「んぁ・・・?」
目覚めると見知らぬ風景が目に映る
ぼんやりと霞んだ視界に移るのは傍目にも立派な檜板の天井
自分がどこにいるのか分からなくて布団から半分体を起こしたまま
花音はぽうっとした目であたりを見まわす、しかれている布団も茶屋の
使用人部屋で使っていた煎餅布団ではなく錦の刺繍もあざやかな布団だった
そして隣で寝息を立てながら眠っているのは・・
ようやく状況が飲みこめた花音の頬が真っ赤になる、自分が襦袢一つ身に
付けていない事に気付いたからだ、それと同時に昨夜の自分の痴態を思いだし
花音は益々紅くなって小さい悲鳴と共に布団に顔を埋めた。
思い出すだけで穴があったら入りたい気持ちだった、あられもない嬌声をあげ
とても人とは思えないような淫らな交わりを・・・
「クシュン!」
となりで大きなくしゃみが聞こえ花音は自分が布団を取ってしまったことに気付いた
「だ・・だんな様、すまねっ」
慌てて布団をかけようとするがその人物ー龍斗は起きあがるとそれを遮って大きな欠伸を
する、
「おはよう、花音」
あっという間に花音は龍斗の腕の中に抱きとめられていた
まだまっ赤になっていた花音はそっと龍斗の胸に頬を寄せながら呟く
「おはようだよ・・だんな様」
ここは江戸から離れた天下の軒、箱根の湯治場である、どうして二人がこんなところに
居るのかと言うと・・
ーーこれより三日前ーー
「け・・結婚するだあ?!?」
蕎麦屋でいつもの如く夕餉を取っていた京吾は龍斗からそれを聞いた瞬間に箸を碗の中へ
取り落としてしまった
大事な話があるからと龍斗から聞かされ、何事かと思えば突然の婚約発表だ
「でーーもちろんーーあーと、お花チャンとだよな」
それでも驚いたのかいつもの京吾らしからぬ間の抜けた受け答えである
「いよっ、やるじゃねえかひーちゃん、それにしても驚いたよなぁ」
親父に蕎麦湯のお代わりを注文しながらしみじみと言う
「でもよ・・藍や小鈴には・・」
危惧した通りになってしまったのである、、藍と小鈴と・・どう言うわけか真那も交えて
泣くわ叫ぶわ術で当り散らすはで周り中に大迷惑を引き起こした
あまりの事に見かねた時諏訪がほとぼりが冷めるまで二人を知人の宿へ湯治に追いやった
ーーというわけである
さすが時諏訪が手を回しただけあってここの湯治場には十分に二人だけでゆっくりできる
環境だった、茶屋に奉公に出されて以来休む間も無かった花音も最初は戸惑っていたが
徐々にゆっくり静養する事を覚えていた
「・・?どうした?花音、なんだか嬉しそうな顔して」
朝餉を住ませた後、龍斗が下からそう聞いてくる
花音は龍斗に膝枕をしたまま、木漏れ日の当たる縁側に座っていた
「えへへ・・だんな様・・」
そのままそっと顔を下ろし龍斗の頭を抱え込むようにして口付けする
「んむっ・・・は・・ぁ」
不意打ちのつもりが龍斗に舌をさしこまれて逆に思う存分弄ばれてしまう
そのまま快感に恍惚としている花音を龍斗は起きあがって軽々と抱き上げる
「??だんな様?、どこ行くだ?」
花音を抱きかかえたまま部屋を出ようとする龍斗に不思議そうに問いかける
「朝風呂ってのも結構いいもんさ」
そのまま廊下を突っ切って宿のはずれに在る外風呂への入り口を空ける
花音は慌てた
「だ、だんな様!だめだぁ,人がいたら・・その・・」
後は恥ずかしくて口に出せない
龍斗はそんな花音を見て笑うと入り口の札をひっくり返して「準備」にしてしまった。
「あ・・見ねえでくろ・・」
脱衣場で浴衣を脱いでいた花音は龍斗の視線に気付いて慌てて前を隠す
昨夜は暗闇の中で肢体を存分に晒す事ができたが、まだ明るい時分に裸を見つめられるのは
恥じらいがあった。
まだ恥ずかしがっている花音を押す様にして湯殿への引き戸をあける
「わ・・」
そこは見事な景色だった、朝の靄の中で葉桜が湯にきれいな影を落としている
湯に浸かって一息ついて居ると、ぽーっと桜の残り花を眺めている花音を見て、龍斗の悪戯心
が湧き上がって来た。
背後からそっと花音に忍び寄ると手を回して花音の乳房を掴み首筋を甘がみする
「ひゃう!」
素っ頓狂な声を挙げて花音が飛び跳ねる、それに構わず龍斗は乳に伸ばした手を止めようとしない
それどころかその動きは益々激しくなりそれに連れて花音の嬌声も高くなり、逃れ様ともがいて
いた手もだらりと弛緩している、龍斗が指で桜色の突起を捏ね回すと体がビクビクと痙攣した
「ひぁぁあ・・いい・・だんな様ぁぁ・・もっと・・してく・・ぁぁ」
快楽のあまり忘我となっている花音、一瞬このまま挿入してしまいたい衝動に駆られるが
龍斗は再び花音を抱え挙げると洗い場へ座らせる
まだのぼせ上がっている花音の前で龍斗は手拭に流涸れからもらった西洋の「しゃぼん」を
泡立てる、
「花音・・体洗ってあげるよ」
恥ずかしそうにこくんと頷く花音、龍斗は背中から次第に体の前面へとしゃぼんをつけて洗って行く
「あっ・・だめだぁ・・そこはいげね・・」
洗う手が秘所の上端に触れたとき花音が慌てて声を挙げる。
しかし龍斗はそれを聞こえないふりをして手を動かしつづけた。
たちまちしゃぼんの泡立つ音とも違う、淫靡な音が漏れ始める、背中から手を回している龍斗には
花音の表情は分からないが、花音はもはや快感のあまり、口を金魚の如く開閉するのが精一杯である
『ああ・・おらまたこんなやらしい事・・こげな・・こげな事・・』
もう我慢の限界だった、秘所は龍斗の物を求めて疼き続け止めることなく陰液を溢れさせている
「!」
花音は龍斗にむしゃぶりつく、龍斗が床に倒れこんだので花音が押し倒したような形になる
そのまま花音は龍斗を洗うように体を夢中で摺り付けた
「ひあん!」
花音の不意打ちにそそり立っていた龍斗の龍根が花音に突き刺さってしまう
慌てて抜こうとする龍斗を花音が押し止める
「だんなしゃまぁぁ・・このまんま・・もっと・・してくれろ」
そのまま花音は自ら腰を振って龍斗を締め上げる
「んににゃぁ・・・いやだぁ・・だんな様ぁぁ・・きもちぇぇ・・」
何時にも増して激しい花音の感じかたに龍斗はあっという間に限界を迎えてしまう
「くっ・・うわっ・・花音っ」
その暴発と同時に花音も花火の如く絶頂を迎え、龍斗の上へと倒れこんだ
その後
花音「だんなしゃま〜おら、のぼせてまっただあ〜
龍斗「俺もだよ・・」
おわり