浪川神威 | #1★2006.07/24(月)20:36 |
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私はアブソル 災いをもたらすとされている災いポケモン 人々はみな私を見て恐れる 災いをもたらす者がきたと 私とて災いなどもたらしたくはないのに ある日私は仲間たちとはぐれてしまった いや、見捨てられたのだ そうして私は一人いつも孤独になった けれど私はとても幸せだ 貴方と出会えたから―――――― 第一話「はじまり」 そう、あの日私は谷を降りふもとの町へ姿を現した ―――津波が来ると言うことを知らせるために――― しかし案の定、私が姿を現すと島の者たちは怯えた畏怖の瞳で私を見つめ追出そうとした ただ一人の者を除いては――― そのものはただ、少し癖のついた赤い髪を揺らし 透き通った紫電の瞳で私を見つめるだけだった そしてその者は私を抱きしめて私の変わりに村人から投げられる石などを受け続けていた 「もう、やめろよ!!こんなことしたって何にもなんねーだろ!」 |
浪川神威 | #2☆2006.07/03(月)20:08 |
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第二話「出会いし者達」 その少年は村人たちに叫んだ しかし村人たちから帰ってきた言葉はあまりに残酷で酷いものだった 「お前は化け物だ!お前がいることでさえ災いは降りかかるのに、こんなのまできたら俺たちはこの先暮らしていけねぇ」 「お前も、そしてこのポケモンも早く俺たちの町から出て行け!!」 どうしてだ?どうして同じ生きている者に対してそのようなことがいえる? どうしてそのような酷いことが言えるのだ 私は耐えられなくなって彼を一緒に連れてその場を立ち去った その少年、いやよくみると青少年か 私が動きを止めると彼が言葉を発した 「なぁ、これからあの町になにかよくねぇことがおこんだろ?」 『そうだが、なぜわかったのだ?』 私は言葉を返したつもりだがはたして通じたのだろうか? 「そっか、だってお前って危険を察知してそれを知らせに来てくれていたんだろう?だから何時もお前が現れた後地震や、山火事が起こった」 『…!お前私の声が聞こえるのか?』 私は驚いた まさか我等の言葉を理解するものがいただなんて 「あぁ聞こえる」 『そうか、…あの町の人々は助かるかどうかわからない。今回の津波は大きい』 そういうとお前は少しはにかんで答えた 「そっか、でも助かるといいな」 『あぁ、それよりお前はこれからどうするのだ?』 「てきとーに旅に出ようかなって思ってる」 『目的があるのか?』 「何もねぇよ、でも一つだけお願いがあるんだ」 『なんだ?』 「俺と一緒についてきてくんねぇ?」 |
浪川神威 | #3☆2006.07/24(月)20:35 |
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「俺と一緒についてきてくんねぇ?」 そのものの名はシンと言った 第三話「私の名前」 「俺と一緒についてきてくんねぇ?」 『…いいだろう』 いつもの私ならこんな今さっき出会ったばかりの者などほおっておくのに こいつは何故かほおってはおけなかった 私はようやく孤独から解放されたのかもしれない 私がそんな感情に入り浸っているとシンが質問をしてきた 「なぁ、お前何であの時俺を助けたんだよ?」 『わからぬ、勝手に身体が動いたのだ』 「じゃあさ、俺と一緒だな!」 『何だと?』 私がそのように答えるとシンは少し悲しそうに笑い しばらくするとまた元の顔にもどった 「なんだろなー俺もあの時お前を助けなきゃって思ったんだ。まるで何かに弾かれたみてぇに」 「お前もそうだったんだろぃ?」 …当たっている そう、私はあの時何かに弾かれたように動いたんだ 「よくわかんねぇんだけど、あの時もう俺みたいな人を出しちゃだめなんだって思った」 『どういうことだ?』 「お前に何かあるとそれを知って悲しむ人、怒りを抱く人が出る。 そしてまた争いがおこる。戦いはとまらない。争いは争いを招くだけだ。 だからどこかで止めなきゃいけないんだ」 あぁ、そうか… この少年は本当に大切なことを知っているんだ 「だからお前は本当にいいやつだな。災いどころか幸福をもたらしてくれるってのに」 本当に皆がそのことに気がつけばいいのに… ってか、これからどうするかなー「適当に旅をするってのもなぁ…」 「なら、これをジョウト地方のコガネシティにいる局長に届けてくれないかしら?」 |
浪川神威 | #4☆2006.08/08(火)16:39 |
