チョビ犬 | #1★2006.03/20(月)18:08 |
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第1話「旅立ちの日に」 ガサッッ 晴天の空に音が響いた。 「またか」 少年はため息じりに首を振った。 「お~い、シオン!さっさとこいよ!」 「ツバサ。今行くから待ってて」 シオンと呼ばれた少年は自分に言い聞かせるように言った。 「気のせいだ。僕は睡眠不足だから」 シオンは本を閉じて一階へと駆け下りた。 今思えば、それが始まりだったのだ。 木のぬくもりがする一階へとシオンは降りてきた。 「シオン。今日からこいつも一緒だ。」 「え?何が?」 シオンはツバサと少女との三人暮らし。今日は週に一度の聖なる祭りの日だ。 「コハク!君は家にいなって」 シオンはコハクと言う少女を止めた。 「祭りはまだ早いって」 「ちがいます。シオンさん。今日はツバサさんと、冒険に行く日でしょう?」 コハクがクスクス笑いながら言った。 「俺もな。」 一人の男が、玄関に立っていた。長い髪をポニーテールにしている。 「クロードさん!やった!」 ツバサがジャンプした。 「じゃ、おまえらにポケモンをわたさなければ」 「『ポケモン』?」 三人は声をそろえて聞いた。 「あの、伝説の。」 コハクが言った。 「いいや。これは本当にいる生命体なのだ」 クロードが3つのボールを差し出した。 「みんな同じポケモンが入っている。好きなのを選べ」 「俺はこれ!」 ツバサが白いモンスターボールを取った。 「いけ!」 モンスターボールから、光が飛び出した。 「イーブ」 イーブとないたそのポケモンは、言った。 『よろしくな。ご主人様』 「しゃ、しゃべった!」 ツバサが目を丸くした。 「え?」 シオンとコハクはびっくりした。 「しゃべって無いじゃん。なにいってんの?」 クロードはにっこりした。 「みんなイーブイが入っている。」 「へぇ。イーブイってんだ。よろしくな!」 「次はシオンくん」 「僕は、これ!」 黒いモンスターボールを選んだ。 「じゃ、わたしはこれね。」 コハクは青いモンスターボールを選んだ。 「いっけ!イーブイ!」 『よろしくお願いします』 『コハクちゃん。よろしくぅ!』 「しゃ、しゃべった!」 二人は声をそろえて言った。 「これは、持ち主にしか声が聞こえない特殊なポケモンだ。人間とポケモンとの相性が良くないとただの鳴き声に聞こえる。もちろん、ポケモンのほうが特殊な能力がないと駄目だからな」 クロードがにっこりした。 「俺の目は正しかったようだね」 クロードが外に出た。皆も続いて外に出た。朝のすがすがしい空気が顔をくすぐった。 「はい!有り難うございます!」 「よし、皆そろったな。それじゃあ」 クロードが祭りの広場について、空いているところを探した。夜見ると幻想的な祭りの会場が、ポッポとナゾノクサでいっぱいのやさしい空気の会場になっている。 「よく考えると、こいつらもポケモンだったんだね」 ツバサが言った。シオンもしきりにうなづいている。 「ただの動物だと思ってたけど」 コハクも言った。「世界観がかわったね」 「ここがいいな」 空いている場所で、クロードがポケナビを取り出した。 メニュー画面が出てきて、普通よりも一つ選択肢が多いのにシオンは気がついた。 ピッ クロードはその一つ多い選択肢を押した。 シオンは、はっと周りを見た。 ガサッ 「また…」 あの音だ。 「今からいろんな世界にいくぞ!みんなしっかり俺につかまってろ!」 当たりに風が吹いてきた。3人はクロードにつかまった。 「クロードさん?ポケナビは普通…こんな風な能力は…」 コハクが言った。 「ああ、普通はな!」 グシュっと音がして4人は消えた。 村人たちは涙を流していた。 「あの子達も、そんな時がきたんだねぇ」 続く |
チョビ犬 | #2☆2005.07/10(日)11:46 |
