ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

連載中[932] 双葉

だーくルギア #1★2006.12/02(土)18:58
そこはごく普通の田舎村。

事件もなんにもないごく普通の平和な村。

人間とポケモンがともに協力し、バランスを保っている村。

その村の名前は「双葉村」。

「フタバタウン」ではありませんからその辺ご注意を。

そこに暮らしている1人の男の子。

名前は「三村 誠弥」(みむら せいや)。

ごく普通の中学1年生。

何の特技もないしなんか特別な能力もない普通の男の子。

それがこの物語の主人公。

どんな物語だって?

それは読んでからのお楽しみ。

では始まり始まりー。

―――

今日はごく普通の水曜日。
なんか特別な行事もないし普通の1日。

でも今日は、今までの暮らしを一転させる大きな日だった…。

ガラガラっと教室の戸を開け、いつも通りの1日が始まると思っていた。

「おはよー」

僕はいつも通り友達に挨拶をした。

「おはよう誠弥。お前知ってたか?今日転校生くるらしいぜ」
「まじで?」
「なんでも女らしいぜ。可愛いといいなぁ」
「へぇー」

僕はそのことに関して深くは考えなかった。
と、そんな会話をしているとガラガラっと教室の戸が開き、若い女の先生が入ってきた。

「はいはーい!みなさーん!席についてー!今日から新しいお友達…いや、ヒロインが増えますよー!」

ツッコミ所満載な無駄に元気なこの女性は自称「ドジッ娘みっちゃん」こと「草原 美奈子」。

「皆さん早いもの勝ちですから印象つけるなら転校したての頃がオススメですよー!では入ってきて下さーい!ニューヒロインなつみさーん!」

そのかけ声と同時に入ってきたのはおとなしそうな三つ編みの女の子だった。

「はいなつみさん挨拶して下さーい!」

美奈子はそんなことをいいながら黒板に「鳥羽 なつみ」(とば なつみ)と大きく書いた。

「鳥羽なつみです。よろしく」

その子はとてもおとなしそうな子で、とても話づらそうだった。

「はーい!なつみさんは誠弥君のお隣に行ってもらいまーす!」

うそ、マジで!?ベタじゃない!?とか思ってる誠弥を気にもせずなつみはズンズンと近づき、誠弥の隣の席に着いた。

「よ、よろしく…」
「よろしく」

たじたじの誠弥に対して冷静ななつみ。

「はいはい誠弥くん一歩リードですねー!皆さんなつみさんと嫉妬せずに仲良くして下さいねー!」

それが、今までの暮らしを一転させる大きな出来事だった…。

         〜続く〜
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だーくルギア #2★2006.12/04(月)18:47
第2話 人は見かけによらない

その後も誠弥となつみは気まずいながらも1日なんとか過ごしたのであった。
そして放課後。

「よぉ誠弥、なつみとどうだった1日隣にいて」
「気まずい雰囲気プンプンだよ。なんかもう嫌になってきた」
「そういや家も誠弥の近くだよな」
「マジで!?あ、もしかしてあの時の…!?」


それは昨日の火曜日のこと。

ピンポーンと家のチャイムが鳴った。

「はーい」
と、ドアを開けたら見かけない若い女性が立っていた。

「あ、もしかして誠弥君?初めまして。先日引っ越してきた鳥羽です。よろしくってお母さんに伝えておいてくれない?ではこれで。」
「あ、はぁ…」


(鳥羽って、やっぱりなつみだったのか…。じゃああの女性は姉なのかなぁ?)
そんなことを考えながら誠弥は誰もいない校庭を1人で歩いていた。
とその時、大きな大木の後ろからこんな声が聞こえた。

「てめぇかぁ。不良達の間で噂になってる怪力一家の子供、なつみってーのはよぉ」

なつみ…?と一瞬誠弥は考えたがすぐ、

「!」

反射的に大木の方を振り向いた。
そこにはごつい男の不良が2,3人で転校してきた少女・なつみを囲んでいた。

(うっそ…ヤバいとこ見ちゃったよ…)

陰に隠れて誠弥はそんなことを思っていた。なら逃げろよ。

「なんですか?ナンパですか?私可愛いから仕方ないんですがあの、ちょっと暑苦しいんですけど…」
「なんだこいつ?俺たちに喧嘩売ってる訳?むかつくんだけどやっちゃっていい?」
がっ、と不良達が拳を構えて、

(ヤバい…!)

