ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

連載中[918] デオキシスと名乗る少年

マツケン #1★2006.10/17(火)19:36
僕はたまに自分が自分じゃなくなるような気がする。
実際にはぜんぜん覚えていないんだけど―――――

それはトレーナーズスクールの昼休みに起こる。

「おい、約束のアレ、持ってきたか?」
僕はまたいじめられていた。
「……」
僕は何も言えなかった。10万円なんて持ってこれるわけわけが無い。
「ほぅ、持ってこなかったのか。じゃあ罰として―――――」
相手は8人、勝てるわけが無い。
「まずはアレだな」
そう言うと僕の手をつかんだ。
「やめろっ…はなせっ…」
やっと声が出た。とても小さい声だが。
「おーおー、ようやく話せましたか、えらいですねぇ」
「うるさいっ…」
「ほざくな!」
あいつらが殴りかかってきた。
その後のことは良く覚えていない。
気がつくとあいつ等が倒れていた。
「まただ…」
僕はつぶやいた。


僕はいつもこんな日々を送っている。
みんなは僕のことを気味悪がって近づいてこない。
だれも助けてはくれない。
早く、ポケモンが欲しい。それまでずっと独り。
帰ってバイトに行くけど、そこでも気味悪がられ、無視される。

           もう、いやだ。

僕の心はそれしかなく、それ以外に無い。

その日の夕方、バイト先にあいつらが来た。
「探したんだぜ」
そういうことか。僕の中で何かが動いた。
ari-pxy.valley.ne.jp
マツケン #2★2006.10/18(水)21:27
あの時から始まったんだ。僕の旅は。
そう、それまで僕にはなにもなかったんだから。


ある日、僕のバイト先にあいつらがやってきた。
「探したんだぜ」
と、あいつが言った。僕は怒りと憎しみと悲しみでいっぱいになった。
「金、あるんじゃねえか。早く出せよ」
そういうとあいつらはモンスターボールを五つ投げた。
リザードン、オーダイル、カメックス、ピジョット、バシャーモ。
「どうしたんだ?そのポケモンは?」
僕の声はいつもと違っていた。
「レンタル所からパクッてきたんだよ。悪いか?」
今の僕は、ポケモンを持っていないのに、勝てるような気がした。
「悪くないよ。これでおまえらと決着をつけられる」
次の瞬間、僕はもう、僕ではなくなっていた。
「ケッ、生意気いいやがって。いけ!ピジョット!」
ピジョットが突っ込んできた。
「つばめがえし!」
ピジョットが一瞬消えた。どこだ…。そこらじゅう風が起きて、どこにいるのか良くわからない。すぐ後ろから強い風が――――
身体が勝手に動いた。ピジョットが吹っ飛んだ。
「お、…おまえ…」
やつらはかなりおびえている。いい気味だ。
「まだやるのか?」
僕はできる限りいやらしく言った。
「う、うるせえ!いけ!」
すると他のポケモンたちが飛び掛ってきた。
「バシャ―モ、リザードン、かえんほうしゃ!」
これは思いっきりジャンプしてよけられた。
「オーダイル、カメックス、ハイドロポンプ!」
水がすごい勢いでこっちにくる。空中では身動きが取れない。
すると、僕の目の前で、水がはじけた。
僕は自分を止められない。僕の中の何かが…
「僕の名は、デオキシス。」
そう言うと、デオキシスと名乗る少年は空中に浮かび、飛び去っていった。
ari-pxy.valley.ne.jp
マツケン #3☆2006.10/19(木)20:10
「…おい・・おいっ・・聞こえるか?」
どこからか声がする。気のせいか…
「おい!おきろ!」
う…この声は…
「早く!凍え死ぬぞ!」
え?そういえばなんか、寒くなってきたような…
「寒い!」
僕は飛び起きた。下には雪がつもっている。確かにとても寒くて、凍ってしまいそう。
「だれか知らないけどありがとう」
そう言って僕は辺りを見回した。だれもいない。
「あれ?おかしいな。あの、どこにいるんですか?」
人がいないどこらか家も無い。
「おまえの体の中だ」
僕の体から聞こえた。
「えっ?!そんなバカな。きっと寒さで耳がおかしくなったんだ」
「なにをバカなことを」
また体から聞こえた。
「え?…わかった!どうせ無線とか隠してあるんだろ」
「いいかげんにしろ!」
まただ。どうなってるんだ?
「俺はデオキシスだ!宇宙から来た!それより早くしろ!どこかに小屋があるはずだ!そこに入れ!死ぬぞ!」
そうだった。ぼくはあわてて近くにあった小屋に入った。
僕は小屋に会ったマッチを使い、小屋にあった木に火をつけた。
「おまえ、今の話、本当か?」
「ああ」
「それじゃあ、宇宙から来たというのも?」
「そうだ。だが、俺はハッキリいってポケモンじゃない。ただ、おまえらみたいじゃない奴のことをポケモンと呼んでいたからな」
「じゃあ、僕の体にどうやって入ったんだ?」
「おまえが首にかけている、そのペンダントだよ」
「そうだったのか…」
「そのペンダントにはまっている水晶から入ったんだ」
「こんな小さいところに入っていたのか」
「いや、本当は大きかったんだが、ここに落ちたときに欠けてしまってな」
そういうとつい、僕も悲しくなってくる。心がつながっているのか。
「じゃあ、不良に絡まれた時、体が自然に動くのはおまえか?」
「ああ、だからこんなこともできるぞ」
そういうと僕はフィギアスケートのように6回転した。
「なにす・・」
そこで何もいえなくなった。
「あいうえお」
口まであやつれるのか。
「どうだ」
「すごいな」
僕は興味のなさそうな声で言った。
「だから、おまえには水晶探しを手伝ってもらう」
「な、なんで?」
「俺はどこにあるか解かる。それに、もう、あんな所にはもどりたくないだろ?」
「う、うん」
「今すぐ行きたいところだが、俺は今、エネルギー切れだ。今から数時間立たないと…」
そこで勢いよくドアが開いた。
ari-pxy.valley.ne.jp
マツケン #4☆2006.10/20(金)19:28
勢いよく開いたドアからポケモンが二匹飛び出してきた。
一匹はきれいな水色の体に顔から何かが垂れ下がっている。
もう一匹は体が青く、ヒレがついていて、まるで人魚のようだ。
二匹ともとても美しい。
「おい、さっさと倒せ。だが、俺はさっき言ったようにエネルギーが無い。おまえ独りで何とかしてくれ」
そう言うと何も聞こえなくなった。相手はじりじりとせまって来る。
「付けたしだ。おまえもがんばればあの時みたいな力が出せる。念力も使える」
人に押し付けるなんて、なんてやつだ。
「くそぉ!」
僕はそばにあった椅子を思いっきり投げつけた。
だが、二匹は軽々かわし片方がれいとうビームをしてきた。
「ぐあっ!」
僕の足に命中、僕は身動きが取れない。
二匹が近寄ってくる。このままじゃやられる。何かいい案は…
ひとつだけあった。ねんりき、使ってみよう。
体力も残り少なく、寒さでやられてしまう。
僕は残っている力を振り絞り、最後の攻撃へ―――――――
ari-pxy.valley.ne.jp
マツケン #5☆2006.10/21(土)18:04
「くらえ!」
僕は残った力で相手を宙に浮かせた。
よし、これで―――――

