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ハラリ、ハラリとページを捲っていた指が止まる。
「外れ・・・」
誰に言うでもなく呟くと月魅は閉じた本を持って立ち上がった。
整然とした本棚に唯一空いている場所へときっちりと並べると小さくため息を吐いた。
白い息が本棚に吸い込まれて消えていく。
遅々としてはかどらない作業にうんざりしながらも
本棚に目を滑らせそれらしきタイトルを探す。
(九龍さん今何してるのかな・・・)
こんな時間にこんな行動をさせている動機そのものである人物をふと思い浮かべ
月魅は相好を崩した。
(ふふ、遺跡の中にいるに決まってますよね)
遺跡の中で目を輝かせて探索する九龍の姿がありありと浮かんでくる。
その姿が頭の中で動き出すと月魅の目の焦点がぼやけ身体が固まった。
鮮やかに化人を倒し発動したトラップを冷静に解除する。
難解な文字で書かれた石盤を見つけ、訊いてくる。
それに答えると九龍の手がぽんと肩に置かれ、
『凄いな月魅。
 ありがとう感謝してる・・・』
そう言って九龍は顔を近づけてきて・・・・
そこまで妄想すると恥ずかしくなって月魅は我に帰った。
誰もいないとわかっているのに思わず辺りを見回してしまう。
身体が少し熱くなっている事を自覚し空しくなった。
夜の図書室に一人でいると心細くて寂しくてつい九龍の事を思い浮かべてしまう。
そして思い浮かべた後、現実との差にさらに空しくなる。
その空虚さを振り払おうと月魅は本棚に目を向けたが
空しさの奥に芽生えたもう一つの感情の存在を無視できず動きを止めた。
逡巡した後、辺りを見回してしゃがみ込む。
目を這わせると簡単に目的の本は見つかった。
何度も手にとった本だから場所もはっきりと覚えていた。
月魅はもう一度辺りを窺い一番下の段の本を抜き取って机の上に置いた。
不自然な形を作る本を開くと中から小さな本が現れる。

椅子に座るとその小さな本をそっと手にとった。
月魅が好きな本達とは比べるくもないくだらない本だ。
初めに目にした時は嫌悪感すら覚えたほどくだらない。
美しい少女が罠にかかって同級生から犯されその男の性奴隷にされるという
身もふたも無いただ下劣な欲望を満たす為だけに書かれた本。
しかし、図書室の本にまぎれていたそれを偶然発見した時
タイトルを見ただけで顔をしかめたそれを月魅は何故か全て読んでしまった。
いや、それだけに飽き足らず時々はこうして読み返してしまう。
「ん・・・」
本を片手に預け月魅の手がスカートの中にもぐっていく。
下着の上からそっと恥丘をなで始める。
「はぁっ・・・・」
指は敏感な場所を探り、目は物語を追う。
場面は悲運な主人公・奈々が初めて犯されるシーンだ。
月魅は読み返す時、大体ここを読み返す。
後半になるとハードな調教がされていくのでもう何がなにやらわからずピンとこないのだ。
『ほら、しっかり咥えな。
 舌を使って綺麗にするんだ』
男の狂気に怯え奈々は泣く泣く男の性器を口に含む。
その後が言われるがまま舌も唇も口全体を使って奉仕させられていく。
苦しさにえづいても許されず最後は精液を飲まされる。
「ぁ・・・」
月魅はぐいぐいと押し込んでいた指を離し下着の中に潜り込ませた。
ここからの場面は本を見ずとも容易に思い出せる。
口での奉仕を終えた奈々は誰もいない教室で男に犯される。
何度も読んだ場面。
だがいつのまにかその登場人物は男と奈々ではなく九龍と自分になっていた。
無論、九龍がこんな事をするはずはない。
そう思っているのだが、自分の相手として思い浮かべるのは九龍しかいなかった。

