「くっ…こ、この…っ!」
ガチャガチャと後手にかけられた手錠を鳴らしながら女はじたばたと暴れる。
身体は床に横倒しにされているので服が汚れてしまうのだがそんなことは気にしてはいられない。
上を見上げれば二人の男がニヤニヤと自分を見下ろしている。
彼らは自分をこのような状態にした張本人たちだった。
なんとか立ち上がろうと足を動かすが、そのたびに足払いをくらい再び床を舐めさせられてしまう。
「いいザマだなぁ、オイ」
「長かったぜ…この時をどれほどの時間待ったことか」
「あ、貴方達! 一体これはなんのつもり!?」
気丈に一喝する女に構わず、男二人は相変わらずニヤニヤと彼女を見下ろした。
男たちは黒を基調とした全身タイツのようなスーツを身につけている。
目元から下にスカーフのようなものを巻き、素顔を隠しているがその上から覗く目はギラギラと欲望に溢れていた。
「怪盗パープルローズもこうなっちゃあただの女だなぁ?」
男の一人が嘲るように口を開く。
目線はぐっと悔しげに唇をかむ女――怪盗パープルローズへと向けられていた。
ディープパープルのチャイナ服タイプの衣装に包まれている魅力的な肢体。
深いスリットから覗く生足はすらりと伸びていながらも肉付きよくその存在を主張している。
大きく膨らんだ胸元はダイヤ型に大胆なカットをされ、双乳の間に深い谷間を見せ付ける。
少女から大人に羽化しようとしている整った顔は目を覆う蝶型の仮面に包まれ、素顔を見せない。
そう、彼女こそが世間を騒がせる女怪盗パープルローズだった。
「こんなことをして…ただですむと思っているんですの!?」
「思ってるからしてるんじゃねえか」
「大体、いつまでも俺たちがお前の言いなりになってると思うほうがおかしいんだよ」
美女の鋭い眼光にも全くひるまない男二人の名は黒須惨太と東名戒。
海東学園でも有名な不良二人組である。
彼らと怪盗が出会ったのは三ヶ月前だった。
違法の薬の売人をしていた二人の前に彼女は現れ、このことを警察にバラされたくなければ自分に協力しろと脅してきたのだ。
当然、二人は女怪盗の言いなりになるしかない。
それからというもの、彼らはパープルローズの使い走りとして散々にこき使われてきた。
彼女が華やかに活躍する裏では、彼らの血のにじむような裏作業があった。
だが、名声を得るのは彼女一人で二人には報酬は何もない。
今までしてきたことを思えばそれは当然のことなのだが、彼らは不満だった。
いつかこの女怪盗に目にもの見せてやる。
その一念で彼らは彼女の仕事を手伝い続けてきたのだ。
そして今、その忍耐は実を結んだ。
クリスマスにしか展示されないという幻の宝石『サイレントナイト』
それを盗むことに成功した女怪盗はついに隙を見せたのだ。
アジトの一つで祝杯をあげようという普段ならば乗るはずのない提案に賛成した女怪盗はその時点で二人の手に落ちたも同然だった。
大仕事の後で気の緩んでいる女一人に手錠をかけるなど惨太と戒にはたやすいことだったのだから。
「今までの分、たっぷりおかえしさせてもらうぜぇ?」
べろり、と舌なめずりする二人は自分たちの絶対有利を確信しているのか、隙だらけだ。
チャンス――そう考え、動こうとした女怪盗の前に数枚の写真が突きつけられる。
「え――?」
パープルローズの動きが止まる。
写真に写っていたのは女性の着替え中の写真だった。
明らかに盗撮とわかるそれは、何枚にもわたって連続して撮られている。
「くく、よく写ってるだろ? なあ、白百合有希さん?」
「まさか我が海東学園の誇る生徒会長様がパープルローズの正体だったとは、ねえ?」
仮面の下の瞳を見開き、パープルローズ――白百合有希はあまりのショックに声も出せない。
そこに写っているのは怪盗衣装を脱ぎ、下着姿を惜しげもなく見せ、そして素顔を晒している自分の姿だったのだから。
「仕事の間は気を配っていたようだが、その後がよくなかったな?」
「素人の尾行にも気がつかないようじゃあ怪盗失格だぜ?」
「そ、そんな…っ」
ガクガクと震える女怪盗。
先程のまでの強気な姿が消え、一転して動揺の表情を見せる。
「さて、俺たちの言いたいことはわかるな?」
「これをバラまかれたくなかったら、大人しくしていてもらおうか?」
「くぅっ…ひ、卑怯なっ!」
「オイオイ、脅して俺たちを扱き使ってきたアンタが言っていい台詞じゃないぜ?」
「そうそう、あんまり反抗的だとこの写真を学校の掲示板に貼っちゃうよ〜?」
ヒラヒラと目の前で揺らされる写真に女怪盗は口を閉じるしかない。
だが、それを肯定の返事だと受け取った男たちは一気に床に転がる女へと襲い掛かり、身体を拘束していく。
「抵抗するなよ? まああんまりマグロでも困るから、喘ぐのは自由だけどな!」
「まずはこのおっぱいを見せてもらおうか。はじめて見た時からひん剥いてやりたいと思ってたんだ!」
「い、イヤ……ッ!」
ビビィッ!
