ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[608] 誕生ノシマ

毬音 #1☆2005.01/11(火)21:04
第一話「覚醒、逃走」


「あぁ…やっぱり、こんな三角物体調べるのなんて無意味な研究止めてとっとと弁当食べようよ…」
また泣言を言う部下(あっちは彼女と思っているらしいが、知らない)と、それを嘲笑うかのようにして聳え立つ巨大な三角の物体、「アンノウン・トライアングル」。
「何いってるの、私が此処に来たのはこの物体を調べる為で、アンタとデートしに来たんじゃないのよ?わかってるの、シクラ?」
「だって、シマはデートするから3の島に行くって行ったのに散々船酔いさせられてヘトヘトになって、やっと着いたのは変な何もない島!早く3の島に行こうよ…」
「あんたバカねぇ、この島のどこにが何もないって言えるの?現に、『存在する古代』アンノウン・トライアングルはここにあるし、ポケモンはいないけど…ほら、えーと…んーと…」
「もういいよ、僕帰るから、じゃあね!」
怒っているのをあらわにしたいのか、地面をドンドンしながら歩いている。(後に聞いたのだがひきとめてほしかったそうだ)
今に見てなさい…後悔するわよ、「天才考古学者シマさんが、たんじょうのしまの『存在する古代』を解読!」とかいう新聞がカントー、いやジョウト、いやいやホウエンにまで届き、私は一躍有名になるのよ、おほほほほほほほっ…

私はシマ。天才考古学者で、超が何個あっても足りないような美人。性格はおしとやかで、趣味はポケモンバトル。こんな稀な才能もってる人なんて他にいないわよ。
で、今風とともに去っていったのは、だめ部下シクラ。シクラは苗字で、名前はメンタ。趣味が悪く、どじも多く、なぜか先輩に可愛がられるタイプ(意味わかんない)趣味はガーデニングだとか。…なんで、知ってること回想してるのかしら?

って、誰か引っ張ってる?

「るり〜」
ああ、マリルリか。私の最愛のポケモンで見かけによらず頭脳明晰、力持ちで美しさをも兼ね備えたポケモンよ。ニックネームは「メイプル」。でも、メイプルの最大の欠点は…
「るりるりるりるぅ〜ん」
…目が語っている。『シクラさんから私を離さないで〜』だ。
メイプルの最大の欠点はなぜかシクラにほれていること。
これはいくら教育しても直らなかった。(だめだ…)
「るりるりるぅ〜!!」
違う?じゃあ何?あ、アントラ(略しちゃった)が赤く点滅してる?
しかも、だんだん近づいてきてる!!
身の危険を感じた私とメイプルは、あわてて研究所のクルーザー(拝借してきちゃった☆)に乗り込むのだった。
ブゥロロロロロロロロ…

続きますよ?(何)
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毬音 #2☆2005.01/13(木)20:59
第二話「追跡、定着」

ブゥロロロロロロッ!!キュババババ!!
一応免許は持ってるがすごい危なっかしい運転で難を逃れた。
「ぁ〜…疲れた…一応逃げられたわね。…何?メイプル?」
「るりるりるぃ〜!る、るるる…」
「あら?メイプル!?倒れちゃった…酔ったのかな…とりあえず、モンスターボール…あら?なんでモンスターボール反応しないの?おーい、モンスターボール…起きてますか?大丈夫ですか?」
機械に対して無意味な発言をしまくってみる私。しかしその思いは空しくぜんぜんメイプルを戻す気がないようだ。
「まぁいいや…行くぞ、D-アイゴ号っ…エンジン入らない…なんでこんなことが?とりあえず研究所に連絡して救助してもらわなくっ…」

「待て、小娘」

…今の誰?ってメイプルが喋ってるっ!?
「落ち着け小娘。私はこの生物の姿を借りているだけだ。とりあえずその電子連絡機器を手から離せ。」
とりあえず電話から手を離す。そして聞いた。
「あんた誰?何の目的でメイプルの中に入ってるの?」
「あっ…あんただとぉ!…まぁいい、私は小娘らの名前で言うと『アンノウン・トライアングル』のひとつ。目的は小娘と話すことだ。」
「アンノウントライアングルぅ!?喋れるの!?」
率直な感想を述べるとアントラは怒って、
「当たり前だろう!私は古代の者に造ら…おっと、ここまでにしておこう。小娘、お前への用事は…」

「偉大なる『お使い』だ。」

最初その言葉を聞いたときアントラをひっぱたいてやろうと思った。(しかし外見がメイプルなので止めた。)お使いだと!そんなのシクラにでも頼んどけ!
「お使いと言ってもな、私はお前を追う途中で3つに分かれてしまい残り二つがどこかに行ってしまったのだ。その3つを探す為のお使いだ。つまりお前のせいで我等が3つになったのだ。そのお使いをお前に頼むのは意義ないな?」
くっ…反論できない(この小生意気なアントラがぁ!)
「お前はお使いを恐らくサボるだろう。そこでだ、この私がこの生物の中に入り監視する。」
「冗談じゃないわよ!なんで愛しのメイプルをあんたみたいな奴に譲らないといけないのよ!そんなのそこら辺のコラッタにでも入っときゃいいじゃない!」
ちょっと荒っぽい反論。コラッタがどうでもいいんじゃないのよ。
「…そこら辺のコラッタに入って命令して小娘が言うことを聞くとは思えない。」
このっ…ん、よく考えたら、これはチャンス!
「いいわよ、メイプル。…あ、メイプルじゃないわね、あんたの名前は?」
「…デオキシス。」
「ふぅん、よろしく、デオ。」
「何故略する!」

続くそうです。(爆)
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毬音 #3☆2005.02/22(火)19:05
第三話「報告、宴会」

というわけで、私たちは一旦研究所に戻ることになりました。
本当はデオの事を報告して金儲けがしたいんだけどデオが「報告!?そんな事したら小娘…ただじゃおかないぞ?」と言われたので、一応所長に報告する事にした。(ちなみに所長は父さん。)…嘘の報告をね。
「ハコベ所長。アンノウン・トライアングルの事ですが…未だ動きは無く、変化は見られません。」
「そうか。…シマ、ところで今日のパーティーの事はわかっているか?」
「…ハァ?」
本当にきょとんとした。(きょとんって、何だろう?)
まぁ確かに有名研究所所長の娘だからそういう「おひろめパーティー」というのはよく招待される。しかし父さんの話によると、
「今日は、昔の友人の会社主催のパーティーだから是非来てくれと言われて…これは付き合いだから仕方無いんだよ。」
よく父さんはパーティーをすっぽかす。
「明日の7時から、サントアンヌ号だよ!」
父は念を押して、部屋に戻る私に叫んだ。

