ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[638] 流れ星に誓おうよ

マリオマン #1★2005.07/26(火)22:57
本文をかくまえに、登場人物を紹介します。


ピチュー

小学4年生
本名:花咲 菜々美(はなさき ななみ)
主人公

ププリン

菜々美のオニダチ    
本名:坂本 恵(さかもと めぐみ)
 
ミズゴロウ

恵とは幼馴染み
本名;波本 健次郎(なみもと けんじろう)
頭がいい

ヨーギラス

年齢 38歳
本名:木下 地羅須鹿 (きのした じらすか) 
柔道をやっている

ヒノアラシ

年齢 6歳
本名;山中 火乃流(やまなか ほのる)   
幼いときに両親を亡くす

ワタッコ

年齢 24歳 
本名:綿抜 優花(わたぬき ゆうか)  
フラワーランドの王女

ワニノコ

年齢 21歳 
本名:海藤 優紀(かいとう ゆうき)

ラプラス

21歳位   
本名:新海 誠(しんかい まこと)   
雫とは仲がいい

イーブイ

21歳   
本名:越後屋 華恋(えちごや かれん)   
フラワーランドの案内役

カイオーガ

19歳位   
本名:花見 雫(はなみ しずく)   
誠とは恋人同士

ベイリーフ

14歳
本名:草川 加護女(くさかわ かごめ)
最近歌手になったという

ピチュー
14歳
本名:花咲 信二(はなさき しんじ)
菜々美の兄 加護女と同じクラス

マリル

16歳 位
本名:浅水 和間 (あさみず かずま)

マグマラシ

14歳
本名:山中 比十美(瞳)(やまなか ひとみ)
火乃流の姉、遺子希の妹

バクフーン

16歳
本名:山中 異死鬼(遺子希)(やまなか いしき)
山中兄弟の長男

ライチュウ

34歳
本名:倉元 斉空(くらもと さいくう) 
元晴香の夫

チコリータ

15歳
本名:草川 佐月(くさかわ さつき)
加護女の妹

ピカチュウ

年齢未定
本名:花咲 晴香(はなさき せいか)
斉空の妻

ミュウ (アイコン設定)

19歳
本名:早川 叶(はやかわ かなえ)

近日全員公開予定
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マリオマン #2★2005.03/01(火)21:54
プロローグ「初めての正夢」

今日、少し寒い夜だった。菜々美は初めて正夢を見た。
何と、お母さんがさらわれた夢だった。最悪だった。
菜々美は目覚めた。
「…う…」
自分の部屋からは出ず、少しの間泣き続けた。
例え、夢だとはいえ菜々美にとっては、とても悲しかったのだろう。
ようやく泣きやみ、ぼんやりと空を見上げた。すると、雲が3つあり、一つは右にあり、左の雲に何かとられているような感じがした。
「もしかして…」
まさかと思い、台所に行ってみた。すると母はいなかった。菜々美は、いろいろな場所を探したが何処にもいない
「う・・うわあぁぁっ!」
このとき、ピチューの頭の中には「助けに行く」という言葉は、存在しなかった。
例え、存在していたとしても菜々美本人には、その勇気は無かっただろう。
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マリオマン #3☆2005.03/01(火)22:01
第一話 「気づき」

菜々美は、重い足取りで学校に行った。
ガラッ
「あれぇ〜?遅いじゃんあんた。どうかしたの??」
「うん…」
ハイテンションの恵に対し、暗い答えを口にした
「やっぱりぃ♪なんなの?恋のなやみとか?」
「やめてよ…お調子者こいてさっ…も…もうやめて!!」

菜々美は、授業を受けてる際にも、お母さんのことばかり考えていた。
放課後に恵は、ブツブツと何か言ってる菜々美の傍に近寄り、聞いてみた。

「(お母さんに会いたいなぁ…)」
「それなら早く家に帰ればいいじゃん?」
「わぁ!き…聞いてたの?まあ、仕方ない。誰にも言わないでよ。」

「ええ?マジで!?助けに行けば?」
「え…助けるってどうゆう意味なの?」
「え!?知らないの?   バッカっだなぁ 意味はね…」
「まぁ、簡単に言うと何かを、救いに行くこと。キミには解るか解らないけど」
いきなり二人の間に入ってくる健次郎。
「ちょっと!私の台詞だよ!それ…ってあれ??もういない    あっそんなことより意味解った?」
「一応ね…」

菜々美は、鍵を開けて家に帰り、
助けに行けば?ということばが心に残った。このとき、決心が付いた
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マリオマン #4☆2005.03/01(火)22:12
第二話 「旅立ちの朝」

「ケンくんへ 暫くはメールを寄越さないから。あっ、でも気持ちは変わらないから 行く場所は」
菜々美は出会い系サイトで知り合ったケンくんと名のる人に、しばらくの別れの告げ、メールを送った。メールなどに関わってたら、旅どころではなくなっちゃうから、と考えた。

♪〜
「ん?また菜々美からかな。え?馬路?う…嘘だろ?」

翌日、こんな張り紙が教室にはってあった。
「大変粋なりで申し訳ない。これから約一〜二年間旅に出ます。探さないでください」
この張り紙には、菜々美本人が知らない漢字が書いてある。がんばりが今にも伝わってくる。
「え?まさかあんた…お母さんを探しに行ったんじゃないんでしょうね?」
「あれ?菜々美?まさか…」
「どうかしたの?」
「なんでもない」
顔を赤くしながら、顔を横に振る
「顔真っ赤になってるよ??あんたまさか!」
「・・先生!!早退させてください!」
「あっ私も早退をさせてください!」
「ちょっと待ってくださいってもういないし」

