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UFC 101、予想してみたい。 - 2009/08/08(Sat)
 UFC101がいよいよ明日。
 個人的にはAnderson SylvaがGriffin相手にどうやるのかすごい楽しみ。

 前回、Welterで、GSP相手にものすごい情けない負け方をしたBJ Penn、いろいろ言われても、体格での不利さを、天性の身体能力とか化け物並みの体の柔らかさとか、戦闘センスというかようするに「おう殴りまくってやるぜ」という良くも悪くもケンカ好きと言うか、そういうことで補って余りあるPennに、同じ階級なら誰も勝てないような気がする。
 Pennの最大の弱点というのは、とにかく耐久力がない、寝技に持ち込まれて押さえ込まれると、それだけでスタミナ失って次ラウンドはぼろぼろという展開で勝てなくなる、ということか。自分の天性の才能の部分に頼り過ぎてて、明らかに他の部分を無視してると言うか、「天才のオレさまが何とかしてやるぜ」と悪い意味で楽観し過ぎに見える。
 練習嫌いで有名と言うのが、実際ほんとうかどうかはともかく、センス抜群、身体能力申し分なし、戦意ありまくり、でも2ラウンド以上長引くと腕が上がらなくなります、というのは凡庸選手と同じレベルになっちゃうよ?的な。
 Light Weightだと体格の不利さはあまりハンデにはなってないように見える。他の選手とそれほどは体格的に差がないので(同じ階級なら当然ではあるけど)、スピードで相手の懐ろに飛び込んでとにかく殴る、倒れたら押さえ込んでSubmissonで落とす、あるいはただひたすら攻めて殴って叩きのめす、という短時間で試合を終わらせるというやり方で難なく勝てるけど、Welterに行った途端、Welterの上の選手(HughesとかSherk辺り、そしてもちろんGSP)にはとにかく押さえ込まれると無理とか、長引くと無理とか、耐久力ないのと互角にやり合う位置に立つとあまりにも戦略立ててなさ過ぎが目立つようになると言う辺りで、そろそろセンスと才能だけじゃ勝てない段階じゃないかと。
 LWなら、今の状態でも勝てる選手はそうそういないと正直思うけど、Welterはさすがに欠点何とかしないと無理そうな感じ。まあそれでも、体格のハンデがあれだけあって(筋肉がつきにくい体質っぽいので、体重で相手を押さえつけることがしにくい、押さえつけられると返せない)Welterのトップクラスととにかくも互角にやり合ってるってのはさすがだなあと思う。
 GSPとの初戦に勝ってたら、その後の流れは全然違ったんだろうなあ。
 まあ、オレさま天才!っぷりには全然変わりはなかったろうと思うので、「そろそろヤバい」と自覚が入る時期がずれたという程度の違いになっただけかも。
 そういうわけで、今回のKen Florianとの試合は意地でも負けられないだろうな。
 kenfloは2006年の話とは言えSean Sherkに負けてるし、あれからすごい上達しました!とは言っても、Pennレベルに勝てるかどうかはどうだろうなあと、正直思ってるところ。
 タイミングさえ合えばタイトル取れるかもだけど、いわゆるWelterのFitchとかMiddleのRich Franklin的存在と言うか、チャンピオン相手にいちばんよく戦いました、チャンピオンいなきゃタイトル絶対取れてます的的存在になるんじゃないかと今のところの予想。
 テレビ向けのコメントでは、チームの人たちが「He can win」的なことを言ってて、うーん、やっぱりどうだろうと思ってるのかなとコメントの意味をちょっと深読みしてたりする。崖っぷちのチャンピオン相手に、「He will win」っていう気概を出せないのは、現実的な可能性を考えたkenfloへの気遣いなのかな、的に。
 まあ試合前の煽り合いは視聴率取るための餌まきなので、脚本あるんだろと思ってて間違いないとして、でもkenflo側に「I am going to win」(勝つに決まってるじゃないか)という感じの大口叩かせないのは、節度あるキャラと言うのを強調したいからなのか、やっぱり一応現実的には無理っぽい?という製作側の気配り(?)なのか。
 ぶっちゃけた話、kenfloの頑張りとすごさはともかくも、やっぱりPennの天才っぷりにはかなわない、決め手が今ひとつ足りない、という個人的見解。