と言うようにうまくいくはずが無い。
僕はコントロールができず、結局何もできなくなってしまった。
力尽きた僕は床に倒れこんだ。相手が2体同時にれいとうビームをはなってきた。もうだめだ!―――――――
そう思った瞬間、いきなり僕の体が動き始め、ジャンプしてれいとうビームをよけ、一回転して着地した。
「まったく、俺がいないと何もできないのか」
めんどくさそうな声とあくびのマネが聞こえた。
「デオキシス!」
僕は喜びの声を上げた。
「丁度体力も回復したし、やってやるか」
デオキシスはそこで動かなくなった。
「デオキシス?」
「おい」
五秒後に声が聞こえた。
「耳、ふさげ」
「え?なんで?」
「いいから、早く!」
僕は言われたとおりすなおに耳をふさいだ。
「絶対はなすなよ」
すると、閉じてあった口が開いた。
腹が熱い。のどに熱がこみ上げてくる。
次の瞬間、僕の口から空気を切り裂く音と同時にオレンジ色のこうせんが発射された。
こうせんは相手の足元に当たり、相手は吹っ飛んでいった。
ものすごい衝撃と爆音が辺りに広がる。
これが、はかいこうせんか。
ポケモンはいつもこんな事をしているんだ。
「おまえ、ポケモンなのか?」
「さあな」
それから沈黙が続いた。相手がいたところには穴が開いており、雪が無い。
「おい」
体から声がした。
「とりあえず、町まで行くぞ」
僕の体が浮いた。
「おまえ、金持ってるか?」
「二千円しか…」
「はぁ?まあいい、それは後で考えるとしよう」
そう言うとデオキシスと名乗る少年は町をめざして飛んでいった。
ari-pxy.valley.ne.jp
マツケン #6☆2006.10/23(月)12:21
……ここはどこだろう。
寒い。暗い。何も無い。あるのは闇だけ。
いや、何カが近づいてくる。何だろう。
大きい石―――――――、いや、隕石だ!
よけられない!僕は隕石にあたった。
僕の五分の四が割れ、きれいな青い星へ。
僕はそれを追うように、きれいな青い星へと行く。
大気圏に突入、熱くて溶けてしまう。
すると、近くに緑色のきれいなポケモンが現れ、体を冷やしてくれた。
熱くはなくなったが、今度はどんどん落ちていく。
地面がせまって来る。そして――――――――

