「ねえ、くーちゃん、あたしも抱っこして」
八千穂明日香がこう言った時九龍は間抜けにも返事が出来なかった。
ようやく出た言葉が
「えと・・・なんで?」
だった。
普通、女の子の口からこんな事言われて喜ばない男はいない。
しかし、九龍がこんな反応してしまったのも無理はない。
場所は腕の埠頭という、色気のカケラもない所で
言い出したのは運動神経の塊のような女子である。
今でこそ九龍の方が運動能力に優っているとはいえ
この遺跡に潜り始めた頃などは逆に八千穂にサポートして貰ってジャンプしていたぐらいだ。
「だってずっこくない?
椎名さんやヒナせんせや月魅や奈々子ちゃんや白岐さんや双樹さんの時は
いつもお姫様抱っこしてあげてるじゃん。
あたしだけだよ、ここ跳ぶ時一人で跳んでるの」
「だって、みんなは跳べないけどやっちーは跳べるし・・・
ルイ先生も抱っこしないよ、跳べるから」
九龍がそう言うと八千穂はぷーっとほほとふくらました。
「どうしたのさ、急にそんな事言い出だして」
「・・・だって、あたしだけ女の子扱いしてなくない?」
(夜の遺跡で二人きりって状況で女の子扱いしてなんて誘ってるのかなぁ?)
一瞬、九龍の脳裏に邪な考えが浮かぶがすぐに打ち消した。
この娘が何も考えずに発言する事は特に珍しくも無い。
いや、考えて発言する事の方が珍しい。
「そんな事ないよ。
考えすぎ。
そんな言うなら抱っこしてもいいけど・・・いいの?」
「ほんと!?やったぁ!」
飛び跳ねて喜ぶ八千穂に九龍は少し混乱していた。
普通女の子の方が嫌がるんじゃないだろうか。
跳んでいく為だと説明しても月魅や白岐などは露骨に眉をひそめた。
その上、今日の八千穂は体操服にブルマという格好である。
(もしかして、やっちー僕の事好きとか?)
再び浮かんできた都合のいい考えを振り払う。
八千穂の事だ、おそらく漫画でも見て抱っこして欲しくなったとかその程度の事だろう。
「はやくはやく、ほら」
「う、うん」
八千穂の声で思考を中断させられると九龍は慌てて
笑顔で直立している八千穂の真横に立った。
「じゃあ、やるよ」
「うん!」
八千穂の背中にそっと右腕をあてがうと身体をひねってお尻の下に左腕もあてがう。
八千穂の生脚の感触に鼓動を早めながら九龍は左腕に力を入れて一気に抱き上げた。
小さくて華奢で熱くて八千穂は抱きやすくって意外に重かった。
「うわぁ〜!すごいすごい!」
よほど嬉しいのか八千穂はキョロキョロと顔をまわし変化した風景を確認している。
「ちょっ・・あんま暴れないで」
「あっ、ごめーん」
素直に謝ると八千穂は腕を九龍に伸ばし、かけて視線を合わせた。
「く、首に捕まるんだよね」
「う、うん、その方がいいかな」
互いの頬を朱に染めると八千穂の両腕が九龍の首を捕らえた。
自然、互いの顔も近づき妙な沈黙が二人を包んだ。
「・・・じゃ、じゃあ、向こうまで跳ぶ?」
「あ、うん」
ゆっくりと床のへりまで来ると九龍は自分の手がじっとりと汗をかいている事に気付いた。
八千穂の身体は妙に熱い。
そしてそれと同じぐらい、いやそれ以上に自分の身体も熱くなっている事にも気付く。
いかに凄腕ハンターといえども冷静になれない状況だってあるのだ。
「じゃ、跳ぶよ。
舌噛まないようにね」
「あっ・・・」
八千穂を抱いたまま九龍は床から床へ、床から巨大な腕の上へと飛び乗った。
いや、乗ろうとした。
慣れた場所、慣れた動作、簡単なもののはずだったのだ。
一つ目の要因は八千穂の声。
一つ目のジャンプの着地の時「んっ!」と漏らした声は大きく色っぽく九龍を惑わせた。
二つ目の要因は八千穂の太もも。
八千穂の素肌はぷにぷにと固く触れている手の平を吸い付けるように柔く
九龍の神経と集中力を集めてしまっていた。
三つ目の要因は八千穂の香り。
妙に甘い、熱くふわふわした匂いに九龍の冷静さは失われていた。