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第四話「謎の頼まれ物」 「なら、これをジョウト地方のコガネシティにいる局長に届けてくれないかしら?」 「うわっ!??!」 何時の間にでてきたんだよジョーイさん、っていうか、かなり驚いたぜぃ… 「あら、ごめんなさい。でも声に出てたから」 悪気のなさそーな声で言われた いや、謝る気持ち更々ねぇだろ 「いえ、大丈夫です。でもそんなに遠いんなら宅配とかに頼んだら…「それではだめよ!」 凄い形相でジョーイさんが俺に詰め寄った 「いいこと?これはとっても大切な者らしいの! そのときに言葉も預かってこれは重要機密な物だから手渡しでって」 「それだったら尚更俺よりも強いトレーナーに頼んだ方がいいんじゃ「だめなの!」 なんでジョーイさんは俺にこれをさせようとしてんだ? 「届けに来た方が貴方に渡せって」 誰だよ、そんな勝手な事を頼みやがったのは! 「…わかった、届けてやるよ。その局長って言う人のとこまで」 「そう、ありがとう。あ、くれぐれも中を開けてはだめよ!」 その言葉を残してジョーイさんは去っていった 「そんなこと言われなくてもわかってるよ」 俺は一人回りに聞こえないように呟いた 『…』 (あの者、どういうつもりだ?) 「クスッ、うまくいったわ。まさかあんなに簡単に騙されてくれるだなんて」 箱を手にしたシンを見つめその者はニヤリと笑った そして通信機を取り出すとすばやく繋いだ ピッ 「bP、渡すことに成功いたしました」 〈そうか、ご苦労だった。もう帰っておいで。〉 「はい」 〈…(これでもうあいつは俺の手のひらで踊るだけだ)〉 ピッ (さぁ、あなたはbPの手のひらの上でどんな踊りを見せてくれるのかしら?) 通信が終わるとシンに姿を見せぬようにその場を立ち去った シンは自分が見られていたことにも気付かずに手渡された箱をじっと眺めていた でもこの箱はいったい何なんだ? いったい誰から頼まれたんだ? なんであんなにジョーイさんは必要以上に俺に頼んだ? アブソルも疑っているが、ひょっとすると本当に大切な物なのかもしれない 残された答えは一つ…届けに行かなければならない、か… |
浪川神威 | #5☆2006.08/21(月)11:30 |
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第五話「閉ざされた道」 俺たちがいた島から船に乗ってたどり着いたのはクチバシティ さすが都会とでもいうべきか、たくさんの人が賑わい港は人でいっぱいだった 本当はアサギシティに行きたかったのだが船員がダメだと言って乗らせてくれなかった その代わりにヤマブキシティに行くとリニアがあるから直接コガネシティに行けるという情報をもらった 「なぁ、こっからヤマブキってあの橋たどって行ったらいいんだよな」 『あぁそうだ。…だが、先客がいるようだな』 そう俺たちの行く先にはおっきなカビゴンが行く手を阻んでいた 少し待ってみるが全然起きる気配も無ければ動く気配も無い 「これじゃあ通れないぜぃ…しかたない!強行手段だ!!オリャアァ」 そうして十五分ぐらいシンはカビゴンを押したり上に乗ったりと色々試したがおきる気配はまったくなかった 「はぁ、はぁ、こんなのどう考えても無理だろぃ!!」 『どうやら、そのようだな…どうする?』 「しかたねぇ、地下通路を通ってハナダに行くか…」 『ハナダにはヤマブキへの道はあるのか?』 「いや、ねぇ。でもイワヤマトンネルをぬけたらシオンシティ、遠回りでもたどり着く場所は同じだ」 『そうか、なら膳は急げだ』 そうしてシンとアブソルは地下通路に向かった もう少しでたどり着く!ってときに呼び止められた 「おい、お前!!おれと勝負しろ!」 後ろを振り返ってみるとそこには、たんぱん小僧の姿 「あぁ?俺たちは今お前にかまっている暇なんてねぇの!」 「なんだと?!」 「俺たちは速くヤマブキに行きてぇんだ」 「それならいい道教えてやるよ。だから俺と勝負しろ!」 なんだ、こいつ? でもいい道を教えるってんなら悪くねぇ 「いいぜ、勝負受けても。でも道ちゃんと教えろよ!」 「忘れちゃいないさ」 そうして俺たちの初バトルが始まった |
浪川神威 | #6☆2006.09/26(火)12:28 |
