「ちょ、ちょっと待て。今、思いっきり潮噴いてイキやがったぜ?」
「ああ、これはエロすぎというか……あれ本当にアンバームーンだよな?」
「そりゃそうだろ。しかもコスチューム着たままってのがそそるよな」
「あああーッ、ダメだ。こんなの見せられたら俺、もう我慢できねぇよ」
「うわぁッ、お、お前こんなところで始めるなよ!!」

どよどよ……ざわ……ざわざわ……。
アンバームーンが絶頂を迎えるとともに静かになったステージとは裏腹に、
観客席ではもはや男達が臨界点に達しようとしていた。
無理もない、強気な銀髪の美女が調教を受け、ついには自ら卑猥な言葉を発して
痴態を晒す姿をただただ眼前で見せられているのだから。
しかも、目の前にいるのは単なる美女というだけの存在ではない。

警察の包囲網を華麗に突破し、悪人を懲らしめてきた義賊アンバームーン。
これまで大衆の味方として好意的に報道され、支持を集めてきた憧れの存在。
だが、同時にナイスバディの美女怪盗だとマスコミが報道するたびに、
彼女を義賊としてではなく性の対象として妄想する男達がいたのも事実である。
いや、潜在的な欲望としては男のほぼ全員が邪な目で見ていたのではないか。
手の届かない憧れの存在がコスチュームで覆われた秘部を晒す姿。
正義のヒロインが男の力に屈服し、性を求めて懇願する姿。
脳内で何度となく繰り広げた妄想が、今まさに現実のものとなっているのだ。

そんな男達がいつまでも大人しく見ていられるはずはない。
怪盗の柔肌を求めてステージに上がろうとしては取り押さえられる者。
観客席にいながらにしてズボンのチャックを下ろし擦り始める者。
家に帰ってからのお楽しみだと自分に言い聞かせ、ただ動画撮影に徹する者。
それぞれ表出する形は違えど、いつしか観客達の不満は噴出し始めていた。
一人一人は弱く、理性にしがみついていたい臆病な男。
だが箍を外され着火された性欲は周囲に連鎖していき、大きな爆弾となる。
爆弾は抑圧されるごとに大きく膨らみ、爆発するのも時間の問題と思われた。
その時。

「それでは観客席にいる警察官諸君。舞台に上がってきたまえ」

剛蔵の言葉に、観客席は一瞬にして水を打ったように静まり返った。
今までの流れを踏まえると、観客を舞台に上げるということが
意味するところは一つしか考えられないではないか。
これから待ち受ける展開への期待と、突然指名されたことへの戸惑いに
互いの顔を見合わせながらも、ぞろぞろとステージへと向かい始める警察官達。
がっしりとした体格を制服で包んだ彼らの数は、10人ほどであった。
周囲の観客からの羨望と嫉妬の視線を受けながら歩を進め、
間もなく全員がステージへと上り終わったとき、観客達の思いを
推し量ったかのように剛蔵の言葉が会場に響く。



「そんなに急かずとも、お主達にも機会は与えてやるわい」

これまで抑圧されてきた性欲に、指名された者への嫉妬というスパイスが
加えられた絶妙のタイミングだっただけに、その一言は会場を揺るがした。

おおおおおおオオオオオオオヲヲヲヲヲヲヲヲーーーーッ!!
何千人といる男達全員が地割れにも似た雄叫びを上げる。
そのあまりの声量と迫力に、ステージで気を失っていた女怪盗も目を覚ました。
次第にクリアになっていく視界に映ったのは警察官の姿。

「お、おまわりさん、助け…………ヒッ!?」

思わず助けを求めようとした女怪盗に、彼らの視線が突き刺さった。
それはいつもの住民を護ろうとする正義感に溢れた目ではなかった。
例えるならば獣。そう、牡の獣だ。
欲望を隠そうともしないギラギラしたその目に、女怪盗は身を竦めた。
だがどれだけ身を竦めたとして、逃げることも隠れることもできないことを、
晃の言葉が改めて教えることとなる。

「目が覚めましたか、アンバームーン。忘れてもらっては困るのですが、
 これは貴女の謝罪会見なのですよ? 貴女が最初に謝るべき相手は、
 これまで酷い目に遭わせてきた彼ら、警察ではありませんか?」
「…………うっ、くぅ……んんん……」

