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映像と音楽
2004/08/03(Tue)
 あるところで、夫が行方不明の人妻に、若い男が恋をして、まずは人妻が、その後若い男が雨の日に消える、後に残された若い男の妹と、彼女の友人の述懐、というような話を読んだ。
 それぞれの登場人物の想いは、それぞれ一方通行で、話を読みつつ、あまりの切なさに何度もため息。
 これを、ある人がフラッシュアニメにして、音楽と雨の音をつけたのを見た。
 ・・・切なさ倍増。
 音楽は、ピアノなのだけれど、泣くかと思うほど、切ない。
 そんなこんなで、フラッシュアニメを繰り返し見つつ、最後は音楽だけ聞きながら、ひとり、人を恋うることの切なさに、思いを馳せたりする。
 話だけで充分切ないのだけど、音楽がつくと、これでもかこれでもか!って感じで・・・。
 自分が、いわゆる創作というものに関わったのは、おそらく映画が最初だと思う。
 実際に自分でものを創り出す、ということを始めたのは、文章を書くということだったけれど、それ以前には、いわゆる映画という経験がたくさんあったように思う。
 もちろん映画以前に、本も読んでたし、マンガも大好きだった。
 でも、本にもマンガにも、音楽というものはあまり関わって来ない。自分が、音楽というものに、知らないうちに魅かれていたのは、やっぱり映画の影響だろうなあと、この切ないフラッシュアニメを見ながら思った。
 特に洋画だと、映像、音楽、そして字幕という、台詞というか文章というか、そういうものまで含まれる。
 いわゆるサントラを初めて買ったのは、かの「プラトーン」だった。主題に使われたクラシックの曲が大好きで、他に使われてた、いかにも60年代のポップというか、ヤバげな音も、あの頃の自分には衝撃だった。
 「プラトーン」は結局、字幕をそらで覚えるくらい、劇場で何度も見返して、良くも悪くも、自分の内側の一部を形成する映画になった。
 大人になって見返して、あれは戦争映画ではなくて、青春映画だったんだなあと、悟ったけれど。だからって、映画それ自体の魅力が半減するわけではない。
 考えてみれば、昔は映画といえば音楽、というか、禁じられた遊びとか、太陽がいっぱいとか、ゴッド・ファーザーとか、スター・ウォーズとか、音楽を聴けば、「ああ、あの映画!」と思う作品はいっぱいある。
 それが、こいつだけの傾向なのか、それとも映画一般が、あの頃はそういうものだったのかは、よくわからないけれど。
 映画=音楽、というのは、そのまま他へもスライドして、こいつは色んなものを、音楽を中心にして記憶してることが多い。
 最近、古いアニメなんかを見返して、映像そのもの、ストーリーそのものはもちろん、音楽がとても印象深いのに驚く。
 「ジャイアント・ロボ」(GR)は、作品自体は知らなかったけれど、見てみたら、音楽がゴージャスなことゴージャスなこと。声優陣もものすごいけど、良い意味で、金にあかせて作ったアニメ、という感じ(笑)。
 それからもうひとつ、リアルタイムではまったく記憶にない、「装甲騎兵ボトムズ」。
 GRも、とにかく印象深い台詞がいっぱいで、それだけでもワクワクドキドキするのだけれど、「ボトムズ」は、陰鬱な音楽と映像と、それから、やたらハードボイルドの匂いのする次回予告が何とも言えず。
 「ボトムズ」は、Bottoms(軍隊の歩兵、最下層)という意味かと思ったら(←これもおそらく含んでると、勝手に思ってるけど)、ちゃんとVartical One-man Tank for Offence and Manever、攻撃と機動のための直立一人乗り戦車、VOTOMSという略称だと、検索かけて知った。
 かっこいいというには非常に地味な、無骨なロボット(一人乗り戦車)がたくさん出てくる。
 こいつにとっての戦闘ロボットアニメというと、コンバトラーV、マジンガーZ、それにもちろんガンダムとか、ああいうかっこいい系のロボットばかりで、あっさり壊される使い捨ての戦闘ロボット、というのは、常に敵側のものであるはずなんだけど、「ボトムズ」では、主人公が乗ろうと誰が乗ろうと、基本的にただの使い捨て。
 フォルムの無骨さは、宮崎アニメの「ラピュタ」を思い出させる。
 前述した通り、こいつの中での戦闘ロボットは、かっこよくて、美しくて、全壊は絶対にしない、というのが前提だったのだけれど、「ラピュタ」を見た時に、戦闘機や、それに類する武器が、ものすごく醜悪なのに驚いた。
 武器というのは、機能美にあふれていてもおかしくないと思うのだけれど、その美に惑わされて、戦争したがるのは本末転倒なんだろうなあと、「ラピュタ」を見つつ思った記憶がある。
 「ボトムズ」の陰鬱な音楽に乗りつつ、どんどん泥沼化してゆく戦いを眺めていて、まだこの頃には、戦争というのが身近にあったんだなあと、ちょっとしみじみ。
 「ボトムズ」より数年早い、1979年作の「サイボーグ009」も、やたらと戦争とか平和とか核とか、そういうのが強調されてて、見ながら、そういう時代だったんだなあと、懐かしさもあり、ある意味切なさもあり。
 とか言いながら、ポイントは、映像と音楽だったりするんだけど(苦笑)。
 いや、昔の映画もアニメも、良かったなあとか(笑)。
 脚本とか演出って、ほんとに大事だなあと、最近の作品とこの辺りを見比べて、思う。
 「ボトムズ」見終わったら、今度は「ガンダム」。アニメばっかり見てるなあ(笑)。でも、音楽と映像と脚本のレベルが高い作品は、見ててとっても楽しい。



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