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第二話「初めての世界」 「わあ~。いろんなドアがあるな~」 ツバサが興奮して言った。 「どんどんおちていくよぉ~」 コハクがシオンにしがみついた。 「え?ぁ…うん。大丈夫?」 シオンがぎこちなく手を握った。 「うん。シオンさん、ありがとう」 コハクは微笑んだ。 「今、ユラビルに向かっているらしい。あと5分ぐらいで着くぞ」 クロードがポケナビを見ながら言った。 「慣れると楽しいよ~!いけ!サンネ!」 『呼んだかい?』 ツバサのイーブイ「サンネ」が出てきて言った。 『行こうぜ!』 ツバサとイーブイはわざと下に落ちていった。 「私も!いけ!「クリア」!」 『呼んだ?コハクちゃん♪』 コハクのイーブイ「クリア」が出てきた。 『行きましょ!』 コハクはシオンの手を離して言った。 「シオンさん、ありがと」 「う、うん」 シオンは下に落ちていくコハクを見届けて言った。 「いけ!「ユエ」!」 『呼びましたか?』 シオンのイーブイ、「ユエ」が出てきた。 『今までの様子を見させてもらうと、インドアなんですね』 ユエが言った。 「いんどあ?」 シオンがとぼけた。 『っ…もういいです。』 「着いたぞ!」 クロードはポケナビのスイッチをオフにした。 とたんに辺りは緑が広がった。 「泉まで行ってこい!のども渇いただろう。まっすぐいけば泉だ!」 クロードが言った。「俺は後から行く」 「競争な!よーい、ドン!」 ツバサが先に行った。 「あ~っ!ズルーイ!」 コハクも全速力で追った。 「あせらな~い。」 シオンは小走りで行った。 『シオンさん…』 ユエが呆れ顔で言った。 「本気出していくよ!」 ダッ 『は、速い』 本当に速い。もう、コハクを追い抜いた。 サンダースも顔負けの勢いだ。 ガサッッ とたんにシオンのスピードが落ちた。 「もう、いやなんだ、あの音を聞くのは」 シオンがしゃがんで動かなくなった。 『シオンさん…』 ガサッ シオンの目からは、涙がこぼれ落ちていた。 続く |
チョビ犬 | #3☆2005.08/04(木)08:14 |
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第3話「空の旅」 『シオンさん…』 ユエはどうしようも出来ないまま立っている。 「シオン!どうした?」 クロードが駆けつけてきた。 ユエが一部始終を話した。 クロードの顔色が変わった。 「クロード…さん…?」 シオンは意識を失いかけている。 「ポケモンハウスで休むか?」 「いいえ…僕は大丈夫です…」 『シオンさん。休んでください』 シオンは頷いた。 クロードは、ポケナビを出して、普通、「ポケモンサーチ」が入っている所にカーソルを合わせた。すると、ポケナビからアンテナが出てきた。 「こちらクロード、フライゴンか?シオンと言う髪の青い少年をポケモンハウスに運んでくれ。場所は10階、150番室だ」 【ザザッ…了解】 (そうか…ポケナビ…) シオンはくらくらする頭でそのような事を考えた。 クロードは湖の方へポニータを出して走って行った。 とたんに、辺りに砂吹雪が舞い、シオンの意識ははっきりした。 『よぉ!シオンさん』 フライゴンは陽気に言った。 『乗って。おっと、イーブイさんはボールの中へ』 「…分かった。戻れ、ユエ」 ピシュンッ 『彼の操るポケモンは誰とでも会話が出来るのさ♪』 「僕のイーブイと話してたよ」 『それは彼も、お れ も 特別だからさ』 「へ、へぇ~」 『じゃ、行くぜ!ゴーグルつけて!』 シオンは言われるがままに空用ゴーグルをつけた。 ヒュンッ 空をピジョンが舞っている。 「あ。可愛い♪」 シオンが指差したのは、トゲチックだった。 『捕まえてみれば?』 「いや。今度でいい」 シオンは目をそらした。 「空が銀色だ…」 『え?本当?降りなきゃ。下降するぞ!しっかり掴れよ!』 「OK!」 ヒュンッ シオンは銀から緑の変わり目を、肌で感じ取りながら急降下した。 |
