ぴくの〜ほかんこ

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連載中[935] ポケモン鉄道・少年二人旅

☆るりり☆ #1☆2006.12/04(月)22:53
カントー地方のヤマブキシティから、ジョウト地方はコガネシティの間にリニアが開通したのは、もう何十年も昔の事である。

それ以後、全国に鉄道を敷設する計画が始まり、現在ではカントー、ジョウト、ホウエンの各地方は鉄道が敷きつめられていた。

今や、人間の交通の足は全て鉄道になり、ポケモンを持っていない人でも長距離の旅が可能となっていた…。
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☆るりり☆ #2☆2006.12/04(月)22:55
1話「出発、進行」

ホウエン地方 ハジツゲタウン 「ハジツゲバトルテント前」駅 ホーム
ここに一人の長袖長ズボンでシャツイン。灰色の大きめのリュックをしっかり背負い、茶色っぽいショートヘアの髪の毛(ポケモンのサーナイトのような感じであろうか)の上から白い帽子を被っている少年がいた。彼の名はタツキ。15歳。鉄道少年で、ある。彼は、鉄道好きの中でも、写真を撮るのが好きな、俗に「撮り鉄」と言われる人間なのである。
タツキは、毎日の用に、家から一番近いこの「ハジツゲバトルテント前」駅へ足を運び、写真を撮っている。というわけである。
この辺りは田舎なので、2両編成のディーゼルカーが走っている。そんな中で、事件は起こった。
「キャァ〜!!」
駅のホームで女性の悲鳴が響きわたる。一時ホームは騒然とする。痴漢か、ひったくりか…?いや、ポケモンであった。野生のマグマッグ3匹が女性を囲っている。
しかし、周りの人間はポケモンも持っていないまともに戦えない人達ばかりである。駅員も、マグマッグを止めようとするが、炎ポケモンなため、うかつに触ると危険である。
ホームに列車が入ってくる。キンセツシティ行の列車が。しかし。その列車にカメラを向けずにタツキはマグマッグの方へ走り出した。一つのモンスターボールを握って。
女性とマグマッグの前にタツキが到着する。周りの人間は息を呑む。と、その時。今到着したばかりの列車からタツキと同い年ぐらいで、肩に掛かるぐらいの黒髪の少年が一人駆け下りてくる。
「お嬢さん。お助けいたしましょう。」
少年が言う。タツキには、少し気持ち悪く聞こえていたかもしれない。
少年はモンスターボールを開く。出てきたのは、綺麗な毛並みのシャワーズである。
「シャー!」
「シャワーズ、みずあそび!」
シャワーズは、優しいみずあそびで、マグマッグを追い払う。マグマッグは驚いて早々と113番道路の方へ逃げていった。同じように列車も発車していった。
「お嬢さん。怪我はありませんか…?」
「だ、大丈夫です。」
「そうですか…。」
「あ、あの、ありがとうございました!お、お名前は?」
「名乗る程の者ではありません。」
「は、はぁ…。と、とにかく、ありがとうございました!!」
そう恥ずかしそうに吐き捨てて、女性は去っていった。また、いつものホームに戻る。止まっていた時が動き出したかのように。
少年と、タツキは向かい合った状態になる。タツキが喋り出す。
「兄ちゃん。何者…?」
「ただの旅の人間ですよ…。」
少年はそう言って、シャワーズをモンスターボールに戻した。
「『ただ』の…?違う。本来、シャワーズは「みずあそび」は使えない。なぜ使えたか…?それだけの腕があんたにはある。」
「腕、だなんて…。僕は本当に一人で鉄道旅をしていただけです…。」
「鉄道旅…。あんた、鉄道好き、しかも、「乗り鉄」ってヤツか?」
さっき出てきた「撮り鉄」の様に、列車に乗って旅をする事が好きな人のことを、俗に「乗り鉄」と言う。
「ま、まぁそんな所ですね…。」
