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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
82:二人で店番2009/12/13(日) 21:56:59 ID:kh1UIBdUAAS
416 名前:二人で店番[sage] 投稿日:2009/05/20(水) 23:25:59 ID:PsD2U2vH
綺麗に片付けられた店内だ。カウンターの中からあらためて見渡すとそんな当たり前すぎる印象を持った。
となりで営業していた店がひどすぎたからか、花の香りまでただようこの店は急造したものとは思えないほど清潔な雰囲気に包まれていた。
営業する人物が女性というだけでこうまで違うものか。いや、彼女は元々商才のある人であったから優劣ははじめから歴然としていたのだ。
しかしとなりで閉店した雑貨屋の店主にもそれなりの知識と経験は身についていたようで、店員となった以降の彼は良く働き、現店主の彼女からの評価もずいぶんと向上したようだった。
そんな彼は今ここにはいない。普段の働き振りから休暇の申し入れを受け入れたために、彼は今実家へと帰省している。
田舎からひとり立ちしてきた彼の家族を思う気持ちは、雇い主側の彼女も深く共感していたようで、前々から予定が立っていたということだった。
そこで自分がここにいる理由の一端につながってくるのだが。つまり店番として雇われたことに対する不満は消えず残っているのだ。
確かに買い物客が多く来店する夕方の時間に店主が店を留守にするのは良くはない。出荷したものを回収してもらわなくては困るのは自分のほうなのだ。
しかし店員が一人増えるまではそういう状態が続いていたのだから留守にしようが構わないだろう。
そう反論したが、返す言葉でやれヴィヴィアージュ家のお嬢様が定住することになって客が増えただの、やれ宿に泊まる人が増えてユーニさんが大量に食材を買いに来るだのと言う。
常連客を待たせるわけにはいかないという店側の事情をクドクドといい聞かされた僕は、うやむやのうちに期間限定の店員として雇われることになってしまったのだ。
こうして僕は雑貨屋マテリアルのカウンターにたち、慣れないお客さんの応対を任されているのだった。
僕のとなりではさわやかな営業スマイルのロゼッタさんがそろばん片手に売り上げの計算をしたり書類を書いたりしている。時々僕に品出しや棚の整理を指示しては、また机に向かっている。
普段はこの役はダニーさんが担っているのか。なんとなく彼が不満を口にしつつもテキパキと働く姿を想像して、頬が緩んだ。
「ラグナ、ほらお客さんよ」
「あ、はいはい」
「はいは一回!」
「は、はい!」
店の主は僕の方をキッとにらむとすぐに笑顔に戻って接客に戻る。
地よりも少し高めの声ときびきびとした動きで彼女はお客さんをもてなす。
商売人は皆そうなのだろうか、お金を受け取る動きもそつのない流れるような応対だ。
僕は用意された袋に商品を詰めて精一杯の笑顔で手渡す、ここまでが限界だった。僕が普段相手にしているのは土やモンスターなのだから仕方ないだろう。
「ありがとうございましたー」
「あ、ありがとうございましたっ」
お客さんが店を出て行くと、ようやく肩から力が抜けた。
たいした仕事はしていないのに肩が凝っていた。
「ちょっと、そんな油断した顔しないでよ。いつまたお客さんが来るかわからないんだから」
「そうは言いますけど、慣れないことなんでもう疲れてきちゃいましたよ」
「まったく、このぐらいで情けない声出さないでよもう……」
ロゼッタさんは椅子に座りなおして書類と向かい合っていた。商業組合なるものを組織した彼女のことだから一店主としての仕事以上に働いているのだろう。
僕も農業に遺跡探査にずいぶんと働いていると自負してはいたけどこうも目の前で忙しくしている姿を見せられると、働き者だなぁと感心してしまう。
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