ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[662] マスターボールの歴史

エヌオズ #1☆2005.03/31(木)13:51
〜プロローグ〜
究極とは何だろう…?
どういうものを、究極と言うのだろうか…?
きみが想像する究極とは、どんなものなのか…?
またそれは、本当に究極なのだろうか…?
究極なんて存在するのだろうか…?いや…


究極なんて…存在していいのだろうか…?


この世の全てが究極…
そんな世界が面白いだろうか…?
そんな世界で楽しめるだろうか…?
そんなことを考えながら、この物語を読んでほしい…


この物語は、究極のボール、マスターボールを開発しようとした
一人の男の物語である…
hcccbcac936.bai.ne.jp
エヌオズ #2☆2005.03/31(木)14:36
〜第一話 モンスターボールの歴史〜

私の名はエリックという。カントー地方の、シルフカンパニーという会社の社員だ。
シルフカンパニーというのは世界のポケモントレーナーのために作られた会社で、トレーナーが使うためのさまざまなグッズを作っている、ポケモントレーナーにはなくてはならない会社なのだ。
そんな私の仕事はボールを作成することだ。

昔ポケモンが始めて発見されたときは、モンスターボールなど存在しなかったため、別の方法で、むりやりポケモンを捕獲するしかなかったのだ。しかしそれでは危険だと思い、ポケモンを捕まえるための物を作ることにした。
安全に捕まえられて、なおかつ持ち運びできる物。それが理想だった。しかしそんなものが簡単に作れるわけがなかった。それでも、時間と、金と、たくさんの人たちの力、そしてさまざまな手段を使い
製作作業を続けた。

5年後…ついにできた…。ポケモンに投げることでポケモンを捕獲でき、さらに持ち運びができる物…
それがモンスターボールだ。

その後スーパーボール、ハイパーボールと、すごい勢いで高性能のボールを作り上げた。大ヒットだった。世界はポケモンブームだった。

そんなある日のこと…私は人生最大の仕事を任せられることになる…
hcccbcac936.bai.ne.jp
エヌオズ #3★2005.04/01(金)17:57
〜第二話 究極のボール〜

12月24日 私にはプレゼント…ではなく仕事が来た。
ボール製造部の社員は皆会議室に呼び出された。
「おいおい…。今度はどんな仕事を任されるんだ?」
「またハイパーより上のを作れって言うんだろ?スーパーの時もそうだったしな。」
「そうだな。もうパターンだよな。」
これまで社長は、どんなボールよりも上の上のものを作れと言ってきた。今回もやはりそれだろうか…。そうだとしたらそう時間はかからんだろう。なぜなら基本はモンスターボールと同じだからだ。あとはゲットできる確立を高める研究をすればいいだけだ。

ギイイ…

会議室の扉が、大きな音を出して開いた。
エリック「社長、失礼します…」

社長「みんな、よくぞ集まってくれた。」
社長が葉巻を吸いながら言った。
社長「さて、今回も新たなボールを作ってほしいのだが・・」
やはりか。どうせハイパーより上のものを作れというのだろう。私以外のみんなも、きっとそう思っているはずだ。

社長「今回作ってほしいのは、究極のボールだ。」
皆「えっ?」
皆が口を揃えて言った。
社長「聞こえんかったか?究極のボールだぞ。」
バン!!
エリック「社長!!」
私は机を叩きながら立ち上がり、社長に呼びかけた。
社長「なんだね?エリック君?」
エリック「社長の想像する究極のボールとはどのようなものなのですか?」
社長「うむ…」
社長も立ち上がった。
社長「私の想像…。それはどんなポケモンでも100%捕まえられるボールだ!!」
エリック「な…なんですと!?」
みんなが騒ぎ出した。
エリック「そ…そんなボールが…?」
私はこのときおもわず、社長の気は確かか?と思ってしまった…。
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エヌオズ #4★2005.04/01(金)19:42
〜第三話 今までで一番大変な仕事〜

私たちシルフカンパニーのボール製造部は今回、新しい仕事を任された。またハイパーより高性能なボールを作れと言われるのかと私たちはもうすでに予想していた。しかし今回の仕事は…


エリック「し…社長。それはちょっと…」
社長「無理…かね?」
社長は座って、また葉巻を吸い始めた。
エリック「あ…ま…はあ・・。今の技術ではその・・」
無理だ!!社長の前では言いづらいが、ゲットしたいポケモンを確実にゲットするボールなど…できるはずがない。

