ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[772] チャンピォン=悪党―何気な完結

微笑みの貴婦人 #1★2005.09/04(日)17:17
〜前書き〜
俺が10歳の頃、兄はトレーナーの頂点にたった。
そんな兄を、俺は尊敬していた。
しかし去年トレーナー界は、『大陸ポケモン襲撃大戦争』により大きく荒れてしまった。
数多くのトレーナーはポケモン達と離れ、共にいたポケモンが、『暗銀河協会』と名乗る悪党たちに連れ去られた。
これが、俺の兄の運命を変えた。兄は『大陸ポケモン襲撃大戦争』により大事なメタグロスが行方不明になってしまった。『暗銀河協会』に盗まれていたのだ。そして兄はとんでもない道を選んだ。
そう兄はメタグロスを返してもらう引き換えに…
          悪の頂点にたってしまった

            〜主な登場人物〜

リク(俺)   
悪の組織に入ってしまった兄を父の指名で助けに行く少年。
持っているポケモンは、ザングース、ボスゴドラ、オニゴーリ。
今回の物語の語り手でもある。

ソラ兄(ソラ)
リクの兄。『暗銀河協会』のリーダー。元チャンピォン。
メタグロス、トドゼルガ、ネイティオ、バクーダ、ライボルト、ハブネ−クを持ち歩いている。

カイ
謎の女。リクの味方でありながら、『暗銀河協会』の副リーダー。
カイオーガをはじめとした水ポケモンを扱う。
元四天王だったらしく、とても強い。

ヨウ
リクの友達。ソラと同じように『暗銀河協会』に入ったが、…?
(物語が進んだら書き加える)

リュウ(new)
リクの昔の友達。チャンピォンが変わったと聞いてリクを探す。
今までとこれからの友

今回初めてここで小説を書きます。
より多くの人に読んでもらう、という目標を立てて書いて見ました。
是非哀れなリクを見守って下さい(ぇ)
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微笑みの貴婦人 #2☆2005.08/16(火)14:33
〜第一話 絶望を超えた絶望〜
「わかりました」
俺が暗い声でそう言った場所は『ヨウの家』。
これからの旅を手伝ってもらうために来たはずなのにただ悲しみが深くなるだけだった。
その理由は『大陸ポケモン襲撃大戦争』。『暗銀河協会』が起こした争い。俺の兄もヨウも、ポケモンを守るために『暗銀河協会』に入ってしまったんだ…。
いくら「ポケモンを守るためだ」と言っても残酷すぎるじゃないか。
そう思えば思うほど、俺は「悲劇の渦」に飲み込まれていく。
すぐ後ろに、暗黒の世界が待ち受けている気がする…。
ここまで来ると続きはいつも同じ。
何であんなに優しいソラ兄が?あんなに明るいヨウが?あのたくましい
メタグロスが?

悲しすぎて、涙もでない。いや、泣きたくても泣けない。
これ以上俺が絶望の塊になってしまうと、何も出来なくなる。
ソラ兄や、ヨウを助ける者がいなくなる。そう俺しかいない。
だから泣きたくても泣けない。泣きたくても泣かない。

そんなことを考えながら俺は歩いた。
そして、ふらふらとした足取りでキノコ小町を目指した。
そんな時こそ予期せぬことが起こる。
後ろに誰かいる。白と黒が混ざった灰色の影。
となると、敵ではないが味方でもない。
俺は恐る恐る振り向いた…襲われた。
俺は意識を失った…。
                   続く


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微笑みの貴婦人 #3☆2005.08/16(火)15:53
〜第2話 信じられない敵、味方〜(前編)
気付いたら俺は『仮設ポケモンセンター』にいた。
でも何故?神経を『記憶』に集中させる。
思い出した。黒い記憶。悲劇、絶望、人、襲撃…
「俺は…俺は襲われたんだ。」
すると一人の女が入ってきた。
「目を覚ましたのね。どうしたの?暗い目して。」
俺は無意識に彼女を睨んでいたらしい。
「何故、俺を襲った?お前は…誰?」
それでも俺はおそるおそる聞いた。
「私、カイ。あなたの味方よ。でも…あ、暗銀河協会なんて入ってない…」
「うそをつくな!」
俺は叫んでいた。何故?こいつは俺の兄を知っている。
「お、お前、『暗銀河協会』…」
そう言って俺は勇敢とも間抜けとも言える行動にでた。
あいつのカバンを取った。そして…
見つけた。何かの会員証、トランシーバー。
「見ろ!これでも嘘を言うか…?」
あっけにとられている彼女の前に会員証を突き出した。
彼女は逃げた。もういない。思えば俺も言い過ぎた。
でも仕方がない。今の俺はいつもの俺じゃない。
苦しみと悲劇と絶望と――そして怒り
世界一不幸な人間が持つものばかり。
優しさ、明るさ―そんなもの今の俺には関係無い。
俺の周りには悪魔しかいない。何も要らない。必要ない。
ならば、と俺はポケモンセンターを出た。
そして考えた。
何故、俺の憎しみと絶望が、俺を訪ねに来たのかを…
                         続く