「月魅、いるかー?」
突然、声が聞こえてきた。
それもかなり間近、扉のすぐ向こうから。
カシャカシャという鍵を開ける音が聞こえ
月魅は慌てて手にしていた本を机の上に置いていた大きな本の中に挟んだ。
「いたいた、頑張ってるな」
「く、九龍くん・・・!」
扉から入って来たのはついっさきまで妄想の中で動かしていた男だった。
この図書室の鍵を持っているのは自分と九龍だけなので当然といえば当然なのだが
あんな事をしていた最中だけに月魅は魂消た。
「今日は依頼が簡単に終わったからさ。
 様子を見に来たんだ」
そう言うと九龍はずんずんと歩いて月魅のすぐ隣にまで来て缶コーヒーを差し出した。
「ほら、差し入れ」
「あ、ありがとう」
受け取った缶コーヒーは固くなっていた月魅の手をじわっと温めてくれた。
「何かわかった?」
九龍と視線が交わり月魅はうつむいた。
九龍は何も知らないだろうが、月魅にとってはさっきまで自分を犯していた男だ。
恥ずかしさと気まずさが胸を責める。
「あ、まだ何も・・・ごめんなさい」
「謝る事はない。
 いつも手伝ってくれてありがとな」
にっと微笑むと九龍は月魅の隣に腰かけた。
「ちょっと手ぇ貸して」
九龍に言われるがまま月魅は右手を差し出した。
「あっ!」
九龍の大きな手に手を捕らえられた瞬間、月魅は声をあげた。
(ど、どうしよう!?さっきまであそこを弄ってたのに・・・!)
「どうした?」
「な、なんでもないです、あは、あはは」
なんとか誤魔化そうとしたが顔は赤いのは自分でもわかった。

もしかしたら九龍はもう気付いているかも知れない。
(ばれちゃったらどうしよう・・・)
気になりだすと指先が湿っているような気がしてならない。
(濡れてる、さっき弄ったときのがまだついてる・・・)
それだけじゃない。
(もしかしたら指先が臭っているかも・・・)
「こう手をマッサージすると目にいいんだぜ」
「い、いいです、そんな悪いから!」
「いいって、いいって。
 いつも俺の為に頑張ってくれてるんだから気にすんな」
月魅の苦悩も知らず九龍は掴んだ手をゆっくりと揉んでいる。
ついさっきまで自分を慰めていた手を揉まれている。
そう思うと恥ずかしくて顔が焼けるように熱い。
「ん?」
親指の付け根辺りをやわやわと指で押していた九龍が怪訝な顔をする。
(き、気付かれた!?)
「月魅は可愛いな。
 男に手を握られたぐらいで顔真っ赤にして」
ハハ、爽やかに笑う九龍を見て月魅は安堵のため息を漏らした。
「ま、コーヒーでも飲んでなよ」
そう言われると飲まないのも失礼かと思い
月魅は大人しく片手だけでコーヒーを開け口をつけた。
甘くてほろ苦い液体が喉を通ると心を溶かすように身体が温まっていく。
(きっと大丈夫だよね、もう・・・ばれなかったんだ)
そう決め付けて安堵するとほっとため息をついた。
ばれるんじゃないかというドキドキは九龍に手を握られているドキドキへとゆっくりと変化していった。
「はぅん・・・」
月魅は手をマッサージされているという行為に心地よさを感じ始めた。
手の平を優しく叩き、手の輪郭を確認するように撫でて指の一本一本をもまれる。
うっとりとその刺激を享受していると段々と手の平からぴりぴりとした感覚が流れ出した。
それはまるであの本を読みながら行っている時のように甘い。
月魅が徐々に息を荒げ始めると九龍がにやりとほくそえんだ。

「はい、終わり」
九龍が手を離した時、月魅は心地よい疲労感に包まれ
身体をぐったりと背もたれに預けた。
(どうしたんだろう、私・・・?)
身体はだるいのに感覚は妙に鋭い。
月魅は手をもまれるだけでかつて無いほど興奮してしまった自分に驚きを隠せないでいた。
「なんだこれ?」
完全に油断していた。
マッサージによって真っ白になってしまいあの本を隠していた事を忘れていた。
九龍の声で気付いて慌てて手を伸ばしても間に合うはずも無い。
九龍の手にとった本の間からゴロンと小さな本が転げ落ちて
―それもよりによって九龍の前に―
その下劣な姿を披露した後だった。
「・・・性奴隷・奈々、美人女子高生陵辱地獄・・・」
月魅の手より一瞬だけ早くそれを拾い上げると九龍はタイトルを声に出した。
目の前が真っ暗になった月魅をよそに九龍は本をぱらぱらとめくりだした。
九龍が戸惑い、呆れ、言葉を出せないでいるのが月魅には痛いほど伝わってきた。
逃げ出したい気持ちと逃げれない、逃げてどうするという思いが交錯し
月魅は死にたくなっていた。
「こ、こんなの読んでるんだ・・」
九龍の軽蔑しきった声が胸に刺さる。
様々な言い訳が頭に浮かぶがどれも説得力に欠けているように思える。
羞恥心が身体を焼き胃が痛くなってくる。
開き直る事も逃げ出す事も出来ず月魅はただ審判が下るのを待つだけだった。
「月魅、服脱いで」
月魅にとって地獄のような沈黙を破ったのは九龍の声だった。
しかし、その中身が意外すぎて言葉が出ない。
「ほら、はやく」
「えっ!?えっ、ちょっ・・・」
戸惑う月魅を急かして九龍はおもむろに月魅の胸を鷲掴んだ。