そして二人は速攻で菜々美の家に走っていった。
「くっくそっ開かない!」
「あっこれみて!」
「あっ!手がかりになるかもしれない!」
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マリオマン #5☆2005.03/01(火)22:12
第二話 「旅立ちの朝」

「ケンくんへ 暫くはメールを寄越さないから。あっ、でも気持ちは変わらないから 行く場所は」
菜々美は出会い系サイトで知り合ったケンくんと名のる人に、しばらくの別れの告げ、メールを送った。メールなどに関わってたら、旅どころではなくなっちゃうから、と考えた。

♪〜
「ん?また菜々美からかな。え?馬路?う…嘘だろ?」

翌日、こんな張り紙が教室にはってあった。
「大変粋なりで申し訳ない。これから約一〜二年間旅に出ます。探さないでください」
この張り紙には、菜々美本人が知らない漢字が書いてある。がんばりが今にも伝わってくる。
「え?まさかあんた…お母さんを探しに行ったんじゃないんでしょうね?」
「あれ?菜々美?まさか…」
「どうかしたの?」
「なんでもない」
顔を赤くしながら、顔を横に振る
「顔真っ赤になってるよ??あんたまさか!」
「・・先生!!早退させてください!」
「あっ私も早退をさせてください!」
「ちょっと待ってくださいってもういないし」

そして二人は速攻で菜々美の家に走っていった。
「くっくそっ開かない!」
「あっこれみて」
「あっ!手がかりになるかもしれない」
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マリオマン #6☆2005.03/01(火)22:21
第三話 「絆の怪我」

健次郎の携帯に写っていたのは、なんと菜々美からのメールだった。
「ほ、ほら!行き先が書いてあるだろ!?」
「火炎の城・・?聞いたことないけど・・」
「決まってるだろ!聞き込み開始!」
「え!?ちょっと・・手ひっぱんないでよ」
こうして、たった二人っきりの調査がはじまった。

・・一時間後・・

「手掛かり見つかった?」
「それが・・ここからす〜っと南のほうにあるって言ってた人が居たけど」
「それじゃあ早速・・って何ボーっとつったってんの」
「ムリしない方が良いよ」
「どうゆう意味!?」
「だって、メグってさあ、前から体が汚れるの嫌ってたじゃん。今回だってそうだよ」
「じゃあ何よ! 友達を見すてろってこと!?」
「そうとは言わない。だが俺は君のことを思っていったんだ。俺にとって菜々美は、恋人なんだから」
「あんたってそういう人だったのね。あ〜呆れた。もう、あんたには付いていけない!!」


なんと二人は喧嘩をし、手を切ってしまった。そしてミズゴロウは「恋人探し」の立場となってしまった。
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マリオマン #7☆2005.03/01(火)22:32
第四話「遠慮無用」

「なによなによ!折角助けてけ上げようと思ったのに!!」
恵はかなり怒っていた

「早く見つけないとなっ」
恋人探しの立場となった、ミズゴロウはそう呟き、必死に泳いでいた。
地図もなしに、「南」という言葉を頼りに火炎の城へいく姿は、何とも勇ましかった。
こんな思いも束の間に、午後が過ぎ、周りが暗くなっていった。
ミズゴロウ「今日はもうここら辺にするか」
近くの無人島で、今日は野宿する事になった。

翌日

「さていくか」
今日も、また明日も探したがカンガーレ島は見つからない。
「いったい何処にあるんだ!?…ん?あれか?」
彼は、素朴な島を見つけた。
びしょぬれの体を振りながら、上陸した。

「だっ…誰も居ない!?こんな状態だと、探しやすいけど・・コレはないだろ!!」
ポンッと肩を叩かれ
「誰だ!・・って菜々美!」
「貴方もしかしてケンくん?そうだよね?」
「そうだよ!!俺は健次郎だよ!」
「本当に? それより何で探したりしたの??あれほど探ないでって言ったじゃない…」
「それは…その…なんてゆーか…俺達さっ恋人同士じゃん」

こうして、健次郎ことミズゴロウは、恋人を見事に見つけたのであった。
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マリオマン #8☆2005.03/01(火)22:40
第五話「予感」    
      
「まあ、恋人同士か… ある程度の探索は済んでいるから。とりあえずこの町は誰も居ないみたい。だからちょっと遠くのほうに行ってみましょう」
「そうだな。(だからあんなに素朴に見えたのか)」
       
二人は、町を抜け、一番道路を、歩いていった。
  
「あ! ケンくん、あれ見て!」
「なっ…なんだ!?あの建物は?随分古びている…」
すると、なかから物音やら声やらが聞こえてきた
「おらぁ!もっと気合い出さんか!」
「ひぃぃ!」
「菜々美、ここで待ってろ。俺が見てくる」
「ケンくん…」
     
ガガ…
「やべっ気付かれた!?」
「ん?火乃流 待ってろ。無礼者が出てきたからたっぷりお仕置きしてくる」
「はっはい…」
「もっと大きな声で返事しろ!このカスが!!」
「はい!」