誠弥ががばっとその集団に襲いかかろうとしたとき、

「…え?」

誠弥が見たそこには


その「ごつい男の不良」1人を片手で持ち上げ、残りの不良達に投げようとしている「少女」なつみの姿があった。

どかぁんと不良達は倒れ、倒れた不良達を早速片づけようとしたなつみは誠弥の存在に気がついた。

「…」
「…ぁ、ぇ、ちょ…!?」

目の前の状況が理解できない誠弥を気にせず、ずんずんなつみは近づいて、

「誰かに言ったらこいつら(不良達)みたいにするから、いい?」
「…はい?」
「だから言ったらこうなるって言ってるの。いい加減理解してよ」
「あの、キャラ変わってますよ…!」

拳をちょっと構えてるなつみを見て誠弥は

「…分かりました」

と半泣き状態で言った。

   〜続く〜
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だーくルギア #3★2006.12/04(月)18:49
第3話 怪力はヒロインの特権

(うっわー…なんかヤバイところ目撃しちゃったよー…)

ズーンという効果音が出てきそうな状態で誠弥は1人ため息をつきつつ帰っていた。
誠弥は未だあの事件は理解不能だがとりあえず誰かに話したら殺されるということははっきり分かる。

(あー、なんか学校行きたくない。なつみと顔を合わせたくない…)

はぁ〜、とため息をついているとがさごそっと草むらから音がした。

(ポケモンかな?)

ここら辺は野生のポケモンがしょっちゅうでてくるので別に気にもとめなかった。
がさっと何かが飛び出してきた。
誠弥は何気なく音のする方向へ振り向いた。

誠弥が見たそこには、


引っ越しの挨拶にきた「女性」が

生身の身体で野生のゴーリキーと戦っていた。


「はぁ!?」

一瞬誠弥はあのことを思い出した。

そう、なつみが不良達を投げ飛ばした、あの瞬間を。

バッと勢いよく誠弥は目をそらし、そしてダッシュで家に帰った。

「ただいまッ!」

バンッと勢いよくドアを開け、勢いよく部屋に駆け込んだ。
ばたんっと勢いよくドアを閉めた。

「な、なんなんだよあれー…」

ゼェゼェハァハァと息切れしながら誠弥は1人で叫んだ。
ゴーリキーと戦ってる時点でただ者ではない。しかも引っ越しの挨拶の時にきたあの女性だったとは未だ信じられない。

「確か鳥羽って人だよな〜。なつみの家族としか考えられない」

なんなんだなつみの家族は!?怪力マンしかいないのか!?と頭を抱えている誠弥は、ふと気がついた。

「…あ、引越祝いの品、置いてこなきゃいけないんだった…」

ごーんという効果音が鳴り響きそうな中で誠弥はふと

「待て、でもこれはチャンスだ。これを渡しに行くついでになつみの家族の謎を突き止めよう。全員怪力マンとは限らないし。っていうかなつみといい、あの女性と言い、筋肉ムキムキとはとうてい思えないよなー…」

1人でごたごた考え込んでいる誠弥は、ポジティブ、ポジティブだ。プラス思考で行くぞー!と行くことを決心し、家のドアを開け、なつみの家に向かった。

   〜続く〜
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だーくルギア #4☆2006.12/05(火)19:27
第4話 ポケモンは別に人間に強い訳ではない

「うん…置いてこよう…」

誠弥はあの後ズンズンなつみの家へ向かい、今はなつみの家の前にいるのだがやっぱり入るかはいらないか迷っている。

「でも置いてこよう置いてこよう言ってるけどやっぱりいざとなったら手が止まるよなぁ…」

う〜んどうしよう、と考え込んでいる誠弥にふと

「あら、誠弥君じゃない?どうしたの?なにかあった?」

その声はゴーリキーと生身で戦っていたなつみの家族と思われる女性だった。

「!!? え、あ、あの、こ、これを届けに…」

いきなり声をかけられて誠弥はビクゥっと跳ね上がった。
誠弥は手に持っていた引越祝いの品を差し出した。

「あら、わざわざありがとうね。あ、ちょっと待ってて、家でゆっくりしていって。なつみはまだ帰ってこないから」
「あ、はぃ…」

やっぱりなつみの家族の人だったんだ…と考え込んでる誠弥に対してその女性は

「どうしたの?…あッ!私まだ自己紹介してませんでしたね。ごめんなさいね。」

うふふという感じに口に手を当てながら、女性はこう続けた。

「私は可憐(かれん)。なつみの母よ」
(あぁ、家族は似るって言うけど…というか母!?かなり若そうな気が…)

可憐というとても似つかわしい名前の女性は見た目20代だ。誠弥がびっくりするのも無理はない。

さぁ入って入って、と手招きをする可憐に半ば強引に家に入らされた誠弥はふんふんと鼻歌を歌いながら紅茶を用意している可憐の背中をながめて考え込んでいた。

(どうしようかなぁ…。ゴーリキーと戦ってた理由とか聞こうかな…?でも聞きづらいなぁ…)