「あっ!」
「こんな風におっぱいを揉んでやるから脱げよ」
月魅は胸を揉みしだく九龍の手を剥そうとしたが腕に力がはいらずどかせない。
ただ添えただけの月魅の手に構わず九龍は揉み続ける。
「やっ・・やめっ・・」
胸をもまれる度に身体中がふわっと浮くような感覚が走る。
手をマッサージされた時以上の快感が月魅の抵抗を撥ね退ける。
「何言ってるんだ、こんな本読んでこんなに感じてるくせに。
 俺は手伝ってやろうと言ってるんだよ」
むにむにと服の上から揉む手は容赦なく、ねじるように力を入れる。
しかし、月魅はそれを痛がるどころかあえぎ声まで出し始めた。
「あふぅ・・あぅっ・・・ぁぁんっ・・」
月魅が大きな声を出しながらすがるような目をすると九龍はようやく手をとめた。
「直に揉んでやるから脱げよ」
九龍がどんなつもりなのかわからない。
しかし、あの本を見られこのような醜態を晒した今、
月魅に抵抗するという選択肢は残されていなかった。
「どうした?」
焦点の合わない目で見つめてきた月魅に九龍が言葉をかける。
月魅は何も返事をせずうつむいて眼鏡を外した。
リボンを解き制服を脱ぐと外気の寒さに鳥肌がたつ。
(いま九龍さんどんな顔で見てるんだろ・・)
ぼんやりとそんなことを思いながら色気のない肌着を脱ぐと
あとはブラジャーだけが月魅の胸を覆っていた。
どうしても気になってちらっと見上げるとぼやけた視界の中で
九龍はうっすらと笑っているようだった。
その笑みの意味を考えながら月魅はブラジャーに手をかけた。

「手で隠すなよ。
 ちゃんと見せな」
そう言われて仕方なく月魅は腕を下ろした。
羞恥に震えているふくよかな胸が露わになる。
「綺麗なおっぱいだ。
 色も白くて乳首はピンク色で。
 でも、ちょっと濃いかな。
 大分弄ったんだろ?」
「そ、そんな・・・」
月魅は必死にスカートを握り締めて九龍の視線に耐えている。
触ってくれたらどんなにか良かっただろう。
弄んでくれた方がまだ楽だ。
九龍ははただ見るだけでなかなか胸に触れようとしない。
「く、九龍さんその・・」
「なんだ?」
「い、いえ何も・・・」
触ってとはいえない。
既にこれ以上ないぐらい恥ずかしいのにそれでもまだ自分から言うのは恥ずかしい。
そんな月魅の気持ちを見透かしたかのように
九龍はにやにやとおっぱいを見下している。
「触ってほしい?」
ほんの少しの静寂の後、月魅の顎が下がった。
「よし、じゃあ俺のを咥えろ」
そう言うと九龍は座ったままズボンのジッパーを下げ性器を取り出した。
既に屹立したそれは本に書いてあったものよりも大きく醜く見え月魅の目を釘付けにする。
「はやくしろ。
 やり方は知ってるんだろ?こんな本読んでるんだからよ」
こんな本、と言われると月魅は自分が汚らわしいもののように言われたように感じた。
実際、こんな本を読んで自慰をしていたのだ。
否定する材料は何もない。