座り込んで打ちひしがれる女怪盗を、獣と化した警察官達が見下ろしている。
どうしていいのか分からず視線を上に動かしては俯くことを繰り返す女怪盗に、
観客達が痺れを切らしたのか、口々に野次を飛ばし始めた。

「あれだけ派手にイキやがったくせに、往生際が悪いぞ!!」
「さっき従うと言ったばかりじゃねえか! この嘘つきめ!!」
「そうだそうだ、嘘つきは泥棒の始まりなんだぞ!」
「……いやお前、あいつは泥棒というか……怪盗だからな」

若干ピントのずれた観客もいるようだが、観客席からの野次は
やがて一つの明確な意思となって女怪盗をさらに追い込んでいく。

「「「「「「謝れ! 謝れ! 謝れ! 謝れ!」」」」」」

場内に響く「謝れ」コールに、女怪盗はもはや希望はないことを思い知らされた。
その上、媚薬の効果は持続しており下半身から耐え難い体の疼きが彼女を苛む。
それらはただでさえ弱っていた女怪盗の心を完全に折るには十分だった。

「……あっ、んんんん……ごめ、んぅッなさい……ごめんな、さい……」
「そうそう、迷惑をかけた相手にはちゃんと謝らないとね。
 でも言葉だけじゃ本心から謝っているのか分からないですね」
「……え……? んくぅッ、はぁ……ど、どうしろと、いう……の?」
「簡単な話ですよ、その口で彼らを慰めてあげてくださいよ」



晃はそう言うと女怪盗の拘束を解き、警察官達への奉仕を促す。
その言葉を待っていたとばかりに、女怪盗を囲むようにして立っていた
彼らは、制服のズボンを下ろして自らの男根を外気に晒した。

「ほらッ、しっかり舐めろよ」

(んんんッ、へ、変な臭い……これを、舐めるの……んうぅッ!?)

「おむぅゥッ!? んむぅッんんん……おうっ、ほむぅぅぅーーッ!!」

その時、アンバームーンは目を大きく見開いてくぐもった絶叫をあげた。
鼻先に突きつけられた牡の臭いに顔をしかめるアンバームーンに
業を煮やした警察官が、彼女の口に男根を強引に突き入れたのだ。
彼女の意思とは裏腹に喉の奥まで抜き差しされる肉棒に、嗚咽しそうに
なるのをこらえ、苦痛から逃れようと涙目になりながら必死でもがく。
警察官は軽く舌打ちをすると、やっと肉棒を彼女の口から引き抜いた。

「んんんぅッ……げほっ、ごほっ……はぁ、はぁ……ひぃ……」
「ふん、苦しいか? 大人しくしゃぶらないからそういうことになるんだ。
 分かったら、俺達全員に一生懸命奉仕するんだな」

唾液がだらだらと床に垂れることも気に留めず、涙を流してむせ返る
女怪盗の頬を手で掴んで再び男根に顔を近づける。
観念したのか、今度は女怪盗自ら口を開いて男根を迎え入れた。
むっと立ち込める汗の臭いに混じる、確かな牡の臭い。
不快な臭いのはずなのに、嗅いでいるとなぜか頭がぼうっとしてきて、
媚薬により高められた性欲が彼女を一層責め続ける。

(だめ……もう、何も……考えられない……)

じゅぷぷぷっ、ちゅばっ、ちょぶっ、じゅるっ。
唾液を潤滑油にして唇が肉棒を咥え込み、口腔で摩擦を加える。
抜き挿しをするたびに鼻先に陰毛が当たることにも気を留めず、
女怪盗は銀髪をなびかせて一心不乱にしゃぶり続けた。

「しゃぶってばかりじゃダメだろ、この下手糞が!
 それに何人いると思ってるんだ、手も使うんだよ手も!!
まったく、本当は謝罪するつもりなんかないんじゃねえか?」

フェラチオをされている男の横にいた別の男が女怪盗の髪を掴み
一喝すると、その細い手首を掴んで自らの股間まで運んだ。

「あぅッ! くっ、うぅ……ごめんなさい、ごめんなさい……
 んちゅ……れろ……いぅッ……か、髪を引っ張らないで……」



すっかり従順な性奴隷と化したかつての女怪盗は、男の命令に頷くと、
一度男のモノを口から出し、竿に沿って舌を動かして裏筋や睾丸にまで舌を這わせる。
別の男の股間に運ばれた右手も命令通り動き出し、激しくしごき始めた。
肘まで彼女の手を覆う紺色の手袋が、シュッシュッと繊維が擦れる音を立てる。

