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牧場物語・ルーンファクトリー小説保管スレッド Part1
35:名無しさん@カブ好き 2009/12/13(日) 21:28:14 ID:kh1UIBdU 171 名前:あたたかい夜[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 00:18:59 ID:iLqePRm4 「私…それを聞いたら急に不安になって……」 数時間前の会話を、全てラグナに告げ終え、エリスはしょんぼりとうなだれてしまう。 今回ラグナの愛に疑問を抱いたのは、どうやら職場のオーナーの一言が原因らしい。 「ターナーさん……極刑確定…」 それを聞いたラグナは、額に数本の青筋を浮かべ両手を握りしめる。 後日、みんなの広場にて頭にクワが刺さった酒場オーナーターナーの瀕死体が発見されるが、 それはまた別の話だ。 「それはターナーさんが間違ってる。何も奥さんを抱くことだけが夫婦ってわけじゃないよ」 怒りを一先ず抑えて、すぐさまいつもの優しい声で説得する。 「でも……そうだとしても、何故一度も私に触れないのですか? この前本で読みました……男の人は、例外なくみんな野生のゴブリンと同じで、 常に女の人を抱きたいと思っていると……そう思わない人は、男の人同士で愛し合うとも……」 「ちょ…一体どこでそんな本を……」 この村に図書館はひとつしかない。つまりはそこしかないし、入荷した人物も一人だ。 「やっぱりラグナさんは……カンロさんと!?」 「なんでよりによってカンロさんをチョイス!?違います!」 頭の中で自分とカンロが互いに裸で『愛しているよ〜』などと囁く光景が再生され、 込み上げてくる強烈な吐き気を抑えこみ、即座に全力で否定する。 ラグナからすれば、せめてエリックあたりにしてほしかっ… いや、そもそもそんな事を愛する妻に想像してもらいたくなかったに違いない。 「じゃあどうして?私が…普通の人間じゃないからっ……!?」 涙を流しながらそこまで喋ったところで、言葉が途切れる。 驚いたエリスは、自分がラグナに抱きしめられていることに気付くのに、数秒を要した。 172 名前:あたたかい夜[sage] 投稿日:2009/02/11(水) 00:20:39 ID:iLqePRm4 「あの日に言った言葉…覚えていますか? たとえあなたが普通の人間じゃなくても、僕はあなたじゃないと駄目なんです… そう言いましたよね?…その気持ちは今も変わりません。あの時からずっと抱きたかった…」 「あ……」 「でも…あなたを愛していても…いや、愛しているからこそ、あなたを抱くことが怖かった…」 静かに、しかししっかりとラグナは言葉を続けていき、エリスを抱く腕に力を込める。 「ジェルバインが行ってきた非道を…思い出させてしまうんじゃないか…… そして僕に対しても恐怖の感情をおぼえてしまうんじゃないか……それを思うと… 抱くことを躊躇ってしまう。僕は……あなたの幸せそうな顔だけを見たいから…」 「っ……ごめんなさい……私、ラグナさんの優しさもわからずに……」 「いや…僕のほうこそ………本当にごめんなさい」 互いに抱きあい、涙を流しあい、思いをぶつけあい、二人の間にできていた溝が埋まっていく。 「実は……私もターナーさんの話を聞く前から、ずっと待ち望んでいました……」 「え?」 「地下の遺跡で…私はいつも独りでした。幾十の昼、幾百の夜……ずっと…… ずっと暗くて寒い闇の中で歌い続け、哀しくて寂しい気持ちでいっぱいでした……」 「……ッ!」 改めてエリスの過去を聞かされ、ラグナは再び怒りが込み上げてきた。 やはり片手剣なんかで斬るより両手剣にすべきだったか?いや槍で全身蜂の巣に… などと考え、既にかなりの怒り具合だが、彼はこの後さらに怒るはめになる。
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