ホーム > 負け犬の遠吠え > 2009年09月

 
Rob Halford、Judas Priest、Metal God - 2009/09/11(Fri)
 Rob Halford、言わずと知れた、自称他称ともにMetal God、Judas Priestのボーカル。
 出会いは背徳の掟ことDefender Of The Faithだったけど、こんなに長い間、変わらずに好きでいられるとは思わなかった。
 いずれアルバムがCDで手元に来たら実況レビューをやるので、音についてはその時に思う存分語るとして、とりあえずRobさんという人について語ってみたい。
 主には過去の記憶に頼って、単なる噂だったり、ゴシップだったり、誰かがどこかで垂れ流した憶測だったり、そういうものも交えて、信憑性のないRobさんそしてJudas萌え語り。
 Robさんがいかに神かという話。多分。

 Wikipediaで見たら、Turbo以降、休止時期も長かったせいか、あんまりアルバムは数出てなくてびっくり。そしてDrのScottももう在籍20年になるのか・・・早いなあ。
 そしてDaveのことが気になってこれもWikipediaで見てみたら、やっぱり今は刑務所なのか。17歳の知的障害のある少年を強姦した容疑がどーのというニュース見た時はほんとにリアルで○| ̄|_だったけど、いまだ無実を主張してるのを、あーあーもうと痛々しく思えばいいのか、やっぱりそうか!って思えばいいのかよくわからない。
 そしてDaveがGlennと年が変わらないという事実にちょっとショックを受けている。そんな歳で刑務所って、あの人生きて出て来れるのかなあ。何か改めて○| ̄|_

 さて、そういうわけでRobさん。
 出会った時にはすでに30半ばを過ぎてて、まだガキだったこいつには当然まぶしい大人だったわけで、GのGlennは親父と歳が変わらない、そもそもJudas自体がすでにベテランバンド、と言うわけで、完全に後追いだったこいつは、その時点ですでに10枚出てたアルバムを、輸入盤屋やら、地理もわからない新宿を巡って、何とかかんとか手に入れた。もちろん全部レコード。
 Robさんは自分でも聞きたくないと言ってる1st(レコード会社の移籍やら何やらで、彼らが1stと言う時は、正確には3枚目のSin After Sinを指すことが多い)のRocka Rollaもけっこう気に入って、Sad Wings of Destinyの美しさにうっとりしたり、なんでこれが日本盤は廃盤なんだよと憤ったり、その後黄金のスペクタルことPoint Of Entryのレコードも廃盤でCD買うしかなかったり、同時期に聞いたIron Maidenにはほとんど心を動かされずに、ひとまずJudasに心を据えて、そこからいろんなバンドを聞くことになった。
 Judasを聞くきっかけになったのは、当時同学年の近所の友人で、彼女はすでにHR/HM系洋楽にハマってて、こいつがLep Zeppelinが好きだと言うので、Zepに似てるよと勧められたのが最初だった。
 生まれて初めて聞いたJudasはFreewheel Buring。ステレオから流れるほんとうにカミソリみたいなG、それから、もっと鋭い、Robさんの声。Plantさんに似てると思ったかどうか、記憶にない。でもZepに似てるとは、確かに思った。
 あの曲が、その後のすべてを決めたとしか思えない。あれこそが、永遠にこいつにとってのHeavy Metalであり続けるんだろう。
 長い長い間、そして今も、Defender Of The Faithはこいつにとっての至高の1枚だ。これ抜きに音楽は語れないし、HMも語れない。Judasの最高傑作であり、非常に正しい意味でHM最高の名盤であり、とにかくこのアルバムの何もかもが最高のレベルだと思う。非の打ち所がなさ過ぎる。完璧すぎて、まさに神の1枚。大袈裟じゃなくて、本気でそう思ってる。
 Judasにハマって最初のリアルタイムのリリースがTurboで、デジタルがどーのポップがどーの、とにかくメディア側の御託の多いアルバムだったけど、Robさんの声の表現という点では、これこそ黙って聴いて惚れろ、話はそれからだって感じで。このアルバムで、官能と言うのが、直接に性的表現とか性的行為によらないのだと言うことを思い知った。当時はガキのたわ言だったけど、今になってもまったく同じことを思う。
 下品な表現で、ほんとうに、●●とか×××とか、Locked Inを聴くとそう感じる。Robさんすげえと思った。心底思った。

 出会いのほぼその瞬間から、誰かから聞いたのか読んだのか、彼がゲイだというのは事実として自分の中で認識されてたので、その後ゲイ雑誌でRobさんの名前を見ても、驚くより先に、そういうところで記事になって語られてる事実に笑いを禁じ得なかった。
 全身革、鋲を山ほどつけて、でもシャープとかセクシーとか、そういうのとはちょっと無縁の感じの、どこかユーモラスな印象のRobさんは正直とっても可愛かった。
 本人はものすごく地味な人なんだろうなと、今は思う。だからこそ、ああいうものを身に着けてステージに上がらなきゃならなかったんだろうなと、今は思う。
 当時のRobさんの印象と言うのは、こいつの周囲では大体きっぱりふたつに分かれてて、ハードゲイなかっこいい大人の男か、気をつけないと仕草が優しくなっちゃうオカマちゃんか、どちらかだった。
 普通にインタビュー記事や写真で見るRobさんは大人な男の印象だったけど、いわゆる生に近いRobさんを見ると、どことなく気の弱そうな、ただひたすらに優しげな儚い印象で、どうも実際は後者に近いらしいというのは、冗談めかして語られるツアーレポの内容から察せられて、Robさんの声を神扱いしてるこいつの心中は、どこか一部で、彼をただただ可愛らしい人として受け入れるのを拒んでたような気がする。
 Judasから突然DrのDaveが脱退した時、こいつの中でこいつの神であるJudasは一度終わってしまった。Ram It Downをどうしても好きになれなかったこいつは、PainkillerでJudasに完全に絶望し、それ以前のJudasは変わらずに大好きだった(愛してたという言い方の方がより正確)けれど、その後のJudasはほぼ完全に無視して数年を過ごした。
 そしてRobさんがJudasを脱け、自分の半分くらいの歳のミュージシャンたちと一緒に演り始め、それは確かにRobさんだったけど、そのRobさんはこいつには神の人ではなかった。
 Daveの後任のScottが新しい恋人なんじゃないかっていう噂もあった。日本にツアーに来る時には、必ず恋人同伴だったし、GのKenちゃんと一緒に暮らしてたのは、あれはただの同居じゃなくて同棲だったって話もあったし、一緒に演ってる若いミュージシャンの中にいたゲイの子たちともあれこれあったとかなかったとか、何と言うか、惑う、という言葉がこれほどぴったりな人もいないなあと、Robさんを見てて思う。
 PanteraのPhilに片思いしてたとかねー。あの頃やたら入れてた刺青はPhilから紹介された彫り師の人のだったとかPhil専属の人のだったとか、そんな話もちらほら聞いた。
 やっと世間にカムアウトしたのも、売名行為的に取られてた部分もあったみたいだし、ゲイだと打ち明けてしまった後のRobさんは、何だかとても痛々しく見える。