ダイヤ型に開かれていた胸元が縦長に引き裂かれていく。
ぽろりと零れ落ちるように姿を見せた双丘はCカップといったところか。
大きすぎず、小さすぎずといった感じだ。
「おや? 乳首勃起してきてないか?」
「え、マジで? まだ触ってもないのに、とんだ淫乱女だな!」
(な……!?)
男たちの言葉に慌てて胸元に目を向ける仮面の少女。
確かに、ピンク色の乳首が通常よりも大きく膨らみ、その身を起こしかけているのがわかる。
だが、囚われの怪盗には混乱する暇さえ与えられない。
我慢できないとばかりに惨太が胸にむしゃぶりついてきたのだ。
「あ……っ、う! はぁ!」
「おお、どんどんデカくなってきたぞ。まだ舐め始めたばかりなのに敏感な乳首だなぁオイ」
「そ、そんな……うぁ!?」
むくむくと育っていく自分の乳首を呆然と見つめる女怪盗。
胸の頂点から伝わってくる刺激に我知らずぴくんぴくんと身体が反応してしまう。
(こんなの…おかしい…っ)
あまりに過敏な身体の反応に訝しがるパープルローズ。
彼女とて年頃の女性なのだから自分を慰めたことはある。
だが、ここまでの刺激は体験したことがなかった。
愛する男性がやっているならともかく、胸を責めているのは汚らわしい不良だ。
ありえない刺激の連続に女怪盗は動揺するしかない。
「くくく、どうした? 身体が感じすぎちまうか? まあそうだろうなぁ」
「どういう…ま、まさか……!?」
「そうさ、さっきの祝杯に混ぜておいたのは特性の媚薬だ。ま、安心しな。別に身体に害はないし中毒性もない」
「ただし、効果期間中は処女でも濡れ濡れでヒイヒイ喘ぐことになるけどな」
「なんて、ハァ…ことを……んっ!」
完全に勃起してしまった乳首を舌で弾かれ、美貌の怪盗はおとがいを跳ね上げてしまう。
薬が体中に回ってきたのか、頬が赤らみ、発汗が始まっていく。
熱が脳に達し、思考がぼうっとし始める。
「さて、そろそろこっちはびしょびしょか?」
「あ…そこは…お、おやめなさいっ」
下半身に手を伸ばされ、ハッと気を取り戻す女怪盗だったが、快感に支配され始めた身体では碌な抵抗もできない。
あっという間に長いスカートが捲くられ。横にはだけられてしまう。
夜を駆ける白い足が、その上に息づく乙女の秘密が男二人の目に晒される。
「ひゅう! 下は紐パンかよ! 衣装の大胆さといい、お前実は見せたがりなんじゃないか?」
「ははは、そりゃいい! 刺々しい薔薇の生徒会長こと白百合有希の正体は淫乱だったってか!」
「いやいや、それよりも夜の高貴な淑女パープルローズがこんなんだったってことのほうが問題だぜ」
「いやっ…そんなこと、言わないで…!」
怪盗パープルローズと白百合有希。
表の裏の二つの姿の両方を揶揄してくる二人に仮面の怪盗は怒りを隠せない。
しかし、それと同時に言葉によって嬲られた身体が疼いてしまうのも止められない。
ああ、これではまるでマゾのようではないか。
苦悩する少女を他所に、戒は正面に座ると両手を左右の紐の結び目に伸ばし、一気に引き抜いていく。
腰から消えていく布の感触にパープルローズは狼狽するが、身体は後ろからガッシリと惨太に押さえつけられていて動かせない。
あっという間に紐はほどかれ、少女の大事な部分を隠していた布地が剥がれていく。
そして露わになる女怪盗の足の付け根。
「け、汚らわしい! 見るなっ!」
「おお、予想通りびしょぬれだな」
「それにしてもぬれすぎじゃね? こりゃ薬だけのせいじゃないな。この淫乱女が!」
「だ、誰が―――うああっ!?」
じゅぶっ!