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微笑みの貴婦人 #4☆2005.08/16(火)19:06
〜第3話 信じられない敵、味方〜(後編)
俺はキノコ小町に着いた。
まだ荒れ果てているが住宅はできている。
暗いオーラが漂っているのか分からないけど、みんな俺を見ている。
そんなことにも気付かずに、俺は女のことを考えていた。

適?じゃぁ俺が気絶した時に何故倒さなかった?
味方?そんなはずはない。アイツは逃げたんだ―――

「リク?リーク!」
その時後ろで声がした。また?まさか――
振り向いた。女じゃない。大柄な男が一人。ぇ?リュウ?
男が駆け寄ってきた。思わず一歩引き下がる。
しかし、俺は天国に駆け上がった。
悲劇の渦がなくなった。俺の明るさが復活する。
「リュウ!」
リュウ―かけがえのない友達。昔の友。
「リク、元気か?…じゃなさそうだな。」
太く、がっしりとした声だ。
「ぅぅん!元気だよ。何しに来たの?」
俺は100%明るく言った。今なら元気だ、っていうのも嘘じゃない
「お前を探しに、だ。兄ちゃんチャンピォンじゃなくなったんだろ?」
今度の声は、優しくか細かった。
「うん…。実は…」

俺は何もかも話した。リュウならきっと分かってくれる。そんな気がした。
笑い事にする。そのことを、よく話す。
そんなことは考えない。今の俺は3分前の俺とは違う。
前向きだ。後ろめたいことは考えない。
今俺は飛び立とうとしている。そう喜びの世界へ―――
                          続く
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微笑みの貴婦人 #5☆2005.08/17(水)14:23
〜第4話 時間と敵と真実と〜
リュウと旅をはじめて3日たった。
俺の頭は幸せすぎていかれそうだった。
もちろんリュウは俺を裏切るようなことはしていない。むしろ俺を楽しませていた。
でもある時気になることが起こった。
リュウは「気にするな」って言ってるけど、何か引っかかる…

――それは俺たちが昼食をとっていた時だった。
二人組みの男が、(おそらく暗銀河だと思われる)
「カフェに行かないか?」
って誘ってきた。
俺たちはあのサングラスの奥から見えた、あの灰色の目があまりにも不気味だったから逃げた。(あの時あいつがカラーコンタクトをしてたら俺たちは今ごろ話してないさ)
その直後だった。別の二人組みが、
「また戦争が起こるかもしれないらしいぞ!」
「えっまた?」
「あぁ、また暗何とかさ!」
「うそ!じゃ、じゃぁ逃げなきゃ!」
「大丈夫、俺がこの星の裏ッ側に行く『チケット』とったから。」
って話してた。
でも、NEWSじゃ、
「復旧のめどはたっています」
だって。一体何を信じればいいんだか…

「バーン!」
「な、何だ?」
ぅゎ、話終わったら爆発音だ。ぇ…爆発音?
みるとリュウが『臨時放送』を見ていた。
「何なの?これ。」
「戦争だ。今のは戦争をはじめる儀式だそうだ。しかも…」
「しかも?」
「暗銀河戦争第二次大戦だそうだ。」
答えるリュウの顔はこわばっていた。
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微笑みの貴婦人 #6☆2005.08/22(月)10:58
〜第5話 いまさら何しに来たんだよ〜
俺たちは思いもかけない出来事の後、リュウのピジョットに乗って『ヤミラ村』を訪れた。(注;全然暗くない)
ここなら、暗銀河の基地の裏側だからしばらく安全だろう。
(え?ソラ兄を助けるんじゃないのかって?そんな、俺みたいなヒーローが反撃する前にやられちまったらどうするんだ。)
正直、今の俺は冗談をかませるほど明るかった。(リュウはかなり怯えていたが…)
でも、やっぱり戦争は戦争だ。辛いこともある。
だって、自分の兄ちゃんが「戦争を起こせ」って言ってるんだ。
そんなの誰だって辛い…よね?