     
「さわがしいなぁ…ケンくん?どうし…キ…キャー!」
「ん?」
ガガッ
「!」
「何だお前?こいつと友達か?」
健次郎の荒れ果てた姿指さし、偉そうにしている
「なんで私の彼にこういうことをしたの!?」
「ほほう…お前はこいつの、彼女か…許してやっから、中に入れ」
「え?貴方さっきまで…」
「まあ、気にするな。わしは恋する人間をみてるとつい、優しくしちゃうんだ。まあ、とにかく中に入れ。ほら、そこの彼氏おんぶしてやれ」
「は…はい」
ひょいっ
こうゆうことするの初めてだな ああ、恥ずかしい

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マリオマン #9☆2005.03/01(火)22:43
第六話「試練の場」

菜々美は、恥ずかしい気持ちを振り解こうとするが、たちまち顔が篤くなってしまう
「ほら、座れ」
地羅須鹿がいうと、はっと立ちすくみ、
「はい」
と菜々美が答える。地羅須鹿は、なにやら布団らしきものを出し、少し古びたテーブルの少し遠くに敷いた。
「おい、そいつをここにそっとおけ」
「はい」
とまた答える。今度は、その健次郎に布団をかぶせた。 菜々美はさっきから、こたえてばかりだ。これではまずいと思い、ここぞとばかりに
「地羅須鹿さん、いろいろありがとう。ところでそっちの、小さい子は誰ですか?」
と初めて問いかけに答えず、問いかけた。
「この子は、火乃流と言って弱虫でねぇ、私が今特訓させているんだよ」
「はじめまして、僕は火乃流という者です」

  会話が長いので省略

「それで…ん?火乃流、どうした?」
何故か火乃流は、偉そうにテーブルの上にのって、
「菜々美さんは、旅をしているんですよね? よかったら一緒に旅をさせてください!!」
一瞬、辺りが静まりかえり、十秒くらいたち、
「えっ急に言われても…」
この瞬間、火乃流が一気に真剣な顔に一転した。
「わかったぞ、仲間にしてやる。但し、お前に試練を与えよう。それに合格すれば仲間にさせてやる」
火乃流はまた一気に、顔はほっとした。
「あっありがとうございます!」
菜々美は、この時かなり真剣に迷っていた
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マリオマン #10☆2005.03/01(火)22:45
第七話「テスト」

菜々美は、火乃流のことが気になって仕方がなかった。どうして一緒に旅がしたいのか全く解らなかった。前から菜々美は、人に話しかけることがほとんど無く、火乃流に「どうして?」と聞く勇気もない。今何考えたらよいのか。何をすればいいのか。さっぱり解らなかった。
「さてテストを開始する。火乃流、例の箱を出せ」
粋なり大きい声にさすがに菜々美はびっくりした。
「はい、地羅須鹿様」
(例の箱?)
菜々美はこの言葉が耳に入った瞬間、 えっ っと思った。何か危険なことをするのではないかと。心臓がドキドキする。これから何は起きようとしているのか。 と思っているのも束の間で、箱の中から一本のタバコが出てきた。
「?」
菜々美はまた驚いた。でも今は何も思わず、暫く様子を見た


火乃流が台の上に乗り、地羅須鹿は、タバコをくわえた。そして、約1、25m離れ、火乃流が後ろを向いた。
「準備は出来た。火乃流やれ」
その直後、勢いよく火乃流の背中から炎がでてきた。おそらくこのテストは、あのタバコに火を付けることだったのだろう。
火乃流の見た目に比べて、この炎は火乃流じゃなく、放火したときのようだ。だが、菜々美にはこれが、魔人のよう見えた。テスト中は菜々美は顔を伏せた。何が起こったかは見えなかった。菜々美の方がもっとひ弱だった。

おそるおそる菜々美は、顔を上げた。そこに火乃流の姿はなかった。このとき、体が急に重くなった
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マリオマン #11☆2005.03/01(火)22:48
第八話「報告」

確かに、菜々美のみた光景には例の箱はなかった。そして、地羅須鹿の表情は格段に険しかった。すると、地羅須鹿の口がゆっくり、ゆっくりと開いた。その口から、
「ちっとも成長しないなあ、お前なぁ」
と怒っているように、わざと火乃流を見下ろしながら大声で言った。
その言葉がスイッチになったのか、盛り下がっている場を脇に、健次郎が起きてきた。だが、今の状況がさっぱり解らず、しばらく黙っていた。
「…?」
「何がどうなったのですか?」
菜々美が聞くと、ぎろっとこちらをにらんだ。菜々美は」びっくりして怯えたが、ぐっとがまんし、返事を待った。少したつと
「あのなあ、あんさん、残念ながら」
この時点で菜々美は今地羅須鹿が、言おうとしていることがハッキリと解った。きっとあのことだろうと確信した。
「やっぱり駄目だよこのガキは、成すすべもない」
やっぱり。 菜々美の予想は当たっていた。テストが失敗したのだと。この時やっと、彼氏が起きていることにやっと気がついた。ちらっと見ると、地羅須鹿もそっちを振り向いた。
「それはないよ…一緒にさせたいんです。良い経験になるじゃないですか」
偶然に過ぎないが、地羅須鹿の弱点をついた。地羅須鹿の顔が一瞬濁った。
「おい火乃流、お前を一緒に連れてってやる。但し条件がある」
火乃流がはっと立ち上がった。火乃流の頭に嬉しさがこみ上げてきた
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マリオマン #12☆2005.03/01(火)22:51
第九話「期限のない宿題」

