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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
16:蕪は無慈悲な畑の女王 2009/12/11(金) 13:15:16 ID:LfAy+aOs [sage] 71 名前:蕪は無慈悲な畑の女王[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 16:38:39 ID:jPZN87y6 「ちなみに」 「はい?」 「ずっと首を縦に振らなかったら?」 「ずっとそのままです」 「死ぬまで?」 「はい、死ぬまでです」 「……」 「あ、もし死んじゃった場合はあたしもすぐ後を追いますから。 安心してください、ラグナさんを一人ぼっちにさせるようなことはしませんから」 なんて重い想い! いや、そんなこと言ってる場合じゃなくて。 「いや、でも真面目な話、ずっとこのままってわけにもいかないと思いますよ 言っちゃ何ですが体も汚れますし、トイレの問題もありますからね。人間一人を世話するって思ってるより大変ですよ」 「ふふ、こんな状況でもあたしのことを心配してくれるなんて、やっぱりラグナさんは優しい人です。 でも大丈夫。体は毎日きれいに拭いてあげます。排泄物だってきちんと世話してあげますから。 なんてったって愛する人のためですから。どんなことでもしてさしあげますよ」 やー、別に心配してるわけじゃないんですけどねー。 出来ればさっさと諦めてほしいなーとか思ってるんですけど。 「やっぱり僕なんかじゃミストさんとは釣り合いませんよ。もっといい人がいますって。 例えばザッハなんでどうです? ミストさんにぞっこんみたいですけど」 「もう、どんな時でも謙虚なんですね。でもあたしが好きなのは世界でただ一人、 ラグナさんだけなんですから。そういったお気遣いは無用ですよ」 ああ、なんという逆効果。 ていうかザッハはスルーですか。もうちょっと反応見せてくれてもいいんじゃないですか。 奴も浮かばれませんよ。 「まあ、そうは言ってもいつまでも監禁しておくわけにはいかないでしょうから」 「え?」 早くも方針転換? 「ラグナさんはとても責任感の強い人です」 「はあ」 そんな風に思われてたんですか、別に普通だと思ってますが。 「ですから」 「はい」 「既成事実さえ作ってしまえばきっとラグナさんはあたしのこと受け入れてくださるんです。きっとそうなんです」 「はい、って……ええええええ!」 そういうが早いかミストさんは着ている服に手をかけた。 スカートがすとん、と床に落ちる。 72 名前:蕪は無慈悲な畑の女王[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 16:39:20 ID:jPZN87y6 「不束者ですが、よろしくお願いしますね、ラグナさん」 そういいながらにじり寄ってくるミストさん。まさかこんなところで貞操の危機を迎えることになろうとは、 いいや、もう、どうにでもなっちゃえー、とか思ってると、不意に、 「ミストー、いるんでしょー? ちょっといいかしらー」 ドンドン、と扉をたたく音とともになにやら声が聞こえてきた。 あれは……ロゼッタ?なんでまたこんな時に。 「むぅ、せっかくのいい雰囲気が台無しになっちゃいました。ちょっと待っててくださいね」 この状況をいい雰囲気といいますか。 一度いい雰囲気の定義についてとことんまで話し合う必要があるんじゃなかろうか。 ミストさんは脱ぎかけた服を再度着なおすと、こちらに向かって毛布をばっさりとかけてきた。 「お願いですからほんのちょっとの間、静かにしててくださいね。 もし大声を出したりなんかしたらどうなっちゃうか分かんないですから」 「はは、もうとっくに諦めはついてますよ。