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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
7:名無しさん@カブ好き 2009/12/11(金) 13:06:27 ID:LfAy+aOs [sage] 19 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/01(木) 00:53:51 ID:t9cwEGtq 姉が小さい頃から願い続けてきた理想が自分には理解できなかった。 なぜ願うのかも理解できなかった。 姉が自分のもとを離れた理由もいつまでも理解できなかったし、姉が傍に居なくなってからの自分はもっと理解し難かった。生まれたときから傍にいたというのに。 その距離を縮めたくて必要以上にひっついていたのかもしれないと今では思う。 時が経つほどにその距離は広がっていき、ついには本当に彼女は自分のもとからいなくなってしまった。 昔故郷の国の森で迷子になったとき、泣きじゃくっていた幼い私は何度も姉の名を呼んでは返って来ない返事を待ち続けていた。 森の空気の冷たさと言いようのない心細さと深みを増す暗闇の中で座り込んだままどれだけ時が流れたのか。 自分を呼ぶ声を期待しながら待ち続けていたのはそうしていれば姉が迎えにきてくれると思ったからだった。 ああそうだ、あの時私は迷ったんじゃない。 自分で……森……へ…… そして私はそのまま…… 20 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/01(木) 00:55:14 ID:t9cwEGtq 衣服に染み込んだ寝汗の冷たさを肌に感じると無性に裸になりたくなった。半分まどろんだ頭にはまだいくつかの映像が焼き付いていた。だんだんと夢の内容が曖昧になっていき断片的にしか思い出せなくなったころ階段を昇ってくる足音がした。 「あ、ミネルバさん、起きてたんですね。牛乳がゆを作ったので晩御飯にしましょう」 ラグナはベッド脇の台に鍋を置くとミネルバの額にそっと手を当てて熱を計った。ミネルバは一瞬自分が子供に戻った気がしてくすぐったくなった。 「よかった。風邪薬が効いたみたいですね」 「え、覚えてないけど……」 「寝ているミネルバさんに飲んでもらうのは大変でした」 ミネルバはかぁーっと顔が赤くなっていくのが自分でもわかった。 「レ、レディが寝ているあいだに勝手に何か飲ませるなんて!」 「き、緊急事態でしたから……」 「もう、バカバカバカバカーっ!!! そ、そんなの起きてからでいいじゃない!」 「す、すいません。ミネルバさんがあんまりうなされてるものでしたから」 うなされていた理由自体は多分違うのだが、それを訂正できないほど夢の記憶は不確かになっていた。 ミネルバはラグナを半ば睨みつけるように見据えた。 「いい!? 今回は仕方がなかったと思ってあげるけど、次やったら百たたきだからね! ……もう」 ミネルバは腕を組んでため息を吐くと牛乳がゆをいそいそと小皿によそっているなんともデリカシーに欠ける少年に向けて不満のこもった視線を向けた。 きっとこの底抜けのお人好しはそんな目線に気づきもしないだろう。 だが、それもこれも好意というか善意というか、素朴な優しさからくるものだというのはわかる。 わかるのだが、それは向けられる側にとっては、少なくとも自分にとっては、たまらなくくすぐったいというか、有り体に言うと恥ずかしすぎるのだ。 「はい、ミネルバさん、どうぞ」 ニコニコしながら牛乳がゆを差し出してくる。素直に受け取る気にはなれない。しばらくそっぽを向いているとラグナは困った顔を見せた。 ちょっぴりの罪悪感と、ちょっぴりの優越感。 子供っぽい支配欲だとは思うのだが、この少年の前で大人で居続けるのはなかなかに難しいのだ。 「どうすれば食べていただけますか?」 この言葉を待っていた。
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