その^条件^とはなんなのか、何か今やれとかなのか、旅に出ている途中に何かしろということなのか。火乃流は心臓バクバクとさせながら、緊張した。
「で師匠、条件とは何なんでしょうか」
ぴくりとも動かずに訪ねた。一瞬にして地羅須鹿の顔がこちらに向いた。
「帰ってくる前に炎の力を3倍にして見せてやれ! これでもう俺の言うことはない。さっさと行け火乃流」
辺りが一瞬静まった。と、地羅須鹿がちらっと出口にはもう、寝起きの健次郎を抱え、出ていった菜々美。その後ろ姿を追うように、出ていった火乃流が見えた。そののちに涙が自然とこぼれおちた。
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マリオマン #13★2005.03/01(火)22:54
第十話「健次郎の言葉」

古い道場を出た3人は、みんな黙りこくってゆっくりと道筋を歩いていった。
健次郎が道の脇道を発見。だが、今口出しをすると恥ずかしさが増すだけ、それにともない旅の邪魔になるかも知れない。その無表情の顔は、他人から見ると不審に見える程だった。
でも歩いていくと、おっきい門を発見。そこには張り紙が貼られていた。そこにはこう書かれていた。
【この門は秘密の言葉を言わないと開かない。わからなかったら】
この張り紙は相当前に貼られていたらしく、この部分で破れていて先が読めなかった。
「えっ…」
健次郎は、この菜々美の悲しい声を聞くと、さっきあの脇道のことを言うか言わないか迷った時迷わず、「脇道がある」と言えば良かったと後悔した。でもキョロキョロと辺りを見渡すと、崖の手前に座っている人が居た。今度は迷わず人が居ると言おうと決心し、皆に言った。
「おい、誰か居るぞ」
わかりやすくその方向を指さした。他の二人はすぐに反応し、その方向を向いた。菜々美は何も言わずにその方向に歩み寄っていた。
3人が歩み寄っていくと序々に菜々の足がだんだん速くなって行く。火乃流がちょっと苦しそうな顔になっても、お構いなしに速くなっていった。
多分、この行為は早く助けたい、という心の表われだろう。
「すみませんが、門の開け方を教えて欲しいのですが…」
健次郎が関心ている間に突然の言葉に少しだけびっくりした。その人は、反応はしたもののとても暗い表情だった。手元には花があった。
「あぁ…それなら、フラワーランドの王女に聞けばわかる」
見た目だけではなく気分も言葉も暗かった。すると花占いをしているようで、また続きをし始めたようだ。菜々美は、場所も聞こうとしたがこれ以上は可哀想だと判断した。
少し経つと、菜々美と優紀は背中を向け合い、落ち込んだ。
「ああ、またしても…」
この菜々美の悲しい声を聞いて、あの脇道のことを思い出した。今度は多少言おうか言わないか迷ったが、言うことを決心した。
「菜々美、さっき脇道があったんだけど…言ってみるか?」
菜々美はそれを聞くと、顔を赤くし、こくりと頷いた。
優紀は、瞬間的に溜息をついた。
こうして、またこの3人は、優紀にお礼を言い、先ほど歩いてきた道をもどり、脇道を進んでいった
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マリオマン #14☆2005.03/01(火)22:55
第十一話「出港」

菜々美達は優紀の言葉を元にし、さっき健次郎が見付けてくれた脇道を進んでいった。
すると、沖縄の海みたいな海辺にでた。遠浅ではないが、遠くまで青が綺麗だった。でも、小さかった。
「綺麗…健君、いつか…此処で遊ぼうね」
菜々美が顔を赤くしながら言った。健次郎が軽く頷いた。すると、ビーチの1/6位の大きな青い物体が現れた。
「なんですか?あれ??」
火乃流が疑問そうにいうと、むこうから独り言が聞こえてきた。
「見えてきたらえっと…北に行けば…」
今度は、健次郎が自ら菜々の背中から降り、黙ってその人に走っていった。前回のようにはしたくなかったからだった。
その時菜々美はその人が怖くて、黙ってみていた。その人は健次郎に気付いたらしく、健次郎のほうを向いてなにか喋っていた。しかし、菜々美のほうからはその声が聞こえなかった。ようやく決心が付いたのか、火乃流の方は見ずに
「行こう、火乃流。」
「えっ。は…はい。」
と、菜々美は火乃流の手を引き、その人に向かって走り続けた。火乃流が宙に浮く程速く走った。ただただ、健次郎を見つめながら。

菜々美がそこに付く頃には、健次郎が目をつぶってこちらに顔の方向をかえた。
「乗せていってもらえるぜ」
菜々美は、これでやっとフラワーランドに行けると思い、その場で飛び上がりたくなった。でも菜々美には疑問が残った。
「信用できるの?」
と聞いた。そして健次郎は、こっくりと頷いた。菜々美は健次郎のことだから、ほっとした。
「準備は整っていますか?では、フラワーランドに今から出港いたします。 あ、それとそこにあるパソコンは呉々もいじらないでください」
そしてゆっくり、ゆっくりと進み出した。健次郎は釣りでもして暇つぶしをしていた。火乃流は落ちないよう、甲羅の中心に座っていた。菜々美は問うところから次々に入ってくる、風を受けて気持ちよかった。

