雹は思わず唇を噛み締めて首を振る。自分が餓えている事実から目をそらすようにきつく目を瞑って
自分の欲求を否定しようとする。だが、それも長く続かなかった。自分の飢えも餓えも満たされぬ絶望
を感じてながら雹は肌着をたくしあげ、濡れた女陰に指を近づけた。
「…っあ」
想像以上に冷たい指が熱く潤んだ粘膜に触れる。その冷たさに身体がびくりと震え、長い黒髪が揺れ、
萎えたはずの足がぴくりと痙攣する。あまりの冷たさに、思わず目を開けた先にガンリュウの姿が映り、
雹は慌てて目をぎゅっと閉じた。
目を閉じ、指を動かすたびに快楽と堪えようのない羞恥が生まれて来る。陰水が指を滴り畳に染みを
作るたびそれは大きくなっていった。
「ぁ…あ、りゅ…う、龍さまぁ」
切ない声をあげて指を動かすが本当に欲しい快楽は手に入ることがない。この足が動けば、龍斗の
元に走っていけるのに、他の女のところへ行こうものならば、地獄の果てまで追いかけて必ず捕まえるのに。
動かない足を憎らしく思いながら雹は霞みがかる意識の中でただ指を動かし、切なげに龍斗の名を
呼ぶことしかできなかった。