 したり顔でこんなこと語って、kenfloがPennにKO決めたら大恥だけど、とりあえず今のところは、2ラウンド辺りでフルボッコにされて審判Stopか、SubmissionでTap Outかどっちかじゃないかと予想。Pennは、今回は今までの試合どころじゃない気合入りまくりで、目の前の人間は容赦なく叩きのめしますという、Pennらしい試合を見せてくれるといいなと思ってる最中。

 そしてGriffinとAnderson。
 Griffinの実力もなあ・・・いやちゃんとすごい選手だと思うんだけど、TUF人気とか彼自身の人気の高さとかを慮って、すごい大事に大事に庇護されてるという印象なので、Andersonたん相手だと瞬殺ではないだろうけど、無理じゃね?という。
 まぐれだけじゃ勝てないよね、という相手に勝ってタイトル獲った人だし、チャンピオンになるってのがどれだけ大変かと思えば、実際こちらが思ってるよりも実力も才能もあるんだろうと、現実的に考えたいけど。考えたいけど。
 殴られ強いタイプで、忍耐強いのは確かだろうけど、Griffinもまた決め手に今ひとつ欠けるというのか。Rashadにボコボコ状態でやられた印象が強過ぎる。まあこいつがRashadひいきし過ぎはあるとして。
 RampageとかShogunに勝ったというのはある。確かにそれはすげーや。でもRampageは試合の出来にムラがありまくりの選手だし、Shogunは(知らなかったけど)Pride出身で多分Octagonでの試合に明らかに慣れてなかっただろ、というハンデがでかかったような気がする。
 ぶっちゃけると、TUFで生き残って番組人気&彼自身の人気があるので、勝てそうな相手だけぶつけて視聴率稼ぎのために長く生き残ってもらいましょう、という、そういう扱いに見える。
 もちろん、そういう扱いがあったにせよ、彼自身の実力がないと勝ち続けるのは無理だよという世界なのは百も承知で(でも、八百長や出来レースが絶対にない、とは正直思ってないけどね)。
 煽りでは、「Anderson相手にあれだけやったDan Hendersonよりも体がでかくて重い!」というコメントがあって、いやそのダンヘンに、Rich Franklinは負けてるし、FranklinはAnderson相手はほとんど瞬殺状態だったし、ダンヘンはそもそもあちこちの団体でタイトル獲ってるマジすごい人ですが、Griffinとの比較に名前出すのはちょっとやり過ぎじゃね?と思った。ダンヘン怒ってないといいな。超個人的に、ダンヘンもFranklinも、Griffinじゃあ階級違っても相手にならないと思ってる。
 ベテランで、経験の長い選手には勝てないという印象なので、やっぱりUFCの選手としてはまだまだ若い(未熟)ってことなのか。
 Danaも、LHWの選手あてがって、Andersonがヘタに怪我しても困るし、ボコボコに負けても困るしと、それなりに慎重に選んだ結果のGriffinなんだろうけど。うーん。Griffinに対するイジメにならないといいねと、正直思ってるところ。
 Griffinを過小評価し過ぎかもだけど、基本過大評価され過ぎ(UFCを売るために使われてるアイドル選手、というイメージ)だと思ってるので、Andersonに負けたところで驚かないし、どういう負け方をするのかが興味深いし、これで万が一大化けしてAndersonに勝ったら、それこそ評価引っ繰り返して本物だった!ということになったら、それはそれで面白い(絶対ないな、と思いつつ)。
 1ラウンドでKO。ボコ殴りで審判Stop。あるいは何とか2ラウンドに持ち込んだけどKO、「え?何?どうしちゃったのオレ?やっぱり負けたの?」という展開を予想。
 Kenflo同様、「He can win」とか言ってる辺りで、気概が足りないと思う。負けると予想して試合戦略練ってる予感。勝つように、ではなくてみっともなく負けないための戦略、という印象。
 Griffinに勝ったら、AndersonマジでLHWに上がるかもね。
 
 と言うわけでさて。
 予想がかすったらとりあえずへへん。かすらなかったら超大恥。
 したり顔で語って楽しかった。素人の妄言なので本気にしないように。
 ところでkenflo、「日本ではいちばん強い人に挑戦してその人(master)を破って自分がmasterになる云々」と語ってたけど、ようするに道場破り的なことを言ってたんだと思うけど、言っとくが日本の感覚では相手に敬意を払うのがまず先だから。「強いヤツボコボコにしてオレがいちばんだぜ!」じゃないから。ほんとに強い人は黙って相手にしない、というのが前提だから(とまた勝手なたわ言)。
