ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[769] P M R A

翠華 #1★2005.09/22(木)17:01
こちらで小説を書くのは初めてです。(ドキドキ) 
更新遅いかもしれませんが、どうぞ宜しく。

〜ストーリー〜
物語の舞台は、ホウエン地方。
主人公シャルトは『PMRA』という団体に入るため、ミナモシティにやってきた。
シャルトがPMRAに入った理由とは…?

PMRAでポケモンや仲間たちと戦っているうちに、シャルトの心に変化が…?


〜キャラクター〜
 シャルト…主人公。パートナーはペルシアンの『ルーシェ』
クールな性格で、わりと真面目なところがある。
 ミケ…PMRAのリーダー。パートナーはエネコロロの『ネココ』
勝手気ままな性格だが、メンバーたちの信頼は厚い。
 タマ…PMRAの副リーダー。パートナーはライチュウの『マイク』
可愛いものには目がない。平和を何より好むが、怒ると怖い。
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翠華 #2★2005.08/19(金)13:58
プロローグ 『鍵が開いてたぞ』


 「本当に、ここであっているのか?」
地図を見てもう一度確かめてみるが、この場所で間違いないようだ。
目の前には明らかに古そうな、薄汚い建物。
『ルーシェ、どう思う?』
『地図にそう書いてあるんだから、ここなんでしょ』

 彼の名は、シャルト。
ポケモンとテレパシーで会話する能力を持つ。
今、彼はペルシアンの『ルーシェ』とテレパシーで会話している。

 『とっとと中に入りなさいよ』
ルーシェに促され、仕方なく建物の中に入る。
「こんばんは…誰かいますか?」
返事がない。やはり間違っていたのだろうか?

『PMRA』…ポケモンレンジャー同盟

 ここがその総本部のはずなのだが…。
このミナモシティという町に似合わない、古びた建物。
「…ここじゃないのか」
そう言って引き返そうとしたその時…

 ガツンッ

 頭に何かがぶつかる。それと同時に倒れこむシャルトの体。
「誰だっ!!」
「ライライッ!」
…ライチュウ?なんでこんなところに…。
「ちょっと、そこのアンタ!」
その声の主は、ライチュウの後ろに立っている少女。
「『PMRA』に不法侵入だなんて、いい度胸してるわね!」
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翠華 #3★2005.08/19(金)13:58
第一話 『Kick』


 シャルトは未だに状況が飲み込めずにいた。
「(まさか俺、泥棒扱いされてるのか…?)」
(さっきシャルトに蹴りを入れた)ライチュウとのトレーナーと思われる少女の言葉で、ここがPMRA総本部だということは分かった。しかし…
「(こんな真昼間に泥棒が入るか?)」
「ちょっと、何とか言いなさいよぉ!」
どうすれば誤解は解けるだろうか。
すると、ルーシェがシャルトのモンスターボールを彼女に差し出した。
このボールにはエネコのマークがついている。PMRAメンバーの証でもある。

そうか、忘れていた。

「俺はシャルト。PMRAの…」
「あァ、新メンバーのシャルト君だね!気づかなかったぁ」
 …こうして誤解は解けたわけだが…。
「アタシはタマ。一応PMRA副リーダーで、リーダーの補佐とかやってるの。宜しくね!」
ニッコリと微笑みながら手をさしのべるタマに、つられてシャルトも微笑んだ。
「このライチュウ、アンタのポケモンか?」
「うん。マイクっていうんだよ」
副リーダーのポケモンということなら、さっきの蹴りの威力にも納得がいく。
(不意をつかれたとはいえ、シャルトが倒れこむくらいだ)
「…シャルト君、ちょっとついて来てくれる?」
相当面倒くさそうにタマは言った。

「リーダーのミケに会ってもらいたいの」
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翠華 #4★2005.08/19(金)13:59
第2話 『Lucky tortoiseshell cat』


 ミケの部屋は建物に入ってすぐのところにあった。
「ドアが開いてる…寝てるのかしら」
ドアの隙間から、するりと何かが出てきた。
エネコロロだ。
「ネココ、ミケは何してるの?」
ネココと呼ばれたエネコロロはシャルトとタマを部屋に招き入れる。
「あァ…やっぱり寝てた」
タマは呆れて、ズカズカと部屋に入っていく。
シャルトもそれに続いた。

 部屋の端のほうに置かれているソファに寝ている青年が、リーダーのミケらしい。
わりと小柄で、こうして見ていると小さな子供にも見える。
マイクが突然、ミケの頭に飛び乗った。
…そしてその頭を何度も踏みつける。
「痛いっ!痛いよマイク!」
必死でマイクを振り払うミケの姿が痛々しい…。

