牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
92:ラグナ×ラピス2009/12/20(日) 13:45:25 ID:+wKP3/Ms [sage]
476 名前:ラグタバ ◆uaXXkWe4dU [sage] 投稿日:2009/07/03(金) 23:53:53 ID:Xdn3Lsz7
(2)
「実は私…、ラグナ様だけにお話したいことがあるのです」
僕は手を引っ込めて、タバサさんに先を促した。タバサさんは立ち上がって、僕に背を向けながら話し始めた。
「私がエルフだということは前にもお話ししましたが、私はあるエルフの国の王女です」
「…王女?」
僕は驚きを覚えた。そういえば以前から思っていたが、彼女の振舞いには、一朝一夕では身に付けられないような高貴な雰囲気があった。
王女だというのならそれも納得できる。
「はい。私が人間界に来たのは…」
タバサさんはそこで言葉を切り、やや深呼吸してから言った。

「結婚相手を探すためなのです」

結婚…何というタイミングだろう。昨日の酒場での話が僕の脳内を駆け巡った。僕は、口の中が急速に乾いていくのを感じた。
「………」
「私の結婚相手の条件は、人間と…私たち異種族の絆を紡ぐ者。架け橋になれる者」
タバサさんは振り返ると、僕の前まで歩いてきて、顔を赤らめながら続けた。
「ラグナ様、貴方はたくさんのモンスターを可愛がり、全ての生命を慈しんでいらっしゃいます」
「え…僕…?」
「はい。貴方こそが、私が探し求めていた結婚相手なのです。…私と結婚してください」
ノイマンさんは言った。女かプロポーズされるのは恥ずかしいことだ、と。
でも、今、タバサさんは、僕の返事を待っている。僕の気持ちを伝えるのは、今この瞬間しかない。
「ラグナ様」「タバサさん」
僕たちは同時に名前を呼んだ。視線が合った僕たちは、魅入られたかのようにお互いの顔から離れられなかった。
僕はタバサさんの手を取った。タバサさんはちょっと驚いたようだったが、手を振りほどこうとしない。
「タバサさん、僕は貴女が好きです」
「ラ…ラグナ様…」
タバサさんの碧い瞳が見開かれる。同時に彼女の頬も紅く染まっていく。タバサさんも僕と同じだったのだと悟った。
僕はタバサさんを引き寄せて抱きしめようとしたが、彼女は僕の胸に手を当てて、抱擁を拒む仕草をした。
「待ってください…。この先に進んでしまわれたら、私たちはもう後戻りできません」
彼女は、いつになく真剣な表情をしていた。
「ラグナ様にはいずれ、私のふるさとの森に来ていただくことになるでしょう」
バサさんは少し暗い眼をして続けた。
「残念ですが、私たちエルフの中には、人間を快く思わない方もいます。
貴方は、人間というだけの理由でその方たちから言われようのない差別、蔑視を受けることもあるかもしれません」
「………」
「ラグナ様…貴方は、それでもよいのでしょうか?私と一緒に歩いていく覚悟がおありでしょうか?」
差別?蔑視?
…それが一体なんだというのだろう。
彼女は、人間と異種族の架け橋になるために、慣れない人間界で今まで頑張ってきたのだ。
それまでにはいろんな苦労もあったろう。
僕は、エルフだとかそんなのは関係なく、ただ、タバサさんという女性に惹かれた。僕も彼女のように、異種族間を紡ぐ架け橋になりたいと願った。
なら、そのための苦労など既に織り込み済みだし、何より瑣末なことだ。

「構いません。たとえどんな困難がこの先に待っていようと、僕は、貴女と一緒に歩いていくという道を選んだのですから」
僕は強い決意をこめて、言った。
「ラグナ様…貴方は私の想像以上の方でした。貴方となら私も共に歩んでいけます」
「僕たちが架け橋になりましょう」
「はい…!ラグナ様、ずっとお慕い申しておりました…」
タバサさんは今までの中で最高の笑顔を浮かべて言った。
「ラグナ様…愛しています」
1-AA
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