 声域が広いとか、高音がすごいとか、でもRobさんのすごさはそれだけじゃなくて、あの、ほんとうに歌うために生まれて来たような喉の靭さとか、呼吸をするように歌うことに対してもう体が反射的に反応してるところとか、ただ歌が上手いとかどうとかを越えて、音楽というものを声で聴かせて感覚的に伝えてくれる、あの表現力の深さと広さとか、Robさんはほんとうに、歌うためにこの世にいる人なんだなあと思う。
 歌うということが、自己表現ですらない、ほんとうに、ただ呼吸をするのと同じだという空気を、Robさんから感じる。呼吸をしないと苦しい、死んでしまう、歌うことも同じ、そういう風に。
 Robさんの幸運は、Judasというバンドにいたこと、いることだと、しみじみ思う。
 音楽の才能に恵まれたことが、Robさんを本当に幸福にしたのかどうかは知らない。その才能のおかげで得られるものは多かったと思うけど、ただの人としてのRobさんは、それはただそういう表情に見えるというだけのことなのか、時々とても淋しそうに見えることがある。
 今現在、あるいは比較的近い過去に、家族に近いレベルの恋人がいたのかどうか、そういうことが気になったりする。 こいつも含めてある種の人たちに、本気で神呼ばわりされるRobさんは、でも賞賛ではなくて単純に愛されることを求めてるように見えて、その辺りは自由主義を享受したらしい例えばFreddy MercuryとかElton JohnとかDavid Bowie辺りと、付き合いがあったのか世代やジャンルの違いでなかったのか、彼らとはまるきり姿勢が違うように見える。
 Robさんは、限りなく神に近いところにいる、けれどとても普通で普通でありたいと思っている人なのか、それとも、人に似せた姿でこっちに来てしまった、神である人なのか、一体どちらなんだろう。
 ゲイであること、音楽の才能があること、どちらも、普通になりたい、普通に愛されたいだけのRobさんをそうさせてくれない障害でしかなくて、でももう歌うことが呼吸することと同義になってしまえばそれを捨てることもできなくて、変わらない声を相変わらず高く張り上げるRobさんは、けれど昔よりもずっと痛々しく見える。

 Robさんの声は、深くていつも淋しげに聞こえる。どれだけ激しく吐き出すように歌っても、それは怒鳴り声ではなくて泣いている声のように聞こえる。
 Layneが苦しみを歌ったように、Robさんは哀しみを歌ってるのだと思う。
 それは歌詞ではなくて、歌い方ではなくて、ただほんもののため息のように、Robさんの声が哀しいのだろうなと思う。
 Robさんに影響されたと思ったことはなかったし、Robさんみたいになりたかったと思ってたという自覚もなかった。でも、ぶっちゃけた話、おじいちゃんと言ってもいい年齢になったRobさんを見て、それでも相変わらずの格好で相変わらずの声で相変わらずの歌を歌うRobさんを見て、こういう風に、常に迷いながらでも前に進めたらいいなと思った。
 こうしたいと思うことをしながら、こうありたいと思う方向とは少しズレた方へ行ってしまっているように見えるRobさんを、淋しそうでどこか哀しそうだと感じながら、でもきっとこの人は、これもまたこれと、どこかで達観して受け入れているように見える。積極的にではなくて、淡々と受身に、自分に求められているイメージに添って、そうやって生きて行くことを、少し苦笑いしながら、ちょっと肩をすくめて受け入れているように見える。
 人とは違うということの哀しさと淋しさを、20年前よりももっと強く全身に滲ませて、だからこそ受ける賞賛を、今は素直に受け入れてるように見える。
 歌うということと同義のようなRobさんが大好きだ。声も、いつまで経ってもイギリス訛りの穏やかな話し方も、誰かが聞いているとかいないとかそんなことは関係なしに、ただほとばしる声を止められないという歌い方も、人を殺せそうな高音も、Robさんがこちらに伝えようとしている形のない何かも、みんな全部大好きだ。
 Robさんをこんなに好きだと知らなかった。
 日本を離れる時に持って来るために選んだカセットテープの中に、もちろんJudasも入ってて、Sin After Sin辺りを聞きながら、JudasとRobさんのすごさを改めて思い知って、出会った時と同じように好きでいられて、また新たに惚れ直せるその音に、ほんとうに心の底から感嘆した。
 そしてまた今、Judasに新たに惚れ直してる。すごさが色褪せるどころか、聞くたびに増す一方で、Rocka Rollaから35年経って、こんな音をあの頃に作り出した彼らというのが、ほんとうに信じられない。Judasすげえよ。
 過去の記憶の中ですら、成長し続けてる彼らと、ほんとうに孫みたいな新たなファンさえ狂喜させる彼らは、ほんとうに文字通りにMetal Godだ。