それから2日後、俺たちに新たな敵がやってきた。
でもそいつは驚いたことに、
「リ、リク?あ、リュウも。ぼ、僕を探してくれたんだって?ゴ、ゴメンね。ぼ、僕と一緒に、た、旅しない?」
って謝ってきたんだ。
俺はあきれて振り向く気もしなかった。
でもリュウは違った。勇気を出して振り向いた。
そして…言った。

「今さら何しに来たんだよ」
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微笑みの貴婦人 #7☆2005.08/22(月)19:19
〜第6話 お前なんて見たくない〜
俺の目に入ったのはすっかりやせ細ったヨウだった。
そんな哀れなヨウの姿も悲しかったが、なぜ会いに来たんだって思いのほうが強かった。
「僕怖くなって、逃げてきたんだ…」
俺は黙って聞いていた。でもリュウは黙っていなかった。
「もう遅い!」
そう言ってヨウにおそいかかった――

二人の戦いは凄かった。(戦争に負けず劣らずだ。)
しかも、ポケモンで戦っていないから余計迫力があった。
さらに二人の闘志に火をつけるように嵐がやってきた。
すぐそこにある、川の流れが強くなっている
雷が近くに落ちる。地面に亀裂が入る…
その時リュウが力を抜いてしまったらしい。
リュウは倒れた。
流れの強くなっている川に倒れこんだ。
どんどん流されていく。
「なんてことするんだ!」
俺は涙声で叫んでいた。
「アイツが変な所に倒れるからだ!」
「お、お前たち、親友だったじゃないか。どうしたんだよ」
それは、まだ俺たちが7歳だった頃だった――

俺たちは隣近所に住んでいた。
俺たちは気が合ってよく四人で遊んでいた。
よく、「兄弟?」って聞かれたもんだ。

そのうち一人は9歳をすぎてから会っていない。
そしてもう一人(ヨウ)は去年、思いもしないほど変わってしまった。
それで俺は残された一人の親友と今離れてしまった。
そう思うと涙が流れた。
そうだ。全てヨウがいけない。もうヨウなんて見たくない。
俺は、必死に逃げた。
そう、永遠を誓った友を探しに…
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微笑みの貴婦人 #8★2005.08/23(火)11:26
〜第7話 待って!ソラ兄(前編)〜
俺は川に沿って歩いていた。3キロぐらい歩いただろうか。
もうそこは違う国だった。
(この星も地球みたいにいくつかの国に分かれている)
どうやらもう一つ、近くに暗銀河の基地があるらしい。
かなり荒れ果てているし、人もいない。
俺は疲れていた。だからその場で倒れてしまった―

気付いたら俺はフカフカベッドの上だった。
誰かが入ってくる。
「やっと目を覚ましたのね。」
「ぁ、助けてくれてありがとうございます...」
「いいのよ。ゆっくり休んでって。」
視界がまだはっきりしないが、どうやら女らしい。
「私、カイよ。あなたは?」
「俺、リク。ぁ、そうだ。友達を探しているんだ。」
「友達?」
「裏切り者に川に落とされたんだ。探しに行かなくちゃ。」
「....私もついて行っていい?力になるわ。」
「ぁ、うん、いいよ。まだよく見えないんだ。」

俺たちはリュウを探しに行った。
でも何か『カイ』って言う女に前会った気がする―
視界がはっきりしてくる。女が見えた。
あっコイツ。どこかで…。
ポケモンセンターで。そうだ!暗銀河のカイ!
「お前、あの時の!」
「ぇ?何のこと?(やばいバレた?)」
「お前、一度会ったことがある!」
「私には何のことかさっぱり…あ、あっちに誰か要る」
そう言ってカイは俺を引ぱった。すごい力。
「すいません!」
カイが呼びかけると男が振り向いた。
「お、お兄ちゃん!」
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微笑みの貴婦人 #9☆2005.08/23(火)17:14
〜第8話 待って!ソラ兄(後編)〜
久しぶりのソラ兄に俺は言葉も出なかった。
ひどい切り傷。スラっとした長い髪。(昔は長くなかった)
「なんで、会わせたんだよ...」
カイに聞いた。でもカイは目を大きく見開いただけだった。
どうやらソラ兄だとは本気で思ってなかったらしい。
「ソラ兄、目を覚まして!」
勇気を出していってみた。答えは返ってこない。
「ソラ兄!」
「ソラ兄?なんのことやら。ところで、お前みたいな奴が何故私の名を知っている。」
帰ってきたのは暗い声、悲しい言葉だった。
「やってしまえ!」
ソラ兄が叫んだ。誰か来た。暗銀河のメンバーだ。あの『不気味な灰色の目』もいる。ソラ兄が去っていく...
「お兄ちゃん。お兄ちゃん!」
俺は叫んだ。とっさにあの『不気味な目』に口をふさがれる。
俺はどこかへ連れて行かれた....