あっという間に
「ご到着いたしました」
と言う声が聞こえた。菜々美ははっと気付き、此処がフラワーランドであることを確認した。昼寝をしている火乃流を起こし、
「ありがとう」
とお礼を言った。
「では、よいお旅を」
誠は、3人を見届けた後、一息ついていた。とそこに岩陰からある姿があった
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マリオマン #15☆2005.03/01(火)22:57
第十二話「思わぬ答え」

フラワーランドについた菜々美達は、軽い足取りでそこに入っていった。
すると、四足歩行で帽子を被り、リボンを付けた人がこちらを向き、じ〜っと見つめてきた。
「なんなの?」
菜々美が言うとそのすぐ後に、その人は瞳を大きくして怒りながらこういった
「あまり喋らない方が身のためですよ。というか年上に対してその口の利き方はなんなの?!」
3人はあまりの怖さに口を出せないまま、時間だけが過ぎていった
暫くすると、その人はさっき怒鳴ったことも忘れたかのように、にっこりと笑い
「あなた方は旅人さんですね。まっ、とりあえず家に来てください」
菜々美は訳も分からずにその人についていった。さらにその人は無言で家にいってしまい、ついていくしか選択肢は残されていなかった。

その人の家に着くと、菜々美は驚いた。なんと部屋中花だらけだったから。しかも帽子も花柄だったので、さすがはフラワーランドだなと実感した。
「言い忘れてたけど私の名前は、越後屋華恋。案内役を勤めているからフラワーランドのことならなんでも聞いて」
それを聞いたとたん、健次郎がしゅぱっと手を挙げてこういった
「王女は今どこにいますか今すぐ会いたいのですが」
華恋は『王女』と聞いたとたん、手が震え
「王女の優花には会わない方が良いよ」
その言葉を聞いた3人は、訳も分からずただ固まっていた
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マリオマン #16☆2005.03/01(火)22:58
第十三話「理由と謎」

菜々美達は、音も立てず動かなかった。どの位固まっていたのか、見当もつかなかった。たまに、風に揺れる花の風車の音が部屋中に響き渡る。
華恋の頭のなかは、推理が得意なので、菜々美達が何を考えているか考えている途中だった。なので部屋の中の人の耳にはやはり風車の音と、外にいる人の声しか届いていなかった。
やっと正気を取り戻したのか、健次郎の口がゆっくり開いた。それと同時に彼の手が菜々美と火乃流の背中を叩いた。
「どうして会わない方が良いんですか?!」
「それは優花が酷いからです。前にこんなことがありました。私が初めてここに来たとき、案内役は別の人がやっていました。そして、あることがあって刃物を向けられました。そのあることの内容はいえませんが、後で聞くとその規則は優花が作ったというのです。だからあなたがここに来たとき、身のためですよといったのです」
3人同時にこりゃ酷い。と思った。でも健次郎の頭のすみには、何としても優花に会わなければ、という思いがあった。なぜなら菜々美とは恋人同士なのだから。そしてこの旅の目的は菜々美の母、晴香を救うことなのだ。このことは、彼女の人生に関わること。以上を持って恋人を救うということと同じになる。
華恋の方に彼の想いが伝わり、一人でうんうんと頷いた。そして、目の前にいる人達に十分聞こえる位のボリュームで、話を切り上げようとと思い
「わかりました。そんなに優花に会いたいのならいいでしょう。でもその前に少しフラワーランドを見学していってください」
といった。そうすると3人は席を立ち、「ありがとうございました」と多少バラバラだがきちんと華恋に言い、その場を去っていった。
家を出た瞬間に、健次郎はあることを思いついた。

彼は花畑にガサガサと音を立てながら入っていった。そして菜々美と火乃流に、こういった。
「先に城の方にいっててくれ。俺は大事な用がある」
そういうとプチっという音が10秒おきに鳴り、2分ぐらい経つとその音はやんだ。
鳴りやんだのを確認すると、2人はそっと城のほうに向かった。しばらくすると彼は、また華恋のいた家に行き、花で作ったあるものを預かってくれと頼んだ。彼は無言でその場を去っていった。
一人残された華恋は、自然にこういう言葉がこぼれた。
「は…花飾り?」
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マリオマン #17☆2005.03/15(火)21:01
「幼馴染みから恋へ」