『馬鹿者!!なぜパーチーなぞに行かねばならぬ!パーチーよりお使いのほうが大事だ!すっぽかせ!』
「だー!!デオうるさい!仕方ないでしょ!私だってあーゆう硬っ苦しい場は嫌いなのよ!でも仕方ないのよー!!」
こうして1時間程、言い争いは続く。

「サントアンヌ号へようこそ!ごゆっくり海上のパーティーをお楽しみください!」
パーティードレスの人とタキシードの人とモンスターボールのポケモンたちと…まぁとりあえずたくさん人がいた。
「おお!ハコベ!よく来てくれた!」
「ススキ!お前は変わってないなぁ!おお、これは娘のシマ。」
「よろしくお願いします。」(この時思ったのだが私は『これ』ではない)
「ああ、宜しく。私の娘も紹介しよう。…ビスカ!来なさい!」
呼ばれてきたのは、天然パーマらしい女の子。二つ結びにしている
「ビスカですわ…宜しくお願いいたしますわ。」
そういうと、私のほうをチラッと見て去っていった。
「さぁ、もうそろそろ始まります!皆さん席にお付きになってください!!」
ススキさんが叫んだ。

『…小娘。まだ終わらんのか?』
「しょうが無いでしょう。私だってめんどくさいわよ。」
『ならやはりすっぽかせば良かったではないか?面倒なのだろう…』
「だからしょうがないんだって…」
と、ぜんぜん意味の無い会話のエンドレス…と思ったその時だった。

ボムン!
「なんだ!何だぁ!?」
「キャー!泥棒よぉぉ!!」
何!?と思ったその瞬間、辺りに煙が立ち込めた。
急いでハンカチで口と鼻をふさぎ、部屋から出る。
どうやら催涙ガスだったようだ。
えーと…
周りを見回すと階段には…ビスカさん?
「あの、大丈夫?」
とりあえず揺さぶる。15秒ほど揺らすと起きた。
「うう…シマさん?ああ、良かったですわ。踊り場に飾ってある絵を見てたらいきなり変な人たちが突き飛ばしてきて…」
「私のお父さんもビスカさんのお父さんも催涙ガスで…こうなったらやるしかない…」
「何ですの?」
ビスカさんが不思議そうな顔をする。
「決まってるでしょ!変な人たちを追ってコテンパンにしてやるんだからね!」

続くみたいですけど?(ぇ)
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毬音 #4☆2005.03/24(木)11:22
第四話「脱走、翻弄」

場所は船長室。が、さらにハイテクになったサントアンヌ号は自動運転。
船長室からは、二人の男女の声が微かに聞こえる。
「きっひひ〜☆お宝いぃっぱい!!さすが著名人ばっかり集まってるパーティだけあるねえぇ☆」
「…壁などに掛けられている絵画、書その他諸々も本物ばかり。
…防犯面は…まあまあだったな…」
「まぁまあぁ?違うでしょマカ君、あんなのチョチョイのチョイ☆あたし達盗賊団に敵はいないよぉん☆」
「…ダミア…早く部下らに指示を出せ…早く退却しないとジュンサーは…来ないんだったな。催涙ガスを放っておいたからな…。」
「そそ☆マカ君とあたしはゆっくりお宝の山分けよぉ☆つまりぃ、山分けってことは、人数が減れば減るほど分け前が増えるんだよねぇ☆って事でぇ、マカ君よろしくぅ☆」
「…野蛮な事は好きではないが…ダミアが言うなら…」
ガスッ!
僕は意識を失った…

ペキ!ドグシャ!バスン!
「うわぁぁ!」
次々倒れる黒服の男達。(ちなみにシマは拳法が得意なのだ)
「どっからでもかかってこいや!」
はっきり言う。怖い。小娘がこんなに怖い女だと知らなかった。何故こいつと一緒にお使いをしなくてはならないのだろう?
「メイプルぅ!みずでっぽう!」
…はぁ?
「早く!みずでっぽう!」
『馬鹿者!私はみずでっぽうなぞできぬ!せめてサイコキネシスとか』
「もういいわよ!」
といいながらバキバキやっていく。
それをみてオロオロする巻き毛。
「私どうすれば良いのでしょうか…」
知らぬ、と答えたかったがマリルリがしゃべるとびっくりするだろうので、言わなかった。
そして小娘が戻ってくる。この辺の黒服は一掃したようだ。
と、思ったら、踊り場に大柄の男がいるではないか。
「おい!そこの女ども!よくもやってくれたなぁ?俺のかわいい部下たちを…仕留めてやらぁ!行け、サイホーン、シードラ!」
「ホーン!」
「ドラ!」
…バトル?おい小娘、私以外のポケモンを出せよ。
「行け!メイプル!」
…仕方ないか。
「ランチィ、行きますわよ。」
「ちょんちぃ?」
なんだか凄く可愛らしい。
「甘い!ケーキより甘いぜ!行けシードラ、みずでっぽう!」
「ドラー!」
みずでっぽうが当たったが、さほど効果はないようだ。
「では行きます。ランチィ、スパーク。」
「ちょ〜ん、ちぃっ!」
シードラに向かって一直線…?
「サイホーン!」
と、スパークはサイホーンに当たる。
「く、ひらいしんですか…」
「ピンチ?」
『知らぬ。』

続くみたいです。(ぇ)
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毬音 #5☆2005.04/18(月)16:08
第五話「過去、天敵」

久しぶりのポケモンバトル。
最後にやったのは、母さんとだった。
当然私が勝った。
しかし、そのバトルの後…

記憶はそこまでしかない。
無理矢理、もみくちゃにして消したのだ。
もし、ここで、私が勝って、相手が母さんのようになったら、

どうする?