「うわぁ!」
僕は飛び起きた。額の汗をぬぐい、胸に手をやる。
激しく打つ鼓動が聞こえてくる。
水を一口飲んで、ようやく落ち着いた。
今のはなんだろう。夢にしてはリアルだ。
「おい、うるせーぞ」
どこからか声がした。
「なあ、デオキシス。おまえ、宇宙から着たのか?」
「ああ、そうだ。前にもそういったろ?」
「じゃあ、緑色のポケモンはなんだ?」
うっ、という声がして沈黙が続いた。
「おまえ、何で知ってるんだ?」
「実は、夢を見たんだ」
「へぇ、どんな?」
「僕が…、いや、おまえが隕石にぶつかって地球に落ちてくるのを」
「なら、余計に言いたくなるな。さっさと水晶を探せって」
僕は、あきれて、また眠りについた。
ari-pxy.valley.ne.jp
マツケン #7☆2006.10/25(水)18:29
「う…ん・・」
まぶしい…。それに、妙に寒い。
「ハクション!」
「おいおい、どうした」
「風邪をひいたんだ」
近くにあったティッシュを引っつかみ、鼻をかむ。
「風邪ってなんだ?」
「そうだな…風邪のウイルスが体n…」
そこで言葉が途切れた。
「だから、疲れてるだけなんだな?そうか、よし、働きに行くぞ」
「ちょっとまてよ。疲れてるん…」
ぼくは外の景色を見て驚いた。
「す・・すごい!」
大きい。とても大きい。とにかく大きい。すごい大きい。
「なんだ、あれ?」
僕は走り出していた。僕は走りたくもなかったけど。
「なんて書いてあるんだ?」
「静かにしろ!周りにきづかれるだろ!」
「ちぇっ!」
僕は舌打ちをさせられた。
「へぇ〜、ポケモンの墓かぁ…」
僕は本で読んだことがある。ガラガラのお母さんの霊…
「シオンタウン、ポケモンタワーか…」
僕は中に入ってみることにした。上にあがっても墓、墓、墓。
とうとう一番上に着いた。
「なんだろうこれ」
よく見ると、字が書いてあった。

  ―カラカラの母、ガラガラ、ここに安らかに眠る―

僕の眼にはガラガラが映っていた。でも、何かから逃げていた。
そして後ろから追いかけてくるのは…
黒い服を着た人たち。追いつき、棒で殴りつけ…
――――ガラガラは倒れた。

僕は泣いていた。知らないうちに。
「おい、いくぞ」
「…」
「だからあいつらにいじめられ・・」
「その話はしないでくれ」
僕は涙をぬぐって歩き出した。
ari-pxy.valley.ne.jp
マツケン #8☆2006.10/27(金)18:37
「おい、まだ追いかけてくるのか?しつこいやつらだ」
僕は今、警察に追われている。それも特殊部隊に。
それは30分前に起きた。

「なあ、金、どうすんだ?」
デオキシスが僕の口を使ったので僕はいらついた。
「僕の口を使うな」
「じゃあ尻からしゃべれって言うのか?」
「うるさいなぁ」
僕はポスターを見ていた。
「なんかあったか?」
デオキシスが僕の尻からしゃべった。
「黙ってろ!だいたい…」
「静かにしろ!あいつを見てみろ」
僕の首は無理やり曲げられた。
「電話してるだけだぞ」
「いや、よく聞け」
僕は耳をすました。
「…ですか?あの、ここに変な人がいるんです。
…そうですねえ。1人で喋りあっているので、精神が…」
「ほらな、やばいだろ」
「う・・ん・・」
「とりあえずここから逃げよう」
僕は空に上がった。
「あ…。信じられないと思いますが、空を飛んでいます」
と言ったのは僕も、デオキシスにも聞こえなかっただろう。
僕が空を飛んでいると下から怪しいものが…。
「まて!」
後ろから声がした。振り向くとフライゴンが10体。
そこには人が1人づつ乗っている。
「戦え!奴らを倒せ!」
デオキシスが言った。
「そんなことしたら犯罪だぞ」
「なに言ってんだ。俺たちは何もしてないってのにこんなことされて。
おまえはくやしくないのか?!」
まったく、デオキシスは何も解かっちゃいない。
「確かに奴らは変だ。捕まえろ!」
ヤバイ。かなりヤバイ。
「ほら、言わんこっちゃない」
僕は逃げようとしたが、体の中にいるデオキシスが――――――
ari-pxy.valley.ne.jp
マツケン #9☆2006.11/04(土)20:50
ある日、いじめがきっかけで僕の体内に「デオキシス」と言うポケモンが居ることが分かった。
そのポケモンの本体は大きい水晶らしい。
デオキシスは宇宙から地球に落下し、その衝撃でかけてしまった物を僕が持っている。そして、その水晶探しを僕は手伝うことになった。
だが、僕達は変人扱いされ、警察に追いかけられることになった。