 最近気づいたけど、とりあえず英語に関して言えば、歌う時にメロディに言葉を乗せるリズムとかタイミングってのも好みとかセンスがあるんだなあと思った。
 Amanda Marshallの曲はすごい好きなのに歌もすごいタイプなのに、なぜか聴いてると、どこかでずれて入れ込むタイミングを外されるような感覚に陥る。Geoff Tateの最近の歌い方もそう。
 メロディに言葉を詰め込むのはともかく、それをリズムの中にきちんと昇華させてない、言葉の音が余ってもたつくのが耳に引っ掛かるらしい。
 この辺りは、下手すると、1語1語きちんと歌おうとする非英語人の方が耳に気持ちよかったりする。ScorpionsのKlausとかVandenbergのBertとか、歌い方が妙に色っぽいところが好みなだけかもだけど、無理せずに歌詞にもたつく感じがないのがいい感じ。
 Maroon 5のWake Up Call辺りは、そこを逆手に取って、淡々とした曲の中で、各パートの複雑なリズムの絡み合いを聞かせてくれる。無自覚にAlice In Chainsもそう。
 Robさんはもう、自分だけの世界にイッちゃってるって言うか、Diamond & Rustのアコースティックバージョンを聞くと、Kenちゃんのリズム感のなさに思わず失笑。それを無視して自分で歌い上げるRobさんとの対比がほとんど冗談。
 Layneも割りと、後ろのリズムを無視気味に勝手にうねって歌うタイプだけど、この辺りはOzzy(Layneが影響されたと公言してた)的ボーカルという点でひとくくりにできるんだろうか。あるいは、もっときちんと、Plantさんタイプと言うべきなのか。
 Robさんが、いわゆるきちんとした音楽の勉強をしたことがあるとは思えないので、歌い方にせよビブラートにせよリズムのセンスにせよ、先人をコピーしてる間に勝手に身に着いたものだろうなと思いつつ、この辺りもオリジナリティという点では反論があることは予想できても、Robさんの天才っぷりを否定することは絶対にできないと思う。
 Robさんがすごいなあとしみじみ思うのは、表現の幅の広さによる、色や形がはっきりと見えそうな、匂いさえわかりそうな、音楽世界の構築の仕方か。
 人見さんも、声でその場の空気を一変させてしまう人だけど、人見さんが酔わせてくれるタイプなら、Robさんはほんとうに、そこで物理的に建築を行って、人をその世界に物理的に引き込んでしまう人だと思う。
 Geoffが、その辺りでちょっと迷走してる印象なのとは対照的に、Robさんはもうその世界に住み切っちゃってると言うのか、ほんとうにやっぱり別世界の住人で、やっぱり神に近い人なのかと思う。
 歌の上手さだけじゃなくて、声域の広さだけではなくて、Robさんは"それ"を演じてるように見せていて、やっぱりそこに生きてる人なんだろうなと思う。好むと好まざるに関わらず、Robさんはまさしく"本物"なのだと思い知る。
 こういうことを伝えたい、見せたいで歌ってるわけじゃなくて、歌ったことを、聞いたこちらが勝手に解釈してるだけのことで、Robさんはただ、呼吸をすると同じ意味で歌ってるだけ。言葉に意味はないし、メロディの展開に意味はない。あるのはただ、Robert Halfordという神が、そこで普通の人間である我々と同じように呼吸してるというだけの話だ。
 Robさんにとって歌うということは、単なる体の反射と反応に過ぎない。歌うことで、そのメロディの中に生きて、そのメロディをよりよく表現するために、手足が動く、Robさんは文字通り表現者であり、表現するために生きていて、表現とは彼にとっては呼吸と同じことだ。
 Robさんそのものが、歌うことそのものだ。

 長い間大っぴらに言えなかったけど、DaveやSimon PhillipsのJudasが大好きなこいつにとっては、Scott Travisは鬼門に近い。ぶっちゃけ、自分では絶対に聞かないタイプのDrだったりする。
 Racer XやPaul Gilbert自体、テク偏重で、今時の言い方だと「萌え」がない。あーすごいねすごいね体力勝負だねハイハイワロスワロス的反応しかできない。Yngwieに萌えはあるけど、Paulにはない。
 そんなわけで、ScottがJudasに入ったって知った時の絶望感ときたら○| ̄|_ あの時のことはいまだ忘れられない。裏切られたというか、絶望の淵に叩き落されたというか、Daveが脱けただけでも心が全治3年くらいのショックだったのに、Scott加入で永遠に完治しない心の傷を負わされる羽目になった。
 そしてPainkillerを聞いた時の、予想通りのあの○| ̄|_っぷり。ほんとうに、心を叩きのめされた。
 しかもRobさんがScottを誘ったとか、メンバー全員で気に入ってるとか(いやもちろん気に入らないなんて言うわけないけど)、その後の、予想もしてなかったRobさんの惑いっぷりとか、何もかもScottのせいだ。Scottは無実だけど、悪いけど責めさせてくれ。
 そして世間的な、Painkillerに対する、「HM至上の名作!Judas的にベストアルバム!」という評価も、同じようにこいつの絶望に、さらなる重みを加えてくれた。
 結局あれは、時代が変わってしまったということだったんだろう。こいつにとってのJudasは、永遠にSad Wings of Destinyであり、Defender Of The Faithだけど、時間がちゃんと進んでる世間ではもっと新しい音があふれてて、そこですら至上のバンドとして君臨できるJudasのすごさを、今なら割と素直に受け入れることができる。
 世間の流れに迎合しつつ、はっきりと新しいファンの好みに媚びながら、それが卑しくならないどころか、まるで国民思いの君主のように、ただひたすらに崇め奉られるJudasの凄みというのは、今はこいつの好みではないにせよ、昔からきっと一向に変わらないJudasの、自分たちの作り出す音楽に対する姿勢に他ならない。
 今のJudasがあるのは、明らかにScottのおかげだ。Scottがいなければ、明らかにPainkillerはなかったし、Painkillerがなければ、今のRobさんもJudasもいない。DaveではなくScottだったからこそ、「何もJudasがやる必要はない極めてTrashに近い今時のHM」的音を、JudasがJudasのままとことん突き詰めたというその凄みが、今のJudasからあふれまくってる。
 迷走した時期はあったにせよ、デビュー以来ほとんどメンバーの移動がないというのは稀有なことだし、Scottが腰掛けではなく、ただのお仕事でもなく、きちんとJudasに惚れ込んでもう20年も一緒にいるのだということは、Judasにとっては何よりの幸運だと思う。
 ツーバスがうるさい、手数のやたら多い、前に突き進むだけのScottの音は、ほぼ全面的に好みではないけれど、ライブで聴く彼の音は、アルバムよりは薄くなりがちな音を下から支えてくれてて、引きずられてか、Ianの音も、昔よりはずっと激しく聞こえる。
 こいつひとりの絶望はともかくも、Scottが、Judasが神として君臨するために必要なメンバーだったことは間違いがない。
 Dave本人か、DaveタイプのDrと交代して、Judasがこいつの神だったJudasに戻ってくれるという希望は、とっくに捨てた。その希望はあまりにもバカらしいし、そうなればきっとJudasは、「古臭い古参バンド」としてどこかの山裾にでも埋もれて、行方知れずになってしまうのが目に見えてるからだ。
 大好きだったバンドが悉く姿を消して、個々のメンバーの行方すらよくわからない中、少なくともJudasは相変わらず、むしろ以前以上に神がかって世界に君臨してるこの状況を、素直に喜ぼうと思う。
 たとえ、街中の店に行っても、最新アルバム2枚しか置いてない状況だったり、AmazonでどうしてかDefender Of The Faithだけは他のアルバムよりも3倍くらい値段が高かったり、在庫がなかったりしても、Judas Priestで検索をかければ、山ほど出てくる情報と、新しいアルバムがちゃんと世界レベルでニュースになる彼らの今の状況を、とてもありがたいと思う。
 Judasは神だ。永遠に神だ。後は、Robさんが、ただの人として幸せになって欲しいと思う。