「どうしたぁ!?怖気ついたのか!?」
ハッと我に帰る私。
「だったら先にサイホーンを倒せばいいことです。ランチィ、なみのりっ。」
「ちぃ〜。」
ザバザバ…
シードラはそうでもないが、サイホーンはかなりダメージを受けたようだ。
…いけるかも。
「ええい、シードラ!えんまくだ!」
「ドラー!」
もくもくもく…。
「うっ、前が見えないです!」
「けむた〜い!!」

と、目の前には誰もいない。
どうやら、さっきの大柄の男は逃げたようだ(仕留めてやるとかいっときながら…)
「これで、先にすすめますわね。」
「うん、絶対一泡吹かせてやるんだから!」

「ボ、ボスぅー!」
「何よ?忙しいの、早く言いなさいよ。」
若い女ボス、ダミア様の声が、部屋の中から聞こえる。
「大変です!眠ってない奴らがこっちに向かってます!」
「へぇ…倒してこなかったの。…マカくーん☆やっちゃって。」
「…ダミア。自分で少しはやれば良いのに…」
ガス!

さっき倒していった黒服たちが、ボスは船長室と行っていたので、船長室に向かって歩いている私たち。
そこに、デオが話しかけてきた。
『小娘、さっきは何を思っていた。』
「へ?バトルに集中…」
『嘘をつくな。どこか…違う風景を見ていただろう?』
こいつは勘が鋭い。しかし、本当の事は言えない。
そのまま黙り込む。
『小娘…。』
「さ、さぁついたわ、船長室!お化けでも秘密結社でも出てらっしゃい!」
ガラッ!

「あ、いらっしゃ〜い☆」
部屋にいたのは、黒くて長い髪の女の人と、薄い青の髪の男の人、さっきの大柄(倒れてる…)、中学生くらいの男の子。(こっちは、さるぐつわをかまされて、ロープで柱にぐるぐる巻き)
「あんたら誰よ!なんでパーティをめちゃくちゃに?」
とりあえず、聞きたかったことを聞いてみる。
「私は『影蓮』のボス、ダミア☆そしてこっちが副官マカ君。」
えいれん…。最近、悪事をはたらく悪い組織。何故か、影蓮は警察に捕まらない。
最大の謎だ。
「…何をしに来た?」
「もちろん、あんたたちに一泡吹かせるため。父さん達を眠らせたり、船のもの盗んだり。大人の風上にもおけないわ。」
「そうか…。しかし君たちの相手をしている場合じゃない。眠ってもらう。」
マカの手がスッと伸びる。や、やばい…。
「させるかよっ!」
げしっ!
と、男の子がマカを蹴る。
あれ?柱に縛り付けられてたはず。どうして?
見ると、ビスカさんがVサイン。(ビスカさんがほどいたのね。)
「うっ…カカオ、どういうつもりだ?」
「兄さん、だまされちゃダメだよ!この女の言う事なんか…聞いちゃダメだ!」
どうやら、マカの弟だったようだ。しかし言うことがあまりよく分からない。
「カカオくーん、マカ君はね、まじめに働いてるの☆それを邪魔しちゃ・・」
ダミアが、構える。
「ダメよっ!!」
スパンとローキックが決まる。
「悪いわね☆じゃ、ばいばいびーん。」
すっと去ってゆく二人。
そのあと、私とビスカさんと、デオでぽかーんとしていた。

ピーポーピーポー…。
「はい!影蓮の仕業なのですね・・。ご協力ありがとうございました。」
ジュンサーさんが去っていく。
「結局つかまったのは、下っ端ばっかりみたいね。」
「ええ・・。でも、父さん達が目覚めたので、本当によかったです。」
ビスカさんの安心した表情。
『私も…バトルを本気でしなくて、よかった。』
心の中で、そうつぶやく。
『小娘。』
「何?早く言って。」
『さっきは…。気に障るような事を言ってしまい、済まなかった。』
デオが謝るなんて、と思いながら、
「ううん、気にしないで。」
と口にする。
「ねぇ、シマさん、カカオさんに話を聞いてみない?どうしてこんなことになったのか知りたいですし。」
私は、コクンとうなずいた。

「え、なんで今日みたいなことになったかって?」
「…それは――」

続くぽいです。(ぉ)
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毬音 #6☆2005.05/07(土)18:51
第六話「就職、準備」

「実は俺、両親いないんだ。だから兄さんと出稼ぎに来てたんだけど。」
話は長くなるので、簡単にまとめてみた。
お兄さんと出稼ぎに来てたカカオ君。って言っても、やっぱり年齢が年齢だからなかなか働き口が見つからなかったらしいの。
そんな中、偶然船乗りのバイトを発見して、お兄さんにも知らせようとしたらしいんだけど、テントにも、町にもどこにもいなかったらしいの。
仕方なく一人でバイトをしていて、お兄さんの姿を見かけたカカオ君。話を聞いてみると、「…お前も来るか?」って言われて、そんでもって、船長室で話してみるとお兄さんが騙されてたらしくて…それからは気を失っていたらしい。

「俺…なんで兄さんの様子に気づかなかったんだろう。兄さんいなくなる前から様子がおかしかった…」
急に外にでなくなったり、やけに誰かと連絡を取ることが多かったそうだ。
「お気の毒ですわ。どうしてお兄さんは、盗賊のメンバーになったりしたのでしょうか…」
ビスカさんが、不思議そうに言う。
「これからどうすりゃいいんだよ…!あの女のせいで…」
カカオ君が悔しそうに地面を叩く。確かに、一人じゃ生活できていけないだろう。
どうしたらいいのかな…。