目隠しが外された。まぶしい。きっと暗銀河の基地だろう。
すると誰かが、俺の肩に手を触れた。
「ひゃっ!カ、カイ..」
「あれ、誰かしら?」
カイが指差す先には鉄格子の中で気絶している若者がいた。
「知らないよ。反逆者かなんかじゃない?」
「可哀想ね..ところで私を怒らないの?」
「ぇ?怒るって?」
「何でアイツに声を掛けるんだって。」
「疲れてて怒る気力もないよ。」
「それはありがたいわ。あ、あの人起きたのね。」
見ると鉄格子の中の若者が起き上がっていた。
「ハンサムじゃない!..リク、どうしたの?」
俺が鉄格子に駆け寄って行ったのを見てカイが言った。
でも俺は答えなかった。答えられないほど、嬉しかった。

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微笑みの貴婦人 #10★2005.08/28(日)18:04
〜第9話 最も悲しい物語〜
「リク!何だ?お前。やけに嬉しそうだぞ。」
「嬉しいに決まってるじゃん!でもなんでここに居るの?」

リュウの話だとあのあと、息絶えそうになった時、暗銀河の一人が助けてくれたらしいが―

「おかしいじゃないか!何故暗銀河が助けるんだ?」
「わからない。でもきっと味方がいるんだ。あの美女だって暗銀河だろう?」
「でもカイは俺と一緒に居た。助けたんなら俺も一緒だ。それにあいつのどこが美女だ?」
その時カイが駆け寄って来た。
「ほら、美女だ。なぁ君、名前なんて言うんだい?」
カイはクスクス笑っていたが、すぐ真顔に戻った。
「暗銀河協会のお出ましよ。」
確かにその通りだった。あの不気味な目とそのつれだ。
「何しに来たの?260」
「お前を消しに来た。」
「消しに?まさか…リーダーは?許可したの?」
「してない。俺の個人的な意見さ。だが、まだ助かる見込みはある。」
「何?何をすればいいの?」
「その男を消せ。そうすればお前は助かる。」
不気味な男がさした先にはリュウがいた。そんな!リュウが…
「カイ!まさかお前は!」
俺は叫んだ。でももうカイはリュウに刃を向けていた。
嫌だ。消さないで―

消えた。今まさにカイが消した。リュウじゃない、不気味な目を…
カイは立ちすくんでいた。そして今、260が息絶えた。
それを見ていた260のつれが、カイを攻撃しようとした。
3発の刃が投げられた。1発はカイに当たった。2発目は外れた。
3発目は―さっき生還を祝った友の息を奪い去っていた。
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微笑みの貴婦人 #11☆2005.08/28(日)18:30
〜第10話 きっと幸せさ〜
あの2人が息絶えてから3日間。
俺はなんだか2人が幸せに過ごしている、そんな気がした。
別に不思議な声なんて聞こえなかったけど、リュウは絶対カイに惚れていたし、カイもリュウのことハンサムだって言ってた気がした。
それに、泣いたらリュウがきっと悲しむ。
あとからわかったのだが、元々リュウはあの川に流され脳に怪我を負っていた。例え助かっていても命はそう長くなかったそうだ。

俺はその後、何故か暗銀河から解放された。
よくわからないが、「もしかしたら味方がいるんじゃないか」って思うようになっていた。その望みを捨てきれず、俺は暗銀河の基地の近くに潜んでいた。そして侵入を決意した――

案外、守りが不十分ですぐに入れた。
薄暗く、不気味な空気が漂っていて、何か落ち着かなかった。
そもそも俺が来た目的は
(1)ソラ兄を助ける
(2)リュウの復習
(3)戦争を止める
の3つだ。どれも不可能のようだがきっとできるような気がした。
少なくとも、ソラ兄を助けたい。
よくわからないけど、その味方はソラ兄かもしれない。そんな希望が捨てられなかったんだ――