社長「では、これを見るがいい…」
社長は見たこともない二つのボールを私に差し出した。
エリック「し…社長…このボールはいったい?」
他の社員もざわざわしている。中には立ち上がったり、隣の社員とコソコソ話をしている社員もいた。
社長「君が今左手に持っているのはジョウト地方から取り寄せたヘビーボールだ。体重の重いポケモンを捕まえやすくするボールだ。」
エリック「そ…そんなボールが?」
私は左手のボールを見た。基本はモンスターボールと変わらないのに、こんなボールが作れるというのか・・?
社長「そしてきみの右手のボールは、ホウエン地方から取り寄せたダイブボール。水中を生息地にしているポケモンを捕まえやすくなるボールだ。」
エリック「…。」
社長「分かってくれたかね?今のモンスタ−ボール製造技術はかなり高くなっているのだよ。」
エリック「はあ…。」
確かに、こんな物を見せられるといいえとも言えない。もはやモンスターボールはただ確立が高いだけのボールだけではないということか…。
社長「そこで今回わが社が製造するボールは、どの会社も真似できない、ほしいポケモンを100%ゲットできる、まさに究極のボールなのだよ!!」
社長が大きく机を叩いた。
社長「できるかね、エリック君?」
エリック「…まあ、できる限りの事はやってみましょう。」
社長「うむ!ではこれで今回の会議を終了する。」


  同日 シルフカンパニー 休憩所

エリック「しかし大変な仕事を引き受けてしまったものだ・・」
私は自販機で缶コーヒーを買って飲んだ。
「エリック先輩!!」
一人の社員が私のところに来た。
エリック「ん?ネシアか。」
彼の名はネシア。私と同じボール製造部で、このシルフカンパニーに入ってまだ6ヶ月の新米社員だ。モンスターボール技術に憧れてこのシルフカンパニーに入ったそうだ。
ネシア「しかし大変なことになっちゃいましたね。」
エリック「ああ…」
ネシアも缶コーヒーを買った。
エリック「どんなポケモンでも、100%ゲットできるボールか。」
ネシア「まったく社長は、何考えてんでしょうね?こっちの苦労も考えろってんですよ!!」
ネシアは一気にコーヒーを飲んだ。
エリック「ああ・・」
ネシア「どうしたんですか?」
ネシアが聞いてきた。
エリック「…なんでもない。」
私は両手で持った缶コーヒーをずっと眺めていた。

やれやれ、せっかくのクリスマスだというのに、サンタは私に仕事ばかり運んでくる。しかも今回の仕事は、今までとは比べ物にならないほど大変な仕事になることは確かなようだ・・。
hcccbcac066.bai.ne.jp
エヌオズ #5★2005.04/04(月)14:16
〜第四話 物質電子変換プログラム〜

社長の命令とは言え、私は無理難題を引き受けてしまった。
どんなポケモンでも100%ゲットできるボール。そんなものが本当に作れるのかどうか。はぁ…。これから何時間働くことになるのだろう…?

ポケモンをゲットし、持ち運ぶことができるモンスターボール。これこそが私の・・いや私たちボール製造部の最高傑作だった。みんなが普段当たり前のように使っているこのモンスターボールは、5年という年月をかけて編み出した、「物質電子変換プログラム」という技術が使われている。シルフカンパニーのボール製造部しか知られていない技術なので、他の者、ましてやシルフカンパニー外の者が知るはずがないだろう。「物質電子変換プログラム」というのは、物質そのものを一時一つのデータにしてしまうという、便利なようである意味恐ろしい技術なのだ。これを使って、どんな大きさの物でもデータにして持ち運びが可能なのだ。つまりモンスターボールというのは、いわばボール型フロッピーディスクなのだ。何故ボール型にしたのかというと、遠くのポケモンを捕まえるときに投げやすいからだ。まあ人や物に投げると危ないから、ポケモン以外をデータ化できないようにプログラムにロックを掛けているから、そう危ないことはおこらんだろう。
しかしこの「物質電子変換プログラム」はまだ完璧ではないのだ。つまり、絶対に物質をデータ化できるとは限らないということだ。データの容量が大きいと、データ化できずプログラムにエラーが発生し物質に戻ってしまう可能性がある。それを防ぐため、「物質電子変換プログラム」を完璧なものにする研究をしてきたのだが、未だにそれは実現していない。
ただし、少しでもエラーする確立を低くするための研究の成果は実現している。それがスーパーボールとハイパーボールだ。これのおかげで、少しはポケモンをゲットできる確立を上げることはできた。しかし、今回の社長の命令はこの「物質電子変換プログラム」を完璧にしろということになるのだ。さっき社長が紹介していた、ヘビーボールとダイブボールがどんな仕組みなのかは知らないが、二つともあくまで「ゲットしやすくなる」だけだ。確実にデータ化できるわけではない。
どうする?やはり断るか?何年もの年月をかけて研究したが駄目だったのだ。やはり無理なのか…?

…いや…まだやってみないとわからない。
とにかくやってみよう。無謀な挑戦かもしれない。しかしやらなければ結果は見えてこない。そう、あのころのように…。
「物質電子変換プログラム」を作り上げたときのように…。
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エヌオズ #6★2005.04/04(月)14:17
〜第五話 約100%〜

私は「物質電子変換プログラム」を完璧なものにすることを決心した。確かに今まで完成せず、長い間ハイパーボールが限界であった。それでも作るしかないのだ。このプログラムを作ったからには、絶対に完成させてみせる!!