僕なんか今更どうなったっていいです」 「ロゼッタさんが、ですよ」 「……」 怖えー、ミストさん、超怖いです。 さすがにロゼッタまで巻き込むのは忍びないので、大人しくしていようか。 頭から毛布をかぶせられているせいで、周囲の状況がよく分からないが、どうやら玄関先でロゼッタを迎えているようだ。 この分なら中まで入ってくることはないだろう。 残念と思う気持ちと、安堵した思いがない交ぜになって微妙な気持ちになる。 毛布の中でじっと息を殺していると、二人の会話が耳に入ってくる。 「あらロゼッタさん。こんな時間にどうしたの?」 「うん、急に悪いわね。ところでさ、ラグナがどこにいるか知らない?」 一瞬、間があってから 「いえ、知らないわ」 「そう、おっかしいわねー。どこほっつき歩いているのかしら」 「ラグナさんがどうかしたの?」 「ん、まーね。野菜の在庫が無くなっちゃったからラグナに今日中に出荷するよう頼んどいたのよ。 なのにいつまでたっても来やしないし。約束破るようなヤツじゃないのは分かってるんだけどね、 ちょっと文句の一つ位は言ってやろうかと思って探してたらどこにもいないし。さすがに心配になってきたのよ」 まあ、モンスターにやられるようなことはないと信じたいんだけどねー、とつぶやく声が耳に入る。 ロゼッタ、惜しい! 相手はモンスターじゃない、もっと恐ろしい何かだ。 「ラグナさんならきっと大丈夫よ。しばらくしたら戻ってくるんじゃないかしら」 「え、あんたラグナがどこ行ったか知ってるの?」 「……ううん、なんとなく、そんな気がしただけ」 「ふーん? ま、いいわ。もしラグナを見つけたらお店のほうに顔出すように言っといてよ」 「ええ、分かったわ」 「じゃ、お願いするわ。ごめんね、こんな時間に来て」 「気にしないで、ロゼッタさんこそ、帰り道、気をつけてね」 「あは、あんたに言われなくても分かってるって、それじゃねー」
17:蕪は無慈悲な畑の女王 2009/12/11(金) 13:15:56 ID:LfAy+aOs [sage] 73 名前:蕪は無慈悲な畑の女王[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 16:41:14 ID:jPZN87y6 バタン、と扉の閉まる音が聞こえた。ああ、ちょっとは期待してたのに。いや、ロゼッタが無事だったからいいけどさ。 ミストさんは、ふう、とため息をつくとこちらに向き直って、 「ラグナさん、ロゼッタさんとあんな約束なんかしてたんですか」 「まあ、約束といいいますか、なんといいますか。こんな目にあってなければ届けるつもりだったんですけどね」 「んー、困りましたねぇ。これじゃあんまり長い間閉じ込めておくわけにはいかなくなっちゃいました」 「いや、今すぐ放してくれれば解決する問題なんですけど。今回の件、別に誰にも言ったりしませんよ」 「まだダメですよぉ。ラグナさんがあたしのものになってないですから。でも、まぁ、それも時間の問題ですけどね」 そういうと再びミストさんは服を脱ぎ始めた。 今度は何の妨害もなく、あっという間に全裸になってしまった。 正直、両手両足が縛られていてよかったと思ってしまった。きっと我慢できずにこちらから襲ってしまったかもしれない。 それくらいミストさんの体は扇情的だった。 「や、あまり見ないでくださいよぉ、恥ずかしいですから……」 自分から脱いどいて何を、とは思わない。 こんな状況でなんだけど、これから起こることに対しての期待を、僅かながら持ってしまっているから。 男の性ってホントどうしようもないな。 そうこう思っているうちに、ミストさんは僕のズボンに手をかけ、ゆっくりとずり下ろしていった。 露になった一物は、それはもう、天を突くかの勢いでそそり勃っていて、なんかもう、恥ずかしいやら情けないやら。 