ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

連載[988] ミミロル冒険記

紅葉 #1★2007.04/08(日)18:05
プロローグ

「何処かへ行っちまいな」
…ー色違いめ。

「まだ残るのかい。しぶといねぇ」
「そろそろこの森も無くなるだろう。僕等はハクタイの森へ行く」
「仲間を失いたく無いなら着いてきな。だがいつ一人になってもいいなら、だけれどもな」

そのような言葉を残して、沢山のミミロルが群をなして去って行く。
…只、一匹の色違いを残して。


 第壱話 出逢い

「ぅ…ひっく…みんなぁ…どう…してぇ…」
ソノオの外れの森の奥。
そこで僕は、泣いていた。
休む事無くぼろぼろと溢れて来る涙を強引に拭い、夜空を見上げる。
今日は星が綺麗だ。
「僕を…慰めてくれるのかなぁ」
そう呟くと、空はいきなり黒い雲に包まれた。
雨が降っても、雷が鳴ってもおかしくないような黒い雲だ。
「今日はついてないな…」
下を向いて、溜息をついた瞬間。
「あぁーぶぅなぁーいッ」
ひゅうう…  
どすん。
上からいきなり何かが落ちて来た。
「あー。めんごめんご」
「それで済むと思って…って、痛くない…」
「そりゃ、ゴーストですもん」
…え?
そういって頭上を見上げると。

知らないポケモンが浮いていた。
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紅葉 #2☆2007.04/24(火)15:21
第弐話 仲間

「…何」
そのポケモンは、こちらを警戒するように睨みつける。
「いやいやいや何にもないですごめんなさいすみません」
自分の体が震えている。
余分な言葉も入っているが、まぁ良しとしよう。
「…ぷっ」
笑われた。
なめられているのだろう。
「お前…名前はなんなんだい」
「先に自分が言うのがマナーなんじゃない?」
…畜生。
俺はチッ、と小さく舌打ちをする。
フワンテなのに舌が何故あるのか、ということには触れない事にしよう。
「俺はライラック。見た通りフワンテだよ」
簡単に自己紹介をしてみる。笑われはしないだろうか。
しかし、ほぼ同時に変な名前やね、とまた笑われる。
畜生…こんな屈辱初めてだ…。
「お前も…お前も自分の名前教えろよ」
「名前…」
土器土器。じゃなくてドキドキ。
「…ないよ、名前なんて」
「え…?」
名前がないだなんて、悲しいポケモンだ。
折角だから俺がつけてやろう。
「けど、色違いのミミロルだよ」
「ほー、じゃあミスティなんてどーだ」
ミスティ…いいんじゃないかな、と彼…ミスティは呟いた。
「宜しくな…ライラッ…ライラッカ?」
「…ライラックだ…」
「あ、間違えた。宜しく、ライラック」
「俺からもだ。ミスティ」

こうして、俺には一人の友達が出来た。
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紅葉 #3☆2007.05/14(月)21:19
第三話 森は燃やされ

「おぅい、どうしたミスティ」
気がつくと…自分は泣いていた。
友達となったライラックは、なんか悲しいことでもあったのかーと無理矢理顔を覗き込んで来る。
「…うるさい」
僕はそうやって、ライラックの頬に耳パンチをかます。
彼は、痛いからやめろよなと少しばかり僕を叱った。
「割れる所だったじゃないか…どうしてくれるんだ」
割れる、か…。
そこで僕は、ふと疑問を口に出してみた。
「ねぇ、アンタの体内ってどうなってるのサ?」
「…え、そりゃ臓器があってー、脳があってー、血管も通ってるけど」
あの丸い体の中に、脳と臓器と血管、か。想像してみる。
「うへっ…気味悪い…」
「そ、そんなこというなよ…」
ほら、星が綺麗だぞと彼は触手のようなもので空を差す。
「あ…、ホントだ。スゴい綺麗だね…毎日こうだったらいいのに」
ライラックはさすがに無理だよ、と首を振る。天気は操れないものな。
すると、視界の隅に赤い物が映った。
何だろうと思って見てみる。思わずうわぁッと叫んでしまった。
木が、森が、赤くメラメラと燃えている。
「どうしたんだ…って火事!?」
「いいや…人がいる。ちょっと連れてって」
「はいはい…この触手に掴まれ。しっかりな」
近い所に来ると、人間の声が聞こえて来る。
「ここに発電所を…ですね。風の通りも良いから大丈夫でしょう」
発電所をつくる、か。
もう、此処にいるわけにはいかないな。
「此処にいたら…大変なことになる。他へ行く方がいいだろう…」
ライラックも同じことを思ったようだ。
「それじゃ、何処行く?」
「風向きに任せるしかないな…」
コンテスト見たかったのに。灯台見たかったのに。
まぁ、行けるときはくると思うが。

こうして僕たちは、各地を転々とすることになったのである…。
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[988]

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