ふと我に帰るとピジョンがいた。
「ピジョン…?お前、リュウの...」
言葉ではなかったが、なんとなくうなずいている気がした。
さらに、『助けて…』って言ってるようにも聞こえた。
「どうしたんだ?」
そしてピジョンが言葉じゃない言葉を言った(ように聞こえた)
『暗銀河が君に気付いたよ…』

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微笑みの貴婦人 #12☆2005.08/30(火)17:11
〜第11話 最短記録のダブルバトル〜
「教えてくれてありがとう、ピジョン」
ピジョンはにっこり笑った。でもすぐに真顔になった
〔はやく逃げよう〕
俺たちはピジョンに乗って基地をさまよった。
「逃げるな!」
あ…とうとう暗銀河のお出ましだ。しかも二人。
俺たちは後退しようとした。けれどドアが閉まっていた。
「私達の基地に侵入するなんて、良い度胸ね」
一人は女だった。もう一人は男だ。
「素直に捕まってくれる?そうすれば君は無傷だ」
無傷だって?馬鹿げている。
「どかないのならばどかしてやるわ。行け!ブラッキー!」
「サンダース!」
二人がポケモンを出してきた。なら俺も
「行け!ボスゴドラ!オ…」
ボスゴドラが出てきた。でも何故かおれはオニゴーリとザングースを出す気になれなかった。
「どうしたのよ。もしかしてポケモンを二体持ってないの?」
「持ってるよ」
俺はむかついてオニゴーリを再び出そうとした。
その時、ピジョンが俺の肩をつついた。
「(そうか、お前だ!)ピジョン、行け!」
ピジョンは何のためらいもなくバトル場に出た。
とりあえず俺はピジョンの弱点、サンダースを倒すことにした。
「ボスゴドラ、地震だ!」
二匹は地震をまともに受けていた。
もちろん、地面技に弱いサンダースは一発だ。
「ピジョン、ブラッキーに翼で打つ!」
今度は相手も黙ってはいなかった。
「ブラッキー、だまし討ち!」
だが、ピジョンの方が素早かった。
あ、そうだ。リュウは素早さにうるさかったんだ―

3分もしない試合だった。
だがこのあとが一番ひどかった。

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微笑みの貴婦人 #13☆2005.08/30(火)17:52
〜第12話 新たなpokemon〜
バトルの後だった。
「ブラッキー!あんたは何て役立たずなの!」
平手打ち
「サンダース!あんな地震くらいよけろ!」
かかと落とし
「いいから戻って!役立たず」
「戻れ!ウスノロ」
あまりにも無残だ。こいつらはポケモンを生き物だと認識していない。
すると驚いたことにサンダースとブラッキーは俺の足の下にうずくまっていた。
〔あんな飼い主の所に戻りたくないんです。〕
っていってるみたいだった。
俺は事情を察した。こいつらはいじめられていたんだ。
「私達のポケモンを返してちょうだい。愚か者」
「愚か者はそっちだろ」
俺の心は正義のヒーローに近かった。こいつらは俺が守る。
「このブラッキーとサンダースはお前らの元にかえりたくないんだ。よっぽど深い傷を心に負っている。」
「ポケモンに心なんて無い!」
その時、サンダースが暗銀河に10万ボルトを放った。
ぅゎ...二人は丸焦げだった。気を失っている。
「今だ。逃げるぞ。」
すぐそこに出口があった。『第二出口』と書いてある。
俺たちは基地を出た。そこは広い野原だった―

俺はブラッキー達の話を聞いていた。
言ってることはわからなかったけれどなんとなく通じた。
〔僕達、いじめられていたんです。〕
〔毎日100発くらい殴られていました。〕
〔この前お母さんが息絶えました…〕
〔みんなあいつらのせい―〕
俺はそこでさえぎった。
「あそこの奴はみんなそうか?」
〔多分、そうだと思います。あそこに良心を待った奴なんていません〕
「そうか…ありがとう」
俺は少し悲しかった。ソラ兄もそうなってないだろうか…
〔あ、あの…?〕
「ん?」
俺は突然言われてビックリした。
〔一緒にいても構わないでしょうか〕
俺はニッコリ笑った。
「もちろんさ。」

