じゃぁ…みずでっぽう!」
なまどぅんは口から勢いよく水を噴射した。
見事それは直撃して、ケムッソは3mほど飛ばされた。

「フン、なかなかやるじゃん。ケムッソ、もう一度たいあたりだ!」
「えっと…お前他に何が使えるんだ?」
「一応じしんとか使えるけど、あれは…」

そう応えているうちに、ケムッソの赤いボディがなまどぅんの体を直撃した。
どうやらさっきの攻撃が当たって図に乗っていたらしい。

「どうした?余所見(よそみ)は禁物だぞ?」
少年は嘲笑(ちょうしょう)している。

「なまどぅん!じしんだ!」
「どぅ――――ん!」
そう言うと、突然大きな地震が彼らを襲った。
結構デカイ。

「ケムッソ、ジャンプだ!」
「ケム――――ぅ!」
ケムッソは青い空目掛けて空高く飛び上がった。これでは地震が当たらない。
ってか、なんでケムッソがジャンプできたのかは謎深きことである。

「そのままいとをはく!」

このケムッソはかなり器用らしい。

「なまどぅん危ないっ、よけろ!」
「ムリだ、地震を使ってるオレは身動きがとれn…ぐあぁ」
ケムッソの吐いた糸がなまどぅんの体をしっかり捕らえた。
「そのままどくばりだ!」
なまどぅんの頭上から毒針が襲ってくる。

「こうなたらしかたがない…あの究極奥義(きゅうきょくおうぎ)を使うぞ…。」
「究極奥義?」
「ケム――――ぅ!」
ケムッソの毒針は今にもなまどぅんに命中しようとしている。

「ナマズブラストぉ――!」
そういうとなまどぅんの体が突然光り始めた。
そう思うまもなく、大音声が聞こえてきた。

        「どぅん!」

気が付くとケムッソは近くの木下で目を回している。
どうやらさっきの衝撃波で飛ばされてぶつかってしまったらしい。

「…なんだ?今の技は…」
少年の声は拍子抜けである。

「今のはオレの究極奥義、『ナマズブラスト』だ。ただ、詳しいことはオレにも分からない。
「すごいや…なまどぅん…」
シンの声も震えている。

「仕方が無い、今回はオレの負けみてぇだな…いつかまたリベンジしてやっからな!」
「おう、いつでもかかって来いよ。」
そういい交わすと、少年は走ってどこかへ行ってしまった。
シンの気分もなんだか清々しい。

「さぁ、オレたちも父さんの所へ行くぞ!」
「おぅ!」
シンたちも、トウカシティ目指して獣道を進んでいった。
風はいつの間にか止んでいる。

「なぁ、ゴクリン、俺たち今回全然登場してないよな…?」
「ごくごく」

続く。
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謎のKIRBY #7★2005.05/09(月)23:25
―――トウカシティ

木々の間から優しい木漏れ日があふれている。風もおさまり、暖かい。
もうすぐ春が近づいているらしい。

「ふぅ。ここがトウカシティか。緑がいっぱいでいい町じゃん。」
「パンパカパーン!なーまどぅん!」
「タコタコ〜タコタコ〜」
「ごーくりーん」

のっけからハイテンションである。
「さてと。お父さんのいるところは確か…」
        ・
        ・
        ・
「おい、聞いてないのかよ。全く。お前、タコじゃん。」
「…タコにタコって言われたくねぇよ。」

「おーい、シン!こっちだ!」

どこからともなく父の声が緑の木々を伝って聞こえてくる。
どうやら森の奥にいるらしい。
「どうしたんだろう。こんな森の中でいったい父さんは何を…」
とりあえず、行ってみることにした。

しばらく歩くと、切り株の上に座っている父の姿が見受けられた。
火をたいて。お湯を沸かしている。どうやらお茶の時間らしい。

「おお、シン。よく此処まで来たな…っと、このポケモン達は…?」
「ハハハ、お父様、良くぞ聞いてくれました。俺はナマズンの亜種、なまどぅん!名前はナマズンだ。」
なにかややこしい。
「そしてオレはオクタンのタコチュー!タコチューって呼んだら墨吐くぞ!」
どうやら自分の名前が相当気に入っていないらしい。
「ごーくりーん」
説明略。
「三人合わせて『ナマタk…』」
    以下略。