「どうした?
 自分のまんこ臭い手はマッサージさせて俺のはしゃぶれないか?」
「なっ、まん・・・知ってた・・の・・・?」
知ってて手を取ったのだろうか。
月魅は不思議と知られていて良かったと思った。
こうなった以上その方が救われる。
「図星かよ」
しかし、この言葉でほんの少し救われた気持ちはさらに叩き落された。
誘導尋問でからかわれたと気付いても悔しさは湧いてこない。
自分の間抜けさだけが羞恥心を上塗りする。
「ま、夜に一人でこんな本読んでるからオナニーしてただろうなとは思ったけど。
 ほら、はやく咥えな。
 そしたら、オナニーの続きを手伝ってやるから」
(手伝う、ってどういう事だろう・・・?
 さっきみたいに胸を揉んだり・・・もっと過激な・・をするんだろうか?)
さっきから頭の中は恥ずかしさと絶望といえるような暗い感情だけが渦巻いている。
にも、関わらず身体はどういう理由だか知らないが熱く火照りむず痒い。
それは九龍の持って来たコーヒーに秘密があるのだが無論、月魅は知る由もない。
(私、欲しがってる・・・?
 九龍さんのを・・・九龍さんなら・・・)
色々な思いが頭の中を駆け巡り、答えが出せない思考停止に似た状態になると
ごくっと喉を鳴らし月魅は椅子から降りた。
床に跪いて九龍の広げた脚に手を置いた。
九龍は何も言わない。
ゆっくりと顔を屹立した男性器に近づけると独特の匂いが月魅の鼻に香ってきた。
臭い。
だけど不思議と嫌悪感は無い。
決意を固める事無くただ考える事を止めて月魅は男根にキスをした。

「いいぞ、その調子で口に含んでくれ」
一度口付けた事でふっきれた月魅は
九龍に言われるがまま唇の奥へと男根をすすませた。
思ったよりも口を開けなければならず
ほんの先端を入れただけで口の中は一杯になる。
「そう、舌も使って」
そっと九龍の手が月魅の頭に置かれた。
何の力も入っていない添えられただけの手。
その温もりが月魅に勇気を与え、舌を使わせた。
(味はあんまりしないんだ・・・)
おずおずと舌を這わせながら漠然とそう思った。
徐々に慣れてきて大胆に舐め始めると不意に九龍の声が降ってきた。
「そうそう、これから自分のまんこに入るもんだからな。
 丁寧にたっぷり濡らしといた方がいい」
その言葉に慌てて口を離す。
「まっ、まん・・ってそんな・・・」
「したくないのか?」
そう言うと九龍は頭に乗せていた手を降ろし月魅の胸に触れた。
「あっ・・!」
やわやわと揉みながら言葉を重ねる。
「こんなに反応してるくせに・・・。
 素直になりな、月魅。
 してほしいんだろ?」
ゆっくりと手の動きにあわせるような優しい言葉が月魅の頭に流れ込んでくる。
陵辱される奈々の姿が頭に浮かんでくる。
(あんな風にされるの・・・?
 でも、でも九龍さんは・・・あんな酷い事は・・・)
しない、だろうか。
月魅にはよくわからなくなっていた。

「どっちだ?
 して欲しいのか欲しくないのか。
 俺はレイプする気は無いから、月魅が決めろ」
そう言って胸から九龍が手を離すと寂しさが月魅の中に現れた。
(されたらどうなっちゃうんだろう・・・。
 この身体の疼きは止まるのかな・・・。
 九龍さんは私をどんな風に・・・)
胸を離された時、もっと触ってて欲しいと思った。
その時、既に月魅の心は決まっていた。
抱かれないで九龍が去っていく事など想像すら出来なかった。
「・・・して・・・下さい・・・」
思ったより口に出すのは簡単で
口にしてしまえば心がふっと軽くなった。
それほどに餓えていた自分に月魅は改めて驚き蔑んだ。
「そうか。
 ならもう一度咥えろ」
「うっ・・はい・・・」
言われるがままもう一度九龍のものに顔を近づけ口を開く。
熱く脈打つ物体はを口に含むと月魅はさっきの九龍の言葉を反芻していた。
(これが今から私の中に入るんだ・・・。
 私、セックスするんだ・・こんな所で)
キスすらした事無かったのに今フェラをしてこれが終わればセックスをする。
その事を認識し身体は暗い欲望に打ち震えている。
「月魅の口の中は柔らかいな。
 いい粘膜してるよ」
そう言って九龍の手が頭を撫でてくる。
想像すらした事の無かった褒め言葉を嬉しく感じる。

