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牧場物語・ルーンファクトリー総合エロパロ
87:氷原に咲く花(1) 1/7 2009/12/22(火) 22:32:49 ID:xnK8FvEo [sage] 「ん〜、ふわぁ」 マイスはいつものように目を覚ました。 記憶を持たずにシアレンスの街に来てから半年以上、ようやくここの生活に慣れた気がした。 初めは大樹で農作業をしながら生活することに色々戸惑っていたけど、今はそれが当たり前になってしまっている。 もしかしたら自分は昔もこういう風に過ごしていたのかもしれない。 「…なんてね」 そんなことを考えながらふと横を向くと 「すぅ…」 ソフィアが眠っていた。 一瞬、頭が真っ白になる。 次の行動までしばらく時間がかかった。 「…ソフィアさん! なんでここにいるんですかっ!」 やっとの事で言葉をはき出す。 でもそんな怒鳴り声もソフィアには効果がないようだ。 とりあえず肩を揺さぶってみることにした。 「ソフィアさんっ!!」 「……ん…」 彼女はそのまま上半身を起こして、 「………おはよう」 そのまま倒れて寝てしまった。 「…いや、『おやすみ』じゃないですよ! 起きてください!」 再び肩を揺するが、どうしても起きない。 「はぁ…」 どことなく、ため息が洩れた。 途方に暮れながらソフィアを見た。 目に入ってくるのは彼女の赤みの入った唇、少し乱れている服、程良くふくらんだ胸、 「………」 何というか、色々危険だった。 マイスも男、自然と顔が赤くなる。 …いや、それよりも重大な問題があった。 せっかく交流祭を開くなどして街の一員になれたというのに、女性を連れ込んだと思われたら色々まずい。 多分おそらく何もしていないけど、街を追い出される可能性だってある。 今度は対照的に顔が青くなる。 そんなこんなで色々考えている内に、根本な問題に行き当たった。 「…ソフィアさんがなんでここにいるんだ…?」
88:氷原に咲く花(1) 2/7 2009/12/22(火) 22:36:59 ID:xnK8FvEo [sage] ひとまず問題は後回しにして、買い物に出かけることにした。 (今日は色々収穫したから、種もたくさん買わないと) そう考えつつも、どうしても思考が別方向を向いてしまう。 「はぁ…」 思わずため息がこぼれた。 「…どうしたの?」 ちょうど会計の時だったので、カリンが尋ねてくる。 でもその顔は「私の専売特許取らないでよ」と言っていた。 「いや…」 そう答えつつ、マイスに名案が浮かんだ。 確か彼女とソフィアは親友だから、何とかしてくれるのかもしれない。 「…わかった」 理由を話すとカリンは引き受けてくれた。 でも面白くなさそうな表情をしている。 「…どうしたの?」 気分を害したのかと思いあわてて尋ねても、「別に…」と答えるだけだった。 「…じゃあ、しばらく経ったら大樹に来てね」 「分かりました、ありがとうございます」 そう言ってマイスは店を出た。 後ろでカリンが複雑な表情をしていることには気付かなかった。
89:氷原に咲く花(1) 3/7 2009/12/22(火) 22:41:46 ID:xnK8FvEo [sage] 「…で、どうしてこうなったんですか…?」 額に怒りマークを出さないように努力しながら、マイスが尋ねる。 「…寝た子は起きにくい」 多分カリンが呼んだであろうトゥーナがそうつぶやく。 「…よくあるわよ、多分だけど」 カリンも同意見のようだ。 「…それだけでこうなるんですか?」 もはやあきらめの境地にたどり着いたマイスはため息をついた。 部屋に置いたぬいぐるみはあらぬ方向に転がり、ベットは完全にひっくり返っていた。 「いろいろあったのよ…」 「うん…」 よく見ると二人も疲れているようだった。とりあえずこの件もう聞かないことにした。 「……さて」 三人で先ほどから黙ったままのソフィアを見た。 「何があったんですか?」 代表してマイスが尋ねる。 「……するなって…」 震えた声で答える。 「え…?」 「…お父様が私にお見合いするなって!」 こんな時でも彼女の言葉は真逆だった。 それでも叫ぶような声には少し涙が混じっていた。 「…お見合いって…」 意外な答えに三人とも固まってしまう。 「そろそろ結婚すべきだからって……私のことを考えて…」 そのまま押し黙ってしまった。部屋に静寂が広がる。
90:氷原に咲く花(1) 4/7 2009/12/22(火) 22:45:57 ID:xnK8FvEo [sage] 「…それでも、」 沈黙を破ったのはマイスだった。 「一度、家に帰るべきだと思いますよ」 「……え?」 ソフィアが顔を上げてこちらを向いた。目には涙が光っている。 「ドンチャコスさんもソフィアさんのことを心配してそう言ったんだと思いますよ。 それを話さずに逃げて来ちゃ駄目ですよ。ちゃんと話すか、 お見合いしてそれから決めたって良い…」 言葉は最後まで続かなかった。 バシッという音の後に頬に痛みが襲ってくる。 一拍おいてソフィアがはたいたものだと気付いた。 「…バカぁっ!」 ソフィアはそのまま大樹から飛び出してしまった。 突然の行為に誰も動けなかった。 「…あの、もしかして僕なんか悪いこと言ってしまいましたか…?」 数秒の後、マイスは尋ねた。 「…悪くはないと思う、けど…」 俯きながらトゥーナが答えた。 「……ソフィアは多分、もっと別のことを言って欲しかったんだと思う…」 カリンもそれに続く。 「……」 マイスはそのまま黙り込んでしまった。 そのままでしばらく時が経ち、 「…早く追いかけなさいよ」 カリンがこちらをにらんできた。 「早く」 トゥーナも同意見らしい。 「…はっはい、探してきますっ」 そう言うとマイスは部屋から出て行った。 「……いいの?」 二人だけになった空間にトゥーナの声が響いた。 「…良くはないけど……仕方ないでしょ……?」 虚ろにカリンが答える。 なんだかおかしくなって、二人で苦笑してしまった。 「はぁ……」 マイスはため息をついた。 飛び出したまでは良かったものの、何処に行ったのか全く見当が付かなかった。 でも、なんとしても見つけなくてはいけない気がした。 それがどうしてか、何故そうしなければいけないのか分からなかったけど、それでも… マイスは走り出した。