「そうか。コイツらはお前の新しいパートナーか。良かったじゃないか。」
父はそう言い乍、シンの届けた弁当のタコウインナーを口に運んだ。
後ろでタコチューが泣いていることは言うまでも無い。

「ところで、父さんはこんなところで何をやってるの?」
シンはシンでどぅん茶を飲み乍そういう。かなりのお気に入りらしい。
「ああ、これからこの地方でジムを立ち上げようと思っているんだ。そして今はジムリーダーとして使うポケモンを探しているってわけさ。」

シンは驚いた。父がジムリーダーになるなんてこれっぽっちも聞いていなかったのだ。
「…ってことはそのうち俺ともバトルすることになるのか…?」
「そう…だな。」

シンの背筋が凍りついた。

続く続く
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謎のKIRBY #8★2005.05/16(月)18:29
―――トウカの森

シンは父がジムリーダーになるということがかなりショックだったせいか、しばらく言葉を失った。
彼自信、父の存在がどれだけ偉大で、大きなものなのかよくわかっていた。
父とバトルするなんて考えても見なかった。
それからの記憶は覚えていない。

しばらくしてシンは何かが張り付くような感じがするとともに目が覚めた。

「おい、ご主人さんよ。いつまで寝てんだよー」
気が付くとタコチューが腹の上に登ってシンの顔をひたすら足で叩いていた。
タコ殴りだ。

「…父さんは…?」
「ああ、親父さんか?さっき黙ってどっか行っちゃったぞ。」
そういったのはなまどぅん。ものすごく眠そうな顔をしている。

「う〜ん…どうしよう…後々父さんとバトルすることになるのか…」
「んなとこでチューチュー言ってても仕方ねぇだろ。事実は受け止めなきゃ。」
「イヤ、チューチューは言ってないけど…」
「まぁ、とにかく何れにしろ後々お前は父を越えなきゃいけないんだ。誰だってそうだろ?」
「タコの言うとおりだ。おまえ、チャンピオンになるっていう意味分かってるか?」

なにやらなまどぅんとタコチューが真剣な顔をしてシンに問いかける。
ゴクリンは彼らの後ろで寝ているのか、鼾が聞こえる。

「…え?」
「いいか、チャンピオンになるってことは、ポケモンが一番強く扱えなきゃなれないんだぞ。」
「無論、お前の父も超えなきゃいけない。でなきゃチャンピオンなんてまずなれないぞ。」
「…そうだな…」

「ぐごーくりーんー」

「よし、俺、頑張って父さんを超えてみせる。絶対に勝って、チャンピオンになるんだ!」
「そのいきだ、よし、それじゃ出発するか。」
「おうっ!」

シンたちは決意を新たにして森の奥へと進んでいった。

続く
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謎のKIRBY #9★2005.05/28(土)18:12
トウカの森…そこは昼間でも薄暗く、そして広い。
ましてや、もうすぐ夕暮れが近づいているという時に、
シンとそのポケモン達は周りの草を避けながら道なき道を進んでいた。

「それにしても広いよなぁ…今何処歩いてるのすら分からないや。」
シンは足元をキョロキョロしながらそういった。
そして、徐に10円玉を拾う。実はシンはセコいヤツだったのね。

すると、後方からなにやら意味深な音が聞こえてきた。
「じゅるるる…じゅるるる…」

「…なんだ?何の音だ?」

「み…みずぅ…」
ふと振り返ると、タコチューが今にも干物になりかけようとしていた。
「おい、だ…大丈夫か?」
「み…水をくだ…さい…」
「やれやれ、コレだから水辺のポケモンはダメなんだよな。もっと根性出せよ、このタコ」
なまどぅんがそう言った。お前も水辺の生物と違うのか?

「…あ、あそこに川が流れてるぞ、ちょっとあそこらで休憩しようか。」
「じゅるるる…じゅるるる…」
      ・
      ・
      ・
「ふぃぃ。若返った気分だぜ。キャッホーイ!」
タコチューは気分が良くなったのか、川辺で水遊びしている。
しかもなんか日本語おかしいし。

「ったく…お前もオレみたいな『ナマズ・イミュニティー』をみにつければ乾きなんてしないのによぉ…ったく…」
「ごーくりーん」
「…なんだよ、『ナマズ・イミュニティー』って」
「日本語に翻訳してみろよ、『ナマズ免疫』って読むだろ?」
どうせならナマズも英語にしろよ、とシンは言おうとしたが、あえて言わなかった。

