ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[607] 不思議なポケモン達の日常

chico #1★2005.01/10(月)21:41
あとがき(という名の言い訳)は感想ページにて。


1.月光の下(もと)で(序章と思われるもの)


月光の下、洋館のような家の二階から張り出したテラスに、一人の少女が立っている。
彼女はリンフィア・クロス。ホウエン地方に住む一トレーナーだ。
しかし。
彼女のポケモン達には少し特殊な能力がある。それは…

「リーン!!冷蔵庫のチーズケーキが切れてるわよー!」

リンはリンフィアを縮めた、要するに彼女のニックネーム。
今叫んだのは、すっぱい物好きのジグザグマ、毬亜(マリア)。
なぜか二本足で立っている。しかもカーテンに映るシルエットはどことなく、
人間。

もうお気づきだろうか、彼らの能力とは…人間の姿に変身することなのだ。
正確には、人間の姿になったり、
ポケモンの姿になったりという調節が効くのである。(人間になっても少々面影は残ってしまうのだが)
「わかったよ、明日買いに行こう。」
「全く、アタシがちょっとおてんばな性格なのは知ってるでしょ!?」
ちょっと…?
リンはマリアの言葉に少々引っかかりを感じたが、
ことを大きくするのもなんなので黙っておいた。
「マリア…そう夜中に大声を出すのは止めてくださいね。」
そう言いながら二人に近づいてきたのは長身のサーナイト、那仁(ナヒト)。
マリアを注意しつつもその微笑みは崩さない。
彼が笑い意外の表情を見せるときとはどんなときなのだろう。
そう思わせる、少々ミステリアスな青年だ。
「夜中って、まだ11時じゃない!?」
まだ幼いキレイハナの菜羽(ナノハ)以外は、いる場所は別々だが皆起きている。
そう文句を言うマリアにナヒトはさらりと言ってのけた。
「子供は、もう寝る時間ですよ。」
ナヒトに軽く受け流されてしまい、
怒りのやりどころに困ったマリアは周辺の机やらソファーやらに当たりはじめた。
やつあたりはいけませんよ〜とのんきに声をかけるナヒトを、
物陰から見つめる瞳が。
「神楽(かぐら)、お前何やってんだ?」
かぐらと呼ばれた少年(といってもナヒトより少し下くらい)はおずおずと物陰から出てきた。
「…ボクもやっぱり子供なんですか?(もう寝なきゃですか?)」
人差し指同士をくっつけたり離したりしながら何となく場違いな質問をするこの少年は(とてもそうは見えないが)カイオーガの神楽。性格はおくびょう。
「君は寝なければというより寝た方が良いです…(小声で)早く部屋に行きなさい」
ナヒトがそう言うのも、マリアが今にもかぐらに殴りかかりそうだったからで。
かぐらは飛び上がって飛び上がった勢いのまま飛び跳ねながら自室へ戻っていった。
「はぁ…」
リンが一部始終を見終わってため息と共に崩れ落ちたころ、
マリアも暴れきったのか疲れ果てて眠り込んでいた。
「私が運んでおきますね…」
これも日常茶飯事。
その疲れて眠ったマリアを自室まで運ぶのもナヒトの仕事だった。

「フフ…こういう生活も、楽しいものですね。」
リンは、一日の終わりはいつもこのテラスでナヒトと過ごす。
眠ったマリアを運び終えて、戻ってきたナヒトが笑いながら言うと、
冗談じゃない、とリンは返す。
「俺ぁおかげで寿命が縮む思いだよ…」
などと、リンがあまりにも、本当に疲れた様子で言うものだから、
ナヒトはまたしても笑ってしまうのだった。
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chico #2★2005.01/10(月)12:00
2.侵入者発見! ターゲットロックオン♪


「おっはよーございまーすっ!!」
リビングに面した扉の一つから不思議な髪の色をした少女が、勢いよく飛び出す。
スチャッと音がしそうな勢いで敬礼のポーズ。すっかり「気をつけ」の格好。