チョビ犬 | #4★2005.08/11(木)08:58 |
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第4話「勝負【前】」 離れ離れになった4人はもうポケハウスについていた。 『あの…シオンさん』 ユエは『ちぇっ』と言って部屋の外に出た。 「おまえも、そうなんだな」 シオンはベットに倒れこんで言った。 ユエと入れ違いにツバサが入ってきた。 「よお!シオン!話は聞いたぜ!大変だ…」 シオンがツバサを睨んだ。 「静かにしてくんない?うざったいんだよね」 ツバサの堪忍袋の緒が切れた。 「いまなんつった?せっかく心配してやったのに」 「俺は疲れてるんだ。また明日にしてくれ」 シオンが立ち上がった。 「早く出てけ」 シオンが言った。 「ちょっ…何やってんの」 コハクが止めた。 「女はさがってろ」 ツバサが言った。 「勝負だ」 「上等じゃん」 ★ 「いけ。ユエ」 シオンがモンスターボールを投げた。 「ブィ!(行きますよ)」 「いけ!サンネ!」 「ブィ!(久々のボールの外だぜ!)」 さて。この勝負の結果は?後編に続く。 続く |
チョビ犬 | #5★2006.03/20(月)18:13 |
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「勝負」【後】 「御兄さんたち。ここでポケモンバトルはいけないねぇ…ポケハウスの勝負場。1回100ポケドル「貸切」だよ。」 愛想の良いおじさんが声をかけてきた。 「君たちは特別にただでいいやぁ…このごろ人こないし~」 「やったね!」 『ツバサって単純ですね。何て言うか…すぐ損なのに引っかかりますね。』 ユエがシオンに言った。 「そこがツバサのいいところ。見たところ、あの人はこのホテルのオーナーだよ。多分ね」 シオンは慎重に言った。 「じゃ、行くぞ」 ツバサがシオンを引っ張る、 「…俺が勝ったらこのパーティは俺がリーダーだ」 ツバサがゆっくり言った。 『ツバサの兄貴。はっきり言ってそれはやりすぎ…』 『ですよね』ユエがサンネに言った。 『なあ』 サンネは苦笑した。 ★ 「でんこうせっかだ!」 『兄貴…もう?』 「ユエ。噛み付け」 『ハイ!』 サンネは相手の方が先制攻撃だったことに気づき、かわそうとした。 カプッ いきなりの攻撃に、サンネは怯んだ。 「何やってんだ!サンネ。サンネ?」 シオンは優しく言った。 「やっぱ、まだ無理だよ。勝負なんて」 シオンが言った。 「僕達、友達だろ?」 ツバサが頷いた。 「ユエ。終わったよ」 その声は威厳があり、ツバサは身震いした。 「お前、ポケモンマスターになるべきだよ」 「ん?何か言った?ツバサ」 シオンが振り向く。 「なんでもない」 ツバサは軽く笑った。 『いくよ。サンネさん』 『おうよ!』 ★ シオンとツバサは、夜に帰ってきた。 「だから言ったでしょ!勝負なんかするなって!もう、クロードさんに言っちゃったから!」 「えぇ!それだけは勘弁…」 「もう言っちゃったも~ん♪」 クロードが部屋から出てきた。 「おまえら~!」 シオンが慌てて部屋の鍵をかける。 そうして、夜は更けていくのであった…。 続く |
チョビ犬 | #6☆2005.08/16(火)09:42 |