カタカタカタカタ…
パソコンのボタンを押す音が絶えず鳴り響いている。ここはボール製造部の研究室だ。ここで今究極のボールを作るプロジェクトが進められているところだ。
エリック「よし、これでどうだ!!」
カチッ!!ガガガガガガガガ…ピッ!!
プログラム「現在ノ物質でーた化確立ハ、80%デス。」
ネシア「80%か。先輩、そろそろ休んだらどうですか?」
ネシアが私の横で止めようとする。しかし私は動く手を止めようとはしなかった。
エリック「まだだ…。まだ休むわけにはいかない。休んでる時間がもったいないからな…。」
カタカタカタカタ…
ネシア「けど先輩…」
私はネシアがなんと言おうと、この仕事をやめる気はなかった。
80%…あと少しねばれば100%になるはずなのだ。100%になるまでは休む気はない。いや…今はこの仕事に夢中で疲れすら感じなかった。

3時間後…

カタカタカタカタ…
ピッ!!
プログラム「現在ノでーた化確立ハ、97%デス。」
エリック「く…何故だ…。何故これ以上上がらないんだ!!。」
ドン!!
私は机を叩きつけた。
ネシア「先輩!」
ネシアが駆けつけてきた。
エリック「さっきからずっと97%で止まっている…。これ以上は無理だというのか…。」
ネシア「きゅ…97%!!?そこまでやったんですか!!?そこまでやったならもうほぼ100%じゃないですか!!」
ネシアが驚いている。それと同時にもう仕事は終わったんだという表情も出ている。
エリック「いや…まだだめだ。これでは100%とは言えない。
残り3%…残り3%なのに…。」
ネシア「けど先輩…それ以上やったら体を壊しますよ。」
ネシアが心配している。
エリック「…分かった…。」
私はイスに座った。
ネシア「しかし…97%にまで上げるなんて…。エリック先輩。あなたはいったい…」

私はひとまず休憩することにするが、決して97%という半端な確立で終わらせたりはしない。100%、それこそが私の唯一の目標だ。
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エヌオズ #7★2005.04/04(月)19:32
〜最終話 真の究極とは何か?〜 

流石に長い間やっていたおかげで、「物質電子変換プログラム」を97%にまで仕上げることができた。だがそれから何回やっても確立を上げることができなかった。いったいなぜだ…?

あの後一日中やってみたが、どうも97%から先に進むことができない。他の社員たちに心配されるとやりにくいので、いったん今日は家に帰ることにした。

エリック「帰ったぞー!!」
妻「おかえりなさい。」
妻が玄関にやってきて、私からカバンを預かった。
妻「どうだった、今日は?」
エリック「ああ…。」
私は妻から顔をそらした。
妻「何かあったの?」
エリック「…いや、普通だった。」
妻「そう…。」
妻は台所のほうに行った。
本当は究極のボールが完成せずにイライラしていたのだが、妻に心配されると困るからな。
それにしても…97%のボールができても、それは100%とは言えない。確かに約100%ではあるが、約じゃだめなんだ。約じゃ。
「お父さん!!」
エリック「おお、テツか。」
私の息子のテツが、うれしそうな顔をしてやってきた。
テツ「今日さ、ニャースゲットしたんだ!!」
テツはモンスターボールを差し出した。
エリック「それは良かったな!!」
テツ「なかなかボールに入ってくれなかったから、僕のラッタがボコボコにされちゃったよ。でもモンスターボールの揺れが止まったときはうれしかったよ。苦労したかいがあったよ!」
エリック「…そうか…。」
テツ「お父さん、どうしたの?」
テツが私の顔を覗き込む。
エリック「ん、何もないよ。」

エリック「苦労したかいがあった…か…。」
私には、究極のボールの製作が、どのような意味を表すのか、分かったような気がした。
究極のボール。どんなポケモンでもゲットできる究極のボール。
普通なら究極だと思うかもしれない。

しかし、それが本当に究極だろうか…?

絶対にゲットできると分かっていたなら、トレーナーの楽しみを奪ってしまうのではないだろうか?
「このポケモンは頑張ってゲットしたから、絶対に手放さないぞ。」
そういう声がなくなるんじゃないだろうか?ポケモンゲットがつまらなくなるんじゃないだろうか…?

このボールは…存在しては…いけない…。

私は次の日、この仕事から手を引こうと思う。仮に他の人が作ろうとしても、他の人が完成させてもかまわない。ただ、私自身が作るのだけはごめんだ。こんなボールを使って、ポケモンをゲットしてほしくないからだ…。

エリックがこの仕事から手を引いた3年後、究極のボールは完成した。そのボールの名はマスターボールと名づけられた。ただシルフカンパニーの社長はエリックの気持ちを少し分かってくれたみたいで、このボールは発売せずに、一部のイベントなどのみでいくつか配布するということにしてくれたそうだ。

マスターボールを使うとき、究極とは何か?究極こそが真にいいものなのか?究極が生まれることで何か失われるものがあるのではないか?
そういったことを考えて、使ってほしい…。
                   
                        END

あとがき
さて、短かったですが頑張ったつもりです。僕の初の小説、どうだったでしょうか?
これでこの小説は終わりです。よかったら感想くださいね☆
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[662]

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