少女が抗議するよりも先に戒の指が女穴の中に進入する。
不意打ちの刺激に女怪盗は裏返った声を上げてしまう。
だが、指が浅いところで抜き差しされ始めるとその声は段々甘くかすれたものへと変化していく。
「あう! ひぁ! やめ…あぅんっ」
「普段は生徒会長としてあんなにお堅いのに可愛い声だすじゃねーか!」
「全くだ。これがあのパープルローズだと知ったら皆幻滅するぜ?」
惨太と戒の二面の言葉責めにパープルローズの理性がぐらぐらと揺さぶられる。
これは薬のせいなのだといってしまえればいいと切に思う。
しかし、それは今まで積み上げてきた矜持が許さない。
薬という理由があっても、不良ごときに屈するなど有希の、パープルローズの誇りに関わるのだ。
「あんっ、ひんっ、うぐぅんっ…はうっ…」
だが、快楽に犯された身体はもはや制御不能だった。
抵抗する力は抜け落ち、手足はまるで動かずに男たちのされるがままだ。
惨太は相方ばかりが楽しんでいるのに辛抱できなくなったのか、僅かに少女の身体を抱えあげると股間に自身の勃起した性器をあてがう。
「おい、もう入れるのか?」
「辛抱たまらん! それに先に入れるのは俺だってジャンケンで決めただろ?」
「…まあ、仕方ないか。じゃあ俺は上をもらうぞ」
「う、上……むぐっ?」
なんのことだと問い詰めようとして開いたパープルローズの口に戒の性器が突きこまれる。
異物の侵入に思わず目を白黒させる女怪盗だったが、すぐに事態を理解するとそれを吐き出すべく口を引く。
だが、それよりも先に男は少女の頭を両手で固定し、吐き出しを拒否した。
「んん――! んぐっ、ん!」
「うお、やべっ、この女の口気持ちよすぎ…」
「よっしゃ、じゃあ俺も…!」
口を犯された女怪盗に、続け様に危機が襲い掛かる。
侵入口を探り当てた惨太がずぶずぶと自身の性器をパープルローズのそれに突き入れてきたのだ。
「あぐっ…!」
ぶつん、と何かが突き破られたかのような感触とともに女怪盗の股間から赤い液体が流れる。
だが、媚薬の力は痛みすらもすぐさま快感に代えてしまうらしく、苦痛の表情が次第に緩んでいく。
「初物ゲットー! やっぱ処女だ!」
「マジかよ? こんなスケベな衣装と身体で処女とかありえなくね?」
「この…んぐっ…ケダモノっ…うんぷっ…あぅんっ」
「ぷぷっ、そんなよがりまくった顔と声じゃ説得力がないぜ? ほら、お前の股間も気持ちいいっていってるぜ?」
(嘘…こんなのは嘘です…!)
じゅぶじゅぶと男の一物を美味しそうに飲み込んでは吐き出していく自分の股間を信じられないものを見るような目で見つめる。
だが、現実として男から与えられる刺激に女の本能が揺さぶられていく。
チカチカと思考が点滅を開始し始める。
「うっ…!」
「んっ…んんううっ!」
ドクッドククッ!