そして何よりも最大の要因は九龍が八千穂に特別な感情を抱いていた事。
八千穂の頼みを断りきれなかった時点ですでにこうなる事は決まっていたのかもしれない。
九龍は一度目のジャンプの着地後すぐに跳ぼうとして脚を滑らせ
八千穂を抱いたまま何も無い空間へとジャンプした。
暗闇へと落ちていく中、九龍は八千穂の頭を自分の胸に押し付け抱きしめていた。
不運は重なるもの。
こんな高さから落ちてもこの二人ならばどうと言う事は無い。
普通の状態ならば。
八千穂は九龍に抱えられて動けず
九龍は八千穂だけを守ろうとして他の何も考えていなかった。
結果、二人の体重と石の床に挟まれた九龍の左腕がその責を受けた。
「ほら、大丈夫だって。
もう泣かないでやっちー」
狭い通路の中、九龍は背中を壁に預けまだ八千穂を抱えていた。
自分の腿の上に座り泣いている八千穂の頭を右手でそっと撫でる。
「うっ・・ぅぅ・・・っ・・」
「骨折くらいどうって事無いよ、歩いてりゃ治るんだから」
無茶な事言う九龍であったが別に嘘ではない。
「・・・ほんと?」
「本当だよ。
僕が嘘吐いた事あった?」
彼の顧客が聞いたら怒りそうな台詞を横領魔は平気でのたまった。
「それよりやっちーが無事で良かった。
ね、もう泣き止んで」
ぐすぐすと顔にあふれた体液を擦り八千穂は何とか顔から手を離した。
「ごめんね・・・あたしが変な事言ったせいで・・・」
涙の跡も痛々しい顔が更に暗くなる。
「違うよ、僕のせいだ。
僕が間抜けだったせいだよ」
九龍の言い分に八千穂は小さく首を振る。
「あたしが我がまま言ったせいだもん・・・」
「違うって!
・・・・僕が浮かれてたから脚を滑らせたんだ」
八千穂の落ち込む顔をどうにか変える為に咄嗟に出た言葉に九龍は既に後悔していた。
「浮かれてって・・・?」
「僕はやっちーが好きなんだ」
八千穂はぽかーんとした表情で見つめてくるだけで何も言わない。
「ごめん、こんな時に・・・
だから今回のは僕のせいなんだよ」
九龍は自分の不器用さに愛想を尽かしていた。
何故、気にするなの一言が告白になったのかと頭を抱えた。
惚れた女が目の前で泣いている状況で冷静でいるには九龍は若すぎた。
「あ、あたし・・・あたしも・・・・・・好き」
いつもの元気さのカケラも無いほど八千穂の声はかすれていた。
それでも九龍をはっとさせるには十分だった。
「だっ、大体くーちゃん鈍感すぎだよッ!
女の子が抱っこしてなんて、好きな人以外に言うとおもう?」
半ば自棄になって捲くし立てると八千穂はそっと視線を上げて九龍を覗き見た。
「やっちー・・・」
告白と同時に行き場を失っていた九龍の右手が頬に触れると八千穂は目を閉じた。
「ん・・・」
沈黙が訪れると九龍と八千穂の唇が触れ合った。
触れ合うだけの幼いキス。
「えへへ・・・」
唇を離すと八千穂は照れ笑いを浮べた。
それを見てようやく九龍は幸福を感じ始めた。
「んッ・・・」
すぐにまた唇を重ねる。
九龍の指が八千穂の耳の下を優しく掻き
八千穂の両手が九龍の顔を包む。
どちらからともなくせがみ二人は何度も何度もキスを繰り返した。
唇を貪る内に九龍の右腕は八千穂の背中を通って右肩を抱き
八千穂は九龍の伸ばした両足の上にまたがって座っていた。
唇と舌だけが激しく動き、身体はただ温もりを共有するだけでじっとしている。
「そろそろ行く?」
「うん・・・」
八千穂はもう一度九龍の唇を食むと名残惜しそうにのろのろと立ち上がった。
「つっ・・」
続いて九龍も立ち上がろうとするが、腕の痛みの思わず顔をしかめる。
「大丈夫・・・?
つかまって、くーちゃん」
八千穂と抱き合っていた時は不思議と痛まなかったのに
離れた途端、腕は熱を持って損傷した事を激しく主張してくる。
「はぁ・・・はぁ・・・」
八千穂の助けを借りて何とか立ち上がると九龍は壁に背を預けた。
「くーちゃん何か応急措置に使えそうなの無い?