「んぅぅ……おむぅ……んちゅる……ふあぁっ……ん、んくぅぅ」
「うわ、こいつ自分からアソコいじりはじめたぜ」
「ああ、男のモノしゃぶりながらオナニーかよ……とんだ女怪盗だな」

いつしか、女怪盗は空いた左手で自らの胸を、そして股間をまさぐり始めていた。
堪えかねる下半身からの疼きに負けた格好だったが、口と右手で奉仕しながらの
愛撫では火に油を注ぐ程度の刺激しか自らに与えることはできなかった。
それに、少しでも自らを慰める行為に集中しようものなら。

「おい、奉仕がおろそかになってるぜ!」
「俺達への謝罪よりオナニーを優先してんじゃねぇよ、痴女怪盗」
「痛ッ! はぁぅ……ち、違うの……んくっ、んあぁぁ……」
「違わねぇよ、この痴女怪盗が」

言葉では否定しているものの、左手は依然自らの股間から離れることがない。
男根を口いっぱいにしゃぶりながら、右手で性を搾り取るようにしごきながら、
ぐちゅぐじゅと音を立てながら自らの秘部をかき回すその姿はまさに、
警察官達が侮蔑のためにつけた痴女怪盗という呼称がぴったりだった。

「たまんねぇな……しょうがねぇから俺は勝手にしごかせてもらうぜ」
「じゃあ俺は……この髪を使わせてもらおうかな」
「それいいなぁ、俺も髪をもらおう」
「そ、そんな……髪でなんて……いやぁ……」

痴女怪盗の姿に欲情した警察官の一人がゴクリと生唾を飲み込んだのを
合図に、周囲を取り囲んでいた男達が彼女の髪に手を伸ばす。
サラリと極上のシルクを思わせるような銀色の髪を掬うと、
男達は肉棒にそれを巻きつけ、自らの手でしごきはじめた。
口、手、そして髪までもが男達の欲望の餌食にされた女怪盗は、
自らの体の全てが犯されていく感覚をおぼえ、くらりと目眩を起こした。
それは堕落への階段をまた一段昇ったことからくるものなのかもしれない。
体中で奉仕しながらとろんとした目で見上げる女怪盗の紅潮した顔。
そのあまりの淫靡さに、警察官達は一気に限界を迎えた。



「うぐっ、お、俺もう……」
「お、俺もだ……おい、ちゃんと飲めよ!!」
「おむっ、んちゅ……え、の……飲むって……?」

その身に投げかけられた言葉の意味が分からず困惑する女怪盗。
だが、次の瞬間訪れた衝撃に、彼女は目を大きく見開いた。
どぷっ!   「んむっ…!? んんんんんーーーーッ!!」
口に含んでいた肉棒がその欲望を大量に放出したのだ。

「おい、こぼすなよ! ちゃんと飲むんだ!!」
「んえぇ……あ、あい……んむっ……けほっ」

噎せながら必死で嚥下する女怪盗の髪に、顔に、コスチュームに、
周囲の男達の肉棒から容赦なく熱い白濁液が降り注ぐ。
びゅっ! びるっ! びゅるるるるッ!!

「あ、あうぅ……あ、熱い……んっあはぁぁ……」
(苦い……それにこのむせ返るような臭い……い、いや……
 でもなんで……なんでもっと欲、しいって、思ってしまうの……
 それに……体が熱く、て……我慢でき、ないぃ……)

白濁液に塗れながら、それでも欲情の炎にその身を焼かれ続ける
アンバームーンは、ステージ上で力なくしなだれた。
いや、むしろその白濁液のきつい牡の臭いが、ますます欲情の炎に
薪をくべた格好になり、勢いを増し続けているのだ。
女怪盗の奉仕姿を満足そうに見ていた晃は、射精し終わった警察官を
観客席へと追いやると、彼女の近くに拍手しながら近づいた。

