12/12 - 011.背中合わせ
一緒に過ごす週末、同じ部屋で、君はギターを弾き、僕は本を読む。12/13 - 022.向日葵ときみ
どの花よりも背高く、太陽に真っ直ぐに向くひまわりの君が、地面に作る影にひっそりと咲く、花もつかない雑草でいい。12/14 - 101.返却期限
「ああああ、図書館の本を返すのを忘れてた!」12/15 - 012.キスの温度
思ったよりも乾いていて、春の頃にぬるんだ海の水と同じ温度だと、なぜか思った。12/16 - 039.夏がまた来る
誕生日を数える。世界を救って生き延びた後で、それはとても大切な日になった。12/17 - 096.文庫本二冊
純文学のその本に挟んだ和紙の栞には、優しい色合いの紐がついていた。12/18 - 112.三分砂時計
小さな白木の、緑の砂の砂時計。12/19 - 139.プロポーズに代えて
「家を買うぞ。庭付きで、プールはいるか?」12/20 - 222.甘くない飴
咳が1日中続いた翌日、教室までやって来た承太郎が差し出したのは、ハッカ味ののど飴だった。12/21 - 146.しあわせ120円
ポケットの小銭を数えて、夏ならポカリ、冬ならコーヒー、分け合う通学路の途中。12/22 - 162.水彩絵の具
深く濃い緑の、そして透き通る瞳の色を出そうとして、どの色をどれだけ混ぜたものかとパレットの前で思案する。12/23 - 384.いたみだけがのこる
恋と言うのは楽しくて幸せなものだと思っていたけれど、案外と苦しいばかりなのだと、初めて知った。12/24 - 415.抱きしめればわかる
不慣れなのはお互いさまだ。どこへ落ち着こうかと迷う腕と掌と、そうしてやっと息を吸い込む、互いの体温の中。心臓の音が重なる。触れ合うためにこそある、互いの腕の長さ。12/25 - 349.終わりのときは
口にすれば陳腐なだけだったから、無言で向き合って、そうして、別れの言葉は避けたままだった。ブラウザの戻るで戻って下さい。