「んっ……ふぅ……ん…んんっ……!」
大音量の音楽が流れる薄暗い小部屋の中で、雛乃は声を押し殺して身悶えていた。
ソファに手を付かされ、お尻を突き出し、長めのスカートは腰まで捲くれ、ショーツは膝まで下げられ、
上着は前面のボタンをすべて外され、ブラは床に捨て置かれ、小ぶりながらも形のよい乳房は先ほど
から休みなく揺らされている。
脳の髄まで痺れてしまう快楽に我を忘れてもっともっととおねだりしたくなるが、そんなはしたない姿を
見せるわけにはいかないと必死で我慢する。
腰を左右に揺らして自ら快楽を貪っていることには気付いていないらしい。
もちろん雛乃の腰をつかみ遠慮無く腰を打ちつけている龍麻にはすべてお見通しなので、面白そうに
笑いながら雛乃を見下ろしていた。
初めて訪れるカラオケボックス――しかも愛する人と共に――に雛乃はひそかにワクワクしていた。
薄暗い小部屋に2人きりということで、キスされたりするかもしれないとは考えていたが、まさかこんな
誰かに見られてもなんの言い訳もできない行為にまで及ぼうとは思いもしなかった。
その事が雛乃の性感をいつも以上に高めていた。
「くっ…! んっ! んんんっ……!」
行為が始まってから3度目の絶頂。
ガクンとソファに倒れこみそうになるが、龍麻がしっかりと腰をかかえているので二つ折りに持ち上げ
られているような感じになる。それでも動きを止めない龍麻。
そういえば、まだ1度も精を受けていないとボンヤリと思い出す。
不意に音楽がとまる。曲が終わったらしい。
それと同時に聞こえ出す肉と肉のぶつかる音。結合部からはピチャピチャという音。
「あっ……イヤ……ダメ…ん…ダメ…です……!」
自分達が行っている行為を改めて突き付けられたような気がして急に恥ずかしくなる。
そんな雛乃に対して龍麻はマイクにスイッチをいれ、結合部に近づけた。
『ピチャッ ピチャッ クチャッ ピチャッ……』
「ダ、ダメですっ! イヤ……くっ…ん…」
スピーカーから流れ出した淫らな水音にいやいやをする雛乃。
龍麻は雛乃の耳元に顔を近づけて囁いた。
「雛乃は恥ずかしいと感じるんだな。今、膣がキュッと締まったよ」
「そ、そんな……」
「そういえば、注文した飲み物がまだ来てないな。そろそろ店員さんが持ってくるかもね」
「!!」
実際は注文などしていないのだが、その事に気付く余裕など今の雛乃にはなかった。
「お、お願いです……止めて……!」
「でも、俺まだイッてないしなあ。イッたら止めてあげるよ」
止めて欲しければ俺をイカせてごらん。龍麻はそう言っているのだ。
もっとも、『龍根』の《力》を持つ龍麻は射精も自由自在。ましてやいつも受け身で性技に疎い雛乃が龍麻を
イカせるなど不可能に近い。
龍麻は最初からこうやって雛乃をいぢめる予定だったようだ。
もちろん御門からもらった『符』を入り口にこっそりと貼ってあるので誰かが入ってくる心配もない。
時間はタップリある。龍麻はどういう風に雛乃をいぢめるか考えながらニヤリと笑うのだった。
3時間後、いろんな汁にまみれてソファの上でボンヤリと横たわる雛乃がいた。
その横では龍麻が身支度を整えながら今日の情事をニヤニヤしながら思い返していた。
卑猥な言葉をマイクを使って言わせたり、
ガラス張りの入り口のドアの前に立たせてオナニーさせたり、(無論『符』の力で廊下からは見えない)
バイブを突っ込んだまま歌わせたり、
『ピエールとカトリーヌ』の歌詞と同じ行動をさせたり。
「まあ、これも御門からもらった『符』があるから出来るんだけどな」
心の中でこっそりと友に感謝する龍麻。
だが、龍麻は失念していた。
御門が片手間に作った『符』の力は、ある程度の《力》を持つ者には効かない事を。
そして、龍麻は知らなかった。
某生徒会長と某弓道娘と某新聞部部長が偶然にも同じカラオケボックスに来ていて、龍麻達の部屋の前を
通りかかって、偶然ドアのガラス越しに龍麻の姿を見かけて中に入ろうとドアに手をかけた事を。