「はぁッ……はぁ、はぁ……」
「謝罪、確かに見せてもらいましたよ、アンバームーン。
 でもね、他にも謝る相手がいるんじゃないですかね?」
「んっくぅ……だ、だれ……」

まだ奉仕しなければならないのか。それよりもこの疼きを慰めてほしい。
絶頂を欲して堪えられなくなっている女怪盗だったが、
晃の次の言葉にさっと表情を変えた。

「生徒さんですよ」
「ーーーッ!?」

残酷なその言葉が意味するところはつまり。

「この会場にも貴女のクラスの生徒さんをお招きしてあります。
 さて、そのマスクを外して正体のお披露目といきましょうか」
「い、いや……それだけは……許して……」
「ダメです、何でも言うことを聞くと言ったはずですよ」
「あっ、い、いやぁぁぁぁぁぁ……」

バッ。
嫌々をするように首を弱々しく振るアンバームーンの目を覆うマスクが、
晃の手によって強引に奪われて高々と掲げられた。
その瞬間、アンバームーンの体からまばゆい光が発せられ、
その光が収束した後には宝月香織の姿があった。
着ている衣装こそアンバームーンのものなのだが、長かった銀髪は
ボブカットの黒髪へと変わり、色っぽい表情は怯える童顔へと変わった。
変化したのは顔だけではない。
巨乳は萎んで小ぶりの胸になり、高かった背丈も縮んでいった。
それとともにこれまで密着していた衣装もぶかぶかと繊維を余らせている。
必死で顔を隠そうとするその両手を、後ろから剛蔵がすかさず
キャッチして強制的に万歳をさせる。


「ご覧ください、これが憎きアンバームーンの正体です!!」
「おい、なんというか……ずいぶん小っちゃい女だな……」
「ああ、幼児体型だが……でも可愛い顔立ちをしてるぜ」

観客のほとんどは、セクシーな女怪盗の正体が意外にも
幼い容姿をしていることに戸惑っているようだった。
その中にあって、彼らとは異なるリアクションをしている男達もいた。
そう、香織が教えていたクラスの生徒である。

「お、おいッ!! あれ、宝月先生……だよな?」
「嘘だろ……なんで宝月先生がアンバームーンなんだよ……」
「わかんねぇよ、わかんねぇけどさ……ということは、今まで
 エロいことをしてたのって、つまり宝月先生ってことだろ?」
「マジかよ……あんな子供みたいな顔して……」

反応はそれぞれで異なってはいるものの、俄かにざわついてきた
観客席に対して晃がしたり顔で説明を加えた。

「皆さんにこの女の正体についてお伝えしておきましょう。
 実はこの女、夜は怪盗として悪行を働いていながら、昼間は
 こともあろうに教師として前途ある若者に教鞭を振るっていたのです」

その言葉に、ざわめきが一層大きくなる観客席。

「静粛に、静粛に。これはもう、欺いてきた生徒さんに謝罪を
 してもらうしかないと思うのですが、いかがですか?」
「そうだ!! 生徒に謝罪するべきだ!!」
「まったく、とんでもない教師もいたもんだ!!」
「「「謝罪!! 謝罪!! 謝罪!!」」」

静めるようでその実観客を煽る晃の言葉に、彼らは拍手で応えた。
やがて、周囲の観客に促された生徒たち数名がステージへと歩を進める。

「あ……あ……いや……いやぁ……」

女怪盗、いや、香織は、青ざめた顔で震えていた。
次に命じられたことは、警察官達に行った謝罪とは意味合いが全く異なる。
これまで痴態を見せてきたといっても、それは女怪盗アンバームーンという
いわば虚構の存在としてであった。
それですら消えてしまいたいぐらいの恥辱を与えられていたというのに、
今や虚構の仮面は取り去られ、宝月香織という本体が明らかにされている。
その姿で、自分が教えてきた生徒に対して謝罪、つまり奉仕をせよというのだ。

「さて、先生。授業を始めてもらいましょうか」
「い、いや……もう許して……」

自らに科せられたあまりの仕打ちに、香織は拒絶の意思を伝える。
だが、最初から逃げる術などない。
ステージ上で生徒数名に囲まれ見下げられた香織は、俯くことしかできずにいた。