情愛は、時に狂気へと姿を変える。
貴方に恋した、それが過ち。
哀しいまでに悲しいほどに、焦れた人はもういない。
呟くだけで涙が滲む誰かの名前。
呼んで呼んで呼んで、届くわけもないのに。
好きだよ。好きだったよ。今だって、ずっと。
ごめんなさい。嫌いにならせてください。
まるで常識のように存在した感情。
罅割れた神経で考えるのは終わりの言葉。
潰えた気持ちを踏みつけて、どうか嘲って頂戴。
泣けばいいんですか、泣いたら何か変わりますか。
幸せになってね、と夢の中でアナタが云った。
王子様。そんなのいないって知ってるよ。
触れたはずの指先は、硝子窓を曇らせた。
触らないで。届かないはずの距離に期待してしまうから。
私の奏でた旋律は、酷く憐れに部屋を満たす。
雨音が消してくれたのは嘘泣きの痕跡。
さよなら、わたしはあなたがきらいでした。
恋だの愛だの、軽々しく云えるくらいに好きだった。
世界中の何が嘘でも、この気持ちだけは真実だって思ってたのに。
誰しもにとって、僕は罪人なんです。だって全てが虚構だから。
このまま、手を繋いで。僕ら、消えてしまおうか?
勝敗よりも気にすることは成功。いつだって、うまくいかないから。
僕は君を連れてゆく。ゆけるのなら、どこまでだって。ずっと。
嘘で塗り固めたコトバで、自分自身を騙してゆこう。
永遠が存在しないように、瞬間も消えてしまうなら。あと、少しだけ傍に。
何でもします、何でもするから。貴方の傍に、いさせてください。
高望みの価値観。もっと楽に生きていけるなら、捨ててもいいですか。
この道の先、もう二度と交わらぬよう。永遠のお別れを。
踏み外したいと云うのは願望。誘うのは誘惑。さぁ、おいで?
赤が滴る情愛の、全て全部を貴女に捧げ。そしてそれは、
数滴の絵の具を落としたところで変わらずに、暗鬱と垂れ込める。
この指先を離れて、生まれる分身など。捻り潰してしまいたい。
楽観的なことは、馬鹿らしい。悲観的であることは、愚かしい。
終末と終焉に誓い給う。唯一、絶対の貴方だけに生きることを。
天秤はいつでも簡単に君に振れる。計測の必要性がないくらい。
嘘も偽りもないくらいに、真実だったことがどうしようもなく悔しくて。
何でもするし出来るけど。どうせ報われないことも知っている。
こんな平和な時間さえ、うずうずと削いでゆくのだろう。
優しく抱きしめてこの骸を。その口づけのすぐ後に。
君のことを考えると何も手がつかないなんて、空笑うロマンチズム。
当然であること、そうでもないこと。些細である差異。
ありがとうなんて、気色が悪くて気味が悪くて。聞けやしない。
残酷な優しさに満たされて、抉られてゆく私の心。貴方に。
しあわせです、しあわせです。そばにいられることが、こんなにも。
無知であることなんて。羨ましいわけでなく、疎ましいだけだった。
そう在ることが当然だと、受けて流して止め処なく。冷え冷えと。
あの人が、届きそうなんだ――そう云った顔が、初めて笑って見えた。
感情なんてものはあまりにも混沌で、波に紛れて霧散するから。
進んでゆく道標、育ててゆく心、歩いてゆく道上、育んでゆく意。