一方誠は、休んでいるところを急に眠気に襲われ、そのまま眠ってしまった。
(ZZZ)
しばらくすると雨が降り出した。結構大降りだった。その雨にうなされ、誠は目を覚ました。
無言で海の中にもぐり、早く雨がやまないか口を開かずに心から願った。
起きたばっかりなので視界が少し悪かったが、海底のもっと奥底にうっすらと黒い影が視界に写った。
「…?」
そんな黒い影を気にせず、防水カバーの被さった自分のノートパソコンを自分の電気で電源を入れ、待ち合わせ相手へのメールを打ち始めた
海の中はそのキーを叩く音以外、物音一つも響いていなかった。
メールに夢中で、黒い影が近づいてくるのを知らなかった。少しすると、大きな巨体が誠に下から姿を現した。誠は、その勢いで海の中からはじき飛ばされた。すると、不思議なことにさっきまで大振りだった雨がやんでいた。はじき飛ばされた青い体はある岩に激突した。後頭部を強く打ち、その傷跡から出血がみられた。
首を丸めて抱え込み、傷を手で必死に押さえ、痛みを堪えていたところを大きな体が近づいてきた。まだどんな人なのかわからない。接近するたびに心臓の音がどんどの大きくなる。すると
「誠君?」
と声が聞こえた。なんだか柔らかい声、女性らしい声だった。聞き覚えのある声だった。抱えていた手から一滴水がポチャンと落ち、それと同時に赤い粒も一滴落ちた。赤い粒が落ちた周辺は、段々と赤く染まり始めていた。
薄れている意識の中、もしかしてと思い、はぁはぁいいながら口を開いた。
「し…雫…?」
雫とは、幼馴染みで大人しい性格。高校卒業前、誠は雫からメールアドレスの書かれた紙を渡された。それから2年間メールのやりとりをし、どんどん親密な関係となった。
「どうしたのその傷?」
誠はもう普通には喋れなかった。だがなんとか、重傷ながらもこれだけは言い切れた。
「雫…たの…」
だが、最後まで言い切れなかった。誠はそのまま海面に倒れ込んだ。
倒れた体の頭部辺りが雫に衝突し、雫が少し下を見ると傷が見えるような感じに倒れた。
波で流れそうになる誠の体を支える様に雫がその体を抱き、まるで、病に倒れた人を呼び覚ますときのようにゆらしながら叫んだ。
「誠君!!」
すると誠が意識を取り戻し、彼の目が半分ぐらい開いた。
「た…頼む…傷を…」
そういってまた倒れた。雫は一度安心したが、また倒れ込んだ誠をあぜんと見つめた。
その後、中学生の保健委員会の事を思い出し、誠の傷は今どんな状態か等のことから、一番安全な手術方法を導き出し、手術を実行した。
どんどん時が過ぎ、途中で汗を拭く以外何もしなかった。
ようやく手術が終わり、既に日が沈もうとしていた頃だった。雫は誠の体をちょんとつついた。すると、誠が目を覚ました。
「計算通り♪」
誠は、何が計算通りなんだかわからなかった。
ふと頭の痛みが引いていることに気がついた。きっと雫が手術をしてくれたんだなと思った。
「あっありがとう」
というと、雫のほっぺが赤くなり、思わず下を向いてしまった。その後、雫は浮かない顔をした。
「雫?」
誠が心配そうにいう。しかし、表情は変わらない。すると目をつぶり、体が震え始めた。と、次の瞬間。
「誠君!付き合ってください!前から好きだったんです!」
思いもよらぬ言葉に誠はびっくりした。まさか、ずっと好きでいたなんて思ってもいなかった。彼にとって、雫とは仲が良ければそれでいいと思っていた。ごくっと、唾を飲んだ。
「んじゃ、水中散歩でも行くか」
雫がその言葉を聞き、すぐに笑顔に戻り、雫に喜びが芽生えた。
二人はやっと恋のハードルを乗り越え、そのまま水中を彷徨うようにデートをしに、海の中へと消えていった
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マリオマン #18★2005.03/24(木)20:29
第十六話「偶然に」

誠と雫が愛し合っている中、一人で雑誌を見て目を可能な限り動かしている、孤独な少女がいた。
その雑誌は旅行ガイドのようで、観光の欄を見ているようだ。その欄はあまり多くはなく、特に行きたいところがないと雑誌を放り投げ、次の雑誌へと目を通していた。
「この雑誌もなしっと」
手元の雑誌が全て無くなると、また家の中を探しに行く。そして、何冊か見つかるとまた自分の部屋にいき、行きたい場所を探した。その二つのことを繰り返していた。
なかなか行きたい場所が見つからず、彼女は少々イライラしてきたようだ。
すると、いい場所が見つかったのか、笑顔が芽生えてきた。
「これだわ!」
その時、彼女の指の先はワの、一画目のあたりを指していた。

その場所の説明を良く読み、携帯のメールで親にも言っておき、その5分後には外に出ていた。
彼女は、お昼をちょっと過ぎた時間帯に出る、飛行機に乗って目的地を目指した。席は窓際でその景色がとても素晴らしかった。
時間がたつに連れて、少しずつ眠くなってきたようだ。その時偶然、外を見たら不審な島が視線に写った。ただ。その島の砂浜に座った跡が見えた。
あっという間に目的地に着き、飛行機を降りたときに吸った空気は、何ともおいしかった。
ふと、島の方に目をやったら、見覚えのある姿があった。少しずつ近づき、ある一定の距離近づくと、誰なのかはっきりとわかった。そして、彼女は死んだ人を見かけたように、驚いた顔で、こういった。
「健次郎?!」
彼女の視線は、完全に健次郎の方に向いていた。彼の行動が不審に思えたからだった。
健次郎は、真っ直ぐにお城の方へ向かっていくようだ。彼女は一定の距離を保ちながら、彼にそっとついていった。
一方、健次郎はなにやら変な視線を感じたのか、たまにこちらの方を向いたが、その時はとっさに物陰に隠れて身を潜めた。
しばらく追ってみると、更に見覚えのある姿が見えた。そのすぐ側には、若干小さい体が見られた。
「菜々美?」
小声で言ったので、彼らには聞こえていなかったようだ。彼女は内心やばいと思ったが、その心配はなさそうだった。
しかし、その瞬間菜々美が立ち止まり、こちらを向いた。
「誰?」
彼女のすぐ側には物陰が無く、今までの尾行が全て水の泡となった。だが、その時の菜々美の表情は一段と柔らかく、こういう結果になって良かったと一瞬思った。
しかし、菜々美の表情はすぐに真顔に戻ってしまった。健次郎が、あの視線を気のせいだと判断してしまい、菜々美にその視線のことは気のせいだと言いたかったことによって、菜々美の体は健次郎に退かれていった。
その菜々美の視線には、ピンク色で丸く、背中のリボンが特徴的な、恵がはっきりと映っていた。
恵は、ふと空を見上げた。すると、沈みかけている夕日の側に、一つの星が落ちてきた。しばらく見つめていると、途中で体力が無くなったかのように真っ逆様に、カンガーレ島のある森林に落ちていった。
彼女は、もの凄く早い時間に星が落ちてくることと、何故落ちてきたのか、二つの疑問が浮かんだ。
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マリオマン #19★2005.04/28(木)23:35
第十七話「心の支え」