 Ianが、Robさんの妹と離婚してたってのを初めて知った。彼らはもう義兄弟ではないけれど、Judasの面々は、もうずっと家族以上に強い絆で結ばれてるんだろうなと思う。
 Ianと妹の付き合いをきっかけにJudasに入ったRobさんは、Ianと無関係になったことは関係なく、相変わらずJudasにいて、今日も叫ぶ声で歌ってる。刺青とひげとスキンヘッドと革と鋲で全身を鎧って、その力強い声とは裏腹に、どこか淋しそうに、どこか哀しそうに、Robさんはきっとずっと歌い続けるだろう。
 こいつはそんなRobさんを神と崇めて、ずっとずっと遠くの、世界の端から、上向いて眺め続ける。愛してるという言葉が安っぽく足りないくらい、Robさんが大好きだ。これからもずっと、同じように好きだろうな。
 
TUF2、全話一気見の週末。 - 2009/09/13(Sun)
 TUF2全話一気に放送! Spike TVありがとう! らっしゃんとまっちゃんとりっちゃんをいやってほど堪能したよ! ものすごい土曜日だった。
 朝の9時から始まって、最後の決勝戦のイベントまで含めた12話、14時間半。全部見れた自分は超ヒマ人。
 各話、始まる前に、らっしゃんとWelter勝者のJoe Stevensonが、ホストとしてその回についての小さなエピソードとネタバレを、ダイジェスト映像つきで盛大にやってくれるというオマケつき。これはありがたかったのかどうかww ちょwwおまwwこいつ誰が勝ったか知らないwwとか思いながら見てたww
 とりあえずPCは使わずに、ひたすらエピソードだけ追った。
 正直なことを言えば、2についてはまったく興味がなくて、誰が出てるとか誰がコーチとかも、今回の全話放映でちらっと調べてらっしゃんがいるということに改めて気づいたくらいで、らっしゃん目当てに全話見る気になった、ということで。
 一応今現在、こいつが知ってる程度に知名度のあるこれ出身の選手は、らっしゃんことRashad Evans(HW勝者)、前述のJoe Stevenson(Welter勝者)、誇り高きアイルランド男のMarcus Davis、それからKeith Jardine。かすかに憶えてたのはSeth Petruzelli。
 らっしゃん以外で唯一黒人選手だったwelterのMelvin Guillardは、地味ながらも今はLight WeightでUFCにいるらしい。
 KeithがGSPたんとわりと仲良しらしいのは、これでのらっしゃん経由の繋がり(階級が同じということは除いて)だったのかと、初めて納得。
 基本的に、前知識はほとんどない状態で見て、まっちゃんが好きでないこいつは、まありっちゃんことRich Franklinを楽しむさと言うことで、とにかくうきうきテレビの前に坐った。
 コーチは、welter王者のまっちゃんことMatt Hughes、そしてmiddle王者のりっちゃん。たまにRandyも顔を出す。らっしゃん贔屓のこいつは、基本らっしゃん中心にエピソードを見る、という大前提。萌え交じり注意。