「なぁんだ。やっぱりラグナさんもあたしのことが好きだったんですね。ほら、こんなに元気になって」 つんつん、と指で突くミストさん。やめてください、なんか出てきたらどうするんですか。 あと、元気なのはいわば男の生理現象というか、不可抗力みたいなものなんで、あまり突っ込まないでください。 「安心しました。ラグナさんはあたしを受け入れてくれるんですね。ふふ、もうすぐ二人は一つになれますよ」 ぜんぜん聞いてないし。まあ、最初からそうだけどさ。 「じゃ、まずはラグナさんから気持ちよくなってもらいますね」 何する気ですか、と言う暇もなく、ミストさんはあむっ、と言う感じで僕の一物を口に含んだ。 「うあっ!」 局部に走る違和感と快感。先端に走る刺激はミストさんの舌先か。 縛られているのがもどかしい。 腰が浮きそうになるくらい気持ちいいのに自由に動かすことすらままならない体。 やばい、出る出る出るっ!何とは言わないけどナニかが出るっ! くだけた言い方をすれば、射精するまさにその瞬間! 74 名前:蕪は無慈悲な畑の女王[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 16:43:05 ID:jPZN87y6 バタン! 「ごめーん、ミストっ! さっき言い忘れたんだけどさ、明日のことなんだけど……って、えぇぇぇっ!!!!」 突如として開く扉。 そこにいたのは先ほど帰ったはずのロゼッタ。 ああ、なんか言い忘れたことがあったのね、なんて冷静に観察できたのは射精直後の賢者タイムだったからだろうか。 冷静になったついでに自分の周りを確認してみる 縛り上げられた上に下半身だけ露出した姿の自分、その両足の間にうずくまるように座っている全裸のミストさん。 口元からは僅かにこぼれ出ているのはさっき出したばかりの精液だろうか。 これを見た彼女はいったい何を思うのだろうか。 顔を上げ、ロゼッタの方を向く。あ、目が合った。 「なっ……、なっ……」 酸欠の金魚みたいに口をパクパクさせていたロゼッタの顔にほのかに赤みが差す。 「なにやってんのよあんたたちぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」 カルディアの夜空に、ロゼッタの悲鳴が響き渡ったのであった。 (続く) ※フロンティア全盛の今、申し訳ないですがDS版準拠の設定です。
18:蕪は無慈悲な畑の女王 2009/12/11(金) 13:17:16 ID:LfAy+aOs [sage] 「……で、結局こーなるわけね」 隣には見事なまでに縛り上げられたロゼッタの姿が。 てかこれ、亀甲縛りってヤツですよね。何でこんな妙ちくりんなスキル持ってるんですか。 「ま、大体のいきさつは分かったわ」 分かっちゃったんですか。話が早くて助かります。 「……ミストのやりそうなことだしね。それにしてもラグナ、あんたも災難よね」 さすがは幼馴染というべきか。ミストさんの奇行に対する耐性も人一倍高いようだ。 諦めの早さまで人一倍早いのもどうかと思うけど。 「そうは言うけどさ、アンタこの状況でどうにかできるの?」 「まさか、どうにか出来るんならとっくにどうにかしてますって」 「だよねー」 あっはっは、と乾いた声で笑う被害者二人。奇妙な連帯感が生まれつつあった。 「で、真面目な話、あんた、あたしをどうしたいわけ?」 確かに、ロゼッタまで捕まえて一体何をしようというのか。 まさか口封じのために始末するとか言い出すようなことはないと思いたいけれど。 「そうですねえ、せっかくなんでロゼッタさんには証人になってもらおうかと思ってます」 「証人?」 「ええ、あたしとラグナさんは今夜、晴れて結ばれることになってます。その一部始終を見届けて貰いたいんですよ」 「ちょっ……、何言ってんのよミスト!」 