菜々美が前々通っていた学校もようやく、修了式のシーズンだった。
大事な時期なのに、名簿には二つの欠席がみられた。菜々美と健次郎だった。
あの事件が発生してから、クラスのみんなは前より落ちぶれていた。
あの張り紙は、まだクラスの黒板に張られており、菜々美と仲がよい人も多く、休み時間に張り紙のそばに居座る人も多いようだ。
また、健次郎が気になっていた女の子も数人いたようだった。
ちなみに、恵のクラスは別で本日は学級閉鎖で、だからフラワーランドに旅行に来ていたのだ。

菜々美のことを心配している人は他にもいた。捉えられている母の晴香だってそうだ。あと菜々美にはお兄さんがいて、そのお兄さんも心配していた。
お兄さんの信二は、趣味は散歩と菜々美とはかなり違っていたが、とても大切な存在だった。
今は、独り暮らしという形となっている。
あと、信二のクラスには加護女という、最近歌手になった娘がいた。その二人は、仲が結構良かった。
「菜々美ちゃんってカンガーレ島っていう島に行くんでしょ? 今度そこにライブしに行くからさ、元気出しなよ」
こういう言葉を最近、信二に向かって多く発言していた。
信二は、この元気付けを素直に受け取っているが、あまり気休めにはならなかった。
落ちぶれていた信二がいる。一人暮らしなんてもううんざりだ、とやっと思い出した頃だった。
もう友人と話をすることとか、遊ぶとか、もうしなくなっていた。ただ、加護女だけはちがった。
休み時間で彼女だけとはひんぱんに話をしていた。それどころか、加護女意外とは殆ど話をしなくなっていた。
信二から見ると、友達が「遠ざかっていく」ような感じだった。その友達はただ話しにくいだけなのかもしれない。
そんな毎日を送っていた。
だが数日後、彼に異変が起きた。 授業中、ノートに菜々美を書いてしまった。
(あっ…)
いけないっと思ったが、もう孤独な生活はもう耐えられなくなった。
そして数日後、信二は突然と学校から姿を消した。彼は加護女にメッセージを残し、菜々美がどこにいるか探し始めたようだ。
この姿勢はなんとも格好よかった。菜々美への気持ちがはっきりと彼の表情に映っていた。まるで、恋をしたかのように。
これが本当の心の支えなのかも知れない。
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マリオマン #20★2005.07/04(月)00:07
第十八話「扉の向こう」

恵ははっきりと見ていた。あの不審な光を。
フラワーランドとカンガーレ島の間隔は意外と狭く、音も聞こえてきそうなほどだった。
恵はその不審星をじっと見つめていた。その後、耳を済ませてみると、小さくガサっと小さな音が鳴った。森林に落ちていくのを見届けた直後だった。
もう不審星のことで頭がいっぱいになったいた間に既に日が沈もうとしていた。
そしてふと空を見上げると、今度はさっきのとは別に2つの星が落ちてきた。しかし、もう日は沈み、あたりも暗くなり始めていたので今度はあまり変だなとは思わなかった。
もう暗くなってきたので、予約していた旅館に戻ることにした。ただ、菜々美はどうしたかなと少し考えていた。

一方菜々美達は、お城に入っていた。ほんの少し前に入ったらしく、まだ入口付近にいた。
菜々美は華恋の言葉を頭に中に思い浮かべた。
(優花には会わない方が良いよ)
という言葉を。
こんな言葉を発する人物に対してうまくのけていったのだから、優花は相当おっかないはず、このことを頭に叩き込んで、心して皇女の部屋に立ち向かった。