包帯とか添え木になりそうなのとか」
「包帯はない・・・添え木は・・大腿骨が多分あったと思うけど・・・。
大丈夫だよ・・・魂の井戸までいけば・・・すぐ治る」
そうは言っても魂の井戸まではそれなりの距離がある。
「むー・・・」
八千穂は可愛い唸り声を上げると九龍の顔を見て顔を赤らめた。
そして無言で九龍のアサルトベストから大腿骨を探り出した。
「や、やっちー?」
「くーちゃん、・・・目をつぶって。
絶対目を開けちゃ駄目だよッ」
八千穂が何をするつもりなのか分からないまま九龍は言われた通り眼をつぶった。
視界が閉ざされるとすぐに衣擦れの音が聞こえ、腕に激痛が走る。
その痛みに耐えていると妙に暖かく柔らかい布が腕に巻かれる感触がする。
「絶対、ゼッタイ見ちゃダメだかんね」
八千穂の念を押す声にうなずくとプチっという小さな音が聞こえ腕が持ち上げられた。
「ぐっ・・」
「ちょっと我慢して・・・」
間近で聞こえる八千穂の甘い声が顔にかかる。
柔らかな手が首の後ろに回り、何かごそごそと動いている。
「できた!」
その声に九龍は恐る恐る目を開けた。
「あれ?やっちー?」
目の前にいると思った少女が見当たらず九龍は辺りを見回す。
「見ちゃダメッてば!」
九龍の目に映った八千穂の姿は
隠れるように壁に張り付き胸を手で隠していた。
「や、やっちーなんで裸なの?」
「あっち向いて!」
「あっ、ごめん!」
慌てて後ろを向くと九龍はようやく自分の腕に巻かれたものを見た。
腕には柔らかく白い布が巻かれ、それを淡いピンクのものが首へとつないで吊っている。
「あ、これ、体操服と・・・ぶ、ブラジャー・・・?」
「うん・・・。
他に何も無かったから・・・ね、もう行こ?」
「そ、そうだね」
八千穂の声にうながされ九龍は上に戻る為、坂を登り始めた。
その後ろを八千穂がついてくる。
その姿を見れないのは残念だったが九龍は幸せを感じていた。
ついさっきまで八千穂が着ていた体操服とブラジャーだと思うと腕があったかくて仕方無い。
もうこれだけで治ってしまうような思いがする。
坂を登りきり扉を開けると九龍達の事情も知らずいつも通りに化人が待ち構えていた。
無論、普段の九龍にとっては完全な雑魚で
向こうがこちらに攻撃する暇さえなく倒してしまえる相手である。
しかし、さすがに片腕が骨折した状態ではそうもいかない。
いつもの何倍もの時間をかけて最後の化人を始末した時
九龍は大きなため息を吐いて膝をついた。
「くーちゃん・・・!」
肩で息をする九龍に慌てて八千穂が駆け寄った。
「つかまって」
九龍の右手から銃をむしりとるとアサルトベストに押し込み八千穂は九龍の右腕を肩に担いだ。
「魂の井戸まで一緒に歩こ?」
上半身裸なのを忘れたのか八千穂は自分の肩を抱かせて心配そうな顔を見せる。
「ありがとう」
つるつるとした肩を支えに九龍は力を振り絞って立ち上がった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
八千穂を見下ろしながら息を整えると肩を抱く手をするっと滑らせ
八千穂の脇の下へと差し入れた。
「やっ!くーちゃんダメっ・・・」
不意打ちに胸を揉まれ八千穂が反射的に背を曲げた。
しかし、九龍の手は休む気配もなくむにむにと揉みしだく。
「だめっ・・だめだよ・・・」
八千穂は声は上げるが九龍から離れはせず、逆に九龍の胸へ顔を押し付けている。
「あっ・・やめっ・・」
「少し、少しだけ、お願い。
こうしてると元気がでるんだ」
ようやく手の動きが止まると九龍の口から妙なお願いが飛び出した。
両思いである事を知って欲望を抑えられるほど九龍は出来た男ではなかった。
250 :九龍×やっちー ◆JBtnEvJis6 :2005/05/13(金) 20:26:55 ID:TkumEc1O
「ほ、ほんと・・・?」
「本当」
元気になるのは間違いないだろうが怪我とは何の関係もない。
しかし、お人好しの少女は少し迷いながらも小さく頷いた。
「さ、触ってもいいけど・・・歩こ?