 日本人的には、吠える犬は弱いってことで、日本云々言うなら黙って試合に臨んでね。うん、脚本通りに言ってるだけだろうけど。まず黙って戦え。とりあえみんなずがんばれ。明日だ。
 
Vivian Campbell - 2009/08/09(Sun)
 Vivian Campbellというギタリストの名を初めて意識したのは、彼がWhitesnakeに入ってから。
 Sweet Savege時代から、すでに地元ではギターヒーロー的扱い、その後は元RainbowのRonnieに見出されてDio加入という経歴は知ってたけれど、Dioがまったく好みアンテナに引っ掛からず、おまけに当時はYngwieだのJohn Sykesだの、もっときらびやか(音だけではなくて、メディアの露出的に)なギタリストがいっぱいいて、正直Vivはその中に完全に埋もれてた印象だった。
 John SykesからWhitesnake、ちょうど知った当時にSykes脱退とかクビとか、そんな流れだったか、地味なおっさんバンドだったWhitesnakeが、とってもアメリカの匂いのするバンドになって、そこにVivがかのAdrian Vandenbergと一緒に並んでいた。
 Adrianがどういう立場のギターヒーローだったのかはよく覚えてないけど、オランダという、HR/HMはおよそ似合わない国で、自分のバンドを率いてて来日したこともあって、ジャケットの絵も自分で描いたし、何しろ身長194cmってのでインパクト抜群(ああそれに、最初のギターは自作だったとか、そういうのもあったよね)、日本人の好みに合う音だったせいか、音作りの面でも評価は高かったということで、隣りに立ったVivはこれまた印象薄くてちょっと可哀想だった記憶。
 ぶっちゃけた話、当時から背の高い男に弱かったこいつはAdrianに興味を引かれて、それからVandenbergを気に入って、そのAdrianとペアのギタリストとしてVivを意識し始めたんだったような気がする。
 いくらルックスが好みとは言っても、Gが好みじゃなければそこで終わる話なわけで、残念ながらDioが好みでなかったので、VivについてはWhitesnakeで一生懸命Gを弾いてる姿に惚れたと言うのか、まああんまり大声では言えない類いの恋みたいなものだった。
 当時のVivは、Whitesnakeでは最年少、奥さん連中含めても最年少、みんなからBabyって呼ばれてるって記事を読んで萌え狂った記憶。Dioをクビになった経緯も、Ronnieの不愉快っぷりが逆にVivに対して憐れを誘う形で、何と言うか、不憫な弟を見守るような、そういう心持ちだった。
 アイルランド人であると言うことを、機会があれば口にするのも、今思えばあの国(と言うのにも、いろいろと含みがあるとして)出身であるということをとにかく誇りたかったんだろうなと、そこもまた涙を誘う。
 YngwieやSykesと比べられ、彼らに比べればテクばかりに先走った音の情緒のなさをこき下ろされたり、Ronnieに押さえつけられてたせいなのか曲作りの面で評価されることも少なかったり、ある意味、大物ミュージシャンに見出され続けたばっかりに、不遇を囲つ羽目になったという、あの頃のVivにとっては良かったのかどうか。
 Vivの不憫さはともかくも、確かに音的には今ひとつ好みだ!と叫ぶには決め手に欠けてたというのが正直な感想。とは言え、それでも何か引っ掛かるものがあったからこそ、Whitesnakeでの、彼のこれからの音に期待するぜ、次のアルバムはばっちし自分の音でソロ弾いてくれよ!と思ってた矢先に脱退。ものすごい脱力だった。マジで泣いた。
 Vivのことを、ミュージシャンという人間として大好きだったから、これでまた活躍する場を奪われちゃったのかと、Whitesnakeで名前は売れたとは言え、アルバム自体にはまったく関わってない立場では、ギタリストとしての評価にはまったく繋がらないという、何かほんとにいいように使われて捨てられちゃったのかと、ひとりで絶望した。
 当時25、6だったVivは、今なら「まだまだ若い! まだまだ先がある!」と言えるけど、こいつにとってはすでにとっくに大人だった人で、それこそ目の前の道をすべて塞がれてしまったような、そんな感覚に陥ってた。実際にVivがあの時の状況をどう感じてたかはともかく、こいつにとってはVivはあそこで一度終わってしまったも同然だった。