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微笑みの貴婦人 #14☆2005.09/02(金)20:26
〜第13話 ソラという名のお兄ちゃん〜
〔あの…?言いにくいんですが、友達がいじめられていたんです。〕
「友達ってだれ?」
俺達は、広い野原で侵入するべきかしないべきか悩んでいた。
俺はあまり乗り気になれなかったが、サンダース達は必死だった。
〔シャワーズです。飼い主はカ、カキさん?というひとで…〕
俺は笑った。『カキさん』とはカイのことだ。
「分かった。行こう。」
そして、逃げてきた出口が入り口に変わった―

「…シャワーズはどこにいるんだ?」
〔ボスの所だと思います。〕
俺たちは慎重に、けれど出来るだけ早く先へ進んだ。
ボスの部屋はすぐに見つかった。
意外なことに誰にも会わず、20分もしないうちに辿り着いた。
でも逆に、ボスの部屋にみんないるんじゃないかって気がして怖かった。

扉を開けた先には、広そうで狭い部屋。5つの檻。そして、椅子に座る黒い影。まだ若そうだ。そう、きっと、きっと――
「何しに来たんだ?小僧」
その声は、驚いたことに背後から聞こえた。
振り返るといかにも邪悪そうなオオスバメを一匹連れた男が目に入った。
「何の用だ?何しに来た。お前、どこかのスパイだろ。ロケット団か?フッ、ロケット団も随分衰えたもんだ。小僧を送り込むなんて…ところでお前、輝かしきボスの名を知っていたな。何故だ?」
「ぼ、僕が何者だかは、ボスに聞いてください。ボスならきっと知っています。分かります。あと、ロケット団の者ではありません。」
ソラ兄のことを『ボス』と呼ぶのはなんだか違和感があった。
「よし、分かった。ボスに聞け。ボス、こいつを始末してやってください。なんせ邪魔者ですから。」
―駄目。殺さないで―
「俺はそいつを殺さない。そいつには力がある。始末するぐらいなら仲間にしろ。いい戦力になる。ま、そいつが受け入れればの話だがな。」
―ありがとう、お兄ちゃん―
「で、でも、やはり邪魔者は…だって貴方の名前を知っていたんですよ。」
―やめて!お兄ちゃん―
「それもそのはず。こいつは…俺の身内だ。」
あたり一面が凍りついたようだった。
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微笑みの貴婦人 #15★2005.09/04(日)11:41
〜第14話 シャワーズ解放戦線〜
5分ぐらいたっただろうか。
俺たちの関係をソラ兄が口にしてから誰もしゃべらなかった。
俺のことを「始末しろ」と言った奴も時々悪態をついたが、ほとんど何も言わなかった。
ソラ兄が俺を弟だと認めてくれたのは嬉しい。
けれど、事はさらに深く、深刻になっている気がしてならない。
その通りだった。いきなり沈黙を破る者が現れたのだ。
「ヨウ…」
俺はつぶやいた。もちろん嘘なんかじゃない。
うっすらとあいている暗銀河のメンバー(まぁ、Aってことで)の目、皿の様に大きく見開いた俺の目、呆れ返ったようなソラ兄の目は確かにヨウを見つめていた。
「今更なんだ?お前はもう退団したはずだぞ?」
ソラ兄の厳しい声が響く。
「僕を追うのをやめてくれないか?」
ヨウは暗銀河から追われていたのか?当然の報いだな。
「追う?もうそんな心配はない…」
Aが言った。でも何故追わないんだろう…
俺には何がなんだかわからなかった。
唯一分かるのは、ヨウは暗銀河を退団したという事。
あっ、忘れていたが俺の任務(と言っても個人任務だが)はシャワーズを助けることだった。
〔ほら、あの檻の中にいるの、見えますよね?〕
サンダースが言った。
「あぁ、見える。でもちょっと待って!Aの近くにいるから、今は危険だ。」
これは本当の話だ。
だってAの右手がシャワーズの入っている檻に置かれていた。
これを見て、ブラッキーとサンダースも納得したらしく、俺のズボンの裾を必死に引っ張らなくなった。
―誰かが俺の肩を叩いた
「ヒェッ!ピジョンか…ところで、何?」
ピジョンは翼でヨウとAを指した。ぅゎ、取っ組み合いを始めている。
もちろん勝負の結果は丸見えだ。ヒョロヒョロが勝つはずは無い。
俺の予想した通りの結末になった。
ヨウは流血していて、失神していた。
一方、Aはおかしな勝ち誇った笑みを浮かべている。
そして、ヨウは帰らぬ人となってしまった。