「なら、うちの会社で働かないか?」
「へ?」
見るとススキさんがニコニコ笑って見下ろしている。
3人でぽかーんと見つめていると、ススキさんが続けて、
「さっきの話をコッソリ聞いていたが、とても大変そうじゃないか。どうだい?」
ニコニコしているススキさんに、カカオ君があわてて首を振る。
「え、でも暮らす場所とかは、どうすれば?」
「もちろん、我が社の寮でくらしてよいぞ。」
「え、でも。そんなもったいない…」
カカオ君が慌てる。
「その代わりカカオ君、ビスカの世話役になってくれないか?」
「ええ!?」
ビスカさんとカカオ君が同時に叫ぶ。
内心、ススキは『ビスカは大人にはあまり心を開かないので同年代の子を連れてきたらどうか』と思っていたのだ。
だが、
「そそ、そんな男の方と!」
「ええっ!?身の回りの世話なんて俺無理ですよ!」
…無理もないか。
だってこの年代はちょっと抵抗があるもんね。
『小娘ー。早く帰るぞ。事件は解決したんだしこの話はお前には関係ないだろ。ほら、行くぞ!』
うわ、デオひっぱるなっ!(周りの人からみるとマリルリが人引っ張ってるんだからかなり違和感あるわよね。)
そしてずいずい引っ張られ、話を最後まで聞けなかった。

「あ、お帰りなさいシマ。」
私の義母にあたる、スズナが雑誌から顔を上げる。
「ただいま義母さん。父さんはまだ二次会やるぞーとかなんとか言ってるから明日まで帰ってこないよ。」
「そう。ハコベさんったら若い子一人置いていって。」
そしてぶつくさ言い出したのでそっと部屋に行く。

部屋。
デオがしゃべりだす。

『なあ、小娘。私のかけらについてだが、まだちゃんと話してなかったよな?』
ああ、そういえば。集めるってだけでまだどんなものなのか聞いてない。
『私のかけらは、精神、肉体、能力の三つに分断された。精神…もとい私のことだ。肉体が無い間は自由に他の生物に入り込むことができる。』
へぇ…いろいろな意味で恐ろしいわ。
『肉体は、まぁ言わなくても判るだろう。普段は円形だ。水晶…とでも言っておこうか。そして能力。自由に遺伝子操作ができる。これを悪人に奪われると大変なことになるぞ…』
「デオってすごいのね…普通のポケモンじゃないわよ?」
『当然だ。私が普通のポケモンなどであるものか。』
…なんて自信家なの。
『まぁ、それまではこの青兎の中でゆっくりしておくか。』
もう!私のメイプルを!

ぴんぴろぴんぴろろ〜ん♪
私のポケギア(かなり改良されて、今じゃ『ポケギアVI』)にメールが届く。
ビスカさんからだ。

[今日はどうもありがとうございました。シマさんが居なかったら、私あんな行動できませんでした。本当に感謝しています。カカオさんは、私たちの会社で働くことになりました。それと、今度私の家に遊びに来てくれませんか?話したいことがあります。それではお待ちしています。]

へぇ…人に感謝されたのは何年ぶりかしら。それに…
シマの頭に[ビスカさんの家=金持ち=豪邸=遊び放題、食べ放題、飲み放題]の等式が立つ。
うふふふふ♪そりゃいいわ、別荘みたいな感じね。そうと決まれば早速準備…
『小娘ェェェ!どこに行く気だ!早くお使いを済ませろ!』
「うるさいわね!あんたは黙ってなさい!」
と行って、デオをボストンバッグにつっこむ。
『ムガフガ!モゴガガバフェ〜!』
…小娘、ここから出せ〜!らしい。
あーもう…こんな奴なんで仲間にしたのかしら!

続くっぽい(ぇ)
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毬音 #7☆2005.05/22(日)13:47
第七話「ススキ邸にて」
※密かにタイトルの決め方変更。

「ようこそシマさん!歓迎しますわ!」
いつもより数倍機嫌のよさそうなビスカさん。
私も朗らかな笑顔を返すが、ボストンバッグの中から邪気が出ている。
『こぉむすめ〜。』
邪気、と言うより殺気に近い。(ボストンバッグの中のモンスターボールから出ているのにすごく殺気を感じた。よっぽどなのね)
「さ、大広間へどうぞ。」
ビスカさんが促す。私も廊下を歩く。
しかしまぁすごい!
廊下には、有名な画家が描いたポケモンの絵がずら〜っと並んでいる。そして歴代社長の肖像画。みんなおじさんだ。
「私も一人っ子ですから、後を継ぐことを考えないと…。」
ちょっと元気がなさそう。後を継ぐのが嫌なのかな?
『まぁ、このような家の生まれだから、窮屈なのは嫌なのだろうな。』
ボストンバッグから声が聞こえる。
う〜ん、私も毎日部屋の中に居るなんて耐えられないなぁ。
と、そんな事ばかり考えていると、
「着きましたわ。」
あっと言う間に到着した。

「こんにちは!シマさん!」
カカオ君が顔を上げる。
船で会ったときにはショボくれていたが、今は子犬のように瞳を輝かせている。
「あ、じゃあみなさん、椅子にお座りになって。」
3人が椅子に座る。(バッグは下におく)
「話したいこと、って何ですか?」
私がビスカさんに聞く。
「えっと、その前に、シマさん、タメ口で良いのですよ?」
「へ?だって。」
お嬢様だから、と言おうとしたが、
「私、そういう風に扱われるの嫌で…カカオさんにも、しゃべり方は普通にするよう頼みました。」
「ああ、そうだった。ここの暮らしが窮屈でたまんないらしいし言葉使いとかでウンザリしてるんだって。」
へぇ…苦労してるのねぇ。
「うん、わかったビスカ。で、話したいことは?」
「えっとですね…」
ペラペラとポスターを取り出すビスカさん。
「これです。」

《来たれ!最強のポケモントレーナー達よ!第1回ナチュラルドームトーナメントカップ/※優勝賞金5万円&緋色の石/スポンサー/ススキグループ/ミゾハギグループ》

「ほぉ〜。ポケモンバトルトーナメントかぁ。」
関心を示すカカオ君。でも私…
『小娘!おい、この…この石!』
デオの声がする。ん?
ひーろのいし…あ!
久々登場のアントラだ!
まさかバトル大会の賞品にされてたなんて!
『小娘、ぜっったいこの大会に出ろ!みずでっぽうは覚えてやるから!』
くっ、この自己中ポケモン!
でもまぁ、久しぶりにバトルっていうのも…気分転換にはいいかもね。
「でも、どうして俺らが出ないといけないんだ?」
不思議そうなカカオ君。
「それはですね、父上の会社がスポンサーをしていて、それで何人か友達を連れてこの大会に出たらテレビで映すのにも都合がいいって言ってましたので。」
「テ、テレビ!この大会テレビ中継されるの?」
驚いて私が聞くと、
「はい。確か全試合ゴールデンタイムだったと思います。」
シマの頭の中で(テレビ出演→スカウト→芸能界デビュー)という式が立った。
シマの目に炎が宿る。
「もちろん、やるわよぉ!カカオ君もでしょ?」
「うん!優勝したらお金が手に入るし!」
このセリフを聞いたデオは「なんて奴らだ!」と思った。
「勿論、私も出場します。それでは、また追って連絡します。」
ビスカが微笑んだ。

