文章修行家さんに40の短文描写お題
文章修行家さんに40の短文描写お題


00. お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。
みの字/Strangely JoJo's
ちゃんと終われてよかった・・・。
CP混在ですので閲覧にはご注意を。承花、ウェザ承、ディオジョナ。


01. 告白 (承花)
ふと触れた制服から伝わるぬくもりに、こっそりと喜ぶ日が来るとは思わなかった。口にするには、まだ勢いの足りない気持ちだけれど。

02. 嘘 (承花)
君のために、僕は最期にひとつ嘘をついてゆこう。君が、僕を忘れてくれるように。僕を忘れて、幸せになってくれるように。

03. 卒業 (承花)
第二ボタンのない君の胸元に、腹の傷跡が痛んだような気がした。それが恋だと、僕はまだ気づかずに、仕返しのように君の鎖を引っ張った。

04. 旅 (承花)
ただ踏み固められただけの道の上に、影がふたつ並ぶ。舞い上がった埃をよけて、ひと回り小さな影が、胸の辺りに収まったのを見下ろしている。

05. 学ぶ (ウェザ承)
掌に収まる、こんな小さな機械の中に、大事な人がいる。動いて、ぎこちなく微笑みかけてくれる。壊さない内に、早く使い方を覚えよう。

06. 電車 (承花)
分け合ったウォークマンのヘッドフォンから流れる曲に合わせて、君が軽くリズムを取っている。僕はその横顔を、じっと見つめている。

07. ペット (ウェザ承)
エンポリオが拾ってきた白黒の猫を見て、猫ならいいとぼそりという横顔に、微かな苦痛のようなものが見えたわけを、まだ知らない。

08. 癖 (承花)
喫煙なんて、ただの悪癖だと思っていたけれど、煙草の匂いのするキスが、それほど不愉快ではないことに、こっそり驚いている。

09. おとな (承花)
大人びてはいても大人に見えないのが、学生服のせいではなくて、まだ頼りない背中の表情のせいだと気づかない、稚ないふたりだった。

10. 食事 (承花)
片付けようとしたグラスの縁に、横に広い唇の跡が残っているのを見つけて、まるでほんものに触れたように、どきりとして指先が止まる。

11. 本 (承花)
図書館で手にした本の貸し出しカードに、君の名前を見つける。そうして、僕の知らない君の、足跡を追いかけているのだと知る。

12. 夢 (承花)
君の絵を描いて、そこに君についての詩を添えたいと思っていたのだと、そう言ったら君は笑うだろうか。最期の瞬間に思ったことだ。

13. 女と女 (承花)
前を歩く女ふたりの影は、隙間もなく合わさってひとつになっている。おれたちのはどうだと、白い息を吐きながら、左足を斜め前に出す。

14. 手紙 (承花)
手紙が届かない場所というのがあるのだ。ペンも紙も封筒も切手も、何もかもが揃っていても、出せない手紙というものがあるのだ。

15. 信仰 (承花)
悔い改める。君のおかげで。神を信じる必要はなく、それでも信じる何かが必要だと言うなら、僕は君を信じよう。無言の、その背中を。

16. 遊び (承花)
後部座席の時間つぶしにと始めたしりとりは、単純だけれどひとりではできない遊びだと、砂漠が夕焼けに染まる頃に気がついた。

17. 初体験 (承花)
誰かを抱きしめるということは、抱きしめられるということでもあったはずなのに、濡れた冷たい体が、今はただだらりと腕の中にある。

18. 仕事 (承花)
空は青い。その青さを受けて輝く海は翠色だ。その色が交じり合うところまで行こう。黒など微塵もない身なりで。それがおれの役目だ。

19. 化粧 (承花)
死人の肌の色は隠せても、腹に空いた大穴はふさがらない。腹から流れた血の味が、舌の上に苦い。灰に触れた指先は、乾いて白い。

20. 怒り (承花)