 当時まだRonnieとは和解してなかったし(すんな!と思ってたけど)、David Coverdaleとも円満なわけもなかったし、大物ボーカルににらまれてこれからどうするんだろう、とひとり戦々恐々。
 ForeignerのLou Grammと何かやってるらしいと聞いた後で、小さなニュースはぽろぽろ耳に届く中、ある日突然静かにRiverdogsというバンドでアルバムが出た。
 メンバーの名前も顔もまったく知らない。なんでこんなところにVivが?と面食らった。誰かに請われて、ゲスト的に参加したんだろうかと思ったけど、ちゃんとメンバーだし、ひとまず正式にVivがいるバンドらしい。ジャケットから伺えるバンドのイメージの地味さ加減が、WhitesnakeやDioとまったく重ならない。いやほんとにどうしちゃったんだVivと、思いながらアルバムをとりあえず聞いた。
 1990年のことだった。それ以後、そのRiverdogsのアルバムは、こいつの中で「絶対に聞け!」的アルバムのリストから外れたことがない。これからも、きっと外れることはないと思う。
 地味と言えば地味な、でも素直にいいと言える音だった。すべてのバランスの良い、メンバーみんなが楽しんで演ってるのがありありとわかる中身だった。バンドと言うのは、本来こうあるべきだと言う、そのまんま辞書にでも載っけたいような、ものすごくあたたかな空気の漂う内容だった。楽しそうなVivが、とても幸せそうに見えた。こいつも幸せだった。
 結局派手に売れることはなく、でもいまだ好きだと言う人が意外と多いバンドで、VivがGだったと言うよりも、リーダーでVoのRobがひそかに人気の高い、知る人ぞ知るバンド。
 Vivが伸び伸びとGを弾いて、歌って、とても楽しげに等身大で演ってる、それがRiverdogsだった。誰かに遠慮することもなく、誰かを意識して気負うこともなく、Vivian Campbellというミュージシャンが、本来の彼らしさだけで好きなことをしている、そういう音を聞かせてくれた、いまだ唯一のアルバムだと思ってる。
 ミュージシャンであるVivに本気で惚れさせてくれた1枚だった。

 そしてまったく売れなかったけれどバンドとしてはうまく行ってたRiverdogsに心を残しつつ、Lou GrammとShadow Kingでアルバム発売。これも悪くないアルバムだった。声が好みかどうか、正直ノーコメントとして、曲やGソロは好き。これも素直にいいアルバムだと思う。
 残念ながらバカ売れするようなアルバムではなかったし(PVはちゃんとあるけど)、少なくとも日本のメディアが騒ぐようなバンドではなくて、Vivがアルバム製作以外でどうしてたのか、この辺り動向は一切不明。
 そして1991年、Def LeppardのSteamin'が薬とお酒過剰摂取で急死。翌年新しいGとして加入したのがVivだった。
 ある意味順当な人選でもあったし、ものすごいショックなニュースでもあった。
 Defのメンバーとは、Sweet Savageの頃から知り合いだったし、年の頃も同じ、して来た苦労も似たようなもの、Gが欲しいバンドと、バンドに入りたいGと、完全に利害が一致したんだろうけど、個人的にはVivをギターヒーローだと思ってたこいつにとってのDef加入は、WhitesnakeにVaiさんが入った時くらいの、「・・・宝の持ち腐れ?」だった(Defに対してどうこうはない。単に音とか方向性が合わなくね?という素直な疑問の結果)。後、Riverdogs再開って夢があったし。
 正直なところ、10代からずっと一緒にやってる、すでに血の繋がった兄弟みたいな英国人バンドに、アイルランド人がひとりぽつんと入るっていうのも心配だったし、Def Leppardという売れ売れバンドに入ったことでメディアの露出が増えるということは単純にうれしかったけど(実際テレビでライブとか見れるようになったし)、とにかくVivがやってけるのかどうか、ものすごい心配だった。
 こちらの心配をよそに(当たり前だ)、テレビで見るVivは楽しそうにステージを駆け回り、やっと腰を落ち着けられる場所を得たと言う風で、とにかくとても幸せそうに見えた。
 Phil辺りとの、何だかピリピリしてるっぽい空気はあったものの、とりあえずは新しいバンドメンバーとして受け入れられてるのだと言う風には見えた。