91:氷原に咲く花(1) 5/7 2009/12/22(火) 22:49:23 ID:xnK8FvEo [sage] ……どうしてこうなっんだろう? 雪が降りしきる中、氷原の花に寄りかかりながらソフィアはそんなことを思った。 自分の未来を決められてしまうのが嫌だったから、昨日家を飛び出した。 そして気付いたときには大樹の家にいて、そのまま布団に潜り込んでしまっていた。 どうしてマイスのところだったのかは分からなかった。匿ってもらうだけなら二人の親友のところでも良かったのに。 『マイスのこと、どう思っているの?』 いつだったか、カリンが聞いてきたことがあった。何故か彼の目の前で。 あの時とっさに答えられなくて、そんな自分がおかしいと思った。 …何となく、さっき飛び出したときの自分と似ている気がした。 私は、どうしてしまったんだろうか? 頭で考えようとしてもなんだか働かない。 それになんだか眠くなってきた。 もうどうでも良いじゃないかと頭のどこかで誰かがささやいた気がした。 そうだ…このまま…… 誰かの声が聞こえた気がしたが、ソフィアはそのまま目を閉じた。
92:氷原に咲く花(1) 6/7 2009/12/22(火) 22:50:15 ID:xnK8FvEo [sage] 次に目を覚ましたのはどこかの部屋だった。ここは確か… 「……大樹の…家?」 何となくつぶやく。その声に反応したのだろうか、誰かが駆け寄ってくる。 「ソフィアさん、目を覚ましたんですね。よかった…」 そう言って胸をなで下ろすマイスはとても疲れているように見えた。 「私……」 体を起こそうとしても動かなかった。それに、なんだかとても寒かった。 「氷原に倒れていたんですよ。ほんと見つけられて良かったですよ。」 …ああ、わたしはあのまま眠ってしまったのか。 そんなことを思っているとマグカップを差し出された。 「…あの、こんなものしか出せなくてすみませんが…」 マイスが申し訳なさそうな顔で言う。別にそんなこと気にしなくても良いのに。 そう思いつつ、マグカップを受け取ってゆっくり飲む。 「…おいしい」 体の隅々まで暖かさが広がる。ただのホットミルクなのに、とても美味しく感じられた。 「…すみません」 何故か彼の表情がさらに暗くなる。そういえば… 「…ううん、そうじゃなくて……ほんとうにおいしかったの」 反対の言葉が出なかった……出したくなかった。 「……あの…ごめんなさいっ」 不意にマイスが謝ってきた。 「……え?」 どうして彼が謝るのか分からなかった、迷惑掛けたのは私なのに。 「僕が失礼なことを言ってしまって……」 「…ううん、謝らなくちゃいけないのは私だから…」 「……良かったです。ソフィアさんを傷つけてしまったんじゃないかなと心配で…」 …ああ、そうか。 何となく分かった気がした、さっきの自分の問いかけが。 心が温かくなってくる気がする。何かで満たされていくような、そんな感じ。 バタリッ 大きな音がしてはっとすると、マイスが倒れてしまっていた。 それになんか激しく咳き込んでいる。 「…大丈夫!?」 「大丈夫…ですよ」 声を掛けるとマイスは笑みを返してきた。それでもとても苦しそうだった。 ……多分、私の性だ。私はずっと探してくれたから、こんな… 「…じゃあ、お休みなさい」 そう言ってマイスは部屋の隅に行こうとした。多分私を気遣ってだろう。 「…マイスっ!」 彼を追いかけようとしても体が動かなかった。疲れと寒さで私の体も限界だった。 だから… 「……今日は、ありがとう…」 明日、早く起きようと思った。 起きて、マイスの看病をして、そして…
93:氷原に咲く花(1) 7/7 2009/12/22(火) 22:51:24 ID:xnK8FvEo [sage] 気がつくと、朝になっていた。 いつの間にか眠ってしまったらしい。 ゆっくりと体を起こしてみる。体の具合はすっかり良くなっていた。 よし、これで… 「おはようございます、ソフィアさん」 振り返ると、マイスが立っていた。 とても元気そうだ。 でも確か… 「マイス、風邪は…?」 「風邪薬飲んでぐっすり寝たんでもう大丈夫ですよ。心配掛けてすみません、ソフィアさん」 ………まあ、なんというか 「……馬鹿」 こちらの気も知らないで、ソフィアはむすっとして俯く。 「え? 何でですか?」 彼は分かっていない…多分考えても分かってくれないかもしれない。 それでも理由を言うのは何故か恥ずかしかった。 だから… 「…名前、いつまでさん付けなのよ。親しい仲なんだから……ぁ」 そこまで言って口を両手で押さえた。反対に言うつもりだったのに、 「…分かりました、これからはソフィアって呼びますから」 真面目に言うのも悪くなかった。 Fin.
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