「舌をもっと使え!
 髪を引っ張られ奈々は嫌々ながらも口の中のそれを舐め始めた。
 痛みと屈辱で奈々の瞳には涙が・・」
「や、止めてください」
九龍が本を声に出して読み始め月魅は思わず叫んでいた。
「なんで?」
九龍は本当に不思議そうに顔を覗き込んでくる。
しかし月魅は理由をいえなかった。
なんでかは自分でもわからないのだ。
ただ、自慰に使っていた本を読まれるのが本当に嫌だった。
裸を見られるよりずっと嫌だ。
まるで心を覗かれたみたいに感じてしまう。
「お願い・・・ちゃんとするから読まないで・・・」
月魅が懇願すると九龍は素直に本を机の上に置いた。
「そんなに嫌なの?
 この本に書かれてあるぐらい気合入れてしゃぶるんならいいけどさ」
「お願い・・・頑張るから・・・」
月魅は弱々しい声でそう言うと九龍のものを口に頬張った。
ほっぺたの内側にこすりつけ舌で首の所を丁寧に舐める。
手で根元を抑え陰毛を防ぎ顔を前後させる。
本の主役・奈々がしたように喉に当たるまでしゃぶり歯茎と舌の間でしごいた。
本で得た知識を総動員して口を頑張らせる。
その甲斐あって九龍の先端から焼けるように熱く生臭い液体が口の中に発射された。

驚いて只それを呆然と喉で受け止めた月魅だったが
頭を撫でる手にうながされると意を決して飲み込んだ。
(にがっ・・・くさぁい・・・)
思わず顔をしかめてしまうが何とか本の手順を思い出し
放出したての九龍のものを舌で綺麗にする。
少しだけしんなりしたと思った肉茎は月魅の口の中でまたすぐに元気を取り戻した。
「凄く良かった・・・上手いな、月魅」
優しく撫でてくる九龍に褒められ月魅はまんざらでもない気分だった。
フェラが上手いなんて褒められて喜ぶ。
また自分を蔑む要素が出来た。
だけど、九龍に喜んでもらえたからいいかなとも思う。
本を調べて探索に協力するのだって、九龍に喜んでもらいたい一心でやり始めた事だ。
それとほんの少ししか変わらないではないか。
「頑張ったご褒美にたっぷりとはめてやるからな。
 立ってスカートをめくるんだ」
月魅は素直に従いゆっくりと立ち上がった。
自分で捲るということに一瞬だけ抵抗を感じたがその心はすぐに萎えた。
自分で慰めていたのを知られたのだ。
もうはしたないとかそんなレベルじゃない。
九龍が一方的に犯してくれるならその方が楽なのにとも思ったが
九龍はレイプする気は無いと言ったから仕方無い。
これは合意である事を示す為なんだと言い聞かせ月魅はスカートの裾を握った。

九龍にはどう見えているのだろう。
月魅はスカートを上げながらそれだけが気になった。
(もっとお洒落な下着つけてればよかったな・・・)
そんな事を思いながら月魅はスカートの裾を握った手をお腹まで運び上げた。
「ふっ、もうびしょ濡れだな。
 下着の色が変わってるぞ」
九龍の声が更に羞恥心を煽り、月魅の身体の熱を上げる。
煽り続けられていた羞恥心は肉体の悦びに変わり始めていた。
「んっ!」
九龍の手が下着越しに月魅の秘所をまさぐり淫らな音を立てる。
その刺激が月魅の思考を完全に奪い去り、声を上げさせる。
九龍はすぐに手を離し月魅の下着をずり下げた。
「くく、糸ひいてるぞ月魅」
そう言って九龍はおもむろに立ち上がった。
「机に手をついてケツ出せ」
カチャカチャと九龍がズボンを脱ぎだすと月魅は言われた通りに
握っていた手を後ろに変えてスカートを巻くってお尻を剥き出しにすると机に上半身を乗せた。
胸の先端が冷たい机に触り、これが現実なのだと月魅に告げる。
「入れてやると言ったら大人しくなりやがって。
 そんなにいれて欲しいのか」
九龍の侮蔑的な言葉も月魅には心地よかった。
実際、自分はいやらしくあの本のように下劣な人間だと思うと
むしろ蔑みでもかまってくれる九龍が優しく感じられた。
「まったく、だらだらと涎垂らしやがって」
お尻に大きな手が乗りぐにぐにとまさぐり出した。
「まんこの中に出してやるからな。
 妊娠するんじゃねえぞ」
「が、頑張ります・・・」
何を頑張るのか知らないがとりあえずそう答えた。
月魅にはそう答えるしか無かった。

