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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
77:ラグナ×キャンディ 2009/12/13(日) 21:54:08 ID:kh1UIBdU 397 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/05/07(木) 00:28:08 ID:LC4bHXtk 「ん……」 しばらくして、飴玉のようにキラキラとしたキャンディの瞳が静かに開く。 「良かった、目が覚めたんだね」 不思議な何かが消えていた僕は、キャンディに微笑んだ。 彼女が目覚めたことに心から安堵したと同時に、それ以上の緊張が背筋を走った。 「ぐ、具合はどうだい?」 「……うん、ちょっと頭が熱くてボーッとするけど大丈夫よ。あれ、確かあたし、ボートから落ちちゃって、それで……」 キャンディはゆっくり起き上がると、辺りを見回した。自らの状況を掴みかねているようだった。 ――お願いだから気づかないで。 その小さな太ももと胸と首筋に付けられた薄い歯型に気づかないで。 まだ咲ききっていない花弁を襲う、鈍い痛みに気づかないで。 そんな僕の願いを余所に、キャンディは側に立てられた釣竿に掛けられた自身の服を見つけて、 「やぁっ!」 ようやく自分が下着だけの姿になっていることに気づいて、顔を真っ赤にしながら慌てて上質の皮で小さな体を丸ごと覆い隠した。 その前に僕のしたことと比べると、あまりにも可愛らしくて空しい行動だった。 「……」 微妙な間が開いてゆく。 僕は何て声を掛ければ良いのか迷っていると、 「お兄ちゃんがしたんだよね?」 キャンディが小動物のようにひょっこりと顔を出してきて、単刀直入に尋ねてきた。 その顔は――もう綺麗に拭いたはずなのに――白濁した何かで汚れて見えた。 こちらを見つめてくる透き通った瞳の中に、慌てふためく僕の姿が映る。 「あ、あの、その、」 目の錯覚のはずなのに、動揺してしまっていた。 焦らないで「そうだよ」と平然と答えれば良かったのに、さっきまで取り戻せていた冷静さは一瞬で消えてしまっていた。 ガラスのようになった僕と少女の世界には、もはや嘘は通用しなかった。 例え嘘を付いたとしても、僕の中身など、すぐに見破られてしまうに違いなかった。 だから、代わりに沈黙するしか手段が見つからない。 チリチリと音を立てて、焚き火の音だけが聞こえてくる。 押しつぶされてしまいそうな苦しい時間が過ぎる中、やがてキャンディの唇が、ゆっくりと開かれた。 「……ありがとう」 それは、――感謝の言葉? しかも、――どうしてそんなふうに笑って言えるんだい? 僕は頭をハンマーで思いっきり殴られたような気がした。 『うん、そうだったわ。あたし、お兄ちゃんを信じてたもん』 ボートでのキャンディの言葉が蘇る。 そうだ。当然のことだった。最初からキャンディの頭の中には――僕がやましいことを考えていた、もしくはしたなんて疑いは入っていなかったんだ。 例え入っていたとしても、僕なら絶対に変なことしないって、こんな僕のことを信じきっていて。なのに、そんな僕は……。 心に罪悪感という杭が深く深く、じわりと突き刺さる。 そこから溢れた透明な何かは、徐々に僕の体をいっぱいにして、昇っていって、瞳から染み出した。 「お兄ちゃん、どうしたの……?」 心配そうに僕を見つめるキャンディの汚れた顔が、次第にぼやけて見えなくなっていった。 痺れるように甘く、ほろ苦い、青い果実の味の飴。 <fin> 398 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/05/07(木) 00:29:20 ID:LC4bHXtk キャンディは脳内12歳 暇があったらドロップの話も書きたいな
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