この駄作はどこまでも続きます!(っぶ)
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毬音 #8☆2005.05/25(水)17:02
第八話「交錯する思い」
他の作者様の更新頻度がめちゃくちゃ高い事に今頃気づきました。

シマ!まだまだ甘いわね!さぁ、ウインディ!とっしん!
ドン!
きゃぁ!メイプル〜!いくらお母さんでも許さないからねっ!メイプル、バブルこうせん!
シマ、腕を上げたわね。でも、母さんに勝つのは後10年早いわよ。ウインディ!とっし…

ガバッ。
…変な夢みちゃった…。
あれはもう9年前の事。
なんで…夢みちゃったんだろ。
あの事を思い出すたび、苦しい。
私が母さんを殺したも同じなのだから。

ぴんぴろぴんぴろろ〜ん。
ビスカさんから、連絡が入る。
…ふぅ。
明日、私が誰かを傷つけませんように。


薄暗いアジト。
花のような飾りや、スノースプレー、モンスターボール、ポケモンぬいぐるみが無造作に置いてある、ボスの部屋。
ボスは気づいてない。
気づかぬ振りをしているだけかもしれない。
しかし、この事は絶対、世に知らしめなければ。

これが私の使命だから。
計画は明日から始まる。


準備は整った。
全てを陥れ、何もかもなかったことにする。
あの組織も、この石も、あの島も。皆の記憶も。

そして、今は研究所にいるあの女も。
フフッ…
明日はいい日になりそうね。


そして夜は明け、
いざ、大会へ。

ん、続きますみたいです。(?)
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毬音 #9☆2005.05/27(金)18:09
第九話「特別ゲスト」

蒼い空!白い雲!が描かれたドームの天井にただただビックリする私とカカオ君。
「一応、今は夜の6時30分ぐらいですけどね。すごく綺麗ですね…」
う〜っとり視線のビスカ。実際、本物のように見える。(最近の科学の進歩はすごいわね・・)
「あ、もうそろそろ戻らないと。打ち合わせが始まるぞ!」
カカオ君が、慌ててそう言った。

「…というわけで、予選を通過してきた皆さん、今日は白熱するバトルを、頼みますよ!」
テレビの人(?)に言われる。(そんなに楽じゃないんだけどなぁ・・バトルを盛り上げるのも。)
「すげぇ、放送するのは…サンデー放送局、シオンラジオ、それから・・うわ!ジョウトのコガネラジオまで!すげぇな〜!」
目をまんまるくして言う、カカオ君。(ジョウトまであるとは・・恐るべし!)
「そういえば、コガネラジオ局って、9年前にロケット団にのっとられましたわねぇ…」
突然言い出す、ビスカさん。(私はちょっと覚えてるけど…なんでも凄腕トレーナーが解決したらしい。)
そんな話をしていると、急に話しかけられた。
「やあ、皆さん。皆さんはススキグループのご一行ですよね?」
突然話しかけられてビックリする私たち。
「あ、すいません。僕はミゾハギグループのアガベと言います。どうぞよろしく。」
「よろしく、アガベさん。」
「宜しくお願いいたしますわ」
「よろしく。」
挨拶する私たち。しかしよく見るとこの人イケメン!
ゆるいウェーブのかかった茶髪と、藍色の眼。
…こういうのをカッコいいっていうのよね…(シクラは問題外である。)
「あれ、ホホバさんはいらっしゃらないの?」
ビスカさんがきく。(後でわかったけど、ホホバっていうのはミゾハギグループの令嬢らしい。)
「ああ…お嬢様は体調があまりよろしくありませんでしたので…。」
へぇ、そうなんだ。
「でも、僕がお嬢様の分まで頑張りますので。みなさんも頑張ってくださいね。」
「はい!ありがとうございま〜す!」
三人、声をそろえて言った。
ピンポンパンポーン。
「お知らせします。参加者の皆様は、控え室に集まってください。」
ポンピンパンポーン。
「じゃあ、行きましょう。」

その時シマは気づかなかった。
モンスターボールの中で、マリルリが呟いたことに。

『嫌な予感が…する。』

あーあ、続くんですって!(謎)
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毬音 #10★2005.06/23(木)17:22
第十話「トーナメントへ」
うおー、部活で更新がままならないorz

「さて、みなさん!このドームオープンイベントにおこしくださいまして誠にありがとうございます!このイベントは…」
なんかオジさんが挨拶している。この間、私達は控え室で待っていることにした。トーナメント表は…と。
「おお、皆初戦で当たらないようになってる。よかった〜。」
ほっと胸をなでおろすカカオ君。
このトーナメントは、初戦8試合、準々決勝4試合、準決勝2試合、決勝は1試合(当たり前か)でできている。
割と小さいトーナメントだけど…どうやらこのドームのオープン記念イベントらしいからね。
私はCブロック1戦目、ビスカはBブロック1戦目、カカオ君はDブロック2戦目。まぁカカオ君とあたる可能性があるのはしょうがない。
で、アガベさんはAブロック2戦目。バトルの腕前を見ておかないとね。
にしても…結構小規模なトーナメントよね。内容が濃いのかな?
「それでは、選手の方々に入場していただきます!」
気づくと皆一列に並んでいた。わ、待ってよ!