青白い光が、ゆっくりと肩の辺りに漂う。足元から風が吹き上がり、学生服の裾を揺らす。我を忘れた世界には、ただ無音が満ちていた。

21. 神秘 (承花)
薄青い涙の色は、流れる血と混じって紫に変わる。それを止めようと、翠の光が伸びる。引き止める腕に抱かれて、もう一度息を吸った。

22. 噂 (承花)
しとやかででしゃばらず、大和撫子を絵に描いたような彼女がいるという噂だ。一体誰のことかと、花京院は耳にするたび、ひとりで笑う。

23. 彼と彼女 (承太郎)
あの子とあれは、年の離れた姉弟か、若すぎる母と子のように見える。あの男とあれは、相応に恋人同士のように見えるのが、忌々しい。

24. 悲しみ (ウェザ承)
心の中に抱えた空洞ごと、いとおしくて仕方がない。そこに満ちたままの悲しみを消したいのではなく、それごと、抱きしめてしまいたい。

25. 生 (承花)
失われた者が、世界から忘れ去られてしまわないように、そのために生き続ける。逝ってしまった者たちを、生かし続けるために、生きる。

26. 死 (承花)
どれほどねじくれた存在であろうと、死を避けられるなら、その血をすすることも、その肉を食らうことも厭わない。けれどそんな力はない。

27. 芝居 (承花)
パンフレットを、別々に買う必要はない。それはもう、僕だけのものでも、君だけのものでもなく、これからは、僕らふたりのものになる。

28. 体 (承花)
僕のシャツでは、ボタンがとまらないという君の首元へ、僕は背伸びをしなければ届かない。君の首は太すぎるし、指先は大きすぎる。

29. 感謝 (花京院)
死ねるのは、ちゃんと生きていたからだ。ただ呼吸をして、時をやり過ごしていたわけではなく、何かを為すために生きたから、死ねるのだ。

30. イベント (承花)
君がセイラさんを探していても怒らないから、僕がサクラさん姿の女の子を見てるのに、今日だけはヤキモチを焼かないでいてくれないか。

31. やわらかさ (承花)
掌に乗せてほのかに温かかったあの少年の体が、次第に熱を失って行ったのと同じに、心が冷え固まってゆく。やわらかく、腐り落ちてゆく。

32. 痛み (承花)
抱き上げた最初から、やわらかさなどなかった。ガリガリに痩せこけた冷たい体を見下ろして、涙を隠す僕の背を、君がただ黙って撫でる。

33. 好き (承花)
死んでしまいそうだ。呼吸が続かない。熱ばかり上がる。風邪じゃない。違うから、近寄って来ないでくれ。医者なんかには治せないんだ。

34. 今昔(いまむかし/ディオジョナ)
抱いている間に、皮膚も肉も食べてしまった。つるりと乾いた白い骨に、あの面影はうまく浮かばず、すすった血の味も、もう思い出せない。

35. 渇き (承花)
汗も息も混じり合わせて、まるで食い合うように抱き合っているというのに、まだまだ足りない。空腹の胃の裏の闇は、永遠のように深い。

36. 浪漫 (ウェザ承)
あの海は、蒼色に星が満ちているという。それを眺める、濃い深緑の瞳を思い浮かべる。その瞳に映りたいと、必死な自分をひとり笑う。

37. 季節 (承花)
舗道を、桜の花びらが覆う。目を落とす爪先が、その色に照り映える。根元に埋まった死体の咲かせるその花を、またひとり見上げている。

38. 別れ (承花)
去ってゆく背中の、そこに揺れる長い制服の裾は、きっともう見れないのだと思った時に、今だけのはずの別れを、初めてつらいと思った。

39. 欲 (ウェザ承)
壁に手首を縫いとめて、短い時間に精一杯奪う。まだ抱き返しては来ない腕に、ひっそりと焦れる。せき止められないこれは、まるで少年の恋。

40. 贈り物 (承花)
君が差し出してくれた空の掌の上に、君の真心が見えたような気がした。その手を握って、僕らは、同じ空を仰いで、一緒に前へ進んでゆく。


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