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第6話「何のために、誰のために」 「おまえたちは月物語を知ってるか?」 クロードが言った。 「月物語。ここの図書室で読んだよ」 シオンが言った。 「ある日、ある朝、どこかの森で、5匹のイーブイたちが会議を開いていた。破片を1つ、石を3つ。そうすると石は余るから、あみだくじで決めたんだ」 ★ 「雷の石、水の石、炎の石、太陽の破片。皆はそれぞれのポケモンに進化した。 ただ一人だけ仲間外れのイーブイは、研究した。 ある日、月の破片が空から落ちてきたんだ その仲間外れのイーブイは進化した。ブラッキーに。 ★ 「はぅ…すごいなシオン。暗記か?」 「まあね。こんぐらい5分もあれば覚える。欠片も石ももらってきた」 シオンがポケットから欠片と石、あわせて5個を出した。 「だれに!」 クロードが言った。「これは国宝だぞ!」 「館長」 シオンがにっこりして言った。 「僕が気に入ったんだって♪」 クロードは口が開いた。 「あっ、あれは国宝。あんな硬い館長がくれるとは…」 「いくらでもあるからあげるってさっ。どれに進化したい?決めてっ♪」 「じゃ、遠慮なく。おれは電気!元気の証拠だぜっ!」 ツバサが言った。 「私は太陽」 コハクがシオンの肩を叩いて言った。「ありがと」 「じゃ、僕は月。つまりブラッキー」 3人はそれぞれのイーブイに石、欠片を当てた。 光とともに、3匹の美しいポケモンが出てきた。 「なんだ~?ちくちくしてんぞ!」 「可愛い宝石。ルビーかしら?」 「わ、思ったとおりだ。かっこいいっ!」 シオンが言った。 「じゃ、ぼく、石返してくるね!」 「俺も行く!」「クロードさん待っててね!」 クロードは心の隅で思った。 「シオンは何のために、誰のために欠片と石をもらってきたのだろう。」 続く |
チョビ犬 | #7★2006.03/20(月)18:15 |
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第七話「謎の王国」 「僕、水の世界に行きたい」 シオンは言った。 『ああ、それなら、ウォーターランドっていう国がありますよ』 ユエが言った。 「じゃ、ウォーターランドに行くか」 クロードはポケナビをセットした。 いつもと変わらない世界のたび。 「また落ちるんだろ?ったく、かったりーな」 「同感」 コハクとツバサが髪を靡かせながら言った。 シュッ 「くは~!何てトコだ!」 穴の中は、暗くてよく見えない。 「落ちてけ無いな…」 シオンが冷静に言った。 「な~に冷静にしてんだ!クロードさんはロープ使って降りてったぞ!」 「それも、このロープ、下で切れてるよ…」 コハクが下をまた覗いた。 「はあ…」 シオンは目を伏せた。 「分かったから、降りるよ」 「なんで降りれるの?」 コハクが聞いた。 「階段になってる。ロープはダミー」 コハク、ツバサはショックに打ちのめされていた。 「ようこそ!水のベールに包まれた神秘の町、ウォーターランドへ!」 クロードは国の入り口で微笑んで立っていた。 「ウォーターランド・…」 ツバサが上を見上げた。「水のベールだ…」 「いらっしゃい。入国記念にこれをどうぞ♪」 入国口の女が包みを3つ差し出した。 「ウォーターペンシルです♪」 「水だ…」 シオンが言った。 「うわー」 一行は感激した。 なんと、入り口の噴水が水しぶきを上げて虹を作っていた。 ――――まるで、一行を歓迎するかのように。 |
チョビ犬 | #8★2005.08/25(木)10:41 |
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第8話「少女とゲーセン」 「はぁ…綺麗だね」 シオンが上を見上げた。 「あ、兄さん。家に帰れってマスターがうっさいよ? あ、新しい友達?1、2、3。3人ね。 そこの3人さん、兄が御世話になりました。 バーですから、いっぱい飲み物もあるし、4人くらいなら大歓迎です」 少女が駆け寄って言う。 「兄さんって…?…!僕っ?」 少女がにっこり笑ってシオンの腕を引っ張った。 「さ、一緒にいこう。兄さんじゃなくても行くの」 少女がシオンに町の案内をする。 そこにツバサが割り込んだ。 「お、俺たちにも…案内してくれない?」 少女がツバサをキッと睨んだ。 そして言った。 