 Philの音が、たまたまだったのかどうか、やたらと気負ってる、Vivを意識してるように見えて、Defの中でとにかく溶け込もうとそれなりに肩の力を抜いて後ろに引いた印象のプレイをしてるVivと、ひどく対照的だった。
 その後Unpluggedを見て、Philの対抗意識のあまりの強さに、元々Defファンではない(アルバムは好きだけど、メンバーには興味がない)こいつはちょっとげんなり。
 やたら速く弾こうとしてみたり、無駄に手数を多くしてみたり、とにかくVivよりいいGなんだ!というのを証明しよう証明しようとしてる感じで、「いやいいからDefらしい音で弾いてくれればいいから」と、JoeとSavを間に置いて向こうの端にいるVivが、本人の印象は薄げに、でもG的にはしっかり印象深いフレーズでプレイしてるのが何ともこう、Phil的に可哀想な感じだった。
 元々Sweet Savageの頃も比べられたって言ってたもんなあ。当時からすごいG!呼ばわりだったVivのことを、当時からひそかにPhilがライバル視してたとしても不思議はない。
 そもそも音的にタイプが違うし、Philはテクだの速弾きだのには興味なさそうなGだし、比べるもへったくれもないんだけど、PhilはどうもViv加入に心穏やかではなかった様子。
 個人的には、イギリス人対アイルランド人という図式もあるんだろうし、Vivひとり、あの中では兄弟的絆も築けずにひとりぼっちでも全然不思議はない。Vivはそういうことも含めて、Defを永住するバンドとして、そして仕事として、きちんと受け入れているように見える。
 Defに入ってから、作曲面でどのくらい貢献してるとかさせてもらってるとか、Gソロはどうよとか、正直なところVivの活躍には期待してない。しようにも、させてくれないだろ?という先入観で。
 Defにいる限り、仕事の面では心配はないけど、ミュージシャンとしての本領を発揮するVivを見ることはないだろうと勝手に思ってる。
 だからこそ、VivがいまだRiverdogsのメンバーと親しくしてて、サイドでライブやったり、あるいは好きなミュージシャンと一緒にソロアルバム作ったり、そういうところで彼らしさを発揮してるのをいいことだと思ってる。あれも、Defのメンバーとしての基盤があるからできることだろうし。そういう点で、Defにはとても感謝してる。感謝の方向が間違ってるかもだけど。

 Sykesみたいな華やかな艶やかさとか、Yngwieのとにかくすげえよという音作りとか、そういうぱっと目につく派手さはないかもだけど、Vivの音はとても深くて、心の中に染みとおって来る音だと思う。
 Vivの音は、大音量でみんなで一斉にどたどた演る時よりも、生のGと声だけでやってくれる時に、いちばん美しさが際立つ音だと思う。年を重ねるにつれて、ただひたすらに深みが増してると言うのか、どんどん魅力の増してるVivの音だなあと思う。
 今はさすがにないけど、ほんとに数年前まで、Vivに対しては息子を見守るようなそんな気持ちだったから、Defに落ち着いてくれて、すでに17年過ぎて、Vivian Campbellという名前ではなくて、DefのGという形で語られることが当たり前になって、そんなにもう一挙一動を心配して見つめ続けなくてもいいと言うのは、正直少し淋しい。
 Defに入って10年目を迎えた辺りで、Vivはもう誰からも心配されなくていい、自分の好きなことをやるスペースをきちんと確保した、大人のミュージシャンになったんだなあと、そんなことを思う。
 こんなに長い間、好きでいられるGになるとは思わなかった。死ぬまで好きな人たちとライブやって、アルバム作ってて欲しいなあ。Riverdogsの面々とずっと仲良くやってて欲しい。
 RiverdogsいいバンドだよRiverdogs。
 Defがいつか、ツアーをやめて落ち着いて、もうそろそろいいかってことになったら、Riverdogsの面子と、アルバム作ってくれないかな。RiverdogsUとか、そんな感じに。そしてまた、非売品のアコバージョン集めたCD出してくれるといいよ。一生懸命探して手に入れるよ。
 そしていつか、またAdrianと一緒にやってくれないかな。再結成したVandenbergに入ってもいいよ。Adrianと、思う存分ソロ合戦するといいよ。
 そんな夢。


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