ぴくの〜ほかんこ

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[899] ポケットモンスター クリスタルGB

もぐらぶ #1★2006.07/20(木)17:55
鈴を転がしたような美しい声が、闇の中へと響き渡る…。


  ”目覚めなさい…
   雷雲の皇ライコウ、炎上の帝王エンテイ、
   そして、水の君主…スイクン。”

暗い、暗い闇の底から、金色の光が舞っては落ちてゆく。
その光が土にふれたとたん、光の粒が舞い上がって、
ひとつ、ふたつ、みっつ…ポケモンの形に模ってゆく。

  ”さあ、えらばれしトレーナーと共に大地を駆り、
   伝説のつづきをつづりなさい…”


------ポケットモンスター クリスタルGB------第1話「はじまりの日」---------

オレは、ワカバタウンに住むナイスガイ、ゴロウ!
小さい頃から憧れているポケモンマスターになるのが夢で、
ワカバタウンで一番ポケモンに詳しいウツギ博士の下で
修行している、初心者トレーナーなんだけど…


「まったく…ウツギ博士ってば人使い荒いんだよなぁ…
 な、ヒノアラシ!」
「ヒノ!」

修行というのは名ばかりで、ほとんど研究所の雑用係だったりする。
今日も、ポケモンのタマゴを預かってきて欲しいとかいう
面倒くさい雑用を押し付けられて…
  
「もうやってらんねぇよ〜。お使いなんて放っといて
 旅にでも出ちゃおうかなー…」
「なーにバカな事言ってるのよ、まだ子供のクセに!」
「いててぇっ!?」

「もしかしてアンタまた一人で旅に出ようとしてるの?
 前もそんな事いって”くらやみのどうくつ”で散々迷ったあげく
 通りがかったやまおとこのケンサクさんに助けてもらったでしょ!
 大体アンタはいっつもいっつも…」

「ヒノ、ヒノ〜(二人とも落ち着いて〜)」

オレの耳を引っ張って突然説教し始めたのは、幼馴染のナナコ。
オレよりも1つ年上で、1年前からフィールドワークを始めていて
ポケモントレーナーとしては、かなりベテラン…なんだけど、
口うるさくて何かとオレにつっかかってくるんだよなぁ。 

ううん、勝気なとこさえ無ければカワイイし、
そこそこオレのタイプなんだけど… 


…とか考えてる間にもオレの耳はマグカルゴのマグマの如く真っ赤に!?

「いででで!!いだいっ!そろそろ離せよ!
 それにオレ、今日はウツギ博士にお使い頼まれてるだけだって!」
「え?お父さんに?」

ウツギ博士、という単語を聞いた途端にナナコの顔がほころぶ。

「なんだァ、それなら早く言いなさいよね!」
「お前が言わせてくれなかったんだろうが!ぐはッ!」

ナナコのヤツ景気よく背中を叩くもんだから苦しいよ…。

「あはは…ご、ごめん。
 あ、そうだ。ならついでに私もついていっていい?
 私もそっちに用があるの!」

用事?なんだろう?…ま、いっか。
なんであれ、ベテラントレーナーのナナコが居れば頼もしいしな。

「うん、いいよ。…ていうか実はちょっと道に迷って
 困ってたし…」
「ホ、ホントゴロウって方向音痴よね…」
「ヒノヒノ…」

二人そろってあきれ返って溜息をつかれてしまった。
実はオレってば、筋金入りの方向音痴だったりするのだ。

「だー!とにかく出発!先行ってるからな!」
「そっち逆方向よ?」

〜つづく〜
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もぐらぶ #2★2006.07/24(月)00:06
------ポケットモンスター クリスタルGB------第2話「オーキド」-----

「お、見えて来たぜ!ポケモンじいさんの家!」
「ここまで来るのに30分以上を費やしたわ…」
「ヒノヒーノ…(誰かさんのおかげでね…)」

ワカバタウンを抜けて、ヨシノシティへやってきたオレ達。

じまんの方向音痴っぷりを見せ付けながら、
ポケモンのたまごを預かるために、ポケモンじいさんの家まで
歩き続けているのであった!

「そういえば、お父さんが言っていたけれど、
 ポケモンじいさんって人、オーキド博士とお知り合いらしいわよ。」

オーキド博士。
それは、トレーナーならば誰しも耳にしたことのある名前。
ポケモンマスターになったという伝説のトレーナーは
この人の下から旅立っていったという。

「オーキド博士かぁ…つよいポケモンいっぱい持ってるんだろうなぁ…」

そんな事を思いながら、オレ達はポケモンじいさんの家へと急いだ。

*

「やあ、よく来たね。」

ドアをノックすると、とても厳しそうなおじいさんがオレ達を出迎えてくれた。
この人がポケモンじいさんかな、なんて思っていたら
ナナコがオレを押しのけて、ペコリとお辞儀した。