「私は貴方にも案内してるはずだけど。貴方が来ないだけよ」 ツバサがはっとして辺りを見た。 コハクもクロードもシオンと一緒に横に並んで歩いている。 「悪いけど、聞きたいんなら来てもらわなくちゃ」 そう言って少女は元の様に明るく話し始めた。 「君はなんていう名前?」 クロードが聞いた。 「カレン・ガート。16歳。シャワーズがパートナーよ」 「へぇ…カレンちゃんって呼んでもいい?」 コハクが聞いた。 「そういわず、カレンでいいよ」 ★ 「ここが郵便局。本屋、ゲーセン」 「ゲーセンもあんのか?」 ツバサが勢いよく聞いた。 「へぇ。以外。あなたゲーセン行き着けなの?」 コハクが聞いた。 「良くぞ聞いてくれました!俺は… 全スコアを俺の名前で埋めた事がある!」 「迷惑な奴…」 クロードが溜息をついて言った。 「同感」 「同じく」 「激しく同感」 4人の意見が一致した。 「…ともかく。俺の腕前をみしてやるぜ!」 ツバサはゲーセンの中に行き、100ルピーを入れた。 続く (注:100ルピーは約100円です) |
チョビ犬 | #9★2006.03/20(月)18:22 |
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9話「必要ない能力」 ♪タリッ…タリッ ゲームの音楽が聞こえてきた。 【このゲームは、シューティングゲームです。3つある銃から一つ選んで、ヘルメットを被ってください。尚、制限時間は30秒です。 もし30000点行ったら、ポケナビを好きなだけ差し上げます】 「うーん…水の国だから、ウォーターガンで」 ツバサはウォーターガンを選んだ。そしてヘルメットを被った。 【スタート!】 ツバサは少し息を吸うと、一撃を打った。 それから20秒後、ツバサはあっというまに30000点撃った。 【そこまでっ!】 アナウンスと共に、スコアが出てきた。 ――31000点~新記録~―― 「っ…」 シオンがツバサを見た。ツバサは汗をたっぷり流していた。 【ポケナビ、なんこがよろしいですか?】 「4つ…と」 液晶の選択画面に入力する。 ♪タンタンタン、パーン! 「ほらな!」 ツバサはカレン、シオン、コハクにポケナビを渡した。 「あ…ありがと…」 カレンは頷いた。 「う・・うちのバー、この上…なんだ。来て」 カレンは4人を2階に上がらせた。 蓄音機から、ボサノバが聞こえてくる。 「このこがシャワーズよ」 カレンがボールからシャワーズを出した。 『可愛いっ!よろしくね!シャワーズちゃん!』 コハクが眠そうな顔で言った。 「烏龍茶、1つ」 クロードがマスターに言った。 「じゃあ、俺は炭酸系!」 「私も!」 「僕は緑茶で」 [緑茶]と答えたシオンは周囲から好き放題言われている。 「年齢らしい者を飲みなよ」 「緑茶…」 カレンには呆れられ、コハクには笑われる。 「それにしても、何でおツバサははゲームが上手いの?」 シオンが話題をそらした。 「俺んちがゲームセンターだったから」 カレンが歓声を上げた。 『今日は満月ですね』 ユエが目を光らせながら言った。 「そうだけど…」 シオンが言った。 『僕、外行ってきます。夜明けには帰ってきますから』 「ああ」 『ユエさん…?…!私も行ってきます!』 シャワーズがカレンに言った。 「え?シャワーズ?」 『ふぁ…もう限界。お休み』 そう言ってクリアはボールの中に入った。 「まだまだ楽しもう!マスターと話そう!なっ!」 ツバサがサンネに言った。 『は――い』 この夜、バーからは、楽しい会話が絶えなかったと言う。 続く |
チョビ犬 | #10★2006.03/20(月)18:23 |