 コーチであるまっちゃんとりっちゃんは、階級が違うせいもあるのか、互いに対する敬意はきちんとあるようで、まっちゃんがわりときちんとりっちゃんに接しててびっくり。最初は例の、口のでかいイヤなヤツという印象が非常に薄い。
 最初の48時間は、選手たちに普通に練習をさせて、誰がどのレベルかをコーチたちが見極める。いちばんレベルが低い(と思われた)選手をこの後振り落とす。そして自分のチームに誰が欲しいかもこっそり決める。
 この48時間でHWの選手がすでに怪我で脱退。あまりのスピードに唖然。さらに、もうひとりのHWが、「こんな刑務所みたいな生活に耐えられない」(ホームシックの模様)と戦線離脱。これにもびっくり。
 後の選手については、「あそ、じゃあ帰れ」とあっさり言わずに、コーチ&Danaたんの3人がかりで説得。まっちゃんがすごい真剣に引き止めてるのにちょっとびっくりした。
 そして48時間後、welterで最低レベルに選ばれた選手が、生き残りをかけて、他のwelter選手と試合をさせられることになる。
 「試合したいヤツを選べ」と言われて、選ばれたSammy Morganは当然面白くなさそう。勝てるぜ!と思われたわけだからなあ。
 最低レベルとは言っても、評価のための練習ってのがそもそも吐くほどきついわけで、らっしゃんは見てたら悲鳴上げてたりして、うわああとびびった。コーチ連は、「これからこれがずっと続くし、オレたちはこれを毎日やってるわけだから」という感じ。当たり前だけどプロってすげえ。
 りっちゃんもまっちゃんも、「素人みたいなヤツを鍛えるわけじゃなくて、すでに素質があって出来上がってるヤツをもっと強くするための場所」というようなことを言ってて、まっちゃんはいつものあの皮肉っぽい笑いのまま、「友達作りにキャンプ来てるわけじゃないしね」と言わずもながのことを言う。まっちゃんが言うと重々しく聞こえる&皮肉に聞こえる。さすがまっちゃんだ。
 この段階ではまだコーチ同士での感情はごく普通な感じ。
 さて、選ばれた最低クン(ひでえ)、なんと規定体重より20lb(約10kg)重いというので2日で減量することに決定。何となく世話焼きの他の選手&りっちゃんが、減量に付き合うことにしたらしい。
 まずは当然食事制限。それからYMCAのサウナに行く。みんなで彼を励まして、初日に8lb落とすことに成功。が、この段階ですでにぐったり&目が死んでる。翌日同じことを繰り返して15lbまで落とすけど、そこでキブアップ。みんなで励ますけどダメだった。
 床に横たわったまま「もうダメだ、もうダメだ」としか言わない彼に、半分は呆れたように、「服着せてやれ」と言うりっちゃん。
 試合はせずに彼は離脱。「体重制限はしてて当然、今すぐ試合しろって言われてできるコンディションなのが当然、君らここに遊びに来たのか? プロ舐めてんじゃねえ」と全員を叱るDanaたん。
 うん、見ててこいつも、うわこいつら甘!と思ったので、現場にいたDanaたんは殴りたいくらいだったろうなあ。
 そしてやっとチーム分け。りっちゃん、まっちゃんの順で欲しい選手を指名してゆく。りっちゃんがまずKeithを選ぶ。まっちゃんがJoe Stevensonを選ぶ。らっしゃんはりっちゃんのところに行くけど、基本可もなく不可もなく、期待は全然できない、というレベルの選手だと思われてたらしい。
 Danaたんも、最初の48時間の間に、「Rashadが多分HWでいちばん弱い」というようなことを言ってた、ような記憶。
 さて、チーム分けは無事終了。これから各選手、生き残り開始。

 3、4話辺りから、まっちゃんの、批判というほどではないけど、りっちゃんと自分をコーチとして比べる発言が多くなる。
 基本は、「オレの方がコーチとしては優れてる」「Franklinがどうするか知らないがオレはこうする」「Franklinがこれこれこういうことにちゃんと気づいてるといいけど」などなど、おまww黙って自分の仕事だけしてろよwwと言う、いい感じにまっちゃん節炸裂開始。
 なんつーかこの人は、神経に障る言い方が非常に上手い。恐らく半分くらいはわざとやってるんだと思われる。他人を挑発する→弱みを見つける→そこを試合なんかで攻める材料にする、な感じに。
 さらに癪に障るのは、まっちゃんという人は、口のでかさと実力が超比例してるわけで、「だってほんとのことじゃないか」と反論の余地がない。普通の人ならいくらほんとうでも絶対に言わないだろうということを、まっちゃんは平気で、本人の目の前で口にする。しかもそれが相手に神経を逆撫でするのを承知、というよりも逆撫でするために言う。そして大抵は、言われた人間が言い返せないのを承知で言う。
 何だろうなこの性格の悪さ。奥さんとか親しい友達とかには普通にいい人だといいんだけど。まっちゃんの周りにいる人たちが、まっちゃんの実績に対する敬意だけで一緒にいるんじゃないといいな。ちゃんとまっちゃんの人となり(見える性格の悪さに隠れて見えない部分)で友達してるんだといいな。
 なんつーか、いわゆる頑固親父的に、真顔で「おまえダメ、やめて帰っちまえ」とか言うならともかくも、へらへら笑い顔で、「おまえwwそれでプロとかww軽く死ねるしww」と、まさにそういう感じなので、Matt SerraたんとかGSPたんとかとあんまり仲良くない(格上の人ということに対しての敬意はあるとしても)らしいのも納得。
 このまっちゃんの性格というか態度のせいのまっちゃんチームの空気の悪さについては後述。