「ススキ財閥令嬢、ビスカ!そして友人のシマさん、カカオさんです!」
友人にあしらわれてる…まぁいいか。予選無かったんだし。
「そしてミゾハギグループ、アガベ!」
でっかいスクリーンに、アガベさんの顔アップ。
そして観客席にいる女の子達がキャーキャー騒ぐ。・・イケメンは凄いわね。
「謎のマスクマン、ミスターピエロ!」
…?なんでマスクマンがいるんだろう。プロレスでもないのに(シマは格闘通である。)
そしてまぁ、他の選手の紹介が終わる。
「まずはAブロック第一試合から!選手の皆さんはスタンバイしてください!」
いよいよ試合が始まった。


はっきりと言おう。
まず、一試合目はなかなかの見ごたえあるバトルだったが、
二戦目は見ごたえがある…どころではない。
何せ1分半で試合が終わったんだから。しかもストレート。
試合終了後、アガベさんは微笑み「どうもありがとうございました」と言った。
お、恐ろしい…。

このトーナメントは3体のポケモンをもちよりバトルする。
まぁ普通といえば普通か。
あ、ビスカの試合が始まる。

「おてやわらかに、お願いいたしますね」
ペコリと頭を下げるビスカさんに、対戦相手の超厚化粧でギラギラした女が
「ふぅぅ〜ん!わたすぃがけっつぃらしてあんげるわー!!いっけえキノガッサー!!」
「キノキノ!」
と叫ぶ(うわ、香水のにおいがすんごぉーいすんるわー)
「…。いきましょう、チィク。」
「とげー!」
ビスカさんは…トゲチックっていうポケモン。くりくりした目が可愛い。
バトル開始のゴングが鳴る。
「キノガサー!マハパンチー!!」
厚化粧は興奮しすぎて発音できてない(おまけに耳に付けたイカリングみたいなイヤリングも揺れるのでよけいにギラギラする)
「チィク!かわしてアンコール!」
「ちくちく…」
突然、チィクが拍手してる。相手の技を誉めてるみたい。そしておだてられたキノガッサ、マハパンチ(おっと間違えた)をやる気でマンマンだ。
そしてマッハパンチを連打するキノガッサに、トゲチックは、
「てんしのキッス!」
あーあ、混乱になっちゃったよ…
あわてふためく厚化粧とフラフラキノガッサ。さらにビスカ、
「メロメロ」
…もう面白くもないわね。
ぐーっと、悔しそうな厚化粧。
「ななな、こんなのひきょぉぉよ!!」
これがポケモンバトル。しょうがないのよ。
極め付けに「サイコキネシス」。ビスカ圧勝。
「さぁ、どんどんいきますわよ!」

参考:こだわりポケモンずかん(毎回だけど;)
修正を2回しましたorz
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毬音 #11☆2005.06/26(日)17:55
第十一話「それすらも許されない」

{メイプル!かわしてバブル光線!}

あの日 あの時 あの瞬間

{やったー!お母さんに勝った!やったやった!}

早く 気づけば よかったものを

{シマ、おめでとう…くっ…}

時 すでに遅し


今から九年前の事だった。
母さんは病気だった。そしてその事は誰にも知らされてなかった。
知らずに毎日のように母さんにポケモンバトルを挑んだ私。
そして、ついに。

「いやぁぁっ!」

なんて馬鹿なんだろう…それ以来ポケモンバトルが出来ない。
しかし、母さんはいなくなる前に、
「シマ、バトルを怖がらないで。私がいなくなるのはあなたのせいじゃないわ…。いつか絶対にバトルしないといけない日が来るの。その時には、母さんが助けてあげるからね」
と言い残し、逝ってしまった。

『こむ…おい、小娘、バトルが終わったぞ、スタンバイしに行かないといけないんじゃなかったのか?』
ああ、現実に引きもどされた。私が今いるのはナチュラルドーム。ディスプレーを見ると「2−0」の文字が光っている。
「うん…いってくるわね、カカオ君」
「いってらっしゃい!」
元気なカカオ君を見て、少し目が潤んだ。

入場ゲートへの通路。
『小娘、大丈夫か?』
デオの優しいような、どこか心配したような声(こいつでも人を心配するのね)
「平気よ。あんたもみずでっぽう失敗しないでよね」
私が言うと「…この馬鹿娘」と言われた。
その時。
「ネムリゴナ。」
機械的な声が真後ろからした。
慌てて振り向いたが、遅かった。
『小娘!寝るな!ねたらしぬぞ…お…き・・』
私の意識は確実に薄れていった。

続きますとも、ええ続きますとも。本当はバトル書きたかったですorz
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毬音 #12☆2005.06/29(水)15:00
第十二話「捜索×捜索×捜索」

目が覚めたらそこは真っ暗だった。
どうやら体育座りで寝かされていたようで、体が痛い。
一通り柔軟体操をし終わって、あることに気づいた。
かばんが無い。
ということは、デオもいない。
腕時計を見る。8時30分。
もう試合予定時刻過ぎてるじゃない…。

「ビスカ、おかえり〜。」
「カカオ。結構いい汗かけましたわ。シマさんは?」
「え、もうスタンバイしてるんじゃ?」
「いえ、係りの方が探してましたけど…」
俺は首をひねる。おかしいな?かれこれ40分前に席を立った筈だ。いくら迷子になっていても、係りの人が見つけて案内してる筈なのに…。
「俺、ちょっと探してきます!」
「あ、いってらっしゃい…」
駆け足で、ゲート通路に向かった。

たったったっ…
かなり音が響く。念のため、いつでもポケモンが出せるようにモンスターボールを構えている。
と、そのとき。
前から来た人に肩がぶつかってしまった。
「あ、すいません!」
「いや…オレも不注意だった。すまない」
その人は、切れ長の目、肩まである赤色の長い髪、そして上下とも黒い服の青年だった。
「あのー・・選手の方ですか?それとも係員の方ですか?」
俺は聞いてみる。ここは関係者以外立ち入り禁止になっている。
「ん…まぁどちらでもないが…関係者だな。すまん、オレは急ぐので」
「あ、すいませんでした」
また歩いていく、さっきの人。
そういえば、とふと気づいた。
あの人、足音立ててないじゃないか。よほどのことでもあったのかな…?
あ、それよりか、シマさん探さないと。

赤い髪の毛の男――シルバーが呟いた。
「義姉さん…あの頃の父さんの意思を継ぐことなんて、絶対にさせない」

ほ、本家から出してしまったorz。続きますぞ。
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毬音 #13☆2005.07/02(土)19:15
第十三話「骨と道化師」