その時、下よりも先に上の口へと白濁液が発射された。
口から戒の性器が抜かれ、女怪盗の口内と顔、そして仮面に粘った精液が次々にへばりついていく。
「戒、お前早漏すぎ」
「う、うるせえ! この女の口がやばすぎるだけだって! …しかし、見事に汚れちまったなぁ」
相棒の突っ込みに気まずさを覚えながらも戒は自らの精液で汚した美貌を見つめる。
何が起こったのか理解しきれていない呆然とした表情に汚れの白が満遍なく張り付いていた。
警察が手も足も出ない女、学校では羨望の目を向けられている女を今自分が征服したのだという実感がこみ上げる。
「さって、汚れたことだし、これはもういらないよな?」
「え……あっ! 駄目、か、返しなさい!」
さっと男の手によって剥ぎ取られてしまった仮面に少女は手を伸ばす。
だが、拘束された状態では手が届かない。
むなしく宙を切る手が、一瞬後に膣内を突かれる快感でビクリと震える。
「生徒会長、白百合有希様のご登場か。仮面をつけた姿もいいが、やっぱ素顔のほうが美人だぜ?」
「い、いやっ…」
すでに正体がバレているにも関わらず、有希は顔を隠そうと手を動かす。
しかしその手は戒に掴まれ、万歳の形で持ち上げられ、固定されてしまう。
これによって囚われの生贄は、怪盗パープルローズからただの白百合有希へと戻ってしまった。
「ああんっ…ひぃっ…はぁんっ…!」
目に見えて少女の様子が変わる。
怪盗パープルローズとしてだからこそなんとか精神だけは負けなかった。
それが仮面を外されたことにより、弱気という二文字が顔を覗かせてはじめてしまったのだ。
「オラオラどうした白百合。ナカがきゅんきゅん締まってきたぞ?」
「ち、がう…私は…怪盗…パープル……あはぁんっ」
「強情な奴。ま、どっちでもいいけどな。どっちみち今のお前はただの女だ。俺らのチ〇コで悦ぶだけのメス犬なんだよ!」
惨太に突かれるたびに有希の身体が上下に揺れ、あわせるように乳房が弾む。
戒はそれをタイミングよく口で捕らえると、ちゅうちゅうと吸い始める。
胸と股間という二大性感帯への同時刺激にもはや有希は意識を保つので精一杯だった。
「だっ、出すぞ! あの怪盗パープルローズのおま〇この中に、俺の精液を!」
「最高のアクメ顔、見せてくれよ。生徒会長さん!」
どくんっ!
膣内で肉棒が解放の歓喜に震え、溜めていた白い液体を遠慮なく吐き出していく。
それと同時に、パープルローズも、いや、白百合有希も限界を迎えた。
「あっあっあっ! あひぃぃぃぃっ!」
ビクン! ビクン! ビクン!
数度の痙攣を繰り返し、少女の身体が惨太の上で跳ねる。
絶頂を迎えた淫らな女に、無遠慮な二つの視線が降り注ぐ。
「くくく、流石はパープルローズ! 俺の精液が盗まれちまった!」
「おいおい、誰が上手いこといえっていったよ」
「あふっ…はぁ…はぁ…はぁっ…」
有希は最後に一度大きく身体を揺らすと、くたりと脱力して背を惨太に預ける。
その表情は悦楽に染まり、身体は汗と女の匂いに包み込まれている。
だが、有希は朦朧とする意識の中で未だに燻る火種のような感覚を覚えていた。
恐るべきは媚薬の効果か、それとも開花した女の本能か――再び少女の膣がオスを求めて収縮を始める。
「うわっ、もうおねだりかよ? ったく淫乱な女だぜ」
「じゃあこんどは俺が挿れる番だな」
「ああ、まだまだ夜は長い。今日はクリスマス、聖夜は、いや性夜は始まったばかりだぜ?」
女の反応を喜び、二人の男が有希へとのしかかっていく。
薬の効果は未だ切れず、少女の身体はオスを求めるべく動き出す。
「今夜一晩でどこまで堕ちるかな?」
「さて、な。まあ今までの報酬、たっぷり払ってもらおうぜ……この身体で、なっ!」
ずぶり、と戒の肉棒が突きこまれていく。
有希は身体が求めるがままに声を上げ、腰を動かす。
身体の隅々にまでいきわたった媚薬は彼女の精神をも蝕みはじめていた。
いやいやと力なく左右に揺れる首だけが最後の抵抗だが、それも徐々に動きが小さくなっていく。
周囲に引きちぎられた朱の衣装がまるで薔薇の花びらのようでもあり、有希の状態を指し示しているのかのようだ。
怪盗パープルローズ……その薔薇は棘を抜かれ、ただ花を散らせるのみだった。