「わたしはウツギ博士の娘のナナコです。
 いつも父がお世話になっております。」

礼儀正しくふかぶかとお辞儀しているナナコをボーッと見ていたら、
ナナコは、オレの頭をつかまえて無理やりお辞儀をさせた。

気に食わなかったオレは腰を曲げた状態でぼそぼそとナナコにはなしかけた。

「いってぇなぁ…何もそこまでしなくてもいいじゃんか。」
「おバカ!アンタあの方がどなたかわかってる!?」
「へ?」

あの方…?
ん?…待てよ?あのむずかしそうな顔には見覚えがあるような…

「そんなにかしこまらんでいいよ。
 いやあ、よく出来た娘さんじゃのう。」

ハッハッハ、と景気よく笑う声で、やっとオレはその正体に気がついた。


「わしの名前はオーキドじゃ。少し用があって
 ポケモンじいさんの家にやってきていたんじゃ。」

そう言うと、オーキドと名乗ったその人は
オレにニコリと笑いかけた。

〜つづく〜
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もぐらぶ #3★2006.07/24(月)00:11
------ポケットモンスター クリスタルGB------第3話「ふしぎなタマゴ」-----

「わしの名前はオーキドじゃ。少し用があって
 ポケモンじいさんの家にやってきていたんじゃ。」

…え?

オーキド博士って…もしかして…!
もしかしてあの…!

「オーキド…博士…!?」
「うがー!だから私さっきから言ってるじゃない!」
「言ってないよ!」
「言ったわよ!」
「じゃあ、何時何分何秒?地球が何回まわったとき!?」
「うがー!そういう屁理屈(へりくつ)言う奴大キライ!」

オーキド博士は、オレたちの会話を楽しそうに聞きながしながら話しかけてきた。

「まあまあ、二人とも落ち着きなさい。
 今日はポケモンじいさんに用があったんじゃないかね?」
「あ…」

やっと本題を思い出したオレたちに、
待っていたかのようにおじいさんがこちらに歩いてきた。
この人こそがポケモンじいさんなのだろう。

「君がウツギ博士が言っていたゴロウくんかい?」
「あ、はい!なんかポケモンのタマゴを見つけたとかで…」

「うん。実はこのタマゴなんだけど…」

そう言うと、ポケモンじいさんは大事そうに抱いていたタマゴをオレに手渡した。

赤と青のわっかのような模様がところどころに描かれていて、どこかふしぎなかんじのするタマゴ。
殻(から)の向こうから、あったかい生き物の体温を感じる。

「ポケモンのタマゴ…。
 人間が直接手に入れたのはこれが初の事なんですよね。」

「うん。ポケモンのタマゴじたいの存在は
 昔からわかっていたんだけど、人工的に孵化(ふか)させた
 のはこれが世界初、だね。」

「すごい…!
 今までなぞに満ちていたポケモンの誕生についてが
 ようやく解き明かされる日が来るんですね!」

「まあ、まだちゃんと生まれてくるかどうかはわからないけどね。
 何しろポケモンの生誕(せいたん)なんてものは
 未知の世界だからね。ぼくら研究者にとっても。」

「すごい…!すごいすごい…!」



「な、なんかオレついていけねぇや…」
「ヒノ…(ぼくも…)」

しかし、そんなオレ達のことなどお構いなしに
ナナコは目をきらめかせながら、懸命(けんめい)に
ポケモンじいさんとの会話を楽しんでいた。

こいつ、むずかしい話になるとほんとーに嬉しそうなんだよなぁ…

「これこれ、ポケモンじいさん。
 ゴロウ君たちが困っているじゃろうが。」

あぜんとしていたオレたちを見かねて、オーキド博士が
ナナコたちの間に割って入った。

「おお、すまんすまん。つい、話し込んでしまった。」
「ご、ごめんなさいっ!私ったら…」

サンキュー!オーキド博士!
と、とりあえずジェスチャーでお礼をしておく。

「…さて、それじゃあこのカプセルの中にタマゴを入れて、
 くれぐれも注意して、ウツギ博士のところまで持っていってね。」

「はい!」

*

「ふう。やーっと終わったぜ…。ったく話が長いんだよナナコは!」
「ごめんなさぁい…。」

へっ、そんなイキナリしゅんとなったからって嘘くさいんだよーだ。
…ま、カワイイから許してやるか。

ピリリリリ!ピリリリリ!

「ヒノノ!ヒノヒノ!(ゴロウ、ポケギア鳴ってるよ!)」
「え、何?ポケギア?えっと…もしもし?」

「た、大変なんだよゴロウくうぅ〜ん!?!?」
「どああっ!声が大きいっ!」

叫び声の主はウツギ博士だ。一体どうしたんだ??

「た、あ、ぼくの、その、あの、あ〜!」
「お父さん、落ち着いて。何があったの!」

慌てまくっているウツギ博士に、ナナコが落ち着いた声でなだめる。
まったく、どっちが親だよ…。

「ナ、ナナコ?どうしてここに?」
「そんな事はいいから!どうしたの?」

「け、研究所の大事な新種のポケモンがぬすまれちゃったんだ!
 とにかくはやく来てくれー!」

〜つづく〜

余談
今回はちょっと長くなったので2つに分けました^^;
だいじな記事を流してごめんね><
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