全身緊縛されていることも忘れてミストさんに食って掛かるロゼッタ。 その拍子に、ロープがどこに喰い込んだのやら「うえっ」と声を上げた。 126 名前:蕪は無慈悲な畑の女王[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 02:03:32 ID:S46/WUcR 「と、とにかくっ! こんなバカなこと今すぐさっさと早急にやめなさい。ラグナだって嫌がってるでしょ!」 「え?」 急に話を振られ、思わず気の抜けた声で返してしまう。 「ちょっと待ちなさい、あんたまさかミストの裸見て変な気起こしてんじゃないでしょうね」 ロゼッタが不審者を見るような目つきで睨んでくる。 そう、このやり取りの最中ですら、何故かミストさんはすっぽんぽんのままでいたのだった。 ちなみに僕の下半身もすっぽんぽんのままだったり。 「あら、ラグナさんは別に嫌がってないですよね。ほら、こんなに元気になっちゃって」 そう言いつつ、思い切り反り返った一物を再びつんつんとつつくミストさん。 やめてください、さっき出したばかりですけどもう一回出てきたらどうするんですか。 「ちょ、だから止めなさいってば! ラグナもいつまでもおっ勃ててないでいい加減その……ソレをしまってよ!」 「そんなこと言われましても……」 見てのとおり、こっちも縛られたままなんでどうにも動きようがないといいますか。 「ああもう、ミスト、いい加減なんとかしなさいよ!」 業を煮やしたロゼッタがミストさんに非難の矛先を向ける。 体の自由が利かないにもかかわらず相手に食って掛かるその姿勢には感服せざるを得ないものがあるけど いかんせん今回は相手が悪すぎた。 「まあまあロゼッタさん、そんなに怒ったりしないで。別にとって食おうってわけじゃありませんから」 「普通に怒るわよ! ていうかさっさと服着なさい!」 「んー、もうちょっと待っててくださいね。すぐ終わりますから」 「終わるって、なにがよ?」 「それはですねぇ……」
19:蕪は無慈悲な畑の女王 2009/12/11(金) 13:18:32 ID:LfAy+aOs [sage] 127 名前:蕪は無慈悲な畑の女王[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 02:04:40 ID:S46/WUcR すっぽんぽんのミストさんがこちらへと這い寄って来て、仰向けに寝ている僕の上に覆いかぶさってくる。 目の前には二つの膨らみが。いや、要するにおっぱいが目の前にでーんと置かれているわけだけど。 へー、ミストさんって着痩せするタイプだったのか、なんてことを考えていると、 「ラグナさん、準備はよろしいようですね」 「へ?」 「ほら、さっきからずっと、勃ちっ放しじゃないですかぁ」 「いや、だからこれはですね……」 「ちなみに」 そう言ってミストさんは自分の脚の付け根辺りに指を這わせて、 「あたしも、準備できてますから」 ほらほら見てください、糸引いてますよー、と言いながら差し出された手には、確かな湿り気と うっすらと粘り気のある糸が。いや、そんなもの見せられてどうしろと。 「ふふ、ラグナさんは何もしなくていいんですよ。あたしの方で全部、してあげますから」 「ちょ、ちょっと……」 迫りくるミストさんからどうにかして逃げられないものかと、不自由な体をずりずりと動かしてはみるものの、 ごつんと、頭がベッドのふちに当たってしまった。うあ、これは詰んでしまったかも。 「それじゃ、挿れますからね」 馬乗りになったミストさんが、ほんの少し腰を持ち上げる。 先っちょになにやら生暖かいものが触れたと思った瞬間、じゅるりと局部全体が柔らかい何かに覆われてしまった。 それと同時に、腹の上あたりに人間一人分の体重が、ゆっくりと降りてくる。 