「さて…と。君がシャルトだね」
ミケは寝起きが悪いらしく、機嫌が悪そうだ。
(先ほどのタマの面倒くさそうな態度はこのせいだったらしい)
「入団テストで君のバトルを見てたけど…相当な実力だった」
興味深そうにルーシェを見つめながら呟く。
ネココもルーシェに興味があるようだ。
「…やってみます?」
「何を?」
「アンタ、俺のルーシェと戦いたいんだろ」
一瞬、ミケは驚いたような顔をしたが、楽しそうな表情を浮かべた。

「タマ、審判を頼むよ」
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翠華 #5★2005.08/19(金)13:59
第3話 『Best card』


 「ネココとルーシェの1対1で…構わないよね?」
「お好きにどうぞ」
ネココがスッとルーシェに歩み寄る。
『シャルト、本気でやってもいいのかしら?』
ルーシェに尋ねられ、シャルトが答える。
『…多分、な』
タマは戸惑ったようにシャルトとミケを交互に見たが、仕方なく頷いた。

「ミケ対シャルト、試合開始っ!!」

 「ルーシェ、めざめるパワー!」
めざめるパワーはネココに直撃する。
ミケは少し驚いたような表情をみせた。
「(速いねぇ…)」
本気でやらなきゃダメかな、と小さく呟く。
「すてみタックル!」
ルーシェの攻撃をギリギリのところでかわすネココ。
ネココも反撃に出た。
「すてみタックル!」
隙をつかれたルーシェにネココの体が勢いよくぶつかる。

 ルーシェとネココの戦いは続いていた。
両者とも体力はほとんど残っていない。そして、ネココのほうがやや押されている。
「とどめだっ!ルーシェ、すてみタックル!」
「(マズいね…これは)」
ネココはもう限界だろう。
もう作戦も残っていない。
「ネココ、アレを使って!」
すると…


ネココの姿が、消えた。
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翠華 #6★2005.08/21(日)16:16
第4話 『オレだよ、オレ』


 正確にいうと、ネココは消えたのではなかった。
しかし、シャルトがそれに気づいたときにはもう遅かった。
「だましうち!」
「ルーシェ…!?」

 それで決着がついた。
「テレポートか。危なかったよ」
「(今の…ねこのて、だな)」
正直、シャルトには納得がいかなかった。
『ねこのて』は『ゆびをふる』と同じく、使ってみるまで何が出るか分からない技だ。
それで運よく『テレポート』が使えただけの話。
「運がよかったな」
吐き捨てるようにいって、ルーシェをモンスターボールにもどす。
「運がよかった…それで思い出したよ、君に頼みがある」
近くにあった書類の山から、ミケは一枚の紙切れを取り出す。
「ボクの友達から頼まれてるんだけど、君がやってくれない?」
ボクは忙しいからね、と適当な言い訳をするミケ。
「簡単な任務だから、初めての任務にはちょうど良いしね。
タマも一応同行してくれる?どうせヒマだろうから、ね」

タマの顔に殺意が浮かんだのに、ミケは気づかない。

「キミ、チューブクイーンのアザミは知ってるよね?」
「あぁ。そいつが依頼人か?」
ミケはニッコリと笑って頷く。
そして紙切れに書いてあることを読み上げた。
「えっと…『ツボツボ詐欺』だって」
「なんだ、それは」
「あれかしら。銀行にお金振り込ませるの、たしか…」

誰も、タマにツッコミを入れるものはいなかった…。
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翠華 #7★2005.08/19(金)14:00
第5話 『dolce』


 任務の詳しい内容は、こうだった。
カイナシティでは『きのみジュース』の生産が盛んで、ツボツボはそれに欠かせない存在である。
だが、そのツボツボを使った詐欺があるらしい。
今回の任務はその犯人探し。
「こんなのが『ポケモンを護る』ことになるのか?」
「なるんじゃないの。多分ね」
 タマは相当機嫌が悪い。
この電車に乗るまでの間もずっとこの調子だ。
「誰がヒマですって?これから友達とポケモン音頭踊ろうと思ってたのに、あのダメ人間」
ポケモン音頭を踊るヒマがあるのか、と心の中でツッコミを入れておく。
「そろそろ駅につくけど」
「あァ、さっさと終わらせて今夜は踊り明かすわよ」
「犯人の手がかりとかは?」
「ない。今から調査するの」
前途多難の予感がする。アザミは何も情報をくれなかったのだろうか…。