ギィィっと扉が開いた。するとどうでしょう、部屋はものすごく広くて蒙古の一部屋だけで丁度売り家の一軒屋位だった。
部屋のなかには王女の席と、入り口から席の前まで伸びている赤絨毯だけしかなかった。
床は金色で輝いており、乗るとすべって転びそうなほど綺麗に磨かれていた。
壁も同じく金色に輝いていて、転々と模様が彫刻してある壁も見当たった。
上を見上げると少し遠くの方にシャンデリアがあった。ずっと見ていると目が疲れるような明るさのものが約10個つるされていた。
「どうぞあがってきなさい」
いきなり耳にこういう言葉が入った。ちょっとだけ驚いた。優花の言葉だった。
体育の授業で集合を呼びかけるような声だったので、すかさず3人は動き出した。
優花に歩み寄った。だけど走りはしなかった。だってえらい人の前に立っているのだから。
歩いて優花の前に立つと、冷静な健次郎以外は緊張してきたようだ。
「どういう御用事で?」
健次郎の心の中で状況を理解している時、菜々美はもう混乱状態に陥っていた。
「例の門の暗号を教えていただきたいのですが」
このとき、健次郎の目の前には他の人には決して見えない、鍵の掛かった扉があった。
今の状況は必死にこじ開けていると途中か、鍵を探していることに匹敵することになる。
少しの間しんとした時間があった。健次郎も段々と困ってきていた。
優花はずっと目をつぶっていた。何か考えている様子だった。
彼女は王女でいながらも、優柔不断である。しかも積極的といわれる血液型B型なのでかなりめずらしい性格だとわかる。
この待ち時間、優花だけの時間ではなかった。
健次郎だって少し前まで冷静に出来ていたが、待ち時間があまりにも長いので、混乱状態に入ってしまった。
あの扉の鍵がないないと泣き叫んでいる段階であった。
ようやく決心がついたのか、優花が目をつぶったまま軽い深呼吸をひとつばかりやった。
「翌日までに考えておきます 今日はもうお疲れでしょう これで今日一晩ホテルに泊まりませんか?」
健次郎の創造世界では、この瞬間鍵が見つかった。
菜々美はホテルのチケットを受け取り頭を下げて、お礼をいった。
「ありがとうございます」
その後に続き
「ありがとうございました」
という健次郎と火乃流の声が菜々美の大きな耳に入ってきた。
健次郎と火乃流はつかつかと足早に歩いて、先に行ってしまった。菜々美は笑顔を優花に見せるように作った。
そして歩くペースは遅めに、胸をはって金色の床を脇に赤絨毯の上を歩いて王女の部屋を後にした。
あとあとに王女も、菜々美の背中をじっと見つめながら少しだけ頭を下げた。優花は菜々美の背中をずっと見つめていた
カンガーレ島のパスワードともいえるあの扉の呪文。あのことについて検討した3人は、優花から明日決定するとのこと。
確かにあのまま菜々美と火乃流の混乱状態が続いていたら、予想も出来ない事を招いてしまったかもしれない。冷静な健次郎でさえ、混乱状態に陥ってしまったから。
そう、優花はその混乱ということも計算に入れていたのである。
菜々美は優花からもらったホテルのチケットを手に、お城からやっと出てきた。そのときにはもう夜空が広がっていた。どうりで寒いと思った、と感じた。
ホテルに着き、一泊二日のチケットを受付嬢に渡した。
「一泊でよろしいでしょうか? 明日は何時にお帰りになさいますか」
菜々美は思ってもいなかった二つの質問に少々驚いていた様子だった。質問はひとつだけくるのかと思っていた菜々美がいた。
真っ先に質問に答えられない状態になっている菜々美にいち早く気づいたのは健次郎だった。
「一泊でお願いします 明日は午前中に帰る予定です」
さすがは健次郎と旅に付き合っている二人はそう思った。冷静が何かすばらしく思えた二人であった。
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マリオマン #21★2005.07/04(月)00:07
第十九話「大好き。」

菜々美は仕切りで二つに分かれた小さい部屋のうち、奥のほうの部屋にまずは行ってみた。
部屋の構造を知っておいた方が、何か役に立つかもしれないと考えた。
部屋の隅々まで見て回った。部屋自体あまり広くないので、それ程時間は掛からなかった。
「二人ともちょっといいか?」
健次郎が突然いった。丁度菜々美が捜索をし終わった頃だった。久しぶりに健次郎が火乃流に問い掛けたので、菜々美は冷静だけではなく、優しさもあるんだなと思った。一層好意が増した。
(健君…)
「到着早々悪いがこれから食事.に行こうと思う。」
旅に集中していて空腹などひとかけらも頭のなかに存在しなかった。だが、菜々美と火乃流はその言葉によって「日常」を思い出したらしく、旅に出て初めて食事のことを思った。
(そういえばあれから何も食べてなかったな…)
二人は順々に頷いた。
直後健次郎のお腹が悲鳴を上げた。彼は昔から勉強熱心でよく食べ、よく寝るという習慣がついていて、冷静な彼でもさすがにこんな長時間は耐えられなかった。
「…いくぞ」
健次郎は顔を赤くしながら言った。かわいいな、と菜々美は思った。しかし、今度はさっきと違い感情は変化しなかった。
健次郎が扉を開け、その後に火乃流が約1mほど離れて少し気まずそうに歩いてついていった。しかし、菜々美はなぜかすぐにはついていかなかった。むしろ、ついていけなかったの方向でその場に立ち止まっていた。本人にもわからなかった。
少し時間に空白ができた。菜々美はじっとしていて動かない。それからまた少し時間が過ぎてから、彼女は深呼吸を普段よりさらに深く行った。それから、ゆっくりと動き出し、恥ずかしそうに健次郎の指紋がついた扉の取っ手に手を掛け、廊下の向こうで待っている二人の方に駆けていった。
(健君、大好き。)
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ぴくの〜ほかんこ