 各話、チーム対抗でゲームみたいなのをする、勝ったチームが誰と誰が試合をするかを決める、そして負けた方はそこで終了。勝った選手は2回戦的な試合までは待ち。
 必ず勝てそうな選手を選ぶ(いちばん弱そうなのから潰してゆく)か、いちばん強そうなのを選んで、負けてくれたらラッキー、勝ったらしばらく試合はしないという状態に持ってゆくか、その辺りでチーム全体の戦略を練る。
 Welterはまっちゃんチームが大勝、HWはりっちゃんチームがボロ勝ち。コーチの教え方のせいかなと思うほど見事に分かれた。
 エピソードが進むにつれ、各チームの選手の数にバラつきが出始めちゃったので、途中で怪我で戦線離脱したとかいろいろ理由もあって、補欠的に後からやって来た選手がwelter、HWとも1名ずつ、それからチーム間で選手の移動もあった。
 選手の移動は、適当に誰でもと言うわけではなくて、やっぱりコーチが、「この選手ならいらない」という感じに選ぶわけで、そういうのでドラマを作るのが目的とは言え、やっぱり空気が悪くなる。
 ここでもまっちゃん節炸裂で、補欠でやって来たwelterのJason Von Flue、即答でりっちゃんチームに移すまっちゃん。もうまさに「おまえイラネ」という態度丸出し。ここまで来るといっそ潔いな。
 移動させられたJasonは、そういう演出なのか本気なのか、「Fuck you Matt Hughes」と中指立てて繰り返す。いや、まっちゃんの目の前ではやらなかったよさすがに。
 Jasonが移されたタイミングというのが、Jasonは試合に勝った直後で、顔中縫った傷だらけ、当分試合はできません、戦力にはなりません、下手すると途中で脱退です、という状態だったという感じで、この試合に勝った時も、補欠で後から来たから実力はよくわからないし、まあ負けるだろうけど適当に頑張れば?という感じに試合に出されて、でも接戦だったにせよJasonは、ブラジル人で実力派と見られてたJorge Gurgelに勝ったのに、まっちゃんはそれを喜ぶという態度も見せず、「あ、そ、勝ったの、よかったね。オレはトランプゲームに忙しいから邪魔スンナ」という・・・何かね、マジであれはテレビ側の演出だったと信じたいよ! チームの選手たちもさすがにあれには唖然だったよな。
 まっちゃんのそういう態度はチーム内に伝染してたのか、Jasonが病院で傷を縫ってもらって(40針! しかもJasonは目元を縫ってもらうのにビビりまくって泣きそうな状態なのを、他のチームメイトに慰められてた)遅くに帰って来たら、もうみんな寝てて、Jasonはせっかく勝った日に、誰からも祝ってもらえずに傷の痛みに耐えながら、ひとり淋しく遅い夕食。あれは心が折れる。見てても心が折れそうだった。
 そういうわけで、この辺りから、まっちゃんはもう遠慮もせずに何だかなという空気をまきちらしながら自分のチームをしごいてたわけで。
 このしごきも、勝ち抜き戦に負けるたびにチーム全体に対するお仕置き、八つ当たり的雰囲気が強くなってて、実力差を考えもせずに、選手の上に乗っかってまっちゃんが殴りまくるとか、怪我させるとか、もうねまっちゃんアンタやばいよソレみたいな。選手側も、「チャンピオンだし、コーチだし」という感じに、敬意もへったくれもなくただ黙ってるだけって感じだった。
 「オレは負けるのが大嫌いだ。特に精一杯やりもせずに負けるヤツを相手にしてるヒマなんかない!」と正論言ってて、非常に正しいだけに、まっちゃんの態度がやり切れない。
 一方りっちゃんは、これもまっちゃんとの対比の演出なのか、まあ元々の性格だろうけど、厳しいけど褒めて伸ばすタイプ的コーチで、「よし、一緒に頑張ろうな、おまえはよくやってるよ」という感じで、チームの空気もわりとのびのび。チーム内でもみんな仲良しっぽい感じだったし、見ててうわ空気悪っ!ということはなかった。
 負けた試合でも、負けた本人が泣きそうになってごめんごめんって言ってるのに、「謝る必要なんかない、おまえは精一杯やったんだ」という感じで。
 まっちゃん側だと、もうまっちゃんが「負けやがってこの腰抜け腑抜け野郎、コーチのオレのことバカにしてんのかオマエ」という態度を隠さない。
 何かもうね、大してドラマ的に盛り上がるわけでもないけど、見てて胃が痛かったよまっちゃん。
 でもまあ、正直なところ、勝ってなんぼのプロ世界では、まっちゃんの方が正しい。負けたら去るしかない。負けたら何を言っても負け犬の遠吠えにしかならない。まず勝て、話はそれからだ。
 