「う゛ぁっ」
それは突然で唐突だった。
お尻をまさぐられていたと思うと体中に衝撃が走った。
挿入されたのだと気付くまでに月魅は何度も声を出した。
「うっ・・うっ・・・」
まるで泣き声のようなくぐもった声が月魅の口から漏れる。
挿入された痛みと突き上げられる苦しみと痒みを激しく掻き毟っているような感覚と
足りなかったものが満たされるような悦びを同時に味わい月魅は悲鳴をあげた。
パシンパシンと尻が打ち鳴らされる。
粘液が掻き回される音がする。
月魅の声もそのハーモニーに加わり
静かな夜の図書室に卑猥な音楽が奏でられる。
「見ろ、月魅!
 窓、見ろ」
激しく腰を動かしながら九龍が叫ぶ。
ぐちゃぐちゃな頭の中で九龍の声だけがはっきり聞こえる。
「あふぅっ・・・んぅっ・・・」
ずんずんと突き上げられる中、月魅は何とか顔を上げて窓を見た。
そこには真っ暗な外の景色と
だらしなく口を開けて九龍に貫かれている自分の姿が映っていた。
「どうだ?いい顔で鳴いてるだろ」
窓の中の月魅はいつもとはまるで別人のように表情豊かで
喉も枯れんばかりにせつない声をあげている。
「あっ・・・あっ・・・あっ・・・」
九龍の動きと月魅の声の連動率が高くなっていく。
九龍が月魅の中に射精した時、窓に映った彼女は歓喜の表情を浮べていた。

九龍は月魅に注いだ後も引き抜かず、白く細い背中に覆い被さった。
「月魅、初めてじゃなかったのか?
 大分感じてたみたいだが・・」
机に突っ伏した月魅の隣に顔を並べて九龍が囁く。
「・・・は、初めてでした・・・・でも・・なんか・・・」
息も絶え絶えといった様子の月魅に九龍はにやりと微笑んだ。
「さすが伝説の秘薬といった所かな。
 ま、月魅が淫乱だったせいもあるだろうけどな」
「どういう・・・こと・・・?」
まだ頭の中は快楽の波が引ききってない。
上手く考えられずただ聞き返した。
「缶コーヒーの中に媚薬を入れてたんだよ」
「なんで・・そんな・・・?」
罠にかかったとは思わなかった。
ただ純粋に不思議に思った。
「月魅がここでオナニーしてるの前から知ってたからな」
「えっ!?し、知ってた?」
これにはさすがに驚き目を見開く。
「そりゃそうだ。匂いでわかるよ」
「・・・!」
月魅の身体が赤く染まる。
「お前ばれてないと思ってたのか?
 多分、俺以外にも気付いてる奴いるぜ」
(九龍さん以外にも・・・)
そう思うと背筋にゾクゾクとしたものが走る。

「お前本当に淫乱だな。
 他の奴にもばれてるっていっただけでまんこを締めやがって。
 さすが俺のために調べ物するなんていっといてオナニーにふけってるだけあるよ」
耳元で囁かれる九龍の罵りの言葉が汚れた体に染みる。
「ごめんさい・・・これからはちゃんとしますから・・」
自然と甘えた口調で声が出た。
身体にのしかかる重みと貫かれている痛みを失いたくなかった。
例え、薬で得た快楽だとしても九龍に見捨てられたくなかった。
「許してやるよ。
 それにもう一つ役目を与えてやる」
「もう・・ひとつ・・・?」
「俺の性欲処理だよ。
 セックス用バディとして飼ってやる。
 奈々と同じだ、嬉しいだろ?」
(なんで奈々の事知ってるんだろう・・・)
少し腑に落ちないものを感じながらも月魅は頷いた。
「・・はい、嬉しいです・・・私九龍さんの事好きですから・・・」
「そうか、じゃ、ご褒美だ」
そう言って九龍と月魅は唇を重ねた。
初めての口付けの感触に月魅はうっとりと目を閉じた。

七瀬月魅の最後の砦、好きな人だから構わないという理由。
それすらもこの装置で作られたものだと知った時、月魅はどんな顔をするだろうか。
再度、月魅を突き上げ始めた九龍の顔に邪悪な笑みが浮かぶ。
アサルトベストの中でα波発生装置が静かに回り続けていた。