伝えたいことなんか、何にもないよ。ないんだよ。届かないから、届けない。
ぐるりと回れば世界は変わる。僕にとって都合も悪く。
壊してしまいたいのに瓦解出来ない僕らの不十分な悲観的関係性。
力尽きた僕は朽ちるように、君の中へと還っていく。いつか再び孵るまで。
狂おしけれど苦しみ抜けど、届かぬ貴方は遠すぎて。
暑さを抱き、寒さで抱かれ、内包していた想いの温度は過熱気味。
思いの深さで貴方を沈めよう。溺死レベルの愛情狂い。
だって、だって好きなんだ。壊れてしまいそうだよ。
君の名前を呟く度に僕の中に刻まれるのは、愛。
それなのに、君は一度だって僕を疑いはしないんだ。
大丈夫だよ、なんて、強がりで塗り固めて泣いた夜。
凍りついた地の果てまで追い詰めてでも愛してあげる。
思い出して。あの日の気持ちを、あの日の言葉を、あの日の勇気を。
君に届くならどれだけだって手を伸ばしたよ。けど初めから、無理だった。
表面だけをなぞるなら、いっそ拒絶してくれればいい。
貴方に出逢えて、傍にいられて、本当に本当に、幸せでした。
そんな意志は砕けてしまえ。捨てられた恋になんて別れを告げて。
真実なんて、誰も知らない。ほんとうなんて、教えない。
無知であることは最大の罪であり、時に祝福される最大の咎。
いっそ突き放してくれるなら、哀しいながらに幸せだったろうに。
世界は狭く僕だけの色に満ち満ちてそれだけで十分だった筈なのに。
刻まれていった時間は、決して戻っては来ないけれど。確かな証に。
夢を見ていたんだ。君と笑いあっていたあの頃の。ありえなかった、夢を。
今日と云う日を置き去りにして、僕らは永遠に混じることのない世界を終える。
ぐつりと煮えた、覚えのない感情は、あぁ、あぁ、きっと僕に向けられた。
深い深い雪の下に、潜んでいるのは恋心。芽吹くことない片思い。
森の中で迷いましょう。帰る場所など要りません。
そっちへ行ったらいけないよ。戻ってくる方法なんて、どちらにしろないんだから。
ずれて崩れているんです。きっと、綺麗には壊せない。
僕はきっと、君が思うように弱いけれど。それでも、君を守りたいんだよ。
その姿を永遠にしよう。美しく、無垢なままの君を閉じ込めよう。
僕のことをバラバラにして、あの人たちに分けてください。
重ね合わせた指先がはぐれてしまうよ。そんなに急いでいかないで。
やめて、やめて、そんな風に。そんな顔した貴方なんて、見たくなかった、のに。
痛ましいなんてお云いなさんな。あんなに幸福そうじゃないか。
悪いのは、貴方。貴方なの。貴方だけを見ていた私を裏切った、貴方。貴方、が。
あぁ、あぁ、愛しいね。こんなにもこんなにも、君ばかりが。
掬い上げられた僕の心は、余りにも不鮮明で、悲しげな色。
思い出せなくなるくらい、いつかは遠くに消える僕らを、
もう少しだけ傍にいてよ。時間をかけて慰めてよ。ひとりは寂しいって云ったじゃない。
頑張って、口を噤んで返事を待つよ。すぐさまにでも君への愛を呟きたいけど。
出逢えたことは奇跡なのに、別れることは必然だなんて君は云うのかい?
花が咲いたら、貴方に会えるね。ずっとずっと、待っています。
光がつぅっと降りてきた。私に向かって、そっと、そっと、そっと。
聖なるかな、聖なるかな、その歌声は、今も今も響き響いて。
悲鳴を飲み込んで耐えて耐えて、過ぎてしまえば、それすらも悦びに変わる。
泣かないで、大丈夫、僕がいるよ。見えなくても、傍にいるよ。
辛いことなんて何もないよ。君がいなくなったあの日から、何も。
僕は君を壊してあげよう。君が僕を恋わしたから。
甘い甘い恋に堕ちよう。苦い苦い現世など忘れて。