 さて、ここでらっしゃんの話。
 5話目でいよいよらっしゃんの試合。まっちゃん側がゲームに勝って、らっしゃんを指名。この段階で、らっしゃんは負けるだろうと思われてた。
 ふたを開けてみたら、相手(Tom Murphy)の腰の引けっぷりがひどくて、とにかく全然攻めない。こいつでも殴ったら倒れるんじゃなかろうかと思う腑抜けっぷり。
 らっしゃんは挑発するように、妙な身振りをしたり、踊ってみたり、明らかにバカにした態度で試合を進めて、いかにもらっしゃんらしい試合だった。
 Tomは勝つと期待されてただけにがっかり感がすごくて、まっちゃんは明らかに不機嫌。
 試合後に、らっしゃんに、「おまえみたいな戦い方は大嫌いだ。おまえがオレのチームじゃなくてよかった。Richがどう思ってるか知らないけどな」と面と向かって言う。一瞬で凍る空気。らっしゃんは、「どう思おうとアンタの勝手。とにかく試合に勝ったのはオレ」と不機嫌になりつつも、ケンカは避けてその場を去った。りっちゃんもドン引いてた。
 このらっしゃんのCorkyっぷりに、まっちゃんが神経を逆撫でされただけじゃなくて、らっしゃんとどうやら仲良しだったらしいまっちゃんチームのHW、Mike Whiteheadもらっしゃんに腹を立てて、以来口を利かないとかそういうことになったらしい。
 見えないところで何かもっと感情的な部分があったのかと思うけど、見てるだけには、Mikeが勝手にらっしゃんを親友認定、らっしゃんはみんな仲良しな方がいいやなというだけだったように見える。Mikeからの絶交云々は、あまりらっしゃんには堪えてないように見えた。
 そしてMikeの試合に、らっしゃんが選ばれる。Mikeは初めての試合。
 TUF内では珍しいことではないのかもだけど、理想の形としては、1回戦目は初戦同士で試合と思ってたので、初戦のMikeにらっしゃんが2戦目というのは正直意外だった(他の初戦の選手を選ぶと思ってたので)。
 Mikeは、まっちゃん曰くこの中でならいちばん強いHWと言われてたので、今回もきっとらっしゃんがボロ負けするねと思われてたのに、ふたを開けてみたら、Mikeのボロ負けだった。前回のTom同様、とにかく一方的に殴られてるだけ、何もしない。こいつでも殴り倒せそうな情けなさだった。
 途中でまっちゃんがキレて、壁に向かって水のボトルを投げるは、「オレは本気で言ってんだぞ、おまえふざけてんのか!」とMikeをほとんどひっぱたきそうになるとか、へらへら笑いのないまっちゃんが怖かった。
 さすがに今回はふざけた身振りはなく、けっこう本気でやって、らっしゃん大勝。この辺から、らっしゃんて実はすごくね?と認められ始める。
 TomとMikeのあまりの情けない試合っぷりに、らっしゃん勝たせる話が最初からついてて、八百長なんじゃないかと思うほどひどい有様だった。まあそんなことはないと思うけど。
 らっしゃんは無事に準決勝にたどり着いて、ここで同じチームのKeithと対戦することになる。Keithはこれが初戦。対してらっしゃんは3戦目。ここでもえええええ?何この不公平?って感じだった。まあいいけど。
 Keith戦は、初めてのまともな試合で、殴り合い引き倒し合い乗っかってぶちのめし合い、ちゃんと試合らしい試合だった。それなりに接戦ではあったけど、らっしゃんがあぶなげなく勝ち。らっしゃんすげえ。
 ところでこのKeith戦、同じチームなので、セコンドをコーチのりっちゃんが一緒にやるわけには行かず、コインの裏表でどちらかがまっちゃんがセコンドということになる。そしてらっしゃんがまっちゃん側へ。
 以前の衝突があるので、当然らっしゃんは面白くない。「いやほんとだよ、コインの裏表は間違いなかった、オレもちゃんと確かめたから」とりっちゃんが言うほど、まっちゃんセコンドを嫌がるらっしゃん。当然だよなあ。
 りっちゃんは、試合のための練習をそれぞれにやるのが非常にやりにくそう。弱点を突くように練習しなきゃだけど、お互いの弱みをばらすというわけにも行かない。いちいち、「あいつには絶対に言わないから、何か問題があるなら教えてくれ」って言わなきゃいけない。コーチも大変だ。
 さてそれでらっしゃんとまっちゃんの話。
 まっちゃんは当日までらっしゃんとはほとんどコンタクトを取らなかったらしくて、らっしゃんはそれならそれで勝手にしろという感じに、ひとり黙々といつも通りに練習。戦略立ても相談もなし。
 そして当日、控え室でウォームアップしてるらっしゃんのところに、まっちゃんが子連れでやって来る。すっごい可愛い5歳くらいの金髪の男の子(だったと思う)。まっちゃんの息子だろうけど、膝に乗せた彼の頭を撫でる時にはすごい優しい目つきになってるまっちゃんに、うっかりちょっと惚れそうになった。
 ちなみにこの息子連れの理由を、「もしかしてらっしゃんと乱闘になるかもという懸念があって、子どもの前なら暴れないだろうという計算の上かも」と思ったのは内緒。
 不信を隠さない態度のらっしゃんに、「前に言ったことは言ったこと。勝つことが試合の目的で、それを果たすためにオレはここにいる」と言うまっちゃん。「おまえが勝つためならオレは何だってやる」と言うまっちゃんに、やっと警戒を解くらっしゃん。
 すげえなと思ったのは、いやこれも当たり前のことかもだけど、「寝技に持ち込む時はオレのいる側にまで連れて来い、そしたらオレの指示がちゃんと聞こえるし、相手には向こうの言ってることは聞こえないから」ってまっちゃんが言ってて、そんなの戦略の内にも入らない基本中の基本の動きなのかもだけど、そういうことまで冷静に考えながら試合ってするもんなんだなあと、素人はびっくりした。いやアドバイスがあまりにも現実的だってのにびっくりしたんだけど。
 Keithに勝った後で、「いろいろあったけど、アンタには感謝してる。セコンドをやってくれてありがとう」とまっちゃんにちゃんと言いに行ったよらっしゃん。
 この辺りはまあ、その後またちょっといろいろ印象が変わったりとかもあったみたいだけどねらっしゃん。
 ひとまずエピソード内では、まっちゃんとらっしゃんは和解。