タツキはさっきから構えいたモンスターボールを腰のベルトへと戻し、帽子を被り直して。
「で、名前は…?」
「アオイ…、です。」
「アオイか…。で、これから何処へ行くつもり?目的地は?」
「とりあえず、キンセツを回って、カイナまで行ってから、船でカントーへ渡るつもりだけど…。特に目的地は無い…。」
アオイはあまり言いたくないように言う。
「ハハハハハ、カントーか。」
タツキが突然大声で笑い出したのでアオイは少し戸惑って
「お、可笑しいか??」
と訊く。
「いいや。なぁ、アオイ」
「ん?」
「一緒に、行っていいか?」
「…!!」
突然の頼みに、驚いたアオイは黙り込んでしまう。
「旅は道連れ。な?行っていいでしょ?」
タツキはアタックし続ける。
「やっぱり一人なんて寂しいじゃないの?ね?」
畳みかけるタツキ。
「…わかったよ、ついて来たければ、どうぞ。」
少しキレたように、でも何となく嬉しそうに、アオイは呟く。
「よし、それじゃぁ行きましょう!カントー地方へ、まだ見ぬ世界へ!!」
少年二人の鉄道の旅はこうして始まるのであった。目的地など無い、大きな旅が…!!
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☆るりり☆ #3☆2006.12/23(土)15:33
2話「Chimney volcano」
「キンセツ」駅行きの列車の中。アオイは肘をついて窓の外ばかりを眺めていた。なるべくタツキと目を会わさないように。
今になって、何故あの時…タツキからの頼みがあった時、断らなかったのか と後悔しているのだ。
一方のタツキは、アオイの隣に座りながら、マイ・カメラのメンテナンスを行っていた。
「次は〜、「えんとつやまロープウェイ下」」
車掌のアナウンスが聞こえる。
「えんとつ山。知ってるけど、上まで行ったこと無いんよねぇ。行こ?」
コテコテの大阪弁のイントネーションでタツキがアオイに言う。アオイは何も言わずゆっくり座席から立ち上がり、扉の方へ歩いて行った。一度もタツキと目を会わさずに。
列車はトンネルを2つ越え、「えんとつやまロープウェイ下」駅に停車した。
二人は列車を下りる。田舎で、利用者もまったくいない観光客ぐらいしかこない駅なので、勿論、無人駅である。駅のホームには、タツキとアオイの二人しかおらず、火山灰の乗ったえんとつ山颪が吹き抜ける。
二人は駅から直結しているロープウェイ乗り場へ向かい、ロープウェイへ乗り込んだ。
「なぁ、アオイ。あんた何処から来たの?」
ロープウェイの中で、唐突にタツキが訊く。
アオイは相変わらず、外ばかり眺めながら
「カナズミ…。」
と呟くだけだった。
「カナズミ…か、ハジツゲよりはよっぽど都会やね。」
「カントーのデカイ町にくらべれば…、カナズミも田舎だ…。」
「ほぅ、んなら、オレらこれからカナズミよりもでっかい街へ行く訳やね。ひゃっほ!」
「…」
アオイは、視線を窓の外から、プラスチックの窓に写るタツキの顔へ移した。

ロープウェイは山頂へ着く。二人は、えんとつやまの山頂を踏みしめる。
「わぉ…、火口だ…。」
タツキは口をポカンと開けたまま火口を見つめ動けなくなってしまった。と、そこへ一人の少年が…
「お兄さん達、ポケモン持ってない?」
と、声を掛けてきた。
「ポ、ポケモン?持ってるけど。」
「…」
即答のタツキに対してアオイは一言も発さない。
「じゃぁ、その兄さん、そのポケモンは、飛行とか、炎とかのポケモンですか?」
続けて少年は尋ねてくる。
「あ、あぁ。うん。」
「…じゃぁ、バトルしましょうよ、あの火口の上で!!」
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[935]

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