「おい、ジン。久しぶり。探したぞ!」
ふと、後方から声が聞こえてきた。
振り返ると、全く見覚えの無い人が立っていた。
「…あんた誰?」
「なんだ?忘れたのかよ?俺だよ、マルチュロだよ。」
「…まるちゅろ?」
全く聞き覚えの無い名前だった。

「何とぼけてるんだよ、ジン。3年前、共に世界征服目指して旅してたじゃん。」
「…世界征服?」
「…お前、ジンだよな?」
「イヤ、俺はシンだけど…」
またなんだかややこしい展開になってきた。

「…俺の…人違いだったのか?」
「聞くなよ。」
シンはどぅん茶をすすり乍そう言った。今日だけで5杯目である。
「…なんだ…まぁ、いいや。俺はマルチュロ。世界を目指して昔ジンってヤツと旅してたんだが、なんだかそいつ、急にいなくなっちまって、今そいつを探す旅をしてるところさ。お前さんは?」
「ああ、俺はシン、一応今日デビューした駆け出しトレーナーだ。」
「…ふぅん…じゃぁな。」
「…早っ」
そういうと彼は森の中に消えていった。

「…なぁ、なまどぅん、お前、アイツのこと知ってるか?」
「んぐおぉぉ〜どぅん んぐおぉぉ〜どぅん」
「起きろ!」
「どぅひゃぁ〜」
「…」

とぅ びー こんてぃにゅーど
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謎のKIRBY #10☆2005.05/27(金)18:28
川辺での休息を終え、シン達は再び森の中を草を掻き分け乍進んでいた。
なまどぅんはタコチューの背中の上にオドオドしながら乗っている。相当草が嫌いらしい。
ゴクリンはシンのカバンの中で眠っている。

「言われてみると、似てなくも無いよなぁ…」
ふと、なまどぅんがそう漏らすのを、シンは聞き逃さなかった。
「…やっぱお前、『ジン』ってヤツのこと、何か知ってるのか?」
シンはなまどぅんに強く問いただした。
「な…何のことだ…どぅん?」
明らかになまどぅんは困惑していた。声色が明らかに変わっている。
「もしかして…タコチューも何か知ってるのか?」
シンはタコチューにも聞いた。彼は黙っている。

「…まぁ、何れ分かることだ…それまでは聞かないでくれよ。」
「…あぁ…でも、…やっぱ気になんだよなぁ…」
シンは相当しつこかった。どうせなまどぅんは言わないつもりなんだろうと悟っていたのだろう。
すると、突然タコチューが大声をあげた。

「み…みろ!道路が見える。森を出られるぞ!」
そう言うと、タコチューは物凄いスピードで走り出した。なまどぅんは必死に彼に捕まっている。
彼の向かう先には、確かに舗装されているような道が見て取れた。

「ま、待てよタコチュー。」
シンは必死に彼ら追いかけた。
      ・
      ・
      ・
―――カナズミシティ

シンら一行は、ようやく次の町、カナズミシティに到着した。
既に太陽が沈んでいて、該当が煌々と灯っている。今の季節、まだ日は短い。
「ふぇぇ…ミシロとは違ってなんだか落ち着いた町並だなぁ…」
シンが「都会」に来たのは、生まれて初めてのことであった。
「ほれ、あそこを見てみぃ。」
タコチューはそう言って、20m位先にある黄色い屋根の建物を指(足)指した。
「うい、あそこがポケモンジム、要するに、ジムリーダーが居るところだ。」
そうなまどぅんが言った。先程とは打って変わって落ち着いている。
「ってことは、俺らが目指してるものはあそこにあるのか?」
「…ちょっと違うけど…まぁ、そんなトコかな。」

「うっし、それじゃぁ、早速いくか!」
「「おぅ!」」

こうしてシン達は、最初のジム、カナズミジムに向かって、走って行った。

続く
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謎のKIRBY #11★2005.05/31(火)23:51
―――カナズミシティ・ジム
「…こんにちはー…」 …こんにちはー こんにちh…
シンの情けない声がジムの中でこだまする。
初のジム戦を前に相当緊張していたのであろう。
しかし、ジムの内部は薄暗く、静まりかえっている。

