ボトムズな日々
- 2005/04/08(Fri)
ボトムズな春。
DVDのボックスセットが、超豪華なオマケつきとはいえ、10万超えで限定発売。本気で廉価版が出たら買おうと思ってるバカがひとり。
セカンドルパンのセットも10万超えてたけど、あれは復刻ボックスセットの走りだったし、大体3年放映分だったから、まあ納得。
ボトムズは、明らかに当時リアルタイムで見てたはずの、現在30半ば、それなりに趣味にお金を掛けられる男性層(ここ重要)を狙って、どうやら成功したらしい。
いやこいつも欲しいよ! 日本にいたら、どんな算段しても手に入れてたと思うよ!(言い訳)
こいつはリアルタイム当時は、存在すら知らず、ロボットアニメ系はコンバトラーV辺りで止まってたので、今になって初めて、某方からのオススメで、全話じっくり見る羽目になった。
いや、主人公のキリコが、009のハインさんに似てるよっていうのが誘い文句だったんですが(大笑)。
初回をとにかく見て、どうしようかと思った。あれ、悪いけどテレビで見てたら、ちゃんと続けて見たかどうかは怪しいなあ(苦笑)。
主人公キリコの声優さんの、ものすごい棒読み台詞、わけのわからない、視聴者(しかも一応子ども向け)を置き去りにしまくった怪しいオープニング、いきなり主人公がわけもわからずに拷問、ネチっこい喋り方をする、気持ちの悪い、悪役か味方か見分けのつかないおっさん。おまけに、超ハードボイルドで、地味な色とか画面とかいろいろいろいろ。
まー、女の子受けはしなさそうな。
とりあえず見る。見続ける。そのうち、とっつきやすい、いかにもアニメな騒がしいキャラが出て来て、わかりやすくなる。ロボット、というか、ガンダムで言うモビルスーツの廉価版、AT同士の賭け試合とか出て来て、ロボットアニメらしくなってくる。街の権力者と暴走族モドキの争い、みょうちきりんな秘密結社、一体これにどう、ただの歩兵にしか見えない主人公が絡むんだよ!と、そんな疑問もわくヒマもないストーリー展開。
しかし主人公キリコ、愛想がないのはともかくも、超卑怯。敵を背後から撃つとか、不意打ちとか、そんなのばっか。もう生き抜くためなら何でもやるというあの戦争のリアリティが・・・見ながら、ひでーとずっとつぶやいてた気がする。いやーキリコ好き(笑)。
で一応、恋愛も入る(笑)。
こいつはおねーさま好きなので、キリコが銀河中探して追っかけるフィアナは、けっこう好みだ。強い女性(まあ、体が強化されてるとか、そういうので、本人の意志ではないにせよ)とゆーのもいい。
最初の十数話過ぎた辺りで、やっとキリコが笑う! 当時、アニメ誌で見開きで特集組まれるほどの事件だったのいうのが、見てるとよくわかる。こいつも、テレビの画面指差して、「き、キリコが笑った! 今笑った!」とハイジのクララの時並みに大騒ぎ。
で、ジャングルに入って、そこで傭兵として雇われると、ものすごいいやーなヤツが上官だったりして、大人になってしまってるこいつは、「いるいるこーゆーやつー」と、そーゆーところに共感する。
この辺はモロにベトナム戦争映画って感じで・・・好みだ。
こいつの大好きなル・シャッコもこの辺りで登場して、ここで初めてクエントという名前が出て来る。登場の仕方、キリコとの関わり方から、このル・シャッコはわりと重要なキャラなのかなと思いつつ・・・ジャングル辺りのエピソードが一応完結した時に、ル・シャッコが逃げるキリコを見送ってたのが、何だか印象的だった。
ここら辺から、もうキリコの棒読み台詞も気にならなくなって、声優の人も演技がずいぶんうまくなってて、ハードボイルドからサスペンスに、ちょっと色調を変える。