「意味のないことを!こいつに勝ち目は無かった。ところでお前、途中で敵にあったか?」
ヨウの魂が飛んでいくのを完全に見届けた後、Aが俺に聞いた。
「会いました…二人だけですが。」
慎重に俺は言った。何せ相手は人殺しだ。
ソラ兄を助ける前に息絶えるのは嫌だったからだ。
「二人だけ!?A、お前は基地を完全警備したと言ったではないか!」
ソラ兄が始めてこっちを向いた。
その顔は、怒りに満ちていた。(俺への怒りではない、Aへの怒りだ)
「それは昔の話だ。リーダー、暗銀河は解散した―」
ソラ兄はショックで何も言えないようだった
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微笑みの貴婦人 #16☆2005.09/04(日)15:49
〜第15話 Aを倒せりク〜
「許可してないぞ?」
リーダーことソラ兄はとんでもないほど怒っていた。
「許可だと?そんな若造に暗銀河が支配できるはずが無い。だから、主導権を握っているのは副リーダーの俺ってことになる。俺はもうこんな生活飽きたんだ。こんなことしてたって何の得も無い。だから俺は解散させた。そうだ、俺が許可したんだ!」
Aは耳を劈くような高笑いをしながら言った。
そして、檻に入っていたポケモンを解き放ち、剣を俺に向けた。
「お前の命はもうおしまいだ。何もかも諦めろ。」
俺の目の30cmたらずのところに剣の先端が向けられている。
俺は恐怖で何も言えなかった。
「そのかわり、ポケモン無しの勝負で俺に勝ったら、もう少しだけ生きられるかもしれない。」
「無駄だよ。お前には武器があるんだ。一方の俺は完全無防備だ。そんなことには引っかからないぞ!」
俺は、憎しみを込めて言い放った。
無論、相手には武器があり俺には無い。ポケモン無しだったら絶対に負けるに決まってる。
「じゃぁ、武器も無しだ。」
甲高い音と共に、剣は建物の下へと落ちた。
「これでも戦う気になれないか?」
どうしようか。相手は俺よりもはるかに年上だし、力もありそうだ。
「どうだ?」
「少し考えさせてくれ。」
そう言ったはずなのに、Aは殴りかかってきた。
間一髪でかわしたが、次の一発はまともにくらった。
俺たちは取っ組み合い始めた。
俺は逃げる方、Aが追いかけまわる方そんな感じだ。
俺は、全身の反射神経を使い逃げた。たまに攻撃もした。
その攻撃が運のいいことに相手に命中し、Aはよろめいた。
だがすぐに反撃してくる。俺は逃げた。
こんなやりとりが続いた。
俺の体力もAの体力も残り少なくなっている。
時期に戦えなくなるはずだ。
俺は、最後の一撃としてAに攻撃をしかけた。
Aは床に倒れこんだ
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微笑みの貴婦人 #17☆2005.09/04(日)16:11
〜第16話 俺の運命〜
果たして、Aは息絶えたのだろうか。
いや、わずかに呼吸がある。まだ生きているはずだ。
「ソラ兄、どうしてこんなところに?」
ソラ兄は無言だった。
「ソラ兄?返事ぐらい…」
「ソラ兄って言うのはもうやめろ。」
「えっ?」
「俺は確かにお前の兄だ。しかしもう忘れろ。俺に良心なんてもう無い。」
「でも…」
「黙れ!」
鋭い口調だった。言いたくても、何も言えなかった。
動いた!Aが起き上がる。
「お前に俺は殺せない。」
俺は驚いた。手に剣を持っている!
「見たか!俺の生命力を!素晴らしいじゃないか。100年ぐらい生きられるかもしれない。ま、どっちみち小僧に俺は殺せない。しかし今!俺がお前を消すことならできる。」
Aは笑った。何秒も何分も笑い続けた。
「見ろ!」
俺に刃を向けた。俺はよけた。かすった。腕から血が出ている。
「どうだ?お前は無力だ!武器も無いんだ。俺を倒せるはずが無い!ポケモンを出してみろ!切り裂いてやる!」
おかしい。狂っている。でも確かにポケモンを出すのは危険だ。俺はモンスターボールへ伸ばした手を引っ込めた。
「消すんなら消せ!ポケモン達が無事ならそれでいい。そうさ、さっさと消してくれ!これ以上痛い思いはしたくない!」
そうさ、ポケモン達が無事なら俺は息絶えたって構わない。
そして世界中の人達が幸せに暮らしてくれたらそれでいい。
ただ、Aはそうしなかった。ポケモンを使って俺を苦しめた。
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微笑みの貴婦人 #18☆2005.09/04(日)16:25
〜第17話 俺はやる(語り手:ソラ)〜(短編)
俺は何も出来なかった。
リクが苦しんでいると言うのに、何も出来なかった。
無防備のリクを攻撃するなんてAもひどすぎる。
そんなリクと違い、俺は剣を持っていた。
ただ、何も出来なかった。弟を守ってやれない。
「ソラさんよ、何かいう事はあるか?俺はこいつにとどめをさす。」
俺は話せなかった。確かに俺は悪に心をむしばれた男だ。
だから、何も出来なくていい。それは違うはずだ。
ただ、俺は何も出来ない。今、リクが息を引き取ろうとしている―
「やめろ!」
気付いたら、リクの前に立ちはだかっている俺がいた。
もう刃の先は俺の10cm前まできていた。
「こいつは何もしていない。悪いのは俺だ!リクを殺すな!」
俺たちは武器なんてかなぐり捨てて戦った。
俺もAも、もう命は長くない。そう感じても戦った。
Aが倒れた。俺も倒れた。
Aは息を引き取った。俺は―