「…あれ…?誰もいないのかなぁ…?」
んまぁ、もうこんな時間だし、しょうがねぇンじゃねぇ?」
タコチューがそういう。腕時計を見てみると、既に7時をまわっている。
すると突然部屋に明かりが灯った、と同時に、一人の少女が奥から現れた。
「…どちら様…ですか?」
「どぅん様です。」
「違います。…えっと…此処のジムリーダーに挑戦しに来たんシンって言う者ですが…今いらっしゃいますか?」
「あら、挑戦者でしたか、失礼しました。私が此処のジムでリーダーを務めているツツジと申します。」
「え…あなたが…ですか。」
彼女は明らかに自分より年下であった。

「よっしゃ、ココは俺とごきゅりんに任せとけ。なまどぅんばっかにこの物語活躍させるのはアレだからな。
おっし、ごきゅりん、出てこいや!」
「ごーくりーん」
このゴクリンの名前、『ごきゅりん』と言うらしい。

「あなたは2体ですか…それなら、ルールは2vs2のダブルバトルなんてどうでしょう?」
「面白い、どっからでもかかって鯉や!」
「ごーくごく」
        鯉…?

「ゆけっ!オムスターとノズパス!」
ツツジはそういうと2つのモンスターボールを投げた。
すると中から巻貝とモアイらしきポケモンが出てきた。
「へぇ…こんな面白いポケモンもいるのか…」
何感嘆してんだ、シン。

「それでは…よろしくお願いします。」
「さぁ、何処からでもどうぞ。」
「うっし、いくぞ、ごきゅりん!」
「ごぅっ!」

遂にポケモンリーグ出場をかけた第一戦が幕を開けようとしている。
        ・
        ・
        ・
「んー。暇だなぁ…草むしりでもしよう(マテ)」
なまどぅんは訳分からない発言と、宥めてあげたい位悲しい自己ツッコミをし乍、ジムの外へと出て行った。

つずく(違)
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謎のKIRBY #12☆2005.06/06(月)19:30
「タコチュー!オムスターにサイケこうせん!」
「ウヒョヒョヒョヒョ」
タコチューは妙な声を上げながら不思議な光線をツツジのオムスターに向かって発射した。
「オムスター、まもるよ!」
そうツツジが叫ぶと、オムスターは殻の中に閉じこもってしまった。

「何ぃ!?」
シンは驚愕していた。やたら神経質らしい。
「フハハ、慌てるなよボーイ!ホッホーイ!」
そうタコチューが奇声を上げると、光線の起動が変わってノズパスにクリーンヒットした。
ぼんやりしていたせいか、ダメージはかなり大きいようだ。
「ノ…ノズパス…っ!大丈夫っ!?」

あまりにも突然の奇襲にツツジも驚いた。
「フハハ、コレがオレの編み出した技、サイケこうせんsp.だ!」
「由来はよくわかんねぇけど…すごいやタコチュー…」

「くっ…油断していたようね。ノズパス、まだ大丈夫よねっ?」
「うがー」

「次はごきゅりん、お前の番だ、いいか?」
「ごーくりーん」

「ノズパスっ、オクタンにでんじは!」 「ごきゅりん、ノズパスにあくびだ!」
二人は同時に叫んだ。
あくびはノズパスにヒットして、まもなく眠ってしまったが、多少なり発射された電磁波はタコチューの上半身を捕らえた。
「大丈夫か、タコチュー…!?」
「くそぉ…脚しかうごかねぇ…」
「フフフ、コレでオクタンは封じたわ。オムスター、やっちゃいなさい!」
「うい。」
「ご…ごきゅりん、アイツを止めろっ!」

窮地に追い込まれたシン。この先どうなっていくのだろうか。
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謎のKIRBY #13★2005.06/08(水)20:02
「オラオラオラァ!」
ものすごい形相でオムスターがタコチュー目掛けて突進してきた。
「ご…ごきゅりん、アイツを止めてくれぇ!」
タコチューが藁をも縋る思いでタコチューに叫んだ。
「ウッホ―――――!」
遂にごきゅりんまでも奇声を発した。

     ドンッ!