恐る恐る見上げると、うっすらはにかんだような笑顔を浮かべるミストさんと目が合った。 乗りかかった船というべきか、毒を食らわば皿までというか、はたまた後は野となれ山となれと言うべきか。 とにかく事ここに至ってしまっては、起こったことを嘆くよりも少しでも前向きな選択を取るべきだろう。 まあ、言ってしまえば気持ちいいからこのままやっちゃえー、ということなんだけれども。 「はぁっ、あっ…… は、入っちゃいましたね……」 上気した顔でミストさんが喘いでいる。 下腹部が熱い。人の体温がこんなにも高いものだということを今更ながらに理解する。 前のめりに倒れ掛かるミストさんの両手を握って支えると、小刻みな振動がよりはっきりと伝わってくる。 肌越しに微熱が移ったのか、こっちまで熱に浮かされたような気分になってくる。 昂ぶる気持ちに引きずらたのだろうか、体の方も勝手に動いてしまう。 128 名前:蕪は無慈悲な畑の女王[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 02:05:40 ID:S46/WUcR 「……ラグナ、何でアンタまで一緒になって腰振ってんのよ」 火照った体に冷や水を浴びせるような、極北の氷河を思わせる声がすぐ真横から響いてきた。 背筋にぞっと冷たいものが走る。反射的に顔を向けると、目の前には不機嫌を隠そうともしないロゼッタの顔が。 ていうか、近い、近い。顔が近い。鼻先が触れ合ってもおかしくない位置にロゼッタの顔があった。 ミストさん相手に夢中になっているうちにこんなところまで移動してしまっていたらしい。 「あたしがすぐ隣で寝てるっていうのに、ラグナったらミストとエッチすることに夢中で気付かないんだ。 へー、そーなんだ。ふーん、もうあたしのことなんかどうでもいいのよね。そーだよねー、ラグナも男の子だもんねー。 誰でもいいからとにかくヤれたらそれでいいんだよねー」 「えーと、別にそういう訳じゃ……」 「どうだか。現にあたしが声掛けなかったらあんたそのまま続けてたでしょ」 「……」 いやもう、全くもってその通りなので反論のしようがない。 さらに言うなら、あまりにも気持ちよすぎて今更止めることが全然出来そうに無いわけで。 「まったく、男って気楽でいいわよねー。こんな状況でも欲望丸出しでいられるなんて ミストもミストだけどアンタも大概よ、ラグナ」 「ですからこれは別にぅあむっ!」 突然、口をふさがれた、というよりも口の中に何か生暖かいものを捻じ込まれてしまった。 何事かと思ったが、同時に視界も悪くなったので何が起こったかわからない。 口の中に侵入した異物が口内を蹂躙する。頭を振って逃れようとするが、両側をがっちりと挟みこまれてしまっていた。 しばしもがくこと数秒、 「ぷはぁっ!」 半ば強制的に止められていた呼吸が戻る。大きく息を吸い込み、気持ちを落ち着ける。 目の前にはミストさんの顔が。唇の端から唾液が糸を引いていて、その先はどうやら僕の唇とつながってるようだ。 えぇと、それじゃさっきのあれはミストさんにキスされてたのか? それもうんと濃いディープキス。 「ふふ」 ミストさんは口元を手の甲で拭うと、 「駄目ですよラグナさん。今はあたしだけを見ていてください」 そう言うと、こちらに向かって身体を預けるように倒れかかってきた。 互いの上半身が密着する。しっとりと吸い付くような肌触り、胸の辺りの一際柔らかい感触。 とどめと言わんばかりに両腕でしっかりと頭を抱え込み、再度のディープキス。