 1時間後、シャルトは情報を整理してみることにした。
(タマはショッピングを楽しんでいるはずだ)
 まず、詐欺師は複数いることが分かった。
若い女性、年配の男性、子供など、かなりの人数がいるようだ。
もう一つは、その手口。
ツボツボを安く売るのだが、そのツボツボにはジュースを作る能力がない。
つまり『不良品』を売りつけるわけだ。

 数分後、タマが1人の少女を連れて戻ってきた。
シャルトと同い年くらいの子で、気まずそうな顔をして立っている。

「1人、捕まえたわよ」
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翠華 #8☆2005.08/19(金)14:48
第6話 『ロケット団 again』


 タマが連れてきた少女は、手に2匹のツボツボを抱えている。
「こいつ、もしかして…」
「すみませんでしたっ!」
彼女はぺこりと頭を下げた。
よく見ると、目には涙が浮かんでいる。
「アンタ、何でこんな事するんだよ」
「だって…あの…」
彼女のモンスターボールから別のツボツボが出てきた。
どことなく元気がないように見える。
「この子、病気なの。お薬が凄く高くて、でもこのツボツボが売れたらお薬貰えるから…」
ツボツボをボールに戻して、大事にバッグにしまった。
「誰が薬をくれるって言ったんだ?」
「えっと…お医者さんが紹介してくれた人で…」
「誰なんだよ」

「ロケット団の人から貰えるって…」

 まさか。
ロケット団がこの事件に関わっていたなんて思いもしなかった。
カントーで解散した後、少しの間ジョウトで活動していたらしいが、ホウエンには現れたことがない。
「これは私の憶測なんだけど」
急にタマが話し始める。
「私の勘だけど、その子の病気は簡単に治せると思うわ」
「え…でも…」
「その医者がロケット団と関わりがあるとしたら?」
 そうか。確かにその可能性は高い。
彼女を協力させるために高い薬を買わせようとしているのかもしれない。
アイツらのやりそうなことだ。
「それなら、その医者のところに案内してくれよ」
「わかり…ました」


「『PMRA』…面倒なことになったな…」
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翠華 #9☆2005.08/20(土)15:51
第7話 『Foul』


 少女の名前はリリィといった。
リリィが案内してくれたところはごく普通の民家。
「ここにその医者が住んでるのか」
リリィはコクンと頷き、ドアを軽くノックした。

「クロード先生、リリィです」
「どうした?入りなさい」
クロードはどこにでもいるような中年の男性だった。
しかし、タマが家に入ってきたと途端に態度が急変した。
「…まさか、君が来るとはね」
「クロード、久しぶり」
リリィは困惑したように二人を交互に見ている。
シャルトも訳がわからない様子だ。
「いかりの湖の事件以来行方不明だったけど、こんなところにいたのね」
 以前、いかりの湖でコイキングが謎の電波により無理矢理ギャラドスに進化させられる事件があった。
その犯人はロケット団だったはずだ。
「あの時は邪魔が入って失敗した。そのあとPMRAの捜査が入ったが…君も来ていたね?」
「えぇ…今回も邪魔が入ったわね」
タマがモンスターボールを構える。シャルトもそれに続いた。
「キミたちに私を倒せるとでも…?でてこいっ!」
クロードが叫ぶと同時に、どこからか10匹ほどのツボツボが現れる。
「ツボツボ10体…嘗められたものね」
「フン…ただのツボツボではない」
「なんですって?」

「不良品のツボツボの防御力をさらに強化したツボツボだ。キミたちに勝ち目はない」
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翠華 #10☆2005.08/20(土)16:55
第8話 『Thistle』


 「ポケモンの強化…あなた、そんなことをしてたなんて」
「ロケット団の技術を使えば容易いことだ」
確かに、コイキングをギャラドスに進化させることができるならポケモンの強化くらい容易いことだろう。
「マイクじゃキツイだろうから…いけ、ピース!」
モンスターボールから飛び出してきたのは、ペリッパー。
「いけ、ビスケ!」
シャルトのボールからはサクラビスが飛び出した。
 ツボツボ全員がピースとビスケに襲いかかった。
「ビスケ、ハイドロポンプ!」
しかし、ツボツボは皆びくともしない。
「(ウソだろ?全然効かない)」
もともとツボツボは防御に関する能力が非常に高い。
それでも水タイプは弱点なのでダメージを与えられるはずなのだが…。
 