もの凄い音を立てて2人はぶつかった。
オムスターの猛突進は食い止めることが出来たが、ごきゅりんは遠くまで飛ばされた。
その後、バウンドしながらタコチューのところまで転がってきた。

「ごきゅりん!大丈夫か!?」
「…う゛〜う゛〜う゛〜…」
「ご…大丈夫か?」
ごきゅりんが変なうめき声を上げだしたのが気にかかり、シンもごきゅりんのもとへ駆け寄った。

すると、どうしたことか、ごきゅりんの体がじょじょに赤くなり始めたではないか。
「…う゛〜う゛〜う゛〜…」
「ご…ごきゅりん…?」
「うおぉおぉおぉおぉおぉおぉお…!」
遂に発狂した。

「オラオラオラァ!よくも俺様を怒らせたな、この巻貝ィ!」
「…遂に怒らせちまったか…」
「…ぇ?」
タコチューがボソっと言った一言を、シンは聞き逃さなかった。
「アイツを怒らせたら最後、もう誰にも止められないんだ…」
「ごきゅりん、普段とは180゜違うじゃねぇか…」

「フン、いぶくろポケモンが怒ったからって何になるんだ?そっちのタコだって上半身マヒしてるんだぜ?」
オムスターが嘲笑した。

「ああ、腹が立ってきたゼ!おい、タコチュー俺をアイツに向かってフル投球してくれ。」
「な…何を言ってるんだ、ごきゅりん、そんなんじゃお前…」
シンは急な展開に相当困惑している。
すると、後ろからタコチューが話しかけてきた。
「いいんだ、コレが俺らのやり方なんだ。よし、まだ腕は動く。準備はいいか?ごきゅりん!」
「おぅ、いつでも来いやぁ!」
そういうとごきゅりんはタコチューのもとへと行き、タコチューは彼を掴んだ。」

「うっしゃ、いくぜぇ!ごきゅりん!」「おう!」


「「究極合体奥義!ごきゅりんシュート!」」


タコチューはごきゅりんをオムスター目掛けて力の限り投げつけた。
「オムスター!まもるよ!」
ツツジは冷静にオムスターに指示を出した。
しかし、遅かったようだ。

「無駄だァ!ばくれつパァ―――ンチ!」
ごきゅりんは物凄いスピードでオムスターに激突した。
オムスターはその衝撃でジムの奥の壁に激突した。

――――オムスター、戦闘不能。――――

「くっ…あなたを見くびっていたようね。今のあなたたちの力は体力の少ないノズパスで受けることは出来ない。
…負けを認めるわ。完敗よ。」
「ってことは…俺の…勝ち?」
「やったじゃねぇか、シン!」
「ごーくりーん。」
「ありがとう、みんな。本当にありがとう!」
ごきゅりんもオムスターを倒せて満足だったのか、通常の色に戻っていた。
「あなたたちのポケモンたちの絆には恐れ入ったわ。
コレがポケモンリーグ公認バッチ、『ストーンバッチ』よ。」
「あ…ありがとうございます。」
「今日はもう遅いわ。このジムに泊めてあげるから、ゆっくりしていってください。」

遂に一つ目のリーグバッチを手に入れたシン
今日あった数々の出来事に思いをはせながら、床につくのであった。

続く。

「ぶちっ、ぶちっ、アハハ〜楽しいな〜♪」
…なまどぅんは只管草むしりをしていたそうな。
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謎のKIRBY #14★2005.06/14(火)21:22
―――カナズミシティ
7:30

「また来てくださいね。次は負けませんよ!」
「ありがとうございました!」

新鮮な挨拶を交わし乍、シンたちはカナズミシティジムを後にした。
日の出の時刻と重なった為か、眩いばかりの朝日が彼らを照らした。

「さて、次は何処に行けばいいんだ?」
「…ちょと待て、なまどぅんはどうした!?」
不意にタコチューが気付いた。そういえば、ジム線の時から彼の姿が見当たらない。

「あれ、…ったく、世話の焼けるヤツだ…」
「ごうっ、ごうっ!」
ごきゅりんが何かに気が付いた。地面に草が一本も生えていないのだ。
確かにココに来る前は多少なり草はあったはずなのにもかかわらず。
その時、近くの森の中から泥まみれになったなまどぅんが出てきた。
「おいっ、お前何処行ってたんだ!半分くらい心配してたんだぞ!」
タコチューがなまどぅんに怒鳴りつける。しかし、何だ?半分って。
「スマンスマン、暇だったからそこら辺に生えてる草を片っ端から毟ってたんだ。」
「ったくよぉ、何でお前はそうアフォなんだぁ!?俺らはジム戦で頑張ってたってのによぉ」
「ごーくりーん」
「まぁ、言い争ってたって何にもなんないよ、とりあえず、見つかったことだし…」

