登場人物
屍 兇志郎(かばね きょうしろう)・・・主人公。宝探し屋。
椎名 リカ・・・爆弾魔なゴスロリ。
時期・・・エンディング後想定。
注意事項・・・あんましエロくないかも。
「ふぅ」
ため息ひとつ。この三ヶ月で収集したインテリア品をようやく梱包した。
パソコンのデータをディスクにコピーし万一に備える。
本体は業者に任せよう。それも仕事のうちだ。ついでに掃除もしておこう。
この学園を去ることになったのは一昨日のこと。ロゼッタ協会からのメールが
届いたのだ。担任のヒナ嬢(雛川先生)にそれを伝えたのが昨日。
今日は荷物をまとめることに専念した。仲間たちにはまだ伝えていない。
皆守にもヤッチーにも。そしてあの子にも・・・・
さっきとは違う意味でため息がでる。伝えるのを先延ばしした所で、決定事項なのだ。
本来自分は高校生ですらない。宝探し屋なのだ。世界を又にかけ、古代遺跡を荒らし――
もとい、探索し、時の彼方に埋もれた《秘宝》を独占――もとい解放する存在なのだ。
この学園に愛着があるのは間違いない。そこで出逢った人たちにもそれぞれに愛着がある。
だが、ここに留まることはできない。それは、次の冒険が待っているからだ。
例え好きな子ができたとしても、冒険を捨てることはできない。
「すげぇ未練がましいな、俺って」
屍兇志郎は自嘲気味に笑った。一昨日からぼやいたりそわそわしたり、ずっとこんなこと
を繰り返している。その時、控えめなノックが聞こえた。時刻は午後7時を回っていた。
誰だろうか。
「開いてるよ」
ドアが開く。兇志郎の呼吸が止まる。心臓が凍りつく。
「こんばんわ、兇サマ」
幼い声。ウェーブのかかった長い髪。中学生並みの身長。西洋人形を思わせる
メイクをした顔。自分の想い人である彼女は、椎名リカという名である。
「リ、リカ、どどどどうしたんだこんな時間に」
滑稽なほど狼狽しているのが自分でもわかる。リカは笑った。実に不吉であった。
《黒い砂》に取り付かれている時より不気味だった。
「そんなに慌ててどうかなさいました?」
「いや、別に。それよりどうした?」
「それはどう考えても私の台詞だと思いますけど」
「は? なんのこと・・・」
「この学園から去るって本当ですの?」
いぃーーーーーとか叫びたくなった。
「なんでそれを」
口から出たのは平坦な声。動揺は一瞬で去っていた。この数ヶ月の探索で身に着けた胆力の
成果だろうか。リカの声音は冷たかった。
「ヒナ先生からメールが来ましたの。他の方にも届いてましてよ」
「・・・さいですか」
気丈だが、同時に繊細なヒナ嬢の顔を思い出す。先生というよりは先輩のような
気分で接していたのを思い出す。彼女も友人のように接してもらうのを喜んでいた
節がある。だからこそ、苦楽を共にした仲間たちに知らせずにはいられなかったのだろう。
彼女を責める気にはなれなかった。いずれは言わねばならないことなのだ。
リカに椅子を勧め、自分はベッドに座り向かい合う。
「本当、なんですね」
「ああ、本当だ」
「どうしてですの」
「俺がトレジャーハンターだからだよ」
「リカのことは無視ですか・・・」
「そういう訳じゃない」
「同じことです!」
「リカ・・・」
「そんな大事なこと勝手に決めて、リカにはなにも言わないで。リカは貴方に
とってその程度の存在なんですの!」
「違う」
それだけは断言できる。
「リカ、俺は君を愛している」
それだけは断言したい。
「兇サマ・・・」
リカは息を飲む。目が潤んでゆくのがわかる。クリスマスイブに、礼拝堂で告白した
ときと同じだった。ただ違うのは、これはお別れの儀式だということだ。
「俺がこの学校で手に入れた最大の《秘宝》は君なんだ」
――けれど、行かなければならない。そうしなければならない。そうしないと自分が
自分でなくなってしまうから――
「身勝手な言い草だよな。けど、俺は・・・」
「わかってます、リカもそう思いますから」
照明はライトスタンドだけ。
メイクを落とした彼女を抱きしめる。
――できるだけ痛くないように
――できるだけ想いが伝わるように
「ん、兇サマぁ・・・」
うっとりと呟く唇に己の唇を重ねる。桜色の唇。血色のいい頬。
――リカは、ようやく人形から人間になれました――
丁寧に服を脱がせる。メリハリに乏しい身体に色気はないが、生々しさもない。
さながら妖精を抱いているかのような錯覚に陥る。
そのきめ細かな肌に、優しく口づけする。
最後に女を抱いたのは何時だっただろうか? そんなことを考える。少なくともこの
学校に来てからは一度もしていない。そもそも相手がいなかった。
久しぶりなので感覚を忘れているかも知れない。
優しくしよう。それだけを心掛けて後は忘れることにする。
「愛してるよ」
口先が形造る言葉を耳元で囁く。耳にかかる吐息に反応して身体が跳ねる。
その抵抗を楽しみながら、ゆっくりと愛撫する。
「んぁ・・・あぁ、兇サマ、リカも・・・リカも貴方を愛してます」
途切れ途切れに呟く少女が愛しい。指先で肌を撫でる。唇で肌を啄ばむ。
舌先で濡らす。唇。頬。首筋。指先。胸。腹。太股。爪先。
どこもかしこも愛撫して、己の痕跡を残すように。
やがて愛撫は秘所に到達する。彼女の聖域は既に濡れていた。愛する男性を受け入れる
ために。女神の丘は無毛でこそないが、薄かった。なんとはなしに想像通りだったので
苦笑する。
――どうかなさいまして?