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第10話「夜」 「ユエさん?どこですか?」 辺りはザワザワと風か吹いている。 「来なきゃ良かった」 シャワーズは元の道を戻っていった。 『へぇ…シャワーズか』 カゲボウズがシャワーズにすすっと近づいた。 『きゃっ!』 シャワーズが大声をあげた。 『助けてっ!』 カゲボウズがシャワーズにナイトヘッドをしようとしたとき、ブラッキーがシャワーズの前に立ち塞がった。 『その子を離せ』 ブラッキーが唸った。 『は…お前には関係ないだろ』 カゲボウズが怯んだ。 『関係ある。俺の仲間だ。失せろ』 ブラッキーが声を一段と低くした。 『わ、分ったよ。放せばいいんだろ?』 『そうだ』 ブラッキーはまた声を低くした。 カゲボウズは『ちっ』と言って逃げ出した。 『あ、あの…ありがとうございます』 『どういたしまして』 ブラッキーは微笑んだ。 『さあ、HPも蓄えたし、帰ろ?』 『あ、はい』 2匹は夜の光を浴びながらバーの方向に歩いていった。 「あのポケモンについていこうなり!」 木の陰には少女が立っていた。 続く |
チョビ犬 | #11★2006.03/20(月)18:31 |
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第11話「新しい仲間と提案と」 「ったく…どこ行ってたんだ!」 シオンがくどくどくどくど怒っている。 そんなシオンを横目で見ながら、ユエはある少女を見ていた。 『あ、あの子…』 シャワーズが言った。 「あまねちゃんだぁー♪」 カレンが近寄った。 みると、麦藁帽子を被った浅黒く日焼けしている女の子が一緒に歩いている。 「あのこ、誰?」 カレンが言った。 「しんないの?うずきちゃんだよ。唯一俺とゲームで張り合った奴」 ツバサが言った。悔しそうだ。 その口調にむかついたカレンは、うずき達の方に行った。 「マスター!こ ん に ち は~!なりっ!」 「こんにちわ」 マスターが挨拶する。 「宜しくね!私、カレン。うずきちゃんだよね」 「そうなりよ!よろしくにょろ~!」 あまねがうずきに隠れた。 「あ…あのぅ…久しぶりです…カレンさん…」 あまねが静かに言った。 「麦藁帽子、取ってくれない?」 カレンが言った。 「だめぇ~」 カレンは軽くショックを受けた。 「仕掛けだけでも!」 「え?それはね。うん。○◆~♪なんだ~ww」 「○◆~♪…?なんだそれは」 クロードが笑った。 「宇宙人語♪」 「あるかよ」 あまねが低い声でツッコんだ。 「ププッ」 シオンが噴出した。 「あ~笑えるっ!」 コハクが言った。 「この町、いつになったら出るの?」 コハクが言った。まだ笑っている。 「あんまり出たくないんだけど」 「一週間後辺りには、出ようと思っているが、どうも変更になりそうだ」 クロードが言った。 「遅くなるの?」 シオンはそうなったらいいな~。という顔で聞いた。 クロードは軽く頷いた。 『うそぉ…』 クリアが絶叫した。 「ココに住もう…て言う意見も出てるんだけどな…」 ツバサが半分寝ながら言った。 「それいいね」 あまねがにっこりした。 「少し、妙な噂があるんだが…」 「妙?」 コハクが眉をひそめた。 「この町を、悪の結団、ブラック・サンデリアが狙っているというのだ。あの2人は、俺たちの手助けに来てくれた」 続く |
チョビ犬 | #12☆2006.03/20(月)18:06 |
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第12話「ブラック・サンデリア」 「ブラック・サンデリア?」 「何それ」 「そんな事いいから早く別の所行こうよ」 「眠い」 皆が口々に喋った。 『ブラック・サンデリア… 聞いたことがあります。 俺の故郷を滅ぼした奴です』 サンネが言った。ポケモン達が目を交わした。 『サンネの故郷は、世界一安全な場所だったのよ』 クリアが簡単に説明した。 『でも…ブラック・サンデリアは、簡単に破壊した!』 ユエが激しく言った。 「それが始まりだった。サンネの故郷を最初に、どんどん街が潰れた。 