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第六話「あっけない勝負」 「いけっ!コラッタ!!」 「頼むぜぃアブソル!」 そうしてお互いのポケモンが出揃い少しの間お互いにらみ合った 「コラッタ、「たいあたり」だ!!」 先に動き出したのは相手のコラッタ (たいあたり、か…なら…) 「アブソル「かまいたち」!!」 アブソルは向かってくるコラッタに向かって風の刃を向ける準備をしていた 「げっ…まずい;コラッタ、ひきかえすんだ!」 『コラッ?!(えっ?)』 「いまだアブソル、「かまいたち」!!」 アブソルから放たれた風の刃は一瞬と惑ったコラッタにもろに命中した 『コラッ…』 「コラッタ!!」 あわてて少年はコラッタにかけ寄った そこには目を回して戦闘不能になったコラッタの姿があった 「ごめんな、コラッタ」 そういって少年は悔しそうな顔をしたあとコラッタをモンスターボールにもどし、そしてシンのほうに向いた 「悔しいけど約束だ、教えてやるよ。そこのゲートを通ればヤマブキだぜ」 そういって少年はシンの後ろにそびえているゲートを指差した 「嘘だろぃ…せっかく勝負までしたのに」 |
浪川神威 | #7☆2006.09/26(火)12:29 |
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第七話「あーいえば、こーいう」 あの勝負が終わりすぐにシン達はゲートに入った 「こんなに近くにあんのに何で気付かなかったんだろうな?」 シンは首の後ろで手を組みながらアブソルに話しかけた 『まったくだ』 アブソルはシンの様子を見て呆れていた 「これってあの扉ぬけたらもうヤマブキなわけ?」 『そうなんだろうな』 そうして会話をしながらあと少しで扉にたどり着くというところで話しかけられた 「あー君何か飲み物持ってない?ちょっと僕、喉かわいちゃってさー」 「うわぁっ?!なんだぁ?って警備の人かよ…残念だけど持ってねぇぜ」 「なーんだ」 「というわけでそこどいてくださいよ」 「あぁ、のどが渇いたって言えばさぁハナダシティのジムリーダーって水タイプの使い手なんだよねぇ…」 残念そうな顔をしていてすぐに通してくれるのかと思ったら、やつはいきなり語り始めた 「いや、だから急いでるんですけ「でもヤマブキのナツメも捨てた者じゃないよ、ねぇそう思わない?」 こっちの言うことを無視してどんどん会話は続く 「だから!!「えっ!君もそう思うって!うんうん、そうだよねぇ」 (かってに人のこと決めんなよ) 「あーそうだ、君さー最近のリニアについてのうわさ知ってる?」 「はぁ?知りません、ってか速くそこを…「まぁそういわずに聞いていってよ!」 (何だぁ?この人。酔ってんのか?) 警備員さんのあいた口は塞がらない 『聞くだけ聞いてやれば気が済むだろう』 アブソルも聞く耳を持たない警備員に呆れたのだろう しれっとそう言うと興味がなさそうに眠りについた 「なっ?!俺だけかよ?!!」 (いや、ちょっとまてよ…このおっさん、今リニアって言わなかったか?) 「聞いてくれないの?」 (ひょっとしたらいい情報持ってるかもしれないしこの話は聞いても損はねぇよな?) 「聞く、聞かせてくれぃ!」 「あれ〜さっきは聞こうとしなかったのにぃ?」 「(ムカつくなこのおっさん)そういわずに、なっ?」 「しかたないなぁ〜あのね、最近リニアが動かないらしいんだ」 しかたないと言いながら顔は輝いている 「へぇーそーなんだ!…って!それじゃ困るぜぃ!!」 (せっかくいい情報が聞けると思ったのに) 「そんなこと言われてもねぇ…あ、でも発電所にいけばなんとかなるかもね」 「発電所…?」 「そう、なんていったって電気の元だからね」 「それってどこにあんだ?」 「イワヤマトンネルの下のほうだよ」 「そっか、まぁいいやありがとな。というわけでそこをどいてくれぃ」 肝心な話を聞いたのだからもうこいつに用は無い 「もう君に語ることは何も無い。だけど俺に飲み物を買ってきてくれないかぎりここは通さ無いことにしてるんだ♪」 警備員は綺麗な笑顔で言う 「そうそう、飲み物はミックスオレに限るからねぇ!」 (こいつ今、笑顔でとんでもねぇこと言いやがった) 「(つきあってなんねぇ)行くぜぃアブソル」 『どうやら話はおわったようだな…』 シンに呼ばれてあくびをしたあとアブソルは答える 「それじゃあね〜できればミックスオレがいいけどなかったらサイコソーダでもいいな」 「お前なんかそこらへんの川の水でも十分だ!」 『?』 ずっと眠っていて話を知らなかったアブソルには何のことだかわからない 「さっ、行こうぜぃ!」 そういって腹立つ警備員をあとにして俺たちはハナダシティへと向かった |
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