ちゃんと治さないとダメだよ・・・?」
この言葉に乗じて早速九龍の手が意外にふくよかな胸をまさぐり始める。
「あっ・・・」
九龍の手が動くたびに小さな悲鳴があがり八千穂の顔が九龍の身体に押し付けられる。
始めは九龍が八千穂に支えられていたのに
今は八千穂が九龍にしがみついているような姿勢になってしまっている。
確かにこれは効果覿面だ。
八千穂のふくらみを苛めている九龍といったら鼻息も荒く痛みなど微塵も感じさせない。
「ふぅ・・ん・・・」
八千穂の手が九龍の服をぎゅっと掴む。
「やっちー・・顔上げて」
すべすべとした乳房を撫で摩りながら九龍が囁く。
「キスして」
涙目で見上げた少女は言われるがままに踵を上げた。
「ん・・・ぁん」
口を吸い鼻を擦り合わせて八千穂の口の中を貪る。
それが一通りすむとまた胸を触りながらよたよたと歩き、
立ち止まっては口を吸う。
八千穂が拒絶しないのをいい事に九龍は欲望をストレートにぶつけながら
魂の井戸を目指して歩きつづけた。
柔らかな緑色の光が二人の身体を照らす。
九龍はこの光に包まれてこんなにがっかりしたのは初めてだった。
「どう・・・?治った?」
「うん、大丈夫」
ここに来た以上は寄りかかる理由が消えてしまった。
身をよじって離れた八千穂を引き止める事が出来ない。
「じゃ、じゃあ、その服とか返してもらっていいかな・・」
「うん、ありがとう・・」
返事を聞いて八千穂の手が九龍の腕を捕まえる。
「目、つぶって・・」
散々揉まれたにも関わらずまだ見られたくないらしい。
少し、不思議に思う九龍だったが大人しく従った。
プチンという音と供に首から吊り紐が外され腕が自由になる。
巻きついていた布がしゅるしゅると緩み
添え木代わりにしていた骨が落ちて乾いた音を響かせる。
「待ってね、まだ開けちゃダメだよ」
九龍が目をつぶっている事を確認し八千穂はブラと体操服を身につけた。
「お待たせ、いいよッ」
その声に目を開くと着たときと同じ格好に戻った八千穂の笑顔が飛び込んできた。
思わず朗らかな笑顔に九龍の目が釘付けになる。
「へへ・・・」
じっと見つめられて恥ずかしかったのか八千穂はぽりぽりと頭をかいた。
うつむいて上目で見てうつむく。
自分の注がれる視線に恥ずかしさがこみ上げてくる。
「やだ、もう、くーちゃんのエッチ!」
「そりゃエッチだよ。
やっちーの事好きだから」
あまりに直球な言葉に八千穂の顔はますます赤くなり九龍の胸に預けられた。
「やっちー、もっとエッチな事したいんだけど駄目?」
九龍の胸に埋まっていた八千穂の顔が上がる。
「もっとって・・・?」
「つまり、その・・・・・やっちーを抱きたい」
そう言うと九龍の手が八千穂のお尻に添えられた。
ただ触っただけではあるが、八千穂の身体がぴくっと跳ねる。
八千穂は肯定も否定もせずただそのままの姿勢で固まってしまった。
九龍も何も言わず抱き合うだけで動かない。
気まずいような安らかなような時が流れしばらくすると八千穂の口が開いた。
「・・・いいよ」
「本当!?」
「うん・・・・・。
くーちゃんなら・・・ううん、くーちゃんがいいの。
くーちゃんこの遺跡を調べ尽くしたらまたどっか言っちゃうんでしょ?