「おい、やめろ!」
「倒せばいいだろ、倒せば」
だめだ。デオキシスの力が強すぎる。
「ほら、一発殴ればいいんだろ?」
止まらない。デオキシスは敵のフライゴンに・・
「フライゴン、すなあらし!」
前の警察が声を張り上げる。
と、ほぼ同時にすなあらしが巻き起こった。
「おい、見えないだろ。今のうちに戻るぞ。うわっ!目がっ!」
目に砂が入った。
「あいつらはゴーグルみたいなものをしてるし、フライゴンも平気だ。
このままじゃあ・・」
デオキシスがぶつぶつつぶやいている間にも敵が迫ってくるような気がした。
「ドラゴンクロー!」
どこかで声がした。若々しく、たくましい声が…
「まずい、後ろだ!」
間に合わない。
「うぐっ!」
背中をやられた。傷口に砂が入りこんで痛い。
「逃げるぞ」
その声はすなあらしにかき消されたが、ちゃんとデオキシスには伝わっているはずだ。
「目をつぶれ」
デオキシスがそういったので僕は目をふさいだ。
こういうときは僕の体もデオキシスに任せるしかない。
僕の体の力が抜けた。
「え?このままじゃ・・まさか」
「そのまさかだ」
「え?うそだ・・ろ?」
声が出なくなった。
僕はすごい勢いで落ちていく。
「う、・・うわあぁ!」
そのまま地上へと、僕はどんどん落ちていった。
ari-pxy.valley.ne.jp
マツケン #10☆2006.11/23(木)19:04
……。
また、僕は宇宙にいるのか。
寂しい。怖い。
宇宙には何も無い。
星意外は。
あれ?この前とは違う場所だ。
大きい岩がこっちに沢山迫って来る――――

僕は飛び起きた。
ここはどこだろう。
「おお、気づいたか」
医者だ。
ということはここは病院か…
「う…ん…」
急に頭がくらっとして僕はその場に倒れこんだ。

夢の続きだ。
もう岩の大群から逃れられない。
まず小さい石がぱらぱらと当たった。
そして、岩が次々にぶつかってくる。
痛くない。でも、怖い。心細い。
いつ、この隕石が壊れてもおかしくないんだと思うと何もできない。
そして巨大な隕石が僕の、いや、デオキシスの水晶にぶつかった。

僕はまた起きた。今度は刑務所だ。
服は縞模様。僕は訳が分からず大声で叫んだ。
「ここから出せ!僕が何をしたって言うんだ?」
すると警備員がめんどくさそうな顔をしてこっちに来た。
「殺人を犯した」
そんな…ウソだ…。
「ち、ちがう!デオキシスがやったんだ。
それに僕は、頭がおかしいという理由でつれて…」
警備員にさえぎられた。
「殺人を犯した奴は、頭がおかしいさ。特におまえみたいに何人も殺した奴は」
「え…?」
そんなバカな…。
僕は気を失った。
いや、多分そうなのだろうと僕はその後思い出すだろうか。