そのときだった。
「ガッチャ―――ン!」
どこか近くで物が割れる音がした。その後間もなく、なにやら大きな声が上から聞こえてきた。
「アヒャヒャヒャヒャ!この最新型鯰芝刈り機は確かに貰ったァ!アヒャヒャ!」

やけにハイテンションな声である。
ふと、シンは声がする上を見上げた。
すると大きな恐竜のようなポケモンが背中の葉っぱを羽ばたかせて飛んでいる。
その後間もなくして、後方から白衣に身をまとった研究員が慌てて走ってきて、シンにこう告げた。
「アイツはドロボーだ!頼む、捕まえてくれ!」
「え…でもあんなところにいるんじゃ…」
「マカセナサァ〜イ!」

なまどぅんが奇特な声を上げ、その後口を大きく開けた。「れいとうビーム!」
冷たい冷気は恐竜のようなポケモンに直撃し、間もなく地面に落ちてきた。

「誰っ!?私のたいちょうに手を出したのは!」
「…おまえっ…!ユキか…?」
なまどぅんは大きな口を更に大きく開けた。

「…なまどぅん…?なんでアンタがこんなところに…」
『たいちょう』とかいうポケモンのトレーナーは思いもよらず、少女だった。名前はユキというらしい。
しかも、どうやら彼女はなまどぅんのことを知っているようだ。

「…誰だか知ってるのか、なまどぅん…」
「知って…イヤ、知らない知らない。」
「とぼけるんじゃないわよォ!勝負するんでしょ?何処からでもかかってきなさい!」

シンは困惑していた。慎重な彼でもとっさの出来事には状況把握がままならない。
「…なんだかよくわからないけど…とりあえず、アイツはドロボーだ、行くぞ、なまどぅん」
なまどぅんは無言のまま戦闘態勢に入った。


続く
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謎のKIRBY #15★2005.06/23(木)21:50
「いけっ、ねんどまん!」
ユキはそういうと、なにやら黒いモンスターボールを投げた。
中からは表情の強張っているネンドールが現れた。
なまどぅんは相変わらず黙っている。

「さぁ、ねんどまん!一気に行くわよ!」
「うがぁ――――。」

なまどぅんが重い口を開いた。
「シン…油断すんじゃねぇぞ。」
「…え」
重い、重い言葉であった。なにせあのなまどぅんがココまで冷酷にしているのだ。

「ねんどまん、はかいこうせん!」
「何ぃ!いきなりかよォ!」
いきなりの激しい展開にシンは焦った。
「慌てるんじゃねぇ!…ナマズブラストォ!」

なまどぅんは大声をあげると、この前のバトルで起こったように、光出した。
しかし、それだけではない。物凄い地響きが聞こえてくる。

          バチバチバチィ…

光線と衝撃波が相打ちとなって、辺り一面爆煙と火花で覆われた。

「チイィ!お前、いつの間にその技を完成させたんだ!
…ねんどまん、ひとまず撤退よ!」
そういうとユキと名乗る少女は芝刈り機を置いて煙にまぎれて森の中へと姿を消していった。


―――デポンコーポレーション
先程の研究員に呼ばれてシン達はデポンコーポレーションの社長室前に来ていた。
「さぁさぁ、お入りください。」
研究員に言われるがままにシン達は社長室へと入っていった。

「ウオッホン…ゲフンゲフン。改めましてはじめまして。私はこの会社の社長…
 言わば けっきょく 私が 一番偉くて お金持ちなんだよね 
な人じゃ。」
よくわからないが、とりあえず偉いらしい。

「あのぉ…その一番偉くてお金持ちの社長さんが、私たちに何の用で…」
「えっと…それはそのぉ…うぬぅ…」
横にいた研究員が耳打ちをする。
「そうじゃった。この度はドロボーさんから我が会社の新製品の『鯰芝刈り機』を取り戻してくれたそうな。
 その件に関してお礼が言いたくてココによんだんじゃ。」
「お礼なんて…そんな…」
「ウフョフョ。遠慮せんでええ。人間ってのはなぁ、遠慮しちゃいけない生き物なんやで」
急に関西弁になる。社長は意外とユーモラスな人物だ。

「そうですか…ではお言葉に甘えて…」
「ホレ、ココに2匹のポケモンがおる。こいつらはなぁ、古代の化石から甦ったポケモンなんじゃぞ♪
 えっと…こっちが…うーん…」