それにしても綺麗な家だなぁと誠弥はぐるりと周りを見渡した。
そこはとても怪力女が住んでいるとは思えない洋風の家だった。
綺麗なピンクの絨毯の上に大きい木のテーブルと4個椅子が置いてあった。
本や置物、ぬいぐるみはきっちりと並べられてある。以外ときれい好きなのかもしれない。

「はい、紅茶できたわよー♪」

上機嫌な可憐にたじたじの誠弥。
怪力女の意外な一面を見たのであった。

   〜続く〜
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だーくルギア #5★2006.12/30(土)11:54
第5話 怪力だからって大ざっぱではない

しばらく誠弥は可憐に捕まっていて約2時間長話につき合わされていたのであった。
その間にも誠弥はもう帰ります、となんとか振り切ろうと試みたがもうちょっとあがっていって、と可憐が引き留めていて怖かったので誠弥はずっと話を聞かされていた。

(はぁ〜…疲れたぁ〜…)

2時間も話を聞かされていた誠弥はぐったりとした様子でふらふら家に帰っていった。

「帰ったらゆっくり休もう…でも頭の整理もしなくちゃなぁ…」

今日1日を振り返るとあり得ない出来事がたくさんあったなぁ、と誠弥はため息をつく。

「学校行きたくない…なんかまた嫌なことが起こりそうで…」

ふらふら歩っていた誠弥はやっと家に着いた。

「つ、ついたぁ〜」

これまでにない安堵感がわいた。
どたばたと誠弥は自分の部屋のベットに倒れ込んだ。
しかし安心したのはつかの間、なんか窓の方から視線を感じる。

(なんだ…?)

ん〜?とゆっくり窓の方に目をやる誠弥。


するとそこには、

木の上で隠れているつもりだが丸見えの小学3年生ぐらいの男の子がいた。


「誰!?」

ばっとベットから起きあがり、がらがらっと窓を開けた。

「わぁ!誠弥兄ちゃんだぁ!やっと会えたぁ!」
「やっと会えたって…誰!?」

木の上からキャッキャッとはしゃいでいる男の子。
呆然と誠弥は立ちつくしている。

「初めまして!僕竜野(たつの)!よろしく!」
「いや、よろしくって…」

状況が飲み込めない誠弥。
竜野と名のった男の子はダッと木を蹴り、びゅーんと誠弥の部屋の窓を狙って飛びかかってきた。
木と部屋の窓の間はおよそ3メートル。

「わぁ!?何やってるの!?」
「何って…ジャンプだよ?見れば分かるじゃん」
「…ツッコむのに疲れるよ何?この家族?天然?」

さっと窓から横によけた誠弥。
竜野はさっきまで誠弥がいたところに着地した。

「お邪魔しまーす!」
「…窓からお邪魔する人なんて初めて見たよ…」

   〜続く〜
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だーくルギア #6☆2006.12/30(土)12:13
第6話 家族は似るんですねぇ

「兄ちゃん〜、部屋汚いよ。綺麗に片づけよう、ものすごく気になるよ」
「窓から勝手に入ってきて何を言い出すかと思えば…。不法侵入で訴えるよ?」
「不法じゃないよ、お邪魔しますっていったじゃん」

なんなんだこの子は…と頭をかきむしっている誠弥を無視して竜野は勝手に誠弥の部屋を片づけている。

「ねぇ兄ちゃん、さっき「なんなんだこの家族は」っていったけど僕の家族知ってるの?」
「知らないけど想像はついたよ…。君、苗字「鳥羽」でしょ?」
「すっごーい兄ちゃんよく分かったね!千里眼!?心読めるの!?」

あぁやっぱりな…雰囲気からしてそうだもん、とため息をつく誠弥。
空はそろそろ暗くなる頃になっていた。
あぁもうそんな時間か、一刻も早くこいつを追い出したい。さっさと帰ってくれと思っていた誠弥は

「ね、ねぇ、外もう暗いからさ帰って方がいいんじゃ…?」
「あ!もうこんなに暗い!兄ちゃん、僕1人じゃ怖いよぉ…」

うるうると涙目で誠弥を見つめる竜野。
ヴっと一瞬ひるんだ誠弥だったがこの流れは一緒に行く方向になってるよなぁ…と悩んだが覚悟を決めて一緒に行くことに。

「分かったよ、一緒に行ってあげるよ」
「やったぁありがとうお兄ちゃん!お礼に膝蹴り一発」
「いりません」

   〜続く〜
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[932]

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