「…い…おい…おい!起きろ!」
デオキシスの声がする。
でもどうせこれも夢だ。
僕は無視して眠ろうとした。
「寝るな!」
急に僕の両手が痛み出した。
僕は目を開けた。
「な、何するんだ!」
デオキシスは拳の拍手をやめた。
手が砕けるかと思った。
「まったく、いつまで寝てるんだよ。ぐずぐずしてたら・・」
「いたぞ!」
追っ手が来た。
「デオキシス、ここは?」
僕はようやくここが洞窟の中だって気づいた。
「さあな。それより、さっさと行くぞ」
僕はこれがまた、あの悪夢だと願った。
いじめられていた事も。
だが、そんな願いは通じるはずがなかった。
ari-pxy.valley.ne.jp
マツケン #11☆2006.12/01(金)19:27
「いたぞ、そこだ!」
僕はフラッシュに照らされた。
「いけっ!ライボルト、レントラー!」
あの2体がフラッシュを使っていたのだろうか。
「ライボルト、レントラー、かみなりのキバ!」
「どうやら人間あいてにも本気でやる気だな」
デオキシスが僕の体の中でつぶやいたが僕の耳には入らなかった。
僕は前に大きい岩を置いた。だがすぐに壊されるだろう。
僕はとにかく走った。三十秒ほどたった頃だろうか。
「追え!追うんだ!」
という声がしたので、僕は余計に速く走った。

僕は今、どうくつの中をさまよっていた。
「もう食べ物がないよ」
もうこのまま死んでしまうのかも――――――
そんな不安が僕を襲った。
「あ、ひとつだけ方法があるぞ」
「な、何?」
僕はその一言にどんなに勇気付けられたことか。
でも、次の一言で絶望のどん底に突き落とされた。
「カベを――――全部割る!!」
僕はあまりのばかばかしさに何をいったらいいのかわからなくなった。
ari-pxy.valley.ne.jp
マツケン #12☆2006.12/05(火)18:54
「なに言ってんだよ!」
数秒後にやっと声が出た。
「だから、カベを全部突き破るんだよ」
僕はため息をついた。
「どうやってだよ」
「じゃあ、見てろ」
その声は自信に満ち溢れた声だった。
「いくぞ――――――」
その後、何が起こったのかは分からなかった。
だが、僕の体からエネルギーが吸い取られていくのを感じた。
そして、気づいたときには、上から太陽が照り付けていた。
「ほら見ろ」
つかれきった声がした。
「抜け・・だせ・・た…な」
僕の中で動いていた何かが止まった。
いや、かすかに動いているのかもしれない。
僕が感じないぐらい弱々しく。
「デ…デオキシス!」
僕は応急処置のしかたを必死に思い出そうとした。
だが、あるはずがない。
人の中にポケモンがいて、そしてその中にいるポケモンを救う方法なんかあるはずがない。
だが、僕は今、その状況なのだった。
「そうだ!ポケモンセンター!」
でも、体の中にいるポケモンは助からない。
「捕まえろ!」
追っ手がまた追ってきた。
涙で目がかすんでよく見えない。
「デオキシス!」
思いっきり叫んだ。これに全ての望みをかけて。
「いないのか…もう・・だめ・・だ・・」
倒れそうになった時、足に力が入った。
そして、いつものあの声が僕の体の中から聞こえてきた。
「まったく、俺がいないと何もできないんだな」
ari-pxy.valley.ne.jp
マツケン #13☆2006.12/23(土)22:02
「まぁ、五億円ですって」
「いや〜ね〜」
「最近、ぶっそうな世の中になっちゃて」
おばさんたちの世間話が聞こえた。
そのおばさん達はある張り紙を見ていっているのだった。
『この少年を見つけた者は、直ちに警察へ通報すること。
 賞金五億円』
その下には少年の写真が貼ってあった。
どこにでもいるような顔。特に特徴はない。
だが、疲れていた。少なくとも僕にはそう見えた。
いや、本当にそうだった。
その少年は僕なのだから。
僕が指名手配されているのだ。
「デオキシス・・。どうしよう。僕…」
「ふーん。そりゃあ、面白くなったな。最高だ」
そう言ってデオキシスは笑った。
「で、でも僕が死んだらおまえも死ぬんだぞ」
「ああ、そーだよ。でも、おまえだって死にたくないくせに」
僕は何も言い返せなくなった。
「俺は、おまえと永遠に一緒だ。まあ、水晶が見つかったらおしまいだけどな」
そうだった。僕はとても心配になった。
つかまるとか、そういう問題ではない。
生活ができないとか、そういうわけでもない。
また、独りになる。

            孤独

僕はその言葉が大嫌いだった。
デオキシスは嫌な奴だ。
でも、近くにいれば楽しい。
そう、僕から『孤独』の2文字を消してくれた。
いなくなればまた、『孤独』が帰ってくる。

「ちょっと来てくれないかな」
僕の横に、サングラス、帽子、マスクをしている怪しい男が立っていた。
こういうのを、絶体絶命というんだろうか。
ari-pxy.valley.ne.jp
[918]

このページは http://www1.interq.or.jp/kokke/pokemon/commu/story/918.htm のアーカイブです。

ぴくの〜ほかんこ