ユエも、クリアも、俺達の故郷も…」 クロードが説明したが、最後の方は声がかすれでいた。 「私たちの街?!つまり…」 コハクが打ちのめされたような顔をした。 「そう、俺たちの街だ!!」 クロードが机を拳で強く叩いた。 「3時間前に連絡があったなり…村人たちが必死で応戦したなりが…」 うずきが静かに言う。 「それで…助けにきました…」 あまねがうずきと並んで言った。 「何処に居るんだ…」 ツバサが震えた声で言った。 「その、ブラック・サンデリアって奴等は!」 「ツバサ… ブラックサンデリアは、団体じゃないんだ…」 シオンが言った。目が潤んでいる。 「たった一人なんだ…。『ブラック・サンデリア』っていう名前なんだよ」 「えっ…」 コハクが目を見開く。クロードは静かに頷いた。 「ユラ・ビル、クラナー、モカナァ、ファナピ…そして故郷の『ヴァナァ』…ここ、ウォーターランド』 シオンがもう耐えられなくなり、机に突っ伏した。 「何で、君が知ってるなり?」 うずきが言った。 「この秘密を知ってるのは、あまねちゃんと、私、クロードさんだけなりよ」 「あと…街に住んでて生き残った人」 あまねが呟いた。 しばしの沈黙。 「シオン。お前…」 ツバサが怒りと疑問が入り混じった気持ちで言った。 「僕は、前に被害にあった『クラナー』に住んでいた」 |
チョビ犬 | #13★2006.07/01(土)11:45 |
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第13話「月と太陽」 「でたらめを言うなッ!」 ツバサが、激怒した。 「第一、クロードさんは「結団」と言っていたんだ。」 つまり、シオンと俺、あまねさんとうずきさんは嘘をついている…と、そういうわけだ」 クロードが顔をしかめた。 「頭の回転が悪いね」 カレンが言った。じれったそうだ。 「クロードさんは、貴方に事実を知って欲しくなかっただけ。そうでしょう?」 ツバサは黙り込んだ。 「どうやって来るのが分かるの?」 カレンがツバサを一瞥していった。 「ブラッキーとエーフィの言語能力が強くなる。人間には何も変わりが無い」 クロードが言った。 『人間が居なくなる、水が止まる…』 クリアが言った。 コハクは飛び上がった。 「すごい!何故分かったの?」 『どーでもいいわ。どうせコハクとポケモン以外には聞こえていないだろうし』 シオンはクリアを見た。 「聞こえてるけど…」 「私も…」「私もなり」 『え?えぇ?』 クリアは仰天した。 『あと、皆既日食と皆既月食が起きるそうだ。』 ユエが言った。 「すごいね~。ユエ君」 カレンが手を叩いた。 『俺の話も…分かる…?』 ユエは大きく眼を見開いた。 『始まったのね』 シャワーズが言った。 「もしかして…」 シオンが外に出た。続いてツバサ。 「太陽が…隠れてる…」 シオンが店の外に出て、言った。 「噴水も…街の皆も居ない…」 ツバサがガクッと膝を着いた。 「ブラックのお出ましだ!」 クロードが言った瞬間、低い笑い声が轟いた。 |
チョビ犬 | #14☆2006.07/01(土)12:05 |
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第14話「最後の戦い」 ブラックは、噴水の上に立っていた。 「美しい街を壊すのは楽しいねぇ…」 ブラックがこっちを見る。 ツバサは目を見開いた。 「ゲーセンが…消えてる…」 『ツバサ、そんな落ち込むな。うん』 サンネが形だけで励ます。 ポケモンたちは戦闘状態に入っていた。 「お前等、私に抗おうとか考えてないだろうねぇ?」 ブラックは微笑する。 「考えている!そして今、それを実行しようとしている!」 クロードが怒鳴り散らす。すると、 「そのような選択をしたことを…」 ブラックはいかりを露にし、モンスターボールを取り出す。 「後悔するが良いッ!」 