し〜ん

「…」
ビシッと伸びた手がふるふると震え始める。
「…おはようございます。皆さんまだ寝ていますよ。」
脇のカウンター(台所になってます)の向こうから那仁が声をかける。
コーヒーをいれているらしい。
その間、少女はずっと敬礼の格好のまま固まっていた。
と、突然こおり状態が治ったかのようにへたりこんだ。
「また起きているのはナヒトさんだけなの〜?」
少女の名は菜羽(ナノハ)。
一見小学生くらいの人間の少女だが実際はフラワーポケモンのキレイハナ。
色合いの関係か、髪が二色に塗り分けられているので、ほどくとえらいことになるらしい。(噂。)
「ええ、そうですよ。」
そう言いながら、コーヒーを入れたカップを片手にカウンターの奧から出てくる。
と、すっと二人の背後に影が立った。
「…フフ、そうですか、君も起きていたんですね。」
「クラヤくんか〜。びっくりしたじゃーん。」
暗哉(クラヤ)と呼ばれた少年は黒ずくめの格好をしていた。正体はカゲボウズ。
クラヤは、ナヒトの半問いかけに頷いて応えたきり黙っている。
もともと目つきの良い方ではないので、こんな態度を取っているとひたすら陰気だ。
ふと、三人が同時にピクリと反応した。
棚に置かれた透明なプラスチックのオブジェが赤い光を発し、微かにサイレンの音が鳴っている。
「侵入者…ですかね」
三人はすぐ、三階の管理室に向かった。

およそ3分後、ここの住民全員が管理室に集合した。

「久しぶりの侵入者だな。」
と、アブソルの流斗(ルウト)。白髪の美少年(待て)。
「そうね、しばらくとんと来なかったのに…」
ツンツン頭のアネゴ、毬亜(マリア)。
「しかも餞(はなむけ)だかなんだか知らねえがやたら人数が多いと来てる。目的は何だろな?」
トレーナーのリンフィア。セリフが女らしくない。
「今日はロケット団?アクア団?それともマグマ団かな?」
敵に対して好奇心旺盛、菜羽(ナノハ)。
「どれにせよ、困るですよぉ…」
マリアにのしかかられつつ、弱々しくつぶやく神楽(かぐら)。
那仁(ナヒト)はなにやら機械を操作している。
「にしても何なの?いつの間にか監視カメラなんかつけちゃって」
「リンのお達しですよ…でもおかげで敵を早期発見できたでしょう?」
「早期発見って…敵は癌と一緒ですか?」
神楽が下の方からつっこむ。
「それよりどうなのよ?敵は。結構多いんでしょ?」
「確かに、多いは多いが…」
「一人で充分ですね。頭数そろえただけで、一人一人は大したことないですよ。」
「…所詮は烏合の衆だね。」
何気に喋ったと思ったらキツイ一言な暗哉(クラヤ)。
「で…誰が行く?」
ルウトの問いかけに、マリアが対応する。
「リン、今こン中で一番弱い奴は誰?」
それを聞いたリンフィアが黙ってゲー○ボーイ○ド○ンスを取り出し、
手持ちポケモンのステータスを確認した。
「…。」
皆の視線がリンフィアに注がれる。
「…。」
「!」
リンフィアが黙って指さしたのは。
「えっ!?ぼ、ボクだですですかぁ!?」

なんと白羽の矢が立ったのはカイオーガの神楽!
果たして神楽はまともにバトルが出来るのか(失礼)!?


つ、続いてしまった…!(汗)
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chico #3☆2005.01/17(月)07:29
3.がんばれ神楽!

