白が、こちらに向かって手を動かした。 「手・・・」 言われて、何のことかと、自分の手を見下ろすと、白もそこに手を伸ばしてきた。 白に手を取られ、どうしたのだろうかと思っていると、白は、首に巻いた赤いひらひらを引っ張って、それで手を拭い始めた。 まだ、土で汚れていたのが、気になっていたのかもしれない。 「爪が、痛そうだ。」 ほんの少し割れた爪の先や、ささくれに向かって、白の顔が、くしゃんとゆがむ。それを見て、またちくんと、心が痛くなった。 「痛くない。」 手のことか、心のことか、自分でもわからずに、つぶやいた。 「俺たち、ボグミン」、"痛"より本文抜粋。 ちょっとだけ、気持ちだけ、絵本のように。 ふたりの表情の対比が、とても可愛らしかったので。 白ボグミンのハインさんの花で、花占いをしてみたいと、 意地悪なことを思ったのは内緒で。 村上彰さま、どうもありがとうございました! 戻る |
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