また研究員が耳打ちをする。
「おお、こっちがむかしエビポケモンのアノプス。んでこっちが、うみゆりポケモンのリリーラじゃ。」
「へぇ…古代のポケモンかぁ…」
「オレ、こっちがいいでちゅw」
タコチューが顔を真っ赤にしながらリリーラを指(足)指した。
もともと赤い?気のせいです。

「リリーラかぁ…海はオレも好きだし、ユリってのもなんだかいいなぁ。よし、コイツにするか」
「あぴゅぴゅ〜!」
タコチューは発狂した。
「えっと…名前はどうしようかなぁ…♪」
ヤケにテンションが高い。
「ユリだから…学名の『リリウム』なんてどうだ?」
なまどぅんが後ろからそう言った。ってか、何でお前ラテン語知ってるんですか?

「リリウムかぁ…悪くはないんじゃない?」
「ひゃっほーい!」
シンらも同意したようだ。

「し…社長さん、どうも有難うございました。」
「オーッホッホッホ!」

こうしてシンら一行に新しい仲間、『リリウム』が加わった。
今後どのような感動的なドラマとくだらないギャグが彼らを待っているのか
…筆者も知らない。


どぅどぅびどぅびどぅばー。
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謎のKIRBY #16★2005.07/01(金)23:08
「どぅば――」

デポンコーポレーションを出てみると、朝日がまぶしかった。
シンら一行は新しい仲間、「リリウム」と共に、カナズミシティを後にした。

「さて…次はどうするよ、どぅばー。」
なまどぅんが聞いた。どぅばーって何ですか?
そして、シンはおもむろに地図を広げた。
「うん…そうだなぁ…一番近い町はシダケタウンか…よし、ココに行くか。」
そういうとシンは前を見た。一本道である。
「うっし、みんなで競争するか!」
「うっしゃぁ!」

みんなが一斉にそういったその時、遠くから悲鳴が聞こえてきた。
「助けて―――!」

「!?」
「何だ何だぁ?また事件かどぅばー?」
「ココんとこ引っ切り無しだなぁ、オイ」
「ごーくりーん」
「何ボサっとしてんだ。ホラ、行くぞ!」

そういうとシンは声の方目指して走り出した。
続いてなまどぅんたちも走り出す。リリウムはタコチューの頭にへばり付いている。


―――カナシダトンネル前
「オラァ!ソコをどけぇ!コチョコチョされてぇのかぁ?ええ?」
「イヤだ。絶対退くものか!」
「おいっ、お前子供相手に何してるんだっ!」

トンネルの前で2人の少年少女が黒服の男に追い詰められている。
最近正義感が強くなってきたシンは勇敢にも男に立ち向かっていった。
「なんだ小僧?おめぇもコチョコチョされt…お前はっ…!」

男が息を呑んだ。見た先には泥まみれのなまどぅんがいる。
朝から体を洗っていないらしい

「ああ、何してんだ、お前ら。」
「ひぃいぃいぃいっ!覚えてろよォ!」

なまどぅんが言葉を発しただけで男は逃げていった。

「お前、アイツと知り合いか?」
「ちょっとね♪」
「あのぉ…」
少年少女がシンらに照れくさそうに話しかけてきた。
「あ…ありがとうございます。…ボク、コーダっていいます。」
「私は。音姫っていいます。」
「いえいえ、ケガはなかった?」
「どぅばー」
「イヤ、お前じゃなくて…」

少年は恥ずかしがり屋で、少女のほうは無口である。
シンはやけに優しく声をかける。
なまどぅん達は後ろでケラケラしている。

「あのぉ…ボクたち『ポケモントレナーズスクール』ってトコに通ってて…
 それで…今、校外学習中で…」
「学校に一緒に来てくれませんか?って言いたいんでしょ?コーダ。」
「あっ、そうそう。それで…先生にもあなたのこと紹介したいし…」
「えっ…わかった。行こうか。」

シンらはたとえ自分より幼い少年からであっても、認められたということにちょぴり赤面した。
なまどぅんらは以前ケラケラしている。

「よし、行くぞ!競走だ!」
「どぅばー」
ハマッタらしい。

続く
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謎のKIRBY #17★2006.09/27(水)23:06
「着きました。ここです。」
シンらは少年少女に連れられカナズミシティの郊外へ来ていた。
少年の指差す先には学校と思しき建物が建っていた。

