牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
233:エリック×ラピス2010/12/15(水) 00:55:16 ID:gZco1dzQ0AAS
132 名前:エリック×ラピス:2010/08/03(火) 21:54:00 ID:KBd2Nf0H0

情事の後のけだるく、だが幸福感に満ちた時間は去り、今は二人とも身支度を整えていた。
時計を見ると、そろそろステラが村人達との歓談を終え、教会へと足を向ける時間である。
その前に彼女をいつものように教会まで送り届けなくてはならない。
だが、今日は一つだけ、いつもとは違う事をする予定である。
「準備が出来ました。行きましょう、エリックさん。」
「ラピスさん、その前に少しいいですか?すぐ終わりますから。
「?……はい。」
いつもと違う様子のエリックにラピスは少しいぶかしげながらも素直に頷いた。

どくんどくんと心臓がうるさく早鐘を打っている。
落ちつけ。今日のために散々苦労してきたじゃないか。このくらいのこと、大丈夫なはずだ。

「ラピスさん、俺はあなたを愛しています。」
「はい。」
突然の愛の告白に驚きながらも頬を染め、ラピスは頷いた。
「そして、一生添い遂げたいと、そう思っています。……でも、情けない事に俺にはまだ準備が出来ていません。」
目だけでぐるりと周りを見渡す。一階建の狭い家。ベットはシングルベット。これではとてもラピスを迎えることなどできない。
「けど、いつか必ずあなたを必ず迎えにいきます。だから……」
そういってポケットから小さな小箱を取り出し、開いてラピスに見せる。
「……!」
ラピスがわずかに息を飲むのが伝わった。

星空を一部分切り取って、それをそのまま固めたような石。
ラピスラズリ。

「これは約束の証として、受け取ってください。」

「……はいっ!」
今にも泣き出しそうな真っ赤な目をして、それでもとても奇麗な笑顔でラピスは返事をかえした。



――その年の冬の月。
この村に、新たに若い夫婦が誕生したという。

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