 ここから萌え語り。
 まっちゃん、ただひたすらにイヤなヤツという部分の印象も、予想通り深まったけど、同時にプロの凄さというのも予想通りに見せてくれた。
 双子の兄(弟?)がいるとか、体格的なコンプレックスとか、まあいろいろ理由はあるのかもだけど、性格の悪さはともかく、プロとしての彼の発言には誰も反論できないっていうのは事実だよなあと。
 その辺りがあるからこそ、自分のチームの控え室にまでわざわざやって来て、自分のwelterの選手を、まっちゃんに面と向かってバカにされても、その場ではとりあえずまっちゃんとケンカするようなことをりっちゃんはしないんだろうなあ。
 まっちゃんが性格の悪さを剥き出しにすればするほど、それでも敬意を払われるまっちゃんの凄さ、というのを思い知る羽目になる。
 ってか、基本選手とか弟子に当たる人たちを格下に見てるせいなのか、頭を撫でたりする仕草がわりと多くて、HWの背の高い選手の頭を撫でたり肩を叩いたりしてるのに、うっかり萌える。おまえら可愛いねーと言う感じなのが萌える。優しいお父さんな顔つきにも萌えた。
 まっちゃん萌えで、Sammyが準決勝でLuke Cummoとやった時に、これが初戦のSammy、試合の方向が読めず、ダークホースのLukeを下せるか!と思いかけたところで食い下がったけどやっぱりダメだった。KOされて失神したSammyのところに素早く駆け寄ったまっちゃん、気がついたSammyが負けたと瞬時に悟って動揺するのに、「いいから大丈夫だから、誰でも負けるし、オレだって同じ目に遭った。みんな誰でも1度は負ける。オレだって負けた。心配しなくていい、大丈夫だから。おまえは一生懸命やったんだ、それで充分だ」ってすごい、もう信じられないくらい優しい声で言ってて、Sammyの首やら胸やら撫でながら、Sammyが我慢できずに泣き出したのに、ずっと声を掛け続けてた。
 控え室に行った後も、ずっと泣いてるSammyを、仕方ないなあという感じの笑顔で辛抱強く慰め続けるまっちゃん。いつもの性格悪さとの落差にびっくりして、うっかり惚れそうになったorz
 いやもうあれは惚れるだろ! あんな弱った時にあんな顔と声で慰められたら恋に落ちるね! 一生まっちゃんに着いて行く!とか思っても責めない。
 りっちゃんは、うっかりマジで惚れそうになる。りっちゃんかっこいいよりっちゃん。
 りっちゃんは初めて見た試合がAndersonたん相手で、手も足も出ずにあご蹴られまくってた姿が印象的だったので、しばらく後までそんなすごい人と思わず、最近になって以前の試合とか別の試合とかを見て、うおりっっちゃんすげえ!になってる。
 厳しい人だけど、基本思いやりの深い、きっちり必要な分だけ世話焼きになれる人だと思う。まあ元高校教師(しかも数学!)なので、ようするにおバカな生徒の相手するのには慣れてます、なのかもな。
 まっちゃんがうぜー親父なら、りっちゃんは頼りになる兄貴って感じ。りっちゃんも選手たちの頭を撫でたりとか、そういう仕草にハゲ萌える。
 まっちゃんと並んでなんか話してるとか、そういうところでも何か、チャンピオン同士にだけ通じる空気みたいなのがあって、何かいい感じだった。
 個人的には、あるゲームの時に、やったら選手が体を痛めるからとりっちゃんが棄権した時に、まっちゃんの肩越しに、「ウチは棄権させてもらう」って言った時の、ちょっとしてやったりな感じの表情がお茶目で可愛かった。
 そしてこのゲームに参加するはずだったりっちゃんチームのJorgeが、棄権に腹を立てて(先にやったまっちゃんチームのJoe Stevensonをライバル視してたので)、相棒になるはずだったHWのBrad Imesになだめられてるところがまた何か体格差のせいか(175cm対2m、でも実際は多分もうちょっとある)、お父さんになだめられる駄々っ子みたいで可愛かった。
 そしてらっしゃん、詳しいことは知らないけど、どうやら8人とか兄弟姉妹がいるらしくて、長男に近い方なのか真ん中なのか末っ子側かはこれまた不明だけど、どうもそういう育ち方で、ごく自然に誰かの世話をする人になってしまうみたいで、試合当日の誰かの荷物を持ってあげてたり、脱落して去ってゆく誰かが荷物をまとめるのを手伝って最後まで見送ってたり、自分以外唯一黒人選手の、自分よりかなり若いMelvinの髪をバリカンできれいに刈ってあげてたり、初戦だったTomの髪も刈ってあげてたり、何このお兄さんキャラ。
 荷物をまとめる時も、シャツとかちゃんとたたんで丸めて詰め込んでるのを見て、荷作りに手馴れてるのか、自分用のスペースが少ないので整理整頓が身に着いてるのか、どっちだろうと思った。
 何か話す時も、他の選手にありがちな自分がいかに強いかを延々と語る(説得力はほとんどない)のとは対照的に、基本人間観察好きなんだろうなあという、そういう意見を述べる感じが多かった。
 大学で心理学やったせいだろうと思うけど、思った通り、「オレの挑発的な態度は、Matt Hughesに学ばせてもらった」(半分くらいは多分皮肉)って言ってて笑った。
 かと思うと、Mike戦で右拳を痛めて、腕を吊った格好で病院から戻って来て、「試合には勝ったけど・・・もう戦えないって言われたんだ、オレはもうダメなんだ」って泣いた振りでみんなを驚かせたとか、そういうお茶目なところが可愛いじゃないか。らっしゃんのこの冗談に引っ掛かった時に、どのチーム関わらずみんなが本気で心配そうにしてたのが印象的だった。
 まっちゃんに対する、あんまり口にはしない(少なくともテレビでは見えない)反感のせいか、チーム間での敵対心というのはそれほどでもなかったみたいで、個人的にライバル視云々はあったみたいだけど、相手チームの不幸は蜜の味、という感じがまったくなくて、そういう点がTUF2はさわやかだったなあ。
 そう言えば、とてもらしい感じに、ボクサーか何かの大型犬を飼ってるらしい。奥さんはわりと小柄な、すごいシャープに可愛い感じの人だった。照れくさそうに、「もうすぐ婚約するんだ」と言ってたらっしゃんがラブリー。
 
 もうひとつ、チーム同士の競争っていうのは、生き残り戦というのもあるんだけど、自分より弱い選手を確実に叩き落して自分が生き残る、というそういう流れに持って行くためのものらしくて、それについてDanaたんが、「今季は、UFCとの契約のために勝ち抜くことよりも、ライバル同士でオレの方が強いんだという証明をしたいと言うことが主眼になりがち」と言ってて、ああなるほどなあと思った。
 何ていうか、上を見るよりまず下を見ろっていうか、「まずは真の己れを知れ」ということか。
 自分と同程度の実力と思うのは大抵実力が上で、自分より格下と思うのはまず間違いなく同程度の実力、というのはどの世界でも同じなんだなあ。
 上に上がるためにこそ、まずは自分の正しい立ち位置を知れ、ということなのか。
 TUFというのは、こちら側からは見てて楽しいただのドラマだけど、中にいる選手たちにとっては、自分を知るためのチャンスなんだなあ。
 何ていうか、深いよなあ。

 それともうひとつ、これはこいつの自分勝手な印象。
 ただの偶然かもだけど、黒人選手のMelvinとらっしゃんは、両方りっちゃんのチームだった。そして比較的肌の浅黒いJorgeも。
 まっちゃんはわりと敬虔なキリスト教徒みたいで、それと何か関係があるのかどうかは知らないし、多分関係ないと思いながら、まっちゃんは真っ当な意味で偏狭なのかと思う。
 普通程度に、見掛けが違う、宗教が違う、しゃべる言葉が違う、文化が違う、という辺りに、素直に偏見があるのかなと。普通ならそれを取り繕うところを、まっちゃんはもしかして取り繕う気がない人なのかなと。
 徹底したプロ主義でありながら、それでも100%は実力だけで人を判断することはしないのかもしれない。
 これはむしろ、こいつの、まっちゃんに対する偏見かもしれない。TUF2を見ながら気になった、そんなこと。

 いや面白かったなTUF2一気見。Spikeは他のシーズンも同じことやってくれるといいと思う。
 今季はらっしゃんがコーチだぜ! 来週から始まるぜ! 楽しみだぜ!


- Tor News v1.43 -