――どうもしてませんのことよ?
混ぜ返してみる。
――なにか侮蔑されている気が・・・
――被害妄想だよそれは
それにしても、彼女はイイトコのお嬢さんなのだろうか?育ちはいい方だと物腰から
判断していたのだが。
「あっ・・・」
柔らかな脚を折り曲げ、秘所を舐める。
ビクン、大げさなほどに仰け反る。無慈悲に続ける。気遣いが薄れ掛けていた。
「んぁ、はぅ、くぅん・・・!」
はぁはぁ息を荒げる。淫らな水音が響く。
「兇サマっ!リカはもう・・・!」
「ああ、俺もそろそろお前が欲しい」
とっくに猛り狂っていた逸物をジッパーから解放し、本来の役割を果たすべく
少女の秘所にあてる。
「熱い、兇サマの、すごく熱い」
「リカを欲しがってるんだよ」
「はい。リカの・・・私の初めてを、貰ってくださいませ」
――旅立つ前に、リカの初めてを貰ってくださいませ――
彼女は行為の前にそう言ったのだ。
だから抱いた。本当はそうしたいと思っていたが、言い出せなかった。
余りにも身勝手すぎると思ったから。
一気に肉の凶器を秘裂へと捩じりこむ。
「・・・・!!」
濡れているとはいえ、初めて受け入れるそれは痛かっただろう。だが、止めると逆に
痛みが長引く。だからこそ止まらない。
ブチブチと薄い膜を突破し、最奥を目指す。そして・・・
「リカ、入ったよ」
ゆっくりと息を整えるリカを抱きしめた。
彼女の中はきつくて温かくて、そして愛液と破瓜の血で濡れていた。
「あぅ、兇サマのがリカの中で、あ、熱いですぅ・・・」
目の端に滲んだ涙を唇で吸い取る。微かに肉棒に対する緊迫が緩んだ気がした。
呼吸を整えるリカの長い髪を梳く。さらさらとした感触が官能を増幅させる。
「ああ、痛くしてゴメン」
「いいえ、痛いけど、嬉しかったですから許して差し上げます」
「ん、ありがとう」
もう一度唇を重ねる。舌先を唇の中に滑り込ませる。今度は大人のキスにしてみようと思った。
リカは驚いた様だが、すぐに受け入れてくれた。口を開き、遠慮がちに舌を伸ばしてくる。
ざらざらと舌を絡めあい、快感を呼び起こす。
「ふっ、んむぅ、ふはぁ・・・リカ、こんなの知りませんでした」
口付けの合間にリカは呟いた。兇志郎は微笑する。
「その割には積極的だったな」
「気、気のせいです! 錯覚です邪推ですむしろ妄想です!」
いつになく早口で捲くし立てる少女が可愛いと思った。
「動くよ」
宣言し、ゆっくりと円を描くように腰を動かす。
「あぅ、ふっ、うん、いっ・・・」
動きに合わせるように、リカが低く呻く。四肢を兇志郎の身体に絡ませ、必死にしがみつい
ている。なんとなく、中学生を強姦している気分になった。
一線を越えておいて何を今更、と理性がツッコミをいれる。
「んは、んん、リカ、リカの中、いいですか? リカ、ちゃんと出来てますか?」
「ああ、リカの中、温かくて気持ちいいよ」
健気な問いに答えながら、
――やはりブランクがありすぎたようだ、良すぎる――
胸中で呟いていた。ぶっちゃけ、もう余裕がない。そう、禁欲生活長かった
せいだ。決して○漏なわけではない。一度出すか。一度出して
――いや、初体験の女に二回戦挑むのはさすがに・・・
――大体避妊とかしてないやん俺
――でもゴムとか売店で売ってなかったしあっても買えるかボケ!
――ああでも、ホント気持ちいい・・・
下腹部で凶暴な何かが脈動していた。とにかく猶予がない。
気づけば、リカの声に甘いものが混じり始めていた。
「リカ、俺、ごめん、出す」
「は、はい、リカの中で、いってくださいませ・・・!」
少女の締め付けはよりきつく、そして四肢は絡んで離れない。
「いいの、か?」
罪悪感がある。そして妊娠というリスクがある。一時の快楽と引き換えにするには
高い代償だ。お互いにとって。
「兇サマの、リカにくださいですぅ」
――リカにとって、貴方がくれた物こそが、宝物なのですから
熱いものが沸騰し、そして少女の胎内に注がれた。
この世界の何処かに、きっと兇サマのことを必要としていらっしゃる人たちが
いると思うんですの。この学園の呪いに囚われていたリカたちのように。
だから行ってあげてください。そして解き放ってあげてくださいませ。
リカは待ってますの。だから何年掛かってもいいから、戻ってきてくださいです。
リカは祈ってますの。貴方の無事を。貴方がリカの前に戻ってくれるまで。
リカは大丈夫ですの。その時まできっと立派に前を向いて進みますの。
貴方がいつもそうしていた様に。
「リカ」
屍兇志郎は己に対し誓う。きっと戻ってみせると。何年掛かってもいいと彼女は言って
くれたのだ。それに応えないで男を名乗れない。彼女と再び合間見える時まで生きてみせる。
だからとりあえず、眼前の男を倒そう。冒険はまだ終わっていない。
此処は中国の深山であった。実際に仙人とかが住んでそうな山の中、彼と彼は
出逢った。邂逅の結末は殺し合いである。
男が拳から、金色の焔を纏った鳥を放つ。
兇志郎はそれを散弾で撃墜しながら直進する。
「おおおおお!!」
獅子吼をあげ、宝探し屋は破魔の利剣を振り下ろした。
終幕?