孤独。
それは安らぎであり、不安である。
独りでいたい時、みんなといたい時。
何故こうも人間は不完全に生まれてしまったんだろう。
愛すること。嫌うこと。頼ること。
他人なんていなくなればいいのに。
自分だけの世界になればいいのに――。

共存する人は手下。
共存する「人以外」は道具。

それが望んだこと。


私はとにかく出口とかばんを探した。
どうやらここは地下室のようで、ウィンウィンと機械の音が聞こえる。
明かりという明かりは一切なく、殆ど手探り。
ゴソ、ゴソと探している時、コツンと何かに当たった。
ん?何?
覗いてみると、なんと骨が浮いてる!
「きゃぁぁ!骨ー!」
「カラカラー!」
が同時に地下室に響き渡る。
ん?カラカラ?
あ、なんだ、浮いてると思ったのはカラカラの骨だったのか。
「カラー!」
なぜか嬉しそうにしているカラカラ。どうしたんだろう?
「カラ!カラララ」
こっちに来いって言ってるみたい。
言われるがままについていってみる。すると…
「わぁ…!すごい!」
なんと、通路が現れていた。
「すごいわカラカラ!これで外に出られる!けど、かばんが…」
するとカラカラ、心配ないよ、という顔をして、骨でかばんをつっついた。
「あ、ありがとう!」
そういうと、いつの間にかカラカラは姿を消していた。
…?あ、でももう行かないと。
私は通路に向かって駆け出した。

シマさんを探しに頑張る俺(自分で言うのもなんだけど。)
さっきの赤い髪の人に会ってから一向に人に会ってないのだ。
そろそろ諦めかけたころ、後ろから人走って来た。だれだろう?
…Mr.ピエロ!?
俺が呆然としていると、ピエロが話しかけてきた。
「ああ、君が僕の対戦相手のカカオ君だろ。」
「あー…はい。そうです。」
意外に普通の声だなー、と思いつつ、聞いてみた。
「どうしてピエロさんがここに?」
するとピエロさん、いたって真面目な顔で(っていってもマスクだからよく判らないけど)
「それが、シマさんが見つかってないだろ。だから先に後の試合を行うって。で、もうCブロック2戦目が終わってDブロックの1戦目が始まってるから、カカオ君を探して来いって言われて。」
ほぉ、それでか…
「あ、すいません。すぐ行きます。」
「うん、もう1戦目も終わるだろうから。早く行こう。」

NEXT=カカオvsピエロ(のつもり・・)
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毬音 #14☆2005.07/15(金)20:37
第十四話「ピエロVSカカオ パート1」

「大変長らくお待たせ致しましたぁ!ちょっとしたアクシデントで先に2試合目を行います!トレーナーは、グレンタウンのカカオ!」
ワァーと歓声があがる。なんだか、嬉しいので客席を見回してみる。
あ・・さっきの人!
一瞬だけ視界に入ってきた赤い髪の毛の人。しかしもう一度見ると姿は見えなくなっていた。
見間違いかな?
「出身地も顔も不明!Mr.ピエロ!」
ピエロが両手を挙げて歓声に答える。マスクの下も笑っているように見えた(本当はわからないのだけど。)
「両者、ポケモンをスタンバイしてください!・・できましたか!?それでは・・バトル開始ッ!」
ワァーッ!
「いけっ、マージュ!」
「行くんだっ、ドム。」
「ぱる!」
「なまー」
俺のポケモンはパルシェン。ピエロはナマズン。
「マージュ、れいとうビーム!」
マージュが放ったビームが、ナマズンに直撃。しかしピエロ、
「ドム、マグニチュード。」
おっと…。効果は抜群だったけど、かろうじて避けられた。やっぱりこのタイプだと不利だ。
「く…マージュ、どくどく!」
マージュがとげの間から毒を出した。よし、これで持久戦に持っていけるかな…
「ドム、マグニチュード」
ドォォン!
く、モロに当たったか。でもあいつに確実にダメージは与えられてる。
「マージュ、まもる!」
これで次のあいつの攻撃は確実に避けられる。
「…ドム、ドわすれ」
あいつはとくぼうを上げにかかった。でも毒のダメージは減らない。
「マージュ、ふぶきっ!」
ヒットした。でもやっぱりとくぼうが上がってるせいか、ダメージが少ない。
「…ドム・・じしん」
さっきのより、かなりダメージが大きい。かろうじて持ちこたえた。
「まもる!」
「…そんなバトルだと視聴率が取れないんですけど。まぁ僕の仕事は」
ん?なんか言った、ピエロ?
「此処を爆破して、アンノウン・トライアングルを手に入れることだよ、カカオ君。シマによろしく」
そういうピエロの目には光が宿ってない。ピエロというか操り人形みたいな感じだ。
右手にはモンスターボールみたいなスイッチを持っている。お、おい…っ!
俺は無意識にダッシュしてたらしい。7秒ぐらいでピエロの手についたが、遅かった。爆音が聞こえた。
「んなっ…お前…」
と、そのとき。マイクか何かでスピーカーから大きな声が聞こえた。
「無敵のスーパービューティーフェアリー、シマ参上!って一回やってみたかったのよねぇ!それどころじゃないわ、あんた一体何しでかしたの、シクラ?」

続け!(ん?)
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毬音 #15☆2005.07/22(金)18:16
第十五話「ピエロVSカカオ パート2」

俺はキョトンとしていた。何故かというと、(まぁたくさんあるのだが)ピエロのマスクの下が超美少年だった事や、会場のどこかで爆弾が爆発したりとか、シマさんが何故か非常口から出てきた事、ピエロとシマさんが知り合いだったことである。
「シークーラー…。あんた一体何してんの!?」
「い、いや、えーっと、そのぉ…」
たじろぐピエロ。(シクラというらしい)さっきまでの様子とはうってかわって、冷や汗タラタラだ。
と、そこに。
「はいはいストップ!みなさん落ち着いて!」
と、スタッフの人が入ってきた。そして、シクラさんに目で合図する。
「えーと、シマさん。僕はこの大会のアシスタントというか…まぁ盛り上げ役だったんです。それで一回戦の途中で、ニセ爆音をスピーカーから流してドーム内を真っ暗にして、そして…」
と、みるみるうちにフィールドの造りが変わっていく。
…水のフィールドだ!
あたりは一面水で、四方に柱が立っており、あとは少し足場があるぐらいだ。
「こうなるはずだったんですけど…。何故かマスクがはがれちゃうし、シマさんには怒られちゃうし・・」
あーもう嫌なこと続きだよ、という顔をするシクラさん。
「ふぅーん…。」
ちょっとシクラさんを睨んだ後、シマさんがこう言う。
「まぁ、いいわ。それよりバトルを続けましょう。」
その一言で、会場中がワァーッと盛り上がった。
そして審判が、
「バトル再開!」
と叫んだ。