それまでずっと一緒にいたいもん・・・」
九龍の背中を握り締めて八千穂が顔を上げた。
「どうしたらいいの?」
「じゃ、じゃあ、ブルマ脱いでくれる?」
九龍がそう言うと八千穂は黙って離れブルマに手をかけた。
「く、くーちゃんも脱いでよ。
あたしだけじゃ恥ずかしいよ」
そう言われて九龍も慌てて服に手をかけた。
ごてごてと色々詰まったベストを脱ぎあっという間に全裸になる。
安全のために脱げ易く出来た服をいつも着用しているのだ。
脱いでしまった九龍は鼻息荒く振り返った。
「わっ!」
暴発寸前の男根を見て八千穂が思わず声を出す。
顔を手で覆いながらしっかりと覗き見る八千穂の前にゆっくりと九龍が近づいた。
おもむろにしゃがみ込み体操服の裾の下に三角を作る水色の下着に指を伸ばす。
「んっ・・・」
いきなり逆三角形の底の角に中指をあてがう。
むにゅるっと熱く湿った感触に指を汚しながらそっと前後させる。
「ぁんっ・・・や・・・」
甘い電気にしびれ八千穂の身体がぷるぷると震えている。
「痛くない?」
「ん・・だいじょぶ・・ひゃんっ」
大丈夫と言った途端、九龍に指を曲げられ八千穂の腰が崩れ落ちた。
跪いた八千穂の顔を自分の肩に乗せ九龍はパンツに手をかけた。
八千穂の身体でどうなっているかは見えないが意外にスムーズに脱げていく。
八千穂の協力を得てパンツを全て脱がしてしまうと
手を上げて八千穂の身体を抱きしめる。
そのままの体勢で九龍は八千穂に体重をかける。
「ぅひゃっ!」
剥き出しおお尻が床に触れて八千穂が頓狂な声を上げる。
それに構わずに押し倒してしまうと八千穂の腕が九龍の首をがっしりと掴んだ。
「見ちゃ駄目!」
その言葉の勢いに面食らって九龍は素直に従い八千穂の股に腰を落とした。
「その、・・いい?」
「うん・・・」
一応聞いてから九龍は自分の物を掴み八千穂の入り口を探った。
しかし、八千穂が見てはいけないといって顔を掴んでいるものだから上手くいかない。
しかも八千穂のそこはぬるぬるとしててそこを擦っているだけで気持ちがよく
九龍はちょっともう軽くいきそうになっていた。
「ぁっ・・・」
八千穂の腕がふっと弱まる。
その反応でようやく気付き九龍はゆっくりと腰を突き入れた。
痛いくらいに締め付けてくる肉と柔らかい粘液が九龍に纏わりつく。
道無き場所をこじ開けるような感覚とどか懐かしいような感覚が
甘い電流のように身体を駆け巡る。
「あっ・・んんっ・・・」
八千穂の顎が上がり身体がくねる。
痛がってるのだろうかとも思うが九龍は構わずに腰を一気に叩き落した。
「ダメっ・・くーちゃんッダメっ・・だめェ・・・」
強烈に抱きしめてきて八千穂は口をぱくぱくとさせている。
「はーっ・・・はーっ・・・」
激しく胸を上下させる姿に戸惑い九龍は動きを止めた。
「ご、ごめん、痛かった?」
八千穂はただ虚ろな瞳で見つめ返しぜいぜいと息を整えている。
「ち、違うの・・凄くて・・もうあたし・・ふわぁって・・・」
「やっちー・・・」
「あたし初めてだったのに・・・こんな・・・」
どういう事だろう?
一瞬だけ悩み九龍はすぐに答えにたどり着いた。
「ここが魂の井戸だから・・?」
傷が治る時、心地よい感覚に包まれる。
痛みは心地よく、快楽はそのままになるとしたら・・・。
「そうと分かれば遠慮しないよ」
九龍は八千穂を抱きしめると腰を突き入れた。
「やぁっ・・」
相手を気遣わない、ただ自分の快楽だけを貪る動き。
それですら八千穂の口からは甘い悲鳴が零れ出す。
こすりつけていた膣壁に精液を発射しても九龍の動きは止まる事は無かった。
「いっぱいしちゃったね」
中腰で九龍に掴まり立ちした八千穂がふっと言葉を漏らした。
彼女の股間からはまだ白濁液がだらだらと滴り落ちている。
「ごめん、その、やっちーと出来た事が嬉しくてさ」
「ううん、いいの。
あたしだって嬉しかった」
何度も注がれ掻き出されまた注がれ八千穂の股間は随分と汚れてしまっている。
「そろそろ洗う?まだ出てくるかな」
誰にも見つからず帰るのが前提ではあるが
せめて仲間に見つかっても不審がられない程度の姿にはしておきたかった。
「待って、あたしがやるよ。
くーちゃんに洗われたらまたしたくなっちゃうもん」
八千穂は掻き出すのを断ったのと同じ言い訳で
九龍の手からミネラルウォーターのボトルを奪った。
太ももに水をかけこすり落とす。
その作業を繰り返しながら八千穂が口を開いた。
「ねえ、くーちゃん。
依頼していい?」
「何?」
「コンドーム手に入れてきてくんないかな?」
そう言って一瞬だけ視線を合わせると八千穂は恥ずかしそうに顔を伏せた。
「だ、だって、子供できたらこまるじゃないッ」
「そうだね、明日からは使わないとね。
・・・でも、もう一回だけしない?」
八千穂の顔が上がり、小さく唸る。
「・・・もォー、しょーがないなァー」
そう言ってとんがらせた八千穂の口に九龍が優しく噛み付いた。