―――ポケモン・トレーナーズスクール
「せんせー。カビオ先生は御出でになられますかー?」
コーダは元気よくそう言った。最初に会った時の内気な態度とは180°違っているようにシンには見えた。
「…ん?」
「せんせー。ちょっといいですかー?」
「…ばってん今手ェば離せんと。また後にしてくれんけ…。」
「…そうですか。わかりましたー。」
”カビオ先生”は扉の向こうからそう言った。かなり訛っている。

「おい、兄ちゃん。」
ふいにナマズンがコーダに話し掛けた。彼はちょっと飛び上がった。
「…何でしょう?」
「ここに水道ってネェか?体洗いたくてもうウズウズしてるんだわさ。」
「それでしたらそこの突き当たりを左に曲がってまっすぐ進んで階段を上って道なりに進めばあります。」
音姫がそう言った。コーダは少し怖気づいている。

「おぅ、お嬢ちゃんサンクス。んじゃちょっと行ってくるぜぃ」
「なまどぅん、オレらも行くぜ。どうも体が乾いて来ちまってな。」
タコチューがそう言った。頭にリリウムを背負っている所為か、動きが鈍い。

「…どうしたの、なまどぅんが怖かった?」
シンは震えているコーダに声をかけた。
「…いえ、…何でもありません。」
「そう…ならいいんだけど。」
「…とりあえず、先生が暇になるまでそこの教室で待っていましょう。今日は特別日程なんで人いないんで…。」
そう言うと、コーダはシンを隣りの教室に誘導した。音姫は以前無口なままである。

……
「チュ―――――――――!」
「…!?」
突然タコチューの悲鳴がこだました。

続く
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謎のKIRBY #18☆2006.12/17(日)23:47
「…今のは…タコチューの…?」
人気のない学校内でのタコチューの叫び声は全校舎内に響きわたった。正直怖い。
シンとごきゅりんはタコチューたちが向かったと思われる突き当たりを左に曲がってまっすぐ進んで階段を上って道なりに進んだところにある洗面所に急いで向かった。
そこには鏡を見つているタコチューがいた。

「どうした、タコチュー?」
「お…オレの頭の上に…イソギンチャクがぁー…」

シンは数秒間沈黙した後、思わず吹き出してしまった。
隣りではなまどぅんが体を洗うことも忘れてケラケラ笑い転げている。

「タコチュー…それ、リリウムだぞ…」
「なんだってー。どーりで体が重いわけだったぜ。」

どうやらこのタコは1歩歩くと物事を忘れるらしい。ニワトリよりタチが悪い。

「シン、とってくれねぇか?どうもオレからだが固くて頭まで手が届かねぇんだよ。」
軟体動物のくせにと一瞬思ったが、それは心の中にしまっておいた。
そして、一息いれてから、おもいっきりリリウムをつかんで、引っ張った。

「イデデデデデデデ」
「あれ?おかしいな。とれねぇぞ…。」

タコチューの頭が変な形に伸びている。

「おそらく、タコチューの頭に『ねをはる』したみたいだな。そのうちお前のタコエキス全部吸い取られるぜ。」
真顔でなまどぅんはぼそっと呟いた。タコチューは落胆した。

「オレの…オレのタコエキスがぁ…」
「はっはっは。冗談だ。リリウムはきゅうばんでお前の頭に張り付いているだけだ、そのうち取れるぜ。」
「な…お前騙したのか…。んまぁいい。よかったぜ。」
二匹のやりとりを見てシンは爆笑していた。ごきゅりんは眠っている。

「それはそうと、早く体あらっちゃえよ。みんな教室で待ってるぜ。」
「まかせとけ。ビッグバン並みのスピードでおわらせてやr…」

その時だった。
「もっほっほー。ついに完成したっぺェー!これでこの世界はオラのモンじゃけーん!」

「今の声とこの訛りは…カビオ先生?」
シンの腕に鳥肌が立った。

「何か寒気がするな…。悪いこと起こらなければいいんだが…」
なまどぅんがそう呟いた。さりげに彼は変な感が鋭い。

「いくぞ、お前ら。」
「まかせとけ。タコターボ全開だぜ」
「ちょま…まだ体あらって…」
「…早くしろよ。」

続く
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ぴくの〜ほかんこ