ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[874] 扉の先。

アルト #1☆2006.04/13(木)22:51
初めまして、アルトといいます。
では、早速ですが主要キャラの簡単な紹介をします。

主人公:アブソル(ソール)
設定:森の奥深くに住んでいるアブソル。
   ある日友達と異世界へ行く方法を試したところ、
   本当に異世界へ来てしまう。


ヒロイン:イーブイ(イヴ)
設定:ソールから見ると、異世界のポケモン。
   山賊に襲われているところをソールに助けてもらい、
   共に旅をすることに。
   5匹の姉と兄がいるらしい。


では次から本編に入ります。
これからよろしくお願いします。
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アルト #2☆2006.04/13(木)23:06
『第一門』


ソールはゆっくりと目を開けた。
木々の間から漏れている光に目を細めた。
…静かだ。聞こえるのは風に揺られる葉のガサガサという音だけである。

「おぉーい!!ソールゥー!」

静かな森に一つ、無駄に元気な声が響く。
ソールは彼の姿を見て眉間にしわを寄せる。

「…アルか。今度は何を試そうってんだ。」

ソールの元にやってきたのは一匹のアブソル・アルだった。
アルは何か噂を聞きつけると、それをソールと二人で試すのが最近のお気に入りだった。
…正直、ソールにとっては少し迷惑だった。

「へへっ、よくぞ聞いてくれました!
今回は、『異世界』へ行く方法を聞いたんだ。」

アルはそう言って爪でガリガリと何かを地面に描きだした。
アルが描いているものは魔法陣に似ていた。
描き終わると、アルはソールに陣の上に前足を乗せるよう促した。
ソールは言われるままに前足を乗せた。

「じゃぁ、行くぜ。」

アルが前足に力を入れると、陣が光を放ち、ソールだけを包んだ。
「ソール…ソール!?ソ…」
…これが、ソールの耳に入った最後の言葉だった。
ソールは眩しい光の中、だんだんと意識が遠のいていった。
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アルト #3☆2006.04/13(木)23:27
『第二門』


ソールが目覚めた場所は、何もないただの白い空間だった。
ソールは起きあがり、手足の感覚を確かめた。

「…どうやら、ここは天国じゃないらしいな。」

ソールは自分の為すべきことが分からず、歩き出した。
が、行けども行けども白い空間から脱することは出来なかった。
ソールの体力も少し限界に近づいてきた頃、ソールの前方に何かが見えた。
ソールの目の前にあったのは、扉だった。

「…扉?何か文字が刻んであるな…。」

ソールはその文字を読み上げた。

「『白銀の体、漆黒の鎌、血の瞳を持ちし異界の者、神の落とし子と共に世を救いける。
…英雄はここにある。』…何だ?
それに、このアブソル…俺に似ている…?」

文字の下にはアブソルが埋め込まれていた。
ソールの面影と何となく似ていた。

「わけが分から…うわっ!?」

いきなり扉が鈍い音を立てて開いた。
ソールは何かに吸い込まれるように中に入っていった。

…そして、次に目を開けたときも違う景色を目にしていた。
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アルト #4★2006.04/16(日)22:48
『第三門』


ソールの前には広大な草原が広がっていた。
そして、今は夜だった。空には満月が輝いている。

「なんなんだ一体…。さっきから変な扉見たり白い所来ちゃったり…。めちゃくちゃだ。」

ソールはため息をついた。


「ちょっ…やめてくださいっ!」

遠くの方で声がした。
ソールは声の方に向かうと、そこには山賊(といってもズバット3匹)に囲まれたイーブイがいた。
ひどく怯えた様子のイーブイを見て、ソールはいてもたってもいられなくなった。

…気付いたときソールは山賊に飛びかかっていた。
鋭い爪で山賊を切り裂き、真空の刃を生み出し、山賊達をあっという間に倒した。
激しい運動を終え、ソールが肩で息をしているとイーブイがソールに近寄ってきた。

「あ、あの…。ありがとうございました、助かりました…。」
「いやいい。あんたもこんな時間に何やってたんだ?」

ソールが訪ねると、イーブイは少しまごついた。
そして、しばらく間をおいて答えた。

「私の兄と…姉を止めなきゃいけないんです。」
「止める?」
「はい。私の兄達は5匹いるんですけど、性格は様々なんです。
ですが、共通して皆非常に残酷で殺しを平気で行うほどなんです。
…それである日、兄達は自分の両親、親族を殺しました。
私たち進化族を裏切ったとして兄達は里を出ました。
すると次は隣の里のポケモンを全滅させ、さらにはるか南西のクレアリーフ城を壊滅させたんです。
だから私は里を発ち、兄たちを止める旅に出たんです。」
「へぇ、大変だな…。」

と、そこでソールは違和感に気付く。

「…なぁ、クレアリーフ城は壊滅したって話、聞いたことねぇぞ。
つい最近クレアリーフ城の13代目女王のイズリュート様が子供を産んだって…。」
「?何を言ってるんです?
現在の女王は7代目女王のエーレンド様ですよ?」

…アル、帰ったらひどい目にあわせてやる、とソールは心の中でつぶやいた。
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アルト #5☆2006.04/17(月)22:39
『第四門』


ソールは驚愕した。
7代目、というともう200年ほど前の人物なのだ。
その人物が治めているということはつまり、

「俺って…過去に来ちゃった!?」

「?そういえば、貴方はどうしてこんな所に?」

イーブイが訪ねてきた。

「あ〜、話せば長くなっちまうんだが…。」

ソールはことの経緯を話した。
イーブイは聞き終わると、納得して
「はい、過去に来ているということになりますねv」
と言ってにっこりと笑った。

「まぁ、そういうことだ。
俺は元の世界に戻りたいし、その方法でも探しに行くかな…。」

ソールは草原をサクサクと歩き出した。
その後ろをイーブイは少しモタつきながらついてきた。
「…何だ、まだ用か?」
「私、貴方のお供をいたしますっ!
それなら私も心強いですし、私と貴方の目的も達成できる。
まさに一石二鳥ですよ。」
「…勝手にしろ。」


「…そういえばまだ名前言ってなかったな。
俺はソール。」
「私はイヴです。よろしくお願いします、ソールさん。」

二匹はまだまだ先のある草原を一歩、また一歩歩いていった。
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