20:蕪は無慈悲な畑の女王 2009/12/11(金) 13:19:13 ID:LfAy+aOs [sage] 「……あぁ」 我ながら腑抜けたため息を吐く。自分の意思とは無関係に上下する胸板が妙に恨めしい。 で、その胸板の上に倒れこんで、こちらも荒い呼吸をしているのがさっきまで好き勝手やらかしていた我らがミストさん。 さすがの彼女も精根尽き果てたようだった。いや、どうかそのまま尽き果てていてください。 ああ、それにしても 「気持ち良かったなぁ」 思わず独り言がこぼれる。さて、これからどうしたもんかと考えてると。 ごっつっっ!!!!!!!!! 「ぁ痛っだあぁぁ!!」 突如目の前で星が散った。数瞬遅れて頭の中に衝撃と痛みが広がる。 何事かと思って顔を横に倒した瞬間、 「あっ……」 目の前に広がる綺麗なブロンドの髪。何故かそれが急接近してきて、 「ぅぶっ!!!」 今度は鼻先にまともに食らってしまった。 「あいたたたた……」 二度目の天体観測が収まると、目の前にはむすっと膨れたロゼッタの顔が。 うっすら涙目になっているのは痛みのせいか、それとも別の何かのせいなのか。 「ロゼッタさん、痛いですよ……」 何かと思えば隣に居たロゼッタから頭突きをお見舞いされていたのだった。 いくら縛られてるからってそれはないんじゃないでしょうか。 「うっさーい!! 何が気持ち良かったー、よ。人の隣でいつまでもよろしくさかってるんじゃないわよー」 「うっ……」 そういわれて急に後ろめたさが込み上げてくる。確かにこれは言い訳の仕様がない。 「いや、その、なんていうか、ごめんなさい」 「ふうん、別に謝らなくたっていいわよーだ。ラグナはあたしよりもミストとエッチしてる方がいいんでしょうよ」 「うぅ……面目ない」 気まずい沈黙が場を支配する。 132 名前:蕪は無慈悲な畑の女王[sage] 投稿日:2009/02/02(月) 02:09:01 ID:S46/WUcR 「お二人とも、お困りのようですねぇ」 「わっ」 「きゃっ」 胸の上から空気が読めてない声が降ってくる。ていうかいつまで乗ってるんですか。 ああ、でも今はその空気の読めなさっぷりが逆に頼もしい。 「ちょっとミスト! 元はといえば全部アンタのせいでしょーが。何暢気なこと言ってんのよ」 「ロゼッタさんったら、さっきから怒ってばっかりですねえ。もうちょっと落ち着いたほうがいいんじゃ……」 「だーかーらー、ぜ・ん・ぶ、あんたのせいだって言ってんでしょーがー!!!!」 ぜえぜえはあはあと息を荒げて思いのたけをぶちまけるロゼッタ。でも多分相手が悪い。 ロゼッタの魂の叫びを受けたミストさんは全く動じている様子もない、すごいなこの人。 そしてなにやらしばらく考え込んでいたミストさんは、ピコーンと何かがひらめいたような顔をして。 「分かりました。あたしにいい考えがあります」 あー、なんかすんごい嫌な予感がする。 ただ一つ確実なのは、この夜はまだまだ終わりそうもないことだった。
21:グレポプ1 2009/12/11(金) 13:20:04 ID:LfAy+aOs 108 名前:グレポプ1[sage] 投稿日:2009/01/25(日) 15:53:33 ID:4s/uct6m その日は牧場の店舗が休みだったこともあり、グリーン牧場の面々は常よりいくらか早く仕事を終えていた。 「あれ、兄さん。どっか行くの?」 何も言わずに(元々寡黙な質ではあるが)ふらりと家を出ようとするグレイに、ランが声を掛ける。 グレイは少しだけ立ち止まり、背を向けたまま一言、 「……散歩だ」 それだけ残して扉を閉めた。 「…最近、よく出掛けるようになったよね、兄さん」 以前は仕事を終えた後でも、暇さえあれば馬と戯れ、牛と会話し、羊の様子を窺っていた彼だが、このところ頻繁に外へ足を向けるようになった。 それも妹のランや、父であるダッドにも行き先を告げないままである。 「なーんか怪しいんだよなぁー…」 「まあそう気にしてやるなラン、グレイもそういう年頃ってこった」 「ん?」 よく分かっていない娘の頭に大きな手を乗せ、ダッドはニヤニヤ笑いながら、今度あいつとサシで酒でも飲むか、と感慨深げに呟いた。 