神楽は呆然と立ち尽くしていた。
ボク?ほんとに?
すでに半泣き状態である。気の毒に…
「ええい、ぶつぶつ言ってないで早くいきな!」
そんな神楽に遠慮なく蹴りをぶちかます毬亜。…あねさん、正直恐いです。
そんなこんなで神楽はいきなりけり出されてしまった。
彼の後ろには、水浸しのモップを引きずったようなあとが。
彼らの中ではすでに普通のこととして見られていたため話が出なかったが、
実は、カイオーガの特性あめふらしのせいで、神楽の周辺だけは常に雨なのだ。…もちろん、室内でも。
今も彼の頭上には彼の心境を表すかのごとく暗雲が垂れ込め、大量の雨粒が降り続けている。
毬亜は、握り拳をぶるぶる震わせながらそんな彼の背中を監視カメラ越しに睨んでいる。
普段家事のほとんどを任されている毬亜にとって、こんな迷惑な特性はないわけで。
まぁそのために一部をから○床にしたり床を傾けて水が流れるようにしたりと改装工事したわけだが。
「ったく…まだその拒絶症は治っていないのか」
「あ、あたりまえじゃないの、もうあの姿見てるだけで怒りがこみあげてくるわっ!」
呆れる流斗に、依然神楽を睨み続ける毬亜。
そんな姿に苦笑するリンフィア。あんたは黙って眺めてていいのか。←トレーナー

一方神楽側。今は廊下を通って入り口に向かっている。
もうすぐ敵と遭遇してもおかしくない位置だ。
「マリアさん…まだ怒ってたですか…」
がっくりとうなだれたまま歩き続ける神楽。毬亜に蹴られたことがそんなにショックだったのか。
「ボクなんかが一人で戦えるわけないじゃないですか…なんでみんなよってたかって(注※毬亜だけです)ボクのこと苛めるんですか…ひどいじゃないですか…」
もともと楽観的な性格ではないので、どつぼにはまるとなかなか抜け出せない神楽である。
とそこへ、ついに辿り着いた侵入者が…
「らりるれロケット団」を大合唱しながらやってきた。
リーダーらしき人物(一人だけ服装が違う)は悪人面にりっぱな髭を蓄えており、ひときわ大きな声でらりるれロケット団を歌っている。
(…。顔を歌が合ってないです)
って、そんなこと考えてる場合じゃなかったです!神楽は一瞬気を取り直した。
が、すぐくじけた。
神楽はいつのまにか連中に取り囲まれていたのである。
おもわず神楽は眉を寄せる。
ロケット団とおぼしき連中はニヤニヤしながらそれぞれに武器を構えようとする。
だんだん目の端が赤くなってきた。目が潤んでいる。
連中がそうして一歩前へ出た、そのとき。
神楽の目の端から透明な液体が。

かぐらの うそなき!
てきの ロケットだんの ぼうぎょりょくが ガクッとさがった!

いや、今の嘘泣きじゃねーよ。…なんてつっこんでる場合ではない!(焦)
ロケット団(仮)はそれで一瞬動きが止まったのだ。
「う…ひっく…ひ、酷いじゃないですか…」
涙は止まらず、神楽の目からぽろぽろと延々流れ続ける。

かぐらの うそなき×2!
てきの ロケットだんの ぼうぎょりょくが ガクガクッとさがった!

だからうそなきじゃねーっつーんだよ。…じゃなくて。
ロケット団(仮)は防御を下げられた上に動きも止められてしまったようだ。
その間も神楽はずっと泣き続けていた。

かぐらのうそなき×100!
てきのロケットだんの ぼうぎょりょくが ガクガクガクガクガクガクガクガク以下略!

ナレーションが省略すんな!…じゃない。
と、そのとき。
「酷いですよ…みんな…みんな酷い…!」
神楽はロケット団(仮)のリーダーをきっと睨むと、思いきり息を吸い込んだ。
「うわあぁー−!」

かぐらの みずのはどう!

ロケットだんの リーダーは たおれた!
ロケットだんの したっぱ1は たおれた!
ロケットだんの したっぱ2は たおれた!
ロケットだんの したっぱ3は たおれた!
ロケットだんの したっぱ4は たおれた!
ロケットだんの したっp…以下略!

また略すのk…え、もういいよな。(疲)
ちなみに神楽は叫び疲れて眠っていた。
「なかなかでしたね…マリア?」
那仁が監視カメラ表示画面のスイッチを切りながら言う。
毬亜はなんでアタシに話を振るのよ!?とでも言いたげに那仁を睨んだが、
すぐにぷいっと顔を背けてしまった。
「・・そうね…。まあまあ頑張ったんじゃない?」
最後の画面には、疲れ果ててベッドの上で爆睡中の神楽が映っていた。

よくやった かぐら!
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[607]

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