話が複雑になって、よくわからない人の暗躍もあったりして、一体誰が何の目的で何をしてるのか、気を抜くとわからなくなる。っていうか、キリコだけ追ってると、ル・シャッコとの逃避行にしか見えない(え)。
ガンダムって、わりと恋愛表現があったと思うんだけど、ボトムズはキリコがフィアナを追っかける以外は、まあせいぜい、ココナがキリコに軽く片思いしてるとか、ヴァニラはココナを憎からず思ってるとか、そんな程度。っていうか、女性キャラ出て来ないし! いいんだけどさ別に。
個人的に、キリコにしてもイプシロンにしても、フィアナに対する恋愛感情(と、彼らは思ってる)は、どっちかとゆーと、母親的存在を求める気持ち、というように見えて、この辺りのマザコンっぷりは、009のジョーに重ならなくもない。
もっともキリコの、フィアナへのこだわりぶりは、惑星ひとつくらいならぶっ壊すの平気、みたいなレベルで、ある意味ストーカーっぽい(笑)。で、このキリコを追うロッチナも、銀河を股にかけたストーカー。最後辺りの台詞は、キリコに嫉妬してるとかってよりも、「どうしてワタシとおまえは違うんだ?」とゆー、悲しい執着心の吐露にも聞こえる。
最後辺りの展開には、やっぱり賛否両論あるようで、でもこいつはまあ、あれはあれでよかったのではないかと思ってたりして。
だってねえ、あそこまでこだわって、最後の最後で引き裂かれてしまいましたとか、それはあんまり悲しくないか?とか思ったり。っていうかさ、フィアナ、あれだけいろんな意味でないがしろにされたんだから、最後くらい、せめてふたりきり・・・ねえ。
個人的に、このアニメにハマった理由のひとつは、超重要人物、キリコのストーカー、ロッチナの声が、1979年のサイボーグ009のジェロニモの声をやった、銀河万丈(ジェロたんの時はまだ田中崇名義)氏とゆー点で・・・次回予告も、あの渋い声で全部・・・うっとり。
個人的には、ガンダムのギレン氏くらい重々しい、でも若々しい演技が好みだけど、ロッチナの、いかにもストーカーっぽい粘着質な声が・・・演技っつーのはこーゆーのを言うんだよ、とうのが素人にはたまりません。
いつも、わりと無口な大男ばっかりの役が多かったりするんだけど、こーゆー腹黒い軍人みたいなのもいい。
でもって、トップでもわめいてましたが、ボトムズATを、実寸で鉄で再現した人がいるとゆー。
過程がちゃんとネットに上がってたので、ボトムズ見始めた頃から、ちょろちょろ見てましたが、実際にパーツが組み上がって形になってゆくと、押さえ切れない興奮が・・・ぬおおおお!みたいな。
4mというのは、他のロボットとかに比べればかなり小さいと思うんだけど、実際にそれを目の前にしてみれば、4mだって充分にでかい。
腕と、キリコのヘルメットだけを展示した某所では、写真を撮ってたギャラリーの男性のひとりが、「○○しそうだ」と言ってたけど、すごい納得(伏字は各自で埋めて下さい)。そういうレベルの興奮だというのは、ものすごくよくわかる。
武器として、現段階ではまるきりリアリティがないからこそ、純粋に、フォルムというか、そこに重なる想像の部分というか、そういうものに興奮できる。まーでも、こいつは不謹慎にも、戦車とかマシンガンとかも、リアルで見たらうっかり歓んじゃいそうなんだけど。
・・・あり? そう言えば、誰だったっけな、最近リアルで銃に触らせてくれたの(いや弾は入ってなかったから!)。
手に出来る武器というのは、何かやっぱり恐怖が先に立つ。操縦の必要な、そういうある種の技術の必要な武器ってのは、自分とは関係ない世界だなって思えるから、わりと無責任にはしゃげるけれども。
戦争というのが、二次元の世界でしか見れなくなる、というような、そんな日が、いつか来るんだろうか。
ボトムズ好きだ・・・。