クロードも反応が早かった。 「行け!ポニータ!」 クロードがポケモンを出すと、 「ギャロップ!」 ブラックは、わざと進化後と進化前で戦おうとしている。 「この勝負、受けて立ってやろうじゃないのッ!」 ブラックが叫ぶ。相当怒ってるらしい。 「ポニータ!火炎放射!」 ポニータの口から鮮やかな赤の炎が発射される。 ブラックは鼻で笑った。そして、 「ギャロップ!火炎放射よ!」 同じ技を繰り出した。 ポニータに比べ数段鮮やかで、大きい炎が発射された。 ポニータが勝つ確立は普通なら50%はある。 クロードが特訓しているし、経験値も高い。 しかし、ギャロップは段違いにずば抜けていた。 ポニータの炎を無効化して、ギャロップの炎はポニータに向かって突っ込んでいく。 クロードは唖然とし、命令を忘れている。 「キャゥッ!」 ポニータは喘ぎ、弧を描いて空へ浮く。 「ポニータ!」 クロードは我を忘れてポニータに駆け寄る。 「どいてクロードさんッ!」 カレンはシャワーズを抱いて駆け寄ってきた。 「私に考えがあるから、退いてて!」 「でも…」 「退いててっ!」 「で――」 「いいから、退けっつーのに!」 「ハイ…」 |
チョビ犬 | #15★2007.01/04(木)17:34 |
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最終話 「行くわよ!シャワーズ!ハイドロポンプ!」 シャワーズが凄いスピードのハイドロポンプを発射した。 ブラックが気づいた瞬間、 ギャロップは、倒れていた。 「何ィ?何が起こったの?」 コハクがツバサに耳打ちする。 「俺にも、到底…」 一同 唖然。 「むかつくわッ!すんごーいムカツク!」 沈黙の口火を切ったのはブラックだった。 「あなたッ!」 カレンが「私…ですか?」と首を傾げる。 「そう、貴方よ!貴方はバトルしてはいけないわッ!あなたのポケモンは誰にも被害が及ばないように閉じ込めておくのが一番い――」 サンダースが10万ボルトを浴びせる。 「うがッ?」 ブラックがビリビリする自分の手と、サンダースを見比べている。 「人間に攻撃するのは卑きょ――」 エーフィが念力で黙らせる。 「暴力 はんたい!」 ブラックが叫ぶ。 「思ったんだけどさ」 シオンが言った。 「どうして、お前みたいな、ん~…オカマ?が街を侵略出来た訳?」 とたんにブラックが顔を真っ赤にして怒り出す。 「私は女だよッ!しょうしんしょーめいの! しかもねぇ、こんなナリしてるけど、一応ポケモンマスターだし…」 ブラックの話は無視され、警察に突き出された。 「帰るか」 クロードはツバサの肩を叩く。 「俺と一緒に行かないか?ポケモンの修行つきだ!」 「あ、行きます!」 「僕も行く」 「私も~」 シオン、コハク、クロード、ツバサは修行に出る事にしたらしい。 「あまねちゃん、どーするなり?」 「ん…私たちは適任者を探しましょう」 「そうなりね」 「何何?うづきチャンたち、どっかいくの?」 カレンが聞いた。 「ううん。何でもありません」 一行(カレンを除く)は、とにかく街を出る事になった。 「じゃあな、カレンちゃん、うづきちゃん、あまねちゃん!」 クロードが手を振る。続いてシオンたちも。 「ばいばい~」 カレンも手を振る 「さよなら、なり」 「さようなら~!」 ☆ 「じゃ、いくなりか」 「なんか気ィ抜けたね」 「そうだね」 「家に電話した方がいい?」 「そうした方がいいなり」 「じゃ、えっと、○○ー□□ー△と」 あまねが電話のボタンを押す。 「――出ない」 「じゃ、いつでも絶対100%でる、警察は?」 うづきが慌てた。 「そっだね。1、1、0…と」 「どうなりか?」 「―――でない」 どうやらまだ 完全には終わってないようだ。 完 結 |
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