 戸惑ったシャルトたちの隙をついて、2匹のツボツボがピースとビスケに巻きついた。
「ツボツボ、地震だ!」
「ちょっと!そんなことしたら…」
二匹に巻きついているツボツボが攻撃を受けてしまう。
「こいつらは防御を強化しているのを忘れたのか?」
動きを封じられているせいで、飛行タイプのペリッパーも攻撃を食らってしまった。
「チッ…どうすればいいんだよ」

 その時…
家の窓が突然開いて、誰かが入ってきた。
「あなたは…アザミさん?」
そう、入ってきたのはアザミだった。
「シャルト…あの子のツボツボ、ちょっと借してもらいな」
「え…あぁ」
突然そう言われて少し戸惑ったが、リリィからツボツボを借りる。
そして、ツボツボの声に耳を澄ませた。
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翠華 #11☆2005.08/21(日)15:13
第9話 『Weak point』


 『ツボツボ…聞こえるか?』
シャルトはテレパシーでツボツボの声を聞こうとした。
すぐ近くには敵と戦うピースがいる。
『シャルトさん…聞こえてるよ』
微かだが、ツボツボの声が聞こえてきた。
『あのツボツボたちには、弱点があるんだよ』
『弱点…?』
『水タイプと、飛行タイプの技で同時に攻撃して』
水タイプと飛行タイプ…?
意味がよく分からない。しかし、やってみるしかないだろう。
「タマ、飛行タイプの技だ!」
タマも意味が分からない様子だったが、大人しく従った。
「つばめがえし!」
「ハイドロポンプ!」

 その攻撃で、10体のツボツボは全滅してしまった。
「何故だ…?何故こんなことに?」
クロードはひどく混乱しているようだ。
自分の作った強化ポケモンがあっさりと倒されてしまったのだ、無理もない。
『強化ポケモンは遺伝子を組み替えたポケモンなんです。
このツボツボはその過程でなんらかの副作用が出てしまったポケモンです』
何故、このツボツボはそれを知っていたのだろうか。

 その後、アザミが警察を呼んでおいたためクロードは逮捕された。
ツボツボが強化ポケモンの弱点を知っていた理由は分からないままだったが、誰もそれを気にはしなかった。
事件が解決したことが、皆何より嬉しかったのだ。
今回の事件はシャルトの『能力』によって解決した。
それがシャルトにはあまり嬉しいことではないようだが…。

総本部に戻る途中、シャルトはアザミから真相を聞かされた。
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翠華 #12☆2005.08/23(火)16:28
第10話 『Thistle 2』


 実は今回の任務、アザミはミケではなくシャルトに依頼したらしい。
「でもアザミさん、どうしてシャルト個人に依頼したんですか?」
タマが尋ねたが、アザミは嫌な事を思い出したように二人から顔を背けてしまった。
 あとでシャルトから聞いた話によると、シャルトは彼女を2度も負かしてしまったらしい。
彼女が強いと認めたシャルトに依頼したということは、よほど面倒な事件なのだろう。
まだ、この事件は終わっていないのかもしれない…。

 シャルトが総本部に戻ると、もう夜の10時だった。
それでも何人かは仕事の途中で、戻ってきたタマとシャルトに声をかけてきた。
その中の1人、二十歳くらいのスポーツ刈りの男性がシャルトに向かって手を振って駆け寄ってきた。
「任務、お疲れさま。部屋まで案内するよ」
「え…はい」
半ば引きずるように、彼はシャルトを3階まで連れて行った。

 「自己紹介するの忘れてたよ。僕はロテっていうんだ」
「俺たち、今日から同じ部屋?」
「そう、もう1人の奴が凄く楽しみにしてるよ。」
 PMRAメンバーはカントー、ジョウト、オーレなど、様々な地方から集まっている。
そのためにこの総本部で生活している人も多い。
「そうだ、シャルトのポケモン、見せてくれるかな?」
「…部屋に着いてからな。もう1人の奴も見たがるだろうから」
ロテは苦笑した。
「(こうしてみると、とてもアザミを2度も倒したトレーナーには見えないな…)」
不安と期待を抱きつつ、ロテは部屋のドアを開けた。
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翠華 #13★2005.08/23(火)17:12
第11話 『I want to protect you』


 ロテがドアを開けた途端、シャルトに何かが飛びついてきた。
「シャルト、お帰りィ!」
「わっ…デュノ、危ないだろ」
ロテがシャルトからディノを引き離す。
「…シャルト、大丈夫か?」
大丈夫なわけないだろっ、シャルトは心の中で呟いた。