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微笑みの貴婦人 #19☆2005.09/04(日)16:43
〜第18話 しっかりして!〜
ソラ兄とAの戦いは、ほぼ同着だった。
いや、ソラ兄の勝ちだ。ソラ兄にはまだ息があった。
「お兄ちゃん!目を覚まして!」
サンダース達に助けを求めようとした。
駄目だ。さっき逃がしたんだった―
「リ…ク?」
「ソラ兄!大丈夫?」
「俺は大丈…夫だ。お…前こそ平…気か?」
「大丈夫だよ。ソラ兄、ありがとう!」
俺の目には涙があふれた。
「リク、ゴメ…ンな?俺…は兄と…して生きら…れなか…った。お前…の認める…兄になれ…なかった。」
「そんなことないよ。ソラ兄!」
「本当…か?」
「本当だよ!」
「よかった。俺は…嬉しいよ…ただ…もう少しだ…けリクと…生きたか…った。お前…と話た…かった。ゴメンな。リク…」
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
俺は泣いた。泣きに泣いた。
救急車が来たのにも気付かずに泣いた―

俺は病院で眠っていたらしい。
周りを見ると、看護士さん達が座っている。
「大丈夫?」
「お兄ちゃんは?」
「大丈夫よ、だから落ち…」
「大丈夫なの?本当に?」
「だから…」
「生きてるの?じゃあ会わせて!」
「話を聞いて!あなたのお兄ちゃんは…」
「お兄ちゃんは?」
「勇者として、この世から旅立ったわ…」

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微笑みの貴婦人 #20☆2005.09/04(日)17:16
〜最終話 そして永遠に眠る〜
俺はしばらく病院で寝泊りした。
そして、いよいよ明日に退院することになった。
そして、俺は眠った。明日のために―

体が軽くなった。宙に浮くような感じだ。
俺は浮いていた。空へと舞い上がる。
星空に向かって飛んだ。なんだか分からないけれど、気持ちいい。
今までの悲しみは全て消えた。
あ、誰かがいる。リュウ!隣でカイが微笑んでいた。
誰かが駆け寄って来た―
「ソラ兄!また会えた!」
「リク、こっちにおいで。リュウもいるしお母さんもいるよ。」
「リュウ!」
「リク!また会えるなんて、思ってもいなかった!」
みんなに会えた今、俺は幸せだった。きっと、世界一幸せだ。

「リク!ちょっとこっちに来て!」
「何?ソラ兄。」
「これからも、弟として…いてくれるか?」
「もちろんだよ!」
ソラ兄が微笑んだ。俺も微笑み返した。

―こうして、一人の勇敢なトレーナーの一生は終わった。
彼は今、ポケモンリーグの神様として歴史に名を刻んだ。
ところで、是非今日は星を見てみてください。
空に輝く綺麗な星の中には―優しいリクがいるはずだから。


チャンピォン=悪党 兄の選んだ道〜完結〜
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[772]

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ぴくの〜ほかんこ