109 名前:グレポプ2[sage] 投稿日:2009/01/25(日) 15:55:15 ID:4s/uct6m 牧場を出て、坂をまっすぐ。うららかな午後の道を、グレイは黙々と歩く。その先には月山があった。 この季節には山のあちこちにムーンドロップの花が咲き、甘い香りを振りまいている。グレイの目的はまさにその花だった。 ちょうど綺麗に開いた花を見つけると、グレイは手を伸ばして一輪手折る。 そっと匂いを嗅ぐと、伏せた瞼に無垢な少女の笑顔がよぎった。 いつ頃からかは分からない。 口下手で無愛想な自分に、物怖じもせずふわふわと笑い掛けてくる彼女。 子供のように純粋なその姿に、気付けばひどく惹かれていた。 グレイの手にした花は、彼女への贈り物だった。 我ながら全く柄にもない、こんな姿を友人家族が見たらどう言うか。 それでも彼女の喜ぶ顔を思うだけで、その仏頂面には微かな笑みが浮かぶのだった。 そろそろ誰かに会う前に、彼女の家に急がなくては。グレイが花束片手に下山しようとした、その時だった。 「きゃーーー!!」 高い悲鳴が耳に届く。それほど離れていないようだ。いやそれより、自分の耳がおかしくなければ、今のは。 意識より先に、グレイは声のした方へと駆け出していた。
22:グレポプ 2009/12/11(金) 13:20:32 ID:LfAy+aOs 110 名前:グレポプ3[sage] 投稿日:2009/01/25(日) 15:57:11 ID:4s/uct6m 橋を渡り、大工の小屋を過ぎたところで、案の定、見慣れたピンクの後ろ姿が座り込んでいるのを見つけた。 「ポプリ」 近寄って呼び掛けると、彼女はビクッと肩を震わせて振り向いた。その姿にグレイの方がぎょっとする。 ポプリは服も顔も、泥と涙でどろどろに汚れていた。 「…グレイ〜」 「………何があった」 相手を捉えた途端に、安心したのか、ますます顔をぐしゃぐしゃにして泣き出す。 内心かなり狼狽えたものの自制して、グレイはしゃがみ込んで視線を合わせた。 「あのね、っ、あそこに、すっごく綺麗な、お花が、咲いててねっ、摘んで、帰ろ、と思った、んだけど」 ポプリの指す方を見ると、切り立った崖の肌、確かに見たことのない、真っ赤な花が咲いていた。 但しそれは、男でも届かないような高い位置に。 「…登ろうとしたのか、これを」 「だ、だって、ちっちゃい頃は、木登りだって、得意だったしっ」 「馬鹿」 しゃくり上げながらのポプリの言い訳をぴしゃりと制する。 111 名前:グレポプ4[sage] 投稿日:2009/01/25(日) 15:58:32 ID:4s/uct6m 「ケガは」 「うぅー…あし…」 「見せろ」 既にだいぶ捲れ上がっていたスカートを少し引っ張ると、膝に真新しい擦り傷ができていた。 大して深い傷でないことに、小さく息を吐く。 「他に、痛む所は」 「ぐすっ、落ちた時にお尻ぶつけた…」 「……それは我慢しろ」 懐を探り、まだ使っていないタオルを引っ張り出す。待ってろ、と言い置いて、グレイは泉に向かった。 川よりもそちらの方が水が綺麗だろう、傷を流すにはその方がいい。 冷えた湧き水にタオルを浸し、グレイは足早にポプリの元へ戻った。 「傷を出せ」 「っ、うん」 ポプリは脚を伸ばしてスカートをたくし上げ、脚を露わにした。 先は傷しか見ていなかったために気付かなかったが、ロングスカートから覗いた脚はすらりと白く、 子供じみた普段の姿からは思いがけないほど「女」らしかった。 「……グレイ?」 「…………何でも、ない」 不自然なほど背けた顔を、ぎしぎしと音が鳴りそうな鈍重さで戻す。 少し帽子を目深に被り直して、グレイは傷口にタオルを当てた。
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