 デュノは金髪におかっぱの、シャルトより1つ年下の少年だ。
外見も行動も子供っぽく、とても優秀なトレーナーには見えない。
「ねぇシャルト、シャルトのポケモン見せて?」
デュノは興味津々の様子だ。
シャルトは思わず苦笑したが、モンスターボールからルーシェを出して見せてやった。
「もしかして、この子?」
突然ロテが聞いてきた。
「アザミさんを倒したっていうポケモン」
「あぁ…そうだよ」
「へぇ〜。凄いなァ」
感心したようにデュノがルーシェを撫でている。
ルーシェはまったく気にならないという用におとなしく座っている。
「デュノ、明日任務なんだからそろそろ寝たら?」
「別に眠くないんだけどなァ…」
そう言いながらも、デュノはベッドに潜り込んだ。
「シャルト、今度任務の話聞かせてくれる?」
「ヒマがあったらな」
「絶対だからね」

 「シャルト、ちょっといいか?」
デュノがすっかり眠ってしまった頃に、ロテが声をかけてきた。
「今回の事件、強化ポケモンが関わっていたのは本当か?」
「そうだけど…どうかした?」
「その事…絶対にデュノには話すな」
それだけ言って、ロテは眠ってしまった。
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翠華 #14☆2005.08/27(土)14:28
第12話 『夜明け』


 午前6時30分 起床時間。
デュノが眠そうに目を擦りながら起き上がる。

ジリリリリリリッ!

部屋の電話が鳴った。ロテが受話器を取る。
「もしもし…え?…はい。了解です」
電話を切ると、シャルトのほうを向いて言った。
「僕たちに緊急の任務だってさ。7時30分にミケの部屋に集合な」
「あぁ、分かった」
 3人とも急いで朝食を済ませ、任務の準備をした。
「ロテたちはどこにいくの?」
「タマはおくりび山の近くだって言ってたよ」
「そうなの?僕もおくりび山なんだよね。途中まで一緒かな」
そう言って嬉しそうに笑うデュノ。
「で、そろそろ7時30分なんだけど」

 ミケの部屋ではすでに3人の男女と、ミケが待っていた。
「…遅れてスミマセン…」
「別に構わないよ」
申し訳なさそうに言うロテに、ミケが明るい声で答える。
「シャルト、ロテ、エスティ、急な任務で悪いね。キミたちも彼らに同行してもらうよ」
シャルトたちから少し離れたところに立っている、大人しそうな少女がエスティだ。
あとの二人の男がデュノと3人で任務に行く予定だったのだろう。
「おくりび山の近くで怪しい建物が発見された。キミたちはその捜査に当たってもらう」
「…どうして6人も必要なんですか?」
エスティが質問する。
「…多分、その建物はロケット団のアジトだと思うんだよね」
「ロケット団…どうして?」
ミケはそれ以上答えなかった。

そして、また新たな任務が始まる…
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翠華 #15☆2005.08/30(火)18:17
第13話 『Sedition』


 今回の任務は2チームに分かれて行動することになった。
まず、海から直接建物に乗り込むチーム。シャルト、デュノ、エスティの3人だ。
あとの3人は空からの偵察をすることになった。
「それじゃ、行こっか」
ギャラドスに乗ったデュノを先頭に、シャルトはサクラビス、エスティはハンテールに乗って海に出た。

 一方、ロテたちは空から偵察を開始していた。
「あっちのチーム、チビっ子たちだけで平気なのか?」
「ま、デュノがいるから大丈夫じゃねぇの…ロテ、どうした?」
ロテは不安そうに例の建物を見つめている。
「いや…ミケはなんでロケット団のアジトだなんて言ったんだろうな?」
「ロテは聞いてなかったか…実は…」

 「そのサクラビス、昨日の任務で疲れてない?」
「あれ位の任務なら平気だろ」
実際、サクラビスはそれほど疲れた様子は見せていない。
「…デュノ、シャルト…誰かいるよ」
エスティがそう言った瞬間、
「ドガース、スモッグ!!」
何者かが攻撃を仕掛けてきた。スモッグで視界が悪くなる。
その様子に上空にいたチームがすぐに気づいた。
「ふきとばし!」
スモッグが晴れると、少し離れたところにある小島に人の姿があった。
その服装には皆見覚えがあった。
「ロケット団…本当だったんだ…」
エスティがボソッと呟いた。
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[769]

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ぴくの〜ほかんこ