「マージュ、れいとうビーム!」
「ドム、マグニチュードッ!」
マージュは、水を凍らせながら、ビームを放つ。氷のつるつるした道ができた。
そこに、マグニチュードで起こした津波が襲い掛かる。
「マージュ、ふぶきで凍らせろっ!」
マージュの放ったふぶきが津波にあたり、津波はきれいな氷のウェーブになった。
シクラさんが不敵な笑みを見せる。
「甘いですよっ!ドム、のしかかり!」
ドムがウェーブを下からつるつる上っていき、頂上からビュン、と全体重を乗せて、飛び降りた。
やばい、直撃するっ!
「マージュ、まもる!」
ガコン、とマージュがからに収まろうとしたが、遅かった。
マージュの中身(言い方が少し変かな?)にドムが直接のしかかった。
マージュはくらくらとして、そのままばたん、きゅーとしてしまった。
「パルシェン戦闘不能!ナマズンの勝ちっ!」
会場から歓声が響き渡った。
くっ…あなどれない!

シマは会場の席に戻ってから、どうも矛盾した点を見つけた。
ひとつは、私を眠らせ、あの地下室に連れて行ったのは誰か。
そしてもうひとつ。
あのカラカラは何処に消えたのか?ということ。
うーむ、謎だ…。

続け・続け!(?)
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毬音 #16☆2005.08/19(金)11:28
第十六話「ピエロVSカカオ パート3」

「いけっ、ネル!」
「いきますよ、ドット!」
俺はチャーレム、シクラさんがレディアン。
「戦闘、開始!」
審判の声を合図にして、バトルが始まった。
「ドット、サイケこうせん!」
「ネル、みきり!」
水のフィールドでは、水中にすんでいたポケモン、空中にいるポケモンが有利に戦えるのは言うまでもない。
でも、俺はネルを選んだ。その訳は…
「ドット、もう一度サイケこうせん!」
「ネル、めざめるパワー!」
ネルのめざめるパワーは「ほのお」。
ネルの放っためざパ(なんで略してんだろ)は、見事にレディアンにヒット。
ひゅるひゅると水のフィールドに落ちていくレディアン。
ちょっと可哀想だけど、俺は、
「ネル、水に向かって・・かみなりパンチ!」
水に雷の拳を叩き込み、感電してしまったレディアンは戦闘不能に。
「レディアン、戦闘不能!チャーレムの勝ちっ!」
会場は大歓声に包まれた。


『小娘、何処に行く?もう第二バトルも終わってるから待機場所に行かないといけないんじゃないのか?』
「うん。今待機場所に向かってるじゃない。」
『いや…小娘、逆だ。』
待機場所へのゲートは会場向かって東。しかしシマは西に向かっている。
「あら本当。でもいいわよ、どうせ回っていけるし。」
…今日の小娘はなんだか変である。
何かをかぎまわっているというか、調べているというか…。
(この会場のどこかに…私を幽閉した奴がいるはず。そんな目つきの奴がきっとどこかにいるわ。)
会場の中には、そんな人はいなかった。
だったら、関係者の中にいるはず。
ちょっとでも遠回りして、そいつを見つけ出さないと。


めざパはめざしパンの略ダッ!続くよ!
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毬音 #17☆2005.08/22(月)09:21
第十七話「ひとりかくれんぼ そして決着」
☆ナチュラルドームップでは「最後の1体は眠り・氷状態はなし」というルールは無しという方向でお願いします(謎)

「…っていっても誰も見つかんないわね」
私は軽くタメ息をついた。折角遠回りして見つけ出してやろうと思ったのに、ここの通路は係員すら通らない。
『小娘…。まったく、意味のないことをするんじゃない。』
だって行かないと意味のあることかないことか分からないじゃない、と言おうとしたのだが、
スーッと隣を人が通った気がした。
慌てて振り向いたが、ただ微かに風がふいただけの様だった。


「おいっちにー、おさーんし!おにーに、おさーんし!」
選手出場口には、既にビタミンドリンク剤のCMに出ていそうな、ピッチリしたシャツの体格のいい角刈りの男の人が立っていた。
…準備体操?
「おおー、もしかもしか貴女がボクの対戦相手のシマさんですかー?」
「あ…はあ。」
「おー、ボクはナンテンっていうのさー、よろしく頼むよー!」
何かやけにテンションの高い人だ。調子が狂う。
『小娘…なんだかやりにくい』
デオの声に思わず共感してしまった。


「フィーラ、やどりぎのタネ!」
「イルフェ、かみつく!」
俺のワタッコ・・フィーラが放ったやどりぎのタネは、ブラッキーに噛み砕かれてしまった。
「く・・わたほうし!」
「無駄ですよ、でんこうせっか!」
ひゅうん、と一筋の風が吹いた。
ブラッキーがフィーラの目の前にくる。
今だ!
「フィーラ、ねむりごな!」
至近距離でねむりごなを浴びせられ、ブラッキーはひとたまりもなさそう。
「やどりぎのタネ!」
ぽぽぽん、とタネが飛びだす。さすが、俺のポケモンの中でも一番の「ずるがしこさ」を持ったポケモンだ。
「メガドレイン!」
ブラッキーからエネルギーをすいとる。後一発!
「メガドレインっ!」
と、ブラッキーが一瞬かっと目を見開いたような気がしたが、ぽてっ、と倒れてしまった。
「ブラッキー戦闘不能!勝者、カカオ!」
キャー、ワー!と会場中に歓声が響き渡った。
「どうも、ありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ、どうもありがとう。」


ああっ全国のブラッキーファンのみなさんすいません。きっと後々のストーリーでイルフェは活躍します。たぶん。
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ぴくの〜ほかんこ